説明

ウェットシールのためのコンプライアント部材

燃料電池においてそのウェットシール領域に配置されるコンプライアント部材が記載されており、これはバイポーラ・プレート構造により定められて電極兼カレントコレクターに隣接している。該コンプライアント部材は平らなボディー部材を含んでおり、該ボディー部材は、該ボディー部材の平面から外方に延在して該コンプライアント部材にコンプライアンスを与えるセクションを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関し、特に高温の燃料電池スタックのウェットシール領域に用いられる柔軟な部材に関する。より具体的には、本発明は該ウェットシール領域において圧縮圧力を維持するための柔軟な部材に関するが、これは各燃料電池の周囲に隣接するバイポーラ・プレート部分により定められる。
【背景技術】
【0002】
慣用の燃料電池スタックは通常数百の直列の燃料電池を有する。適切に働くためには、スタックの寿命の全体にわたってあらゆるスタック動作状態のときにスタック内の全ての電池の間に密接な接触が保たれなければならない。この要件を達成するときに考慮されなければならない要素は、電池コンポーネントの製作公差、動作時の電池コンポーネントの不均一な熱膨張、及びスタックの収縮をもたらす電池コンポーネントの長期間焼固を含む。以下に更に記載されるように、特に重要なのはスタック動作時のカソード部材の収縮である。
【0003】
炭酸塩燃料電池スタックは、バイポーラ・プレート構造を含む。バイポーラ・プレートは、隣接する2つの電池の間に配置された平らで長方形のガス不透過性部材であって、一方の隣接電池に面する第1表面と他方の隣接セルに面する第2表面とを含み、これらの隣接電池のカレントコレクターとの電気的接触を提供する。バイポーラ・プレートの相対する2つのエッジは該プレートの該第1面の上に折り重ねられて2つのシーリング・フランジを形成しており、他の2つのエッジは該プレートの該第2面の上に折り重ねられて他の2つのシーリング・フランジを形成する。これらシーリング・フランジの各々の少なくとも一部分は、折り重ねられたエッジの、バイポーラ・プレートの該第1又は第2の表面に平行に該表面から離隔されている平らなセクションを含む。各々の折り重ねられたエッジの該平らなセクションと、該平らなセクションから離隔している対応する第1又は第2の表面との間の領域は、バイポーラ・プレートの各側において2つのウェットシール領域を定める。バイポーラ・プレートの該第1及び第2の表面の各々に隣接する2つのウェットシール領域の間の領域は電池活性領域を代表する。
【0004】
炭酸塩燃料電池の代表的実施態様では、カソードは、多孔性NiO粉末ベッドで作られて電池活性領域に配置されるが、コンポーネントの高さ及び組み立ての容易性という考慮事項の故にウェットシール領域には伸び込まない。その代わりに、ウェットシール領域でカソードに取って代わる均等な厚さのシートメタル・シムが用いられる。その結果、該メタル・シムを含む電池周囲は電池活性領域より構造的に強く、ここにカソードが配置される。
【0005】
燃料電池スタックは、燃料電池活性領域における電池コンポーネント間の適切な電気的接触を確保すると共にウェットシール領域において燃料電池の周囲でのガスシールを維持するために圧縮荷重下で動作する。スタック圧縮圧はスタック動作の始めに各燃料電池の燃料電池活性領域に均等に分布しているが、カソードが収縮してゆくとき、該圧力はウェットシール領域の方に移ってゆく。カソードの収縮よりは少なく生じるアノード収縮に起因して、圧縮圧の同様の移動が各燃料電池のアノード側に生じる。いずれの場合にも、電池活性領域からウェットシール領域への圧縮圧の移動は、電気接触抵抗を増大させる原因となる電池活性領域での圧縮の喪失をもたらし、結局は電池性能の喪失をもたらすので、望ましくない。
【0006】
電池活性領域における電気接触抵抗が増大しないようにスタックの有効寿命の間カソード及びアノードの収縮を補償するために圧縮圧の分布を維持するようになっているウェットシール領域を持つことが望ましいであろう。電池活性領域の機械的特性を整合させるために電池周囲でウェットシール領域にカソード部材を用いようとする以前の試みは成功していない。
【0007】
米国特許第4,514,475号は、ばね特性をもたらすために各ウェットシール領域の下に金属層の束を挿入するウェットシールのデザインを記載している。バネ特性は、薄い金属シートの表面の欠陥に依拠しており、それは電池ごとに異なるので再現不可能である。もし該金属シートの圧縮率が不十分であれば、起伏或いは波を達成するために該シートに機械加工を施さなければならない。該シールは多数の部品の組み立ても必要とし、それはシールを製作するコスト及び困難さを増大させる。
【0008】
米国特許第4,604,331号は、ベローズ型シーリング・フランジ・ウェットシール装置を記載している。該フランジは、各シーリング・フランジに2つのアコーデオンプリーツ付き側壁を組み入れて、バイポーラ・プレートの平面に対して垂直な方向に圧縮可能である。該アコーデオンプリーツ付き側壁の1つは該フランジの平らな部分をバイポーラ・プレートのボディーと結合させ、他方のアコーデオンプリーツ付き側壁は該フランジの平らな部分に結合されているがバイポーラ・プレートのボディーの少し手前で止まる。該フランジの弾性は、該フランジの平らな壁と該バイポーラ・プレートとにより形成される通路に補強部材を挿入することによって調整される。この組み立て体は少数の部品を必要とするけれども、このデザインのウェットシール・ベローズのばね特性は電池パッケージとは大幅に異なる。
【特許文献1】米国特許第4,514,475号公報
【特許文献2】米国特許第4,604,331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、慣用の炭酸塩燃料電池、固体酸化物燃料電池(「SOFC」solid oxide fuell cells)及びプロトン交換膜(「PEM」proton exchange membrane)燃料電池の上記の欠点及びその他の欠点を克服することであり、より具体的には、圧縮圧力の分布を維持すると共に燃料電池スタックの動作時に電気接触抵抗の対応する増大を防止するために燃料電池のウェットシール領域に柔軟な部材を与えることである。
【0010】
本発明の他の目的は、電池パッケージと同様のばね特性を持っていてカソード及びアノードの収縮に配慮し、更に燃料電池スタックの動作時にシーリング・フランジの無抑制収縮を防止する柔軟な部材を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、燃料電池スタックにおいて燃料電池のウェットシール領域に用いられる、信頼できる安価で製作及び据付の容易な柔軟な部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的及び他の目的は本発明により解決され、本発明は燃料電池のウェットシール領域に用いられるコンプライアント部材(compliant member)を提供することによって慣用の燃料電池におけるシーリング・フランジの欠点を克服する。実例となる実施態様によれば、本発明のコンプライアント(柔軟)部材は、第1及び第2のエンド・プレートの間に複数の燃料電池を持っていて圧縮荷重下で動作して各燃料電池の活性領域の電池コンポーネント間に電気的接触を与える、内部又は外部にマニホールドを有する燃料電池スタックと関連して用いられる。この圧縮荷重下で、カソードが該スタックの動作時に収縮するとき、本発明のコンプライアント部材は電池活性領域及びウェットシール領域の両方において電気的接触を維持するのに役立つ。該コンプライアント部材は、バイポーラ・プレートの平面に対して垂直な方向に圧縮可能であって同時にシーリング・フランジの凹み及び無抑制の収縮を防止するようになされる。
【0013】
該コンプライアント部材はウェットシールの領域を実質的に覆い、ウェットシール領域に隣接して配置されるようになっている平らなボディー部材を含む。該ボディー部材は、該ボディー部材の平面から外方に伸びるセクションを含み、該セクションは電池活性領域に配置されたカソード部材の収縮時に該コンプライアント部材の圧縮を許す。該コンプライアント部材は、カソードの収縮が生じるときに電池活性領域に対する圧縮圧(compression pressure)が維持されるようにスタック動作寿命の始めに該セクションが該ボディー部材の方に動くことにより、割合に圧縮可能である。顕著なカソード収縮が終わって該コンプライアント部材が完全に圧縮されると、すなわち該セクションが該ボディー部材の平面内に移されると、該ウェットシール領域は圧縮されている該部材によって強化される。該コンプライアント部材は、圧縮された状態にあるとき、高い圧縮圧のもとで該ウェットシール領域の破滅的凹みを防止する。平らなボディー部材と外方に伸びるセクションとを含む本発明のコンプライアント部材の構造は、この様に、燃料電池スタックの動作時にカソード収縮と、電池活性領域の対応する弱化とを補償し、また、バイポーラ・プレート構造の折り重ねられたエッジにより形成されるバイポーラ・プレートの各側でシーリング・フランジにより定められるウェットシール領域の無抑制収縮を防止するために燃料電池のウェットシール領域にコンプライアンスを与える。
【0014】
本発明による燃料電池スタックはバイポーラ・プレート構造を含む複数の燃料電池を含み、該構造は該プレート上に折り返されて該プレートの各表面上に2つの平行なシーリング・フランジを形成するエッジを有する。各シーリング・フランジはウェットシール領域を定め、この中に柔軟な部材が配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の上記の及び他の特徴及び側面は、添付図面と関連させて以下の詳細な説明を読めば、より明白となるであろう。
【0016】
本発明は、燃料電池周囲に隣接するウェットシールにおいて使用されるべきコンプライアント部材(compliant member)を挿入することによって最新のウェットシールのデザインの上記欠点を克服する。特に実例となる実施態様において示され以下で更に詳しく記載されるように、該ウェットシールは、ウェットシール領域に挿入された特別に構成されたコンプライアント部材を含む。
【0017】
図1Aは、炭酸塩燃料電池スタックにおける慣用の炭酸塩燃料電池構造10を示す。図示されているように、バイポーラ・プレート15は、該バイポーラ・プレートの第1及び第2の表面15A、15Bの各々に1つずつ存する2つの隣接する電池を分離している。バイポーラ・プレート構造15は図1Bにより詳しく示されている。この図に示されているように、プレート15の2つの相対するエッジは該プレートの第1表面15Aの上に折り重ねられて2つのシーリング・フランジ20を形成しており、プレート15の他の2つの相対するエッジは該プレートの第2表面15Bの上に折り重ねられて、始めの2つのシーリング・フランジ20に対して垂直に配置された2つのシーリング・フランジ21を形成する。各々のシーリング・フランジ20,21は、バイポーラ・プレート15から離隔されて該プレートに実質的に平行に配置された平らなセクション23を含む。平らなセクション23と、バイポーラ・プレート15の、平らなセクション23に相対する部分とを含むシーリング・フランジ20,21は、バイポーラ・プレート15の各表面15A,5Bに隣接する2つの平行なウェットシール領域25が存在するように、ウェットシール領域25を定める。該ウェットシール領域25の間の領域は電池活性領域30を定める。
【0018】
図1Aに戻ると、バイポーラ・プレートの第1表面15Aに隣接する燃料電池の部分にアノード40が配置されており、これは多孔性マトリックス層35とアノードカレントコレクター45との間に挟まれていて、後者はバイポーラ・プレート15の表面15Aに接する。アノードカレントコレクター45は、燃料ガス流48をアノード40の上に分散させ、電子をアノードからバイポーラ・プレート15に伝導する。同様に、バイポーラ・プレート15の第2表面15Bに隣接する燃料電池の部分にカソード50が配置されており、これはバイポーラ・プレート表面15Bに接するカソードカレントコレクター55に隣接している。カソードカレントコレクター55は、オキシダント58をカソード50の上に分配し、またバイポーラ・プレートに渡された電子をカソード50に伝導する。実例となる実施態様では、カソード50は多孔性酸化ニッケル粉末ベッドである。
【0019】
多くの燃料電池コンポーネントが燃料電池スタックの動作中に寸法変化を経験するが、カソード50の収縮が最も顕著である。図2に示されているように、慣用の燃料電池ではカソード50は電池活性領域30にのみ配置されている。ウェットシール領域25においては、カソード50は均等な厚さのシートメタル・シム28に取って代わられる。その結果、カソード50が収縮するとき、圧縮圧は電池活性領域30からシム28を含むウェットシール領域25に移動する。
【0020】
本発明によれば図3に示されているように、コンプライアント部材(compliant member)60がウェットシール領域25に使用される。図4及び5に関して以下で更に詳しく記載されるように、部材60は圧縮性であり、カソード50が収縮するときに部材60は同様に圧縮されて電池活性領域30における電気的接触が保たれて、電気接触抵抗の増大を防止する。圧縮荷重が大きくてカソード収縮がほぼ完全であるとき、完全に圧縮された部材60は、シーリング・フランジ20,21の凹みを防止する強度をウェットシール領域30に与える。
【0021】
図3に見られ、また図5においてより詳しく見られるように、本発明の実施例によれば、コンプライアント部材60は概して細長い長方形の形状を有する平らなシム或いはボディー部材61を含み、寸法は、それが配置されるウェットシール領域の寸法により決まる。コンプライアント部材60のボディー部材61は、本書において図示され記載されているように概して細長い長方形の形状に加えて、それが配置されているウェットシール領域により定められる多くの代わりの構造及び種々の形状を持ち得ることに留意するべきである。
【0022】
図5に示されているように、ボディー部材61のセクション65は該部材から部分的に切り抜かれており、その各々は一方の側で部材61に結合されている。また、この図に見られるように、各セクション65は、ボディー部材の平面から片持ち梁のように外方に同じ方向に伸びるように同じ側で部材61に結合されている。しかし、セクション65の、互いに関しての及びボディー部材61に関しての配置方向は変化して良い。特に、図6A及び6Bに示されているように、セクション65はサイドタブ形態に或いは互い違いタブ形態に配置されても良い。図6Aは、ボディー部材61の長さに沿って列を成して並べられたセクション65を示しており、この図において各セクション65はボディー部材61の平面からシムの長い側に向かって外方に伸びるように部材61の同じ側に取り付けられている。図6Bでは、セクション65は食い違う複数の列を成して配置されている。各列のセクションは相対する側で部材61に取り付けられていて、1つの列のセクション65は、隣の食い違い配置の列のセクション65が外方に伸びる方向とは反対の方向にボディー部材61の平面から外方に延在している。他のいろいろな構成が本発明のコンプライアント部材と矛盾しないことが分かる。
【0023】
各セクション65はボディー部材61の平面から遠ざかる方向にほぼ同じ角度θ曲げられている。充分な圧縮力が加えられてセクション65がボディー部材61の平面の方に動かされ、これにより各セクションの角度θが小さくなるまで、セクション65はボディー部材に関して曲げられた位置(この位置では角度θは約2−50度の範囲内にある)に留まる。該実施例では、圧縮圧が加えられる前の角度θは約4度であり、各セクション65のボディー部材61に結合されている側の反対の側からボディー部材61の平面までの距離は、おおよそ0.01ないし0.06インチの範囲内にある。
【0024】
部材61に形成され或いは部材61から切り抜かれたセクション65は、セクション65が完全に圧縮される最大荷重に至るまで、ストレス下で顕著な量のコンプライアンスを提供する。最大荷重を超えると、部材61はもはや圧縮性ではなくなり、セクション65はボディー部材の平面内にあり、これはウェットシール領域に強度を与えてこれが凹むのを防止する固体シートとして作用する。圧縮された後、圧縮圧が低減され或いは除去されれば、セクション65は、ボディー部材の平面から離れ、元の曲がった位置に戻る。この点で、コンプライアント部材60は弾性的でもある。
【0025】
最大圧縮荷重下ではセクション65とボディー部材61との間の角度θはゼロまで減少し、セクション65はボディー部材の平面内で完全に圧縮された位置にあって、それ以上のコンプライアンスを与えない。平らにされた状態では、ボディー部材61は、それ以上の圧縮荷重下では燃料電池のウェットシール領域を補強し支持する。この構造では、ボディー部材61と、これから部分的に切り抜かれたセクション65とは、共同して、圧縮時にコンプライアンスを提供する圧縮性ばねコンポーネントとして、また最大圧縮レベルにおいて燃料電池のウェットシール領域に強度及び支持を与える弾性支持部材として作用する。
【0026】
特に、図4に示されているように、従来技術の場合、約0.069インチの高さを有する波形部材と約0.022インチの厚さを有する平らなシートとを含むウェットシール構造は、約15psiの最大荷重下で約0.0025インチまでのコンプライアンスを提供するに過ぎない。対照的に、圧縮されていない状態において25ミルの厚さ(ボディー部材61の底からセクション65の頂部までの高さとして測定された)を有するコンプライアント部材60は、殆ど2倍のコンプライアンスを、すなわち約18psiに及ぶ荷重のもとで約0.0055インチに及ぶコンプライアンスを提供する。圧縮されていない状態におけるコンプライアント部材60の厚さが32ミルまで大きくされると、該部材は0.015インチに及ぶコンプライアンスを提供して約25psiの圧縮荷重で堅くなる。この様に、本発明のコンプライアント部材60はカソード収縮時に電池活性領域における顕著な圧力損に配慮することができ、また、上記のように、最大圧縮荷重下で完全に圧縮された状態に到達すると該コンプライアント部材はウェットシール領域に強度と支持とを提供してそれが凹むのを防止する。
【0027】
本発明のコンプライアント部材60は、例えば、インコネル718、ワスパロイ(Waspaloy)、もしくはレネ41(Rene−41)などの金属超合金材料、又は高温、高ストレス条件に耐えることのできる同様の大強度金属超合金のシートから製造され得る。セクション65は、該合金シートの穴開け又は切り抜きによってボディー部材に形成され得る。
【0028】
燃料電池スタックの高温高ストレス条件の故に、コンプライアント部材60については超合金が好ましい。最も良く使われる超合金は、補強のために沈殿硬化される(precipitating−hardened)。しかし、ばね或いはコンプライアント部材60として使用される超合金材料は、高度が高いので時効硬化された材料からは製造しにくいから、好ましくは容体化焼鈍により製造される。その結果、容体化焼鈍により調製された超合金材料は、製造後に所望の高強度を回復するように、時効硬化を含めて、適切に熱処理されなければならない。また、該製造プロセスは、使用時に材料クリープの発生源と成り得る粒子変形及び欠陥をもたらす可能性がある。コンプライアント部材の製造後の時効硬化は、この状態を矯正するのに役立つ。
【0029】
高温高圧で強度及び耐久性を有する他のいろいろな材料を本発明に従って用いることができることが分かる。いずれにせよ、上記の装置が本発明の応用を代表する多くの可能な具体的実施態様の実例に過ぎないことが分かる。本発明の範囲から逸脱せずに本発明の原理に従って他の多くのさまざまな装置を容易に工夫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】慣用の炭酸塩燃料電池構造の、切り欠き部分を含む詳細な透視図である。
【図1B】図1Aの慣用の炭酸塩燃料電池構造におけるバイポーラ・プレートの詳細な透視図である。
【図2】柔軟でないウェットシール・インサートを有する慣用の燃料電池の透視図である。
【図3】燃料電池のウェットシール領域に本発明による柔軟な部材を有する燃料電池の透視図である。
【図4】種々の圧縮荷重のもとでの図3のコンプライアント部材の撓み特性のグラフ表示である。
【図5】図3のコンプライアント部材のボディー部材及びセクションの詳細透視図である。
【図6A】本発明の第2実施態様のコンプライアント部材のボディー部材及びセクションの平面図である。
【図6B】本発明の第3実施態様のコンプライアント部材のボディー部材及びセクションの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極かつカレントコレクターに隣接しているウェットシール領域を定めるプレート構造を有する燃料電池に用いられるコンプライアント部材(compliant member)であって、
前記コンプライアント部材が、前記ウェットシール領域に配置可能であり、ボディー部材の平面から外に向かって伸びて前記コンプライアント部材にコンプライアンスを与える複数のセクションを持つ前記ボディー部材を有することを特徴とするコンプライアント部材。
【請求項2】
前記ボディー部材は、前記コンプライアント部材が配置される前記ウェットシール領域内に適合するように構成されていることを特徴とする請求項1のコンプライアント部材。
【請求項3】
前記ウェットシール領域は、平らなセクションと前記プレート構造の前記平らなセクションの反対側の他の部分との間の領域により定められ、
前記平らなセクションは、前記他の部分を有する前記プレート構造の表面に面するように前記プレート構造のエッジの上に折り込むことによって形成されるフランジの一部であることを特徴とする請求項1のコンプライアント部材。
【請求項4】
前記ボディー部材は平らであり、前記ボディー部材の前記複数のセクションの各セクションの一方の側は前記ボディー部材に結合されていることを特徴とする請求項2のコンプライアント部材。
【請求項5】
前記複数のセクションの各セクションの前記一方の側は、それぞれのセクションにおいて、互いに一方の側となる側とそのセクションの同じ側に存在することを特徴とする請求項4のコンプライアント部材。
【請求項6】
前記ボディー部材と前記複数のセクションとは超合金材料またはばねで作製されていることを特徴とする請求項5のコンプライアント部材。
【請求項7】
前記コンプライアント部材が圧縮されていない状態において、前記ボディー部材に結合された前記一方の側とは反対の前記複数のセクションのそれぞれの反対側は、前記平らなボディー部材から0.01−0.06インチ離れて配置され、前記複数のセクションは前記平らなボディー部材の平面から外に向かって2−50度の角度で伸びることを特徴とする請求項6のコンプライアント部材。
【請求項8】
前記角度は、圧縮荷重が前記燃料電池に加えられると減少することを特徴とする請求項7のコンプライアント部材。
【請求項9】
前記コンプライアント部材が完全に圧縮されると、前記複数のセクションは前記平らなボディー部材の前記平面に配置されることを特徴とする請求項8のコンプライアント部材。
【請求項10】
前記超合金材料はインコネル718、ワスパロイ(Waspaloy)、およびレネ41(Rene−41)のうちの1つであることを特徴とする請求項6のコンプライアント部材。
【請求項11】
前記ボディー部材と前記複数のセクションとのそれぞれとは長方形であることを特徴とする請求項6のコンプライアント部材。
【請求項12】
前記複数のセクションは、前記ボディー部材の長さ方向に沿って伸びかつ前記ボディーの幅に沿って離れて配置される複数の列をなして配置されることを特徴とする請求項1のコンプライアント部材。
【請求項13】
前記ボディー部材の前記複数のセクションのそれぞれの一方の側は前記ボディー部材に取り付けられていることを特徴とする請求項12のコンプライアント部材。
【請求項14】
前記複数のセクションのそれぞれの前記一方の側は、前記ボディー部材の長さ方向及び前記ボディー部材の幅方向のうちの一方に沿って伸びることを特徴とする請求項13のコンプライアント部材。
【請求項15】
前記複数のセクションのそれぞれの前記一方の側は、前記ボディー部材の前記長さ方向に沿って伸びることを特徴とする請求項14のコンプライアント部材。
【請求項16】
前記複数のセクションのそれぞれの前記一方の側は、前記ボディー部材の前記幅方向に沿って伸びることを特徴とする請求項14のコンプライアント部材。
【請求項17】
前記複数のセクションの複数の列は、前記ボディー部材の長さ方向に互いにずれて配置されていることを特徴とする請求項12のコンプライアント部材。
【請求項18】
活性な燃料電池領域と前記活性な燃料電池領域に隣接するウェットシール領域とを定めるプレート構造を有し、燃料電池スタックに用いられる燃料電池であって、
前記活性な燃料電池領域に接し、前記ウェットシール領域に伸びるカレントコレクターと、
前記カレントコレクターの前記ウェットシール領域に伸びる領域を除いた領域で前記カレントコレクターに接する電極と、
前記ウェットシール領域に伸びる前記カレントコレクターの領域で前記カレントコレクターに接するコンプライアント部材と、
を含み、
前記コンプライアント部材は、ボディー部材の平面から外に向かって伸びる複数のセクションを有する前記ボディー部材を有し、前記複数のセクションは前記コンプライアント部材にコンプライアンスを与えることを特徴とする燃料電池。
【請求項19】
前記プレート構造の2つの反対側のエッジが前記プレート構造の第1表面上に折り込まれて前記プレート構造の前記第1表面に隣接する2つのフランジを形成し、
前記フランジのそれぞれは、前記プレート構造の前記第1表面から離れてかつ平行に配置された平らなセクションを含み、
前記ウェットシール領域は、前記2つのフランジのうちの第1のフランジの平らなセクションと、前記平らなセクションと反対側の前記プレート構造の前記第1表面の一部との間の領域により定められることを特徴とする請求項18の燃料電池。
【請求項20】
前記活性な燃料電池領域は、前記プレート構造の前記第1表面上の前記2つのフランジの間の領域であることを特徴とする請求項19の燃料電池。
【請求項21】
前記電極は、カソードとアノードとのうちの一方であることを特徴とする請求項20の燃料電池。
【請求項22】
前記活性領域に隣接する更なるウェットシール領域に伸びる前記カレントコレクターの領域で前記カレントコレクターに接する更なるコンプライアント部材を更に含んでおり、
前記更なるウェットシール領域は、前記2つのフランジのうちの第2のフランジの平らなセクションと、前記プレート構造の前記第1表面の前記平らなセクションと反対側の部分との間の領域により定められ、前記更なるコンプライアント部材は更なるボディー部材を含み、
前記更なるボディー部材は、前記更なるボディー部材の平面から外に向かって伸びて前記更なるコンプライアント部材にコンプライアンスを与える更なる複数のセクションを有することを特徴とする請求項21の燃料電池。
【請求項23】
前記ボディー部材は前記ウェットシール領域に適合するように構成されていることを特徴とする請求項18の燃料電池。
【請求項24】
前記ボディー部材は平らであり、前記ボディー部材の前記複数のセクションのそれぞれの一つの側は前記ボディー部材に結合されていることを特徴とする請求項18の燃料電池。
【請求項25】
前記複数のセクションの各セクションの前記一方の側は、それぞれのセクションにおいて、互いに一方の側となる側とそのセクションの同じ側に存在することを特徴とする請求項24の燃料電池。
【請求項26】
前記ボディー部材と前記複数のセクションとは超合金材料またはばねで作製されていることを特徴とする請求項24の燃料電池。
【請求項27】
前記コンプライアント部材の圧縮されていない状態において、前記ボディー部材に結合された前記一方の側とは反対の側の前記複数のセクションのそれぞれは、前記平らなボディー部材から0.01−0.06インチ離れて配置され、前記複数のセクションは前記平らなボディー部材の平面から外に向かって2−50度の角度で伸びることを特徴とする請求項26の燃料電池。
【請求項28】
前記角度は、圧縮荷重が前記燃料電池に加えられると減少することを特徴とする請求項27の燃料電池。
【請求項29】
前記コンプライアント部材が完全に圧縮されると、前記複数のセクションは前記平らなボディー部材の前記平面に位置することを特徴とする請求項28の燃料電池。
【請求項30】
前記超合金材料はインコネル718、ワスパロイ(Waspaloy)、及びレネ41(Rene−41)のうちの1つであることを特徴とする請求項26の燃料電池。
【請求項31】
前記ボディー部材と前記複数のセクションのそれぞれは長方形であることを特徴とする請求項26の燃料電池。
【請求項32】
前記複数のセクションは、前記ボディー部材の長さに沿って伸びかつ前記ボディーの幅に沿って離れて配置される複数の列をなして配置されることを特徴とする請求項18の燃料電池。
【請求項33】
前記ボディー部材の前記複数のセクションのそれぞれの一方の側は前記ボディー部材に取り付けられていることを特徴とする請求項32の燃料電池。
【請求項34】
前記複数のセクションのそれぞれの前記一方の側は、前記ボディー部材の長さ方向及び前記ボディー部材の幅方向のうちの一方に沿って伸びることを特徴とする請求項33の燃料電池。
【請求項35】
前記複数のセクションのそれぞれの前記一方の側は、前記ボディー部材の前記長さ方向に沿って伸びることを特徴とする請求項34の燃料電池。
【請求項36】
前記複数のセクションのそれぞれの前記一方の側は、前記ボディー部材の前記幅方向に沿って伸びることを特徴とする請求項34の燃料電池。
【請求項37】
前記複数のセクションの複数の列は、前記ボディー部材の長さ方向に互いにずれて配置されていることを特徴とする請求項32の燃料電池。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−503090(P2007−503090A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523821(P2006−523821)
【出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/007960
【国際公開番号】WO2005/020349
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(502197161)フュエルセル エナジー, インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】FUELCELL ENERGY, INC.
【住所又は居所原語表記】3 Great Pasture Road, Danbury, CT 06813, U.S.A.
【Fターム(参考)】