説明

ウェブセンタリングシステム

【課題】成形−充填−密封包装機の無菌内部領域で材料ウェブをセンタリングするインラインウェブセンタリング装置(12)を提供する。
【解決手段】ウェブセンタリング装置は、支持部材(40)、トラッキングアセンブリ(36)および整列機構(38)を有し、各々は、この包装機の内部無菌領域に収容されている。支持部材(40)は、この成形−充填−密封包装機に一体的に固定されている。トラッキングアセンブリ(36)は、支持部材(40)に取り付けられ、そして支持部材の周りで旋回する。トラッキングアセンブリ(36)が旋回すると、そのトラッキングアセンブリは、支持部材(40)に対して一定角度で位置付けられ、その結果、整列機構(38)を起動したとき、このトラッキングアセンブリの角度が変えられ、それにより、この包装機での材料ウェブの流路を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、包装機での材料ウェブの方向を調整する機構に関し、さらに特定すると、成形−充填−密封包装機の無菌環境でフィルムのウェブをセンタリングまたは追跡するアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
包装機の1種には、成形−充填−密封包装機がある。成形−充填−密封包装機は、典型的には、可撓性容器内で製品を包装するのに利用される。この目的のために、成形−充填−密封包装機は、可撓性容器にて、医薬品、食品、液体、雑誌、化粧品、予め箱詰めした商品、および他の非常に多くの品目を密封するのに使用されている。この成形−充填−密封包装機は、安価かつ効率的な様式でこれらの製品および他の多くの製品を包装する装置を提供する。
【0003】
FDAの要求に従って、成形−充填−密封包装機で包装された特定の医薬品は、伝統的に、包装後高温蒸気殺菌工程で、滅菌されている。この包装後工程は、医薬品を含む密封パッケージをオートクレーブに入れる工程およびパッケージとその内容物を、所定時間にわたって、必要温度(これは、しばしば、約250°Fである)まで蒸気滅菌または加熱する工程を包含する。この滅菌工程は、フィルムの内層上または医薬品それ自体の中で、このパッケージの内部に存在している細菌および他の汚染物質を殺すように作用する。
【0004】
しかしながら、ある種の包装医薬品は、このような様式では、滅菌できない。この理由は、高温蒸気殺菌工程において細菌を殺すのに必要な強烈な熱が、ある種の医薬品を破壊するか役立たなくするからである。そういうものとして、これらの種類の医薬品を包装するときには、異なる滅菌方法を使用しなければならない。
【0005】
熱に敏感な医薬品を包装する1つの方法には、まず、その医薬品を強烈な熱以外の手段(しばしば、濾過)で滅菌し、次いで、この医薬品を無菌環境で包装することがある。
【0006】
現在まで、本発明の譲渡人は、無菌形成−充填−密封包装における、いくつかの改良を開発してきた。このよう改良には、少なくとも、以下が挙げられる:米国特許第4,761,197号(これは、フィルムのウェブを密封する装置に関する);第4,695,337号(これは、フィルムのウェブにフィットメントを装着する装置および方法に関する);第4,829,746号(これは、フィルムのウェブに張力をかける装置に関する);第4,888,155号(これは、フィルムおよび類似の包装材料を滅菌する装置に関する);第4,744,845号(これは、フィルムを共にスプライスする装置に関する);および第4,783,947号(これは、フィルムのウェブから液体および残留物を除去する装置に関する)。
【0007】
通常の成形−充填−密封包装機(すなわち、無菌包装環境を含まない成形−充填−密封包装機)で利用されるウェブトラッキング機構は、一般に、無菌環境で使用するには、適切ではない。例えば、米国特許第3,680,446号(これは、Jamesらに登録された)および米国特許第5,833,106号(これは、Harrisに登録された)では、2種の従来のウェブトラッキング手段が開示されている。Jamesらの第’446号特許は、シフト可能ウェブガイドローラーを含むトラッキングシステムを開示しており、このローラーは、そのローラーの末端を別々に調整するために、その対向末端に、調整可能空気シリンダーが取り付けられている(第’446号特許の図1を参照)。Harrisの第’106号特許は、均等ロールを開示しており、これは、共軸シャフトおよびそのシャフトに取り付けられたローラーまたはスリーブを利用し、この共軸シャフトは、支持のために、その末端にある2個の軸受けに水平に取り付けられている。このスリーブには、その中心に、単一の軸受けが取り付けられ、これは、凸部および凹部を備え、そのスリーブを中心軸受け上で側方に回転させる(例えば、第’106号特許の図5を参照)。第’446号特許および第’106号特許のこのようなウェブトラッキング装置は、可動部の数および微粒子状の細菌物を集める領域のために、無菌環境に適切でありそうにない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、フィルムにウェブが無菌成形−充填−密封包装機にある成形具に入るにつれて、そのウェブの追跡を改良すると、有用となる。今まで、無菌包装用に設計された成形−充填−密封包装機は、その巻き戻し物に隣接して無菌環境の外側に位置するトラッキングアセンブリを利用している。このトラッキングアセンブリは、しかしながら、この成形具に隣接して位置しておらず、むしろ、最終的な包装成形工程の上流に位置している。それゆえ、時折、無菌環境内でフィルムを追跡しようとすると、困難に遭遇する。このウェブ追跡に制限がある結果として、この業界の包装業者は、多くの廃棄物、非効率性および製造コストの上昇に直面している。具体的には、このウェブ追跡が均衡を欠くとき、そのウェブは、この成形具で整列されず、作製された各パッケージは、一般に、シール領域でフィルムの層が正しく重なり合っていないことが原因で、捨てられなければならない。この結果、フィルムおよび医薬品物質が無駄になり得る。また、誤整列したフィルムを観察し、成形が不十分なパッケージを選択して捨て、そのフィルムを再整列しようとするオペレーターの費用が上昇し得る。さらに、フィルムの誤整列がひどい場合には、その機械を中断する時間が出てくる場合がある。上記の全ては、このような医薬品を包装する製造コストを上昇させる。
【0009】
それゆえ、包装機の無菌環境でフィルムのウェブを追跡する手段が重要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明のウェブセンタリング装置は、成形−充填−密封包装機の内部無菌領域内で材料ウェブを追跡するアセンブリを提供する。一般に、上記ウェブセンタリング装置は、支持部材、トラッキングアセンブリおよび整列機構を含む。上記ウェブセンタリング装置は、上記包装機の上記無菌領域内に位置しているものの、上記ウェブセンタリング装置の特定の部品は、上記無菌環境の完全性を維持するために、上記無菌領域から密封される。
【0011】
本発明の1局面によれば、上記包装機は、成形具、充填材およびシーラーを有し、上記シーラーは、上記包装機の内部無菌領域内に位置している。上記成形具は、材料ウェブからバッグを形成する;上記充填材は、上記バッグに物質を充填する;そして上記シーラーは、上記バッグを密封して、上記物質を上記バッグ内に封入する。
【0012】
本発明の他の局面によれば、上記支持部材は、上記成形−充填−密封包装機の内部無菌環境内で、上記成形−充填−密封包装機に固定されており、そして上記トラッキングアセンブリは、上記成形−充填−密封包装機の上記無菌環境で、上記支持部材に回転可能に取り付けられている。上記支持部材と上記トラッキングアセンブリとの間で取り付け係合を備え付けるために、上記支持部材または上記トラッキングアセンブリのいずれかの一方は、それから垂れ下がっているシャフト部材を有し、そして上記支持部材または上記トラッキングアセンブリのいずれかの他方は、上記シャフト部材に対して係合レセプタクルを有する。上記シャフト部材は、上記係合レセプタクルに設置され、そして上記係合レセプタクル内で旋回する。上記シャフト部材の旋回は、上記トラッキングアセンブリの角変位を生じる。
【0013】
本発明の他の局面によれば、上記シャフト部材および上記レセプタクルの各々の係合面は、上記成形−充填−密封包装機の上記無菌環境から密封されている。
【0014】
本発明の他の局面によれば、上記シャフト部材と上記レセプタクルとの間の上記係合面の一部は、第一ガスケットで、上記成形−充填−密封包装機の上記内部無菌環境から密封される。第二ガスケット部材が、上記レセプタクルの第二末端を密封する。
【0015】
本発明の他の局面によれば、上記ウェブトラッキング装置は、上記旋回シャフトと上記レセプタクルとの間で、軸受け面を有する。上記軸受け面は、ガスケットで、上記無菌環境から密封されている。
【0016】
本発明の他の局面によれば、上記トラッキングアセンブリは、係合部材およびローラー部材を含み、上記ローラー部材は、上記係合部材に接続されている。上記ローラー部材は、上記材料ウェブに接触するように適合され、そして上記係合部材は、上記支持部材の周りで旋回する。
【0017】
本発明の他の局面によれば、上記トラッキングアセンブリは、上記支持部材に対して一定角度で位置付けられる。上記トラッキングアセンブリの上記角度は、上記トラッキングアセンブリが上記支持部材の周りで旋回するとき、変えられる。上記トラッキングアセンブリの上記角度の上記変化は、上記材料ウェブの流路を調整する。
【0018】
本発明の他の局面によれば、上記整列機構は、第一調整部材、噛み合い第二調整部材およびオペレーターシャフトを含む。上記第一調整部材は、上記オペレーターシャフトに接続され、上記第二調整部材が、上記トラッキングアセンブリに固定され、そして上記第一および第二調整部材は、互いに係合する。このオペレーターシャフトは、上記第一調整部材の任意の移動を制御する。上記第一調整部材(これは、上記第二調整部材と係合する)の移動によって、上記トラッキングアセンブリは、旋回される。
【0019】
本発明の他の局面によれば、上記第一調整部材は、オペレーターシャフトに接続されたウォーム歯車を含み、そして上記第二調整部材は、上記トラッキングアセンブリに固定された噛み合い平歯車を含む。上記平歯車は、上記支持部材の周りでの上記トラッキングアセンブリの旋回回転を達成するように、上記ウォーム歯車で駆動される。
【0020】
本発明の他の局面によれば、上記整列機構には、クラッチ機構が取り外し可能に接続される。上記クラッチ機構は、上記オペレーターシャフトを係合し、そして上記成形−充填−密封包装機の上記無菌内部環境の外側にいるオペレーターが、上記オペレーターシャフトを回転し、上記トラッキングアセンブリを旋回して、上記材料ウェブのトラッキングを調整できるようにする。
【0021】
本発明の他の局面によれば、上記トラッキングアセンブリの上記ローラー部材は、シャフトおよびローラーを含む。上記シャフトは、上記係合部材に確保され、そして上記ローラーは、上記シャフトの周りで回転できる。上記ローラー部材は、上記トラッキングアセンブリがその周りで旋回されるとき、上記支持部材の周りで、上記トラッキングアセンブリと共に旋回する。さらに、上記ローラー部材は、上記材料ウェブと接触する。
【0022】
本発明の他の局面によれば、上記トラッキング機構は、上記包装機の上記内部無菌領域で上記成形具のすぐ上流に位置している。上記トラッキング機構は、上記材料ウェブに接触し、そして上記包装機の上記無菌領域内で旋回する。さらに、上記トラッキング機構は、上記トラッキング機構の上記旋回を制御する外部制御ユニットに接続される。そして、上記トラッキング機構の上記旋回は、上記トラッキング機構と上記材料ウェブとの間の接触角を変えて、上記成形具に入る上記材料ウェブをセンタリングする。
【0023】
本発明の他の局面によれば、本発明に従って作製されたウェブセンタリングシステムを有する無菌成形−充填−密封包装機にて、医薬品を保持する容器が製造される。
【0024】
本発明のさらに他の局面によれば、本発明に従って作製されたウェブセンタリングシステムを利用して、成形−充填−密封包装機の無菌環境で材料ウェブをセンタリングする方法が提供される。
【0025】
従って、本発明に従って作製されたウェブセンタリングシステムは、安価で簡単に製造される効率的なアセンブリを提供し、これは、無菌成形−充填−密封包装機に付随した欠点をなくす。
【0026】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面と共に、以下の本明細書から明らかとなる。
【0027】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、多くの異なる様式の実施形態の影響を受けるものの、本発明の開示が本発明の原理の1つの例示と見なされるべきであり本発明の広範な局面を例示の実施形態に限定するようには解釈されないことを理解して、本発明の好ましい実施形態が図面で示され本明細書中で詳細に記述されている。
【0028】
さて、図面(特に、図1および2)を詳細に参照すると、図1では、無菌成形−充填−密封包装機10が示されており、図8では、ウェブセンタリングおよび成形工程の概略が示されており、そして図2では、この無菌成形−充填−密封包装機用のウェブトラッキングアセンブリ12が示されている。無菌成形−充填−密封包装機10は、一般に、巻き戻しセクション14、フィルム滅菌セクション16、フィルム乾燥セクション(17)、アイドラーローラー/ダンサーローラーセクション18、ニップトドライブローラーアセンブリセクション(図示せず)、フィットメント装着アセンブリセクション(20)、成形アセンブリセクション24、フィンシールアセンブリセクション(25)、充填アセンブリセクション(26)、末端密封/切断アセンブリセクション30、および送達セクション(図示せず)を含む。巻き戻しセクション14から下流にあるアセンブリの各々は、成形−充填−密封包装機10の内部無菌環境内に収容されている。
【0029】
成形−充填−密封包装機10の種々のアセンブリの機能は、以下のようである:成形アセンブリ24は、最終的に可撓性容器またはバッグ28となる材料ウェブからチューブを形成するために、設けられている;フィンシールアセンブリ25は、この可撓性容器上で、長手シールを提供し、それにより、形成したチューブを長手方向で密封する;充填アセンブリ26は、これらの可撓性容器を物質で満たす充填材を含み、それは、本発明の好ましい適用では、液状医薬品である;そして末端密封/切断アセンブリ30は、切断密封ヘッドを含み、これは、これらの可撓性容器の末端を密封して、充填した材料を可撓性容器内に封入する。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、ウェブトラッキングまたはセンタリング装置12は、支持体アセンブリ34、トラッキングアセンブリ26および整列機構38を含む。ウェブトラッキング装置12は、無菌包装機10の既存の内部無菌領域内で組み立てられ運転可能であるように、設けられている。好ましい実施形態では、ウェブトラッキング装置12は、フィルムのウェブが成形具に入るにつれて最も効果的に追跡するために、成形アセンブリ24のすぐ上流にて、この無菌領域に位置している。
【0031】
図2〜4を参照すると、本発明の支持アセンブリ34は、支持部材40を含み、これは、成形−充填−密封包装機10の内部無菌領域内で一体的に固定されている。好ましい実施形態では、支持部材40は、「V」形のステンレス鋼プレートであり、そしてステンレス鋼ネジで、一対の側面部材42に装着されている。支持部材40にさらなる剛性を追加するために、支持部材40および側面部材の各々の両方には、それぞれ、ガセット部材44が確保されている。側面部材42は、2本の既存の支持シャフト46、48(これは、包装機フレーム50の内壁間に架かっている)を用いて、包装機10のフレーム50に一体的に確保されている。下部支持シャフト46はまた、このフィルムがトラッキングアセンブリ12に入るにつれて、そのフィルム用のアイドラーローラー52として作動する。
【0032】
図4で最もよく示されているように、支持部材40は、そこから垂れ下がっている係合レセプタクル54を有する。好ましい実施形態では、レセプタクル54は、内部空洞55を有する管状部材であり、これは、支持部材40に溶接されている。空洞55は、円筒形であり、それゆえ、それに関連した内径を有する。本明細書中でさらに詳細に記述するように、係合レセプタクル54は、トラッキングアセンブリ36の部材と噛み合うように作動する。
【0033】
さて、図2〜4を参照すると、ウェブセンタリング装置10のトラッキングアセンブリ36は、支持部材40に回転的に取り付けられ、一般に、係合部材56、およびローラー部材58(これは、係合部材56から垂れ下がっている)を含む。係合部材56は、一般に、ステンレス鋼プレートである。好ましい実施形態では、係合部材56は、「X」形状で、4本のアーム60a〜60dを有する(図3を参照)。係合部材56の好ましい実施形態はまた、係合部材56の本体を通って、2個のアパーチャ62を有する。アーム60a〜60dおよびアパーチャ62により、この包装機の内部無菌領域に対する過酸化水素噴霧滅菌工程中にて、トラッキングアセンブリ36の周りで、表面積を低下させ空気流れを高めることが可能となる。このような空気流れ性能に対する許容度なしでは、汚染物質が、滅菌後に、この無菌領域に残留し得るか、または過酸化水素残遺物を適時に完全に洗浄することが不可能になり得るかのいずれかである。
【0034】
図面で示した好ましい実施形態では、第一および第二ローラー部材58a、58bが利用されている。ローラー部材58は、この材料ウェブと接触するように適合され、また、接触部材58として確認されている。好ましい実施形態では、ローラー部材58は、シャフト64の周りで回転するが、ローラー部材58は、静止部材であり得、実際には、円形断面を有している必要はないことが分かる。1片の平坦ストックまたは任意の他の形状の部材(これは、この材料ウェブと接触できる)は、本発明のローラー部材58の意味に入ることが分かる。第一ローラー部材58aは、係合部材56の第一端に隣接して、係合部材56に接続され、そして第二ローラー部材58bは、係合部材56の第二端に隣接して、係合部材56に接続されている。係合部材56の第一端は、係合部材56の下流末端に位置しているのに対して、係合部材56の第二端は、係合部材56の上流末端に位置している。各ローラー部材58a、58bは、シャフト64およびローラー66を含む。ローラー66は、プラスチックブッシングを使用することにより、シャフト64の周りで回転できる。これらのプラスチックブッシングは、潤滑されず、毎日の滅菌工程中にて、過酸化水素の腐食成分に耐えることができる。それに加えて、これらのプラスチックブッシングは、洗浄のためにこれらの領域の全てに過酸化水素噴霧が入ることができるように、開いている。シャフト64は、シャフト64の各末端で、止めネジを使って、ローラー支持体68に確保されている。さらに、ローラー支持体68は、それぞれ、係合部材56の各アーム60a〜60dのほぼ末端で、係合部材56から垂れ下がってそれに確保されている(図3を参照)。それゆえ、ローラー支持体68は、ローラー部材58a、58bを係合部材56に確保する。2個のローラー部材58を使用すると、このウェブのトラッキング性能が向上するのに対して、1個のローラー部材58が足り得ることが分かっている。係合部材56が係合レセプタクル54内で回転するとき、本発明の両方のローラー部材58a、58bは、係合部材56と同時に旋回または回転する。それゆえ、このフィルムを追跡するのに、第一上流ローラーおよび第二下流ローラーの両方が利用される。
【0035】
図3を参照すると、ウェブセンタリング装置12は、フィルム材料のウェブが成形−充填−密封包装機10を通るにつれて、それと一線に位置している。さらに、このウェブセンタリング装置は、実質的に、この包装機の中心線の周りで旋回し、この包装機の中心線は、ほぼ、その成形具に給送されるフィルム材料のウェブの中心線となる。
【0036】
図4で最もよく示されているように、係合部材56は、係合部材56の底部から垂れ下がっているシャフト部材70を有する。シャフト部材70は、第一回転部材70として作動する。好ましい実施形態では、シャフト部材70は、ステンレス鋼円形ストックから作製された円筒形部材であり、これは、係合部材56に溶接されている。さらに、好ましい実施形態では、係合部材56からは、突出部72が伸長している。突出部72は、係合部材56の略平坦底面から一定距離で、係合部材56の底面を上向きに伸長する。図4は、突出部72がさらに係合部材56内で空洞を作り出すことを図示している。好ましい実施形態の突出部72は、係合部材56の平面に溶接された円筒形部材72を利用して、製造される。円筒形部材72は、内径を有する。この実施形態では、シャフト部材70は、突出部72の底部から垂れ下がっており、突出部72の空洞内で部分的に伸長する。シャフト部材70と突出部72の内壁との間では、円筒形間隙74が伸長している。
【0037】
上で説明したように、好ましい実施形態では、シャフト部材70は、係合部材56から垂れ下がっており、そして係合レセプタクル54は、支持部材40から垂れ下がっている。しかしながら、逆に、シャフト部材70は、支持部材40から垂れ下がり得、そして係合レセプタクル54は、係合部材56から垂れ下がり得る。従って、支持部材40またはトラッキングアセンブリ36のいずれか一方は、それから垂れ下がっているシャフト部材70を有し、そして支持部材40またはトラッキングアセンブリ36のいずれかの他方は、シャフト部材70に対して係合レセプタクル54を有する。
【0038】
シャフト部材70および係合レセプタクル54の各々に対する特定の垂れ下がり部材とは無関係に、本発明のウェブトラッキング装置12を形成するには、トラッキングアセンブリ36は、係合レセプタクル54に設置されているシャフト部材70を経由して、支持アセンブリ34に取り付けられ、シャフト部材70は、レセプタクル54内を旋回できる。トラッキングアセンブリ36および支持アセンブリ34の係合面間のこのような係合により、トラッキングアセンブリ36が支持アセンブリ34の周りで回転または旋回する性能が得られる。最初は、トラッキングアセンブリ36は、支持アセンブリ34に対して角度(α)で位置付けられる。トラッキングアセンブリ36が支持アセンブリ34の周りで旋回または回転されるとき、トラッキングアセンブリ36の角度(α)は、変えられる。トラッキングアセンブリ36の角度(α)が変化すると、トラッキングアセンブリ36の角変位が生じ、それにより、この材料ウェブと接触するローラー部材58の角度を調整し、最終的に、成形具アセンブリ24に入る材料のウェブの流路を調整して、このフィルムが成形具アセンブリ24に入るにつれてセンタリングできるようになる。本明細書中でさらに説明するように、整列機構38は、支持部材40とトラッキングアセンブリ36との間の回転角度(α)を制御する。
【0039】
支持部材34の係合レセプタクル54にシャフト部材70を設置する際に、シャフト部材70と係合レセプタクル54の内壁との間には、軸受け面として作動しているプラスチックブッシング76が配置される。ブッシング76はまた、係合部材56の突出部72の空洞の内壁と、レセプタクル54の管状部材の上面との間で、それらの表面を正しく設置し位置付けるためのフランジを有する。このトラッキングアセンブリは、僅かに移動するにすぎないので、ブッシングは、重要ではなく、この係合レセプタクルおよびシャフト部材の表面は、軸受け面として作動するように、製造され得る。
【0040】
係合レセプタクル54には、また、その外径に、溝部78が機械切削されている。溝部78には、第一ガスケット部材80が設置されている。好ましい実施形態では、第一ガスケット80は、シリコンゴムOリングである。係合部材56が係合レセプタクル54と係合するとき、第一ガスケット80は、係合部材56と支持部材40との間で伸長している。具体的には、係合レセプタクル54の溝部78にあるOリング80は、突出部72の空洞の内壁と係合して、レセプタクル54の第一端を密封する。それゆえ、そのレセプタクルの第一端と隣接している旋回シャフト70とレセプタクル54との間の係合面の噛み合い領域の一部は、成形−充填−密封包装機10の内部無菌環境から密封される。
【0041】
係合レセプタクル54の開口部にシャフト70を設置した後、シャフト70がレセプタクル54から解除されるのを防止するために、保持具82がシャフト70に確保される。好ましい実施形態では、保持具82は、保持リングである。保持具82は、トラッキングアセンブリ36に支持アセンブリ34を垂直に固定するが、保持具82は、これらの2個のアセンブリ間での旋回または回転位置ずれを防止しない。
【0042】
一旦、トラッキングアセンブリ36が保持リング82で支持アセンブリ34に回転的に固定されると、レセプタクル54の第二端を密封するのに、カバー84および第二ガスケット部材86が使用される。具体的には、好ましい実施形態では、第二ガスケット86(これは、好ましくは、シリコンゴムから作製される)は、支持部材40の底面とカバー84との間に嵌め込まれて、成形−充填−密封包装機10の内部無菌環境から、旋回シャフト70とレセプタクル54の第二端との間の旋回係合面の噛み合い領域を密封する。この旋回シャフトと噛み合いレセプタクルとの間の空洞領域の第一および第二端を密封すると、この包装機の無菌環境から別にその中で、この旋回係合面に対する密封領域が作り出される。この包装機の無菌環境を維持するために、この旋回シャフトと係合レセプタクルとの間の旋回係合軸受け面は、その密封領域内に位置しなければならない。
【0043】
図2、3、5および6で示すように、本発明のウェブトラッキング装置12は、整列機構38をさらに含み、これは、成形−充填−密封包装機10の無菌領域内に収容されている。この整列機構は、トラッキングアセンブリ36に接続され、そして支持アセンブリ34の周りでのトラッキングアセンブリ36の旋回回転を引き起こし制御するのに利用される。整列機構38は、第一整列または調整部材88、噛み合い第二整列または調整部材90、および第一整列部材を操縦する手段92を含む。整列機構38は、さらに、オペレーターシャフト94を含み、これは、第一調整部材88に接続されている。図2および6で示すように、好ましい実施形態では、オペレーターシャフト94の長さのために、それは、連結部96により接続された2個の断片から形成される。オペレーターシャフト94は、シャフトガイド98およびシャフトカラー100を用いて、所定位置で固定され、それゆえ、回転移動できるにすぎない。シャフトガイド98は、オペレーターシャフト94の横断運動を防止するように作動するのに対して、シャフトカラー100は、オペレーターシャフト94の側方運動を防止する。オペレーターシャフト94の回転運動は、第一調整部材88の回転運動を制御する。
【0044】
好ましい実施形態では、第一整列部材88は、第一ギア部材を含み、これは、オペレーターシャフト94の遠位末端に隣接して接続されている。第一ギア部材は、好ましくは、一条の16ピッチのステンレス鋼の精密なウォーム歯車であり、これは、0.1963インチのリード、5°43’のリード角および14・1/2°の圧力角を有する。第二整列部材90は、第二ギア部材を含み、これは、ウォーム歯車88と噛み合う。第二ギア部材は、噛み合い平歯車から構成され、これは、その周囲に180個の歯を有するが、しかしながら、好ましい実施形態で使用される平歯車は、確認ギアの部分平歯車であり、180個の歯のうちの約18個を有するにすぎない。部分平歯車90は、ブラケット96に固定され、これは、トラッキングアセンブリ36の係合部材56に接続されている。第一ギア部材88は、オペレーターシャフト94の回転により、操縦される。さらに、ウォーム歯車88は、平歯車90を駆動して、旋回シャフト70による支持アセンブリ34の周りでのトラッキングアセンブリ36の回転を引き起こす。平歯車を操縦するのにウォーム歯車を使用すると、トラッキングアセンブリ36を精密な増分で調整する際の制御および精度が高くなる。この理由は、そのウォーム歯車と平歯車との間の比が少なくとも100:1、好ましい実施形態では、約180:1であるからである。しかしながら、100:1未満の比であっても、本発明の目的を損なわない。さらに、このウォーム歯車を平歯車と併用すると、正のロッキング機構が得られ、これは、このフィルムによりローラー部材に加わる任意の力に耐える。従って、このフィルムは、このトラッキングアセンブリの移動を引き起こさない。
【0045】
整列機構38は、さらに、第一クラッチ部材102を有し、これは、オペレーターシャフト94の近位末端に隣接しウォーム歯車88の反対側に、接続されている。第一クラッチ部材102は、協同して、整列機構38を制御装置104(これは、この成形−充填−密封包装機の無菌領域の外側に位置している)に取り外し可能に確保する。第一クラッチ部材102は、複数のフィンガー106を有し、これらにより、それを制御装置104に係合できるようになる。好ましい実施形態では、整列機構38は、この無菌環境内で維持され、そして制御装置104(これは、この無菌環境の外側に位置している)の一部から密封されている。
【0046】
図6で示すように、制御装置104は、ノブ108、シャフト110、第一制御装置ガスケット112、第二制御装置ガスケット114、ブッシング116、第二クラッチ部材118およびピン120を有する。制御装置104のアセンブリでは、ブッシング116は、中空円筒部分およびフランジ部分を有する。この中空円筒部分は、包装機10のフレームにあるアパーチャを通って嵌められ、そのフランジ部分は、この包装機のフレームの外側に凭れて位置しており、第一制御装置ガスケット112は、ブッシング116と包装機10との間に位置している。この包装機のフレームは、無菌環境を非無菌環境から隔てる。制御装置シャフト110は、ブッシング116の中空円筒部分内に嵌められる。次に、ノブ108は、シャフト110の一端に係合して嵌められ、そして止めネジ124でシャフト110に固定される。ノブ108の外部はまた、密封様式で、第一制御装置ガスケット112を係合する。
【0047】
シャフト110とブッシング116の円筒部分とは、包装機10の無菌環境の内側で伸長する。第一制御装置ガスケット112と共に、第二制御装置ガスケット114は、外部汚染物質が内部無菌環境に入るのを防止する。具体的には、第二制御装置ガスケット114は、好ましくは、シリコンOリングであり、これは、ブッシング116の中空部分の内径とブッシング116内の制御装置シャフト110との間に位置している。制御装置シャフト110の第二末端の一部は、ブッシング116の外部限界を超えて伸長し、そして止めネジで、第二クラッチ部材118に接続される。第二クラッチ部材118は、ピン120を有し、これは、第一クラッチ部材102と係合してオペレーターシャフト94を回転させるように、適合されている。制御装置アセンブリ104は、この整列機構に取り外し可能に接続されており、オペレーターは、このオペレーターシャフトを回転して、このトラッキングアセンブリの回転を引き起こすことが可能となる。
【0048】
ウェブトラッキングアセンブリ12を有する成形−充填−密封包装機10により製造された容器28は、図7で示されている。容器28は、この包装機で形成された高分子フィルム材料のウェブから作製される。容器28は、空洞126を有し、これは、第一壁128、対向第二壁130、およびシール132、134、136(これは、第一および第二壁128、130の周囲にある)により、囲まれている。容器28の頂部にある長手シール132は、容器28の底部にある折り畳み領域138と対向している。接合シール132、134、136および折り目138は、容器28の空洞126内で、液密チャンバを作り出す。本明細書中で後に説明するように、容器28の液密チャンバ126内には、一定量の医薬品が格納される。ウェブトラッキングアセンブリ12を用いると、第一壁128および第二壁130の周縁部は、実質的に、互いに隣接して位置しており、長手シール132を形成する。
【0049】
容器28はまた、フィットメント140を有する。フィットメント140は、折り畳み領域138で、容器28に接続され、そして通路を有し、これは、容器28の液密チャンバ126と協同する。
【0050】
図8で示すように、ウェブセンタリング装置12を有する成形−充填−密封包装機10の無菌環境で容器28を作製する方法の概略が図示されている。その全体的な方法は、巻き戻しセクション14に材料ウェブを供給する工程、およびその材料を、無菌包装機10にある一連のサブアセンブリに通して、仕上げ容器12(これには、医薬品が満たされる)を形成する工程を包含する。包装機10の種々のサブアセンブリは、フィルム滅菌セクション16、フィルム乾燥セクション17、ダンサーローラーセクション18、ドライブローラーセクション、ウェブセンタリングセクション12、成形セクション24、フィンシールセクション25、フィットメント装着セクション20、充填セクション26、末端封着セクション30および送達セクションを含む。これらのサブアセンブリは、本明細書中で詳細に開示されている。
【0051】
使用前、この包装機の内部無菌領域は、毎日、滅菌しなければならない。これは、この包装機の無菌領域に過酸化水素噴霧を通して、達成される。この滅菌工程があるために、また、無菌環境を維持する必要があることから、本発明は、特にその可動部のための領域を密封することを含めて、必要とされている。
【0052】
現在、この無菌成形−充填−密封包装機にて、3つの異なる大きさの可撓性容器28が充填できる:50ml、100mlおよび200ml。しかしながら、本発明のトラッキングアセンブリは、それより大きいまたは小さい大きさのバックに利用できる。
【0053】
特定の実施形態が図示され説明されており、本発明の精神から著しく逸脱することなく、多数の改良が思い浮かぶものの、その保護範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ、限定される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明を理解するために、本発明は、添付の図面を参照して、一例として、記述されている。
【図1】図1は、本発明のウェブセンタリング装置を有する成形−充填−密封包装機の透視図である。
【図2】図2は、本発明のウェブセンタリング装置の透視図である。
【図3】図3は、図1のウェブセンタリング装置の上部平面図である。
【図4】図4は、図3の線A−Aに沿って取り出した断面側立図である。
【図5】図5は、図3の線B−Bに沿って取り出した正面図である。
【図6】図6は、本発明のウェブセンタリング装置の整列機構の部分側面図である。
【図7】図7は、本発明のウェブセンタリング装置を有する成形−充填−密封包装機で製造された容器の正面図である。
【図8】図8は、成形−充填−密封包装機で材料ウェブをセンタリングする方法の概略図である。
【符号の説明】
【0055】
12 インラインウェブセンタリング装置
36 トラッキングアセンブリ
38 整列機構
40 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形−充填−密封包装機で材料ウェブをセンタリングするインラインウェブセンタリング装置であって、該装置は、以下:
支持部材であって、該成形−充填−密封包装機の内部無菌環境にて、該包装機に固定されている、支持部材;および
トラッキングアセンブリであって、該トラッキングアセンブリは、該成形−充填−密封包装機の該無菌環境にて、該支持部材に取り付けられ、該トラッキングアセンブリは、係合部材および接触部材を有し、該接触部材は、該係合部材に接続され、該接触部材は、該材料ウェブと接触するように適合され、ここで、該トラッキングアセンブリは、該支持部材の周りで旋回し、ここで、該トラッキングアセンブリは、該支持部材に対して一定角度で位置付けられ、ここで、該トラッキングアセンブリの該角度は、該トラッキングアセンブリが該支持部材の周りで旋回するとき、変えられ、該トラッキングアセンブリの該角度の該変化は、該材料ウェブの流路を調整する、トラッキングアセンブリ、
を備える、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−91475(P2007−91475A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314814(P2006−314814)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【分割の表示】特願2002−585318(P2002−585318)の分割
【原出願日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】