説明

ウォッシャーノズルの配設構造

【課題】リヤウィンドパネルの広い範囲に効率良くウォッシャー液を吹き付けることができるウォッシャーノズルの配設構造を提供する。
【解決手段】車両後部のリヤウィンドパネル13の上端部13aから車両後方に向けてリヤスポイラー15を延設し、該リヤスポイラー15にウォッシャーノズル39を配設したウォッシャーノズルの配設構造であって、前記ウォッシャーノズル39は、前記リヤウィンドパネル13から車両後方側に所定間隔をおいて、前記リヤウィンドパネル13に対向して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォッシャーノズルの配設構造に関し、更に詳しくは、リヤスポイラーに配設したウォッシャーノズルの配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バックドアの上端部にリヤスポイラーを配設し、該リヤスポイラーにウォッシャーノズルを設けた車両が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1においては、車両後方に突出するリヤスポイラーの下面の根本部にウォッシャーノズルが配設され、該ウォッシャーノズルからリヤウィンドパネルに向けてウォッシャー液を噴射するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−96074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来のウォッシャーノズルの配設構造では、ウォッシャーノズルとリヤウィンドパネルとの前後距離が小さいため、ウォッシャー液をリヤウィンドパネルの広い範囲に吹きかけることが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、リヤウィンドパネルの広い範囲に効率良くウォッシャー液を吹き付けることができるウォッシャーノズルの配設構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るウォッシャーノズルの配設構造は、車両後部のリヤウィンドパネルの上端部から車両後方に向けて延設したリヤスポイラーの下面にウォッシャーノズルを配設したウォッシャーノズルの配設構造であって、前記リヤウィンドパネルから車両後方側に所定間隔をおいた位置に、ウォッシャーノズルを前記リヤウィンドパネルに対向して配置している。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るウォッシャーノズルの配設構造によれば、前記リヤウィンドパネルから車両後方側に所定間隔をおいて、ウォッシャーノズルを前記リヤウィンドパネルに対向して配置しているため、ウォッシャー液をリヤウィンドパネルの広い範囲に効率よく吹き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態によるウォッシャーノズルの取付構造を採用した車両の後端部を後方側から見た斜視図である。
【図2】図1のバックドアを後方側から見た背面図である。
【図3】図2のリヤスポイラー近傍を斜め下方から見た拡大斜視図である。
【図4】図3のA−A線による拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
図1は本発明の実施形態によるウォッシャーノズルの配設構造を採用した車両の後部を後方側から見た斜視図、図2は図1のバックドアを後方側から見た背面図、図3は図2のリヤスポイラー近傍を斜め下方から見た拡大斜視図、および図4は図3のA−A線による拡大断面図である。
【0012】
図1に示すように、この車両1においては、車体の上端部に車両前後方向に沿ってルーフ3が延設され、車体側部の後端には、リヤフェンダー部5が配設されている。また、車体後端の下部には、車幅方向に沿ってリヤバンパー7が配設されており、これらのルーフ3の後端、リヤフェンダー部5の後端およびリヤバンパー7によって開口部が画成され、該開口部を、バックドア9を介して開閉可能に閉塞させている。このバックドア9は、上端部が図外のヒンジを介して車体に回動可能に支持され、上端部を回動中心の軸として上下方向に開閉可能に構成されている。そして、前記バックドア9の上下方向中央部には、ワイパー11が取り付けられており、バックドア9のリヤウィンドパネル13の表面に付着した水滴等を前記ワイパー11によって拭き取ることができる。そして、バックドア9の上端部には、ハイマウントストップランプ17が設けられたリヤスポイラー15が車両後方に向けて延設されている。
【0013】
図2に示すように、バックドア9は、下側に配置したドアパネル本体19と、該ドアパネル本体19の上側に配置したリヤウィンドパネル13とから構成されている。リヤウィンドパネル13の車幅方向中央部における下端部には、ワイパー11が軸支されている。このワイパー11は、回動軸21を中心に回動可能に軸支されており、その拭取範囲は図2の一点鎖線で示す半円部位Wとなっている。
【0014】
また、リヤスポイラー15は、バックドア9の全幅に亘ってリヤウィンドパネル13の上端部を覆うように配設されている。このリヤスポイラー15における車幅方向中央部の後端部には、ハイマウントストップランプ17が嵌め込まれ、該ハイマウントストップランプ17の前方側には、リヤウィンドパネル13との間に隙間が設けられる切欠部23が形成されている。
【0015】
即ち、図3,4に示すように、前記切欠部23は、リヤスポイラー15における車幅方向中央部の前側に設けられ、切欠部23の下面25における車幅方向中央部から車両左側に寄った部位には、上方に向けて凹む凹部27が形成されている。この凹部27は、切欠部23の下面25の後端部から上方に立ち上がる後側縦壁面31と、該後側縦壁面31の上端から前方斜め上方に傾斜して延びる上底壁面33と、該上底壁面33の上端から前方斜め下方に屈曲して延びる前側縦壁面35とから断面略コ字状に一体に形成されている。
【0016】
また、図2に示すように、ウォッシャーノズル39は、ワイパー11の回動軸21に対して車幅方向左側に距離Dだけオフセットして配置されている。
【0017】
図4に示すように、リヤスポイラー15は、ルーフ3と面一状態で車両後方に延びる上面41と、該上面41の下方に配置されて車両後方に延びる下面25と、これらの上面41および下面25の後端に形成された開口部に嵌合されたハイマウントストップランプ17とから構成され、支持パネル43の後端部から車両後方に向けて延設されている。
【0018】
このハイマウントストップランプ17の内部には、光源45が収納配置されており、ブレーキを作動させたときに前記光源45から光を発するように構成されている。また、リヤスポイラー15の上面41における前端部には、下方に屈曲する段差部47が形成されており、該段差部47にルーフ3の後端部が配置されている。
【0019】
ウォッシャーノズル39は、前記凹部27内に収納配置されており、前記リヤウィンドパネル13の上端部13aから車両後方側に所定間隔をおいた位置にリヤウィンドパネル13に対向して配置されている。また、ウォッシャーノズル39の噴射口49は、リヤウィンドパネル13の上端部13aに向けて配置されている。これらのリヤウィンドパネル13の上端部13aとウォッシャーノズル39との離間距離、即ち、リヤウィンドパネル13の上端部13aから該上端部13aに直交する方向に沿ったウォッシャーノズル39までの離間距離は、前記ワイパー11の先端部11aの厚さよりも大きく設定されている。これによって、ワイパー11が回動したときにリヤスポイラー15の切欠部23内にワイパー11の先端部11aが支障なく挿入することができる(図3参照)。なお、リヤウィンドパネル13の上端部13aは、支持パネル43のフランジ部43aに支持体51を介して支持されている。
【0020】
以下に、本発明の実施形態による作用効果を説明する。
【0021】
(1)本発明の実施形態においては、車両後部のリヤウィンドパネル13の上端部13aから車両後方に向けてリヤスポイラー15を延設し、該リヤスポイラー15にウォッシャーノズル39を配設したウォッシャーノズルの配設構造であって、前記ウォッシャーノズル39は、前記リヤウィンドパネル13から車両後方側に所定間隔をおいて、前記リヤウィンドパネル13に対向配置されている。このため、ウォッシャー液をリヤウィンドパネル13の広い範囲に効率良く吹き付けることができる。また、ウォッシャーノズル39をリヤスポイラー15に組み付けているため、ウォッシャーノズル39を取り付ける別途の部品等が必要なく、部品点数の低減を図ることができる。
【0022】
(2)前記リヤスポイラー15の下面25に、上方に向けて凹む凹部27を形成し、この凹部27内に、前記ウォッシャーノズル39を収納させている。従って、ウォッシャーノズル39が車両の走行に伴う走行風の影響を受けることがないため、走行音の低減を図ることができる。また、ウォッシャーノズル39を凹部27の内部に収納させているため、外観上の見栄えが向上する。
【0023】
(3)前記ウォッシャーノズル39を、リヤウィンドパネル13上を回動するワイパー11の回動軸21に対して、車幅方向の左側にオフセットさせて配置している。従って、ウォッシャーノズル39の噴射口49からウォッシャー液がリヤウィンドパネル13上を伝って下方に滴下した場合に、ウォッシャー液が回動軸21にかかることがなく、確実にワイパー11で拭き取ることができる。
【0024】
(4)前記ウォッシャーノズル39とリヤウィンドパネル13との離間距離を、リヤウィンドパネル13上を回動するワイパー11の厚さよりも大きい寸法に設定している。従って、図2および図3に示すように、ワイパー11の先端部11aがウォッシャーノズル39とリヤウィンドパネル13との隙間に挿入できるため、ワイパー11による拭き取り範囲を拡大することができる。
【符号の説明】
【0025】
1…車両
11…ワイパー
13…リヤウィンドパネル
13a…上端部
15…リヤスポイラー
25…下面
27…凹部
39…ウォッシャーノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部のリヤウィンドパネルの上部から車両後方に向けてリヤスポイラーを延設し、該リヤスポイラーにウォッシャーノズルを配設したウォッシャーノズルの配設構造であって、
前記ウォッシャーノズルは、前記リヤウィンドパネルから車両後方側に所定間隔をおいて、前記リヤウィンドパネルに対向して配置されたことを特徴とするウォッシャーノズルの配設構造。
【請求項2】
前記リヤスポイラーの下面に、上方に向けて凹む凹部を形成し、この凹部内に、前記ウォッシャーノズルを収納配置させたことを特徴とする請求項1に記載のウォッシャーノズルの配設構造。
【請求項3】
前記ウォッシャーノズルを、リヤウィンドパネル上を回動するワイパーの回動軸に対して、車幅方向にオフセットさせて配置したことを特徴とする請求項1または2に記載のウォッシャーノズルの配設構造。
【請求項4】
前記ウォッシャーノズルとリヤウィンドパネルとの離間距離を、リヤウィンドパネル上を回動するワイパーの厚さよりも大きい寸法に設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のウォッシャーノズルの配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−184592(P2010−184592A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29876(P2009−29876)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】