説明

ウォーターポンプの故障診断装置

【課題】電磁クラッチにより可変制御可能なウォーターポンプの正確な故障診断を行うこと。
【解決手段】エンジンの回転に伴って回転するプーリ14と、通電により磁力を発生させる電磁コイル24と、電磁コイル24が発生させる磁力に抗する磁力を発生させる永久磁石22と、インペラ18と共に回転し電磁コイル24が発生させる磁力に応じてプーリ14との係合状態が変化するアーマチャ20と、を有する可変制御可能なウォーターポンプの故障診断装置であって、電磁コイル24への通電を停止したときに、電磁コイル24に誘導電流が発生しない場合に、ウォーターポンプ10の故障と判定する故障判定手段70とを、有するウォーターポンプの故障診断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターポンプの故障診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却水を用いたエンジンの冷却は、冷却水をウォーターポンプにより循環させる。ウォーターポンプは、ベルト等を介して伝達されるエンジンの回転により駆動されるのが一般的である。従来、ウォーターポンプへのエンジンの回転の伝達・遮断を、電磁クラッチを用いて制御することで、ウォーターポンプを可変制御可能とする方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、このような電磁クラッチが故障しているか否かの診断方法として、電磁クラッチに備わる電磁コイルを流れる電流の大きさに基づいて、電磁クラッチの故障を診断する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−293430号公報
【特許文献2】特開平3−325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁クラッチに用いられる電磁コイルは使用環境等により劣化を起こす場合がある。また、電磁コイルが接続する電気回路に漏電が生じる場合もあり得る。このため、特許文献2のように、電磁コイルに流れる電流値に基づいて、電磁クラッチの故障を診断する方法では、例えば、電磁コイルに劣化が生じている場合に、クラッチに十分な係合力が働いているか否かの把握が難しく、電磁クラッチの故障を精度よく診断できない。
【0006】
また、温度環境の変化等によっても電磁コイルの消費電力は異なるため、特に、エンジン暖機中にウォーターポンプを可変にする構造では、電磁クラッチの故障を誤診断してしまう場合がある。
【0007】
また、クラッチの動きを直接位置センサにより計測することで、電磁クラッチの動作を確認し、電磁クラッチの故障を診断する方法も考えられるが、この場合は、クラッチの係合力とクラッチの位置との相関関係が低いという課題がある。
【0008】
したがって、上述した方法では、電磁クラッチを備えたウォーターポンプの故障を正確に診断することは難しい。
【0009】
本発明は、電磁クラッチにより可変制御可能なウォーターポンプの正確な故障診断を行うことを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、エンジンの回転に伴って回転する回転部材と、通電により磁力を発生させる電磁コイルと、前記電磁コイルへの通電を制御する電流制御手段と、前記電磁コイルが発生させる磁力に抗する磁力を発生させる第1永久磁石と、インペラと共に回転し前記電磁コイルが発生させる磁力に応じて前記回転部材との係合状態が変化するアーマチャと、を有する可変制御可能なウォーターポンプの故障診断装置であって、前記電流制御手段により前記電磁コイルへの通電を停止したときに、前記電磁コイルに誘導電流が発生しない場合に、前記ウォーターポンプの故障と判定する故障判定手段と、を有することを特徴とするウォーターポンプの故障診断装置によって達成される。
【0011】
これによれば、永久磁石と電磁コイルとを含む磁気回路の磁力に基づいてウォーターポンプの故障判定を行うため、ウォーターポンプの故障を正確に判定することが可能となる。
【0012】
上記構成において、前記アーマチャには、第2永久磁石が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、回転部材とアーマチャとの間の滑りも把握できるため、ウォーターポンプの故障判定をより正確に行うことができる。
【0013】
上記目的は、エンジンの回転に伴って回転する回転部材と、通電により磁力を発生させる電磁コイルと、前記電磁コイルへの通電を制御する電流制御手段と、インペラと共に回転し前記電磁コイルが発生させる磁力に応じて前記回転部材との係合状態が変化するアーマチャと、を有する可変制御可能なウォーターポンプの故障診断装置であって、前記電磁コイルを含む磁気回路の磁力の大きさを計測する磁力計測手段と、前記電流制御手段により前記電磁コイルの通電状態を変化させたときの前記磁力計測手段で計測された計測値の変化に基づいて、前記ウォーターポンプの故障を判定する故障判定手段と、を有することを特徴とするウォーターポンプの故障診断装置によって達成される。
【0014】
これによれば、電磁コイルを含む磁気回路の磁力に基づいてウォーターポンプの故障判定を行うため、ウォーターポンプの故障を正確に判定することが可能となる。
【0015】
上記構成において、前記電磁コイルが発生させる磁力に抗する磁力を発生させ、前記アーマチャを前記プーリ側に引き寄せる第3永久磁石を更に有し、前記磁力計測手段は、前記電磁コイルと前記第3永久磁石とを含んだ磁気回路の磁力の大きさを計測し、前記故障判定手段は、前記磁力計測手段で計測された計測値が、前記電磁コイルへの通電を停止したときに上昇しない場合又は前記電磁コイルへ通電したときに上昇する場合に、前記ウォーターポンプが故障していると判定する構成とすることができる。この構成によれば、永久磁石と電磁コイルとを含む磁気回路の磁力に基づいてウォーターポンプの故障判定を行うため、ウォーターポンプの故障を正確に判定することが可能となる。
【0016】
上記構成において、前記磁力計測手段は、前記電磁コイルと前記第3永久磁石とを含んだ磁気回路の磁力の方向を計測し、前記故障判定手段は、前記磁力計測手段で計測された磁力の方向に基づいて、前記第3永久磁石の劣化の判定を行う構成とすることができる。この構成によれば、第3永久磁石の劣化についても判定することができる。
【0017】
上記構成において、前記磁力計測手段は、前記電磁コイルに通電させた場合と前記電磁コイルへの通電を停止させた場合とのそれぞれにおいて、前記磁気回路の磁力の大きさを計測し、前記故障判定手段は、前記電磁コイルに通電させた場合と前記電磁コイルへの通電を停止させた場合とのそれぞれの場合で、前記磁力計測手段で計測された計測値を所定の値と比較することで、前記電磁コイル又は前記第3永久磁石の劣化の判定を行う構成とすることができる。この構成によれば、電磁コイルと第3永久磁石とのいずれに劣化があるかの切り分けを行うことができる。
【0018】
上記構成において、前記アーマチャは、磁石である構成とすることができる。この構成によれば、磁気回路の磁力の大きさが増すため、ウォーターポンプの故障の判定を容易に行うことが可能となる。
【0019】
上記目的は、エンジンの回転に伴って回転する回転部材と、通電により磁力を発生させる電磁コイルと、前記電磁コイルへの通電を制御する電流制御手段と、インペラと共に回転し前記電磁コイルが発生させる磁力に応じて前記回転部材との係合状態が変化するアーマチャと、を有する可変制御可能なウォーターポンプの故障診断装置であって、前記電流制御手段により前記電磁コイルへの通電状態を変化させたときに、前記電磁コイルに発生する誘導電流に基づいて、前記ウォーターポンプの故障を判定する故障判定手段と、を有することを特徴とするウォーターポンプの故障診断装置によって達成される。
【0020】
これによれば、電磁コイルを含む磁気回路の磁力に基づいてウォーターポンプの故障判定を行うため、ウォーターポンプの故障を正確に判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、磁気回路の磁力に基づいてウォーターポンプの故障判定を行うため、ウォーターポンプの故障を正確に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は実施例1に係るウォーターポンプの故障診断装置が接続するウォーターポンプを示す模式図である。
【図2】図2(a)はアーマチャとプーリとを係合させる場合を説明する図であり、図2(b)はアーマチャとプーリとを開放させる場合を説明する図である。
【図3】図3は実施例1に係るウォーターポンプの故障診断装置の故障診断処理を説明するフローチャートである。
【図4】図4は永久磁石を用いない場合を説明する図である。
【図5】図5は実施例2に係るウォーターポンプの故障診断装置が接続するウォーターポンプを示す模式図である。
【図6】図6は実施例2に係るウォーターポンプの故障診断装置の故障診断処理を説明するフローチャート(その1)である。
【図7】図7は実施例2に係るウォーターポンプの故障診断装置の故障診断処理を説明するフローチャート(その2)である。
【図8】図8はアーマチャを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明のウォーターポンプの故障診断装置に係る実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1に係るウォーターポンプの故障診断装置100が接続するウォーターポンプ10を示す模式図である。図1に示すように、実施例1に係るウォーターポンプの故障診断装置100は、磁力計測手段としての磁気センサ50と、ECU60と、を備える。ウォーターポンプ10は、ベルト12によりエンジンの回転が伝達されることで回転する円筒形状をしたプーリ14と、プーリ14の一方の面16に対向して配置され、インペラ18と共に回転する環状のアーマチャ20と、プーリ14内に設けられた永久磁石22及び電磁コイル24と、を備える。なお、エンジンの回転に伴って回転する回転部材としてプーリ14を例に挙げているが、プーリ14以外にも、例えば、ギア等、エンジンの回転に伴って回転する部材であれば他の部材を用いることができる。
【0025】
円筒形状をしたプーリ14の中心部に形成された空洞部26には、ハウジング30がプーリ用ベアリング32を介して嵌め込まれている。ハウジング30には、中心部に貫通孔28が設けられている。プーリ用ベアリング32により、プーリ14はハウジング30に対して回転可能となり、プーリ14は、ベルト12を介して伝達されたエンジンの回転によりハウジング30の周囲を回転する。
【0026】
貫通孔28には、シャフト用ベアリング36を介してシャフト38が嵌め込まれている。シャフト38の一端には、インペラ18が設けられ、シャフト38の他端には、板バネ40を介してアーマチャ20が設けられている。アーマチャ20は、例えば鉄などの、磁性体材料で形成されている。シャフト用ベアリング36により、シャフト38はハウジング30に対して回転可能となる。
【0027】
永久磁石22は環状であり、アーマチャ20をプーリ14側に引き寄せる方向の磁力を発生する。電磁コイル24も環状であり、通電されることで、永久磁石22が発生する磁力に抗する磁力を発生する。つまり、電磁コイル24からは、アーマチャ20をプーリ14から引き離す方向の磁力が発生される。また、板バネ40のバネ力は、アーマチャ20をプーリ14から引き離す方向に作用する。
【0028】
ここで、図2(a)を用い、アーマチャ20とプーリ14とを係合させる場合について説明する。図2(a)に示すように、電磁コイル24に通電させない場合、アーマチャ20には、永久磁石22による磁力と板バネ40によるバネ力とが作用する。永久磁石22の磁力は、アーマチャ20をプーリ14側に引き寄せる方向に作用する力であり、板バネ40のバネ力は、アーマチャ20をプーリ14から引き離す方向に作用する力である。
【0029】
ここで、永久磁石22の磁力が、板バネ40のバネ力より大きくなるように、永久磁石22の磁力及び/又は板バネ40のバネ力を調整する。これにより、電磁コイル24に通電させない場合は、アーマチャ20はプーリ14側に引き寄せられて、プーリ14に係合する。
【0030】
アーマチャ20とプーリ14とが係合することで、アーマチャ20もプーリ14と共にエンジンの回転により回転する。このため、アーマチャ20に接続するインペラ18も、アーマチャ20と共に回転し、ウォーターポンプ10は駆動状態となる。
【0031】
次に、図2(b)を用い、アーマチャ20とプーリ14とを開放させる場合について説明する。図2(b)に示すように、電磁コイル24に通電させると、電磁コイル24から永久磁石22の磁力に抗する磁力が発生する。このため、アーマチャ20には、永久磁石22による磁力と板バネ40によるバネ力に加え、電磁コイル24からの磁力も作用することになる。
【0032】
ここで、永久磁石22による磁力よりも、板バネ40によるバネ力と電磁コイル24による磁力との合力の方が大きくなるよう、永久磁石22の磁力、板バネ40のバネ力、及び/又は電磁コイル24の磁力を調整する。これにより、電磁コイル24に通電させた場合は、アーマチャ20はプーリ14から引き離されて、プーリ14から開放する。これにより、プーリ14がエンジンの回転により回転しても、アーマチャ20は回転しないため、インペラ18も回転することなく、ウォーターポンプ10は停止状態となる。
【0033】
図1に戻り、磁気センサ50は、永久磁石22と電磁コイル24とを含んだ磁気回路の磁力の大きさ及び方向を測定する。磁気センサ50は、入力された磁束によって起電力を発生し、その起電力をECU60に出力する。起電力の大きさは磁束の大きさに比例するため、磁気センサ50で発生する起電力の大きさを測定することで、磁気回路の磁力の大きさを把握することができる。また、磁束の方向により、磁気センサ50で発生する起電力の向きも変わるため、起電力の向きを測定することで磁気回路の磁力の方向を把握することができる。
【0034】
ECU60は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)等から構成され、経過時間判定手段62、水止め領域判定手段64、電流制御手段66、電流測定手段68、故障判定手段70を備える。ECU60は、バッテリ80から電圧が供給されることで駆動している。
【0035】
経過時間判定手段62は、エンジン始動からの時間が、所定時間を経過したか判定する。
【0036】
水止め領域判定手段64は、経過時間判定手段62で所定時間を経過したと判定された場合に、冷却水の温度が低温である場合、又はエンジン負荷が軽負荷状態である場合等の水止め領域に該当するかどうかの判定を行う。
【0037】
電流制御手段66は、リレースイッチ72を制御することで、電磁コイル24への通電を制御する。具体的には、リレースイッチ72内のコイル74への電流供給を制御することで、スイッチ76のON/OFFの制御を行い、電磁コイル24への通電を制御する。なお、電磁コイル24のマイナス側端子およびコイル74のマイナス側端子は、ハウジング30で接地されている。
【0038】
電流測定手段68は、磁気センサ50が発生する起電力によって生じる電流の大きさ及び向きを測定する。前述したように、この電流の大きさ及び向きを測定することにより、磁気回路の磁力の大きさ及び向きを把握することができる。
【0039】
故障判定手段70は、電磁コイル24への通電状態を変化させたときの磁気センサ50で計測された起電力の変化に基づいて、ウォーターポンプ10の故障の判定を行う。具体的には、図2(a)に示すような、電磁コイル24への通電を停止したときに電流測定手段68で測定された電流値が、電磁コイル24に通電していたときと比較して上昇しない場合は、ウォーターポンプ10が故障していると判定する。また、図2(b)に示すような、電磁コイル24に通電したときに電流測定手段68で測定された電流値が、電磁コイル24への通電を停止していたときと比較して上昇した場合は、ウォーターポンプ10が故障していると判定する。
【0040】
さらに、故障判定手段70は、電流測定手段68で測定された電流の向きに基づいて、永久磁石22の劣化の判定を行う。また、故障判定手段70は、電磁コイル24に通電した場合と通電を停止した場合とのそれぞれの場合に電流測定手段68で測定された電流値と、所定の値とを比較することで、永久磁石22又は電磁コイル24の劣化の判定を行う。
【0041】
次に、図3のフローチャートを用い、実施例1に係るウォーターポンプの故障診断装置100のECU60が行う、ウォーターポンプ10の故障診断の処理について説明する。
【0042】
図3に示すように、エンジンが始動した後(ステップS10)、ECU60は、エンジン始動からの時間が所定時間α秒を経過したか判定する(ステップS12)。
【0043】
ステップS12で所定時間α秒経過していないと判定された場合(Noの場合)、ECU60は、ウォーターギャラリー内の冷却水を一巡させて水温の平準化、安定化を図るために、ウォーターポンプ10を駆動させる(ステップS14)。具体的には、ECU60は、リレースイッチ72を制御して、電磁コイル24への通電を停止する。これにより、図2(a)に示したように、アーマチャ20は、永久磁石22の磁力によりプーリ14に係合し、エンジンの回転によるプーリ14の回転に従い、アーマチャ20と共にインペラ18が回転する。つまり、ウォーターポンプ10が駆動状態となる。
【0044】
次に、ECU60は、電磁コイル24への通電を停止したときに、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値を測定する(ステップS16)。次に、ECU60は、ステップS16で測定された電流値が、電磁コイル24に通電していたときに磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値と比べて上昇したか判定する(ステップS18)。
【0045】
ここで、図2(a)及び図2(b)で説明したように、電磁コイル24に通電している場合は、磁気センサ50には、永久磁石22と電磁コイル24とからの磁束が入力される。永久磁石22と電磁コイル24とは、互いに抗する磁束を発生するため、磁気センサ50からは、その差分の磁束に対応する起電力が発生する。
【0046】
一方、電磁コイル24への通電を停止している場合は、磁気センサ50には、永久磁石22からの磁束のみが入力される。よって、磁気センサ50からは、永久磁石22の磁束に対応する起電力が発生する。
【0047】
つまり、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値は、電磁コイル24への電流の通電を停止した場合は、電磁コイル24に通電させている場合に比べて大きくなる。
【0048】
したがって、ステップS18で電流値が上昇したと判定された場合は(Yesの場合)、永久磁石22からのみ磁力が発生し、アーマチャ20とプーリ14とは係合していると判断できるため、ECU60は、ウォーターポンプ10は正常に駆動していると判定する(ステップS20)。
【0049】
一方、ステップS18で電流値が上昇していないと判定された場合は(Noの場合)、電磁コイル24から磁力が発生し続けていて、アーマチャ20とプーリ14とは係合していないと判断できるため、ECU60は、ウォーターポンプ10は故障していると判定する(ステップS22)。
【0050】
ステップS12で所定時間α秒経過していると判定された場合(Yesの場合)、ECU60は、冷却水の温度が低温である場合又はエンジンが軽負荷状態である場合等のような水止め領域に属するか判定する(ステップS24)。
【0051】
ステップS24で水止め領域に属すると判定された場合は(Yesの場合)、冷却水が低温状態又はエンジンが軽負荷状態にあるので、冷却水がウォーターギャラリー内を循環しないように、ウォーターポンプ10を停止させる(ステップS26)。具体的には、ECU60は、リレースイッチ72を制御して、電磁コイル24に通電する。これにより、図2(b)に示したように、アーマチャ20はプーリ14から開放されるため、プーリ14が回転しても、インペラ18は回転しない。つまり、ウォーターポンプ10が停止状態となる。
【0052】
次に、ECU60は、電磁コイル24に通電したときに、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値を測定する(ステップS28)。次に、ECU60は、ステップS28で測定された電流値が、電磁コイル24への通電を停止していたときに磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値と比べて上昇したか判定する(ステップS30)。
【0053】
前述したように、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値は、電磁コイル24に通電した場合は、電磁コイル24への電流の通電を停止している場合に比べて小さくなる。
【0054】
したがって、ステップS30で電流値が上昇せずに、低下したと判定された場合は(Noの場合)、電磁コイル24から磁力が発生し、アーマチャ20とプーリ14とは開放していると判断できるため、ECU60は、ウォーターポンプ10は正常に停止していると判定する(ステップS32)。
【0055】
一方、ステップS30で電流値が上昇したと判定された場合は(Yesの場合)、アーマチャ20とプーリ14とは開放していると判断できないため、ECU60は、ウォーターポンプ10は故障していると判定する(ステップS34)。
【0056】
ステップS24で水止め領域に属していないと判定された場合は(Noの場合)、冷却水がウォーターギャラリー内を循環するように、ウォーターポンプ10を駆動させたままにする(ステップS36)。
【0057】
このように、実施例1によれば、電磁コイル24の通電状態を変化させたときの磁気センサ50が発生する起電力によって生じる電流値の変化に基づいて、ウォーターポンプ10の故障の判定をする。磁気センサ50は、永久磁石22と電磁コイル24とを含んだ磁気回路の磁力の大きさに基づく起電力を発生するため、実施例1によれば、磁気回路の磁力の大きさに基づいてウォーターポンプ10の故障判定を行っていることになる。このため、永久磁石22や電磁コイル24の磁力の劣化を含めて、ウォーターポンプ10の故障判定が可能となる。また、磁力に基づいてウォーターポンプ10の故障検出を行うため、電磁コイル24が接続する電気回路の漏電等に左右されることなく、ウォーターポンプ10の故障検出が可能となる。
【0058】
また、磁気センサ50は、永久磁石22と電磁コイル24とを含む磁気回路の磁力の大きさだけでなく、磁力の方向も測定する。例えば、図2(b)に示すような電磁コイル24に通電している場合は、磁気回路には、永久磁石22が発生する磁力と、電磁コイル24が発生する永久磁石22の磁力に抗する磁力とが生じる。例えば、永久磁石22に劣化等がない場合に、永久磁石22が発生する磁力は、電磁コイル24が発生する磁力より大きいとする。この場合、磁気回路には、アーマチャ20側からプーリ14側に向かう磁力が生じる。ここで、永久磁石22に劣化等が生じて、永久磁石22が発生する磁力が、電磁コイル24が発生する磁力より小さくなったとすると、磁気回路には、プーリ14側からアーマチャ20側に向かう磁力が生じる。
【0059】
このように、永久磁石22と電磁コイル24とを含む磁気回路の磁力の方向を測定することで、永久磁石22に劣化が生じているかを判定できる。なお、磁気回路の磁力の方向は、前述したように、磁気センサ50が発生する起電力の向きを測定することで把握できる。即ち、例えば、図3におけるステップS28で、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流の大きさに加えて、電流の向きを測定することで、磁気回路の磁力の方向を把握できる。
【0060】
また、図3のステップS16及びステップS28に示すように、電磁コイル24への通電を停止した場合と、電磁コイル24に通電した場合とのそれぞれの場合において、磁気センサ50により磁気回路の磁力の大きさを測定する。電磁コイル24への通電を停止した場合は、磁気センサ50には、永久磁石22からの磁束のみが入力される。したがって、この場合に、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値を、所定の値と比較することで、永久磁石22に劣化が生じているかを判定できる。例えば、起電力に基づく電流値が、所定の値より低い場合に、永久磁石22が劣化していると判定できる。
【0061】
電磁コイル24に通電した場合は、磁気センサ50には、永久磁石22と電磁コイル24とからの磁束が入力される。この場合、上記により永久磁石22には劣化が生じていないことが確認できていれば、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値を、所定の値と比較することで、電磁コイル24に劣化が生じているかを判定できる。例えば、起電力に基づく電流値が、所定の値より大きい場合に、電磁コイル24が劣化していると判定できる。
【0062】
このように、電磁コイル24に通電した場合と通電を停止した場合とのそれぞれの場合での、磁気回路の磁力の大きさを計測し、その計測値を所定の値と比較することで、永久磁石22に劣化が生じているか、又は電磁コイル24に劣化が生じているかの切り分けをすることが可能となる。
【0063】
また、実施例1において、アーマチャ20は、例えば、鉄などの磁性体であることを例に挙げたが、これに限られるわけではなく、例えば、磁石である場合でもよい。この場合、アーマチャ20が発生する磁力の向きを、永久磁石22が発生する磁力の向きと同じにすることで、電磁コイル24への通電を停止したときに、磁気センサ50に入力される磁束が大きくなる。これにより、磁気センサ50が発生する起電力に基づく電流値が大きくなるため、ウォーターポンプ10の故障診断が行い易くなる。
【0064】
実施例1において、永久磁石22の磁力と電磁コイル24の磁力とを利用して、アーマチャ20とプーリ14とを係合する場合又はアーマチャ20とプーリ14とを開放する場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。例えば、図4に示すように、永久磁石22を設けずに、電磁コイル24への通電を停止した場合に、板バネ40のバネ力によりアーマチャ20とプーリ14とを係合させ、電磁コイル24に通電した場合に、板バネ40のバネ力に抗する磁力を電磁コイル24から発生させることで、アーマチャ20とプーリ14とを開放させる場合でもよい。
【0065】
このように、電磁コイル24への通電を停止することで、アーマチャ20とプーリ14とを係合させ、電磁コイル24に通電することで、アーマチャ20とプーリ14とを開放させる構造とすることが好ましい。これにより、電磁コイル24が漏電等に動作不能になった場合でも、アーマチャ20とプーリ14とは係合するため、インペラ18が回転し、冷却水を循環させることが可能となる。つまり、電磁コイル24が動作不能となっても、エンジンがオーバーヒートすることを抑制できる。また、エンジン暖機後に冷却水を循環させる場合に、電磁コイル24への通電を停止するため、消費電力が削減でき、燃費の悪化を抑制することもできる。
【0066】
なお、電磁コイル24に通電することでアーマチャ20とプーリ14とを係合させ、電磁コイル24への通電を停止することでアーマチャ20とプーリ14とを開放させる構造の場合にも実施例1を適用することができる。
【実施例2】
【0067】
図5は、実施例2に係るウォーターポンプの故障診断装置200が接続するウォーターポンプ10を示す模式図である。図5に示すように、実施例2に係るウォーターポンプの故障診断装置200は、磁気センサ50を設けず、電流測定手段68は、電磁コイル24に発生する誘導電流の測定を行う。また、故障判定手段70は、電磁コイル24への通電を停止したときに、電磁コイル24に発生する誘導電流に基づいて、ウォーターポンプ10の故障を判定する。その他の構成は、実施例1と同じであり、図1に示しているので、説明を省略する。
【0068】
次に、図6及び図7のフローチャートを用い、実施例2に係るウォーターポンプの故障診断装置200のECU60が行う、ウォーターポンプ10の故障診断の処理について説明する。
【0069】
図6に示すように、エンジンが始動した後(ステップS10)、ECU60は、エンジン始動からの時間が所定時間α秒を経過したか判定する(ステップS12)。
【0070】
ステップS12で所定時間α秒経過していないと判定された場合(Noの場合)、ECU60は、ウォーターギャラリー内の冷却水を一巡させて平準化、安定化を図るために、電磁コイル24への通電を停止して、ウォーターポンプ10を駆動させる(ステップS14)。
【0071】
次に、ECU60は、電磁コイル24への通電を停止したときに、電磁コイル24に発生する誘導電流を測定する(ステップS16)。ここで、電磁コイル24に誘導電流が生じるのは以下の理由による。電磁コイル24への通電を停止することで、永久磁石22と電磁コイル24とを含む磁気回路には、永久磁石22からの磁束のみ生じている。この永久磁石22から生じる磁束は、アーマチャ20とプーリ14とが係合することにより減少する。したがって、この際の磁束の変化により、電磁コイル24に誘導電流が発生することになる。
【0072】
次に、ECU60は、ステップS16での測定結果に基づき、電磁コイル24に誘導電流が発生したかどうかを判定する(ステップS18)。ここで、例えば、電磁コイル24に発生する誘導電流が0.5mA〜50mAである場合に、電磁コイル24に誘導電流が発生したと判定することができる。誘導電流が発生したと判定された場合は(Yesの場合)、アーマチャ20とプーリ14とは係合していると判断できるため、ECU60は、ウォーターポンプ10は正常に駆動していると判定する(ステップS20)。
【0073】
ステップS18で誘導電流が発生していないと判定された場合は、電磁コイル24への通電を停止したにも関わらず、アーマチャ20とプーリ14とは係合していないため、永久磁石22が劣化したと判断でき、ECU60は、ウォーターポンプ10は故障していると判定する(ステップS22)。
【0074】
ステップS12で所定時間α秒経過していると判定された場合(Yesの場合)、ECU60は、電磁コイル24に通電して、ウォーターポンプ10を停止させる(ステップS24)。次に、ECU60は、冷却水の温度が低温である場合又はエンジンが軽負荷状態である場合等のような水止め領域に属するか判定する(ステップS26)。
【0075】
ステップS26で水止め領域に属すると判定された場合は(Yesの場合)、ECU60は、冷却水が低温状態又はエンジンが軽負荷状態にあるので、冷却水がウォーターギャラリー内を循環しないように、ウォーターポンプ10は停止したままにする(ステップS28)。
【0076】
次に、ECU60は、電磁コイル24の誘導電流を測定し(ステップS30)、誘導電流が発生したかどうかを判定する(ステップS32)。ここで、ウォーターポンプ10は停止したままにしているため、前述したような、アーマチャ20とプーリ14とが係合することによる磁束の変化は生じないはずである。したがって、ステップS32で誘導電流が発生していないと判定された場合は(Noの場合)、ウォーターポンプ10は正常に停止していると判定する(ステップS34)。
【0077】
ステップS30で誘導電流が発生したと判定された場合は(Yesの場合)、電磁コイル24に通電しているにも関わらず、アーマチャ20とプーリ14とが係合したことになるため、電磁コイル24が劣化したと判断でき、ECU60は、ウォーターポンプ10は故障していると判定する(ステップS36)。
【0078】
ステップS12で水止め領域に属していないと判定された場合(Noの場合)、冷却水がウォーターギャラリー内を循環するように、電磁コイル24への通電を停止して、ウォーターポンプ10を駆動させる(ステップS38)。
【0079】
次に、ECU60は、ステップS16からステップS22と同様に、電磁コイル24への通電を停止したときに電磁コイル24に発生する誘導電流の測定を行い(ステップS40)、誘導電流が発生したかどうかを判定する(ステップS42)。そして、誘導電流が発生したと判定された場合は(Yesの場合)、ウォーターポンプ10は正常に駆動していると判定し(ステップS44)、誘導電流が発生していないと判定された場合は(Noの場合)、ウォーターポンプ10は故障していると判定する(ステップS46)。
【0080】
このように、実施例2によれば、電磁コイル24への通電を停止したときに、電磁コイル24に誘導電流が発生しない場合に、ウォーターポンプ10の故障と判定する。電磁コイル24の誘導電流は、磁気回路の磁束の変化により発生するため、実施例2によれば、磁気回路の磁力に基づいてウォーターポンプ10の故障の判定を行っていることになる。このため、永久磁石22や電磁コイル24の磁力の劣化を含めて、ウォーターポンプ10の故障判定が可能となる。
【0081】
また、実施例2によれば、実施例1のように、磁気センサ50を設けなくて済むため、部品点数の増加、コストの増加を抑制することができる。
【0082】
また、図8に示すように、アーマチャ20には、永久磁石42を設けることができ、特に、アーマチャ20の回転方向である円周方向に、一定間隔置きに永久磁石42を設けることが好ましい。
【0083】
このように、アーマチャ20に永久磁石42を設けることで、電磁コイル24への通電を停止してウォーターポンプ10を駆動させている場合に、プーリ14とアーマチャ20との間に滑りが生じているか把握することが可能となる。つまり、永久磁石42が電磁コイル24に対して回転することで、電磁コイル24に誘導電流が生じるため、この誘導電流を測定することで、プーリ14とアーマチャ20との間に滑りが生じていることの把握ができる。
【0084】
また、電磁コイル24に生じる誘導電流は正弦波形として測定されるため、この正弦波形の波長からアーマチャ20の回転数を算出することもできる。インペラ18はアーマチャ20と共に回転するため、アーマチャ20の回転数はインペラ18の回転数にもなる。インペラ18が回転することで冷却水が循環するため、インペラ18の回転数が変わると、冷却水を循環させる冷却能力が変化する。したがって、プーリ14とアーマチャ20との間の滑り具合と共に、冷却水の温度の上昇具合を把握することで、ウォーターポンプ10の故障判定をより正確に行うことができる。
【0085】
なお、実施例2においても、実施例1と同様、図4に示すように、永久磁石22を設けず、電磁コイル24の磁力と板バネ40のバネ力により、プーリ14とアーマチャ20との係合状態を変化させる構造としてもよい。また、電磁コイル24に通電することでアーマチャ20とプーリ14とを係合させ、電磁コイル24への通電を停止することでアーマチャ20とプーリ14とを開放させる構造としてもよい。これらの場合でも、電磁コイル24への通電状態を変化させたときに、電磁コイル24に発生する誘導電流に基づいて、ウォーターポンプ10の故障判定を行うことができる。
【0086】
また、実施例1で説明した磁気センサ50を用いてウォーターポンプ10の故障を判定する方法と、実施例2で説明した電磁コイル24に発生する誘導電流によりウォーターポンプ10の故障を判定する方法を組み合わせてもよい。例えば、電磁コイル24への通電を停止した場合には、電磁コイル24に発生する誘導電流に基づいてウォーターポンプ10の故障判定を行い、電磁コイル24に通電した場合には、磁気センサ50が発生する起電力に基づいて、ウォーターポンプ10の故障判定を行う場合でもよい。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 ウォーターポンプ
12 ベルト
14 プーリ
18 インペラ
20 アーマチャ
22 永久磁石
24 電磁コイル
26 空洞部
28 貫通孔
30 ハウジング
32 プーリ用ベアリング
36 シャフト用ベアリング
38 シャフト
40 板バネ
42 永久磁石
50 磁気センサ
62 経過時間判定手段
64 水止め領域判定手段
66 電流制御手段
68 電流測定手段
70 故障判定手段
72 リレースイッチ
100、200 ウォーターポンプの故障診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの回転に伴って回転する回転部材と、通電により磁力を発生させる電磁コイルと、前記電磁コイルへの通電を制御する電流制御手段と、前記電磁コイルが発生させる磁力に抗する磁力を発生させる第1永久磁石と、インペラと共に回転し前記電磁コイルが発生させる磁力に応じて前記回転部材との係合状態が変化するアーマチャと、を有する可変制御可能なウォーターポンプの故障診断装置であって、
前記電流制御手段により前記電磁コイルへの通電を停止したときに、前記電磁コイルに誘導電流が発生しない場合に、前記ウォーターポンプの故障と判定する故障判定手段と、を有することを特徴とするウォーターポンプの故障診断装置。
【請求項2】
前記アーマチャには、第2永久磁石が設けられていることを特徴とする請求項1記載のウォーターポンプの故障診断装置。
【請求項3】
エンジンの回転に伴って回転する回転部材と、通電により磁力を発生させる電磁コイルと、前記電磁コイルへの通電を制御する電流制御手段と、インペラと共に回転し前記電磁コイルが発生させる磁力に応じて前記回転部材との係合状態が変化するアーマチャと、を有する可変制御可能なウォーターポンプの故障診断装置であって、
前記電磁コイルを含む磁気回路の磁力の大きさを計測する磁力計測手段と、
前記電流制御手段により前記電磁コイルの通電状態を変化させたときの前記磁力計測手段で計測された計測値の変化に基づいて、前記ウォーターポンプの故障を判定する故障判定手段と、を有することを特徴とするウォーターポンプの故障診断装置。
【請求項4】
前記電磁コイルが発生させる磁力に抗する磁力を発生させ、前記アーマチャを前記プーリ側に引き寄せる第3永久磁石を更に有し、
前記磁力計測手段は、前記電磁コイルと前記第3永久磁石とを含んだ磁気回路の磁力の大きさを計測し、
前記故障判定手段は、前記磁力計測手段で計測された計測値が、前記電磁コイルへの通電を停止したときに上昇しない場合又は前記電磁コイルへ通電したときに上昇する場合に、前記ウォーターポンプが故障していると判定することを特徴とする請求項3記載のウォーターポンプの故障診断装置。
【請求項5】
前記磁力計測手段は、前記電磁コイルと前記第3永久磁石とを含んだ磁気回路の磁力の方向を計測し、
前記故障判定手段は、前記磁力計測手段で計測された磁力の方向に基づいて、前記第3永久磁石の劣化の判定を行うことを特徴とする請求項4記載のウォーターポンプの故障診断装置。
【請求項6】
前記磁力計測手段は、前記電磁コイルに通電させた場合と前記電磁コイルへの通電を停止させた場合とのそれぞれにおいて、前記磁気回路の磁力の大きさを計測し、
前記故障判定手段は、前記電磁コイルに通電させた場合と前記電磁コイルへの通電を停止させた場合とのそれぞれの場合で、前記磁力計測手段で計測された計測値を所定の値と比較することで、前記電磁コイル又は前記第3永久磁石の劣化の判定を行うことを特徴とする請求項4又は5記載のウォーターポンプの故障診断装置。
【請求項7】
前記アーマチャは、磁石であることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項記載のウォーターポンプの故障診断装置。
【請求項8】
エンジンの回転に伴って回転する回転部材と、通電により磁力を発生させる電磁コイルと、前記電磁コイルへの通電を制御する電流制御手段と、インペラと共に回転し前記電磁コイルが発生させる磁力に応じて前記回転部材との係合状態が変化するアーマチャと、を有する可変制御可能なウォーターポンプの故障診断装置であって、
前記電流制御手段により前記電磁コイルへの通電状態を変化させたときに、前記電磁コイルに発生する誘導電流に基づいて、前記ウォーターポンプの故障を判定する故障判定手段と、を有することを特徴とするウォーターポンプの故障診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−242509(P2010−242509A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88996(P2009−88996)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】