説明

ウオッシャノズルの取付構造

【課題】 1種類にて薄板の車体パネルと厚板の車体パネルの両方に対応させて取り付けることができる安価なウオッシャノズルの取付構造を提供する。
【解決手段】 洗浄液Sを噴射させるノズル体12を保持したノズルハウジング11の底面11dに一対の係止部15,15を弾性変形自在に突設し、この一対の係止部15,15の各先端を車体パネル20,20′の外側より該車体パネル20,20′に形成した取付孔21,21′に係止、離脱自在に設け、この係止時にノズルハウジング11の底面11dと一対の係止部15,15の各先端との間で車体パネル20,20′を挾持するようにしたウオッシャノズル10の取付構造において、一対の係止部15,15の各先端に薄板用の係止面15aと厚板用の係止面15bをそれぞれ形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラスに洗浄液等の液体を噴射させるウオッシャノズルの取付構造に関し、特に、車両の外側から取り外し可能なウオッシャノズルの取付構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
この種のウオッシャノズルの取付構造として、図7に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このウオッシャノズル1は、図7に示すように、液体噴射口2aから洗浄液を噴射させるノズル体3を保持したノズルハウジング2を有している。このノズルハウジング2の底面2bには下方に延びるように筒部4を一体形成してある。この筒部4には液体噴射口2aに連通する液体供給口4aを形成してある。また、筒部4の略中央の両側には一対の係止突部5,5を略V字状に一体形成してある。
【0004】
この一対の係止突部5,5のL字溝状に切り欠かれた各先端5aは、車体パネル8の外側より該車体パネル8に形成した取付孔9に係止、離脱自在になっている。そして、この係止時に、ノズルハウジング2の底面2bと一対の係止突部5,5の各先端5aとの間でダンパシート6を介して車体パネル8を挾持することにより、車体パネル8にウオッシャノズル1が外側から取り付けられるようになっている。
【0005】
【特許文献1】実開平3−78665号公報
【0006】
【特許文献2】実開昭61−129660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のウオッシャノズル1の取付構造では、各係止突部5のL字溝状に切り欠かれた先端5aで係止できる車体パネル8の板厚が限られてしまい、例えば、厚板の車体パネルに係止させるには厚板用の係止突起を有したウオッシャノズルを別に用意しなければならないため、コスト高になった。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、1種類にて薄板の車体パネルと厚板の車体パネルの両方に対応させて取り付けることができる安価なウオッシャノズルの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、液体を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングに一対の係止部を突設し、この一対の係止部の各先端を被取付体の外側より該被取付体に形成した取付孔に係止、離脱自在に設け、この係止時に前記ノズルハウジングと前記一対の係止部の各先端との間で前記被取付体を挾持するようにしたウオッシャノズルの取付構造において、前記一対の係止部の各先端に複数の係止面をそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、洗浄液を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングの底面に一対の係止部を弾性変形自在に突設し、この一対の係止部の各先端を車体パネルの外側より該車体パネルに形成した取付孔に係止、離脱自在に設け、この係止時に前記ノズルハウジングの底面と前記一対の係止部の各先端との間で前記車体パネルを挾持するようにしたウオッシャノズルの取付構造において、前記一対の係止部の各先端に薄板用の係止面と厚板用の係止面をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ノズルハウジングに突設した一対の係止部の各先端に複数の係止面をそれぞれ設けたことにより、1種類のウオッシャノズルにて薄板や厚板等の複数の被取付体にそれぞれ取り付けることができる。これにより、従来のように、被取付体の板厚に応じてウオッシャノズルを別々に設定して製造する必要がなくなり、その分、コスト高を防止することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ノズルハウジングの底面に突設した一対の係止部の各先端に薄板用の係止面と厚板用の係止面をそれぞれ形成したことにより、車体パネルの板厚に応じて各係止部の先端の係止面を使うことができ、1種類のウオッシャノズルにて薄板の車体パネルと厚板の車体パネルの両方にそれぞれ取り付けることができる。これにより、従来のように、車体パネルの板厚に応じてウオッシャノズルを別々に設定して製造する必要がなくなり、その分、コスト高を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例1のウオッシャノズルを示す断面図、図2は同ウオッシャノズルの底面図、図3は図1中A−A線に沿う断面図、図4は同ウオッシャノズルの要部の拡大説明図、図5は同ウオッシャノズルを薄板状の車体パネルに取り付けた状態を示す断面図、図6は同ウオッシャノズルを厚板状の車体パネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【0015】
図1〜図3に示すように、ウオッシャノズル10は合成樹脂製のノズルハウジング11を備えている。このノズルハウジング11は一対の液体噴射口11a,11aに球面状凹部11bをそれぞれ形成してあり、この各球面状凹部11bに洗浄液(液体)Sを噴射させる合成樹脂製のノズル体12を摺動自在に保持してある。さらに、図3に示すように、ノズルハウジング11の各液体噴射口11aとノズル体12の液体用流路12a及び円筒状の液体供給口11cとは液体供給流路13でそれぞれ連通されている。尚、ノズルハウジング11に対するノズル体12の液体用流路12aの傾き、即ち、ノズル体12の液体用流路12aから噴射される洗浄液Sの噴射方向は調整できるようになっている。
【0016】
また、図1〜図6に示すように、ノズルハウジング11の底面11dには一対の固定支持部14,14を下方に四角柱状に一体突出形成してある。この各固定支持部14の下端外側には斜め上方に延びて弾性変形する係止爪(係止部)15を一体突出形成してある。この一対の係止爪15,15の各先端は各固定支持部14側に略く字状に折れ曲がっていると共に、各先端の外形面には、ノズルハウジング11の底面11dに対する傾斜角度が異なる薄板用の係止面15aと厚板用の係止面15bをそれぞれ形成してある。各係止面15aと各係止面15bは、係止爪15の先端の外形面の上部と下部に形成され、各係止面15aのノズルハウジング11の底面11dに対する傾斜角度は、各係止面15bの傾斜角度よりも小さくなるようにしている。
【0017】
そして、図5に示すように、各係止爪15の先端の薄板状の係止面15aは薄板状の車体パネル(被取付体)20の外側より該車体パネル20に形成した取付孔21に係止、離脱自在になっていると共に、図6に示すように、各係止爪15の先端の厚板状の係止面15bは厚板状の車体パネル(被取付体)20′の外側より該車体パネル20′に形成した取付孔21′に係止、離脱自在になっている。この係止時に、ノズルハウジング11の底面11dと一対の係止部15,15の各先端の薄板用の係止面15aとの間で薄板状の車体パネル20を挾持すると共に、ノズルハウジング11の底面11dと一対の係止部15,15の各先端の厚板用の係止面15bとの間で厚板状の車体パネル20′を挾持するようになっている。
【0018】
さらに、図2,図3に示すように、ノズルハウジング11の円筒状の液体供給口11c内には円筒状のニップル16を嵌合してある。このニップル16の基端部16aは球状の逆止弁17により開閉されるようになっている。この逆止弁17はコイルスプリング(付勢手段)18によりニップル16の基端部16a側に常に付勢されている。また、ニップル16の先端部16bには供給チューブ19を連結してある。この供給チューブ19は図5,図6に示すノズルハウジング11の枠状の把持部11eに把持されて図示しない供給ポンプの吐出側に接続されいて、該供給ポンプの作動により洗浄液タンクからの洗浄液Sを供給チューブ19及びニップル16を介してノズルハウジング11の液体供給流路13に圧送するようになっている。
【0019】
以上実施例1のウオッシャノズル10の取付構造によれば、図5,図6に示すように、ノズルハウジング11の底面11dに一体突出形成した一対の係止爪15,15の各先端に薄板用の係止面15aと厚板用の係止面15bをそれぞれ形成したことにより、車体パネル20,20′の板厚に応じて各係止爪15の先端の係止面15a,15bを使うことができ、1種類のウオッシャノズル10にて薄板の車体パネル20と厚板の車体パネル20′の両方にそれぞれ取り付けることができる。これにより、従来のように、車体パネルの板厚に応じてウオッシャノズルを別々に設定して製造する必要がなくなり、その分、コスト高を防止することができる。
【0020】
尚、前記実施例1によれば、ウオッシャノズルを自動車の車体パネルに取り付ける場合について説明したが、その取付対象は自動車の車体パネルに限られるものではなく、ウインドガラスやカウルカバー等の他の被取付体にウオッシャノズルを取り付けるようにしても良い。また、係止爪の先端に薄板用の係止面と厚板用の係止面の2面の係止面を設けたが、さらに、薄板と厚板の中間の板厚用の係止面を設けて3面としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1のウオッシャノズルを示す断面図である。
【図2】上記ウオッシャノズルの底面図である。
【図3】図1中A−A線に沿う断面図である。
【図4】上記ウオッシャノズルの要部の拡大説明図である。
【図5】上記ウオッシャノズルを薄板状の車体パネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】上記ウオッシャノズルを厚板状の車体パネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】従来のウオッシャノズルを示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ウオッシャノズル
11 ノズルハウジング
11d 底面
12 ノズル体
15,15 一対の係止爪(係止部)
15a 薄板用の係止面
15b 厚板用の係止面
20 薄板の車体パネル(被取付体)
21 取付孔
20′ 厚板の車体パネル(被取付体)
21′ 取付孔
S 洗浄液(液体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングに一対の係止部を突設し、この一対の係止部の各先端を被取付体の外側より該被取付体に形成した取付孔に係止、離脱自在に設け、この係止時に前記ノズルハウジングと前記一対の係止部の各先端との間で前記被取付体を挾持するようにしたウオッシャノズルの取付構造において、
前記一対の係止部の各先端に複数の係止面をそれぞれ設けたことを特徴とするウオッシャノズルの取付構造。
【請求項2】
洗浄液を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングの底面に一対の係止部を弾性変形自在に突設し、この一対の係止部の各先端を車体パネルの外側より該車体パネルに形成した取付孔に係止、離脱自在に設け、この係止時に前記ノズルハウジングの底面と前記一対の係止部の各先端との間で前記車体パネルを挾持するようにしたウオッシャノズルの取付構造において、
前記一対の係止部の各先端に薄板用の係止面と厚板用の係止面をそれぞれ形成したことを特徴とするウオッシャノズルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−117087(P2006−117087A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306703(P2004−306703)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000181251)自動車電機工業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】