説明

ウリジン2リン酸(UDP)−グルクロン酸転移酵素2B(UGT2B)の抑制剤及び促進剤

【課題】個体の解毒機能を促進するために、UGT2B促進剤を提供する。
【解決手段】ノルジヒドログアヤレチック酸、オーゴニン、桂皮酸、バイカレイン、ケルセチン、ダイゼイン、オレアノール酸、異紅草素、ヘスペレチン、ナリンギン、ネオヘスペリジン、エピカテキン、ヘスペリジン、リクイリチン、エリオジクチオール、フォルモノネチン、クエルシトリン、ゲンクワニン、ケンフェロール、イソクエルシトリン、カテキン、ナリンゲニン、ダイズイン、ルテオリン配糖体、エルゴステロール、ルチン、ルテオリン、エチルミリステート、アピゲニン、3-フェニルプロピルアセテート、ウンベリフェロン、グリチルリチン、プロトカテク酸、枳属、イソビテキシン、ジンゲロール、シネオール、ゲニスタイン、トランスシンナムアルデヒドなどを特徴とするウリジン2リン酸-グルクロン酸転移酵素2B(UGT2B)の促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本案発明は、第一方面において、薬物の生体利用性(drug bio avability)を増加するために、効果的なUGT2B抑制剤を提供するものである。
【0002】
本案発明は、第二方面において、個体の解毒機能を促進するために、UGT2B促進剤を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
人体内に於ける薬物代謝(drug metabolism)の過程は、特に、高脂溶性の薬物に対して、基本的に二つの生物転化(biotransformation)段階に分けられる:第I相反応(phase I reaction)は、元来の脂溶性分子に官能基を加えて、極性を持った分子にする;第II相反応(phase II reaction)は、抱合作用(conjugation)によって高極性産物を生じ、薬物を快速に代謝させ、尿又は糞便の中から排除する。
【0004】
最も普遍的で重要な抱合作用は、グルクロン酸抱合(glucuronidation)であり、この作用はウリジン2リン酸-グルクロン酸転移酵素(Uridine diphosphate(UDP)-glucuronosyltransferases, 略語=UGTs;EC 2.4.1.17)によって行われる。
【0005】
UGTsは、人体内第II相反応の主要代謝酵素の一つである、現在、UGTsには110種以上のイソエンザイム(isoenzyme)があることがわかっており、UGTsは、ウリジン2リン酸-グルクロン酸転移酵素(UDP-glucuronic acid;UDPGA)を触媒して内因性(endogenous)脂溶性化合物の化学基団に結合することが出来る、例えば、ヒドロキシル(hydroxyl)、サルフォニル(sulfonyl)、カルボン酸(carboxylic acid)、アミン(amine)或いはアミド(amide)に結合して、O-グルクロン酸抱合(O-glucuronidation)、N-グルクロン酸抱合(N-glucuronidation)及びS-グルクロン酸抱合(S-glucuronidation)(King et al., 2000, Curr. Drug Metab., 1(2): 143-61)などによって、脂溶性化合物の極性を増加させる。
【0006】
Radominska-Pandyaらが発表した回顧的論文(Drug Metab Rev. 31(4):817-99, 1999)には、人体の中に存在するUGTsは、大多数がUGTlA及びUGT2Bの二大ファミリー(family)に属し、現在実証済みのUGTlAファミリーのメンバーはUGTlA1、UGTlA2P、UGTlA3-10、UGTlA11PとUGTlA12pがあり、UGT2BファミリーのメンバーはUGT2B4、UGT2B7、UGT2B10、UGT2B15とUGT2B17がある、と書かれている。
尚、UGTsには、又広範な基質特異性(substrate specificity)がある。UGTlA及びUGT2Bが代謝する化合物は同じではない、UGTlAは主としてエストロン(estrone)、2-ハイドロキシエストロン(2-hydroxyestrone)、4-ニトロフェノール(4-nitrophenol)、1-ナフトール(1-naphthol)などのフェノリック化合物(phenolic compounds)などを代謝し、そしてビリルビン(bilirubin)がこの代謝に関与する、一方、UGT2B族は、アンドロステロン(androsterone)、リノール酸(linoleic acid)などステロイド化合物(steroid compounds)を代謝し、そして胆汁酸(bile acids)がこの代謝に関与する。
【0007】
文献には、UGTsは又ある種の化合物をより高い生物活性に転化させ、又或る状況下では、毒性化合物に転化させることが報告されている、例えば、モルヒネ(morphine)、ステロイド(steroids)、胆汁酸(bile acids)、中間レチノイド(mid retinoids) など。(Vore et al. (1983a) Life Sciences 32:2989-2993;Vore et al. (1983b) Drug Metabolism Reviews 14:1005-1019;Abbott and Palmour (1988) Life Sciences 43:1685-169参照)。又、或る文献には、UGTsが多環芳香族炭化水素化合物(polycyclic aromatic hydrocarbons, PAH)やヘテロサイクリックアミン(heterocyclic aromatic amines)などの化合物の活性化に係わりがあることが報告されている(Munzel et al. (1996) Archives of Biochemistry and Biophysics, 355: 205-210; Bock et al. (1998) Advances in Enzyme Regulation, 38: 207-222)。
【0008】
UGTの体内に存在する幾つかの組織には、肝臓・腎臓・胆道・食道・胃・腸道、直腸・回腸・空腸、膵臓・乳腺・皮膚・肺臓・脳などが含まれ、そして異なるUGTsの体内における組織の分布状態も又異なる、例えば、UGT2B7は食道・肝臓・腸・結腸・腎臓・膵臓に存在し、UGT1A1は、肝臓・胆道・胃・結腸に存在する。(Tukey et al. (2000) Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol., 40: 581-616. Review)。
【0009】
BurchellとCoughtrieの研究では、更に、UGT遺伝子には遺伝子多型(genetic polymorphisms)の特性があるため、個体間での薬物に対する生物転化には差異性があり、従って、個体UGTsの薬物に対する生物転化の調節及び機能に関するデータは、薬物の潜在的薬理効果及び薬物間の作用を評価するに当って不可欠のものであることを発見している。(Burchell B and Coughtrie MW (1997) Environmental Health Perspectives 105: 739-747)
【0010】
UGTsは又人体内の重要な解毒システムでもある。内因性の脂溶性化合物のほかに、外因性(exogenous)の脂溶性化合物はO-グルクロン酸抱合によって、比較的高い水溶性を備え、此れによって外因性脂溶性化合物の排除率を高め、人体の正常な解毒機能を維持させることが出来る。
従って、肝臓疾患(liver diseases)を患う個体中のUGTs活性に欠陥がある場合、グルクロン酸抱合の作用に影響し、肝臓の薬物代謝に対するクリアランス比(clearance rate)を引き下げ、個体の中毒反応を高め、ガンにかかる確率が増大する。
【0011】
或る文献では、ブチルヒドロキシアニソール(butylated hydroxyanisole, BHA) (Buetler et al. (1995) Toxicology & Applied Pharmacology 135(1): 45-57)及びプレグネノロン 16αカルボニトリル(pregnenolone-16α-carbonitrile, PCN) (Viollon-Abadie et al., 1999, Toxicology & Applied Pharmacology., 155(1):1-12)にはUGT2B活性を促進する作用があることを指摘している。
胃腸を経由して吸収される大部分の薬物は全身を循環する前に、先ず肝門脈を通って肝臓へ循環・到達し、肝細胞の代謝過程を経る、此れが初回通過効果(first-pass effect)である。腸道及び肝臓中に豊富に存在するUGTsは、薬物が吸収された後初回通過効果を生じる主要酵素の一つであることが実証されている。初回通過効果を生じた薬物は、低い且つ変異性の生体利用性を有する。
【0012】
此れに基づいて、薬学界では積極的に安全・有効且つ可逆性UGT抑制剤を求め、代謝が早すぎて生体利用性が低すぎる薬物に応用することによって、薬物の医療効果を高め、特に経口服用薬物に対して、一層このようなニーズがある。
【0013】
近年来、UGT抑制剤及び薬物間の作用に対する研究も次第に発展しつつある。関連するUGT抑制剤には、例えば、シリマリン(silymarin) (Venkataramanan et al. (2000) Dug. Metabolism and Disposition 28: 1270-1273),キノリン(quinoline)(Dong et al., 1999, Drug Metabolism & Disposition 27:1423-1428),オルチプラズ(oltipraz) (Vargas et al., 1998, Drug Metabolism & Disposition 26:91-97),タクロリムス(tacrolimus) (Zucker et al., 1999, Therapeutic Drug Monitoring 21:35-43),オクチルガレート(octyl gallate)、アピゲニン(apigenin)、イミプラミン (imipramine)、クロザピン(clozapine)、アセトアミノフェン(acetaminophen)及びエモジン(emodin) (前述Radominska-Pandya et al., 1999)などがある。
又或る文献には、ジアゼパム(diazepam)及びフルニトラゼパム(flunitrazepam, FM2)がUGT2Bの活性を強烈に抑制できると報告されている(Grancharov et al., 2001, harmacol Ther.,89(2):171-86)。
【0014】
しかし、上述これらのUGT抑制剤自体が活性薬物であるため、ある種の顕著な生理的反応を起こす、従って、薬物吸収の促進剤としては不適当である(drug absorption enhancer)。
当業者なら、薬物の生体利用性の増加に使用できるUGT抑制剤には、少なくとも下記3種類の特性を備えていなければならないことを認知しているはずである:(1)UGTsを抑制するほか、薬理効果(pharmacological effect)がないか又は最低であること;(2)抑制作用は可逆性でなければならない、言い換えれば、一旦この抑制剤が体外に排出又は代謝されると、UGTsの正常な代謝機能を回復できること;及び(3)その抑制剤の効力は最低分量によっても腸道や肝臓のUGTs活性を抑制するに足るものであること。
近年来、薬学界では既に、グレープフルーツのジュース又はその他天然物の中のある種の組成分がある種の薬理活性(pharmacological activities)を制限することが次第にわかって来ている、例えば、ナリンジン(naringin)、ナリンゲニン(naringenin)及びヘスペリジン(hesperidine)等のフラボノイド類(flavonoids)がそうである。
【0015】
US 6,121,234号特許には、エッセンシャルオイル(essential oil)を使って経口投薬による薬学化合物で哺乳動物の腸道中の生体利用性を促進する方法を開示してある、この方法は、口服方式で前記哺乳動物に対して治療に必要な量の前記薬学化合物及びエッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイルの組成分を投与することを含み、その中で、前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイルの組成分は、0.01 wt.%より低い濃度或いは更に低い濃度において、少なくとも10%抑制率の活性を有する。前記アメリカ特許には、エッセンシャルオイルは細胞色素P450(cytochrome P450)を抑制して薬物の生体利用性を促進する事も開示されている。
【0016】
別の文献には、Long-Evantsラットの肝臓から作られた微粒体について、例えば、ナリンゲニン(naringenin)、ヘスペレチン(hesperetin)、ケンフェロールkaempferol、ケルセチン(quercetin)、ルチン(rutin)、フラボン(flavone)、αナフトフラボン(α-naphthoflavone)、β-ナフトフラボン(β-naphthoflavone)等のフラボン類化合物は、肝臓微粒体がエストロン(estrone)、エストラジオール(estradiol)に対する代謝を抑制することが報告されている(Zhu et al. 1998, J Steroid Biochem Mol Biol,64(3-4):207-15)。
【0017】
伝統的中国医学の薬典では、漢方薬の副薬(Chinese herbal enhancers, CHEs)の毒性が一般合成薬物に比べより穏やかであるため、広く漢方薬処方の30-75%に使われている。日本食品及び薬物管理局(Japan’s Food and Drug Administration)の報告によれば、210種の正式な漢方薬化合物の処方には、(official Chinese herbal compound prescriptions)150種の処方の71.4%が甘草を含有し、最も頻繁に使われ、生姜と大棗の使用頻度はそれぞれ42.9%及び31.9%となっている;the Japanese National Formulary (第2版)では、最も頻繁に使われている漢方薬の副薬は、甘草(71.4%)、生姜(42.9%)、ブクリョウ(35.2%)、シャクヤク(32.9%)、大棗(31.9%)及びニッケイ(29.5%)となっている。
【0018】
上述比較的頻繁に使われる漢方薬の副薬を除き、その他の漢方薬の副薬に対する研究はかなり不足しており、一歩進めて研究し、新規のUGT抑制剤を発展させる価値がある、例えば、フラボン類を豊富に含有する漢方薬の副薬は、バイカリン(baicalin)、オウゴニン(wogonin)、バイカレイン(baicalein)、skullcap-flavon I及びwogoin glucuronideを含有するオウゴン(Scutellariae radix);カピラリシン(capillarisin)、中國薊醇(cirsilineol)、薊黄素(cirsimaritin)、ゲンクワニン(genkwanin)及びrhamrcocitrinを含有するインチンコウ(Artemisiae cpillaris herba);及び、例えば、テルペノイド(terpenoids)を豊富に含有する漢方薬の副薬、例えば、乙酸澤瀉醇 (alisol monoacetate)及び三帖類(triterpenoids)を含有するタクシャ(Alismatis rhizoma);paeoniflorin、oxypaeoniflorin及びこれらのベゾイルオイゲノール派生物を含有する牡丹皮(Moutan radicis cortex);アコニチン(aconitine)、メサコニチン(mesaconitine)、ジェサコニチン(jesaconitine)及びアチシン (atisine)を含有する附子(Aconiti tuber);トラゴサイドI. (tragoside I)及びトラゴサイドII.(tragoside II)を含有する西黄蓍膠(Tragacantha);24-methylenecycloartanolを含有するPersical semen;升麻(cimigenol)、cimigenol xyloside及びこれらの12-ハイドロキサイドラヂカル派生物及び北升麻醇(dahurinol)を含有する升麻(Cimicifugae rhizoma)等がある。
【0019】
漢方薬の副薬が薬物吸収の促進剤として作用可能なメカニズムは、(1)触媒:これらの漢方草薬を煮込み又は調製する過程で、新しい活性成分を形成する可能性がある;(2)キャリヤー剤:薬物又は薬物の活性部分を携帯して障壁を通り越して目的地へ到達する;及び(3)酵素抑制剤:UGT抑制剤における例をとると、若しUGT代謝のために薬物の活性部分が口服によって吸収されない場合は、その薬物を体内の初回通過効果を軽減又は制限する漢方薬の副薬と合わせて施すと、その活性部分は口服によって吸収される。
【0020】
本案発明者の研究では、体外及び臨床実験で、甘草中のグリチルリチン(glycyrrhizin)及び大棗中のオレアノール酸(oleanolic acid)、β-ミルセン(β-myrcene)がアシクロビア(acyclovir)、ブプレノルフィン(buprenorphine)又はピロキシカム(piroxicam)等薬物の分配係數(partition coefficient)を増加することが出来るので、これらの薬物の経皮吸収性(transdermal permeation)は数十倍にまで達す。(胡幼圃博士のacyclovir特許ROC Patent No.084682、US Patent No.6,162,459、Japan Patent No.2681881;buprenorphine特許ROC Patent No.137835、US Patent No.6,004,969;Piroxicam特許ROC Patent No.133855を参照)。
【0021】
近年来、薬学界では次第に新形式のアヘン類薬物(opiods drugs)、例えば、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ナルブフィン(nalbuphine)、ブトルファノール(Butorphanol)などを発展させており、これらの薬物はアヘン受容体(opiods-receptors)に対してアゴニスト製剤及び阻害剤の二重の作用を表すことが出来るので、麻薬性アゴニスト-阻害鎮痛剤(narcotic agonist-antagonist analgesics)(Schmidt, W.K. et al, Drug Alcohol Depend. 14, 339, 1985)とも呼ばれ、これら二重作用の薬物は、アヘン受容体に対して高い親和性があるのみならず、一種の阻害剤とすることも出来ると共に、従来の麻薬性鎮痛剤の欠点を改善することもできる、例えば、大幅にその麻薬性及び加成性を引き下げ、且つその呼吸抑制作用(respiratory inhibition)を軽減することが出来る。
【0022】
例えば、前述Schmidtらの発表した報告(1985)では、ナルブフィンは同時にカッパ受容体 (Kappa receptor,OP2)の親和性及びアヘンMu受容体 (Mu receptor,OP3)の阻害性の二重の作用を備えていると指摘している;ナルブフィンを持続的に6ヶ月間使用したあと、明らかな麻薬性(addiction)及び相乗効果(synergistic effect)は発見されず、しかも僅かに軽い呼吸抑制作用が見られただけである、従って、臨床的使用に際しては、ナルブフィンは伝統的麻薬性鎮痛剤より一層安全であり、且つきわめて優れた治療効果がある。
【0023】
しかし、この種の薬物の欠点は、口服吸収性が劣ることである。Goodman and Gillman におけるナルブフィン(Nalbuphine)の生体利用性(BA)は、11 ±4 %であり、一方、動物におけるNalbuphineの生体利用性(BA)は2.7 ±0.4 %であり、半減期が比較的短い。従って、現在臨床薬学上では、口服剤タイプは使用されておらず、注射剤タイプがあるのみである、例えば、ナルブフィンの薬学研究文献によれば、肝臓から排除される半減期は5時間であり、且つ約7%の薬物が原型のまま尿中に排除されている(Birgit et al. 1996, Drug metabolism and Disposition, 25(1):1-4、Birgit et al. 1998, Drug Metabolism and Disposition, 26(1):73-77及びRichard et al. 1990, Clin. Pharmacol Ther., 47:12-19)。
現在、ナルブフィンは主としてUGT2B7を経由して代謝されることが文献で証明されている。(Radominska-Pandya et al., 1999)。
【0024】
US 6,004,969特許には、buprenorphineの経皮輸送方法が開示されている、この方法は、患者に下記の組成分を含有する薬学的組成物を投薬する、1)含有量約0.8%のbuprenorphine又はその塩化水素塩類;2)下記組成によるグループの中から少なくとも一つ選らばれた含有量約10-20%の薬物促進剤(drug enhancer):2-ピネン(2-pinene)、トランスシンナムアルデヒド(trans-cinnamic acid)、β―ミルセン(β-myrcene)及びテルピネオール(terpineol);及び3)下記組成によるグループの中から少なくとも一つ選らばれた含有量約79.2-89.2%の賦形劑:ステアリルアルコール(stearyl alcohol)、セルロースグリコール酸ナトリウム(sodium carboxymethyl-cellulose)、グリセロール(glycerol)、セチルアルコール(cetyl alcohol)、1,3-プロピレングリコール(1,3-propylene glycol)及び水。
【0025】
近年来、漢方草薬によって疾病を治療及び予防する研究及び発明は、次第に医薬学界の風潮となっている。しかしながら、どのような漢方草薬が個体内のUGT酵素の発現を抑制出来、且つUGT酵素関連の治療用途に応用できるかは、まだ未知数であり、開発が待たれている。
【0026】
尚、近頃多くの研究報告では、多くの製剤学上常用される賦型剤が細胞色素P450の活性に対して影響を生じる可能性があることが指摘されている。一般に言われる賦型剤は、大多数が非活性的(Inactive)物質に属するものであり(Wandel et al.,2003)、ただ薬物の体積、溶解度或いは安定性等等を増進すためである、しかしこのような考え方及び観念は見直されなければならないだろう。
【0027】
Mountfield等が(Mountfield et al.,2000) 2000年に、賦型剤が体外微粒体酵素の実験中においてCYP3A4の酵素活性に対して影響を生じる事を提出して以来、その他の研究報告でも、例えば、PEG400 (Johnson et al.,2003)、Cremophor RH40(Wandel et al.,2003)は、CYP3A4の酵素活性に対して影響を生じる事が次々に発見されている。
【0028】
Bravoなどの学者(Bravo et al.,2003)は、界面活性剤の酵素活性に対する影響を実験したことがある。試験薬物はコルチニン(colchicine)で、体内において主としてP-gp及びCYP3A4の代謝を経由したもので、対照組はコルチニン(colchicine)を0.9%NaCl solutionに溶解したもので、実験組みはコルチニン(colchicine)を5% solutol HS15含有のNaC solutionに溶解したものである。実験結果は、実験組の体内における最高血中溶解度は明らかに対照組より2倍以上高いことが示された。一方、体内におけるクリアランスは明らかに2倍以上低くかった。尚、体外における肝細胞(hepatocyte)の実験では、0.003% solutol HS15によって著しくコルチニン(colchicine)の内在クリアランスを引き下げることができた。注目すべきことは、その他の文献の報告では、この種の界面活性剤は細胞膜を破壊し、細胞の正常な生理活性(Silva etal.,2004)に影響し、更に酵素の触媒反応中部分的補助要素(Cofacter)の利用度、または受質と酵素の交互作用を変更させると見ている。然るに、この濃度のsolutol HS15を光学顕微鏡によってテストした結果、細胞に対しては如何なる変更ももたらさなかった。従って、その詳細なメカニズムは今後の研究で証明しなければならないと思われる。
【0029】
一般的に、新薬の研究開発は大凡幾つかの段階に分けられる:新化学物質の篩い分け(NCE;New Chemical Entity)、臨床前の毒性試験、薬理試験及び最後の人体試験である。伝統的化学物質の篩い分け方式は、既に薬理活性を有する化学物質に対して構造的修正を加えるか、或いは天然植物の中から生物活性を有する化学物質を抽出・純化する。しかしながら、不幸にして、多くの化学物質は脂溶性化合物に属し、そのため往々にして異なる賦型剤を利用してこれらの化学物質の溶解度及び安定性を増加させなければならず、製薬工業にとっては、賦型剤の使用は避けることが出来ないものである、従って、本案発明では、漢方薬の副薬をUGT抑制剤及び促進剤とする効果の研究のほかに、賦型剤のUGT酵素活性に対する影響についても研究を進め、一歩進んでより安全且つ有効なUGT抑制剤及び促進剤を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本案発明の目的は、安全・有効且つ可逆的UGT抑制剤の研究開発によって、多くの初回通過効果が高くて口服に適しない薬物を、経口投薬できるようにすると共に、高変異性の薬物(highly variable drug)の副作用及びその分量範囲を大幅に引き下げ、又、UGT活性化による致ガン性毒物の毒性を軽減することにある。
【0031】
本案発明のもう一つの目的は、安全・有効且つ可逆的UGT促進剤によって、肝臓機能が弱いために薬物代謝クリアランス比(clearance rate)を下げなければならない患者が薬物を代謝できるようになり、肝臓の毒性排除の機能を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本案発明は、第一方面において、薬物の生体利用性を増加できる2B (UGT2B)抑制剤を提供する、前記抑制剤は、ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式で、下記の組成グループ:カピラリシン(capillarisin)、イソラムネチン(isorhamnetin)、β-ナフトフラボン(β-naphthoflavone)、α-ナフトフラボン(α-naphthoflavone)、ヘスペレチン(hesperetin)、テルピネオール(terpineol)、(+)-リモネン(+)-limonene)、β―ミルセン(β-myrcene)、スウェルチアマリン(swertiamarin)、エリオジクチオール (eriodictyol)、シネオール(cineole)、アピゲニン(apigenin)、バイカリン(baicalin)、ウルソール酸(ursolic acid)、イソビテキシン(isovitexin)、ラウリルアルコール(lauryl alcohol)、プエラリン(puerarin)、トランスシンナムアルデヒド(trans-cinnamaldehyde)、3-フェニルプロピルアセテート(3-phenylpropyl acetate)、イソリキリチゲニン(isoliquritigenin) 、ペオニフロリン(paeoniflorin)、没食子酸(gallic acid)、ゲニスタイン(genistein)、グリチルリチン(glycyrrhizin)、プロトカテク酸(protocatechuic acid)、エチル ミリステート(ethyl myristate)、ウンベリフェロン(umbelliferone)、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)400(PEG400)、ポリエチレングリコール2000(PEG 2000)、ポリエチレングリコール4000(PEG 4000)、ツウィーン20(Tween20)、ツウィーン60(Tween 60)、ツウィーン80(Tween 80)、BRIJ 58、BRIJ 76、プルロニックF68(Pluronic F68)、プルロニックF127(Pluronic F127)などによって構成された化合物の中から選ばれたもの、及びこれらの組み合わせによるものである。
【0033】
本案発明は又、薬学的有効量を含む前述UGT2B抑制剤及び薬学上許容されるキャリヤー剤を提供する。本案発明の薬学的組成物によれば、UGT2Bの酵素活性を引き下げ、モルヒネ類鎮痛剤薬物の生体利用性に対する応用を増加することが出来る。
【0034】
本案発明は又、第二方面において、個体肝臓の解毒機能を促進できるUGT2B促進剤を提供する、前記促進剤は、ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式を呈する化合物であり、下記の組成グループ:ノルジヒドログアヤレチック酸(nordihydroguaiaretic acid)、オーゴニン(wogonin)、トランスケイヒ酸(trans-cinnamic acid)、バイカレイン(baicalein)、ケルセチン(quercetin)、ダイゼイン(daidzein)、オレアノール酸(oleanolic acid)、異紅草素(homoorientin)、ヘスペレチン(hesperetin)、ナリンギン(naringin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、(+)-エピカテキン((+)-epicatechin)、ヘスペリジン(hesperidin)、リクイリチン(liquiritin)、エリオジクチオール(eriodictyol)、フォルモノネチン (formononetin)、クエルシトリン (quercitrin)、ゲンクワニン(genkwanin)、ケンフェロール(kaempferol)、イソクエルシトリン(isoquercitrin)、(+)-カテキン((+)-catechin)、ナリンゲニン(naringenin)、ダイズイン(daidzin)、(-)-エピカテキン((-)-epicatechin)、ルテオリン配糖体(luteolin-7-glucoside)、エルゴステロール(ergosterol)、ルチン(rutin)、ルテオリン(luteolin)、エチル ミリステート(ethyl myristate)、アピゲニン(apigenin)、3-フェニルプロピルアセテート(3-phenylpropyl acetate)、ウンベリフェロン(umbelliferone)、グリチルリチン(glycyrrhizin)、プロトカテク酸.(protocatechuic acid)、枳属(poncirin)、イソビテキシン(isovitexin)、6-ジンゲロール(6イソビテキシンol)、シネオール(cineole)、ゲニスタイン(genistein) トランスシンナムアルデヒド(trans-cinnamaldehyde)などにより構成された化合物の中から選ばれたもの及びこれらの組み合わせによるものである。
【0035】
本案発明は又、薬学的組成物を提供する、前記薬学的組成物は、薬学上有効量の前述UGT2B促進剤及び薬学上許容されるキャリヤー剤を含む。
【0036】
本案発明の薬学的組成物によれば、UGT2Bの酵素活性を促進して、薬物のクリアランス比(clearance rate)の促進に応用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本案発明は、第一方面において、ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式で、下記の組成グループ:カピラリシン(capillarisin)、イソラムネチン(isorhamnetin)、β-ナフトフラボン(β-naphthoflavone)、α-ナフトフラボン(α-naphthoflavone)、ヘスペレチン(hesperetin)、テルピネオール(terpineol)、(+)-リモネン(+)-limonene)、β―ミルセン(β-myrcene)、スウェルチアマリン(swertiamarin)、エリオジクチオール (eriodictyol)、シネオール(cineole)、アピゲニン(apigenin)、バイカリン(baicalin)、ウルソール酸(ursolic acid)、イソビテキシン(isovitexin)、ラウリルアルコール(lauryl alcohol)、プエラリン(puerarin)、トランスシンナムアルデヒド(trans-cinnamaldehyde)、3-フェニルプロピルアセテート(3-phenylpropyl acetate)、イソリキリチゲニン(isoliquritigenin) 、ペオニフロリン(paeoniflorin)、没食子酸(gallic acid)、ゲニスタイン(genistein)、グリチルリチン(glycyrrhizin)、プロトカテク酸(protocatechuic acid)、エチル ミリステート(ethyl myristate)、ウンベリフェロン(umbelliferone)、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)400(PEG400)、ポリエチレングリコール2000(PEG 2000)、ポリエチレングリコール4000(PEG 4000)、ツウィーン20(Tween20)、ツウィーン60(Tween 60)、ツウィーン80(Tween 80)、BRIJ 58、BRIJ 76、プルロニックF68(Pluronic F68)、プルロニックF127(Pluronic F127)などによって構成された化合物の中から選ばれたもの、及びこれらを組み合わせてなるUGT2B抑制剤を提供する。
【0038】
本案発明の好ましい具体例では、前記UGT2B抑制剤は、ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式で、下記の組成グループ:capillarisin、isorhamnetin、β-naphthoflavone、α-naphthoflavone、hesperetin、terpineol、(+)-limonene、β-myrcene、swertiamarin、eriodictyol及びこれらの組み合わせなどによって構成された化合物の中から選ばれたものである。更に好ましい具体例では、前記UGT2B抑制剤は、カピラリシン(capillarisin)である。
【0039】
本案発明に係るUGT2B抑制剤をテストした結果、薬物の生体利用性を増加できることが実証された、従って、本案発明は、前記UGT2B抑制剤の薬学的組成物の調製、特にモルヒネ類鎮痛剤の薬物にも応用されることが予想される。
そこで、本案発明は又、
(a) 薬学的有効量の前述UGT2B抑制剤、及び
(b) 薬学上許容されるキャリヤー剤、
を含む薬学的組成物を提供する。
【0040】
本案発明は、第二方面において、UGT2B促進剤を提供する、前記促進剤は、ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式で、下記の組成グループ:ノルジヒドログアヤレチック酸(nordihydroguaiaretic acid)、オーゴニン(wogonin)、トランスケイヒ酸反式桂皮酸(trans-cinnamic acid)、バイカレイン(baicalein)、ケルセチン(quercetin)、ダイゼイン(daidzein)、オレアノール酸(oleanolic acid)、異紅草素(homoorientin)、ヘスペレチン(hesperetin)、ナリンギン(naringin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、(+)-エピカテキン((+)-epicatechin)、ヘスペリジン(hesperidin)、リクイリチン(liquiritin)、エリオジクチオール(eriodictyol)、フォルモノネチン (formononetin)、クエルシトリン (quercitrin)、ゲンクワニン(genkwanin)、ケンフェロール(kaempferol)、イソクエルシトリン(isoquercitrin)、(+)-カテキン((+)-catechin)、ナリンゲニン(naringenin)、ダイズイン(daidzin)、(-)-エピカテキン((-)-epicatechin)、ルテオリン配糖体(luteolin-7-glucoside)、エルゴステロール(ergosterol)、ルチン(rutin)、ルテオリン(luteolin)、エチル ミリステート(ethyl myristate)、アピゲニン(apigenin)、3-フェニルプロピルアセテート(3-phenylpropyl acetate)、ウンベリフェロン(umbelliferone)、グリチルリチン(glycyrrhizin)、プロトカテク酸.(protocatechuic acid)、枳属(poncirin)、イソビテキシン(isovitexin)、6-ジンゲロール(6イソビテキシンol)、シネオール(cineole)、ゲニスタイン(genistein) トランスシンナムアルデヒド(trans-cinnamaldehyde)などにより構成された化合物の中から選ばれたもの及びこれらの組み合わせによるものである。
【0041】
本案発明の好ましい具体例では、前記UGT2B促進剤は、ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式で、下記の組成グループ:nordihydroguaiaretic acid、wogonin、trans-cinnamic acid、baicalein、quercetin、daidzein、oleanolic acid、homoorientin、hesperetin、naringin、neohesperidin、(+)-epicatechin、hesperidin、liquiritin、eriodictyolなどにより構成された化合物の中から選ばれたもの及びこれらの組み合わせによるものである。更に好ましい具体例では、前記UGT2B促進剤は、ノルジヒドログアヤレチック酸(nordihydroguaiaretic acid)である。
【0042】
本案発明に係るUGT2B促進剤を、テストした結果、薬物のクリアランス比(clearance rate)を増加できることが実証された、従って、本案発明は、前記UGT2B促進剤の薬学的組成物の調製にも応用されることが予想される。
【0043】
そこで、本案発明は又、
(a)薬学的有効量の前述UGT2B促進剤、及び
(b)薬学上許容されるキャリヤー剤、
を含む薬学的組成物を提供する。
【0044】
本案発明に係る薬学的組成物において、前記UGT2B促進剤は、肝臓疾病(liver diseases)を治療する有効量の薬物と組合わせて投薬される。その中で、前記肝臓疾病は病毒性肝炎(viral hepatitis)、慢性肝炎(chronic hepatitis)、アルコール性肝硬化(alcoholic liver cirrhosis)、代償性肝硬化(compensated cirrhosis)又は急性肝不全(hepatic failure)を含み但し此れに限らない。
【0045】
本案発明に適用されるUGT2B抑制剤又は促進剤は、この技術を熟知するものが容易に取得できるもので、例えば、合成化学の専門家がその実験技術の知識で合成したり、又は直接薬学業界から購入したり、又、本技芸に慣用される純化分離方法を利用して天然物から分離純化してこの化合物を取得することも出来る。本案発明の下記実験例において使用されたUGT2B抑制剤又は促進剤は、Sigma Chemical Co., Nacalai Tesque (Kyoto, Japan)及びINDOFINE Chemical Co., Inc. (Somerville, New Jersey)から購入したものである。
【0046】
本案発明において、「薬学的有効量」という術語は、薬学的組成物が該組成物で治療すべき数量を投薬されるとき、UGT2B活性を抑制又は促進することを指す。前記薬学的有効量は、異なる要素によって変化する、此れらの要素には、例えば、病症の種類、治療されるべき個体の体重・年齢・体の情況及び反応・薬物の投薬経路などが含まれる。この治療の有効量は、この技芸に詳しい人によって決定されてよい。
【0047】
本案発明において、「薬学上許容される(pharmaceutically acceptable)」と言う術語は、UGT2B抑制剤又は促進剤として使われる前記化合物の塩類は、組成物のその他の組成分との相容性があるものであり、且つ前記組成物が個体内に投薬されても無害でなければならないことを指す。
【0048】
本案発明において、薬物的組成物の薬学的有効量が個体に投与されるとき、単独投薬又はモルヒネ類鎮痛剤(morphine-like analgesic agents)のような薬物と組合わせて投薬することが出来る。
【0049】
本案発明の好ましい具体例では、前記モルヒネ類鎮痛剤には、(-)-モルヒネ((-)-morphine)、ナロキソン(naloxone)、ナロルフィン(nalorphine)、オキシモルホン(oxymorphone)、ハイドロモルフォン(hydromorphone)、ジハイドロモルフォン(dihydromorphine)、コデイン(codeine)、ナルトレキソン(naltrexone)、ナルトリンドール(naltrindole)、ナルブフィン(nalbuphine)及びブプレノルフィン(buprenorphine)などがある。更に好ましい具体例では、前記モルヒネ類鎮痛剤はナルブフィンである。
【0050】
本案発明に係る薬学的組成物は、この技芸に熟練するものがその熟知する技術によって、腸道を経由せず(例えば静脈注射)又は腸道を経由して(例えば口服)行う投薬形式に適するものとして作ることが出来る。
【0051】
本案発明に係る薬学的組成物は、注射用の形式に適したものとして作ることが出来る、前記薬学的組成物は、生理的に受入れ可能な無菌水性又は非水性の溶液・分散剤・懸濁液又は乳状液、及び無菌性注射液又は分散剤に復元するための無菌粉末を含むことが出来る。ここで水性及び非水性のキャリヤー剤・希釈剤・溶剤又はキャリヤーの実例は、水・アルコール・プロピレングリコール ・ポリエチレングリコール・グリセリン(及びこれらに似たもの)、及びエチル オレートの注射用有機エステル類を含む。
【0052】
本案発明に係る薬学的組成物は、口服投薬に適した形式でつくられることが好ましく、口服剤タイプには、固体剤タイプ(例えば、カプセル(capsule)・錠剤・粉末及び顆粒)と液体剤タイプ(例えば、乳剤・溶液(solution)、分散体(dispersion)、懸濁液(suspension))などがある。
【0053】
尚、本案発明に係る薬学的組成物はその他の薬物と異なる投薬剤タイプとすることが出来る、例えば、一方を錠剤によって投薬し、別の一方を注射又はシロップを口服で投薬することが出来る。更に、本案発明に係る薬学的組成物は、その他の薬物と同時に投薬することが出来、或いは任意の順序で連続的に投薬してもよい、例えば、錠剤の場合、同時に一つの錠剤又は個々の錠剤の中にそれぞれ存在し、且つ一回又は任意の順序で連続的に投薬することが出来る、すべての組合わせ・伝送方法及び投薬の手順は、この技芸を熟知するものが予期できるものである。
【0054】
本案発明に係る薬学的組成物の投薬分量と投薬回数は下記要素に応じて変化する:治療されるべき疾病の重大性・投薬経路・及び治療されるべき固体の体重・年齢・体の情況と反応。一般的に言って、本案発明に係る薬学的組成物の毎回の投薬分量は、通常UGT2B抑制剤又は促進剤/Kg体重によって見積もることが出来る、実施される投薬分量の範囲は0.01 mg / Kg体重から20 mg / Kg体重で、単一分量又は数回に分けた分量の形式をとり、且つ腸道を経由しないで、又は口服によって投薬することが出来る。
【実施例】
【0055】
本案発明の下記実験例について、一歩進んで説明を行うが、但しこれらの実施例はただ例示説明用としてであって、本案発明の実施の制限と見なすべきではないものとする。
【0056】
実施例1. UGT 2B抑制剤のインビトロ(in vitro)実験
(1−1)材料及び方法:
1. UGT2B抑制剤の調合
本案発明の下記実験では、合計27種の漢方薬の副薬及び10種類の賦型剤を採用してUGT2B抑制剤とした、これらの漢方薬の副薬は、すべて商品化された純質の化合物であり、それぞれSigma Chemical Co.、acalai Tesque (Kyoto, Japan)及びINDOFINE Chemical Co., Inc. (Somerville, New Jersey)から購入した。これらの漢方薬の副薬の種類・名称・生薬の出所及び化学式は下記表1に示す通りである。これらのUGT2B抑制剤をアルコールでそれぞれ1、10、100μMの濃度に調合して、実験をおこなった。
尚、賦型剤部分はすべて商品化された純質化合物で、それぞれポリエチレングリコールPEG(Polyethylene glycol)400、ポリエチレングリコール2000(PEG 2000)、ポリエチレングリコール4000(PEG 4000)、ツウィーン20(Tween20)、ツウィーン60(Tween 60)、ツウィーン80(Tween 80)、BRIJ 58、BRIJ 76、プルロニックF68(Pluronic F68)、プルロニックF127(Pluronic F127)である。これらの賦型剤を水でそれぞれ0.5%、5%、50%(重量・百分比、w/v)の濃度に調製して以後の実験に備えた。[注:BRIJはICI Americas, Inc.の登録商標名;PluronicはBASF Corporationの登録商標名である]
【0057】
【表1−1】

【0058】
【表1−2】

【0059】
【表1−3】

【0060】
【表1−4】

【0061】
2.肝微粒体(liver microsome)の調製
本実験では、体重範囲が300-400グラムの雄ラット(Sprague-Dawley rat)をモデル動物とした。本実験は、下記のステップで微粒体を調製した:
i. 禁食12-16時間のラットを敲いて失神させ、肝臓を取り出し、肝臓表面の水分を吸い取って乾かし、重量を測る。
ii. 次に3倍体積の冷蔵0.3Mショ糖溶液を加え、且つ均質機で肝臓をすり砕く。
iii. 4℃で、すり砕いた後の肝均質液を9000 × gの回転スピードで遠心分離(KS-800, Kubota,日本)を行い、10分間経過後、上清液を取り出す、
iv. 4℃で、取り出した上清液を105,000×g の回転スピードで超高速遠心分離(L8-60M, Beckman, 米国)を行い、60分経過後、
v. 上清液を取り除き、等体積の0.3Mショ糖溶液を加え、再び均質機ですり砕く。すり砕いた後の肝均質液が微粒体(microsome)で、-70℃の冷蔵庫に保存する。
【0062】
使用する前に、微粒体を解凍し、体積比8:1(微粒体:BRIJ(登録商標)35)で5μl/mlのBRIJ35を加える (Fisher et al. 2000, Drug Metabolism & Disposition. 28(5):560-6)。
[注:BRIJ35 SOLUTION 30% W/V,BRIJ is a registered trademark of ICI Americas, Inc.]
【0063】
3. 微粒體中タンパク質含有量の測定
この実験では、下記ステップでタンパク質含有量の測定を行った:
I. 0.1 mlの微粒体を0.85 % NaClで5ml (50倍体積比で希釈)まで希釈し、その中から0.2 mlを取り出し、且つキャップ付き試験管の中に置く、(3回繰り返す);別途、微粒体の代わりに0.2 ml NaClを使用して本実験の対照組とする。
II. それぞれ試験管毎に2.2 ml Biuretの試薬(SIGMA, 690-A)を加え、均一に混合した後、室温で10分間放置する。
III. それぞれ試験管毎に0.1 ml folinの試薬(SIGMA, 690-A)を加え、直ちに均一混合した後、室温で30分間放置し、30分間以内に、550 nm波長における吸光密度を測定し、タンパク質(牛血清蛋白Bovine albumin)濃度-吸光値の標準曲線を利用して、前記測定された微粒体中のタンパク質含有量を計算する。
【0064】
4.UGT2B酵素活性の体外抑制を測定する方法
1. (A)溶液:17μlの1M Tris-HCl緩衝溶液、17μlの50mM MgCl2水溶液、40μlの微粒體と10μlの150mM UDPGA水溶液、
(B)溶液:体積比1:1の方式で20mMのナルブフィン水溶液及び測定すべき抑制剤を混合する、
2. (A)溶液と17μlの(B)溶液の混合液を十分混合した後、37℃で湯煎し、振動速度125 rpmで60分間反応させる、
3. 時間が終了したら、1ml ACNの中に入れて反応を中止する。
4. 4℃で、130,000 ×gの回転スピードで5分間遠心分離させる、
5. 上清液150μlを取り出し、且つ高速液体クロマトグラフ装置(HPLC)に入れてナルブフィンの濃度を分析する。
【0065】
5.ナルブフィン濃度の測定
(1) 高速液体クロマトグラフ装置の分析条件
移動相 (mobile phase) は、15酢酸ナトリウム緩衝液 (5ミリモール/リットル,pH 3) 及び85%ACNによって組成され、使用した流速は毎分1.0ミリリットル,蛍光計測器(RF-551,Shimadzu, Kyoto, 日本)の励起光波長は210 nm、放射光波長は345 nm;紫外光計測器(SPD-10A, Shimadzu, Kyoto, 日本)で使用した波長は210 nmである。
(2) 標準溶液の調製
ナルブフィンを0.5、1、2.5、5、10、15、18、20 mMの濃度に調製する。標準溶液は水で調製し、抑制剤を含むものはアルコールで希釈する。
各濃度の標準溶液を上述「4. UGT2B酵素活性の体外抑制を測定する方法」のステップで行う、但し(A)溶液中の「150mM UDPGA水溶液」は「脱イオン水」に替える。
【0066】
HPLCで分析した後、クロマトグラムのナルブフィン波峰高さの値及びその相対濃度によって作図すると、校正曲線が得られると共に、標準偏差(standard deviation, SD)・変異係数(% CV)及び誤差(% error)によって精密性及び正確性を検証することが出来る。
【0067】
(1−2)結果:
上述実験結果の漢方薬の副薬に関する部分を表2に示す。肝微粒体のナルブフィン代謝に対するカピラリシンの抑制効果が最もよく、111.077 (±21.807) % の抑制率が得られた;その他の漢方薬の副薬、イソラムネチン、β-naphthoflavone、α-naphthoflavone、へスぺリチン、ピノレジノール、(+)-リモネン、β-ミルセン、スウェルチアマリン及びエリオジクチオールなども、少なくとも約30%の抑制率が得られた。
【0068】
【表2】

【0069】
尚、上述実験結果中の賦型剤に関する部分は表3及び表4に示す。PEG 4000は肝微粒体のナルブフィン代謝に対する抑制効果が最もよく、108.222 (±3.356)% の抑制率が得られた;その他の賦型剤は、濃度によって異なるが、最良効果では、少なくとも約60%の抑制率が得られた。
【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
実施例2・UGT 2B促進剤の体外実験
(2−1)
本実施例は、実施例1に述べたのと同じステップによって行った、但し、下記表5に記した40種の漢方薬の副薬をUGT2B促進剤として採用した、これらの漢方薬の副薬はすべて商品化された純質の化合物であり、それぞれSigma Chemical Co.、Nacalai Tesque (Kyoto, Japan)及びINDOFINE Chemical Co., Inc. (Somerville, New Jersey)から購入した。これらの漢方薬の副薬の種類、名称、生薬の出所及び化学式は下記表5に示す通りである。
【0073】
【表5−1】

【0074】
【表5−2】

【0075】
【表5−3】

【0076】
【表5−4】

【0077】
【表5−5】

【0078】
【表5−6】

【0079】
【表5−7】

【0080】
(2−2)結果:
上述実験結果を表6に示す。 肝微粒体のナルブフィン代謝に対するノルジヒドログアヤレチック酸の促進効果が最もよく、-188.09(±16.566)%の抑制率が得られた、その他の漢方薬の副薬、wogonin, trans-cinnamic acid, baicalein, quercetin, daidzein, oleanolic acid, homoorientin, hesperetin, narigin, neohesperidin, (+)-epicatechin, hesperidin, liquiritin, eriodictyol,なども、少なくとも約30%の促進率が得られた。
【0081】
【表6−1】

【0082】
【表6−2】

【0083】
実施例3 口服ナルブフィンの濃度に対するUGT 2B抑制剤の影響
(3−1)材料及び方法:
1. 実験動物
動物の出所は実験用の雄ラットSprague-Dawley品種で、体重が500-600gの間にある健康なラットを主体とし、台湾実験国家科学委員会動物センター(National Laboratory Animal Breeding and Research Center, Taiwan)から購入。購入後、動物に一週間の適応期間を与え、固定温度(25 ± 1oC)、湿度及び光周期(毎日12時間光照明)下において飼育した。実験前約12-16時間禁食。実験方法は口服方式で薬物の吸収を評価した。
【0084】
2. UGT2B抑制剤とナルブフィンの調製
ナルブフィンの標準溶液は水で調製し、抑制剤はアルコールで調整した。
【0085】
3.実験方法:
i. (I.P.)3~5mg/100g体重のペントバルビタール(pentobarbital)を腹膜内に注射し、約20~30分間経過した後、ラットは深度の麻酔状態を呈した;
ii. PE-50挿管を頚部中心線右よりの頚部静脈(external jugular vein)に導入し、血液サンプルを抽出した;
iii. 実験組のラット6匹に口服方式でUGT 2B抑制剤カピラリシン (4mg/Kg体重)及びナルブフィン(100mg/Kg体重)の分量を与え、別のラット6匹には、ナルブフィン(100mg/Kg体重)の分量のみを与えて、対照組とした。それぞれ投薬後の0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、12、24時間に、PE-50挿管で0.3 mLの血液サンプルを抽出し、10000 rpmで遠心分離した後、0.1 mLの血漿で血漿中のナルブフィン濃度を分析した。
【0086】
4. ナルブフィン濃度の測定
(1) サンプルの調製
0.1 mLの血漿を10 mLの試験管に注入した後、速やかに氷水浴の中に移し、更に50 μLの内部標準(intermal standard,布皮諾芬 5 μg/mL)及び0.5 mLの炭酸ナトリウム緩衝液(0.5モール/リットル,pH=9.25)を均一に混合して、更に4 mLのノルマルヘキサン (n-Hexane)及びイソアミルアルコール(isoamyl alcohol)の混合液(体積/体積比=9:1)で血漿中の薬物を抽出し、20分間振動混合し、4℃で、1,080×gの回転速度にて15分間遠心分離を行い、水層が氷結するまで、-80℃より低い冷凍庫の中に入れ、有機層を清潔な試験管の中に移しいれ、真空遠心分離法によって有機溶剤を揮発させ、且つ100μLのACN溶出して乾燥済みの薬物を、オートピペット(autopipette)で50μLの溶出物を高速液体クロマトグラフ・システムの中に入れ、その濃度を分析した。
【0087】
(2) 高速液体クロマトグラフ装置の分析条件
移動相は15%酢酸ナトリウム緩衝液 (5ミリモール/リットル,pH=3.75) 及び85%ACNによって組成され、使用した流速は毎分1.3 Mlで、電気化学計測器(electrical chemical detector, ECD (electrochemical detector), Coulochem II, ESA)によって計測した(E1=200mv、E2=400mv、E=500mv)。
【0088】
(3) 標準溶液の調製
ACNに溶解したナルブフィン薬物を血漿によって5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、3000 ng/mL の濃度に調整した。
各濃度の標準溶液を上述「(1)サンプルの調製」のステップで行い、HPLCで分析した後、クロマトグラムのナルブフィン薬物の波峰高さの値及びその相対濃度をプロットすると、校正曲線が得られると共に、標準偏差(standard deviation, SD)・変異係数(%CV)及び誤差(%error)によって精密性及び正確性を検証することが出来る。
【0089】
(3−2)結果:
先ず、表7を参照して、薬物動力学の角度からナルブフィンの血液中の変化を検討した。対照組と実験組両者のTmax、AUC、Cmax、CL/F、V/Fには明らかな差異性が見られる、表7から、SDラットに口服式で100 mg/Kgのナルブフィン及び4mg/Kgのカピラリシンを投薬したあと、血液中最高濃度に達する時間(Tmax)は25±5minで、血液中最高濃度は(Cmax)は2582.3±906.6 ng/mlであることが分かる。一方、100 mg/Kgのナルブフィンのみを投与した場合、血液中最高濃度に達する時間(Tmax)は97±36 minで、血液中最高濃度は(Cmax)は79.31±18 ng/mlであった。
【0090】
上述結果は、カピラリシンの投薬がUGT2Bに対して抑制作用があるため、ナルブフィンの濃度を元来口服吸収した時の30倍に増加させ、絶対生体利用性が5 %から108 %に引き上げられたことを示す。
【0091】
一方、対照組と実験組両者のMRT、k、t1/2値は、明らかな差異性がなかった、この現象は、カピラリシンの投与はナルブフィンの代謝に対しては影響がないことを反映している。
【0092】
尚、第1図は、SDラットがナルブフィンを口服した後、異なる時間下でのカピラリシンの血液中ナルブフィン濃度に対する影響を表す。第1図を参照して、対照組と実験組両者は、それぞれ投薬した後、0.25時間の時に、実験組の血漿中ナルブフィンの濃度が明らかに対照組より32.68倍高く、時間が増えるに連れて、両者間のナルブフィン濃度の差異性は次第に減少している。
【0093】
【表7】

【0094】
実施例4 UGT 2B抑制剤のナルブフィン静脈注射の濃度に対する影響
(4−1)材料及び方法:
本実施例は、実施例3の中で述べた「材料及び方法」と同じ方法で行った、但し、「3. 実験方法」のステップで、更に余分に頚動脈に対する挿管のステップを増やして、静脈から投薬し、動脈から血液サンプルを取った。このステップは、前記方法中のステップiiに同じであるが、注意すべきことは、動脈クリップで用心深く心臓に近い方の血管を挟み付けて大出血を避けなければならないことで、且つ血管に差し込む距離は約2.5 cmでよい。
対照組と実験組のラットにそれぞれ投薬した後の15、20、30、45、60、90、120、180分間に、PE-50挿管によって0.3 mLの血液サンプルを抽出し、血漿中のナルブフィン濃度を分析した。
【0095】
(4−2)結果:
先ず、表8を参照して、薬物動力学の角度からナルブフィンの血液中の変化を検討した。対照組と実験組両者のAUC、Cmax、CL/F、V/Fには明らかな差異性があり、表8から分かることは、SDラットに静脈注射方式で100 mg/Kgのナルブフィン及び4mgのカピラリシンを投与した後、血液中最高濃度(Cmax)は365±119 ng/mlであることが分かる。一方、100 mg/Kgのナルブフィンのみを投与した場合、血液中最高濃度(Cmax)は154±30 ng/mlであった。
上述結果は、カピラリシンの静脈注射投与がUGT2Bに対して抑制作用があるため、ナルブフィンの濃度を対照組の32.68倍に増加させ、絶対生体利用性が2.7 ±0.4% になった。SD ラットの口服薬にカピラリシンを添加しない場合、絶対生体利用性は12.759 ±4.64%に達し、SD ラットのナルブフィン口服にカピラリシンを添加した場合、絶対生体利用性は127.85 ±36.41%に引き上げられた。
又、図2は、SDラットにナルブフィンを静脈注射した後、異なる時間下でのカピラリシンの血液中ナルブフィン濃度に対する影響を表す。図2を参照して、対照組及び実験組両者にそれぞれ投薬した後、時間の増長に伴い、両者間ナルブフィン濃度濃度の差異が次第に増加し、180分の時に、実験組の血漿中ナルブフィン濃度濃度は明らかに対照組より2.37倍高くなった。
【0096】
【表8】

【0097】
実施例5 UGT 2B抑制剤のナルブフィン口服及び静脈注射の濃度に対する比較
(5−1)材料及び方法:
本実施例は実施例3及び4の中で述べた「材料及び方法」と同じ方法で行った。
ナルブフィンをそれぞれ口服及び静脈注射した両組の対照組とナルブフィン及びカピラリシンを口服した実験組のラットに投薬した後、PE-50挿管によって0.3 Mlの血液サンプルを抽出し、血漿中のナルブフィン濃度を分析した。
【0098】
(5−2)結果:
図3は、ナルブフィンを口服及び静脈注射した両組の対照組と、ナルブフィン及びカピラリシンを口服した実験組において、SDラットの異なる時間下における血液中ナルブフィン濃度の変化を表す。
口服吸収は、主として下記三つの要素、腸胃道吸収・初回通過効果及びその他の部分の代謝、の影響を受け、一方、静脈注射は、主として初回通過効果以外の代謝の影響を受ける、従って、図3から、抑制剤を添加した口服吸収と薬物のみを静脈注射した対照組を比較すると、抑制剤が存在する場合は明らかに口服吸収の情況を改善出来、絶対生体利用性が5 %から108 %に向上し、且つ両組のAUC値は非常に近似していることが分かる、此れは、抑制剤の添加がナルブフィンの口服吸収効果を促進することを意味する。[ 注:表5と表6のデータを比較すると、表5のナルブフィン及びカピラリシン口服のAUC(総量)値は244071 ± 69510であり、一方静脈注射した対照組のAUC(総量)値は7135 ± 1218で、上述した内容と一致しないように見えるが、これはナルブフィンを口服した時の分量は100 mg / Kgで、静脈注射した時の分量は1 mg / Kgであったためである。]
【0099】
以上は、本案発明の実施例及び説明であるが、本案発明の範囲を制限するものではなく、又、当業者なら、本案発明について、その他の等価実施及び修飾を行うことが出来るが、これらの等価実施及び修飾は、すべて本案発明の特許請求範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】SDラットがナルブフィンを口服した後、異なる時間下において、血液中ナルブフィン濃度に対するカピラリシンの影響を表す。
【図2】SDラットにナルブフィンを静脈注射した後、異なる時間下において、血液中ナルブフィン濃度に対するカピラリシンの影響を表す。
【図3】ナルブフィンを口服及び静脈注射された二組のSDラット対照組と、ナルブフィン及びカピラリシンを口服した実験組の、異なる時間下にける血液中のナルブフィン濃度の変化を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式で、下記の組成グループ:ノルジヒドログアヤレチック酸(nordihydroguaiaretic acid)、オーゴニン(wogonin)、トランスケイヒ酸反式桂皮酸(trans-cinnamic acid)、バイカレイン(baicalein)、ケルセチン(quercetin)、ダイゼイン(daidzein)、オレアノール酸(oleanolic acid)、異紅草素(homoorientin)、ヘスペレチン(hesperetin)、ナリンギン(naringin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、(+)-エピカテキン((+)-epicatechin)、ヘスペリジン(hesperidin)、リクイリチン(liquiritin)、エリオジクチオール(eriodictyol)、フォルモノネチン (formononetin)、クエルシトリン (quercitrin)、ゲンクワニン(genkwanin)、ケンフェロール(kaempferol)、イソクエルシトリン(isoquercitrin)、(+)-カテキン((+)-catechin)、ナリンゲニン(naringenin)、ダイズイン(daidzin)、(-)-エピカテキン((-)-epicatechin)、ルテオリン配糖体(luteolin-7-glucoside)、エルゴステロール(ergosterol)、ルチン(rutin)、ルテオリン(luteolin)、エチル ミリステート(ethyl myristate)、アピゲニン(apigenin)、3-フェニルプロピルアセテート(3-phenylpropyl acetate)、ウンベリフェロン(umbelliferone)、グリチルリチン(glycyrrhizin)、プロトカテク酸(protocatechuic acid)、枳属(poncirin)、イソビテキシン(isovitexin)、6-ジンゲロール(6-gingerol)、シネオール(cineole)、ゲニスタイン(genistein) トランスシンナムアルデヒド(trans-cinnamaldehyde)などにより構成された化合物の中から選ばれたもの及びこれらの組み合わせによるものであることを特徴とするウリジン2リン酸-グルクロン酸転移酵素2B (UGT2B)の促進剤。
【請求項2】
ソルトフリー又は薬学上許容される塩類形式で、下記の組成グループ:ノルジヒドログアヤレチック酸(nordihydroguaiaretic acid)、オーゴニン(wogonin)、トランスケイヒ酸(trans-cinnamic acid)、バイカレイン(baicalein)、ケルセチン(quercetin)、ダイゼイン(daidzein)、オレアノール酸(oleanolic acid)、異紅草素(homoorientin)、ヘスペレチン(hesperetin)、ナリンギン(naringin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、(+)-エピカテキン((+)-epicatechin)、ヘスペリジン(hesperidin)、リクイリチン(liquiritin)、エリオジクチオール(eriodictyol)、などにより構成された化合物の中から選ばれたもの及びこれらの組み合わせによるものであることを特徴とする請求項1に記載のUGT2B促進剤。
【請求項3】
前記促進剤は、ノルジヒドログアヤレチック酸であることを特徴とする請求項1に記載のUGT2B促進剤。
【請求項4】
薬物のクリアランス比(clearance rate)を促進するための薬学的組成物であって、
(a)請求項1に記載のUGT2B促進剤の薬学的有効量と、
(b)薬学上許容されるキャリヤー剤と、
を含むことを特徴とする薬学的組成物。
【請求項5】
前記促進剤は、肝臓疾病(liver diseases)を治療するための有効量の薬物と組合わせて投薬されることを特徴とする請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記肝臓疾病には、病毒性肝炎(viral hepatitis)、慢性肝炎(chronic hepatitis)、アルコール性肝硬化(alcoholic liver cirrhosis)、代償性肝硬化(compensated cirrhosis)又は急性肝不全(hepatic failure)を含むことを特徴とする請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記薬学的組成物は、もう一つの薬学的有効量のモルヒネ類鎮痛剤(morphine-like analgesic agents)と組合わせて投薬されることを特徴とする請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記モルヒネ類鎮痛剤は、下記グループ:(-)-モルヒネ((-)-morphine)、ナロキソン(naloxone)、ナロルフィン(nalorphine)、オキシモルホン(oxymorphone)、ハイドロモルフォン(hydromorphone)、ジハイドロモルフォン(dihydromorphine)、コデイン(codeine)、ナルトレキソン(naltrexone)、ナルトリンドール(naltrindole)、ナルブフィン(nalbuphine)及びブプレノルフィン(buprenorphine)などから選ばれたことを特徴とする請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記モルヒネ類鎮痛剤は、ナルブフィンであることを特徴とする請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
注射剤タイプの形式で作られたことを特徴とする請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
口服剤タイプの形式で作られたことを特徴とする請求項4に記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−190267(P2011−190267A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108637(P2011−108637)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【分割の表示】特願2007−549784(P2007−549784)の分割
【原出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(508153567)
【Fターム(参考)】