説明

ウリプリスタール酢酸エステル錠

本発明は、ウリプリスタール酢酸エステルを以下の添加剤:少なくとも一つの賦形剤を50ないし98.5重量%、少なくとも一つの結合剤を0ないし10重量%、少なくとも一つの崩壊剤を0.5ないし10重量%、及び少なくとも一つの滑沢剤を0ないし10重量%を共に投与することを含む、経口投与のための医薬錠剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口投与のためのウリプリスタール酢酸エステル錠、ならびにそれらの製造および用途に関連する。
【背景技術】
【0002】
以前からCDB−2914として知られているウリプリスタール酢酸エステルは、本出願における文脈においては、式I:
【化1】

で示される17α−アセトキシ−11β−[4−N,N−ジメチルアミノ−フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンをあらわす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ウリプリスタール酢酸エステル及びその製剤の製造方法は、例えば、米国特許登録第4,954,490;5,073,548及び5,929,262、並びに国際公開第2004/065405号パンフレット及び国際公開第2004/078709号パンフレットに記載されている。
【0004】
ウリプリスタール酢酸エステルは、抗プロゲステロン及び抗グルココルチコイド活性を有し、避妊、特に緊急避妊、及び様々なホルモン疾患の治療における使用に提示されてきた。この化合物の性質は、さらにブライズら、Steroids. 2003 68(10−13):1013−7においてさらに記載されている。これまで、ウリプリスタール酢酸エステル (Creininら、 Obstetrics & Gynecology 2006;108:1089−1097; レヴェンスら、Obstet Gynecol. 2008, 111(5):1129−36)の経口カプセル剤を用いて臨床試験が行われてきた。この分子の性質を向上させ、臨床上の利益をもたらすには、製剤を改良する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ウリプリスタール酢酸エステルの新規な製剤に関する。より具体的には、本発明は、ミクロ化されたウリプリスタール酢酸エステルの特定の経口錠剤に関する。発明者らは、特定の条件下ウリプリスタール酢酸エステルを錠剤に製剤化すると、バイオアベイラビリティ及びそれゆえウリプリスタール酢酸エステルの有効性が促進されることを見出した。より具体的には本発明者は、多くの試験を行い、特定の型及び用量の添加剤を用いて経口錠剤として製剤化するとウリプリスタール酢酸エステルの性質が改善されることを発見した。
従って、本発明は、ウリプリスタール酢酸エステル1ないし18重量%及び以下の添加剤:賦形剤を50ないし98.5重量%、結合剤を0ないし10重量%、崩壊剤を0.5ないし10重量%及び滑沢剤を0ないし10重量%を合わせて含む、経口投与のための医薬錠剤に関する。
【0006】
好ましい態様としては、本発明は、ウリプリスタール酢酸エステルを3ないし18重量%含み、以下の添加剤:賦形剤を60ないし95重量%、結合剤を0ないし10重量%、崩壊剤を1ないし10重量%及び滑沢剤を0ないし5重量%を合わせて含む、経口投与のための医薬錠剤に関する。
他の好ましい態様としては、本発明は、ウリプリスタール酢酸エステルを3ないし18重量%、及び以下の添加剤:賦形剤を合計60ないし95重量%、クロスカルメロースナトリウムを1ないし10重量%及び滑沢剤を合計0ないし5重量%を合わせて含む経口投与のための医薬錠剤である。
ほかに好ましい態様としては、本発明は、ウリプリスタール酢酸エステルを3ないし18重量%、及び以下の添加剤:賦形剤を60ないし95重量%、結合剤を0ないし10重量%(好ましくは1ないし10重量%)、クロスカルメロースナトリウム1ないし10重量%及びステアリン酸マグネシウムを0ないし5重量%含む経口投与のための医薬錠剤である。
【0007】
驚くべきことに、発明者らは、本発明のミクロ化されたウリプリスタール酢酸エステルが、錠剤の製造において非常に良好な薬学的技術特性(特に、硬度、破砕性及び安定性)を示しただけでなく、ウリプリスタール酢酸エステルの実質的に改善された溶解プロフィールも提供することを示した。
好ましい態様としては、製剤がウリプリスタール酢酸エステル10重量%含むようデザインされていることであり、5ないし50mgウリプリスタール酢酸エステルを含むことである。
本発明のさらなる目的としては、ウリプリスタール酢酸エステル錠剤の製造方法、すなわち、上述の成分及びウリプリスタール酢酸エステルを混合し、ウリプリスタール酢酸エステルの錠剤を製造することを含むことに関する。
本発明のさらなる目的としては、それを必要とする対象に、本発明の錠剤の有効量を投与することを含む、避妊の方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的としては、上に定義したウリプリスタール酢酸エステル錠を避妊のために用いることである。
本発明の好ましい目的としては、上に定義したウリプリスタール酢酸エステル錠を緊急避妊のために用いることである。
本発明のさらなる目的としては、本発明の錠剤の有効量を必要とする対象に投与することを含む、ホルモン疾患、例えば、子宮平滑筋腫の治療方法を提供することである。
本発明のさらなる目的としては、ホルモン疾患の治療薬としての、上に定義したウリプリスタール酢酸エステル錠である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ウリプリスタール酢酸エステルの線形及び対数−線形スケールで示した平均(±標準偏差)血中濃度対時間プロフィール。ウリプリスタール酢酸エステル10mgを含む錠剤対ウリプリスタール酢酸エステル10mgを、120mg微結晶セルロース中に含むカプセルの比較。 X軸:時間(時間)Y軸:ウリプリスタール酢酸エステルの血中濃度(ng/mL)ウリプリスタール酢酸エステルの濃度を、有効較正範囲が0.100−20.0 ng/mLである、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析LC−MS/MSにより測定した。試料は、非特異的放射性イムノアッセイRIA(Bioqual Inc.)を用いて、後に再アッセイした。
【図2】ウリプリスタール酢酸エステル30mg及び以下の添加剤:乳糖一水和物79重量%、ポビドン5重量%、クロスカルメロースナトリウム5重量%及びステアリン酸マグネシウム1重量%を含む、錠剤の溶解プロフィール。X軸:時間(分)Y軸:組成物の溶解割合(%)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、改善された性質を有するウリプリスタール酢酸エステルの新規な製剤に関する。上に開示したように、本発明は、ウリプリスタール酢酸エステルを、特定の型及び用量の添加剤:
−賦形剤
−任意に結合剤
−崩壊剤及び
−滑沢剤
と組み合わせた経口錠剤に関する。用語「賦形剤」は、一つの賦形剤又は複数の賦形剤の混合物が用いられうる。同様に、用語「崩壊剤」は、一つの崩壊剤又は複数の崩壊剤の混合物が用いられうる。用語「結合剤」は、一つの結合剤又は複数の結合剤の混合物が用いられうる。用語「滑沢剤」は、一つの滑沢剤又は複数の滑沢剤の混合物が用いられうる。他を示さない限り、用語「〜の用量の賦形剤」は、それゆえ「全体の用量における、少なくとも一つの賦形剤」の類義語である。用語「〜の用量の崩壊剤」は、それゆえ「全体の用量における、少なくとも一つの崩壊剤」の類義語である。用語「〜の用量の結合剤」は、「全体の用量における、少なくとも一つの結合剤」の類義語である。用語「〜の用量の滑沢剤」は、それゆえ「全体の用量における、少なくとも一つの滑沢剤」の類義語である。
実験項において説明するように、選択された添加剤からは、良好な加工特性(圧縮率、流動性)及び改善された薬学的技術特性、すなわち良好な硬度範囲、低破砕性及び急速な崩壊性を有する錠剤を有する顆粒剤が得られる。
【0011】
成分の割合:
本発明の錠剤は:
−ウリプリスタール酢酸エステルを3ないし18重量%、好ましくは5ないし15重量%、さらに好ましくは8−12重量%を含み、以下の添加剤:
−賦形剤を50ないし98.5重量%、好ましくは60ないし95重量%、より好ましくは65ないし92重量%、さらにより好ましくは70−85重量%;
−結合剤を0ないし10重量%、好ましくは1ないし10重量%、より好ましくは1.5ないし8.5重量%、
−崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウムを、0.5ないし10重量%、好ましくは1ないし10重量%、より好ましくは1.5ないし8.5重量%、及び
−滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを、0ないし5重量%、好ましくは0.5ないし4重量%を含有する。
用語「重量%」は、組成物の総重量に対する重量による割合を示す。錠剤における内容の総割合は、足すと100となる。
【0012】
好ましい態様としては、組成物はウリプリスタール酢酸エステルが5−15重量%であり、さらにより好ましくは8−12重量%であり、より好ましくは約10重量%である。
本発明の好ましい組成物は以下を含む:
−ウリプリスタール酢酸エステルが5−15重量%であり;好ましくは8−12重量%であり、より好ましくは約10%であり、
−賦形剤が65ないし92重量%であり、
−結合剤が0ないし10重量%であり、好ましくは1ないし10重量%であり
−クロスカルメロースナトリウムが1ないし10重量%であり、及び
−ステアリン酸マグネシウムが0.5ないし5重量%であり、
上述の錠剤の成分における総割合は、足すと100である。
具体的な態様としては、ウリプリスタール酢酸エステルの用量は、1ないし50mg/錠剤であり、好ましくは5ないし30mgであり、特に10又は30mgである。
実験項において開示するように、これらの錠剤に対する相対割合は、ウリプリスタール酢酸エステルの性質を改善するために適合させている。特にこれらの結果は、カプセルに対し、錠剤の使用がバイオアベイラビリティの改善、及び特定割合の添加剤の使用及び請求項において定義するミクロ化が溶解プロフィールを改善することを示す。
【0013】
賦形剤:賦形剤は、ウリプリスタール酢酸エステルの嵩を増加させ、それにより実用的な粒子サイズが可能となるように錠剤を圧縮できるように薬学的に許容される薬剤又は薬剤の組み合わせから選択される。
好ましい態様としては、賦形剤は、適切な塩、単糖、二糖、単糖のポリオール誘導体及びそれらの水和物からなる群から選択される。用語「単糖のポリオール誘導体」は糖アルコール、例えばマンニトール、キシリトール又はソルビトールを意味する。 好ましくは、賦形剤は、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、セルロース、微結晶セルロース、乳糖一水和物及びマンニトールからなる群から選択される。例えば、出願人は、錠剤に対し、いくつかの異なる賦形剤について有効性を評価するために試験した。賦形剤の相対的有効性を評価するために異なるバッチについて試験した。
乳糖一水和物又はマンニトール70ないし85重量%に、クロスカルメロース5重量%及びステアリン酸マグネシウム1重量%を加えることにより、外観、圧縮性、及び流動性のよい錠剤が生成した。
【0014】
さらに好ましくは、賦形剤は、乳糖一水和物、微結晶セルロース及びマンニトールからなる群から選択される。
もっとも好ましい態様としては、賦形剤は、乳糖一水和物が65ないし92重量%、より好ましくは70−85重量%である。
好ましくは、賦形剤:他の添加剤(重量%:重量%)の割合は、約5ないし約25の範囲、好ましくは約7ないし約18、さらに好ましくは、約7ないし約12の範囲である。
好ましくは、賦形剤:ウリプリスタール酢酸エステル(重量%:重量%)の割合は、約5ないし約40の範囲である。
結合剤が錠剤中に含まれる場合、賦形剤:結合剤(重量%:重量%)の割合は、好ましくは、約10ないし約20の範囲である。
好ましくは、賦形剤:崩壊剤(重量%:重量%)は約10ないし約80の範囲である。
好ましくは、賦形剤:滑沢剤(重量%:重量%)は約20ないし約90の範囲である。
【0015】
結合剤:
存在する場合には、結合剤(binding agents)、又は結合剤(binders)は、凝集性の品質を粉体物質に与える薬学的に許容されるいずれかの剤(又はそれらの組み合わせ)から選択される。結合剤は、デンプン、ゼラチン、糖、例えばセルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む)、及び天然及び合成ゴム(例えば、アルギン酸塩)からなる群から選択されるものが用いられる。
有利なことに、本発明の錠剤の結合剤は、ポリマーからなる群から選択される。結合剤は、天然のポリマー物質、例えばポリサッカライド、又は合成ポリマー例えば、プラスチックポリマーである。好ましくは、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポビドンである。
【0016】
例えば、1ないし20重量%の異なる結合剤(例えば、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はトウモロコシデンプン)を含む異なる錠剤が、下に示す湿式造粒法により製造される。これらの試験に基づくと、他の用量では、(散剤の製剤化における)乾燥段階に耐え得ない、及び/又はより低い溶解プロフィールしか示さないような特定の顆粒においては、相対量として1−10重量%が保持される。ポビドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースは、どの賦形剤を用いても顆粒剤(70ないし85重量%乳糖一水和物又はマンニトール)を得られるという最良の結果を与えた。 ポビドンは、それを用いることにより非常に硬質の均一の顆粒剤が得られるため、乾燥過程に耐えうるため特に好ましい。
したがって、好ましい態様としては結合剤としてポビドンを含み、好ましくは1.5%ないし8.5重量%のポビドン、さらにより好ましくは3−7重量%、最も好ましくは、約5重量%のポビドンを含むことである。
好ましい結合剤:他の添加剤(重量%:重量%)の割合は、約0.025ないし約0.075の範囲である。
好ましい結合剤:ウリプリスタール酢酸エステル(重量%:重量%)の割合は約0.25ないし約0.75の範囲である。
好ましい結合剤:崩壊剤(重量%:重量%)の割合は、約0.5ないし約1.5の範囲である。
好ましい結合剤:滑沢剤(重量%:重量%)の割合は、約3ないし約7の範囲である。
【0017】
崩壊剤:
本発明の錠剤は、例えば、錠剤の崩壊を促進するような少なくとも1つの崩壊剤を含む。
崩壊剤は、トウモロコシデンプン、アルギン酸及びクロスカルメロースナトリウムから選択される。例えば、クロスカルメロースナトリウムは、単独で用いられてもよいし、他の崩壊剤と組み合わせてもよいが、好ましくは単独で用いられることである。
出願人により行われた実験によりクロスカルメロースナトリウムが、本発明の他の成分と組み合わせて用いられた場合には、崩壊時間を短縮し、0.5ないし10重量%、好ましくは1ないし10重量%、さらに好ましくは1.5ないし8.5重量%、及びより好ましくは4.5ないし5.5重量%、又はさらにより好ましくは約5重量%の量で存在する場合には、薬学的技術的特徴を保つことが示された。
【0018】
好ましくは、崩壊剤:他の添加剤(重量%:重量%)は、約0.005ないし約0.1の範囲である。
好ましくは、崩壊剤:ウリプリスタール酢酸エステル(重量%:重量%)は、約0.25ないし約0.75の範囲である。
好ましくは、崩壊剤:滑沢剤(重量%:重量%)は、約0.5ないし約7の範囲である。
【0019】
滑沢剤:
本発明の錠剤は、1つ以上の滑沢剤を含む。
滑沢剤は、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸マグネシウムから選択される。
好ましい態様としては、本発明の錠剤は、少なくとも1つのステアリン酸マグネシウム及び任意にタルクを含んでいてもよい。事実、発明者は、ウリプリスタール酢酸エステル錠製造過程における錠剤の原料が表面に接着することを防ぎ、製造過程において散剤の原料の流動特性を改善するのに、ステアリン酸マグネシウムが最も適していることを示した。
【0020】
ステアリン酸マグネシウムは、他の滑沢剤と組み合わせて又は単独で、0.5から4重量%の範囲の用量で用いられる。
好ましくは、滑沢剤:他の添加剤(重量%:重量%)は、約0.01ないし約0.06の範囲である。
好ましくは、滑沢剤:ウリプリスタール酢酸エステル(重量%:重量%)は、約0.1ないし約2の範囲である。
特定の態様としては、クロスカルメロースナトリウム:ステアリン酸マグネシウム (重量%:重量%)は、約0.75ないし約5であり、好ましくは約5であり、又は約1ないし約2であり、より好ましくは 約1.5又は1.7である。
【0021】
好ましい態様:
好ましくは、本発明の錠剤は、乳糖一水和物を賦形剤として、ポビドンを結合剤として含むことである。
あるいは、本発明の錠剤は、マンニトール及びセルロース(例えば、微結晶セルロース)を賦形剤として含み、結合剤を含まない。
より具体的な態様としては、錠剤は:ウリプリスタール酢酸エステル 5ないし15重量%、乳糖一水和物71ないし87重量%、ポビドン4.5ないし5.5重量%、クロスカルメロースナトリウム4.5ないし5.5重量%及びステアリン酸マグネシウム1ないし4重量%を含み、合計の割合が100である。
さらに具体的な態様としては、錠剤は:ウリプリスタール酢酸エステル10%、乳糖一水和物79重量%、ポビドン5重量%、クロスカルメロースナトリウム5重量%及びステアリン酸マグネシウム1重量%を含む。
さらに具体的な態様としては、錠剤は:ウリプリスタール酢酸エステル約10mg(6.7重量%)、微結晶セルロース約91mg(61重量%)、マンニトール約41mg(27重量%)、クロスカルメロースナトリウム約2.5mg(1.7重量%)、タルク約4 mg(2.6重量%)及びステアリン酸マグネシウム約1.5mg(1重量%)を含み、合計の割合が100である。
錠剤は、ウリプリスタール酢酸エステルが、例えば、5、10、15、20又は30mgの用量である。
【0022】
打錠:
本発明の錠剤は、好ましくは当該分野において、それ自体知られた技術により製造される。適切な方法には、直接圧縮製錠(「ドライブレンド(dry blending)」)、乾燥造粒に続く圧縮、及び湿式造粒に続く乾燥及び圧縮、を含む。いくつかの方法は、圧縮ローラー技術、例えば、チルソネーター(chilsonator)又はドロップローラー(drop roller)、又は鋳造、鋳込み、又は押し出し技術を用いることを含む。これらのすべての方法はそれ自体が当該分野において知られており、例えば、ラックマンらの「The Theory and Practice of Industrial Pharmacy」チャプター11、 1986(3.sup.rd Ed.)に記載されており、ここに参照として組み込まれる。本発明の錠剤は、コーティングされていてもいなくてもよく、及び/又は刻印されていてもいなくてもよい。
本発明の錠剤の製造の好ましい方法は、湿式造粒法である。事実、発明者は、そのような方法は、圧縮前の散剤の品質を改善し、及び錠剤の大きさを減じることを示している。より具体的には、湿式造粒法は、混合物のよりよい薬学的技術的結果、圧縮特性及び最終錠剤の質量を減少させた。
それゆえ本発明の目的は、ウリプリスタール酢酸エステル錠の製造方法、すなわち上述の成分及びウリプリスタール酢酸エステルを混合し、錠剤を形成する方法を含む。好ましい態様としては、錠剤は湿式造粒法により形成され、特にウリプリスタール酢酸エステル錠10ないし30mg、より好ましくはウリプリスタール酢酸エステル錠30mgが製造されることである。
成分は、すべて同時に、又は連続的に混合される。典型的な態様としては、賦形剤(例えば、乳糖一水和物)、ウリプリスタール酢酸エステル及び結合剤(例えば、ポビドン)は、最初に混合し、続いて、純水を添加する。この顆粒化過程に続いて乾燥過程が行われる(例えば、オーブンにおいて、約40℃又は流動空気床において、又はワンポット顆粒造粒機)。任意に、較正過程を行ってもよく、例えば、約600ないし850μm、例えば800μm、又は710μm のフレウィット(Frewitt)社製篩によって行ってもよい。続いてクロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として加えた。得られた製剤は、続いて、錠剤を得るために圧縮される(圧縮過程)。この過程を経て(顆粒化過程において加えられる)クロスカルメロースが、錠剤の外層にコーティングされ、それにより、より崩壊及び溶解しやすくなる。
【0023】
本発明の錠剤の製造においては、例えば、アビセル(登録商標)(微結晶セルロース)、スターラック(登録商標)(15%トウモロコシデンプンを含む85%乳糖一水和物)又はルディプレス(登録商標)(7%ポビドンを含む93%乳糖一水和物)のような賦形剤及び結合剤を含む、市販の混合物を用いてもよい。
他の具体的態様としては、錠剤は、特にウリプリスタール酢酸エステル錠5又は10mgの場合には、直接圧縮製錠により形成される。直接圧縮が行われる場合には、結合剤は用いない。
直接圧縮製錠の例としては、(例えば、マンニトールを用いた)被膜化ステップ(blanketing step)による方法を含み、続いてウリプリスタールを加える予備混合過程があり、続いて篩過程があり、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを加えて、一旦混合する。続いて、打錠の前に、滑沢過程があり、他の添加剤(例えば、タルク及びステアリン酸マグネシウム)を加える。当該分野の熟練は、望ましい錠剤を得るために当然そのような過程を経るであろう。
【0024】
治療用途:
本発明のウリプリスタール酢酸エステル錠は、例えば、避妊、緊急避妊を含む多くの治療用途において有用である。
本発明の錠剤は、他の用途においても有用であり、子宮内膜症、月経困難症、子宮平滑筋腫(平滑筋腫)、子宮類線維腫、過剰な子宮からの出血(月経過多)、突発性又は天然又は医原性の血液凝固障害、髄膜腫、ホルモン疾患、例えば、ホルモン応答性の癌、内分泌ホルモン依存性の癌、乳房癌、及び子宮内膜細胞増殖の阻害が含まれる。
さらに、他の抗プロゲスチン剤の同様の製剤は、例えば、国際公開第2008/083192号パンフレット又は国際公開第2008/067086号パンフレットに記載されている。
本発明のさらなる側面及び利点は、以下の実施例において開示されるが、それらは説明のためであり、本出願の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0025】
湿式造粒法により製造されたウリプリスタール酢酸エステル錠30mg
以下の成分を含有する、ウリプリスタール酢酸エステル錠30mgが製造される:
【表1】

乳糖一水和物 79重量%、ウリプリスタール酢酸エステル10重量%及びポビドン5重量%を混合し、純水を加えた。この顆粒化過程の直後に、40℃のオーブンにて乾燥過程を行った。続いて、較正過程をフレウィット社の630μm 篩を用いて行った。クロスカルメロースナトリウム5重量%及びステアリン酸マグネシウム1重量%を滑沢化過程において加えた。得られた製剤を圧縮して錠剤とした。
【実施例2】
【0026】
湿式造粒法により製造した他のウリプリスタール酢酸エステル錠
本発明の更なる組成物は以下の成分を含む:
【表2】

【実施例3】
【0027】
直接圧縮製錠法で製造したウリプリスタール酢酸エステル錠10mg
以下の成分を含んだウリプリスタール酢酸エステル錠10mgを準備した:
【表3】

この錠剤は、マンニトール及びウリプリスタール酢酸エステルを混合し、続いて、例えば315μmメッシュサイズの篩にかけ、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを加えることにより製造した。続いて、タルク及びステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として加え、均一化した。混合物の直接圧縮製錠法により打錠した。添加剤の量は、重量%にして同一となるように調整した(例えば、半分又は二倍)。ウリプリスタール酢酸エステル10mg及び同じ添加剤を含む総重量75、150、300mgの錠剤は、表3に従い製造される。
【実施例4】
【0028】
バイオアベイラビリティ研究
10mg錠剤(実施例3に従い製造した)及び異なるウリプリスタール酢酸エステルカプセル製剤について相対的バイオアベイラビリティ研究、及び薬物動態プロフィール特性の研究を行った。血漿又は血清中のウリプリスタール酢酸エステルの測定おいては、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析LC−MS/MSを含む、様々なアッセイ方法が用いられている。交差反応する代謝物の存在のため、RIAでは循環血中において親化合物ウリプリスタール酢酸エステルを交差反応性の代謝物と区別することができず、それゆえこの方法を用いた結果は、ウリプリスタール酢酸エステル及びその交差反応性の代謝物の合計量を表している。LC−MS/MSは、閉経期及び非閉経期のヒト血漿及び血清の測定のために開発され、ウリプリスタール酢酸エステル及びその薬理活性代謝物である17α−アセトキシ−11β−[4−N−メチルアミノ−フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンの分離及び決定を行うことができる。
相対的バイオアベイラビリティの研究は、非選択的RIAを用いた試料の再アッセイを含み、それにより、用いた分析方法にかかわらず他の試験からの結果を比較できる参照点を提供できる。
相対的バイオアベイラビリティの研究は、ウリプリスタール酢酸エステル製剤の異なる製剤間における薬物動態の橋かけ研究となっている。試験した製剤にはミクロ化されたウリプリスタール酢酸エステル中、微結晶セルロース120mgを含む10mgカプセル及びウリプリスタール酢酸エステル錠10mgが含まれる。実験は、ウリプリスタール酢酸エステル及びその代謝物について、2つの製剤間で、バイオアベイラビリティ及び生物等価性を比べることにより行われた。下の表4に開示するとおり、以下のPKパラメータ値(平均 ± 標準偏差又は範囲) : Cmax: 56.7 ± 29.1 ng/mL、Tmax: 0.63時間(平均範囲: 0.50−2.00時間)、 AUC0−t: 171.79 ± 85.59 時間.ng/mL:となる場合に最良の吸収プロフィールが、錠剤において見られた。
用語「Cmax」は、ウリプリスタール酢酸エステルの血漿中濃度の最高値を表す。
用語「AUC0−t」は、時間0ないしtにおける、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)を表す。用語「標準偏差(SD)」は、標準偏差をあらわす。
【表4】

(1): メジアン
バイオアベイラビリティ研究の結果から、ウリプリスタール酢酸エステルは、カプセルに比べると錠剤の方が吸収が早く、総バイオアベイラビリティがよい。ウリプリスタール酢酸エステルの錠剤の平均 Cmax及びAUC0−tは、最もよい場合では、カプセルと比べそれぞれ95%及び40%高くなった(図1参照)。この傾向は、モノ脱メチル化された活性代謝物の17α−アセトキシ−11β−[4−N−メチルアミノ−フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンの平均 Cmax 及びAUC0−tにも影響し、それぞれ錠剤はカプセルに対し、92%及び25%高かった。
カプセル組成物中に存在する脂質又は界面活性剤が、化合物の即時の溶解を達成するのに補助となっていると考えられており、胃及び小腸において吸収を容易にし、より好ましくは小腸、すなわち下部GIT(胃腸管)である。しかし、発明者により得られた結果は驚くべきことに、カプセル製剤と比較して、錠剤がより速やかに吸収され、より高い血中濃度ピークを示し、及びAUC測定試験及び親化合物及び代謝物を無限大に外挿した場合には、より大きな総バイオアベイラビリティを示した。
これらの薬物動態結果は、カプセルよりも、錠剤において有利であった。
【実施例5】
【0029】
実施例1の錠剤の溶解プロフィール
実施例1の錠剤も含め、様々な錠剤について溶解試験を行った。溶解試験は、欧州薬局方総合各条2.9.3章に従い行った:
−パドル装置
−溶解媒体:0.1N HCl
−回転速度:50rpm
−温度:37℃ ± 0.5℃
図2に示した結果は、錠剤は、完全に、速やかに溶解したことを示す。
【実施例6】
【0030】
相対的溶解プロフィール
表5は、それぞれ異なる割合の成分を含む、実施例1及び3の錠剤の相対的溶解プロフィールを示す。予想外に、実施例1の錠剤は、実施例3の錠剤よりもずっとよい溶解プロフィールを示し、ウリプリスタール酢酸エステル製剤の特定の添加剤及び割合が重要であることを示している。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%が、組成物の総重量中の重量による割合であることを示し、ウリプリスタール酢酸エステルを3ないし18重量%及び以下の添加剤:
すなわち、賦形剤を60ないし95重量%、結合剤を0ないし10重量%、クロスカルメロースナトリウムを1ないし10重量%、及びステアリン酸マグネシウムを0ないし5重量%を共に含む、経口投与のための医薬錠剤。
【請求項2】
結合剤が、1ないし10重量%である請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
賦形剤が、65ないし92重量%である請求項1又は2に記載の錠剤。
【請求項4】
結合剤が、1.5ないし8.5重量%である請求項1ないし3のいずれかに記載の錠剤。
【請求項5】
クロスカルメロースナトリウムが、1.5ないし8.5重量%である請求項1ないし4のいずれかに記載の錠剤。
【請求項6】
ステアリン酸マグネシウムが0.5ないし4重量%である請求項1ないし5のいずれかに記載の錠剤。
【請求項7】
ウリプリスタール酢酸エステルを10重量%含む請求項1ないし6のいずれかに記載の錠剤。
【請求項8】
ウリプリスタール酢酸エステルを5ないし30mgを含む請求項1ないし7のいずれかに記載の錠剤。
【請求項9】
賦形剤が、単糖、二糖、単糖のポリオール誘導体、及びそれらの水和物からなる群から選択される請求項1ないし8のいずれかに記載の錠剤。
【請求項10】
賦形剤が、乳糖一水和物及びマンニトールからなる群から選択される請求項9に記載の錠剤。
【請求項11】
結合剤が、ポリマーからなる群から選択される請求項1ないし10のいずれかに記載の錠剤。
【請求項12】
結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポビドンからなる群から選択される請求項11に記載の錠剤。
【請求項13】
賦形剤が、乳糖一水和物であり、結合剤がポビドンである請求項1ないし12のいずれかに記載の錠剤。
【請求項14】
ウリプリスタール酢酸エステルを6ないし12重量%、乳糖一水和物を71ないし87重量%、ポビドンを4.5ないし5.5重量%、クロスカルメロースナトリウムを4.5ないし5.5重量%、及びステアリン酸マグネシウムを1ないし4重量%含む請求項1ないし13のいずれかに記載の錠剤。
【請求項15】
ウリプリスタール酢酸エステルを10重量%、乳糖一水和物を79重量%、ポビドンを5重量%、クロスカルメロースナトリウムを5重量%、及びステアリン酸マグネシウムを1重量%含む請求項14に記載の錠剤。
【請求項16】
該方法が、成分及びウリプリスタール酢酸エステルを混合し、好ましくは湿式造粒法又は直接圧縮製錠法により打錠するものである請求項1ないし15のいずれかに記載のウリプリスタール酢酸エステル錠の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−511041(P2012−511041A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540058(P2011−540058)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066652
【国際公開番号】WO2010/066749
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510207461)
【氏名又は名称原語表記】LABORATOIRE HRA−PHARMA
【Fターム(参考)】