説明

エアギャップ測定方法及びアキシャルギャップ型回転機の製造方法及びアキシャルギャップ型回転機

【課題】回転軸と垂直な方向からエアギャップを測定することが困難な場合であっても、異なる方向からエアギャップを測定できるエアギャップ測定方法を提供する。
【解決手段】固定子1は表面1aを有している。貫通孔11は固定子1を貫通して表面1a上で開口している。回転子2は回転軸において表面1aと対面する表面2aを有している。例えばゲージを貫通孔11に挿入して、回転軸における表面1aと表面2aの間の間隔(エアギャップの間隔)を測定する。よって、回転軸と垂直な方向からエアギャップを測定することが困難な場合であっても、異なる方向からエアギャップを測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアギャップ測定方法及びアキシャルギャップ型回転機の製造方法及びアキシャルギャップ型回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはアキシャルギャップ型モータを搭載した圧縮機が例示されている。アキシャルギャップ型モータでは、回転軸に沿って所定のエアギャップを介して回転子と固定子が対面している。
【0003】
一般的に、アキシャルギャップ型回転機の組立又は検査において、回転軸と垂直な方向から例えば厚みゲージを挿入してエアギャップを測定している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−52657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば密閉型圧縮機にアキシャルギャップ型モータを適用した場合、回転軸の周囲で固定子及び回転子がケースに覆われるため、回転軸に垂直な方向から厚みゲージをエアギャップに挿入できない。
【0006】
そこで、本発明は、回転軸と垂直な方向からエアギャップを測定することが困難な場合であっても、異なる方向からエアギャップを測定できるエアギャップ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第1の態様は、第1表面(1a;2b;3a;100a;200b)を有する第1磁性体(1;2;3;100;200)と、所定の軸(P)において前記第1表面と対面する第2表面(2a;3a;2b;200a;300a)を有する第2磁性体(2;3;2;200;300)とを備え、前記第1磁性体は自身を貫通して前記第1表面上で開口する貫通孔(11;21;31;110;210)を有する、アキシャルギャップ型回転機において、前記軸の延在方向における前記第1表面と前記第2表面との間のエアギャップの間隔を測定するエアギャップ測定方法であって、前記貫通孔を経由して前記間隔を測定する。
【0008】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第2の態様は、第1の態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第1磁性体(1;2;3;100,200)は、前記軸(P)の延在方向において前記第1表面(1a;2b;3a;100a;200a)と反対側に位置する第3表面(1b;2a;3b;100b;200a)を有し、前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記第3表面から前記第1表面に向かって前記第1磁性体を貫通しており、前記貫通孔(11;21;31;110;210)を経由して前記第3表面から前記第2表面(2a;3a;2b;200a;300a)までの第1の長さ(L1)を測定し、前記第1の長さから、前記第3表面から前記第1表面までの第2の長さ(L2)を減算して前記間隔を測定する。
【0009】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第3の態様は、第1又は第2の態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記貫通孔(11;21;31;110;210)にゲージ(4)を挿入して前記間隔を測定する。
【0010】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第4の態様は、第3の態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記貫通孔(11;21;31;110;210)は第3表面(1b;2a;3b;110b;210a)で先太形状を有している。
【0011】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第5の態様は、第1又は第2の態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記貫通孔(11;21;31;110;210)を経由する光の行路を測定して前記間隔を測定する。
【0012】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第6の態様は、第1乃至第5の何れか一つの態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記軸(P)の延在方向に平行である。
【0013】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第7の態様は、第1乃至第5の何れか一つの態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記軸(P)に対して傾斜している。
【0014】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第8の態様は、第1乃至第7の何れか一つの態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記軸(P)を中心とする径方向で複数設けられ、前記複数の前記貫通孔を経由して前記間隔を測定する。
【0015】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第9の態様は、第1乃至第8の何れか一つの態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第1磁性体(1;3;200)は、前記軸(P)の周囲で環状に配され、前記軸の延在方向において両端(12a,12b;32a,32b;220a,220b)を有する複数のティース(12;32;220)を備え、前記ティースの一端(12a;32a;220b)は前記第1表面(1a;3a;200b)を有し、前記貫通孔(11;31;210)は前記両端の間で貫通する。
【0016】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第10の態様は、第1乃至第8の何れか一つの態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第1磁性体(2)は、前記軸(P)を中心とした周方向に沿って配置された複数の永久磁石(22;120)と、前記周方向において隣り合う前記永久磁石同士の間に配置される部材(24;25;140)とを備え、前記部材は前記第1表面(2b;100a)を有し、前記貫通孔(21;110)は前記部材に設けられる。
【0017】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第11の態様は、第10の態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第1磁性体(2;100)は、前記第2磁性体(3;200)側で前記永久磁石(22)と接する磁性体コア(23;130)を更に備え、前記部材(24; 25;140)及び前記磁性体コアは前記第1表面(2b;100a)を有し、前記部材にかかる第1表面は、前記磁性体コアにかかる第1表面よりも前記第2磁性体側に突出している。
【0018】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第12の態様は、第10の態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第1磁性体(2;100)は、前記第2磁性体(3;200)側で前記永久磁石(22)と接する磁性体コア(23;130)を更に備え、前記部材(24; 25;140)及び前記磁性体コアは平面状の前記第1表面(2b;100a)を有する。
【0019】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第13の態様は、第1乃至第12の何れか一つの態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第2磁性体(2)は前記軸(P)の延在方向において前記第2表面(2a)と反対側に位置する第4表面(2b)を有し、前記アキシャルギャップ型回転機は、前記第4表面(2b)と所定の第2エアギャップを形成して対面する第5表面(3a)を有する第3磁性体(3)を更に備え、前記第3磁性体は、自身を貫通して前記第5表面上で開口する第2貫通孔(31)を有しており、前記第2貫通孔を経由して前記軸の延在方向における前記第2エアギャップの間隔を測定する。
【0020】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第14の態様は、第1乃至第12の何れか一つの態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第2磁性体(2;200)は前記軸(P)の延在方向において前記第2表面(2a;200a)と反対側に位置する第4表面(2b;200b)を有し、前記アキシャルギャップ型回転機は、前記第4表面(2b;200b)と所定の第2エアギャップを形成して対面する第5表面(3a;300a)を有する第3磁性体(3;300)を更に備え、前記第2磁性体は前記2表面と第4表面との間で貫通する第2貫通孔(21;210)を有しており、前記第2貫通孔を経由して前記軸の延在方向における前記第2エアギャップの間隔を測定する。
【0021】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第15の態様は、第14の態様にかかるエアギャップ測定方法であって、前記第1磁性体(1;100)及び前記第2磁性体(2;200)は前記軸(P)を中心として相対的に回転し、前記貫通孔(11;110)を延在して前記第2表面(2a;200a)と交わる位置と前記軸(P)との距離は、前記第2表面上の前記第2の貫通孔(21;210)の位置と前記軸との距離と相違する。
【0022】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の製造方法の第1の態様は、第1表面(1a;2b;3a;100a;200b)を有する第1磁性体(1;2;3;100;200)と、第2表面(2a;3a;2b;200a;300a)を有し、所定の軸(P)の周囲で前記第1磁性体と相対的に回転する第2磁性体(2;3;2;200;300)とを備え、前記第1磁性体は自身を貫通して前記第1表面上で開口する貫通孔(11;21;31;110;210)を有するアキシャルギャップ型回転機の製造方法であって、(a)所定の軸において前記第1表面と前記第2表面とを対面させる工程と、(b)前記工程(a)の実行後に、前記貫通孔を経由して前記軸の延在方向における前記第1表面と前記第2表面との間隔を測定する工程と、(c)前記工程(b)の実行後に、前記間隔を固定する工程とを実行する。
【0023】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の製造方法の第2の態様は、第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転機の製造方法であって、前記アキシャルギャップ型回転機は、第3表面(3a)を有し、前記軸(P)の周囲で前記第2磁性体(2)に対して相対的に回転する第3磁性体(3)を更に備え、前記第3磁性体は自身を貫通して前記第3表面上で開口する第2貫通孔(31)を有しており、(d)前記工程(c)の実行後に、前記延在方向において前記第2表面と反対側で前記第2磁性体が有する第4表面(2b)と、前記第3表面とを対面させる工程と、(e)前記工程(d)の実行後に、前記第2貫通孔を経由して、前記延在方向における前記第3表面及び前記第4表面の間隔を測定する工程と、(f)前記工程(e)の実行後に、前記第3表面及び前記第4表面の間隔を固定する工程とを更に実行する。
【0024】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の製造方法の第3の態様は、第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転機の製造方法であって、前記アキシャルギャップ型回転機は、第3表面(1a)を有し、前記軸(P)の周囲で前記第1磁性体(2)に対して相対的に回転する第3磁性体(1)を更に備え、前記第3磁性体は自身を貫通して前記第3表面上で開口する第2貫通孔(11)を有し、(d)前記工程(c)の実行後に、前記延在方向において前記第1表面と反対側で前記第1磁性体が有する第4表面(2a)と、前記第3表面とを対面させる工程と、(e)前記工程(d)の実行後に、前記第2貫通孔を経由して、前記延在方向における前記第3表面と前記第4表面との間隔を測定する工程と、(f)前記工程(e)の実行後に、前記第3表面及び前記第4表面の間隔を固定する工程とを更に実行する。
【0025】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の第1の態様は、所定の軸(P)の周囲で環状に配置され、前記軸の延在方向において両端(12a,12b;32a,32b)を有する複数のティース(12;32;220)と、前記延在方向において前記複数の前記ティースの一端と所定のエアギャップを形成して配置された界磁子(2;300)とを備え、前記ティースの少なくとも一つには、前記延在方向における両端の間で貫通する貫通孔(11,31,210)が設けられている。
【0026】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の第2の態様は、所定の軸(P)を中心とした周方向に沿って配された複数の永久磁石(22;120)と、前記周方向において隣り合う前記永久磁石同士の間に配置され、前記軸の延在方向において両端を有し、前記両端の間で貫通する貫通孔(21;210)が設けられた部材(24;140)と、前記延在方向において前記永久磁石と所定のエアギャップを形成して配置されるティース(12,32,120,320)とを備える。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第1の態様によれば、所定の軸に垂直な方向から第1表面と第2表面との間の距離を測定してエアギャップの間隔を測定することが困難な場合に、当該方向とは別の方向から貫通孔を介してエアギャップの間隔を測定することができる。
【0028】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第2の態様によれば、第1の態様にかかる記載のエアギャップ測定方法の実現に寄与する。
【0029】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第3の態様によれば、容易に第1の長さを測定できる。
【0030】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第4の態様によれば、ゲージを貫通孔に挿入しやすい。
【0031】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第5の態様によれば、光学式の測定器を用いていることができ、短時間でエアギャップの間隔を測定できる。
【0032】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第6の態様によれば、直接にエアギャップの間隔を測定できる。
【0033】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第7の態様によれば、より長い長さを測定するので、測定精度を向上することができる。
【0034】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第8の態様によれば、複数の貫通孔を介してエアギャップの間隔を測定するので、測定精度を向上できる。また、径方向に依存にしてエアギャップの間隔が変化するアキシャルギャップ型回転機にも容易に適用することができる。
【0035】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第9の態様によれば、第1乃至第8の何れかの態様に係るエアギャップ測定方法の実行に寄与する。
【0036】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第10の態様によれば、永久磁石に貫通孔を設ける場合に比べて、永久磁石が呈する磁束密度の低下を防止することができる。
【0037】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第11の態様によれば、部材にかかる位置でのエアギャップの間隔を測定している。部材にかかる第1表面は磁性体コアにかかる第1表面よりも第2磁性体側に突出しているので、磁性体コアにかかるエアギャップの間隔が測定結果よりも小さくなることを防ぐ。
【0038】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第12の態様によれば、部材にかかる位置でのエアギャップの間隔を測定している。部材にかかる第1表面は磁性体コアにかかる第1表面と同一平面上にある。よって磁性体コアにかかる位置でのエアギャップが測定精度を向上することができる。
【0039】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第13の態様によれば、軸に垂直な方向からエアギャップの間隔及び第2エアギャップの間隔を測定することが困難な場合に、当該方向とは別の方向から貫通孔及び第2貫通孔を介してエアギャップの間隔及び第2エアギャップの間隔をそれぞれ測定することができる。
【0040】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第14の態様によれば、軸に垂直な方向からエアギャップの間隔及び第2エアギャップの間隔を測定することが困難な場合に、当該方向とは別の方向から貫通孔及び第2貫通孔を介してエアギャップの間隔及び第2エアギャップの間隔をそれぞれ測定することができる。
【0041】
本発明にかかるエアギャップ測定方法の第15の態様によれば、貫通孔の延在方向において、第1表面上の貫通孔の位置と、第2表面上の第2貫通孔の位置が対面することを防止できる。
【0042】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の製造方法の第1の態様によれば、所定の軸に垂直な方向から第1表面と第2表面との間の間隔を測定することが困難な場合であっても、当該方向とは別の方向から貫通孔を経由して当該間隔を測定しながらアキシャルギャップ型回転機を製造できる。
【0043】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の製造方法の第2及び第3の態様によれば、軸に垂直な方向から、第1表面と第2表面との間隔及び第3表面と第4表面との間隔を測定することが困難な場合であっても、当該方向とは別の方向から貫通孔及び第2貫通孔を経由して第1表面と第2表面との間隔及び第3表面と第4表面との間隔をそれぞれ測定しながらアキシャルギャップ型回転機を製造できる。
【0044】
本発明にかかるアキシャルギャップ型回転機の第1及び第2の態様によれば、軸に垂直な方向からエアギャップの間隔を測定することが困難な場合であっても、貫通孔を経由して、軸の延在方向におけるエアギャップの間隔を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
第1の実施の形態.
本発明に係る第1実施の形態について図を参照して説明する。図1は、アキシャルギャップ型回転機(以下、回転機と呼ぶ)の内部構成の一例を、回転軸に沿って分離して示した概念的な斜視図である。図2は、図1に示す回転機のA−A断面における側面図であって、回転機の完成品の概念的な構成図を示している。図3は、図1に示す貫通孔11(後述する)を通る周方向における回転機の一部の断面を示している。
【0046】
まず、回転機の内部構成について説明し、その後に完成品について説明する。
【0047】
図1〜3を参照して、回転機は、固定子1,3と、回転子2とを備えている。固定子1、回転子2、固定子3は回転軸Pに沿ってこの順で配置されている。図3を参照して、固定子1は表面1aと、回転軸Pの延在方向(以下、軸P方向と呼ぶ)において表面1aと反対側に位置する表面1bとを有している。回転子2は、軸P方向において表面1aと対面する表面2aと、軸P方向において表面2aと反対側に位置する表面2bとを有している。固定子3は、軸P方向において表面2bと対面する表面3aと、軸P方向において表面3aと反対側に位置する表面3bとを有している。
【0048】
表面1a,2aは第1エアギャップを形成し、表面2b,3aは第2エアギャップを形成している。
【0049】
図1〜3を参照して、固定子1は、貫通孔11と、複数(ここでは12個)のティース12と、バックヨーク13と、電機子巻線14とを備えている。
【0050】
バックヨーク13は例えば回転軸Pを中心とした周縁を有する円環状の形状を有しており、表面1bを有している。
【0051】
複数のティース12は回転軸Pの周囲で環状に配されており、複数のティース12の各々は軸P方向において両端12a,12bを有している。これら複数のティース12は、表面2bと反対側に位置するバックヨーク13の面上に設けられ、バックヨーク13によって端12b同士が連結されている。ティース12の端12aは表面1aを有している。なお、ティース12は、端12a側で鍔形状を有していてもよい。
【0052】
ティース12及びバックヨーク13は、透磁率の高い磁性体(例えば鉄)により構成され、渦電流損を低減するために少なくとも磁束の流れに直交する方向に対して固有抵抗が高い構成になっている。ティース12及びバックヨーク13は、例えば圧粉鉄心や電磁鋼板により構成することができる。なお、ティース12及びバックヨーク13からなる部分を、表面1a,1bを有する磁性体と把握できる。
【0053】
貫通孔11は固定子1を貫通し、表面1a上で開口している。より具体的には、貫通孔11は例えば表面1a,1bの間でバックヨーク13及びティース12を軸P方向に貫通している。なお、貫通孔11は両端12a,12bの間でティース12を貫通していると把握することもできる。貫通孔11はティース12の内部の磁路を妨げないように、できるだけ小さいことが望ましい。
【0054】
貫通孔11は回転軸Pを中心とした周方向(以下、単に周方向)において少なくとも一つ以上、のぞましくは複数個略等間隔に設けられる。図1においては、4つの貫通孔11が周方向に略等間隔に設けられている。略等間隔とすることにより、貫通孔の有無による磁気的アンバランスが回転力に与える影響を低減することができる。
【0055】
ティース12及びバックヨーク13が例えば圧粉鉄心により構成されている場合は、これらの形状を成形する際に貫通孔11を設けて成形してもよく、貫通孔11の形状を含めずに成形した後に加工により貫通孔11を設けてもよい。また、ティース12が例えば径方向に積層された電磁鋼板で構成される場合は、周方向に分離された数枚の電磁鋼板により、貫通孔11を形成することができる。
【0056】
電機子巻線14は、図1においてはティース12と分離されて示されているが、実際は図2に示すように、回転軸Pと平行な軸を中心としてティース12に巻回されている。なお、図1,2においては、電機子巻線14は集中巻によりティース12に巻回されているが、これに限らず分布巻により巻回されていてもよい。
【0057】
なお、本願で特に断らない限り、電機子巻線は、これを構成する導線の一本一本を指すのではなく、導線が一纏まりに巻回された態様を指す。これは図面においても同様である。また、巻き始め及び巻き終わりの引き出し線、及びそれらの結線も図面においては省略した。
【0058】
回転子2は、複数(ここでは8個)の永久磁石22と、磁性体コア23,24と、非磁性体ホルダ25を備えている。なお、図1において非磁性体ホルダ25は省略して示されている。非磁性体ホルダ25については後に述べる。
【0059】
複数の永久磁石22は、軸P方向に着磁されており、周方向に沿って配置されて当該周方向において交互に異なる磁極を呈している。
【0060】
磁性体コア23は、透磁率の高い磁性体(例えば鉄)であって、軸P方向において永久磁石22の両側に設けられる。磁性体コア23は例えば圧粉鉄心により構成することができる。磁性体コア23は永久磁石22と反対側の面で表面2a,2bの一部をそれぞれ有している。なお、固定子1側の磁性体コア23は軸P方向において固定子1側で永久磁石22と接すると把握でき、固定子3側の磁性体コア23は軸P方向において回転子2側で永久磁石22と接すると把握できる。
【0061】
磁性体コア23は必須の構成要件ではないが、永久磁石22の減磁を防止するとともに、永久磁石22が焼結のネオジウム系であれば、永久磁石22の内部に発生する渦電流を低減することができる。磁性体コア23を設けない態様であれば、永久磁石22の固定子1側の面が表面2aの一部となり、固定子3側の面が表面2bの一部となる。永久磁石22は磁性体であって、その表面が表面2a,2bの一部となる。
【0062】
磁性体コア24は、透磁率の高い磁性体(例えば鉄)であって、周方向において隣り合う永久磁石22同士の間に配置されている。磁性体コア24は例えば圧粉鉄心や、径方向に積層された電磁鋼板により構成することができる。磁性体コア24は表面2a,2bを有している。なお、磁性体コア24も必須の要件ではないが、q軸インダクタンスを向上できるので、q軸インダクタンスとd軸インダクタンスの差に起因して発生するリラクタンストルクを、マグネットトルクにあわせて利用することができる。
【0063】
また、磁性体コア23にかかる表面2aと、磁性体コア24にかかる表面2aは同一平面であることが望ましいが、磁性体コア23,24が互いに別体で構成されるので同一平面を実現するのは困難である。この場合、磁性体コア24にかかる表面2aは磁性体コア23にかかる表面2aに比べて、固定子1側に突出していることが望ましい。磁性体コア24にかかる表面2bと、磁性体コア23にかかる表面2bについても同様である。なお、図3においては、軸P方向における磁性体コア23,24の段差を誇張して示している。この点については後述する。
【0064】
固定子3は、貫通孔31と、複数のティース32と、バックヨーク33と、電機子巻線34とを備えている。固定子3は固定子1と同一の形状を有しているので、詳細な説明を省略する。
【0065】
次に、図2を参照して、回転機の完成品について説明する。固定子1,3と回転子2とは、上面部51、下面部52、側面部53からなるケースに収納されている。
【0066】
シャフト5は、軸受けをそれぞれ有する上面部51及び下面部52と、回転軸Pを中心として回転可能に固定されている。また、回転軸Pを含む領域で固定子1,3、回転子2を貫通する。
【0067】
回転子2は上面部51と下面部52との間でシャフト5に固定されている。より具体的には、例えば非磁性体ホルダ25によって、永久磁石22、磁性体コア23,24の相互間が固定されると共に回転子2が例えば焼き嵌め等によりシャフト5に固定される。
【0068】
固定子1は上面部51と回転子2との間で,固定子3は回転子2と下面部52との間でそれぞれ側面部53と例えば焼き嵌め等により固定されている。
【0069】
このような構成の回転機において、表面1a,2aからなる第1エアギャップの間隔、表面2b,3aからなる第2エアギャップを測定する方法について説明する。図4は回転機の組立中若しくは組立後に、第1エアギャップを測定する際のエアギャップ測定方法を説明するための図である。
【0070】
まずステップS11にて、固定子1を、上面部51が取り付けられた側面部53に固定する。そして、次に、ステップS12にて、回転子2が取り付けられたシャフト5を、固定子1、上面部51へとこの順で貫挿して、軸P方向において固定子1を回転子2と対面させる。そして、シャフト5と上面部5とを回転可能に固定して、固定子1に対して回転子2を固定する。
【0071】
次に、ステップS13にて、貫通孔11を経由して、軸P方向における表面1aと表面2aとの間の間隔(以下、第1エアギャップの間隔と呼ぶ)を測定する。
【0072】
より具体的には、例えば図5に示すように、表面1b側から貫通孔11にゲージ4を挿入して、例えば磁性体コア23にかかる表面2aに当接した状態でゲージ4を止める。そして、ゲージ4を読み取って表面1b,2aの間の長さL1を測定する。なお、このステップは、貫通孔11を経由して表面1bから表面2aまでの長さを測定する、と把握することができる。
【0073】
なお、図6に示すように、貫通孔11は表面1b側で先太形状を有していてもよい。この場合であれば、ゲージ4を表面1b側から貫通孔11に挿入しやすい。他方、表面1a側においては先太形状を有していないことが望ましい。貫通孔11は、表面1b側近傍において、バックヨーク13の内部の磁束の流れを阻害しにくいが、表面1a側においてはティース12の内部の磁束の流れを妨げるからである。
【0074】
そして、再び図5を参照して、測定した長さL1から、軸P方向における表面1a,1bの間の長さL2を減算して第1エアギャップの間隔を測定する。長さL2は、例えば予め精度良く製造された回転子2の設計値を用いてよい。なお、永久磁石22が既に着磁されている場合は、例えば非磁性体のゲージ4を用いて測定するとよい。
【0075】
ゲージ4を用いて第1エアギャップの間隔を測定することは必須ではなく、例えば図7,8に示すように、光学測定器41によって貫通孔11を経由する光の行路長を測定して第1エアギャップの間隔を測定してもよい。
【0076】
より具体的には、例えば図7に示すように、光学測定器41からの光を表面1b側から貫通孔11に入射し、表面2aで反射した光を、貫通孔11を介して受光して光学測定器41から表面2aまでの長さL3を測定する。続いて、図8に示すように、光学測定器41からの光を表面1bに照射し、当該表面1bで反射した光を受光して、光学測定器41から表面1bまでの長さL4を測定する。なお、長さL3を測定した際の、軸P方向における光学測定器41と固定子1と間の長さは、長さL4を測定した際の、軸P方向における光学測定器41と固定子1との間の長さは同一である。また長さL3の測定と長さL4の測定はいずれが先に実行されても良く、同時に実行されてもよい。
【0077】
そして長さL3から長さL4を減算して長さL1を測定する。なお、この工程は、貫通孔11を経由して表面1bから表面2aまでの長さを測定する、と把握することができる。この場合であれば、光学測定器41を用いているので、短時間で第1エアギャップの間隔を測定することができる。
【0078】
なお、貫通孔11が磁性体コア24にかかる表面1a上に位置するように回転子2を回転させて、貫通孔11を経由して第1エアギャップを測定してもよい。この場合、磁性体コア24にかかる表面1aは、磁性体コア23にかかる表面1aより固定子1側に突出しているので、磁性体コア23にかかる第1エアギャップの間隔が測定値よりも短くなることを防止できる。
【0079】
なお、複数(例えば4つ)の貫通孔11が設けられている場合は複数の貫通孔11の各々を経由して複数個所で第1のエアギャップの間隔を測定してもよい。
【0080】
次に、ステップS14にて、測定値(第1エアギャップの間隔)が規定の範囲内か否かを判断する。
【0081】
ステップS14で判断した結果、規定の範囲内であればステップS15にて良品であると判断する。規定の範囲を越えていればステップS16にて不良品であると判断する。なお、ステップS13にて、複数の貫通孔11の各々を経由して複数箇所で第1エアギャップの間隔を測定した場合は、ステップS14にてこれら複数の測定値の各々が規定の範囲内か否かを判断し、全ての測定値が規定の範囲内であればステップS15にて良品と判断し、いずれか一つの測定値が規定の範囲を越えていればステップS16で不良品と判断してもよい。
【0082】
また、ステップS13にて例えば回転子2を回転させて一つの貫通孔11につき複数個所で第1エアギャップの間隔を測定することもできる。この場合、測定結果の精度を向上することができる。なお予め測定箇所を把握できるように、回転子2又はシャフト5に基準となる目印をつけてもよい。
【0083】
第2エアギャップの間隔を測定する方法ついて簡単に説明する。例えばステップS11〜16を実行して固定子1、回転子2を固定した後に、シャフト5を介して固定子3を回転子2と対面させる。つまり、軸P方向において表面2b,3aを対面させる。そして固定子3を側面部53に固定する。その後、ステップS13〜S16と同様のステップを実行して第2エアギャップの間隔を測定する。ただし、第2エアギャップの間隔は、固定子3から見て回転子2と反対側(表面3b側)から貫通孔31を経由して測定される。
【0084】
以上のように、例えば側面部53によって回転軸Pに垂直な方向からエアギャップの間隔を測定することが困難な場合であっても、当該方向とは別の方向からエアギャップの間隔を測定することができる。
【0085】
なお、貫通孔11を延在して上面部51と重なる部分に、上面部51を貫通する貫通孔51aが設けられていてもよい(図2参照)。この場合であれば、回転機を製造した後に、当該貫通孔51a、貫通孔11を経由してステップS13と同様に第1エアギャップを測定することができる。下面部52についても同様である。
【0086】
なお、貫通孔11は回転軸Pに対して傾斜してもよい。図9は、貫通孔11が回転軸Pに対して傾斜している場合の、貫通孔11を通る周方向における固定子1及び回転子2の断面図である。
【0087】
図9を参照して、貫通孔11は回転軸Pに対して角度θ(0°<θ<90°)分傾斜している。貫通孔11に挿入して表面1aに当接した状態のゲージ4を読み取った長さL1’は、L1’=L1/cosθとなる。よって、長さL1は、L1=L1’・cosθにより求めることができる。
【0088】
例えばゲージ4の測定誤差をΔLとした場合、長さL1についての誤差ΔL1は、ΔL1=ΔL・cosθで表される。よって、貫通孔11が回転軸Pに平行な場合(θ=0°の場合)と比べて長さL1の測定精度を向上することができる。ひいては、第1エアギャップの間隔の測定精度を向上することができる。言い換えると、より長い長さL2’を測定するので測定精度を向上できる。なお、貫通孔11が回転軸Pに平行であれば、演算なしに長さL1を直接に測定することができる。
【0089】
また、貫通孔11は回転軸Pを中心とした径方向(以下、径方向と呼ぶ)において複数設けられていてもよい。図10は貫通孔11が径方向に複数設けられているときの固定子1の概念的な斜視図であり、図11は図10に示す固定子1において、貫通孔11を通る径方向の概念的な断面図である。
【0090】
この場合であればステップS13にて径方向における複数個所で第1エアギャップの間隔を測定できるので、測定精度を向上することができる。なお、測定精度の観点では径方向における貫通孔11は互いに離れていることが好ましい。また、第1エアギャップが径方向に依存して変動する回転機に対しても本第1の実施の形態を適用することができる。
【0091】
上述したエアギャップ測定方法においては、長さL2として予め精度良く製造された固定子1の設計値が用いられ、当該長さL2を用いて第1エアギャップの間隔を測定していたが、これに限らない。固定子1における表面1a,1bの長さL2を測定して、長さL1から長さL2を減算してエアギャップの間隔を測定してもよい。図12は、この場合のエアギャップ測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0092】
ステップS22,S23,S25〜S27はそれぞれステップS11,S12,S14〜S16と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0093】
固定子1を固定する(ステップS22の実行)前に、ステップS21にて、軸P方向における表面1a,1bの間の長さL2を測定する。この測定は、図5を参照して、例えば所定の基準面を有する土台に、表面1aを基準面に接するように固定子1を乗せて、貫通孔11にゲージを挿入して表面1bから基準面までの長さを測定することで実行できる。
【0094】
なお、貫通孔11が回転軸Pに対して傾斜しているときは、図9を参照して、貫通孔11を経由して長さL2’を測定し、L2=L2’・cosθにより長さL2を測定すればよい。この場合は、長さL2の測定精度を向上でき、ひいては第1エアギャップの測定精度を向上できる。
【0095】
そして、固定子1及び回転子2を固定した(ステップS22,S23の実行)後に、ステップS24にて、ステップS13と同様に貫通孔11を経由して長さL1を測定し、当該長さL1から、ステップS21にて測定した長さL2を減算して第1エアギャップの間隔を測定する。
【0096】
以上のように、長さL2を実際に測定しているので測定精度を向上することができる。
【0097】
次に、本エアギャップ測定方法を適用して、エアギャップを測定しながら回転機を製造する態様について説明する。図13は、回転機の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【0098】
まず、ステップS31にて、上面部51が取り付けられた側面部53に固定子1を固定し、また回転子2をシャフト5に固定する。次にステップS32にて、シャフト5を固定子1、上面部51へと貫挿して軸P方向において表面1a,2aを対面させる。言い換えると、固定子1に対して回転子2を位置決めする。
【0099】
次に、ステップS33にて、貫通孔11を経由して第1エアギャップの間隔を測定する。ステップS33はステップS13と同様にして実行される。
【0100】
次に、ステップS34にて、測定値(第1エアギャップの間隔)が規定の範囲内か否かを判断する。規定の範囲内でなければステップS32を再び実行する。このとき、ステップS32では第1エアギャップの間隔が規定の範囲内に収まる方向に、回転子2(より具体的にはシャフト5)を移動させて位置決めする。
【0101】
ステップS34で判断した結果、規定の範囲内であれば、ステップS35にて、シャフト5を上面部51と回転可能に固定して、固定子1に対して回転子2を固定する。なお、このステップは表面1aと表面2aとの間の間隔を固定するステップと把握できる。
【0102】
なお、第2エアギャップを測定しながら固定子3を固定する場合は、例えばステップS31〜35を実行して固定子1、回転子2が固定された後に、シャフト5を介して固定子3を回転子2と対面させる。つまり、軸P方向において表面2b,3aを対面させる。その後、ステップS32〜S35と同様のステップを実行して、貫通孔31を経由して第2エアギャップの間隔を測定しながら固定子3を側面部53に固定する。そして下面部54を側面部53に取り付ければ、アキシャルギャップ型回転機を完成することができる。
【0103】
以上のように、例えば側面部53によって回転軸Pに垂直な方向からエアギャップを測定することが困難な場合であっても、当該方向とは別の方向からエアギャップを測定しながら回転機を製造することができる。
【0104】
なお、上述した貫通孔についての展開は図13に示すエアギャップを測定しながら回転機を製造する方法にも適用できる。その場合に奏する効果は上述の通りである。
【0105】
なお、本実施の形態において回転機は、固定子1,3、回転子2を備えているがこれに限らず、固定子1と回転子2とから構成されていてもよい。
【0106】
第2の実施の形態.
本発明にかかる第2の実施の形態について図を参照して説明する。なお、同一符号は同一又は相当部分を示し、重畳する説明は省略する。
【0107】
第1の実施の形態においては、回転子2とは反対側からそれぞれ貫通孔11,31を経由して第1エアギャップの間隔及び第2エアギャップの間隔を測定していた。固定子3から見て回転子2と反対側に例えば圧縮機構などが配置されて、当該圧縮機構により貫通孔31を経由して第2エアギャップを測定することが困難な場合が考えられる。そこで、本第2の実施の形態では、固定子3から見て固定子1側から第2エアギャップの間隔を測定する。
【0108】
図14は回転機の内部構成の一例を示す概念的な斜視図であり、図15は図14に示すB−B断面における側面図であって、回転機を搭載した密閉型圧縮機の概念的な構成図ある。
【0109】
図14と図1とを比較して、第1の実施の形態にかかる回転機と第2の実施の形態にかかる回転機との主な相違点は、回転子2が貫通孔21を有しており、固定子3が貫通孔31を有していない点である。なお、図14,15において、貫通孔11,21は径方向に複数設けられているが、第1の実施の形態と同様に少なくとも1つ以上設けられていればよい。
【0110】
貫通孔21は磁性体コア24に設けられている。より具体的には、貫通孔21は磁性体コア24にかかる表面2a,2bの間で磁性体コア24を貫通している。なお、回転子2は、自身を貫通して表面2a上で開口する貫通孔21を有していると把握できる。
【0111】
なお、必ずしも貫通孔21が磁性体コア24に設けられている必要はないが、磁性体コア23、永久磁石22に貫通孔21を設ける場合と比べて、永久磁石22が呈する磁束密度の低減を防止できる。また貫通孔21は非磁性体ホルダ25に設けられていてもよい。
【0112】
図15も参照して、貫通孔11を延在して表面2aと交わる位置と回転軸Pとの距離は、表面2a上の貫通孔21と回転軸Pとの距離と相違している。これは必須の要件ではないが、貫通孔11の延在方向において、表面1a上の貫通孔11の位置と、表面2a上の貫通孔21の位置が対面することを防止できる。よって、第1エアギャップを測定するに際して、例えば貫通孔11に挿入されたゲージが貫通孔21にも挿入されることを防止でき、より確実に第1エアギャップを測定することができる。
【0113】
密閉型圧縮機は、蓋65、側面部64、土台66からなるケーシング6と、吸入口61と、吐出口62と、圧縮機構63と、固定子1,3、回転子2、シャフト5からなる回転機とを備えている。
【0114】
圧縮機構63は、軸P方向において回転機と対面して配置され、シャフト5と接続されている。ケーシング6は圧縮機構63および回転機を密閉して収納する。吸入口61は例えば蓋65に設けられ、吐出口62は圧縮機構63の隣の位置で側面部64に設けられている。
【0115】
続いて、エアギャップを測定しながら密閉型圧縮機内に本回転機を組み立てる方法について説明する。図16は、密閉型圧縮機に回転機を搭載する際の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【0116】
土台66に取り付けられた側面部64内に圧縮機構63を搭載して、シャフト5を圧縮機構63に取り付けた後、ステップS41にて、固定子3をケーシング6の側面部64に固定する。次に、ステップS42にて、固定子3に対して回転子2を位置決めして、軸P方向において表面2b,3aを対面させる。
【0117】
次に、ステップS43にて、貫通孔21を経由して第2エアギャップの間隔を測定する。図17は、図14に示す回転子2及び固定子3において、貫通孔21を通る周方向についての断面図である。第1の実施の形態と同様に、例えば表面2a側から貫通孔21にゲージ4を挿入して第2エアギャップを測定する。より具体的には、軸P方向における表面2a,3aの長さを測定し、測定した長さから、磁性体コア24にかかる表面2a,2bの長さを減算して第2エアギャップを測定する。表面2a,2bの長さは予め精度良く製造された回転子2の設計値を用いればよい。
【0118】
なお、第1の実施の形態と同様に磁性体コア24にかかる表面2bが、磁性体コア23にかかる表面2bより固定子3側に突出していれば、磁性体コア23にかかる第2エアギャップの間隔が測定値よりも短くなることを防止できる。
【0119】
次に、ステップS44にて、測定値(第2エアギャップの間隔)が規定の範囲内か否かを判断する。規定の範囲内でない場合は、再びステップS42を実行する。このとき、ステップS42では、第2エアギャップの間隔が規定の範囲内に収まる方向に、回転子2を移動させて位置決めする。規定の範囲内である場合は、ステップS45にて回転子2をシャフト5に固定する。
【0120】
次にステップS46〜S49を実行して第1エアギャップを測定しながら固定子1を例えば側面部64に固定する。ステップS46〜S49は第1の実施の形態にかかるステップS32〜S35と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0121】
以上のように、側面部64によって回転軸Pに垂直な方向から第1エアギャップ及び第2エアギャップの間隔を測定するのが困難であり、且つ例えば固定子3から見て回転子2の反対側に圧縮機構63が配置されて、固定子3側から第2エアギャップの間隔を測定することが困難な場合であっても、これらと別の方向から第1エアギャップ及び第2エアギャップの間隔を測定しながら、回転機を密閉型圧縮機に搭載することができる。
【0122】
図18は、密閉型圧縮機に回転機を搭載する際の製造工程の他の一例を示すフローチャートである。この一例は、第1の実施の形態において図12を用いて説明したエアギャップ測定方法を、図15を用いて説明した製造工程に適用したものである。
【0123】
相違点のみを説明すると、回転子2の位置決め(ステップS54の実行)前にステップS52にて回転子2の表面2a,2bの長さを測定し、固定子1の位置決め(ステップS58の実行)前にステップS53にて固定子1の表面1a,1bの長さを測定する。そして、ステップS55,S59にて、それぞれステップS52,S53で測定した表面2a,2bの長さ及び表面1a,1bの長さを用いて、第1エアギャップ及び第2エアギャップの間隔を測定している。
【0124】
実際の表面2a,2bの長さ及び表面1a,1bの長さを測定しているので、第1エアギャップ及び第2エアギャップの測定精度を向上することができる。
【0125】
なお、エアギャップの間隔の測定に関してゲージの代わりに光学測定器を用いても良く、貫通孔11,21はそれぞれ表面1b,2a側で先太形状を有していても良く、回転軸Pに対して傾斜していてもよい。また、複数の貫通孔の各々を経由して、複数個所でエアギャップを測定してもよく、1つの貫通孔につき、回転子2を回転させて複数個所で測定してもよく、複数個所で測定したエアギャップの間隔の全てが規定の範囲内であるときに固定子1、回転子2を固定してもよい。これらの場合に奏する効果は第1の実施の形態と同様である。
【0126】
第3の実施の形態.
本発明にかかる第3の実施の形態について図を参照して説明する。第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、磁性体コア23,24が相互に別体で構成されていたので、例えば磁性体コア23にかかる表面2aと、磁性体コア24にかかる表面2aとを同一平面とすることが困難であった。表面2bについても同様であった。本第3の実施の形態においては、これらを同一平面で構成する。
【0127】
具体的な一例を第2の実施の形態との相違点について述べることで説明する。図19は、回転子2の一例を軸P方向に分離した概念的な斜視図である。図20は、図19に示す回転子2において、貫通孔21を通る位置での周方向における概念的な断面図である。図20には、貫通孔21を通る位置での周方向における固定子3の断面も図示されている。
【0128】
磁性体コア23,24は、例えば回転軸Pと反対側の一端同士が周方向に連結されて一体で形成されている。そして、磁性体コア23,24は平面状の表面2a,2bを有している。磁性体コア23,24は一体で形成されているので、磁性体コア23にかかる表面2a(2b)と磁性体コア24にかかる表面2a(2b)を容易に同一平面とすることができる。なお、この磁性体コア23,24を連結する部分は、径方向の長さが短いことが望ましい。永久磁石22同士の短絡(漏れ磁束)を低減するためである。
【0129】
図20を参照して、磁性体コア23にかかる表面2bと磁性体コア23にかかる表面2bが平面状であるので、磁性体コア23にかかる位置における第2エアギャップの間隔と、磁性体コア24にかかる位置における第2エアギャップの間隔とが略同一となる。よって、第2エアギャップの間隔の測定精度を向上することができる。なお、磁性体コア23にかかる表面2aと磁性体コア24にかかる表面2aが平面状であるので、磁性体コア23,24にかかるいずれの位置においても正確な第1エアギャップの間隔を測定できる。
【0130】
また、図19を参照して、回転子2は、磁性体コア23の回転軸P側の一端同士を周方向に連結する連結部26を有している。この連結部26も磁性体コア23,24と一体で形成される。連結部26にはシャフトを貫挿する貫挿孔が設けられている。これにより、回転子2をシャフトに固定するための非磁性体を不要にでき、製造コストを低減することができる。
【0131】
また、磁性体コア23,24のいずれの位置においても第1エアギャップ及び第2エアギャップが略同一であるので、回転機のスラスト力や回転力のアンバランスを低減することができる。
【0132】
図21は、回転子2の他の一例を軸P方向に分離した概念的な斜視図であり、図22は、図21に示す回転子2において、貫通孔21を通る周方向における概念的な断面図である。なお、図22には貫通孔21を通る位置での周方向における固定子3の断面も図示されている。
【0133】
図20、図22を比較して、回転子2は、磁性体コア23,24を表面2a側及び表面2b側でそれぞれ連結する連結部27を更に備えている。磁性体コア23,24及び連結部27は周方向の全周にわたって一体で形成されている。固定子1側の磁性体コア23,24及び連結部27は平面状の表面2aを有しており、固定子3側の磁性体コア23,24及び連結部27は平面状の表面2bを有している。よって、第1エアギャップ及び第2エアギャップの間隔の測定精度を向上できる。
【0134】
磁性体コア23,24及び連結部27が全周にわたって一体で形成されるので、磁気抵抗が均一となり、以って更にコギングトルクを低減できる。
【0135】
なお、軸P方向における連結部27の厚みは十分に薄いことが望ましい。永久磁石22同士の短絡を防止するためである。
【0136】
なお、本回転子2に貫通孔21を設けない態様の回転子を、第1の実施の形態に適用することもできる。この場合であっても、磁性体コア23,24にかかるいずれの位置においても正確な第1エアギャップの間隔を測定でき、同様にいずれの位置においても正確な第2エアギャップの間隔を測定できる。また、コギングトルクも低減できる。
【0137】
第4の実施の形態.
本発明にかかる第4の実施の形態について説明する。第1乃至第3の実施の形態においては、回転子2の両側に固定子1,3がそれぞれ配されていたが、第4の実施の形態においては、固定子の両側に回転子がそれぞれ配置される。
【0138】
図23は一部を軸P方向に分離して示した回転機の一例の概念的な構成図である。回転機は、回転子100,300と、固定子200とを備えている。
【0139】
図24は、貫通孔110(後述する)を通る周方向における回転子100及び固定子200の断面図である。図25は、貫通孔210(後述する)を通る周方向における固定子200、回転子300の断面図である。
【0140】
図24,25を参照して、回転子100は表面100aと、軸P方向において表面100aと反対側に位置する表面100bとを有している。固定子200は、軸P方向において表面100aと対面する表面200aと、軸P方向において表面200aと反対側に位置する表面200bとを有している。回転子300は、軸P方向において表面200bと対面する表面300aと、軸P方向において表面300aと反対側に位置する表面300bとを有している。
【0141】
回転子100は、貫通孔110と、永久磁石120と、磁性体コア130,140と、バックヨーク150とを備えている。図23、図24に示すように、回転子100は、図9に示す回転子2とほぼ同一である。相違点としては、回転子100が固定子200の反対側で永久磁石120と接するバックヨーク150を備えている点である。バックヨーク150は磁性体である。
【0142】
磁性体コア130,140は、固定子200側で表面100aを有しており、バックヨーク150は、固定子200と反対側で表面100bを有している。なお、磁性体コア130,140は必須の要件ではなく、磁性体コア140が設けられない場合は、永久磁石120の固定子200側の面が表面100aとなる。永久磁石120は磁性体であって、その表面が表面100aの一部となる。
【0143】
貫通孔110は回転子100を貫通して表面100a上で開口している。具体的には、例えば表面100a,100bの間でバックヨーク150及び磁性体コア140を貫通している。
【0144】
固定子200は、貫通孔210と、複数のティース220と、電機子巻線240とを備えている。固定子200は、図9に示す固定子1とほぼ同一である。相違点としては、バックヨークが設けられない点である。ティース220は互いに分離して示されているが、実際はモールド等により相互に固定される。
【0145】
ティース220は軸P方向について両端220a,220bを有しており、当該両端220a,220bはそれぞれ表面200a,200bを有している。ティース220は、表面200a,200bを有する磁性体と把握できる。
【0146】
貫通孔210は、固定子200を貫通して表面200b上で開口している。より具体的には、貫通孔210は両端220a,220b(表面200a,200b)の間でティース220を貫通している。
【0147】
なお、第1及び第2の実施の形態と同様に、貫通孔110,210は回転軸Pに平行であってもよく、回転軸Pに対して傾斜してもよい。また、周方向、径方向に複数設けられていてもよい。これらが奏する効果は第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0148】
回転子300は、永久磁石320と、磁性体コア330,340と、バックヨーク350とを備えている。回転子300の構成は、貫通孔が設けられていない点を除いて回転子100と同一であるため詳細な説明を省略する。
【0149】
このような回転機において、第2の実施の形態と同様に、貫通孔210を経由して表面200b,300aからなる第3エアギャップの間隔を測定でき、貫通孔110を経由して表面100a,200aからなる第4エアギャップの間隔を測定することができる。
【0150】
なお、第1の実施の形態と同様に、回転子300に貫通孔310を設けてもよい。
【0151】
なお、第1乃至第4の実施の形態においては、永久磁石を用いたアキシャルギャップ型回転機を用いて説明したがこれに限らず、永久磁石を用いない態様であっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】第1の実施の形態に係るアキシャルギャップ型回転機の内部構成の一例を示す概念的な斜視図である。
【図2】図1に示す回転機のA−A断面における側面図であって、回転機の完成品の概念的な構成図である。
【図3】図1に示す回転機の周方向における一部の断面図である。
【図4】エアギャップ測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】ゲージを用いてエアギャップを測定する態様を示す図である。
【図6】ゲージを用いてエアギャップを測定する態様を示す図である。
【図7】光学測定器を用いてエアギャップを測定する態様を示す図である。
【図8】光学測定器を用いてエアギャップを測定する態様を示す図である。
【図9】ゲージを用いてエアギャップを測定する態様を示す図である。
【図10】固定子の概念的な斜視図である。
【図11】図10に示す固定子の径方向の断面図である。
【図12】エアギャップ測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図13】エアギャップを測定しながら回転機を製造する工程を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係るアキシャルギャップ型回転機の内部構成の一例を示す概念的な斜視図である。
【図15】図14に示すB−B断面における側面図であって、図14に示す回転機を搭載した密閉型圧縮機の概念的な構成図である。
【図16】エアギャップを測定しながら回転機を組み込む工程を示すフローチャートである。
【図17】ゲージを用いてエアギャップを測定する態様を示す図である。
【図18】エアギャップを測定しながら回転機を組み込む工程を示すフローチャートである。
【図19】第3の実施の形態に係るアキシャルギャップ型回転機が有する固定子の一例を示す概念的な斜視図である。
【図20】図20に示す固定子の一例を示す概念的な斜視図である。
【図21】第3の実施の形態に係るアキシャルギャップ型回転機が有する固定子の他の一例を示す概念的な斜視図である。
【図22】図21に示す固定子の一例を示す概念的な斜視図である。
【図23】第4の実施の形態に係るアキシャルギャップ型回転機の一例を示す概念的な斜視図である。
【図24】図23に示す一つの回転子及び固定子の周方向における断面図である。
【図25】図23に示す一つの回転子及び固定子の周方向における断面図である。
【符号の説明】
【0153】
1〜3,100,200,300 磁性体
1a,1b,2a,2b,3a,3b,100a,100b,200a,200b,300a,300b 表面
4 ゲージ
11,21,31,110,210,310 貫通孔
12,32,220 ティース
13,14,33,34,130,140,330,340 磁性体コア
12a,12b,32a,32b,220a,220b 端
L1,L2 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面(1a;2b;3a;100a;200b)を有する第1磁性体(1;2;3;100;200)と、所定の軸(P)において前記第1表面と対面する第2表面(2a;3a;2b;200a;300a)を有する第2磁性体(2;3;2;200;300)とを備え、前記第1磁性体は自身を貫通して前記第1表面上で開口する貫通孔(11;21;31;110;210)を有する、アキシャルギャップ型回転機において、前記軸の延在方向における前記第1表面と前記第2表面との間のエアギャップの間隔を測定するエアギャップ測定方法であって、
前記貫通孔を経由して前記間隔を測定する、エアギャップ測定方法。
【請求項2】
前記第1磁性体(1;2;3;100,200)は、前記軸(P)の延在方向において前記第1表面(1a;2b;3a;100a;200a)と反対側に位置する第3表面(1b;2a;3b;100b;200a)を有し、
前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記第3表面から前記第1表面に向かって前記第1磁性体を貫通しており、
前記貫通孔(11;21;31;110;210)を経由して前記第3表面から前記第2表面(2a;3a;2b;200a;300a)までの第1の長さ(L1)を測定し、前記第1の長さから、前記第3表面から前記第1表面までの第2の長さ(L2)を減算して前記間隔を測定する、請求項1に記載のエアギャップ測定方法。
【請求項3】
前記貫通孔(11;21;31;110;210)にゲージ(4)を挿入して前記間隔を測定する、請求項1又は2に記載のエアギャップ測定方法。
【請求項4】
前記貫通孔(11;21;31;110;210)は第3表面(1b;2a;3b;110b;210a)で先太形状を有している、請求項3に記載のエアギャップ測定方法。
【請求項5】
前記貫通孔(11;21;31;110;210)を経由する光の行路を測定して前記間隔を測定する、請求項1又は2に記載のエアギャップ測定方法。
【請求項6】
前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記軸(P)の延在方向に平行である、請求項1乃至5の何れか一つに記載のエアギャップ測定方法。
【請求項7】
前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記軸(P)に対して傾斜している、請求項1乃至5の何れか一つに記載のエアギャップ測定方法。
【請求項8】
前記貫通孔(11;21;31;110;210)は前記軸(P)を中心とする径方向で複数設けられ、前記複数の前記貫通孔を経由して前記間隔を測定する、請求項1乃至7の何れか一つに記載のエアギャップ測定方法。
【請求項9】
前記第1磁性体(1;3;200)は、
前記軸(P)の周囲で環状に配され、前記軸の延在方向において両端(12a,12b;32a,32b;220a,220b)を有する複数のティース(12;32;220)を備え、
前記ティースの一端(12a;32a;220b)は前記第1表面(1a;3a;200b)を有し、前記貫通孔(11;31;210)は前記両端の間で貫通する、請求項1乃至8の何れか一つに記載のエアギャップ測定方法。
【請求項10】
前記第1磁性体(2;100)は、前記軸(P)を中心とした周方向に沿って配置された複数の永久磁石(22;120)と、前記周方向において隣り合う前記永久磁石同士の間に配置される部材(24; 25;140)とを備え、前記部材は前記第1表面(2b;100a)を有し、前記貫通孔(21;110)は前記部材に設けられる、請求項1乃至8の何れか一つに記載のエアギャップ測定方法。
【請求項11】
前記第1磁性体(2;100)は、前記第2磁性体(3;200)側で前記永久磁石(22)と接する磁性体コア(23;130)を更に備え、前記部材(24; 25;140)及び前記磁性体は前記第1表面(2b;100a)を有し、前記部材にかかる第1表面は、前記磁性体コアにかかる第1表面よりも前記第2磁性体側に突出している、請求項10に記載のエアギャップ測定方法。
【請求項12】
前記第1磁性体(2;100)は、前記第2磁性体(3;200)側で前記永久磁石(22)と接する磁性体コア(23;130)を更に備え、前記部材(24;25;140)及び前記磁性体コアは平面状の前記第1表面(2b;100a)を有する、請求項10に記載のエアギャップ測定方法。
【請求項13】
前記第2磁性体(2)は前記軸(P)の延在方向において前記第2表面(2a)と反対側に位置する第4表面(2b)を有し、前記アキシャルギャップ型回転機は、前記第4表面(2b)と所定の第2エアギャップを形成して対面する第5表面(3a)を有する第3磁性体(3)を更に備え、前記第3磁性体は、自身を貫通して前記第5表面上で開口する第2貫通孔(31)を有しており、
前記第2貫通孔を経由して前記軸の延在方向における前記第2エアギャップの間隔を測定する、請求項1乃至12の何れか一つに記載のエアギャップ測定方法。
【請求項14】
前記第2磁性体(2;200)は前記軸(P)の延在方向において前記第2表面(2a;200a)と反対側に位置する第4表面(2b;200b)を有し、前記アキシャルギャップ型回転機は、前記第4表面(2b;200b)と所定の第2エアギャップを形成して対面する第5表面(3a;300a)を有する第3磁性体(3;300)を更に備え、前記第2磁性体は前記2表面と第4表面との間で貫通する第2貫通孔(21;210)を有しており、
前記第2貫通孔を経由して前記軸の延在方向における前記第2エアギャップの間隔を測定する、請求項1乃至12の何れか一つに記載のエアギャップ測定方法。
【請求項15】
前記第1磁性体(1;100)及び前記第2磁性体(2;200)は前記軸(P)を中心として相対的に回転し、前記貫通孔(11;110)を延在して前記第2表面(2a;200a)と交わる位置と前記軸(P)との距離は、前記第2表面上の前記第2の貫通孔(21;210)の位置と前記軸との距離と相違する、請求項14に記載のエアギャップ測定方法。
【請求項16】
第1表面(1a;2b;3a;100a;200b)を有する第1磁性体(1;2;3;100;200)と、第2表面(2a;3a;2b;200a;300a)を有し、所定の軸(P)の周囲で前記第1磁性体と相対的に回転する第2磁性体(2;3;2;200;300)とを備え、前記第1磁性体は自身を貫通して前記第1表面上で開口する貫通孔(11;21;31;110;210)を有するアキシャルギャップ型回転機の製造方法であって、
(a)所定の軸(P)において前記第1表面と前記第2表面とを対面させる工程と、
(b)前記工程(a)の実行後に、前記貫通孔を経由して前記軸の延在方向における前記第1表面と前記第2表面との間隔を測定する工程と、
(c)前記工程(b)の実行後に、前記間隔を固定する工程と
を実行する、アキシャルギャップ型回転機の製造方法。
【請求項17】
前記アキシャルギャップ型回転機は、第3表面(3a)を有し、前記軸(P)の周囲で前記第2磁性体(2)に対して相対的に回転する第3磁性体(3)を更に備え、前記第3磁性体は自身を貫通して前記第3表面上で開口する第2貫通孔(31)を有しており、
(d)前記工程(c)の実行後に、前記延在方向において前記第2表面と反対側で前記第2磁性体が有する第4表面(2b)と、前記第3表面とを対面させる工程と、
(e)前記工程(d)の実行後に、前記第2貫通孔を経由して、前記延在方向における前記第3表面及び前記第4表面の間隔を測定する工程と、
(f)前記工程(e)の実行後に、前記第3表面及び前記第4表面の間隔を固定する工程と
を更に実行する、請求項16に記載のアキシャルギャップ型回転機の製造方法。
【請求項18】
前記アキシャルギャップ型回転機は、第3表面(1a)を有し、前記軸(P)の周囲で前記第1磁性体(2)に対して相対的に回転する第3磁性体(1)を更に備え、前記第3磁性体は自身を貫通して前記第3表面上で開口する第2貫通孔(11)を有し、
(d)前記工程(c)の実行後に、前記延在方向において前記第1表面と反対側で前記第1磁性体が有する第4表面(2a)と、前記第3表面とを対面させる工程と、
(e)前記工程(d)の実行後に、前記第2貫通孔を経由して、前記延在方向における前記第3表面と前記第4表面との間隔を測定する工程と、
(f)前記工程(e)の実行後に、前記第3表面及び前記第4表面の間隔を固定する工程と
を更に実行する、請求項16に記載のアキシャルギャップ型回転機の製造方法。
【請求項19】
所定の軸(P)の周囲で環状に配置され、前記軸の延在方向において両端(12a,12b;32a,32b)を有する複数のティース(12;32;220)と、
前記延在方向において前記複数の前記ティースの一端と所定のエアギャップを形成して配置された界磁子(2;300)と
を備え、
前記ティースの少なくとも一つには、前記延在方向における両端の間で貫通する貫通孔(11,31,210)が設けられている、アキシャルギャップ型回転機。
【請求項20】
所定の軸(P)を中心とした周方向に沿って配された複数の永久磁石(22;120)と、
前記周方向において隣り合う前記永久磁石同士の間に配置され、前記軸の延在方向において両端を有し、前記両端の間で貫通する貫通孔(21;210)が設けられた部材(24;140)と、
前記延在方向において前記永久磁石と所定のエアギャップを形成して配置されるティース(12,32,120,320)と
を備える、アキシャルギャップ型回転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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