説明

エアゾール式塗布容器

【課題】
エアゾール容器のステムに、連通管上端に液体塗布部を付設した押釦付き塗布部材の下端を嵌合させて、上記押釦押下げによるステムの下降で容器体内液体を上記塗布部内へ送出可能に設けたエアゾール式液体塗布容器において、液体塗布時における連通管の撓みを防止してその塗布を容易とした。
【解決手段】
容器体の上部外面へ嵌合させた周壁22一部から連通筒12の一半外面へ摺動自在に嵌合させて半筒状板23を起立させ、該半筒状板の少なくとも一部内面を連通筒外面とほぼ同一曲率半径の優弧面31とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアゾール式塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上面閉塞の連通筒上部前面から上下方向に並設させて透孔付きの複数櫛歯を突出させた櫛を設け、該櫛の連通筒下端をエアゾール容器の上面から起立するステムの上部外面へ嵌着させ、又上記連通筒の下部外面から櫛押下げ用の押釦を突出させたエアゾール式櫛容器が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−20439号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記容器は、櫛歯付きの連通筒が短いと櫛歯と容器との間隔が短くなって櫛使用の際に容器が邪魔となり、又その連通筒が長いと櫛使用時に連通筒が撓み、櫛の使用が行い難くなる欠点があった。
【0004】
本発明は、上記連通筒を長く設けて櫛の使用が容易とすると共に、その撓み防止のための補強板を容器体上部外面へ嵌合させた周壁一部から起立させたものである。尚このように連通筒を長く設けることでの使用上の不便は櫛付き容器だけではなく、連通筒上端に汚れ除去用のブラシ、又薬液塗布用の塗布部を付設したものであっても同様であり、よって発明の名称をエアゾール式液体塗布容器として図示例の櫛歯付き容器のほか、櫛歯に代えて液体塗布部を連通筒上部へ付設したものも含むよう設けた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として、頂壁を貫通させて上方へ起立させたステム付きのエアゾール容器体と、
連通筒上端へ液体塗布部を付設した塗布部材とを有し、
上記ステムの上端部へ連通筒下端を嵌着させて塗布部材を起立させ、連通筒に付設した押釦を介しステムを押下げすることで、液体塗布部を通って容器体内液体が流出すると共に、押釦解放によるステムの弾性復帰で液体流出が停止可能に設けたエアゾール式塗布容器において、
上記容器体の上部外面へ嵌合させた周壁22の一部から、上記連通筒12の一半外面へ摺動自在に嵌合させて半筒状板23を起立させ、該半筒状板の少なくとも一部は、優弧面31状に半筒状板の開口巾を、該半筒状板の内径および連通筒部外径よりも狭く形成し、押釦13は上記連通筒の他半外面から突出させた。
【0006】
第2の手段として上記第1の手段を有すると共に、上記優弧面を有する半筒状板部分を、半筒状板23の上部に形成した。
【0007】
第3の手段として、上記第1の手段を有すると共に上記半筒状板23の周方向両側面の一方から、ヒンジ41を介して回動可能に、連通筒の他半外面を摺動自在に覆う、半筒状のフック42を突設し、又上記ヒンジを有する側面と対向する、半筒状板23の他方側部外面へ、上記フック先端の爪43を係合させる突条44を付設した。
【0008】
第4の手段として、上記第3の手段を有すると共に上記半筒状フック42と、該フック先端の爪43を係合させる突条44とを、半筒状板23上部の周方向両側部に付設した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のようにすることで、連通筒12は半筒状板23の優弧面31内で上下方向への摺動が自在に嵌合することとなり、又塗布時における連通筒12の撓みを防止して塗布容器の使用を便利とすることが出来る。
【0010】
請求項2のようにすることで、優弧面31を有する半筒状板部分の上下方向長さを短くして該部分内への連通筒部分嵌合を容易とでき、又その優弧面付きの半筒状部分を半筒状板23の上部に形成するから、塗布操作時における連通筒の撓みを少なくすることが出来る。
【0011】
請求項3のようにすることで、フック付きの半筒状部分において、連通筒12は確実にその全外周が包持されることとなって連通筒12の撓みを阻止することが出来る。
【0012】
請求項4のようにすることで、フック付きの半筒状板部分の上下方向長さを短かく、しかもそのフックによる連通筒の包持を半筒状板上部で行うこととなるから確実に連通筒の撓み防止を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図1と図2とが示す第1実施形態について説明すると、1は公知のエアゾール容器体で、その頂壁中央部を貫通させて容器体内から上方付勢させてステム2が起立させてあり、該ステムは、付勢に抗して押下げすることでステム下端の吐出弁が開いて容器体内液体がステム内を通って噴出可能としてある。
【0014】
上記ステムの上端部外面へは、上端に塗布部11を有する連通筒12下端が水密に嵌合させてあり、又その連通筒の下部後面からは、その連通筒を介してステム2を押下げるための押釦13が外方へ突出させてある。それ等連通筒と塗布部と押釦とが塗布部材16を形成する。図示例で塗布部11は複数櫛歯14を突出させた櫛部15で形成してあり、ステム2下降により連通筒12内へ入った容器体内液体は公知のように櫛部15内へ入り、該櫛部で髪を梳くことで櫛部内液体が髪に付着するよう設けられている。
【0015】
21は上記連通筒の撓み防止部材で、該部材は容器体1の上部外面へ嵌合させた周壁22の上端一部から、上記連通筒12の一半外面へ上下方向への摺動が可能に嵌合させて半筒状板23を起立する。
【0016】
図示例において周壁22は、フランジ状頂板24の内外両周縁から内外両筒25、26を垂下してその内筒25を容器体上部外面へ嵌合させ、又その内筒上端を頂板上方へ延長させて設けた延長筒部27の後部(図右側)をその上端から下端まで切欠いて開放28させ、更に上記延長筒部27の前半部から下部大径で上部小径の半筒部29を起立させると共にその半筒部の上方部分を下方へ延長垂下させて該半筒部の下部を内外二重壁で形成し、これ等二重壁間に複数のリブ30を介在させ、又、その半筒部の内壁面を形成する、上記半筒部の上部内面と半筒部の下部内面を形成する内壁とで半筒状板内壁面を形成している。更に又上記延長筒部27の前半部内面を小径化させて該小径部下端面を下向き段部とし、該下向き段部を容器体1の前半部上端面へ係合させている。
【0017】
図示例において上記半筒状板23の上端部は図2が示すようにその内面を優弧面31とし、該優弧面の開口部分の横巾を半筒状板上端内面の直径、即ち連通筒12の外面直径よりも短く形成し、強制的に開口部から優弧面31内へ押込むことで優弧面の両端部は弾性拡開してその優弧面内へ連通筒12を嵌合させることが可能としている。優弧面両端には図2Bが示すように爪31a 、31a を付設してもよい。32はキャップで周壁下端を外筒26下端の外向きフランジ上へ載置させている。
【0018】
図3から図5は第2実施形態を示す。既述第1実施形態と同一部分については同一符号を付することで説明を省略し、相違部分についてだけを説明すると、既述半筒状板23の上端部の周方向両側面の一方には、図4、図5が示すようにヒンジ41を介して連通筒12の他半外面を覆う半短筒状のフック42を突出させており、又上記ヒンジを有する側面と対向する側の半筒状板側部の外面には、上記フック先端の爪43を係合させる突条44を設けている。よってフック42を回動させて爪43を突条44へ係合させることで、半筒状板23とフック42とで連通筒12を摺動自在に包持させることが可能とする。
【0019】
既述第1実施形態と第2実施形態の場合とは、共に既述開放28部分を通って外方へ突出させた押釦13押下げでステム2が押下げられて、該ステム2、および連通筒12内を通って容器体内液体は塗布部11内へ入り、塗布できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明容器の要部を示す断面図である。
【図2A】図1A−A線を矢示方向へ示す拡大断面図である。
【図2B】図2Aを別実施例で示す断面図である。
【図3】第2実施例で示す、本願発明要部の断面図である。
【図4】図3要部の拡大斜視図である。
【図5】図4のフック閉塞状態で示す横断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 エアゾール容器体 2 ステム
11 塗布部 12 連通筒
13 押釦 21 撓み防止部材
22 周壁 23 半筒状板
29 半筒部 31 優弧面
42 フック 43 爪
44 突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂壁を貫通させて上方へ起立させたステム付きのエアゾール容器体と、
連通筒上端へ液体塗布部を付設した塗布部材とを有し、
上記ステムの上端部へ連通筒下端を嵌着させて塗布部材を起立させ、連通筒に付設した押釦を介しステムを押下げすることで、液体塗布部を通って容器体内液体が流出すると共に、押釦解放によるステムの弾性復帰で液体流出が停止可能に設けたエアゾール式液体塗布容器において、
上記容器体の上部外面へ嵌合させた周壁22の一部から、上記連通筒12の一半外面へ摺動自在に嵌合させて半筒状板23を起立させ、該半筒状板の少なくとも一部は、優弧面31状に半筒状板の開口巾を、該半筒状板の内径および連通筒部外径よりも狭く形成し、押釦13は上記連通筒の他半外面から突出させた
ことを特徴とするエアゾール式塗布容器。
【請求項2】
上記優弧面を有する半筒状板部分を、半筒状板23の上部に形成した
ことを特徴とする請求項1記載のエアゾール式塗布容器。
【請求項3】
上記半筒状板23の周方向両側面の一方から、ヒンジ41を介して回動可能に、連通筒の他半外面を摺動自在に覆う、半筒状のフック42を突設し、又上記ヒンジを有する側面と対向する、半筒状板23の他方側部外面へ、上記フック先端の爪43を係合させる突条44を付設した
ことを特徴とする請求項1記載のエアゾール式塗布容器。
【請求項4】
上記半筒状フック42と、該フック先端の爪43を係合させる突条44とを、半筒状板23上部の周方向両側部に付設した
ことを特徴とする請求項3記載のエアゾール式塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−320592(P2007−320592A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151099(P2006−151099)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】