エアパッキング部材、エアパッキング袋および、エアパッキング部材の製造方法
【課題】エアガイド部と、複数のエアチューブ部と、エアチューブ部がさらに区切られたエアバブル部を有し、使用前にエアガイド部から空気を導入することによりエアバブル部を膨張させるエアパッキング部材に関し、エアパッキング部材の柔軟性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】隣り合った二のエアチューブ部2を空気の流通が可能なように結合してエアチューブ組7を形成し、エアチューブ組7同士は熱溶着により空気の流通が遮断されるようにする。そして、エアチューブ組7を形成するエアバブル部5は多角形形状とするとともに隣り合うエアバブル部5同士は各々の多角形の頂点において連通されている。このことにより、エアバブル部5の間の変形を容易にし、エアパッキング部材10全体としての柔軟性を向上させた。
【解決手段】隣り合った二のエアチューブ部2を空気の流通が可能なように結合してエアチューブ組7を形成し、エアチューブ組7同士は熱溶着により空気の流通が遮断されるようにする。そして、エアチューブ組7を形成するエアバブル部5は多角形形状とするとともに隣り合うエアバブル部5同士は各々の多角形の頂点において連通されている。このことにより、エアバブル部5の間の変形を容易にし、エアパッキング部材10全体としての柔軟性を向上させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を衝撃や振動から守るために製品を梱包するエアパッキング部材であって梱包時に空気の充填が可能なエアパッキング部材、当該エアパッキング部材によって形成され製品を収納するためのエアパッキング袋および、エアパッキング部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の輸送などの流通経路において、消費材や工業製品を梱包するために、空気などの気体を充填したエアパッキング部材が用いられる場合がある。特に使用時に気体の充填を可能としたエアパッキング部材は、樹脂フィルムからなる薄いシートで構成されているので、気体が導入されていない状態ではコンパクトに収納することができるという特徴がある。また、簡単な構成を有するので製造に金型を必要としない、発砲スチロールのように破片や埃を生じさせない、樹脂フィルムにリサイクル可能な材料を使用できる、低価格で製造や運搬ができるといった利点がある。
【0003】
図15及び図16には、従来のエアパッキング部材の一例を示す。エアパッキング部材100は、熱可塑性樹脂で形成された上側フィルム100aと下側フィルム100bとが熱溶着されることで形成されている。一般に、各熱可塑性フィルムは、適切な接着剤または他の方法で互いに結合されたポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンのような多層の材料から構成されている。上側フィルム100aと下側フィルム100bとは、熱溶着部107において互いに熱溶着される。
【0004】
エアパッキング部材100には、熱溶着により、エアガイド部101と複数並列したエアチューブ部102とが形成される。エアガイド部101とエアチューブ部102との間はチェックバルブ103によって空気の流通が可能になっている。ここで、チェックバルブ103の働きにより、空気は、エアガイド部101からエアチューブ部102へは流通し易く、エアチューブ部102からエアガイド部101へは極めて流通し難い構成となっている。
【0005】
また、各々のエアチューブ部102は、チェックバルブ103を含むチェックバルブ部104と、エア通路106を介して連通された複数のエアバブル部105を有する。そして、エアパッキング部材100を使用する際には、空気導入口101aから所定の空気圧で空気を導入する。そうすると、導入された空気は図15の矢印に沿ってエアガイド部101からチェックバルブ103を通過して、各々のエアチューブ部102に導入される。そして、各々のエアチューブ部102においては、エア通路106を介して順次エアバブル部105に空気が導入される。前述のようにチェックバルブ103は、エアチューブ部102側からエアガイド部101側への空気の流通を制限するため、各々のエアバブル部105、チェックバルブ部104には空気が充填され、図16に示すように膨張する。
【0006】
このエアバブル部105、チェックバルブ部104がクッション材の役割を果たし、エアパッキング部材100で梱包された製品の破損や振動を抑制することができる。なお、複数のエアチューブ部102を独立に形成する主な目的は、エアパッキング部材100の信頼性を高めるためである。すなわち、何らかの理由で1つのエアチューブ部102に空気漏れが発生しても、他のエアチューブ部102においては空気が充填されたままになっており、クッション性を維持することができる。これにより、エアパッキング部材100は、製品を保護するクッションまたは緩衝材として引き続き機能すること可能である。
【0007】
チェックバルブ103は、空気の流通路を形成するために互いに結合された2つの熱可塑性弁フィルムから構成されている。チェックバルブ103は、先端のバルブ開口部103aとバルブ本体103bとを有しており、エアガイド部101から先端のバルブ開口部103aを介して空気がチェックバルブ103に導入される。そして、導入された空気はバルブ本体103bによって逆流が防止される。このチェックバルブ103は、エアパッキング部材100の製造工程中またはその後に、エアパッキング部材100の上側フィルム100aまたは下側フィルム100bの他のフィルムを熱溶着することによって形成される。
【0008】
図17には、従来のエアパッキング部材の別の例について示す。このエアパッキング部材110は、先述の例と同様、エアガイド部111、チェックバルブ113、エアチューブ部112、チェックバルブ部114、エアバブル部115から形成される。しかし、このエアパッキング部材110においては、エア通路116は、エアバブル部115同士をその両端部において連通しており、エアガイド部111から導入された空気はエアバブル部115の間を2つのエア通路116によって図中矢印のごとく流通し、全てのエアバブル部115を膨張させる。
【0009】
しかしながら、上記のような従来のエアパッキング部材においては、エア通路106または116は、完全にエアチューブ部102または112の中に配置されているため、エア通路106または116内に空気が充填された場合にはエアチューブ部102または112の柔軟性を損なう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5209264号明細書
【特許文献2】米国特許第5927336号明細書
【特許文献3】米国特許第6629777号明細書
【特許文献4】特表2008−535744号公報
【特許文献5】特開2005−1766号公報
【特許文献6】特開2004−18112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、エアガイド部と、複数のエアチューブ部と、エアチューブ部を区切って形成されるエアバブル部とを有し、使用時に空気をエアガイド部からエアチューブ部及びエアバブル部に充填させるエアパッキング部材において、その柔軟性を向上させることが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、エアガイド部と、複数のエアチューブ部と、エアチューブ部を区切って形成される多角形型のエアバブル部とを有し、使用時に空気をエアガイド部からエアチューブ部及びエアバブル部に充填させるエアパッキング部材において、隣り合うエアチューブ部によりエアチューブ組を形成し、エアチューブ組同士は空気の流通が遮断されるようにし、同じエアチューブ組を形成するエアバブル部同士は頂点において連通され、互いに空気の流通を可能としたことを最大の特徴とする。
【0013】
より詳しくは、互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であ
って、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備え、
隣り合った二の前記エアチューブ部が空気の流通可能に結合することによりエアチューブ組が形成されるとともに、該エアチューブ組同士は空気の流通が禁止され、
前記エアチューブ組を形成するエアバブル部は隣り合うエアバブル部と前記多角形形状の頂点において連通されたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、エアバブル部同士を連通するエア通路は、エアチューブ部とエアチューブ部の間の領域に配置されることとなる。そうすれば、エアチューブ部内におけるエアバブル部同士の連結に関する柔軟性を向上させることができ、エアパッキング部材全体の柔軟性を向上させることができる。また、エアバブル部とエアバブル部を連通するエア通路を、エアバブル部の頂点同士を連結するように形成可能となるので、エアバブル部の辺同士を連結する場合と比較して、エアバブル部間の柔軟性をも向上させることができる。
【0015】
また、本発明では、二のエアチューブ部を組にしてエアチューブ組とし、エアチューブ組同士の間では空気が遮断される構成となっているので、例え一のエアチューブ部において空気の漏れが生じたとしても、エアチューブ組に係る二のエアチューブ部に空気漏れが限定され、他のエアチューブ部には影響を及ぼさなくすることができる。
【0016】
また、本発明においては、前記エアバブル部は、長方形状の平面形状を有する前記エアチューブ部を長手方向に区切るように熱溶着されることで、長方形状の平面形状を有するとともに前記エアチューブ部に一列に並ぶように形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、互いに近接する側の頂点において連通されるようにしてもよい。
【0017】
さらに、本発明においては、前記エアバブル部は六角形状の平面形状を有し、前記エアチューブ組を形成するエアバブル部によってハニカム構造が形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、前記ハニカム構造における共通の頂点において連通されるようにしてもよい。
【0018】
また、本発明においては、互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を、前記エアチューブ部において、該エアチューブ部の並び方向に平行な折り目によって折りたたむとともに、折り目に垂直な両端を熱溶着することで形成したエアパッキング袋であり、
該エアパッキング袋の底面における前記両端に位置するエアバブル部には、空気が充填されておらず柔軟性が向上した空気非充填部を設けるようにしてもよい。
【0019】
この場合の発明は、上述のエアパッキング部材を、エアチューブ部を途中で折り曲げ、両端を接合することにより袋状としたエアパッキング袋に関する。エアパッキング部材を用いてこのようなエアパッキング袋を作製した場合には、エアバブル部のうちいくつかが、エアパッキング袋の底面を構成する。そうすると、底面を構成するエアバブル部のうち、両端の接合部に近い部分に位置するエアバブル部は、エアチューブ部の長さ方向に曲げられるとともに、端面が接合される関係上エアチューブ部の幅方向にも曲げられることから、複雑な変形が生じるとともに変形量も大きくなる。その結果、エアパッキング袋の底面の両端が突出した形状となる。
【0020】
そうすると、エアパッキング袋の底面の形状が平面になりづらいので、袋に製品を収納した状態での設置安定性が低下し、外観の美観も損なわれる。また、この傾向は、エアパッキング袋の底面における、エアチューブ部の長さ方向の幅が大きい程顕著になる。
【0021】
そこで、本発明においては、エアパッキング袋の底面の両端部に位置するエアバブル部には、空気が充填されておらず柔軟性が向上した空気非充填部を設けるようにした。そうすれば、複雑な曲げ変形が生じる底面の両端については、エアバブル部に空気が充填されておらず、単に第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムの貼り合わせの状態とすることができる。その結果、エアパッキング袋の底面の柔軟性が高くなり、底面の端部が突出しづらくなり、エアパッキング袋の設置安定性を向上させるとともに美観を向上させることができる。
【0022】
また、本発明は、互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を製造するエアパッキング部材の製造方法であって、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムと、熱可塑性フィルムからなり前記チェックバルブを形成する第1弁フィルム及び第2弁フィルムと、を供給するフィルム供給工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムとを熱溶着することで前記チェックバルブ内で空気の流通経路を規制するパターンを形成するチェックバルブパターン形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとを熱溶着するとともに前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着して、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとの間または、前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとの間に空気が導入されることを
禁止するパターンを形成するチェックバルブ入口形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムの2枚のフィルムまたは、前記第1熱可塑性フィルム、前記第1弁フィルム、前記第2弁フィルム及び第2熱可塑性フィルムの4枚のフィルムを熱溶着することで、前記エアガイド部、前記エアチューブ部、前記エアバブル部及び、前記チェックバルブの外形を形成する主要部分形成工程と、を有し、
前記主要部分形成工程における熱溶着においては、前記エアガイド部と前記チェックバルブとの接続部分の熱溶着を禁止することで、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムの間へのみ空気の導入を可能としたことを特徴とするエアパッキング部材の製造方法であってもよい。
【0023】
ここで、従来のエアパッキング部材においては、チェックバルブを形成する際には、熱可塑性の弁フィルムに耐熱性のインクで空気を導入する部分に印刷を施し、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムを熱溶着しても、当該印刷部分は熱溶着がされず、弁フィルムにおける上記印刷部分(熱溶着されなかった部分)を通じて空気が流通する構成となっていた。
【0024】
その場合、弁フィルムに印刷を行う工程などが必要となり、エアパッキング部材の製造工程が複雑化し、コスト削減の妨げとなる場合があった。これに対し、本発明の製造方法では、主要部分形成工程においてエアガイド部とチェックバルブとの接続部分の熱溶着を禁止することで、エアガイド部から、チェックバルブを構成する第1弁フィルムと第2弁フィルムの間への空気の導入を可能とした。
【0025】
これによれば、チェックバルブを構成するフィルムとして一般的な熱可塑性フィルムを使用することができ、耐熱性インクによる印刷を行なう必要もなくなる。また、主要部分形成工程で、チェックバルブを構成する第1弁フィルムと第2弁フィルムの間への空気の導入を可能とする工程を複数のチェックバルブに対して同時に行うことができる。その結果、エアパッキング部材の製造工程を簡略化することができ、コストの低減を図ることが可能となる。
【0026】
また、本発明のエアパッキング部材の製造方法においては、前記主要部分形成工程において、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムの間の前記エアガイド部に相当する部分に、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムのいずれか一方に対向する面は平面で他方に対向する面は凸面であるスペーサを介在させるようにしてもよい。
【0027】
ここで、エアガイド部は、上述のように、空気導入口から空気が導入され、チェックバルブを介して全てのエアチューブ部に空気を流入させる役割を負っている。従ってエアパッキング部材に空気を充填する際には、このエアガイド部の空気導入口にノズルを挿入して空気を導入する作業が必要となる。
【0028】
しかしながら、一般的には、エアパッキング部材は、2枚の熱可塑性フィルムを熱溶着によって張り合わせて形成するため、2枚の熱可塑性フィルムが密着することがあり、空気導入口にノズルを挿入しづらいという不都合があった。そこで、本発明のエアパッキング部材の製造方法においては、主要部分形成工程において、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間のエアガイド部に相当する部分に、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムのいずれか一方に対向する面は平面で他方に対向する面は凸面であるスペーサを介在させるようにした。
【0029】
これによれば、自動的に、エアガイド部を形成する第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの長さ(幅)を異ならせることができ、エアガイド部へのノズルの挿入が容易
なエアパッキング部材を製造することが可能となる。
【0030】
なお、上記の手段は、可能な限り互いに組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、エアガイド部と、複数のエアチューブ部と、エアチューブ部を区切って形成されるエアバブル部とを有し、使用時に空気をエアガイド部からエアチューブ部及びエアバブル部に充填させるエアパッキング部材において、その柔軟性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1に係るエアパッキングシートの空気充填前の状態を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係るエアパッキングシートの空気充填後の状態を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係るエアパッキングシートの別の態様を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係るチェックバルブ部の拡大図である。
【図5】本発明の実施例1に係るチェックバルブ部のA−A断面図である。
【図6】エアパッキングバッグのためのエアパッキングシートの例を示す図である。
【図7】エアパッキングバッグの例を示す図である。
【図8】本発明の実施例2に係るエアパッキングバッグのためのエアパッキングシートを示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係るエアパッキングバッグを示す図である。
【図10】本発明の実施例3に係るエアパッキングシートの製造工程を説明するための図である。
【図11】本発明の実施例3に係るエアパッキングシートの製造工程において、エアパッキングシートが形成される過程を説明するための図である。
【図12】本発明の実施例3に係る熱溶着装置を示す図である。
【図13】本発明の実施例3に係るスペーサの挿入の態様について説明するための図である。
【図14】本発明の実施例3に係るエアガイド部の製造時及び完成時の断面図である。
【図15】従来のエアパッキングシートの空気充填前の状態について説明するための図である。
【図16】従来のエアパッキングシートの空気充填後の状態について説明するための図である。
【図17】従来のエアパッキングシートの空気充填前の状態の別の例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係るエアパッキング部材、エアパッキング袋および、エアパッキング部材の製造方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
添付した図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1及び図2には、本発明におけるエアパッキング部材1(以下、エアパッキングシートともいう。)の基本構成を示す。図1はエアパッキングシート10に空気を充填する前の状態を示す。図2は、エアパッキングシート10に空気を充填した状態を示す。図1及び図2に示すように、エアパッキングシート10は、熱可塑性樹脂からなる上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bを熱溶着で貼り合わせることにより形成されている。そして、エアガイド部
1と複数列に並列したエアチューブ部2とが形成されている。各々のエアチューブ部2は、チェックバルブ3を含むチェックバルブ部4と、複数のエアバブル部5を有している。
【0035】
また、本実施例においては、隣り合う2つのエアチューブ部2によってエアチューブ組7が形成されている。そして、このエアチューブ組7を構成するエアチューブ部2のエアバブル部5同士は、互いに近接する側の頂点において頂点エア通路6によって連通されている。また、各エアチューブ部2を構成するエアバブル部5同士も、頂点エア通路6により連通されている。また、エアチューブ組7を構成するチェックバルブ部4同士、あるいはチェックバルブ部4とエアバブル部5とも、同様に頂点エア通路6により連通されている。
【0036】
換言すると、一つの頂点エア通路6によって4つのエアバブル部5、または、2つのチェックバルブ部4と2つのエアバブル部5とが連通されている。この状態で、エアガイド部1の空気導入口1aから空気を導入すると、図1の矢印に示すように空気はまず、チェックバルブ3からチェックバルブ部4に導入され、その後は、頂点エア通路6を介してエアバブル部5に順次導入される。そして、エアチューブ組7を単位として、チェックバルブ部4とエアバブル部5とに空気が充填され、図2に示すような状態となる。
【0037】
この構成によれば、エアバブル部5同士またはエアバブル部5とチェックバルブ部4とは、各々の頂点において連通されているのみとすることができる。また、相対的にエア通路の数を減少させることができる。そうすると、空気が充填されることにより、エアバブル部5及びチェックバルブ部4が空気圧により膨張し柔軟性が低下した場合でも、エアパッキングシート10全体としての柔軟性を向上させることができ、製品を梱包する際の形状の自由度を高いまま維持することができる。
【0038】
また、本実施例においては、略正方形のエアバブル部5が、2箇所の頂点において互いに連結された外観となるため、頂点エア通路6自体が目立たず、エアパッキングシート10全体としての美観を向上させることが可能である。
【0039】
図3には、本実施例におけるエアパッキングシートの別の態様について示す。この態様は、エアバブル部が六角形の形状を有し、この六角形の組合せによってエアチューブ部及び、エアチューブ組がハニカム構造によって形成される態様である。
【0040】
図3に示すエアパッキングシート20には、図1及び図2に示した態様と同様、エアガイド部11、エアチューブ部12、エアバブル部15が設けられる。本態様におけるエアバブル部15は、六角形の形状を有する。そして、この六角形のエアバブル部15がジグザグに連なりハニカム構造を構成することでエアチューブ部12が形成される。さらに、隣り合うエアチューブ部12によってエアチューブ組17が形成されている。
【0041】
エアチューブ組17を形成する2つのエアチューブ部12の間における隣り合う各々のエアバブル部15の頂点には頂点エア通路16が形成されている。この態様においても、エアガイド部11の空気導入口11aから空気を導入した場合に、チェックバルブ13を介してチェックバルブ部14に空気が導入され、その後は、図3に示す矢印のように、頂点エア通路16を介して順次エアバブル部15に空気が導入されエアバブル部15を膨張させる。
【0042】
この態様のように、エアバブル部15を六角形とし、その頂点に頂点エア通路15を配置する構成とすれば、六角形のエアバブル部15における垂直(水平)な辺及び、傾斜した辺同士の間の曲げに基づいて、エアパッキングシート20が高い自由度で変形するので、エアパッキングシート20をより滑らかに変形させることが可能である。
【0043】
次に、本実施例におけるチェックバルブ及びチェックバルブ部について説明する。ここでは、図1及び図2に示したエアパッキングシート10のチェックバルブを例にとって説明する。図4に示すのは、チェックバルブ3を含んだチェックバルブ部4の拡大平面図である。このチェックバルブ部4は上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10bの間に、さらに後述する上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bの4枚のフィルムが適宜熱溶着されることで形成されている。
【0044】
上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bは、図4の点線3cと3dとで示す範囲において、上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10bの間に挟みこまれている。また、チェックバルブ3には、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hが各々設けられている。この左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hにおいては、上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bの3枚が熱溶着されている。また、エアガイド部1からチェックバルブ部4への入口部分には、バルブ先端部3iが各々設けられている。このバルブ先端部3iにおいては、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとが熱溶着され、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとが熱溶着されている。
【0045】
また、図4で斜線でハッチングされた領域は、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bとが熱溶着された領域であるが、この領域で且つ、点線3cと3dとの間の範囲では、上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3b及び、下側熱可塑性フィルム10bの4枚のフィルムがともに熱溶着されている。
【0046】
この状態で、エアガイド部1の空気導入口1aから空気を導入すると、図4に実線矢印で示すように、円滑にチェックバルブ3を通過し、頂点エア通路6を介して図示しないエアバブル部5に導入され、チェックバルブ部4とエアバブル部5に空気が充填される。
【0047】
一方、エアバブル部5側から、チェックバルブ3を空気が通過する際には、図4に点線矢印で示しているように、空気がエアガイド部1側に流れづらい構成となっている。
【0048】
図4におけるチェックバルブ部4のA−A断面図について図5に示す。図5(a)は、空気導入時の状態を、図5(b)は空気導入後の状態を示す。図5(a)に示すように、バルブ先端部3iにおいて、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとが熱溶着され、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとが熱溶着されているので、エアガイド部1からの空気は確実に、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に流入する。そして、導入された空気は上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間を通過してエアバブル部5へと導入される。そして、このことによりエアバブル部5及びチェックバルブ部4の内圧が上昇すると、図5(b)に示すように、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとは、上側熱可塑性フィルム10aの方に内圧によって圧着される。これにより、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間の空気の通り道が塞がれるので、この効果によってもエアチューブ部2内の空気がエアガイド部1に逆流することによる空気の洩れが防止される。
【0049】
なお、上記においては、チェックバルブ3を形成するために、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bの2枚のフィルムを用いる構成について説明した。しかしながら、チェックバルブ3を形成するためには、上側弁フィルム3aを省略し、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hを上側熱可塑性フィルム10aと下側弁フィルム3bとの間に形成するようにしてもよい。また、チェックバルブ3において、エアガイド部1側からの空気の導入を円滑にし、チェックバルブ部4側からエアガイド部1への逆流を制限するためのパターンについては、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分
岐部3g、下流分岐部3hによるパターンは一例であり、他のパターンを用いても構わない。
【0050】
また、図4においては、バルブ先端部3iの長さは、チェックバルブ3のエアガイド部1への接続部分であるバルブ開口部の幅と略同等となっているが、バルブ先端部3iの長さは、チェックバルブ3のエアガイド部1への接続部分であるバルブ開口部の幅より長くしておいてもよいことは当然である。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2は、実施例1で説明したようなエアパッキングシートをエアチューブ部の並び方向に平行に折り曲げ、さらに両側面を熱溶着することで袋状にした、エアパッキング袋(以下、エアパッキングバッグともいう。)について説明する。
【0052】
図6には、従来のエアパッキングバッグを作製するための、エアパッキングシート130について示す。エアパッキングバッグを形成する際には、従来のエアバブル部135の他に、エアパッキングバッグの底面を形成する部分に、底面エアバブル部137が形成される。この底面エアバブル部137の長さLが、そのままエアパッキングバッグの底面の幅となるので、Lの値は、収納する製品に応じて適宜決められる。
【0053】
そして、エアパッキングシート130の底面エアバブル部137と、同じエアチューブ部に属する隣のエアバブル部135との間の部分を、図中一点鎖線に沿ってエアパッキングシート130が折り曲げられる。そして、エアパッキングシート130のさらに両側面130c及び、130dが熱溶着されることで、エアパッキングバッグが完成する。
【0054】
図7には、上記の手順で形成されたエアパッキングバッグ140について示す。図7(a)は平面図、図7(b)は側面図、図7(c)は底面図を示す。図7(a)及び図7(b)に明確に示されたとおり、このようなエアパッキングバッグ140では、底面のさらに端部を構成する底面バブル部147a、147bは、空気で膨張する一方、側面が熱溶着で接合されることにともなう歪が発生するので大きく変形し、エアパッキングバッグ140全体としては、底面両端部付近に突起部148が生じてしまう。
【0055】
このような突起部148が生じると、エアパッキングバッグ140に製品を収納した上で底面を下にして静置する際の安定性が損なわれる場合があった。あるいは、エアパッキングバッグ140としての美観が損なわれる場合があった。
【0056】
それに対し、図8に示すように、本実施例に係るエアパッキングバッグ用のエアパッキングシート30においては、底面エアバブル部27のうち、底面の端部に位置する底面端部エアバブル部27aのさらに端部側には、空気が充填されない空気非充填部としてのエア非充填部27bを設けることにした。これにより、エアパッキングシート30を用いてエアパッキングバッグを作製した場合にも、底面両端部付近に突起部が発生することを抑制できる。
【0057】
図9には、エア非充填部27bを設けたエアパッキングシート30によって作製されたエアパキングバッグ40の三面図を示す。上記したように、この場合には、エアバブル部の最も変形が大きい底面端部エアバブル部27aの端部側に空気が充填されておらず、当該部分の柔軟性を向上することができる。これにより、突起部の発生を抑制することが可能となっている。
【0058】
なお、図8に示したエア非充填部27bは、底面端部エアバブル部27aの中でさらに
端部側の略長方形の領域を熱溶着することで形成している。エア非充填部27bの形状はこれに限られず、例えば、底面端部エアバブル部27aのエアが充填されている部分に対し、中央部で突出するような境界線を有していてもよい。また、エア非充填部27bの中央部は熱溶着されておらず、単にその部分に空気の導入が禁止されることで柔軟性を向上させるようにしてもよい。
【0059】
また、上記の実施例においては、実施例1で説明したエアパッキング部材によってエアパッキング袋を作製する例について説明したが、本発明が適用できるエアパッキング部材は、実施例1で説明したものに限られない。例えば、図15〜図17で説明したような従来のエアパッキング部材に本発明を適用しても構わない。
【実施例3】
【0060】
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例では、実施例1で説明したエアパッキングシートの製造工程について説明する。
【0061】
図10は、チェックバルブ3を設けた本発明のエアパッキングシート10を製造するための製造工程の例を示している。上述したように、チェックバルブ3は、エアパッキングシート10の製造工程の中において形成される。図10に示す製造工程の構成は単なる一例であり、この技術分野の通常の知識を有する者は、図10の工程で用いられている概念から逸脱しない限り他の構成を用いることが可能である。
【0062】
図10の製造工程50は、フィルム供給工程としての熱可塑性フィルム送り工程41と、チェックバルブパターン形成工程としてのチェックバルブ熱溶着工程42と、チェックバルブ入口形成工程としてのバルブ先端熱溶着工程43と、主要部分形成工程としての主熱溶着工程44とから構成されている。図10を参照して、全体的な製造工程を説明する。まず、熱可塑性フィルム送り工程41においては、フィルム送り込み装置41aによって、上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10b、および上側弁フィルム3a及び、下側弁フィルム3bが供給される。また、フィルム運搬ローラ41bがフィルム送り込み装置41aから供給された上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10b、上側弁フィルム4a及び、下側弁フィルム4bをガイドするとともに次工程に前進させる。
【0063】
次に、チェックバルブ熱溶着工程42について説明する。この工程は、チェックバルブ熱溶着装置42aによって実行される。チェックバルブ熱溶着装置42aは、図4で示した左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hを形成するために、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bとを熱溶着によって接合させる。ここで、ベルトコンベヤ42bは、チェックバルブ熱溶着装置42aによる熱溶着の際に、熱溶着部分が延長しまたは破損することを防止するために用いられる。ベルトコンベア42bは、2つの車輪42cとマイラーフィルムまたはテフロン(登録商標)フィルムのような高熱抵抗性フィルムにより作製またはコーティングしたベルト42dとにより構成されている。チェックバルブ熱溶着工程42において、チェックバルブ熱溶着装置42aからの熱は、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bを介してベルトコンベヤ42bのテフロン(登録商標)フィルムに伝達される。この時に、高熱の熱溶着部分は、ベルトコンベヤ42bのテフロン(登録商標)フィルムに一時的に張り付きながら自然に硬化する。従って、下側弁フィルム3bを、テフロン(登録商標)フィルムから安全に剥がすことができる。
【0064】
次に、バルブ先端熱溶着工程43は、バルブ先端溶着装置43a、43bとベルトコンベヤ43cとによって実現される。このベルトコンベヤ43cは、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に配置される。このベルトコンベア43cのベルト表面にもテ
フロン(登録商標)が施されている。このバルブ先端熱溶着工程43においては、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとの間と、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとの間にバルブ先端部3iが形成される。これにより、エアガイド部からチェックバルブに空気を導入する際に、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとの間及び、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとの間に空気が導入されてしまうことを抑制する。
【0065】
次に、主熱溶着工程44は、主熱溶着装置44aとベルトコンベヤ44bとにより実行される。主熱溶着装置44aは、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3aと、下側熱可塑性フィルム10bと、下側弁フィルム3bとをまとめて熱溶着し、エアガイド部1、エアチューブ部2、チェックバルブ部4、エアバルブ部5を形成するヒーターである。典型的には、主熱溶着装置44aは、図1及び図2に示すようなエアパッキングシート10を形成するための大規模なヒーターである。1つの長いフィルムとして製造されたエアパッキングシート10は、この工程の後に切断され折り畳まれまたは巻かれてユーザに搬送される。
【0066】
なお、主熱溶着工程44においては、上述のように上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3aと、下側熱可塑性フィルム10bと、下側弁フィルム3bとをまとめて熱溶着するが、その際、チェックバルブ部4とエアガイド部1との境界部分であって、エアガイド部1からチェックバルブ3に空気が導入されるバルブ開口部に相当する部分については、熱溶着が行われない。バルブ先端溶着工程43において、この部分における上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3a、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bが既に熱溶着されているので、主熱溶着工程44においてこの部分に熱溶着を禁止することで、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bの間のみが開口するチェックバルブ3のバルブ開口部を良好に形成することが可能である。
【0067】
図11には、本実施例におけるエアパッキングシートの製造工程50によってエアパッキングシート10を製造した場合の、エアパッキングシート10の形成過程について示す。図11においてフィルムは左方向から右方向に向かって流れる。そして、実線で示されるフィルムは上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bである。また、点線3cと3dとで示されるフィルムは上側弁フィルム3a及び下側弁フィルム3bである。チェックバルブ熱溶着工程42においてはチェックバルブ熱溶着装置42aによって、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hが、図中太点線(42a)で示された領域で上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bとを熱溶着することによって形成される。
【0068】
次に、バルブ先端熱溶着工程43においては、バルブ先端溶着装置43aによって、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとの間と、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとの間にバルブ先端部3iが形成される。この工程では前述のように、ベルトコンベヤ43cを、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に配置する必要があるが、バルブ先端溶着装置43aは図中太点線(43a)で示された領域で熱溶着を行なうため、先のチェックバルブ熱溶着工程42において上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bが熱溶着されていても、問題なく、ベルトコンベヤ43cを、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に配置することができる。なお、図11においてバルブ先端部3iは、フィルムの流れ方向に対して平行な直線状に、複数のチェックバルブ3のバルブ開口部を包含するような長さで形成されている。こうすることで、バルブ先端熱溶着装置43aによる熱溶着位置の誤差があった場合にも、より確実に、バルブ先端部3iをバルブ開口部に形成することができる。
【0069】
次に、主熱溶着工程44においては、主熱溶着装置44aは、図中太点線(44a)に
示す範囲で、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3aと、下側熱可塑性フィルム10bと、下側弁フィルム3bとをまとめてハッチングで示すように熱溶着し、エアガイド部1、エアチューブ部2、チェックバルブ部4、エアバブル部5を形成する。
【0070】
なお、図11の説明においては、簡単のために一度に4つのエアチューブ部2が形成されるような図になっているが、一度に形成するエアチューブ部2の数は自由に変更することができる。
【0071】
図12には、その際の主熱溶着装置44aにおけるヒータコマ44cの斜視図を示す。このヒータコマ44cは、製造するエアパッキングシート10におけるエアチューブ部2の数と同数のコマユニット44dを備えている(図では5個)。すなわち、各コマユニット44dを加熱した上で、上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3b、下側熱可塑性フィルム10bに対して押圧することで各フィルムに対する熱溶着が行われる。
【0072】
各コマユニット44dにおいては、エアガイド部1とエアチューブ部2の境界部分を熱溶着で形成する押圧部44eの他に、エアガイド部1からチェックバルブ3へ空気が流入するバルブ開口部を形成するための逃げ部44fが形成されている。この逃げ部44fの存在により、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bと下側熱可塑性フィルム10bのみが熱溶着されており、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとは熱溶着がされていないチェックバルブ3のバルブ開口部を形成することが可能である。
【0073】
上記のヒータコマ44cを有する主熱溶着装置44aを用いて、主熱溶着工程44を実行することで、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bに従来のように耐熱性インクによる印刷を施す必要がなくなる。また、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bと下側熱可塑性フィルム10bのみが熱溶着されており、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとは熱溶着がされていないチェックバルブ3のバルブ開口部を複数のチェックバルブ3について流れの中で同時に形成することができる。従って、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減することが可能となる。
【0074】
なお、上記の製造工程においては、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの間のエアガイド部1に相当する部分に、上側熱可塑性フィルム10a側若しくは下側熱可塑性フィルム10b側の一方に凸面が対向し、他方に平面が対向するようなスペーサを介するようにしてもよい。そのことにより、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bのエアガイド部1に相当する部分に隙間を形成させることが可能となり、エアパッキングシート10に空気を充填する際に、ノズルをエアガイド部1の空気導入口1aに挿入し易くなる。
【0075】
図13には、本実施例におけるスペーサ60の例及び、スペーサ60の挿入態様を示す。本実施例では、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの流れ方向は、エアガイド部1の長手方向と平行な方向である。従って、図に示すように、スペーサ60をフィルムの流れ方向と平行方向に上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの間に介在させることができる。そして、図14(a)に示すように、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの間にスペーサ60が介在した状態で主熱溶着工程44において熱溶着を行う。その結果、図14(b)に示すように、断面が半円形状の空気導入口1aが設けられたエアガイド部1をより簡単に形成することが可能となる。
【0076】
なお、図14(b)に示すような、断面が半円形状の空気導入口1aが設けられたエア
ガイド部1を形成した場合、上記の主熱溶着工程44の後に、エアパッキングシート10を巻き取ることを考えると、巻き取ったロールの片側の端だけが径が大きくなり、巻き取ったロールの取扱い、保管がしづらくなるという不都合が起こり得る。このような不都合を避けるためには、主熱溶着工程44で、エアガイド部1におけるチェックバルブ部4とは逆側の端部(図11における下側の端部)の熱溶着を行わないようにしてもよい。
【0077】
そして、巻き取ったロールから再度エアパッキングシート10を引き出し、使用サイズに裁断する前に、エアガイド部1におけるチェックバルブ部4とは逆側の端部(図11における下側の端部)を熱溶着するようにしてもよい。また、エアパッキングシートをさらに加工してエアパッキングバッグを作製する場合には、エアパッキングシートを裁断、折り曲げして、両側面を熱溶着する際に、併せて、エアガイド部1におけるチェックバルブ部4とは逆側の端部(図11における下側の端部)を熱溶着するようにしてもよい。このようにすることで、エアパッキングシート10を巻き取った際のロールの片側の径の増大を防止することができる。
【0078】
なお、図13においては、断面三角形のスペーサ60について説明したが、本発明のスペーサ60の断面は三角形に限られないことは当然である。例えば半円形状、円弧形状、台形形状などの断面を有するようにしてもよい。
【0079】
また、上記の実施例においては、実施例1で説明したエアパッキング部材を製造する場合の製造工程を例にとって本発明について説明したが、本発明が適用できるエアパッキング部材は、実施例1で説明したものに限られない。例えば、図15〜図17で説明したような従来のエアパッキング部材の製造工程に本発明を適用しても構わない。
【0080】
なお、本発明に用いられる「熱可塑性フィルム」は、熱可塑性樹脂に分類される樹脂により形成されたフィルムの他、熱溶着によって貼り合わせが可能な樹脂製フィルムを広く含む。
【符号の説明】
【0081】
1、11・・・エアガイド部
1a、11a・・・空気導入口
2、12・・・エアチューブ部
3、13・・・チェックバルブ
4、14・・・チェックバルブ部
3a・・・上側弁シート
3b・・・下側弁シート
5、15、25・・・エアバブル部
6、16・・・頂点エア通路
7、17・・・エアチューブ組
10、20、30・・・エアパッキングシート
10a・・・上側熱可塑性フィルム
10b・・・下側熱可塑性フィルム
27・・・底面エアバブル部
27a・・・底面端部エアバブル部
27b・・・エア非充填部
40・・・エアパッキングバッグ
41・・・熱可塑性フィルム送り工程
42・・・チェックバルブ熱溶着工程
43・・・バルブ先端熱溶着工程
44・・・主熱溶着工程
50・・・エアパッキングシート製造工程
60・・・スペーサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を衝撃や振動から守るために製品を梱包するエアパッキング部材であって梱包時に空気の充填が可能なエアパッキング部材、当該エアパッキング部材によって形成され製品を収納するためのエアパッキング袋および、エアパッキング部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の輸送などの流通経路において、消費材や工業製品を梱包するために、空気などの気体を充填したエアパッキング部材が用いられる場合がある。特に使用時に気体の充填を可能としたエアパッキング部材は、樹脂フィルムからなる薄いシートで構成されているので、気体が導入されていない状態ではコンパクトに収納することができるという特徴がある。また、簡単な構成を有するので製造に金型を必要としない、発砲スチロールのように破片や埃を生じさせない、樹脂フィルムにリサイクル可能な材料を使用できる、低価格で製造や運搬ができるといった利点がある。
【0003】
図15及び図16には、従来のエアパッキング部材の一例を示す。エアパッキング部材100は、熱可塑性樹脂で形成された上側フィルム100aと下側フィルム100bとが熱溶着されることで形成されている。一般に、各熱可塑性フィルムは、適切な接着剤または他の方法で互いに結合されたポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンのような多層の材料から構成されている。上側フィルム100aと下側フィルム100bとは、熱溶着部107において互いに熱溶着される。
【0004】
エアパッキング部材100には、熱溶着により、エアガイド部101と複数並列したエアチューブ部102とが形成される。エアガイド部101とエアチューブ部102との間はチェックバルブ103によって空気の流通が可能になっている。ここで、チェックバルブ103の働きにより、空気は、エアガイド部101からエアチューブ部102へは流通し易く、エアチューブ部102からエアガイド部101へは極めて流通し難い構成となっている。
【0005】
また、各々のエアチューブ部102は、チェックバルブ103を含むチェックバルブ部104と、エア通路106を介して連通された複数のエアバブル部105を有する。そして、エアパッキング部材100を使用する際には、空気導入口101aから所定の空気圧で空気を導入する。そうすると、導入された空気は図15の矢印に沿ってエアガイド部101からチェックバルブ103を通過して、各々のエアチューブ部102に導入される。そして、各々のエアチューブ部102においては、エア通路106を介して順次エアバブル部105に空気が導入される。前述のようにチェックバルブ103は、エアチューブ部102側からエアガイド部101側への空気の流通を制限するため、各々のエアバブル部105、チェックバルブ部104には空気が充填され、図16に示すように膨張する。
【0006】
このエアバブル部105、チェックバルブ部104がクッション材の役割を果たし、エアパッキング部材100で梱包された製品の破損や振動を抑制することができる。なお、複数のエアチューブ部102を独立に形成する主な目的は、エアパッキング部材100の信頼性を高めるためである。すなわち、何らかの理由で1つのエアチューブ部102に空気漏れが発生しても、他のエアチューブ部102においては空気が充填されたままになっており、クッション性を維持することができる。これにより、エアパッキング部材100は、製品を保護するクッションまたは緩衝材として引き続き機能すること可能である。
【0007】
チェックバルブ103は、空気の流通路を形成するために互いに結合された2つの熱可塑性弁フィルムから構成されている。チェックバルブ103は、先端のバルブ開口部103aとバルブ本体103bとを有しており、エアガイド部101から先端のバルブ開口部103aを介して空気がチェックバルブ103に導入される。そして、導入された空気はバルブ本体103bによって逆流が防止される。このチェックバルブ103は、エアパッキング部材100の製造工程中またはその後に、エアパッキング部材100の上側フィルム100aまたは下側フィルム100bの他のフィルムを熱溶着することによって形成される。
【0008】
図17には、従来のエアパッキング部材の別の例について示す。このエアパッキング部材110は、先述の例と同様、エアガイド部111、チェックバルブ113、エアチューブ部112、チェックバルブ部114、エアバブル部115から形成される。しかし、このエアパッキング部材110においては、エア通路116は、エアバブル部115同士をその両端部において連通しており、エアガイド部111から導入された空気はエアバブル部115の間を2つのエア通路116によって図中矢印のごとく流通し、全てのエアバブル部115を膨張させる。
【0009】
しかしながら、上記のような従来のエアパッキング部材においては、エア通路106または116は、完全にエアチューブ部102または112の中に配置されているため、エア通路106または116内に空気が充填された場合にはエアチューブ部102または112の柔軟性を損なう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5209264号明細書
【特許文献2】米国特許第5927336号明細書
【特許文献3】米国特許第6629777号明細書
【特許文献4】特表2008−535744号公報
【特許文献5】特開2005−1766号公報
【特許文献6】特開2004−18112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、エアガイド部と、複数のエアチューブ部と、エアチューブ部を区切って形成されるエアバブル部とを有し、使用時に空気をエアガイド部からエアチューブ部及びエアバブル部に充填させるエアパッキング部材において、その柔軟性を向上させることが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、エアガイド部と、複数のエアチューブ部と、エアチューブ部を区切って形成される多角形型のエアバブル部とを有し、使用時に空気をエアガイド部からエアチューブ部及びエアバブル部に充填させるエアパッキング部材において、隣り合うエアチューブ部によりエアチューブ組を形成し、エアチューブ組同士は空気の流通が遮断されるようにし、同じエアチューブ組を形成するエアバブル部同士は頂点において連通され、互いに空気の流通を可能としたことを最大の特徴とする。
【0013】
より詳しくは、互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であ
って、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備え、
隣り合った二の前記エアチューブ部が空気の流通可能に結合することによりエアチューブ組が形成されるとともに、該エアチューブ組同士は空気の流通が禁止され、
前記エアチューブ組を形成するエアバブル部は隣り合うエアバブル部と前記多角形形状の頂点において連通されたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、エアバブル部同士を連通するエア通路は、エアチューブ部とエアチューブ部の間の領域に配置されることとなる。そうすれば、エアチューブ部内におけるエアバブル部同士の連結に関する柔軟性を向上させることができ、エアパッキング部材全体の柔軟性を向上させることができる。また、エアバブル部とエアバブル部を連通するエア通路を、エアバブル部の頂点同士を連結するように形成可能となるので、エアバブル部の辺同士を連結する場合と比較して、エアバブル部間の柔軟性をも向上させることができる。
【0015】
また、本発明では、二のエアチューブ部を組にしてエアチューブ組とし、エアチューブ組同士の間では空気が遮断される構成となっているので、例え一のエアチューブ部において空気の漏れが生じたとしても、エアチューブ組に係る二のエアチューブ部に空気漏れが限定され、他のエアチューブ部には影響を及ぼさなくすることができる。
【0016】
また、本発明においては、前記エアバブル部は、長方形状の平面形状を有する前記エアチューブ部を長手方向に区切るように熱溶着されることで、長方形状の平面形状を有するとともに前記エアチューブ部に一列に並ぶように形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、互いに近接する側の頂点において連通されるようにしてもよい。
【0017】
さらに、本発明においては、前記エアバブル部は六角形状の平面形状を有し、前記エアチューブ組を形成するエアバブル部によってハニカム構造が形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、前記ハニカム構造における共通の頂点において連通されるようにしてもよい。
【0018】
また、本発明においては、互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を、前記エアチューブ部において、該エアチューブ部の並び方向に平行な折り目によって折りたたむとともに、折り目に垂直な両端を熱溶着することで形成したエアパッキング袋であり、
該エアパッキング袋の底面における前記両端に位置するエアバブル部には、空気が充填されておらず柔軟性が向上した空気非充填部を設けるようにしてもよい。
【0019】
この場合の発明は、上述のエアパッキング部材を、エアチューブ部を途中で折り曲げ、両端を接合することにより袋状としたエアパッキング袋に関する。エアパッキング部材を用いてこのようなエアパッキング袋を作製した場合には、エアバブル部のうちいくつかが、エアパッキング袋の底面を構成する。そうすると、底面を構成するエアバブル部のうち、両端の接合部に近い部分に位置するエアバブル部は、エアチューブ部の長さ方向に曲げられるとともに、端面が接合される関係上エアチューブ部の幅方向にも曲げられることから、複雑な変形が生じるとともに変形量も大きくなる。その結果、エアパッキング袋の底面の両端が突出した形状となる。
【0020】
そうすると、エアパッキング袋の底面の形状が平面になりづらいので、袋に製品を収納した状態での設置安定性が低下し、外観の美観も損なわれる。また、この傾向は、エアパッキング袋の底面における、エアチューブ部の長さ方向の幅が大きい程顕著になる。
【0021】
そこで、本発明においては、エアパッキング袋の底面の両端部に位置するエアバブル部には、空気が充填されておらず柔軟性が向上した空気非充填部を設けるようにした。そうすれば、複雑な曲げ変形が生じる底面の両端については、エアバブル部に空気が充填されておらず、単に第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムの貼り合わせの状態とすることができる。その結果、エアパッキング袋の底面の柔軟性が高くなり、底面の端部が突出しづらくなり、エアパッキング袋の設置安定性を向上させるとともに美観を向上させることができる。
【0022】
また、本発明は、互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を製造するエアパッキング部材の製造方法であって、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムと、熱可塑性フィルムからなり前記チェックバルブを形成する第1弁フィルム及び第2弁フィルムと、を供給するフィルム供給工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムとを熱溶着することで前記チェックバルブ内で空気の流通経路を規制するパターンを形成するチェックバルブパターン形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとを熱溶着するとともに前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着して、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとの間または、前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとの間に空気が導入されることを
禁止するパターンを形成するチェックバルブ入口形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムの2枚のフィルムまたは、前記第1熱可塑性フィルム、前記第1弁フィルム、前記第2弁フィルム及び第2熱可塑性フィルムの4枚のフィルムを熱溶着することで、前記エアガイド部、前記エアチューブ部、前記エアバブル部及び、前記チェックバルブの外形を形成する主要部分形成工程と、を有し、
前記主要部分形成工程における熱溶着においては、前記エアガイド部と前記チェックバルブとの接続部分の熱溶着を禁止することで、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムの間へのみ空気の導入を可能としたことを特徴とするエアパッキング部材の製造方法であってもよい。
【0023】
ここで、従来のエアパッキング部材においては、チェックバルブを形成する際には、熱可塑性の弁フィルムに耐熱性のインクで空気を導入する部分に印刷を施し、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムを熱溶着しても、当該印刷部分は熱溶着がされず、弁フィルムにおける上記印刷部分(熱溶着されなかった部分)を通じて空気が流通する構成となっていた。
【0024】
その場合、弁フィルムに印刷を行う工程などが必要となり、エアパッキング部材の製造工程が複雑化し、コスト削減の妨げとなる場合があった。これに対し、本発明の製造方法では、主要部分形成工程においてエアガイド部とチェックバルブとの接続部分の熱溶着を禁止することで、エアガイド部から、チェックバルブを構成する第1弁フィルムと第2弁フィルムの間への空気の導入を可能とした。
【0025】
これによれば、チェックバルブを構成するフィルムとして一般的な熱可塑性フィルムを使用することができ、耐熱性インクによる印刷を行なう必要もなくなる。また、主要部分形成工程で、チェックバルブを構成する第1弁フィルムと第2弁フィルムの間への空気の導入を可能とする工程を複数のチェックバルブに対して同時に行うことができる。その結果、エアパッキング部材の製造工程を簡略化することができ、コストの低減を図ることが可能となる。
【0026】
また、本発明のエアパッキング部材の製造方法においては、前記主要部分形成工程において、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムの間の前記エアガイド部に相当する部分に、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムのいずれか一方に対向する面は平面で他方に対向する面は凸面であるスペーサを介在させるようにしてもよい。
【0027】
ここで、エアガイド部は、上述のように、空気導入口から空気が導入され、チェックバルブを介して全てのエアチューブ部に空気を流入させる役割を負っている。従ってエアパッキング部材に空気を充填する際には、このエアガイド部の空気導入口にノズルを挿入して空気を導入する作業が必要となる。
【0028】
しかしながら、一般的には、エアパッキング部材は、2枚の熱可塑性フィルムを熱溶着によって張り合わせて形成するため、2枚の熱可塑性フィルムが密着することがあり、空気導入口にノズルを挿入しづらいという不都合があった。そこで、本発明のエアパッキング部材の製造方法においては、主要部分形成工程において、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間のエアガイド部に相当する部分に、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムのいずれか一方に対向する面は平面で他方に対向する面は凸面であるスペーサを介在させるようにした。
【0029】
これによれば、自動的に、エアガイド部を形成する第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの長さ(幅)を異ならせることができ、エアガイド部へのノズルの挿入が容易
なエアパッキング部材を製造することが可能となる。
【0030】
なお、上記の手段は、可能な限り互いに組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、エアガイド部と、複数のエアチューブ部と、エアチューブ部を区切って形成されるエアバブル部とを有し、使用時に空気をエアガイド部からエアチューブ部及びエアバブル部に充填させるエアパッキング部材において、その柔軟性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1に係るエアパッキングシートの空気充填前の状態を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係るエアパッキングシートの空気充填後の状態を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係るエアパッキングシートの別の態様を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係るチェックバルブ部の拡大図である。
【図5】本発明の実施例1に係るチェックバルブ部のA−A断面図である。
【図6】エアパッキングバッグのためのエアパッキングシートの例を示す図である。
【図7】エアパッキングバッグの例を示す図である。
【図8】本発明の実施例2に係るエアパッキングバッグのためのエアパッキングシートを示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係るエアパッキングバッグを示す図である。
【図10】本発明の実施例3に係るエアパッキングシートの製造工程を説明するための図である。
【図11】本発明の実施例3に係るエアパッキングシートの製造工程において、エアパッキングシートが形成される過程を説明するための図である。
【図12】本発明の実施例3に係る熱溶着装置を示す図である。
【図13】本発明の実施例3に係るスペーサの挿入の態様について説明するための図である。
【図14】本発明の実施例3に係るエアガイド部の製造時及び完成時の断面図である。
【図15】従来のエアパッキングシートの空気充填前の状態について説明するための図である。
【図16】従来のエアパッキングシートの空気充填後の状態について説明するための図である。
【図17】従来のエアパッキングシートの空気充填前の状態の別の例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係るエアパッキング部材、エアパッキング袋および、エアパッキング部材の製造方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
添付した図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1及び図2には、本発明におけるエアパッキング部材1(以下、エアパッキングシートともいう。)の基本構成を示す。図1はエアパッキングシート10に空気を充填する前の状態を示す。図2は、エアパッキングシート10に空気を充填した状態を示す。図1及び図2に示すように、エアパッキングシート10は、熱可塑性樹脂からなる上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bを熱溶着で貼り合わせることにより形成されている。そして、エアガイド部
1と複数列に並列したエアチューブ部2とが形成されている。各々のエアチューブ部2は、チェックバルブ3を含むチェックバルブ部4と、複数のエアバブル部5を有している。
【0035】
また、本実施例においては、隣り合う2つのエアチューブ部2によってエアチューブ組7が形成されている。そして、このエアチューブ組7を構成するエアチューブ部2のエアバブル部5同士は、互いに近接する側の頂点において頂点エア通路6によって連通されている。また、各エアチューブ部2を構成するエアバブル部5同士も、頂点エア通路6により連通されている。また、エアチューブ組7を構成するチェックバルブ部4同士、あるいはチェックバルブ部4とエアバブル部5とも、同様に頂点エア通路6により連通されている。
【0036】
換言すると、一つの頂点エア通路6によって4つのエアバブル部5、または、2つのチェックバルブ部4と2つのエアバブル部5とが連通されている。この状態で、エアガイド部1の空気導入口1aから空気を導入すると、図1の矢印に示すように空気はまず、チェックバルブ3からチェックバルブ部4に導入され、その後は、頂点エア通路6を介してエアバブル部5に順次導入される。そして、エアチューブ組7を単位として、チェックバルブ部4とエアバブル部5とに空気が充填され、図2に示すような状態となる。
【0037】
この構成によれば、エアバブル部5同士またはエアバブル部5とチェックバルブ部4とは、各々の頂点において連通されているのみとすることができる。また、相対的にエア通路の数を減少させることができる。そうすると、空気が充填されることにより、エアバブル部5及びチェックバルブ部4が空気圧により膨張し柔軟性が低下した場合でも、エアパッキングシート10全体としての柔軟性を向上させることができ、製品を梱包する際の形状の自由度を高いまま維持することができる。
【0038】
また、本実施例においては、略正方形のエアバブル部5が、2箇所の頂点において互いに連結された外観となるため、頂点エア通路6自体が目立たず、エアパッキングシート10全体としての美観を向上させることが可能である。
【0039】
図3には、本実施例におけるエアパッキングシートの別の態様について示す。この態様は、エアバブル部が六角形の形状を有し、この六角形の組合せによってエアチューブ部及び、エアチューブ組がハニカム構造によって形成される態様である。
【0040】
図3に示すエアパッキングシート20には、図1及び図2に示した態様と同様、エアガイド部11、エアチューブ部12、エアバブル部15が設けられる。本態様におけるエアバブル部15は、六角形の形状を有する。そして、この六角形のエアバブル部15がジグザグに連なりハニカム構造を構成することでエアチューブ部12が形成される。さらに、隣り合うエアチューブ部12によってエアチューブ組17が形成されている。
【0041】
エアチューブ組17を形成する2つのエアチューブ部12の間における隣り合う各々のエアバブル部15の頂点には頂点エア通路16が形成されている。この態様においても、エアガイド部11の空気導入口11aから空気を導入した場合に、チェックバルブ13を介してチェックバルブ部14に空気が導入され、その後は、図3に示す矢印のように、頂点エア通路16を介して順次エアバブル部15に空気が導入されエアバブル部15を膨張させる。
【0042】
この態様のように、エアバブル部15を六角形とし、その頂点に頂点エア通路15を配置する構成とすれば、六角形のエアバブル部15における垂直(水平)な辺及び、傾斜した辺同士の間の曲げに基づいて、エアパッキングシート20が高い自由度で変形するので、エアパッキングシート20をより滑らかに変形させることが可能である。
【0043】
次に、本実施例におけるチェックバルブ及びチェックバルブ部について説明する。ここでは、図1及び図2に示したエアパッキングシート10のチェックバルブを例にとって説明する。図4に示すのは、チェックバルブ3を含んだチェックバルブ部4の拡大平面図である。このチェックバルブ部4は上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10bの間に、さらに後述する上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bの4枚のフィルムが適宜熱溶着されることで形成されている。
【0044】
上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bは、図4の点線3cと3dとで示す範囲において、上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10bの間に挟みこまれている。また、チェックバルブ3には、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hが各々設けられている。この左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hにおいては、上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bの3枚が熱溶着されている。また、エアガイド部1からチェックバルブ部4への入口部分には、バルブ先端部3iが各々設けられている。このバルブ先端部3iにおいては、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとが熱溶着され、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとが熱溶着されている。
【0045】
また、図4で斜線でハッチングされた領域は、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bとが熱溶着された領域であるが、この領域で且つ、点線3cと3dとの間の範囲では、上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3b及び、下側熱可塑性フィルム10bの4枚のフィルムがともに熱溶着されている。
【0046】
この状態で、エアガイド部1の空気導入口1aから空気を導入すると、図4に実線矢印で示すように、円滑にチェックバルブ3を通過し、頂点エア通路6を介して図示しないエアバブル部5に導入され、チェックバルブ部4とエアバブル部5に空気が充填される。
【0047】
一方、エアバブル部5側から、チェックバルブ3を空気が通過する際には、図4に点線矢印で示しているように、空気がエアガイド部1側に流れづらい構成となっている。
【0048】
図4におけるチェックバルブ部4のA−A断面図について図5に示す。図5(a)は、空気導入時の状態を、図5(b)は空気導入後の状態を示す。図5(a)に示すように、バルブ先端部3iにおいて、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとが熱溶着され、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとが熱溶着されているので、エアガイド部1からの空気は確実に、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に流入する。そして、導入された空気は上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間を通過してエアバブル部5へと導入される。そして、このことによりエアバブル部5及びチェックバルブ部4の内圧が上昇すると、図5(b)に示すように、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとは、上側熱可塑性フィルム10aの方に内圧によって圧着される。これにより、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間の空気の通り道が塞がれるので、この効果によってもエアチューブ部2内の空気がエアガイド部1に逆流することによる空気の洩れが防止される。
【0049】
なお、上記においては、チェックバルブ3を形成するために、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bの2枚のフィルムを用いる構成について説明した。しかしながら、チェックバルブ3を形成するためには、上側弁フィルム3aを省略し、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hを上側熱可塑性フィルム10aと下側弁フィルム3bとの間に形成するようにしてもよい。また、チェックバルブ3において、エアガイド部1側からの空気の導入を円滑にし、チェックバルブ部4側からエアガイド部1への逆流を制限するためのパターンについては、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分
岐部3g、下流分岐部3hによるパターンは一例であり、他のパターンを用いても構わない。
【0050】
また、図4においては、バルブ先端部3iの長さは、チェックバルブ3のエアガイド部1への接続部分であるバルブ開口部の幅と略同等となっているが、バルブ先端部3iの長さは、チェックバルブ3のエアガイド部1への接続部分であるバルブ開口部の幅より長くしておいてもよいことは当然である。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2は、実施例1で説明したようなエアパッキングシートをエアチューブ部の並び方向に平行に折り曲げ、さらに両側面を熱溶着することで袋状にした、エアパッキング袋(以下、エアパッキングバッグともいう。)について説明する。
【0052】
図6には、従来のエアパッキングバッグを作製するための、エアパッキングシート130について示す。エアパッキングバッグを形成する際には、従来のエアバブル部135の他に、エアパッキングバッグの底面を形成する部分に、底面エアバブル部137が形成される。この底面エアバブル部137の長さLが、そのままエアパッキングバッグの底面の幅となるので、Lの値は、収納する製品に応じて適宜決められる。
【0053】
そして、エアパッキングシート130の底面エアバブル部137と、同じエアチューブ部に属する隣のエアバブル部135との間の部分を、図中一点鎖線に沿ってエアパッキングシート130が折り曲げられる。そして、エアパッキングシート130のさらに両側面130c及び、130dが熱溶着されることで、エアパッキングバッグが完成する。
【0054】
図7には、上記の手順で形成されたエアパッキングバッグ140について示す。図7(a)は平面図、図7(b)は側面図、図7(c)は底面図を示す。図7(a)及び図7(b)に明確に示されたとおり、このようなエアパッキングバッグ140では、底面のさらに端部を構成する底面バブル部147a、147bは、空気で膨張する一方、側面が熱溶着で接合されることにともなう歪が発生するので大きく変形し、エアパッキングバッグ140全体としては、底面両端部付近に突起部148が生じてしまう。
【0055】
このような突起部148が生じると、エアパッキングバッグ140に製品を収納した上で底面を下にして静置する際の安定性が損なわれる場合があった。あるいは、エアパッキングバッグ140としての美観が損なわれる場合があった。
【0056】
それに対し、図8に示すように、本実施例に係るエアパッキングバッグ用のエアパッキングシート30においては、底面エアバブル部27のうち、底面の端部に位置する底面端部エアバブル部27aのさらに端部側には、空気が充填されない空気非充填部としてのエア非充填部27bを設けることにした。これにより、エアパッキングシート30を用いてエアパッキングバッグを作製した場合にも、底面両端部付近に突起部が発生することを抑制できる。
【0057】
図9には、エア非充填部27bを設けたエアパッキングシート30によって作製されたエアパキングバッグ40の三面図を示す。上記したように、この場合には、エアバブル部の最も変形が大きい底面端部エアバブル部27aの端部側に空気が充填されておらず、当該部分の柔軟性を向上することができる。これにより、突起部の発生を抑制することが可能となっている。
【0058】
なお、図8に示したエア非充填部27bは、底面端部エアバブル部27aの中でさらに
端部側の略長方形の領域を熱溶着することで形成している。エア非充填部27bの形状はこれに限られず、例えば、底面端部エアバブル部27aのエアが充填されている部分に対し、中央部で突出するような境界線を有していてもよい。また、エア非充填部27bの中央部は熱溶着されておらず、単にその部分に空気の導入が禁止されることで柔軟性を向上させるようにしてもよい。
【0059】
また、上記の実施例においては、実施例1で説明したエアパッキング部材によってエアパッキング袋を作製する例について説明したが、本発明が適用できるエアパッキング部材は、実施例1で説明したものに限られない。例えば、図15〜図17で説明したような従来のエアパッキング部材に本発明を適用しても構わない。
【実施例3】
【0060】
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例では、実施例1で説明したエアパッキングシートの製造工程について説明する。
【0061】
図10は、チェックバルブ3を設けた本発明のエアパッキングシート10を製造するための製造工程の例を示している。上述したように、チェックバルブ3は、エアパッキングシート10の製造工程の中において形成される。図10に示す製造工程の構成は単なる一例であり、この技術分野の通常の知識を有する者は、図10の工程で用いられている概念から逸脱しない限り他の構成を用いることが可能である。
【0062】
図10の製造工程50は、フィルム供給工程としての熱可塑性フィルム送り工程41と、チェックバルブパターン形成工程としてのチェックバルブ熱溶着工程42と、チェックバルブ入口形成工程としてのバルブ先端熱溶着工程43と、主要部分形成工程としての主熱溶着工程44とから構成されている。図10を参照して、全体的な製造工程を説明する。まず、熱可塑性フィルム送り工程41においては、フィルム送り込み装置41aによって、上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10b、および上側弁フィルム3a及び、下側弁フィルム3bが供給される。また、フィルム運搬ローラ41bがフィルム送り込み装置41aから供給された上側熱可塑性フィルム10a、下側熱可塑性フィルム10b、上側弁フィルム4a及び、下側弁フィルム4bをガイドするとともに次工程に前進させる。
【0063】
次に、チェックバルブ熱溶着工程42について説明する。この工程は、チェックバルブ熱溶着装置42aによって実行される。チェックバルブ熱溶着装置42aは、図4で示した左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hを形成するために、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bとを熱溶着によって接合させる。ここで、ベルトコンベヤ42bは、チェックバルブ熱溶着装置42aによる熱溶着の際に、熱溶着部分が延長しまたは破損することを防止するために用いられる。ベルトコンベア42bは、2つの車輪42cとマイラーフィルムまたはテフロン(登録商標)フィルムのような高熱抵抗性フィルムにより作製またはコーティングしたベルト42dとにより構成されている。チェックバルブ熱溶着工程42において、チェックバルブ熱溶着装置42aからの熱は、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bを介してベルトコンベヤ42bのテフロン(登録商標)フィルムに伝達される。この時に、高熱の熱溶着部分は、ベルトコンベヤ42bのテフロン(登録商標)フィルムに一時的に張り付きながら自然に硬化する。従って、下側弁フィルム3bを、テフロン(登録商標)フィルムから安全に剥がすことができる。
【0064】
次に、バルブ先端熱溶着工程43は、バルブ先端溶着装置43a、43bとベルトコンベヤ43cとによって実現される。このベルトコンベヤ43cは、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に配置される。このベルトコンベア43cのベルト表面にもテ
フロン(登録商標)が施されている。このバルブ先端熱溶着工程43においては、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとの間と、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとの間にバルブ先端部3iが形成される。これにより、エアガイド部からチェックバルブに空気を導入する際に、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとの間及び、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとの間に空気が導入されてしまうことを抑制する。
【0065】
次に、主熱溶着工程44は、主熱溶着装置44aとベルトコンベヤ44bとにより実行される。主熱溶着装置44aは、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3aと、下側熱可塑性フィルム10bと、下側弁フィルム3bとをまとめて熱溶着し、エアガイド部1、エアチューブ部2、チェックバルブ部4、エアバルブ部5を形成するヒーターである。典型的には、主熱溶着装置44aは、図1及び図2に示すようなエアパッキングシート10を形成するための大規模なヒーターである。1つの長いフィルムとして製造されたエアパッキングシート10は、この工程の後に切断され折り畳まれまたは巻かれてユーザに搬送される。
【0066】
なお、主熱溶着工程44においては、上述のように上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3aと、下側熱可塑性フィルム10bと、下側弁フィルム3bとをまとめて熱溶着するが、その際、チェックバルブ部4とエアガイド部1との境界部分であって、エアガイド部1からチェックバルブ3に空気が導入されるバルブ開口部に相当する部分については、熱溶着が行われない。バルブ先端溶着工程43において、この部分における上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3a、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bが既に熱溶着されているので、主熱溶着工程44においてこの部分に熱溶着を禁止することで、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bの間のみが開口するチェックバルブ3のバルブ開口部を良好に形成することが可能である。
【0067】
図11には、本実施例におけるエアパッキングシートの製造工程50によってエアパッキングシート10を製造した場合の、エアパッキングシート10の形成過程について示す。図11においてフィルムは左方向から右方向に向かって流れる。そして、実線で示されるフィルムは上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bである。また、点線3cと3dとで示されるフィルムは上側弁フィルム3a及び下側弁フィルム3bである。チェックバルブ熱溶着工程42においてはチェックバルブ熱溶着装置42aによって、左ガイド部3e、右ガイド部3f、上流分岐部3g、下流分岐部3hが、図中太点線(42a)で示された領域で上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bとを熱溶着することによって形成される。
【0068】
次に、バルブ先端熱溶着工程43においては、バルブ先端溶着装置43aによって、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3aとの間と、下側熱可塑性フィルム10bと下側弁フィルム3bとの間にバルブ先端部3iが形成される。この工程では前述のように、ベルトコンベヤ43cを、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に配置する必要があるが、バルブ先端溶着装置43aは図中太点線(43a)で示された領域で熱溶着を行なうため、先のチェックバルブ熱溶着工程42において上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bが熱溶着されていても、問題なく、ベルトコンベヤ43cを、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとの間に配置することができる。なお、図11においてバルブ先端部3iは、フィルムの流れ方向に対して平行な直線状に、複数のチェックバルブ3のバルブ開口部を包含するような長さで形成されている。こうすることで、バルブ先端熱溶着装置43aによる熱溶着位置の誤差があった場合にも、より確実に、バルブ先端部3iをバルブ開口部に形成することができる。
【0069】
次に、主熱溶着工程44においては、主熱溶着装置44aは、図中太点線(44a)に
示す範囲で、上側熱可塑性フィルム10aと、上側弁フィルム3aと、下側熱可塑性フィルム10bと、下側弁フィルム3bとをまとめてハッチングで示すように熱溶着し、エアガイド部1、エアチューブ部2、チェックバルブ部4、エアバブル部5を形成する。
【0070】
なお、図11の説明においては、簡単のために一度に4つのエアチューブ部2が形成されるような図になっているが、一度に形成するエアチューブ部2の数は自由に変更することができる。
【0071】
図12には、その際の主熱溶着装置44aにおけるヒータコマ44cの斜視図を示す。このヒータコマ44cは、製造するエアパッキングシート10におけるエアチューブ部2の数と同数のコマユニット44dを備えている(図では5個)。すなわち、各コマユニット44dを加熱した上で、上側熱可塑性フィルム10a、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3b、下側熱可塑性フィルム10bに対して押圧することで各フィルムに対する熱溶着が行われる。
【0072】
各コマユニット44dにおいては、エアガイド部1とエアチューブ部2の境界部分を熱溶着で形成する押圧部44eの他に、エアガイド部1からチェックバルブ3へ空気が流入するバルブ開口部を形成するための逃げ部44fが形成されている。この逃げ部44fの存在により、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bと下側熱可塑性フィルム10bのみが熱溶着されており、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとは熱溶着がされていないチェックバルブ3のバルブ開口部を形成することが可能である。
【0073】
上記のヒータコマ44cを有する主熱溶着装置44aを用いて、主熱溶着工程44を実行することで、上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bに従来のように耐熱性インクによる印刷を施す必要がなくなる。また、上側熱可塑性フィルム10aと上側弁フィルム3a、下側弁フィルム3bと下側熱可塑性フィルム10bのみが熱溶着されており、上側弁フィルム3aと下側弁フィルム3bとは熱溶着がされていないチェックバルブ3のバルブ開口部を複数のチェックバルブ3について流れの中で同時に形成することができる。従って、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減することが可能となる。
【0074】
なお、上記の製造工程においては、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの間のエアガイド部1に相当する部分に、上側熱可塑性フィルム10a側若しくは下側熱可塑性フィルム10b側の一方に凸面が対向し、他方に平面が対向するようなスペーサを介するようにしてもよい。そのことにより、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bのエアガイド部1に相当する部分に隙間を形成させることが可能となり、エアパッキングシート10に空気を充填する際に、ノズルをエアガイド部1の空気導入口1aに挿入し易くなる。
【0075】
図13には、本実施例におけるスペーサ60の例及び、スペーサ60の挿入態様を示す。本実施例では、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの流れ方向は、エアガイド部1の長手方向と平行な方向である。従って、図に示すように、スペーサ60をフィルムの流れ方向と平行方向に上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの間に介在させることができる。そして、図14(a)に示すように、上側熱可塑性フィルム10aと下側熱可塑性フィルム10bの間にスペーサ60が介在した状態で主熱溶着工程44において熱溶着を行う。その結果、図14(b)に示すように、断面が半円形状の空気導入口1aが設けられたエアガイド部1をより簡単に形成することが可能となる。
【0076】
なお、図14(b)に示すような、断面が半円形状の空気導入口1aが設けられたエア
ガイド部1を形成した場合、上記の主熱溶着工程44の後に、エアパッキングシート10を巻き取ることを考えると、巻き取ったロールの片側の端だけが径が大きくなり、巻き取ったロールの取扱い、保管がしづらくなるという不都合が起こり得る。このような不都合を避けるためには、主熱溶着工程44で、エアガイド部1におけるチェックバルブ部4とは逆側の端部(図11における下側の端部)の熱溶着を行わないようにしてもよい。
【0077】
そして、巻き取ったロールから再度エアパッキングシート10を引き出し、使用サイズに裁断する前に、エアガイド部1におけるチェックバルブ部4とは逆側の端部(図11における下側の端部)を熱溶着するようにしてもよい。また、エアパッキングシートをさらに加工してエアパッキングバッグを作製する場合には、エアパッキングシートを裁断、折り曲げして、両側面を熱溶着する際に、併せて、エアガイド部1におけるチェックバルブ部4とは逆側の端部(図11における下側の端部)を熱溶着するようにしてもよい。このようにすることで、エアパッキングシート10を巻き取った際のロールの片側の径の増大を防止することができる。
【0078】
なお、図13においては、断面三角形のスペーサ60について説明したが、本発明のスペーサ60の断面は三角形に限られないことは当然である。例えば半円形状、円弧形状、台形形状などの断面を有するようにしてもよい。
【0079】
また、上記の実施例においては、実施例1で説明したエアパッキング部材を製造する場合の製造工程を例にとって本発明について説明したが、本発明が適用できるエアパッキング部材は、実施例1で説明したものに限られない。例えば、図15〜図17で説明したような従来のエアパッキング部材の製造工程に本発明を適用しても構わない。
【0080】
なお、本発明に用いられる「熱可塑性フィルム」は、熱可塑性樹脂に分類される樹脂により形成されたフィルムの他、熱溶着によって貼り合わせが可能な樹脂製フィルムを広く含む。
【符号の説明】
【0081】
1、11・・・エアガイド部
1a、11a・・・空気導入口
2、12・・・エアチューブ部
3、13・・・チェックバルブ
4、14・・・チェックバルブ部
3a・・・上側弁シート
3b・・・下側弁シート
5、15、25・・・エアバブル部
6、16・・・頂点エア通路
7、17・・・エアチューブ組
10、20、30・・・エアパッキングシート
10a・・・上側熱可塑性フィルム
10b・・・下側熱可塑性フィルム
27・・・底面エアバブル部
27a・・・底面端部エアバブル部
27b・・・エア非充填部
40・・・エアパッキングバッグ
41・・・熱可塑性フィルム送り工程
42・・・チェックバルブ熱溶着工程
43・・・バルブ先端熱溶着工程
44・・・主熱溶着工程
50・・・エアパッキングシート製造工程
60・・・スペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備え、
隣り合った二の前記エアチューブ部が空気の流通可能に結合することによりエアチューブ組が形成されるとともに、該エアチューブ組同士は空気の流通が禁止され、
前記エアチューブ組を形成するエアバブル部は隣り合うエアバブル部と前記多角形形状の頂点において連通されたことを特徴とするエアパッキング部材。
【請求項2】
前記エアバブル部は、長方形状の平面形状を有する前記エアチューブ部を長手方向に区切るように熱溶着されることで、長方形状の平面形状を有するとともに前記エアチューブ部に一列に並ぶように形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、互いに近接する側の頂点において連通されたことを特徴とする請求項1に記載のエアパッキング部材。
【請求項3】
前記エアバブル部は六角形状の平面形状を有し、前記エアチューブ組を形成するエアバブル部によってハニカム構造が形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、前記ハニカム構造における共通の頂点において連通されたことを特徴とする請求項1に記載のエアパッキング部材。
【請求項4】
互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を、前記エアチューブ部において、該エアチューブ部の並び方向に平行な折り目によって折りたたむとともに、折り目に垂直な両端を熱溶着することで形成したエアパッキング袋であり、
該エアパッキング袋の底面における前記両端に位置するエアバブル部には、空気が充填されておらず柔軟性が向上した空気非充填部を設けたことを特徴とするエアパッキング袋。
【請求項5】
互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶
着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を製造するエアパッキング部材の製造方法であって、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムと、熱可塑性フィルムからなり前記チェックバルブを形成する第1弁フィルム及び第2弁フィルムと、を供給するフィルム供給工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムとを熱溶着することで前記チェックバルブ内で空気の流通経路を規制するパターンを形成するチェックバルブパターン形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとを熱溶着するとともに前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着して、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとの間または、前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとの間に空気が導入されることを禁止するパターンを形成するチェックバルブ入口形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムの2枚のフィルムまたは、前記第1熱可塑性フィルム、前記第1弁フィルム、前記第2弁フィルム及び第2熱可塑性フィルムの4枚のフィルムを熱溶着することで、前記エアガイド部、前記エアチューブ部、前記エアバブル部及び、前記チェックバルブの外形を形成する主要部分形成工程と、を有し、
前記主要部分形成工程における熱溶着においては、前記エアガイド部と前記チェックバルブとの接続部分の熱溶着を禁止することで、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムの間へのみ空気の導入を可能としたことを特徴とするエアパッキング部材の製造方法。
【請求項6】
前記主要部分形成工程において、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムの間の前記エアガイド部に相当する部分に、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムのいずれか一方に対向する面は平面で他方に対向する面は凸面であるスペーサを介在させることを特徴とする請求項5に記載のエアパッキング部材の製造方法。
【請求項1】
互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備え、
隣り合った二の前記エアチューブ部が空気の流通可能に結合することによりエアチューブ組が形成されるとともに、該エアチューブ組同士は空気の流通が禁止され、
前記エアチューブ組を形成するエアバブル部は隣り合うエアバブル部と前記多角形形状の頂点において連通されたことを特徴とするエアパッキング部材。
【請求項2】
前記エアバブル部は、長方形状の平面形状を有する前記エアチューブ部を長手方向に区切るように熱溶着されることで、長方形状の平面形状を有するとともに前記エアチューブ部に一列に並ぶように形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、互いに近接する側の頂点において連通されたことを特徴とする請求項1に記載のエアパッキング部材。
【請求項3】
前記エアバブル部は六角形状の平面形状を有し、前記エアチューブ組を形成するエアバブル部によってハニカム構造が形成され、
前記エアチューブ組を形成する隣り合うエアバブル部は、前記ハニカム構造における共通の頂点において連通されたことを特徴とする請求項1に記載のエアパッキング部材。
【請求項4】
互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を、前記エアチューブ部において、該エアチューブ部の並び方向に平行な折り目によって折りたたむとともに、折り目に垂直な両端を熱溶着することで形成したエアパッキング袋であり、
該エアパッキング袋の底面における前記両端に位置するエアバブル部には、空気が充填されておらず柔軟性が向上した空気非充填部を設けたことを特徴とするエアパッキング袋。
【請求項5】
互いに重ね合わせられた第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを部分的に熱溶着することにより形成され、第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムの間の熱溶
着されていない部分に空気が導入されて膨張するエアパッキング部材であって、
前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより空気が密閉可能に複数並列して形成されたエアチューブ部と、
前記エアチューブ部をさらに区切るように前記第1熱可塑性フィルムと第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することで多角形形状に形成されたエアバブル部と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着することにより、並列した複数の前記エアチューブ部の端部と隣接するように形成されるエアガイド部と、
各々の前記エアチューブ部の端部に設けられ、前記エアガイド部から前記エアチューブ部に空気を導入可能とするチェックバルブと、
を備えたエアパッキング部材を製造するエアパッキング部材の製造方法であって、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムと、熱可塑性フィルムからなり前記チェックバルブを形成する第1弁フィルム及び第2弁フィルムと、を供給するフィルム供給工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムとを熱溶着することで前記チェックバルブ内で空気の流通経路を規制するパターンを形成するチェックバルブパターン形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとを熱溶着するとともに前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとを熱溶着して、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1熱可塑性フィルムと前記第1弁フィルムとの間または、前記第2弁フィルムと前記第2熱可塑性フィルムとの間に空気が導入されることを禁止するパターンを形成するチェックバルブ入口形成工程と、
前記第1熱可塑性フィルム及び第2熱可塑性フィルムの2枚のフィルムまたは、前記第1熱可塑性フィルム、前記第1弁フィルム、前記第2弁フィルム及び第2熱可塑性フィルムの4枚のフィルムを熱溶着することで、前記エアガイド部、前記エアチューブ部、前記エアバブル部及び、前記チェックバルブの外形を形成する主要部分形成工程と、を有し、
前記主要部分形成工程における熱溶着においては、前記エアガイド部と前記チェックバルブとの接続部分の熱溶着を禁止することで、前記エアガイド部から前記チェックバルブに空気が導入される際に前記第1弁フィルムと前記第2弁フィルムの間へのみ空気の導入を可能としたことを特徴とするエアパッキング部材の製造方法。
【請求項6】
前記主要部分形成工程において、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムの間の前記エアガイド部に相当する部分に、前記第1熱可塑性フィルムと前記第2熱可塑性フィルムのいずれか一方に対向する面は平面で他方に対向する面は凸面であるスペーサを介在させることを特徴とする請求項5に記載のエアパッキング部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−6095(P2011−6095A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150367(P2009−150367)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(502245576)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(502245576)
【Fターム(参考)】
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