説明

エアフィルタ用パックの製造方法及びエアフィルタ

【課題】 本発明は、複雑な装置を必要とすることなく、濾材の折り山間隔を一定に保持することができ、かつ、強度を保持することが可能なエアフィルタ用パックの製造方法及びこの製造方法によって製造されたエアフィルタ用パックを用いたエアフィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のエアフィルタ用パックの製造方法は、濾材の表裏両面に、その長手方向に沿ってホットメルト樹脂を複数条平行に塗布して形成したリボンを設け、プリーツ状に折り畳まれた濾材の折り山間隔を、前記リボンを当接させることによって保持するようにしたエアフィルタ用パックの製造方法であって、折畳機によって濾材をプリーツ状に折り畳んだ後、この折り畳まれた濾材の折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、融着したリボンが濾材の折り山間で潰れないように濾材を送りベルトで流れ方向に送りながらリボンを固化させて、濾材の折り山間を一定間隔に保持するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型、軽量化したエアフィルタとして代表的なミニプリーツ形等のエアフィルタ用パックの製造方法及びエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
エアフィルタは清浄空間を作るために不可欠であり、近年、薄型、軽量なものへと転換している。このようなエアフィルタとして、代表的なものにミニプリーツ形のエアフィルタがある。このエアフィルタに用いるエアフィル用パックは、従来、濾材の表裏両面に、ホットメルト樹脂を塗布することによってリボンを形成し、濾材をプリーツ状に折り畳んだ際に、折り山間のリボンを当接させることによって、濾材の折り山間隔を保持するようにして製造されている。エアフィルタ用パックにリボンを形成する方法としては、例えば、図9に示すように、濾材の表裏両面に、濾材の長手方向に沿って実線状に複数条平行にホットメルト樹脂を塗布する方法(図9A)や、濾材の長手方向に沿って、波線状に複数条平行にホットメルト樹脂を塗布する方法(図9B又はC)等が使用されている。このような方法でリボンが形成されたエアフィルタ用パックは、形成されたリボンを互いに融着させ又はリボンを融着させずに当接させて、濾材の折り山間隔を保持するようにしている。
【0003】
従来のエアフィルタ用パックの製造方法において、濾材に塗布されたリボン同士を融着させて濾材の折り山間隔を保持する場合、ロール状の濾材が引き出された後、リボンが塗布されて折畳機で折り畳まれ、そして、次々と折り畳まれながら押し出されて圧縮されることで、折り山間隔が狭められ、融着しているリボンが折り山間で潰れてしまい、その結果、折り山間隔を一定に保持できないという問題があった。また、リボン同士を融着させずに当接させて濾材の折り山間隔を保持する場合、リボン同士が融着していないため、エアフィルタ用パックの強度が弱く、多量の空気流がエアフィルタに流入するとエアフィルタ用パックが変形して、エアフィルタ用パックとフィルタ枠の間に亀裂が入り、エアリークが発生するという問題があった。
このような問題点を解消すべく、折り畳まれた濾材の折り山間隔を一定に保持するために、特許文献1には、濾材の表裏両面にその長手方向に沿って、互いに融着させるリボンと互いに融着させないリボンを、交互に複数条平行に塗布するようにして、融着させたリボンでエアフィルタ用パックの強度を保持させるとともに、融着させないリボンで濾材の折り山間隔を保持するようにしたエアフィルタ用パックの製造方法が記載されている。
【特許文献1】特開平10−272328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法にあっては、オープンタイム(溶解したホットメルト樹脂をノズルから吐出させた後、接着力を有している時間:以下同じ。)が異なる2種類のホットメルト樹脂を濾材に塗布する必要があり、材料コストが高くなると共に、塗布機も2台必要となり、装置が複雑化して、コストアップにつながるという問題があった。
そこで、本発明は、複雑な装置を必要とすることなく、濾材の折り山間隔を一定に保持することができ、かつ、強度を保持することが可能なエアフィルタ用パックの製造方法及びこの製造方法によって製造されたエアフィルタ用パックを用いたエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意研究した結果、濾材の折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、融着したリボンが濾材の折り山間で潰れないように濾材を送りベルトで流れ方向に送りながらリボンを固化させることによって、融着しているリボンが濾材の折り山間で潰れることなく、折り畳まれた濾材の折り山間隔を一定に保持することができることを知見した。
すなわち、本発明のエアフィルタ用パックの製造方法は、請求項1記載の通り、濾材の表裏両面に、その長手方向に沿ってホットメルト樹脂を複数条平行に塗布して形成したリボンを設け、プリーツ状に折り畳まれた濾材の折り山間隔を、前記リボンを当接させることによって保持するようにしたエアフィルタ用パックの製造方法であって、折畳機によって濾材をプリーツ状に折り畳んだ後、この折り畳まれた濾材の折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、融着したリボンが濾材の折り山間で潰れないように濾材を送りベルトで流れ方向に送りながらリボンを固化させて、濾材の折り山間を一定間隔に保持するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載のエアフィルタ用パックの製造方法は、請求項1記載のエアフィルタ用パックの製造方法において、前記リボンを設けた濾材に、冷風を供給するようにしたことを特徴とする。
本発明のエアフィルタは、請求項3記載の通り、請求項1又は2記載の製造方法によって製造されたエアフィルタ用パックを用いて、このエアフィルタ用パックの少なくとも下流側に網状物を配設し、前記エアフィルタ用パックと網状物をフィルタ枠に収容したことを特徴とする。
また、請求項4記載のエアフィルタは、請求項3記載のエアフィルタにおいて、前記網状物を、前記エアフィルタ用パックを構成する濾材の折り山頂部に設けられたリボンに接触するように配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエアフィルタ用パックの製造方法によれば、濾材の折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、融着したリボンが濾材の折り山間で潰れないように濾材を送りベルトで流れ方向に送りながらリボンを固化させることによって、濾材の折り山間隔を一定に保持することができる。また、リボンの融着面積を少なくすることなく、エアフィルタ用パックの強度を保持することができる。
また、前記折畳機により折り畳まれた濾材及び/又は送りベルトにより流れ方向に送られる濾材に冷風を供給するようにしたことによって、リボンを構成するホットメルト樹脂のオープンタイムを短くすることができる。従って、例えば、折畳機の折り畳み速度が高速化した場合であっても、リボン同士を互いに融着させつつ、高速度で折り畳まれてくる濾材の折り山間で融着したリボンが潰れないようにしてリボンを固化させることができ、折り山間隔が一定に保持され、かつ、強度を有するエアフィルタ用パックを製造することができる。従って、折畳機の折り畳み速度と送りベルトの送り速度を高速度化することができるため、生産効率を向上することができる。
また、本発明のエアフィルタによれば、上記製造方法によって製造されたエアフィルタ用パックを用いて、このエアフィルタ用パックの少なくとも下流側に網状物を配設したため、多量の空気流がエアフィルタに流入した場合であっても、網状物で、エアフィルタ用パックが流出側に引っ張られて変形するのを防止することができ、エアフィルタ用パックとフィルタ枠体の間のエアリークの発生を防止することができる。
更に、前記網状物を、濾材の折り山頂部に設けられたリボンに接触するように配設した場合は、濾材自体が網状物との接触による摩擦により破損することがないので、エアフィルタ用パックの変形を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のエアフィルタ用パックの製造方法によって製造されるエアフィルタ用パックを構成する濾材としては、ガラス繊維等からなる無機質濾材や、ポリプロピレン等の有機繊維からなる不織布やPTFE膜等の有機質濾材を用いることができる。濾材は、一般的に長さ2500m、幅600mm程度の長尺形状のものが、プリーツ状に折り畳まれることでエアフィルタ用パックを構成するが、その大きさや形状等は任意のものを用いることができる。
【0008】
前記濾材に塗布してリボンを形成するホットメルト樹脂としては、EVA系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系等のホットメルト樹脂を用いることができる。本発明のエアフィルタ用パックの製造方法によって製造されるエアフィルタ用パックを低発ガスエアフィルタに用いる場合、ポリオレフィン系のホットメルト樹脂では、有機物の発ガス量が多いという問題があるため、ポリアミド系のホットメルト樹脂を用いることが好ましい。
ホットメルト樹脂は、そのオープンタイムが20秒以上のものを用いることが好ましい。しかしながら、折畳機や送りベルト等の速度に応じて適したオープンタイプのホットメルト樹脂を用いることが可能であるため、ホットメルト樹脂は、そのオープンタイムが20秒以上のものに限られるものではない。
このようなホットメルト樹脂を濾材に塗布して形成したリボンは、幅1mm程度で、25mm程度の間隔を置いて、互いに平行に設けることが好ましい。
【0009】
前記濾材をプリーツ状に折り畳む折畳機としては、例えば、特開平7−310269号公報に開示されているラボスキー式の折畳機や、特開平11−267417号公報に開示されているロータリー式の折畳機等を用いることができる。
次に、ラボスキー式の折畳機を用いたエアフィルタ用パックの製造方法について説明する。図1(平面図)及び図2(側面図)に示すように、ロール状の濾材1が機台にセットされ、引き出された濾材1の上面側に設けたホットメルト樹脂塗布機11と濾材1の下面側に設けたホットメルト樹脂塗布機12から、ホットメルト樹脂が、濾材1の表裏両面に長手方向に沿って複数条平行に塗布され、リボン2が形成される。この濾材1がラボスキー式の折畳機13によってリボン2と折り山線が直交するようにプリーツ状に折り畳まれ、送りベルト14上に押し出される。そして、折り畳まれた濾材1の折り山間のリボン2同士を互いに融着させつつ、融着したリボン2が濾材1の折り山間で潰れないように濾材1を送りベルト14で流れ方向に送りながらリボン2を固化させる。濾材1は、送りベルト14で所定の長さだけ送られた時点で切断され、所定寸法のエアフィルタ用パック4が製造される。このエアフィルタ用パック4は、送りベルト14で架台15上に押し出される。
【0010】
図3に示すように、ラボスキー式の折畳機は、一対の縦方向に上下動作をする上軸13a、下軸13bに取り付けられた横方向に後退動作をする上板13c、下板13dを備えている。ラボスキー式の折畳機は、(1)上軸13a下降、下軸13b下降、(2)下板13d後退、(3)下軸13b上昇、(4)下板13d前進、(5)上軸13a上昇、(6)上板13c後退、(7)上軸13a下降、(8)上板13c前進を一サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、濾材1をプリーツ状に折り畳むことができる。
【0011】
次に、ロータリー式の折畳機を用いたエアフィルタ用パックの製造方法について説明する。図4(平面図)に示すように、ロール状の濾材1が機台にセットされ、引き出された濾材1の上面側に設けたホットメルト樹脂塗布機11と濾材1の下面側に設けたホットメルト樹脂塗布機12から、ホットメルト樹脂が、濾材1の表裏両面に長手方向に沿って複数条平行に塗布され、リボン2が形成される。この濾材1がロータリー式の折畳機16によってリボン2と折り山線が直交するように折り筋が付けられた後、濾材1がプリーツ状に折り畳まれ、送りベルト14上に押し出される。そして、折り畳まれた濾材1の折り山間のリボン2同士を互いに融着させつつ、融着したリボン2が濾材1の折り山間で潰れないように濾材1を送りベルト14で流れ方向に送りながらリボン2を固化させる。濾材1は、送りベルト14で所定の長さだけ送られた時点で切断され、所定寸法のエアフィルタ用パック40が製造される。このエアフィルタ用パック40は、送りベルト14で架台15上に押し出される。
ロータリー式の折畳機16は、濾材1を挟んで対向させた2対の筋付けロール17,18を備えている。更に、この筋付けロール17,18の間と、筋付けロール18の流れ方向前方に、冷却装置21の冷却管21a,21bが設けられている。このように、冷却装置21を設けることによって、冷却管21a,21bから、リボン2を設けた濾材1全体に冷風を供給し、リボン2を構成するホットメルト樹脂のオープンタイムを短くすることができるようにしている。従って、濾材の折り畳み速度と送り速度を高速度化することができ、生産効率を向上することができる。
【0012】
図5(a)に示すように、ロータリー式の折畳機16は、濾材1を挟んで対向させた上ロール17aと下ロール17bからなる筋付けロール17と、この筋付けロール17から所定の間隔をおいて位置付けられた、濾材1を挟んで対向させた上ロール18aと下ロール18bからなる筋付けロール18と、濾材1を挟んで対向させた送りロール20を備えている。上ロールと下ロール17a,17b,18a,18bには、濾材1に折り筋3を刻設するための筋付け刃19がそれぞれ設けられている。濾材1は、送りロール20によって所定の速度で流れ方向に送られ、上ロールと下ロール17a,17b,18a,18bに設けられた筋付け刃19によって、濾材1の表裏両面に複数の折り筋3が形成される。例えば、図5(b)に示すように、濾材1には、その表面に2本の折り筋3が折り幅Bの間隔で形成され、更に、折り目幅Aの間隔をおいて、裏面に2本の折り筋3が折り幅Bの間隔で形成される。そして、図5(c)に示すように、濾材1は、折り筋3に沿ってプリーツ状に折り曲げられ、折り畳まれる。
【0013】
本発明のエアフィルタ用パックの製造方法において、折り畳まれた濾材を流れ方向に送る送りベルトの速度は、折畳機の折り畳み速度の0.01〜0.05倍の速度となるように制御することが好ましい。
尚、折畳機の折り畳み速度とは、所定長さの濾材をプリーツ状に折り畳む速度をいう。
例えば、外寸法縦580〜610mm×横580〜610mm、折り山数160〜210山、折り山高さがそれぞれ40mm、58mm、65mm、90mmとなるように設計されたエアフィルタ用パックを製造する場合、送りベルトの送り速度を、折畳機の折り畳み速度の0.01〜0.05倍の速度となるように制御することによって、図6に示すように、濾材1の折り山間隔がリボン2で一定間隔Pに保持されたエアフィルタ用パックを製造することができる。尚、外寸法縦580mm×横580mm、折り山数200山又は160山のエアフィルタ用パックの折り山間隔は、通常、2.8mm又は3.6mmとなるように設計されている。
送りベルトの送り速度が、折畳機の折り畳み速度の0.01倍未満の速度の場合は、図7(a)に示すように、送りベルト上に押し出された濾材1が圧縮されて折り山間隔が狭められ、融着しているリボン2が押し潰された状態で固化してしまい、濾材1の折り山間隔P’が所定の間隔よりも狭くなり、設計通りのエアフィルタ用パックを製造することができないおそれが強い。
一方、送りベルトの送り速度が、折畳機の折り畳み速度の0.05倍を超える速度の場合は、図7(b)に示すように、送りベルト上に押し出された濾材1が引っ張られた状態で折り畳まれることで、折り山間隔が拡げられ、折り山頂部付近のリボン2が互いに離れた状態で固化してしまい、濾材1の折り山間隔P”が所定の間隔よりも広くなり、設計通りのエアフィルタ用パックを製造することができないおそれが強い。このように、折り山頂部付近のリボン2が互いに融着していない非融着部分ができてしまうと、リボン2の融着面積が少なくなるため、製造されたエアフィルタ用パックの強度が低下する。
【0014】
次に、本発明のエアフィルタ用パックの製造方法によって製造されたエアフィルタ用パックを用いたエアフィルタについて説明する。図8に示すように、本発明のエアフィルタ8は、エアフィルタ用パック41の少なくとも下流側に網状物5を配設し、エアフィルタ用パック41を網状物5とともにエアフィルタ枠6内に収容した構成となっている。
エアフィルタ用パック41を構成する濾材のプリーツ状端部は、この部分をフィルタ枠に固定する際に一般に用いられているポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなるシール剤を用いてフィルタ枠6に固定することができる。エアフィルタ用パック41を構成する濾材の側端部は、この部分をフィルタ枠に固定する際に一般に用いられているクロロプレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等からなる接着剤7を用いてフィルタ枠6に固定することができる。
エアフィルタ8に用いる網状物5としては、例えば、厚さ0.5mm以上、開口率30〜80%の樹脂製ネット、又は、アルミニウム等の金属製のラス網を用いることができる。また、フィルタ枠6としては、例えば、アルミニウム等の金属製のものを用いることができる。
網状物5は、エアフィルタ用パック41を構成する濾材の折り山頂部に設けられたリボン2に接触するように配設することが好ましい。このように網状物5を配設することによって、リボン2がクッション材となって、濾材が網状物5との接触による摩擦により破損することがないので、網状物5でエアフィルタ用パック41の変形を防止することができる。従って、多量の空気流がエアフィルタ8に流入した場合であっても、エアフィルタ用パック41が変形によって網状物5に過度に押しつけられて濾材が破損したり、シール剤で固定された濾材のプリーツ状端部が引き剥がされたりといったことがないため、エアリークの発生を防止することができる。また、網状物5を、フィルタ枠6の内側壁に形成した切り込み6aに嵌め込んで固定することによって、網状物5全体の強度を向上することができる。
【実施例】
【0015】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0016】
(実施例1)
本実施例において、エアフィルタ用パックは、図1に記載のラボスキー式の折畳機(約7.5分で一つのエアフィルタ用パックを製造することができるもの)を用いて製造した。
長さ1000m、幅600mmのガラス繊維からなるロール状の濾材を引き出し、オープンタイム50秒のポリアミド系ホットメルト樹脂を、濾材の表裏両面に長手方向に沿って実線状に複数条平行に塗布し、幅1mmのリボンを25mm間隔で形成した。次に、ラボスキー式の折畳機によって、折り畳み速度5m/分で、折り山線が90mmおきにリボンと直交するように濾材をプリーツ状に折り畳み、折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、送りベルト上に押し出した。そして、この濾材を送り速度78mm/分(折り畳み速度の約0.02倍の速度)で流れ方向に送って、所定の長さだけ送った時点で濾材を切断し、縦580mm×横580mm、折り山数160山、折り山高さ90mmのエアフィルタ用パックを製造した。
このように製造したエアフィルタ用パックは、折り山間のリボン同士が互いに融着したものであり、かつ、リボンは折り山間で潰れることなく固化したものであるため、プリーツ状に折り畳まれた濾材の折り山間隔がリボンによって2.8mmに均一に保持されており、強度も優れていた。
【0017】
(実施例2)
本実施例において、エアフィルタ用パックは、図4に記載のロータリー式の折畳機(約0.9分で一つのエアフィルタ用パックを製造することができるもの)を用いて製造した。また、図4に記載したように、冷却装置によって、リボンを設けた濾材の全面に冷風を供給することができるようにした。
長さ1000m、幅600mmのガラス繊維からなるロール状の濾材を引き出し、オープンタイム50秒のポリアミド系ホットメルト樹脂を、濾材の表裏両面に長手方向に沿って実線状に複数条平行に塗布し、幅1mmのリボンを25mm間隔で形成した。次に、ロータリー式の折畳機によって、折り畳み速度15m/分で、折り山線が40mmおきにリボンと直交するように濾材をプリーツ状に折り畳み、折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、送りベルト上に押し出した。そして、この濾材を送り速度614mm/分(折り畳み速度の約0.04倍の速度)で流れ方向に送って、所定の長さだけ送った時点で濾材を切断し、縦580mm×横580mm、折り山数160山、折り山高さ40mmのエアフィルタ用パックを製造した。
このように製造したエアフィルタ用パックは、折り山間のリボン同士が互いに融着したものであり、かつ、リボンは折り山間で潰れることなく固化したものであるため、プリーツ状に折り畳まれた濾材の折り山間隔がリボンによって3.6mmに均一に保持されており、強度も優れていた。また、リボンを設けた濾材に冷風を供給するようにしたので、リボンを構成するホットメルト樹脂のオープンタイムを短くすることができ、また、折り畳み速度と送り速度を高速度化しても、高速度で折り畳まれてくる濾材の折り山間で融着したリボンを潰さないように固化することができたので、生産効率を向上することができた。
【0018】
(実施例3)
実施例1と同様にして、長さ1000m、幅630mmのガラス繊維からなるロール状の濾材を引き出し、オープンタイム50秒のポリアミド系ホットメルト樹脂を、濾材の表裏両面に長手方向に沿って実線状に複数条平行に塗布し、幅1mmのリボンを25mm間隔で形成した。次に、ラボスキー式の折畳機によって、折り畳み速度5m/分で、折り山線が65mmおきにリボンと直交するように濾材をプリーツ状に折り畳み、折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、送りベルト上に押し出した。そして、この濾材を送り速度78mm/分(折り畳み速度の約0.02倍の速度)で流れ方向に送って、所定の長さだけ送った時点で濾材を切断し、縦610mm×横610mm、折り山数200山、折り山高さ65mmのエアフィルタ用パックを製造した。
このように製造したエアフィルタ用パックは、折り山間のリボン同士が互いに融着したものであり、かつ、リボンは折り山間で潰れることなく固化したものであるため、プリーツ状に折り畳まれた濾材の折り山間隔がリボンによって2.8mmに均一に保持されており、強度も優れていた。
このエアフィルタ用パックを用いて、図8に記載したようにエアフィルタを形成した。エアフィルタ用パック41の下流側に、エアフィルタ用パック41を構成する濾材の折り山頂部に設けられたリボン2に接触するようにして、網状物5として、開口率約70%のアルミニウム製のラス網を配設し、エアフィルタ用パック41と網状物5を厚さ15mmのアルミニウム製のフィルタ枠6に収容した。エアフィルタ用パック41は、プリーツ状端部をポリウレタン樹脂からなるシール剤を用いてエアフィルタ枠6に固定し、側端部をポリウレタン樹脂からなる接着剤7を用いてエアフィルタ枠6に固定した。また、網状物5は、その端部を、フィルタ枠6の内側壁に形成した切り込み6aに嵌め込んで固定して、縦610mm×横610mm、厚さ75mmのエアフィルタ8とした。
このエアフィルタ8は、折り山頂部に設けられたリボン2がクッション材となり、網状物5との接触による摩擦によって濾材が破損することがないので、網状物5でエアフィルタ用パック41の変形を防止することができた。従って、多量の空気流がエアフィルタ8に流入した場合であっても、エアフィルタ用パック41が変形によって網状物5に過度に押しつけられて濾材が破損したり、シール剤で固定された濾材のプリーツ状端部が引き剥がされたりといったことがないため、エアリークの発生を防止することができた。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、複雑な装置を必要とすることなく、濾材の折り山間隔を一定に保持することができ、かつ、強度を保持することが可能なエアフィルタ用パックの製造方法及びこの製造方法によって製造されたエアフィルタ用パックを用いたエアフィルタを提供することができる点において、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ラボスキー式の折畳機(平面図)
【図2】同、側面図
【図3】ラボスキー式の折畳機の動作説明図
【図4】ロータリー式の折畳機(平面図)
【図5】(a)ロータリー式の折畳機の要部側面図、(b)ロータリー式の折畳機によって加工された濾材を示す図、(c)プリーツ状に折り畳まれた濾材を示す図
【図6】本発明のエアフィルタ用パックの部分拡大図
【図7】(a)(b)不適当なエアフィルタ用パックの部分拡大図
【図8】本発明のエアフィルタを示す一部断面図
【図9】従来例であるリボンが形成された濾材を示す図
【符号の説明】
【0021】
1 濾材
2 リボン
3 折り筋
4 エアフィルタ用パック
5 網状物
6 フィルタ枠
6a 切り込み
7 接着剤
8 エアフィルタ
11 ホットメルト樹脂塗布機
12 ホットメルト樹脂塗布機
13 ラボスキー式の折畳機
14 送りベルト
15 架台
16 ロータリー式の折畳機
17 筋付けロール
18 筋付けロール
19 筋付け刃
20 送りロール
21 冷却装置
21a,21b 冷却管
40,41 エアフィルタ用パック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材の表裏両面に、その長手方向に沿ってホットメルト樹脂を複数条平行に塗布して形成したリボンを設け、プリーツ状に折り畳まれた濾材の折り山間隔を、前記リボンを当接させることによって保持するようにしたエアフィルタ用パックの製造方法であって、折畳機によって濾材をプリーツ状に折り畳んだ後、この折り畳まれた濾材の折り山間のリボン同士を互いに融着させつつ、融着したリボンが濾材の折り山間で潰れないように濾材を送りベルトで流れ方向に送りながらリボンを固化させて、濾材の折り山間を一定間隔に保持するようにしたことを特徴とするエアフィルタ用パックの製造方法。
【請求項2】
前記リボンを設けた濾材に、冷風を供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ用パックの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製造方法によって製造されたエアフィルタ用パックを用いて、このエアフィルタ用パックの少なくとも下流側に網状物を配設し、前記エアフィルタ用パックと網状物をフィルタ枠に収容したことを特徴とするエアフィルタ。
【請求項4】
前記網状物を、前記エアフィルタ用パックを構成する濾材の折り山頂部に設けられたリボンに接触するように配設したことを特徴とする請求項3記載のエアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−54718(P2007−54718A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241848(P2005−241848)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】