説明

エアブローノズル

【課題】 止水性を向上させて、使用者に対する不快感をなくし、且つ、衛生上の問題も解決することが可能なエアブローノズルを提供すること。
【解決手段】 浴槽の壁に取り付けられエア供給配管に接続されるとともにエア供給路を備えた金属製のノズル本体と、上記エア供給路のエア噴出口の手前位置に設置されたゴム製の弁座部と、上記ゴム製の弁座部に設置された金属製の弁体と、上記エア供給路のエア噴出口側を閉塞するように着脱可能に取り付けられエア噴出孔を備えた金属製の蓋体と、を具備したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアブロー機能付浴槽装置に取り付けられるエアブローノズルに係り、特に、弁座部と弁体とからなる弁部の止水性を高めることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
エアブロー機能付浴槽装置は概略次のような構成になっている。まず、浴槽があり、この浴槽の底壁には複数個のエアブローノズルが取り付けられている。又、エアブローポンプが設置されていて、このエアブローポンプの吐出側と上記複数個のエアブローノズルはエア供給配管によって接続されている。そして、上記エアブローポンプを起動することにより上記複数個のエアブローノズルを介して気泡を噴出させるものである。
【0003】
上記エアブローノズルは、例えば、図4に示すような構成になっている。まず、浴槽の底壁101があり、この底壁101には貫通孔103が穿孔されている。上記貫通孔103内にはノズル本体105が嵌合・配置されている。このノズル本体105は真鍮製である。このノズル本体105は自身のフランジ部107と締結ナット109とによって、上記底壁101を挟むようにして取り付けられている。上記フランジ部107と底壁101との間にはパッキン111が介挿されている。又、上記締結ナット109と底壁101との間にはパッキン113と座金115が介挿されている。
【0004】
又、上記ノズル本体105の下端にはエア供給配管117が連結されていて、このエア供給配管117は図示しないエアブローポンプに接続されている。
【0005】
上記ノズル本体105にはエア供給路119が形成されていて、このエア供給路119の先端は開口部121となっている。上記エア供給路119の上記開口部121側には弁座部123が形成されていて、この弁座部123には球状の弁体125が移動可能な状態で設置されている。
【0006】
上記開口部121には蓋体127が着脱可能に取り付けられるようになっている。この蓋体127には複数個のエア噴出口129が形成されている。
【0007】
上記構成によると、浴槽内にお湯が入っている状態で、適宜のタイミングでエアブローポンプを起動する。それによって、エアが供給されて複数個のエアブローノズルを介して噴出されることになる。すなわち、エアの供給によって、弁体125が上方に浮上して弁座部が開放される。それによって、エアがエア噴出口129を介して噴出されることになる。
又、エアブローポンプを停止することにより、上記弁体125は自重によって弁座部123上に落下し弁座部123を閉じることになる。それによって、浴槽内のお湯のエアブローノズル側への流入を防止するようにしている。
【0008】
尚、同種の気泡浴槽のエアブローノズルの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2等がある。
【0009】
【特許文献1】特開平10−5145号公報
【特許文献2】特開平10−5146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、弁体125と弁座部123とから構成される弁部の止水性能が低いという問題があった。弁体125と弁座部123とからなる弁部の止水性能が低い場合には、エアブローポンプを停止したときにお湯の一部がエアブローノズルひいてはエア供給配管117内に浸入してしまい、それが次の起動時にエアと共に逆流してしまうことになる。その場合、使用者にとっては冷たい水が当たるような感覚を覚えることとなり、ある種の不快感を与えてしまうという問題があった。
又、エア供給配管117内に水が溜まってしまってそこに雑菌が繁殖してしまうことも予想される。その場合には、その繁殖した雑菌が上記逆流によって浴槽内に入ってしまうことになり、衛生上の問題にもなっていた。
【0011】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、弁座部と弁体とからなる弁部の止水性能を向上させて、逆流によって使用者に不快感を与えることをなくし、且つ、衛生上の問題も解決することが可能なエアブローノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるエアブローノズルは、浴槽の壁に取り付けられエア供給配管に接続されるとともにエア供給路を備えた金属製のノズル本体と、上記エア供給路のエア噴出口の手前位置に設置されたゴム製の弁座部と、上記ゴム製の弁座部に設置された金属製の弁体と、上記エア供給路のエア噴出口側を閉塞するように着脱可能に取り付けられエア噴出孔を備えた金属製の蓋体と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2によるエアブローノズルは、請求項1記載のエアブローノズルにおいて、上記弁座部はシリコンゴム製であることを特徴とするものである。
又、請求項3によるエアブローノズルは、請求項1又は請求項2記載のエアブローノズルにおいて、上記ノズル本体、弁体、蓋体はステンレス製であることを特徴とするものである。
又、請求項4によるエアブローノズルは、請求項1〜請求項3の何れかに記載のエアブローノズルにおいて、上記蓋体の裏面側には上記弁体の移動に伴い弁体の一部が嵌合する凹部が形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項5によるエアブローノズルは、請求項4記載のエアブローノズルにおいて、上記凹部は上記弁体の径より大きな曲率で形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるエアブローノズルは、請求項5記載のエアブローノズルにおいて、上記曲率(R)は上記半径(r)の2〜5倍の範囲で設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように本願発明によるエアブローノズルは、浴槽の壁に取り付けられエア供給配管に接続されるとともにエア供給路を備えた金属製のノズル本体と、上記エア供給路のエア噴出口の手前位置に設置されたゴム製の弁座部と、上記ゴム製の弁座部に設置された金属製の弁体と、上記エア供給路のエア噴出口側を閉塞するように着脱可能に取り付けられエア噴出孔を備えた金属製の蓋体と、を具備した構成になっているので、まず、ゴム製の弁座部を使用するようにしたことにより、弁体と弁座部とによる弁部の止水性能を向上させることができる。そして、エアブローポンプを停止させた場合の湯のエア供給配管内への湯の浸入を防止することができるので、次にエアブローポンプを起動させた場合の逆流現象をなくすことができる。よって、使用者が不快感を感じることもなく、又、雑菌が繁殖してしまうという衛生上の問題も解決することができる。
又、上記弁座部をシリコンゴム製とした場合には、上記効果をより確実なものとなる。
又、上記ノズル本体、弁体、蓋体を全てステンレス製とすることにより、耐腐性能の向上を図ることができる。
又、上記蓋体の裏面側に上記弁体の移動に伴い弁体の一部が嵌合する凹部を形成した場合には、弁体の移動を適切にガイドして、弁体の円滑な移動動作ひいてはエアブローノズルの円滑な開閉動作を提供することができる。
又、上記凹部を上記弁体の径より大きな曲率で形成した場合には、蓋体側に移動した弁体と凹部との間の接触面積をできるだけ少なくすることができるので、それによっても、弁体の円滑な移動動作ひいてはエアブローノズルの円滑な開閉動作を提供することができる。
又、上記曲率(R)を上記半径(r)の2〜5倍の範囲で設定した場合には、上記効果がより確実なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1乃至図3を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は本実施の形態によるエアブローノズルを使用したエアブロー機能付浴槽装置の全体の構成を記す側面図であり、図2は浴槽の平面図である。
まず、浴槽1があり、この浴槽1には、図示しない給水栓を介して湯が供給されるように構成されている。又、図2に示すように、浴槽1の底壁3の所定位置には排水詮5が設置されていて、該排水栓5を介して使用済みの湯を適宜排水できるように構成されている。
【0015】
上記浴槽1にはエアブロー装置11が設置されている。まず、エアブローポンプ13が設置されており、このエアブローポンプ13の吐出側にエア供給配管15が接続されている。一方、浴槽1の底壁3の所定位置には複数個のエアブローノズル17が取り付けられている。この実施の形態の場合には6個のエアブローノズル17が取り付けられている。これら6個のエアブローノズル17は複数本のエア供給配管19に接続されていて、これら複数本のエア供給配管19は一本のエア供給配管21に集合している。そして、このエア供給配管21と既に説明したエア供給配管15がエア供給ホース23を介して接続されている。
【0016】
上記エアブローポンプ13には制御盤25が設置されていて、この制御盤25を介して各種の制御を行うものである。
【0017】
上記エアブローノズルは、図3に示すような構成になっている。まず、浴槽1の底壁3には貫通孔31が穿孔されている。上記貫通孔31内にはノズル本体35が嵌合・配置されている。このノズル本体35はステンレス製である。このノズル本体35は自身のフランジ部37と締結ナット39とによって、上記底壁3を挟むようにして取り付けられている。上記フランジ部37と底壁3との間にはパッキン4が介挿されている。又、上記締結ナット39と底壁3との間にはパッキン43と座金45が介挿されている。
【0018】
又、上記ノズル本体35の下端にはエア供給配管47が連結されていて、このエア供給配管47は、既に説明したエア供給配管19に接続されている。
【0019】
上記ノズル本体35にはエア供給路49が形成されていて、このエア供給路49の先端は開口部51となっている。上記エア供給路49の上記開口部51側には弁座部53が設置されている。この弁座部53はシリコンゴム製である。上記弁座部53には球状の弁体55が移動可能な状態で設置されている。上記弁体55はステンレス製である。
【0020】
上記開口部51には蓋体57が着脱可能に取り付けられるようになっている。この蓋体57には複数個のエア噴出口59が形成されている。又、上記蓋体57の裏面側には上下動する上記弁体55の一部が嵌合する凹部61が形成されている。この凹部61は弁体55の半径(r)より所定量大きな曲率(R)にて形成されている。
具体的には、弁体55の半径(r)が3.18mmであるのに対して、凹部61の曲率(R)は9.25mmとなっていて、ほぼ3倍に設定されている。
【0021】
上記構成によると、浴槽1内に湯が入っている状態で、適宜のタイミングでエアブローポンプ13を起動する。それによって、エアが供給されて複数個のエアブローノズル17を介して噴出されることになる。すなわち、エアの供給によって、弁体55が上方に浮上して弁座部53が開放される。それによって、エアがエア噴出口59を介して噴出されることになる。
又、エアブローポンプ13を停止することにより、上記弁体55は自重によって弁座部53上に落下し弁座部53を閉じることになる。それによって、浴槽1内の湯の流入を防止するようにしている。
【0022】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、シリコンゴム製の弁座部53を使用するようにしたことにより、弁体55と弁座部53とからなる弁部の止水性能が向上したものであり、それによって、エアブローポンプ13を停止させた場合の湯の流入を防止することができる。よって、エア供給配管47内への湯の浸入を防止することができるので、次にエアブローポンプ13を起動させた場合の逆流現象をなくすことができる。したがって、使用者が不快感を感じることもなく、又、エア供給配管47内に浸入して溜まった湯において雑菌が繁殖してしまうようなことも防止することができる。
又、蓋体57側には凹部61が形成されているので、弁体55の上下動を適切にガイドしながら許容することができるとともに、上記凹部61の曲率(R)は弁体55の半径(r)に対して所定量大きく設定されているので、弁体55と凹部61との接触面積を少なくすることができ、それによって、弁体55の上下動時の抵抗を軽減させて円滑な動作を提供することができる。そして、エアブローノズル17としての開閉動作も円滑なものとなるので、漏れ防止を図る上でも効果的である。
【0023】
尚、止水性能に関しては試験を行って計測したのでそれを説明する。まず、試験方法であるが、図1及び図2に示すように、エア供給配管19、19において、残水確認ボトル71、73を接続して、エアブローノズル17を介して浴槽1側から漏れて浸入した水の有無を確認したものである。その結果、表1、表2に示すような結果を得ることができたものである。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
まず、表1に示す場合であるが、この場合には浴槽1内に湯を入れた状態で放置して(エアブローポンプ13を起動させない無運転放置)、エアブローノズル17を介して浸入した水の有無を確認したものである。具体的には、浴槽1内に50lの湯を入れて漏れを確認し、順次、100l、150l、200l、230lと湯の量を増加させていって、湯の量と水圧を変化させた場合の漏れの有無を確認したものである。又、それとは別に、満水状態(230l)から排水していった場合の漏れの有無を確認するとともに、200lの湯を入れて長時間放置してその際の漏れの有無を確認したものである。その結果、何れの場合も漏れは確認できなかったものである。
【0027】
次に、表2に示す場合であるが、この場合は、浴槽1内に230lの湯を入れた状態で、エアブローポンプ13の運転・停止を繰り返し行い(断続運転)、エアブローノズル17を開閉させたときの漏れの有無を確認したものである。その際、エアブローポンプ13の運転時間/停止時間は、(運転5秒/停止5秒)、(運転1分/停止1分)、(運転5分/停止5分)、(運転10分/停止10分)、(運転5分/停止10分)の五種類のパターンを設定したものである。又、湯だけではなくある種の入浴剤を混入した場合の漏れの有無を確認したものである。
その結果、何れの場合においても漏れを確認することはなかったものである。
【0028】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
まず、前記一実施の形態の場合には、ゴム製の弁座部としてシリコンゴムを例に挙げて説明したが、シリコン以外のゴムの使用も考えられるものである。
又、弁座部の形状、蓋体の形状等についてはこれを特に限定するものではない。
又、前記一実施の形態の場合には、浴槽1の底壁にエアブローノズル17を
取り付けた構成を例に挙げて説明したが、浴槽1の側壁等に取り付けるような場合も想定される。
その他、図示した構成はあくまで一例であってそれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、エアブロー装置において使用されるエアブローノズルに係り、特に、止水性を高めることができるように工夫したものに関し、例えば、エアブロー機能付浴槽装置に使用されるエアブローノズルに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、エアブロー機能付浴槽装置の全体の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、エアブロー機能付浴槽装置の浴槽の平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す図で、図3(a)はエアブローノズルの断面図、図3(b)は図3(a)のb−b矢視図である。
【図4】従来例を示す図で、図4(a)はエアブローノズルの断面図、図4(b)は図4(a)のb−b矢視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 浴槽
13 エアブローポンプ
17 エアブローノズル
35 ノズル本体
49 エア供給路
53 弁座部
55 弁体
57 蓋体
61 凹部























【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の壁に取り付けられエア供給配管に接続されるとともにエア供給路を備えた金属製のノズル本体と、
上記エア供給路のエア噴出口の手前位置に設置されたゴム製の弁座部と、
上記ゴム製の弁座部に設置された金属製の弁体と、
上記エア供給路のエア噴出口側を閉塞するように着脱可能に取り付けられエア噴出孔を備えた金属製の蓋体と、
を具備したことを特徴とするエアブローノズル。
【請求項2】
請求項1記載のエアブローノズルにおいて、
上記弁座部はシリコンゴム製であることを特徴とするエアブローノズル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のエアブローノズルにおいて、
上記ノズル本体、弁体、蓋体はステンレス製であることを特徴とするエアブローノズル。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のエアブローノズルにおいて、
上記蓋体の裏面側には上記弁体の移動に伴い弁体の一部が嵌合する凹部が形成されていることを特徴とするエアブローノズル。
【請求項5】
請求項4記載のエアブローノズルにおいて、
上記凹部は上記弁体の半径(r)より大きな曲率(R)形成されていることを特徴とするエアブローノズル。
【請求項6】
請求項5記載のエアブローノズルにおいて、
上記曲率(R)は上記半径(r)の2〜5倍の範囲で設定されていることを特徴とするエアブローノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−319574(P2007−319574A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155679(P2006−155679)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(500235504)株式会社ウェルランド (3)
【Fターム(参考)】