説明

エアマッサージ装置の空気袋

【課題】痛みを与えたりすることなく、無駄なく有効に圧迫力を筋肉に伝えることのできるエアマッサージ装置の空気袋を提供する。
【解決手段】足または腕に巻き付けるバンドに配されるエアマッサージ装置の空気袋40において、周縁が接合された長方形の偏平な袋体として形成され、周縁接合部40aの内側に仕切壁40b、40cが設けられることで、内部の空間が複数の気室A1〜A4に仕切られ、仕切壁と周縁接合部との間に非仕切部が残されることで気室間を相互に連通する連通部Bが形成されており、前記複数の気室として、筋肉部分を左右から挟む左右一対の大面積の挟圧用の主気室A1、A2と、これらの中間に配された圧迫緩和用の副気室A3、A4とが設けられ、主気室と副気室との境界を形成する仕切壁40cが斜め形成されることで、主気室A1、A2が台形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマッサージ装置の空気袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアマッサージ装置として、足や腕などに巻き付けるバンドに空気袋を配し、バンドを巻き付けた状態で空気袋に加圧エアを導入することで、加圧エアの力により身体組織に圧迫を加える空気袋付きバンドを使用したものがある。特に足用のエアマッサージ装置として、足の筋肉を左右から挟むことができるように、空気袋に左右の気室を分割して形成し、筋肉を挟む左右の気室を連通部で連通させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エアマッサージ装置用の空気袋ではないが、手首用血圧計のカフ帯に配する空気袋として、長方形の偏平な袋体の周縁接合部よりも内側に仕切壁を形成して内部空間を複数の気室に分割し、各気室同士を連通部で連通させたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−237344号公報
【特許文献2】特開昭64−72726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エアマッサージ装置に使用する空気袋は、加圧と除圧を繰り返し行うことによってマッサージ作用をもたらすものであり、加圧時には無駄なく素早く筋肉に圧迫力を加えなくてはならない。特に簡易型の小型のマッサージ装置の場合は、小さい電池で駆動することを想定しているので、加圧の無駄があると、有効なマッサージ作用を与えることができず、いたずらに電池を消耗してしまうことになりかねない。
【0006】
また、バンドを巻き付けた状態で筋肉に圧迫を繰り返し加えるので、圧迫の仕方によって、皮膚や筋肉に痛みを与えてしまうことは避けなければならない。
【0007】
この点、特許文献1に記載の空気袋で、例えば足のふくらはぎをマッサージする場合、左右から筋肉を挟むので、大きなマッサージ効果は期待できるものの、左右側面からだけ筋肉を押圧するので、ふくらはぎが強く挟まれて痛みを伴う可能性がある。また、足や腕は先に行くほど細くなっているのが普通であるから、空気袋の当たりがフィットしていないと、細い部分への空気袋の当たりが弱くなり、快適なマッサージ効果が得られない場合もあり得る。
【0008】
また、特許文献2に記載の空気袋は、仕切壁を設けて気室を複数に分割しているものの、手首式血圧計のカフ帯用のものであるため、エアマッサージ装置に適用することを考えた場合、無駄なく有効に加圧力を筋肉に伝えたり除圧したりする点において技術的に不十分さが残っており、特に簡易型のエアマッサージ装置に適用することを想定すると、いたずらに電池を消耗してしまうことになりかねない。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮し、痛みを与えたりすることなく、無駄なく有効に圧迫力を筋肉に伝えることのできるエアマッサージ装置の空気袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、足または腕に巻き付けるバンドに配され、加圧エアの導入および排出により、足または腕に圧迫と解放を与えるエアマッサージ装置の空気袋において、周縁が接合された長方形の偏平な袋体として形成され、周縁接合部の内側に仕切壁が設けられることで、内部の空間が複数の気室に仕切られ、仕切壁と周縁接合部との間または仕切壁と仕切壁の間に非仕切部が残されることで前記気室間を相互に連通する連通部が形成されており、前記複数の気室として、筋肉部分を左右から挟む左右一対の大面積の挟圧用の主気室と、これら左右一対の挟圧用の主気室の中間に配され、筋肉部分に対する左右一対の挟圧用の主気室による局部的な圧迫を緩和軽減する主気室より小面積の緩和用の副気室とが設けられ、左右一対の挟圧用の主気室と緩和用の副気室との境界を形成する前記仕切壁が、前記左右の各挟圧用の主気室が左右方向と直交する方向に狭幅から徐々に広幅へと幅変化するように、空気袋の左右方向の中心線に対して斜めに形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、足先に巻き付けるバンドに配され、加圧エアの導入および排出により、足先に圧迫と解放を与えるエアマッサージ装置の空気袋において、周縁が接合された長方形の偏平な袋体として形成され、周縁接合部の内側に仕切壁が設けられることで、内部の空間が複数の気室に仕切られ、仕切壁と周縁接合部との間または仕切壁と仕切壁の間に非仕切部が残されることで前記気室間を相互に連通する連通部が形成されており、前記複数の気室として、左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部を挟んで互いに離間した2つの気室が形成され、これらのうち一方の気室は、足の裏に当たる気室として大面積に形成され、他方の気室は足の甲の先側のみに当たる気室として小面積に形成され、これら一方及び他方の気室は、前記非膨らみ部の前側に配した連通部により互いに連通され、前記一方の大面積の気室は、前後方向の中央に位置する大面積の土ふまず用の大気室と、その前後方向の両側に配された小面積の複数の小気室とに分割されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、腕に巻き付けるバンドに配され、加圧エアの導入および排出により、身体に圧迫と解放を与えるエアマッサージ装置の空気袋において、周縁が接合された長方形の偏平な袋体として形成され、周縁接合部の内側に仕切壁が設けられることで、内部の空間が複数の気室に仕切られ、仕切壁と周縁接合部との間または仕切壁と仕切壁の間に非仕切部が残されることで前記気室間を相互に連通する連通部が形成されており、前記複数の気室として、左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部を挟んで互いに離間した2つの気室が形成され、一方の気室は腕の腹に当たる気室として大面積に形成され、他方の気室は腕の甲に当たる気室として小面積の複数の小気室に分割され、これら一方及び他方の気室は、前記非膨らみ部の前側に配した連通部により互いに連通されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、足や腕に巻き付けるバンドに配する空気袋に、仕切壁で仕切ることで、筋肉部分を左右から挟む左右一対の大面積の挟圧用の主気室を設けると共に、これら主気室の中間に、主気室による局部的な圧迫を緩和軽減する小面積の緩和用の副気室を設けたので、例えば、ふくらはぎをマッサージする場合、加圧エアの導入によって大面積の主気室が大きく膨らむことにより、重点的に左右側面からふくらはぎに押圧力を加えることができる。また、ふくらはぎの裏面側を副気室が押圧することによって、主気室による筋肉の過度の挟まれを防止することができるので、側面から挟むようにしてふくらはぎを揉みほぐす場合の痛みや不快感を緩和軽減することができる。また、不必要な部分への加圧が抑えられ、マッサージに必要な部位だけに、無駄なく有効に押圧力を加えることができるので、小さいな電池で加圧エアを供給する場合にも、電池の消耗を抑えることができるし、加圧時間の短縮も図ることができる。
【0014】
また、左右一対の挟圧用の主気室と緩和用の副気室との境界を形成する仕切壁を斜めに形成することによって、左右の各挟圧用の主気室の幅を左右方向と直交する方向に変化させたので、例えば、広い幅の方を足首側にし、狭い幅の方を膝側に配置することによって、太さの変化に応じて足に適正に空気袋をフィットさせながら装着することができる。また、足首側が広い幅となるので、大きな面積で足首側を全周にわたり重点的に押圧することができ、快適なマッサージ効果をもたらすことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、足先に巻き付けるバンドに配する空気袋に、仕切壁で仕切ることで、複数の気室を形成し、それら複数の気室として、左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部を挟んで互いに離間した2つの気室を形成し、これらのうち一方の気室を、足の裏に当たる気室として大面積に形成し、他方の気室を、足の甲の先側のみに当たる気室として小面積に形成し、これら一方及び他方の気室を、非膨らみ部の前側に配した連通部により互いに連通し、更に一方の大面積の気室を、前後方向の中央に位置する大面積の土ふまず用の大気室と、その前後方向の両側に配された小面積の複数の小気室とに分割したので、足先に装着した場合に、足の裏側を有効に揉みほぐすことができる。特に土ふまずの位置には大気室が当たるので、土ふまずの部分を中心に足裏を快適に揉みほぐすことができる。その際、足の甲の先側は別の気室でバックアップするので、無用な痛みをもたらすことなく、足の裏側の押圧を助けることができる。また、不必要な部分への加圧が抑えられ、マッサージに必要な部位だけに、無駄なく有効に押圧力を加えることができるので、小さいな電池で加圧エアを供給する場合にも、電池の消耗を抑えることができるし、加圧時間の短縮も図ることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、腕に巻き付けるバンドに配する空気袋に、仕切壁で仕切ることで、複数の気室を形成し、それら複数の気室として、左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部を挟んで互いに離間した2つの気室を形成し、これらのうち一方の気室を腕の腹に当たる気室として大面積に形成し、他方の気室を腕の甲に当たる気室として小面積の複数の小気室に分割し、これら一方及び他方の気室を、非膨らみ部の前側に配した連通部により互いに連通したので、例えば、肘と手首の間に装着した場合に、腕の腹側を有効に揉みほぐすことができる。特に腕の腹の位置には大面積の気室が当たるので、腹の部分を快適に揉みほぐすことができる。その際、腕の甲側は別の小面積の複数の気室でバックアップするので、無用な痛みをもたらすことなく、腕の腹側の押圧を助けることができる。また、不必要な部分への加圧が抑えられ、マッサージに必要な部位だけに、無駄なく有効に押圧力を加えることができるので、小さいな電池で加圧エアを供給する場合にも、電池の消耗を抑えることができるし、加圧時間の短縮も図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1〜図7は本発明の第1実施形態の空気袋を利用したエアマッサージ装置の説明図で、図1はエアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図、図2はエアマッサージ装置のバンドの一部の断面構成を概略的に示す図、図3はエアマッサージ装置本体の概略構成を示すブロック図、図4は第1実施形態の空気袋の平面図、図5は同空気袋の平面図および各方向から見た膨張時の側面図である。図6はエアマッサージ装置の装着例を示す図、図7(a)はエアマッサージ装置を下肢に装着した場合のふくらはぎの裏側から見た斜視図、(b)はバンドの上側部分で切った場合の空気袋の加圧時の状態を示す断面図、(c)はバンドの下側部分で切った場合の空気袋の加圧時の状態を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、このエアマッサージ装置10は、例えば、使用者の下肢Maにバンド11を巻き付けて、そのバンド11に配した空気袋40に、エアマッサージ装置本体50から加圧エアを導入したり、その加圧エアを排出したりすることで、筋肉に圧迫と解放を繰り返し与えて、マッサージ効果を得るものである。ここでは、下肢Maにエアマッサージ装置10を装着する場合を例にとって説明する。下肢Maに装着する場合は、主にふくらはぎ部分の筋肉がマッサージの対象部位であるので、下肢Maの裏側からバンド11を装着することになる。
【0019】
エアマッサージ装置10のバンド11は、図2にその一部の断面構造を示すように、丈夫な合成布などで形成された長尺帯状の基布11Aと、基布11Aの基端側の一部の領域の外周面に配された樹脂カバー20と、樹脂カバー20を配した基布11Aの内周面に配された空気袋(ブラダー)40と、空気袋40を収容する袋状の空間を基布11Aとの間に形成する内布13とからなる。
【0020】
樹脂カバー20は、柔軟材料よりなる空気袋40よりも硬質の樹脂シート材の成形品よりなるもので、空気袋40の外周方向への膨らみを防止する機能を果たす。樹脂カバー20と基布11Aは、後述する樹脂カバー20上の薄肉部20bの位置で縫製糸8により縫い合わされて一体化されている。空気袋40は、基布11Aの内面に配されており、基布11Aに対して内布13の周縁部を縫い付けることで、基布11Aと内布13との間に形成された空間に収容されている。
【0021】
基布11Aは、樹脂カバー20や空気袋40と重なり合う部分よりも先端側が幅の狭い帯状に形成されており、その先端側に、樹脂成形品よりなる留め具30が取り付けられている。留め具30は、基布11Aの長手方向に移動可能に取り付けられており、固定する位置を変えることで、バンド11の有効長を無段階に調節できるようになっている。
【0022】
この留め具30は、矩形状の基板30aの前端上面に指で摘むための取っ手33を一体に設けると共に、基板30aの前側下面に前後方向に間隔をあけて2段のフック(係止部)31、32を一体的に突設し、更に、基板30aの後部に無段階にバンド11の有効長を調節するバンド長さ調整機構35を設けたものであり、バンド長さ調整機構35に基布11Aの先端11aを通すことで、バンド11の先端部に取り付けられている。
【0023】
係止部としてのフック31、32は、バンド11を巻き付け状態で固定するためのもので、バンド11の先端部を外側から被せるバンド11の外周面の樹脂カバー20上には、前記フック31、32を選択的に係合するための複数のスリット21が被係止部として設けられている。樹脂カバー20上のスリット21は、それぞれバンド11の幅方向に長く延びたものであり、バンド11の長手方向に沿って一定のピッチで間隔的に配置されている。
【0024】
そして、この樹脂カバー20の長手方向の一端部にエアマッサージ装置本体50が搭載されている。エアマッサージ装置本体50は、図3に示すように、図示しないバッテリと、空気袋40に加圧エアを供給する加圧ポンプ51と、空気袋40のエアを排気する電気排気弁52と、空気袋40内のエア圧力を検出する圧力センサ53と、主として圧力センサ53の測定値に応じて加圧ポンプ51や電磁排気弁52などを制御してマッサージ動作を作り出すコントローラ55と、コントローラ55に繋がる図示しないスイッチやディスプレイなどを有している。空気袋40には2つの接続口41、42が設けられており、一方の接続口41に、加圧ポンプ51の吐出口と電磁排気弁52の接続ポートが接続され、他方の接続口42に圧力センサ53が接続されている。
【0025】
次に実施形態の空気袋40について、図4、図5を参照しながら詳しく述べる。
この空気袋40は、柔軟性を有する一対の樹脂シート(例えば、EVA製)を重ね合わせて全周縁部を熱溶着や接着によって接合することにより、長方形の偏平な袋体として形成されている。また、周縁接合部40aの内側に、同時に熱溶着等の手段によって複数の直線状の仕切壁40b、40c、40cを設けることにより、内部の空間が、複数の気室A1、A2、A3、A4に仕切られている。また、仕切壁40b、40c、40cと周縁接合部40aとの間に非仕切部(寸法T21、T22、T23で示す部分)が残されることで、気室A1〜A4間を相互に連通する連通部Bが確保されている。
【0026】
仕切壁40b、40c、40cは左右対称に設けられており、空気袋40の左右方向の中心線L上に中央の仕切壁40bが位置している。また、残りの2本の仕切壁40c、40cは、中央の仕切壁40bを挟んで対称に設けられ、しかも、空気袋の左右方向の中心線Lに対して斜めに形成されている。
【0027】
図4において、中央の仕切壁40bは、周縁接合部40aの4辺のうち上辺に接合され、下辺に対し寸法T23を残す位置まで延びて、そこで途切れている。左右の仕切壁40c、40cは、周縁接合部40aの4辺のうち上辺に接合され、そこから中心線Lに近づく方向に傾斜して直線的に延び、下辺に対し寸法T21、T22を残す位置で途切れている。ただし、T21=T22<T23の関係にある。これにより、連通部Bが確保されている。
【0028】
また、周縁接合部40aの左右辺から傾斜した仕切壁40c、40cの上端までの寸法T1、T2と、同左右辺から傾斜した仕切壁40c、40cの下端までの寸法T11、T12は、T1=T2<T11=T12の関係にある。また、中心線Lから傾斜した仕切壁40c、40cの上端までの寸法T3、T4と、同中心線Lから傾斜した仕切壁40c、40cの下端までの寸法T13、T14は、T3=T4>T13=T14の関係にある。特に、ここでは、T3=T4<T1=T2の関係になっている。
【0029】
このような寸法関係を満たしながら仕切壁40b、40c、40cが形成されていることにより、台形状の4つの気室A1、A2、A3、A4が形成されている。左右両端の気室A1、A2は、例えばふくらはぎの筋肉部分を左右から挟む大面積の挟圧用の主気室となっている。また、これら左右一対の挟圧用の主気室A1、A2の中間に配された気室A3、A4は、筋肉部分に対する左右一対の挟圧用の主気室A1、A2による局部的な圧迫を緩和軽減する、主気室より小面積の緩和用の副気室となっている。
【0030】
そして、上記の寸法関係により、左右の各挟圧用の主気室A1、A2が、上辺から下辺に向けて徐々に幅が広がる室となり、副気室A3、A4が、その逆に、上辺から下辺に向けて徐々に幅が狭まる室となっている。従って、空気袋40に加圧エアを導入した場合には、主気室A1、A2は、副気室A3、A4よりも大きく膨らみ、主気室A1、A2の下側は、上側よりも大きく膨らむことになる。なお、接続口41、42は、片方の主気室A2の片面に設けられている。
【0031】
次に作用を説明する。
この空気袋40を使用したエアマッサージ装置10で、例えば、使用者の下肢Maをマッサージする場合は、図1、図6に示すように、ふくらはぎの裏側からバンド11を巻き付ける。即ち、空気袋40のある方を内側にしてバンド11をふくらはぎにあてがい、バンド11の先端側をバンド11の基端側の樹脂カバー20の上に被せるように巻き付け、その状態で、留め具30のフック31、32を樹脂カバー21上の適当な位置のスリット21に嵌める。
【0032】
この際、上下関係を注意しながらバンド11を装着する。つまり、空気袋40の上辺側を上向きにし、下辺側を下向きにして装着する。このように装着して空気袋40に加圧エアを導入することにより、図7に示すように、主気室A1、A2および副気室A3、A4が膨らむ。
【0033】
即ち、加圧エアの導入によって、大面積の主気室A1、A2が大きく膨らむことにより、重点的に左右側面からふくらはぎの筋肉に押圧力を加えることができる。また、ふくらはぎの裏面側を副気室A3、A4が押圧することによって、主気室A1、A2による筋肉の過度の挟まれを防止することができる。それにより、側面から挟むようにしてふくらはぎを揉みほぐす場合の痛みや不快感を緩和軽減することができる。また、マッサージに必要な部位だけに、無駄なく有効に押圧力を加えることができるので、小さいな電池で加圧エアを供給する場合にも、電池の消耗を抑えることができるし、加圧時間の短縮も図ることができる。
【0034】
また、左右一対の挟圧用の主気室A1、A2と緩和用の副気室A3、A4との境界を形成する仕切壁40c、40cを斜めに形成することによって、左右の各挟圧用の主気室A1、A2の幅を下側が広くなるように変化させたので、足の太さに変化に足に適正に空気袋40をフィットさせながら装着することができる。また、足首側に広い幅の部分が当たるので、大きな面積で足首側を全周にわたり重点的に押圧することができ、快適なマッサージ効果をもたらすことができる。
【0035】
なお、図6に示すように、エアマッサージ装置10を使用者の上肢Mbに装着しても、ほぼ同様のマッサージ効果を得ることができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に第2実施形態の空気袋について説明する。
図8は第2実施形態の空気袋の平面図、図9は同空気袋の平面図および各方向から見た膨張時の側面図である。図10は同空気袋を利用したエアマッサージ装置の足先に対する装着例を示す図、図11はエアマッサージ装置を足先に装着した場合の断面図である。
【0037】
この空気袋140は、図10に示すように、足先Mc用のエアマッサージ装置10Cの巻き付けバンドに配されるもので、加圧エアの導入および排出により、足先Mcに圧迫と解放を与えるものである。
【0038】
図8に平面図を示すように、この空気袋140は、柔軟性を有する一対の樹脂シート(例えば、EVA製)を重ね合わせて全周縁部を熱溶着や接着によって接合することにより、長方形の偏平な袋体として形成されている。また、周縁接合部140aの内側に、同時に熱溶着等の手段によって複数の直線状または屈曲線状の仕切壁140b、140cを設けることにより、内部の空間が、複数の気室A10(A11、A12、A13)、A21に仕切られている。また、仕切壁140b、140cと周縁接合部140aとの間または仕切壁140bと仕切壁140cの間に非仕切部が残されることで、気室A10(A11〜A13)、A21間を相互に連通する連通部Bが確保されている。
【0039】
この場合、複数の気室として、左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部Cを挟んで互いに離間した2つの気室A10、A21が形成されている。これらのうち一方の気室A10は、足の裏に当たる気室として大面積に形成され、他方の気室A21は足の甲の先側のみに当たる気室として小面積に形成されている。これら一方及び他方の気室A10、A21は、前記非膨らみ部Cの前側に配した連通部Bによって互いに連通されている。
【0040】
また、一方の大面積の気室A10は、左右方向に延びる短い仕切壁140bにより、前後方向の中央に位置する大面積の土ふまず用の大気室A12と、その前後方向の両側に配された小面積の複数の小気室A11、A13とに分割されている。
【0041】
このような構成の空気袋140を具備するバンドを足先Mcに巻き付ける場合、空気袋140の前側部分を指先に向け、後側部分をかかと側に向けて足先Mcに巻き付ける。
【0042】
このように装着して空気袋140に加圧エアを導入すると、図9〜図11に示すように、各気室A10(A11〜A13)、A21が膨らむことにより、足裏に無駄なく押圧力が伝えられる。
【0043】
即ち、加圧エアの導入によって、土ふまずの中心部には大きく膨らむ大気室A12が当たるので、土ふまずの部分を中心に足裏を快適に揉みほぐすことができる。また、その際、足の甲の先側は反対側の気室A21でバックアップされるので、そのクッション作用により、無用な痛みをもたらすことなく、足の裏側の押圧を助けることができる。
【0044】
また、かかと側の部分と指先に近い位置には、膨らみが最小限に抑えられた小気室A13、A11が当たるので、大気室A12の膨らみをサポートすることができる。また、指先側の小気室A11と反対側の甲側の気室21が膨らむことによって、指先側の部分を上下から均等に挟むので、指の根元部分に指圧効果をもたらすことができる。また、足首に近い位置の甲側および足の側面には、非膨らみ部Cが当たるので、足首への負担を減らすことができるし、加圧エアを他の気室に回すことができる。
【0045】
要するに、マッサージに必要な部位だけに、無駄なく有効に押圧力を加えることができるので、小さいな電池で加圧エアを供給する場合にも、電池の消耗を抑えることができるし、加圧時間の短縮も図ることができる。
【0046】
<第3実施形態>
次に第3実施形態の空気袋について説明する。
図12は第3実施形態の空気袋の平面図、図13は同空気袋の平面図および各方向から見た膨張時の側面図である。図14は同空気袋を利用したエアマッサージ装置の腕(手首と肘の間)に対する装着例を示す図、図15はエアマッサージ装置を腕に装着した場合の断面図である。
【0047】
この空気袋240は、図14に示すように、腕Md用のエアマッサージ装置10Dの巻き付けバンドに配されるもので、加圧エアの導入および排出により、腕Mdに圧迫と解放を与えるものである。
【0048】
図12に平面図を示すように、この空気袋240は、柔軟性を有する一対の樹脂シート(例えば、EVA製)を重ね合わせて全周縁部を熱溶着や接着によって接合することにより、長方形の偏平な袋体として形成されている。また、周縁接合部240aの内側に、同時に熱溶着等の手段によって複数の直線状または屈曲線状の仕切壁240b、240cを設けることにより、内部の空間が複数の気室A41、A40(A42)に仕切られている。また、仕切壁240b、240cと周縁接合部240aとの間に非仕切部が残されることで、気室A41、A40間を相互に連通する連通部Bが確保されている。
【0049】
この場合、複数の気室として、左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部Cを挟んで互いに離間した2つの気室A41、A40が形成され、一方の気室A41は腕の腹に当たる気室として大面積に形成され、他方の気室A40は腕の甲に当たる気室として小面積の複数の小気室A42に分割されている。そして、これら一方及び他方の気室A41、A40は、前記非膨らみ部Cの前側に配した連通部Bにより互いに連通されている。
【0050】
このような構成の空気袋240を具備するバンドを腕Mdに巻き付ける場合には、空気袋240の前側部分を手首側に向け、後側部分を肘側に向けて腕Mdに巻き付ける。
【0051】
このように装着して空気袋240に加圧エアを導入すると、図13〜図15に示すように、各気室A41、A42が膨らむことにより、腕の腹部分に無駄なく押圧力が伝えられる。
【0052】
即ち、加圧エアの導入によって、腕の腹の位置に大きく膨らむ大面積の気室A41が当たるので、腹の部分を快適に揉みほぐすことができる。その際、腕の甲側は別の小面積の複数の気室A42でバックアップされるので、そのクッション作用により、無用な痛みをもたらすことなく、腕の腹の押圧を助けることができる。
【0053】
また、腕の側面部分には、非膨らみ部Cが当たるので、加圧エアを他の気室に回すことができる。要するに、マッサージに必要な部位だけに、無駄なく有効に押圧力を加えることができるので、小さいな電池で加圧エアを供給する場合にも、電池の消耗を抑えることができるし、加圧時間の短縮も図ることができる。
【0054】
なお、上記各実施形態の空気袋40、140、240をそれぞれ具備するバンドを用意しておき、エアマッサージ装置本体50を交換しながら装着することにより、1台のエアマッサージ装置本体50で、身体の各所をマッサージすることができる。また、バンドの主要部も共通備品として、空気袋40、140、240だけを交換できるように用意しておくこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態の空気袋を利用したエアマッサージ装置の説明図で、エアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図である。
【図2】同エアマッサージ装置のバンドの一部の断面構成を概略的に示す図である。
【図3】同エアマッサージ装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態の空気袋の平面図である。
【図5】同空気袋の平面図および各方向から見た膨張時の側面図である。
【図6】同エアマッサージ装置の装着例を示す図である。
【図7】(a)は同エアマッサージ装置を下肢に装着した場合のふくらはぎの裏側から見た斜視図、(b)はバンドの上側部分で切った場合の空気袋の加圧時の状態を示す断面図、(c)はバンドの下側部分で切った場合の空気袋の加圧時の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の空気袋の平面図である。
【図9】同空気袋の平面図および各方向から見た膨張時の側面図である。
【図10】同空気袋を利用したエアマッサージ装置の足先に対する装着例を示す図である。
【図11】同エアマッサージ装置を足先に装着した場合の断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の空気袋の平面図である。
【図13】同空気袋の平面図および各方向から見た膨張時の側面図である。
【図14】同空気袋を利用したエアマッサージ装置の腕(手首と肘の間)に対する装着例を示す図である。
【図15】同エアマッサージ装置を腕に装着した場合の断面図である。
【符号の説明】
【0056】
Ma 下肢
Mb 上肢
Mc 足先
Md 腕
10,10C,10D エアマッサージ装置
11 バンド
40,140,240 空気袋
40a,140a,240a 周辺接合部
40b、40c、140b、140c、240b、240c 仕切壁
A1〜A4,A10〜A13,A21,A40〜A42 気室
B 連通部
C 非膨らみ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足または腕に巻き付けるバンドに配され、加圧エアの導入および排出により、足または腕に圧迫と解放を与えるエアマッサージ装置の空気袋において、
周縁が接合された長方形の偏平な袋体として形成され、周縁接合部の内側に仕切壁が設けられることで、内部の空間が複数の気室に仕切られ、仕切壁と周縁接合部との間または仕切壁と仕切壁の間に非仕切部が残されることで前記気室間を相互に連通する連通部が形成されており、
前記複数の気室として、
筋肉部分を左右から挟む左右一対の大面積の挟圧用の主気室と、
これら左右一対の挟圧用の主気室の中間に配され、筋肉部分に対する左右一対の挟圧用の主気室による局部的な圧迫を緩和軽減する主気室より小面積の緩和用の副気室とが設けられ、
左右一対の挟圧用の主気室と緩和用の副気室との境界を形成する前記仕切壁が、前記左右の各挟圧用の主気室が左右方向と直交する方向に狭幅から徐々に広幅へと幅変化するように、空気袋の左右方向の中心線に対して斜めに形成されていることを特徴とするエアマッサージ装置の空気袋。
【請求項2】
足先に巻き付けるバンドに配され、加圧エアの導入および排出により、足先に圧迫と解放を与えるエアマッサージ装置の空気袋において、
周縁が接合された長方形の偏平な袋体として形成され、周縁接合部の内側に仕切壁が設けられることで、内部の空間が複数の気室に仕切られ、仕切壁と周縁接合部との間または仕切壁と仕切壁の間に非仕切部が残されることで前記気室間を相互に連通する連通部が形成されており、
前記複数の気室として、
左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部を挟んで互いに離間した2つの気室が形成され、これらのうち一方の気室は、足の裏に当たる気室として大面積に形成され、他方の気室は足の甲の先側のみに当たる気室として小面積に形成され、
これら一方及び他方の気室は、前記非膨らみ部の前側に配した連通部により互いに連通され、
前記一方の大面積の気室は、前後方向の中央に位置する大面積の土ふまず用の大気室と、その前後方向の両側に配された小面積の複数の小気室とに分割されていることを特徴とするエアマッサージ装置の空気袋。
【請求項3】
腕に巻き付けるバンドに配され、加圧エアの導入および排出により、身体に圧迫と解放を与えるエアマッサージ装置の空気袋において、
周縁が接合された長方形の偏平な袋体として形成され、周縁接合部の内側に仕切壁が設けられることで、内部の空間が複数の気室に仕切られ、仕切壁と周縁接合部との間または仕切壁と仕切壁の間に非仕切部が残されることで前記気室間を相互に連通する連通部が形成されており、
前記複数の気室として、
左右方向の両側に、間に加圧エアの導入されない非膨らみ部を挟んで互いに離間した2つの気室が形成され、一方の気室は腕の腹に当たる気室として大面積に形成され、他方の気室は腕の甲に当たる気室として小面積の複数の小気室に分割され、
これら一方及び他方の気室は、前記非膨らみ部の前側に配した連通部により互いに連通されていることを特徴とするエアマッサージ装置の空気袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−333983(P2006−333983A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159933(P2005−159933)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000231590)日本精密測器株式会社 (64)
【Fターム(参考)】