説明

エアーシリンダ式地盤強度調査機

【課題】地盤の軟弱層における貫入体の急激な自沈を制止し、正確な地盤強度の調査が図れるエアーシリンダ式の地盤強度調査機の提供。
【解決手段】貫入体の自沈変化量をエアーシリンダ44を用いてデジタル制御するスウェーデン式サウンディング方式のエアーシリンダ式地盤強度調査機10であって、貫入ロッド31の先端部を地盤に対して直角に突き立てる貫入体30と該貫入体を回転させる回転装置と貫入ロッドに加重をかける加重手段を備える載荷昇降台23と該載荷昇降台を昇降させるエアーシリンダ式の昇降機構と、貫入ロッドの貫入深度と回転数を測定する測定装置とから構成し、前記加重手段が、載荷される錘荷重22による下向きの推力方向に対し、前記エアーシリンダのエア圧による上向きの推力方向を対向させ、その推力の差異によって貫入体を自沈ならびに昇降させる手段とし、該エア圧制御にデジタルレギュレータをシーケンス制御する構成を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の軟弱層における貫入体の急激な自沈を制止し、正確な地盤強度の調査が図れるエアーシリンダ式の地盤強度調査機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスウェーデン式サウンディング方式による地盤強度調査機においては、貫入体の貫入機構に、錘荷重又は油圧方式を用いているのが一般的である。
【0003】
上記の錘荷重を用いたスウェーデン式サウンディング試験機(日本工業規格JIS A1221)では、鉄の棒(貫入ロッド)の先端に円錐形をねじったようなスクリューポイントを取り付け、それを地面に垂直に突き立てると共に、その貫入ロッドに錘荷重を載せて回転させながら地盤に貫入させ、その地盤に対するスクリューポイントの回転数や貫入ロッドの貫入量を測定しながら地質層の強度を判定するものであるが、該貫入ロッドに錘荷重を載せる作業と貫入ロッドを回転させる作業が、人力による手作業によるため多大な労力と作業工数を必要とするものであった。
【0004】
また、油圧方式を利用したスウェーデン式サウンディング試験機は、例えば、地盤強度調査に伴う各作業を油圧シリンダを操作することによって作業効率を高めようとする「貫入試験装置」(特許文献1参照)や「地盤調査装置及び地盤調査方法並びに地盤改良工法」(特許文献2参照)が提案されているが、該提案は、荷重負荷ならびに解除手段を油圧シリンダの流体圧に変換して加圧・減圧する方法を採用することによって、錘荷重の載せ替え作業は省略されるが、荷重負荷が錘荷重による絶対荷重ではなく流体圧で変換された変換加重であるため、操作ミスや読み取りの誤差が生じ易いものであり、また装置が大型になりがちな上、導入価格ならびに維持管理費用がコスト高になりがちであった。
【0005】
また、油圧シリンダによって貫入体を貫入させる方式のものは、急激な自沈時に油圧バルブを閉じ、停止させた状態で荷重負荷を測定するもので、その時の貫入ロッドの急激な停止状態を目視によって測定することは測定値の誤差が生じ易いものであった。
【0006】
また、電磁パウダーブレーキで下降状態にブレーキをかけて錘荷重の乗せ替えを不要とする「電磁パウダー式地盤調査装置」(特許文献3参照)においては、湿気によるブレーキ値の変化、電磁パウダーブレーキの経年劣化での数値誤差の発生、稼動前のウォーミングアップの必要性、低回転時のブレーキ値の不安定さなどの問題点があり、それらを校正するための負荷重の校正が必要となるが、装置の構造上、負荷重値を即座に校正することは容易なものではなかった。
【0007】
以上のように、上記の提案のいずれも錘荷重の載せ替えに手間隙を必要としたり、測定値の正確性や即応性に欠けたりするもので、さらに地盤の成層構造の軟弱層における貫入体の自沈に対応する錘荷重の載せ替え作業を容易にする地盤強度調査機ではなかった。
【0008】
また、従来のスウェーデン式サウンディング方式を利用している試験機は、錘荷重も含めて上方からの負荷重の操作によってエアーシリンダや油圧シリンダを利用して下向きの加重を設定しているため、地盤の軟弱層に貫入した場合、測定値や貫入量にタイムログやクリアランスが微妙に生じるものである。
【0009】
そこで、本願発明者は、油圧シリンダーやエアーシリンダーによって得られる力を下向きに用いるのではなく、下向きの荷重は総重量で100 Kgfとなるように錘荷重で設定した上で、エアーシリンダのエア圧による上向きの推力で調整した下向きの加重とすれば、測定値や貫入量にタイムログやクリアランスが発生しにくい構造となり、常に100 Kgfの錘荷重を負荷させた状態でエアーシリンダによる上向きのエア圧をかけることから、エアーシリンダ特有の起動時と終息時のレスポンスの悪さを解消できるのではないかということに着目し、従来にない着眼点から本発明に至ったものである。
【0010】
なお、用語の意味を明確にするため、エア圧により調整された下向きの力を「加重」といい、エア圧により調整されない錘と装置の重量による下向きの力を「荷重」といい、ロッドの回転とは無関係に下降する状態を「沈下」といい、ロッドの回転と荷重による下降する状態を「貫入」といい、ロッドを回転させないで加重による下降する状態を「自沈」ということにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10-121453号公報
【特許文献2】特開2008−115685号公報
【特許文献3】特開平8-74240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑み、地盤の軟弱層における貫入体の急激な自沈を制止し、正確な地盤強度の調査が図れるエアーシリンダ式の地盤強度調査機の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するためになされるもので、貫入体の自沈変化量をエアーシリンダを用いてデジタル制御するスウェーデン式サウンディング方式のエアーシリンダ式地盤強度調査機であって、貫入ロッドの先端部に設けられるスクリューポイントを地盤に対して直角に突き立てる貫入体と、該貫入体を伝達機構を介して回転する回転装置と貫入ロッドに加重をかけて地盤にスクリューポイントを貫入させる加重手段を備える載荷昇降台と、該載荷昇降台を昇降させるエアーシリンダ式の昇降機構と、貫入ロッドの貫入深度と回転数を測定する測定装置と、から成り、前記加重手段が、載荷される錘荷重による下向きの推力方向に対し、前記エアーシリンダのエア圧による上向きの推力方向を対向させ、その推力の差異によって貫入体を自沈ならびに昇降させる手段とし、該エア圧制御にデジタルレギュレータをシーケンス制御する構成を採用した。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機によれば、下向きの荷重を100 Kgfの錘荷重で設定し、エアーシリンダのエア圧で上向きの推力で調整した下向きの加重としているため、測定値や自沈量にタイムログやクリアランスが発生しにくい構造であると共に、常に100 Kgfの錘荷重を負荷させた状態でエアーシリンダによる上向きのエア圧を掛けているため、エアーシリンダ特有の起動時と終息時のレスポンスの悪さを解消することができる優れた効果を奏する。
【0015】
本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機によれば、エアーシリンダをデジタル式レギュレータ(空気圧力調整器)で制御することによって、地盤調査作業時に貫入体の急激な自沈に対応するブレーキ機構として利用できる優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機によれば、デジタル式レギュレータによって、エアーシリンダの挙動差動に関わりなく常に一定の圧力を維持することができるため、事前に設定した指示圧力でエアーシリンダに推力を与え、貫入時の急激な自沈時における負荷重の調整も容易になるという優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機によれば、ワイヤー式デジタル距離計とデジタル回転数読取装置の組み合わせにより、急激な自沈変化のクリアランスを正確に感知して、エアを供給・急停止することができる優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機によれば、エアー圧を急上昇させた後、段階的にエアーシリンダの推力を変化させながら、自沈させる加重を調整できる優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機によれば、校正時は、ロッドの先端に荷重計を置き、エアーシリンダの推力をデジタル信号で入力し、その都度設定値との違いを見極めてデジタル入力の数値を変更することができる優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機によれば、従来のシリンダ方式や電磁パウダーブレーキ方式の地盤強度調査機と比較して、導入価格ならびに維持管理費用のコスト高を抑制する優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機の全体を示す模式図である。
【図2】本発明に係る貫入体の貫入量と加重の基本的な関係を示す概念説明図である。
【図3】本発明に係る貫入ロッドの回転数と貫入深度の度合いを示すグラフ図である。
【図4】本発明に係るエアーシリンダの推力を示す換算表と自沈量の計算式である。
【図5】本発明に係る基本的使用状態を示すフローチャート図である。
【図6】本発明に係る基本的使用状態を示すフローチャート図(続き)である。
【図7】本発明に係る基本的使用状態を示すフローチャート図(続き)である。
【図8】本発明に係る貫入体の貫入量と加重の関係の具体例を示した説明図である。
【図9】本発明に係る貫入体の貫入量と加重の関係の具体例を示した説明図である。
【図10】本発明に係る制御系統の概略を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、貫入体の自沈変化量をエアーシリンダを用いてデジタル制御するスウェーデン式サウンディング方式のエアーシリンダ式地盤強度調査機であって、加重手段に、載荷される錘荷重による下向きの推力方向に対してエアーシリンダのエア圧による上向きの推力方向を対向させ、その推力の差異によって貫入体を自沈ならびに昇降させる手段とし、該エア圧制御に、デジタルレギュレータをシーケンス制御する構成を採用したことを最大の特徴とするものである。以下、発明を実施するための形態を図面を基に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機の全体を示す模式図であり、図1(a)は貫入体が上昇した状態を示す模式図である。本発明におけるエアーシリンダ式地盤強度調査機10は、走行車輪付の矩形の基台20上に、貫入体30と、載荷昇降台23と、昇降機構Dと、測定装置Eを搭載し、それらを制御盤ボックス54内でシーケンス制御し、外部の圧縮空気発生装置K(コンプレッサ)に連結して構成されるものである。
【0024】
図1(b)は貫入体が下降した状態を示す模式図である。本発明におけるエアーシリンダ式地盤強度調査機10の運転は、載荷昇降台23に規定の錘荷重22を載荷し、徐々にエアーシリンダ44の推力を下げて貫入体30を地中に貫入させていき、貫入体30の自沈が停止した時点で回転モータ40を駆動させ、さらに貫入体30を地中に貫入させて各種採取データを記録しながら地盤強度調査を行なうものである。ここで、この作業の途中で地盤Gの形成層Tが軟弱層で形成されていた場合、貫入体30の貫入速度が急激に速くなり、貫入ロッド31の回転とは無関係に貫入体30が地中に急激に沈下してしまう自沈という現象が起こることがある。本発明は、このような自沈という現象が起きた場合でも、一旦貫入体30の回転を停止し、エアーシリンダ44によって下向き加重の調整が図られ、改めて貫入体30の貫入速度を測定して地盤調査行なうことを可能としている。
【0025】
貫入体30は、貫入ロッド31の先端に円錐形をねじったようなスクリューポイント32を取り付けて形成され、該貫入ロッド31の長さは略75cmで継ぎ足されて使用され、載荷昇降台23上に設けられているクランプチャック33によって保持され、伝達機構Aを介して回転装置Bによって回転し、昇降機構Dによって昇降する構造を有する。
【0026】
回転装置Bは、載荷昇降台23内に設けられ回転モータ40と伝達機構Aによって構成され、回転モータ40の回転を歯車またはチェーン41で伝達し、さらにクランプチャック33で保持される貫入ロッド31に伝達して回転する構造を有する。回転モータ40の仕様は、例えば、AC100V、200W、軸トルク70.6N・m、22.5rpmで駆動されるものが考え得る。
【0027】
加重装置Cは、載荷昇降台23上に設けられる錘荷重22と、エアーシリンダ圧によるブレーキ圧力で決定されるもので、錘荷重22の場合は、一個12.5 Kgfの錘荷重22が数個搭載され、これに載荷昇降台23の重量を合わせて100 Kgfの荷重になるようにして試験される。
【0028】
また、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機は、図4(a)で示す値で錘荷重22の重量とエアーシリンダ圧によるブレーキ圧力との差によって貫入加重を決定して作用させる構造を有する。エアーシリンダ44のシリンダ径は100φに限定されるものではなく、0.255MPaを超える能力を有していればよいが、動作レスポンスや安全面等を考慮すると、約0.3MPa以上の能力を有していることが望ましい。
【0029】
また、エアーシリンダ圧の校正方法は、貫入ロッド31の先端に荷重計を置き、エアー圧をデジタル信号で入力し、その都度の設定値との誤差を見極め、デジタル入力の数値を変更することができる。
【0030】
エアーシリンダ44は、ガイド支柱42と平行して立設され、その先端部にスプロケット46やプーリー等を設け、折り返されたローラーチェーン45やコグドベルト(cogged belt)等の作用によって載荷昇降台23の降下作用にブレーキを掛けると共に、貫入加重の調整を図る役目を果たすもので、使用される圧縮エアは、機外のコンプレッサKから供給される。
【0031】
昇降機構Dは、走行車輪付の矩形の基台20上の略中央に設置され、載荷昇降台23内のガイドローラ43が回動してガイド支柱42を昇降するもので、貫入加重は錘荷重22で行い、上昇作用は載荷昇降台23の一端にチェーン45を連結し、平行して立設されるエアーシリンダ44の先端に設けられたスプロケット46を介して折り返され、その先端は基台20に固定され、エアーシリンダ44に推力が掛けられて上昇することによって載荷昇降台23の降下作用にブレーキを掛けると共に、貫入加重の調整が図られるものである。
【0032】
手動ブレーキ装置47は、錘荷重22や貫入ロッド31の交換時または測定値を確認する時の安全装置として設けられるもので、カムの回転と手押しレバーの梃子の作用で作動する手動のブレーキ装置で、載荷昇降台23をガイド支柱42に圧接させて固定するものである。
【0033】
デジタルレギュレータ50は、コントローラー等からの電気信号により電磁弁等を作動させ、コンプレッサーK等から供給される高圧空気と、排気孔58から排気を調整することで、指定した空気圧をエアーシリンダ44に常に安定して供給することを可能とするものである。係るデジタルレギュレータ50は特に限定されるものではなく、一般的なデジタル式電空レギュレータを用いればよいが、仕様等については少なくとも0〜0.5 MPa程度までの圧力レンジを持ち、対圧特性や応答性の優れたものを用いた方がいいことは言うまでもない。なお、図10においては、圧力表示が操作盤54に表示されているが、デジタルレギュレータ50に表示される態様としてもよい。
【0034】
測定装置Eは、載荷昇降台23に設けられて貫入ロッド31の回転数測定と、貫入ロッド31の貫入量測定をするものである。貫入ロッド31の回転数測定は、貫入ロッド31の回転させる伝達機構Aの歯車やチェーン41の回転数を非接触のデジタル回転数読取装置51で検出する。貫入ロッド31の貫入量測定は、載荷昇降台23にワイヤー式デジタル式距離計52の一端を固定し、多端を基台20に固定して載荷昇降台23と基台20の距離を貫入体30の移動量に換算して制御盤ボックス54上に表示する。
【0035】
制御盤ボックス54は、デジタルレギュレータ50の圧力値を表示する計器盤、その入力値を入力する数値入力ボタン55、デジタル回転数読取装置51の回転数を表示する計器盤、ワイヤー式デジタル距離計52の移動量を表示する計器盤、圧力調整ボリューム56、加重を支持するセレクトスイッチ57、電源スイッチ、緊急停止スイッチ、その他、本発明に係るエアーシリンダ式地盤強度調査機の操作に必要な表示器やスイッチなどが設けられる。また、シーケンス制御には、専用のマイクロコンピュータを利用した制御装置であるプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller 、略称PLC)、又はシーケンサ(登録商標)を用いて、あらかじめ制御内容をプログラムによって表現しておく。なお、制御盤にキーボードを設けて直接入力できるようにしておくことも望ましい。
【0036】
図2は、本発明の貫入体の貫入量とエアーシリンダの加重の基本的な関係を示す概念説明図である。
(1)スタートは、合計100 Kgf加重の貫入体30に対してエアーシリンダ44に0.318 MPaの圧力(125 Kgfの上向き推力)をかけて貫入体30を上昇させる。
(2)つぎに、最上部で圧力値を0.255MPaにして、エアーシリンダ44の推力を100 Kgfとし、貫入体30をゆっくり微降下させて接地させる。
(3)その後、エアーシリンダの推力を85 Kgfにして貫入体30が自重で降下し、地盤Gに自沈しているか目視で確認し、ワイヤー式デジタル距離計52でその距離を記録する。
(4)自然自沈しない場合は、エアーシリンダの推力を75 Kgfにして貫入ロッドの地盤への自沈を記録・観察する。
(5)さらに自然自沈しない場合は、エアーシリンダの推力を50 Kgfにして貫入ロッドの地盤への自沈を記録・観察する。
(6)さらに自然自沈しない場合は、エアーシリンダの推力を“25”にして貫入ロッドの地盤への自沈を記録・観察する。
(7) さらに自然自沈しない場合は、エアーシリンダの推力を“0”にして貫入ロッドの地盤への自沈を記録・観察する。
(8)自然自沈しない状態で回転モータ40を稼動させ、貫入ロッド31を回転させて貫入深度25cm当りの貫入ロッド31の回転数を測定して記録する。
(9)貫入途中で地盤Gが軟弱な地層に当たると貫入体30は急激に自沈する状態が発生する。
(10)モーター回転停止と同時に、エアーシリンダの推力を100 Kgfに設定した信号をデジタルレギュレータ50に送信し、貫入体30の自沈降下を停止する。
(11)その後順次貫入速度を観察しながら推力を85Kgf・75
Kgf・50 Kgf・25 Kgfと段階的に下げていき、貫入ロッドの地盤への自沈がなくなるまで調整していく。
(12)エアーシリンダの推力が“0”の状態で自沈しなくなったら貫入ロッド31を回転させて貫入深度25cm当りの貫入ロッド31の回転数を測定して記録する。
【0037】
図3は、本発明の貫入ロッドの回転数と貫入深度の度合いを示すグラフ図である。全ての錘荷重22を載せると載荷昇降台23の自重と合計して100 Kgfになるが、その際の貫入ロッド31の沈下がなく静止している場合には、貫入ロッド31を回転させ先端のスクリューポイント32で地盤Gを掘り進みながら強制的に貫入ロッド31を地盤Gに貫入させ、貫入ロッド31を25cm貫入させるのに貫入ロッド31を何回転させたかを記録する。規定の貫入深度まで記録できた時点で測定を終了し、貫入ロッド31を引き抜いて地盤調査を終了するものである。
【0038】
図4は、本発明におけるエアーシリンダの推力を示す換算表と自沈量の計算式である。図4(a)はエアーシリンダの圧力数値を示す。エアーシリンダ44の圧力径100φに対してエア圧(MPa)と推力(Kgf)の関係を示すもので、貫入体30は錘荷重22と合計で100 Kgfの重さがあり、エアーシリンダ推力(Kgf)は、表示のエア圧(MPa)の推力(Kgf)との差でシリンダーロッドにかかる推力(Kgf)となる。
【0039】
図4(b)は自沈速度の計算式を示す。自沈量はC/Nの比率で判定され、C/Nが所定の値より大きくなった場合、自沈停止処理が採られる。Nはロッドの回転数、Cはロッドの下降距離である。
【0040】
図5は、本発明における使用状態を示すフローチャート図である。なお、操作はシーケンス制御又は手動により行う。
(1)コンプレッサKを稼動させてエアシリンダ44にエアを投入する。
(2)デジタルレギュレータ50の圧力値を“0”に設定して入力する。
(3)総重量100 Kgfの錘荷重を載荷する。
(4)デジタルレギュレータ50の圧力値を“0.318”に設定して入力する。
(5)エアーシリンダ44が作動して貫入体30がガイド支柱42の上端まで上昇して停止する。
(6)クランプチャック33を開放して貫入ロッド31を取り付ける。
(7)デジタルレギュレータ50の圧力値を“0.255”に設定して入力する。
(8)貫入ロット31の接地位置確認と、デジタルレギュレータ50の圧力確認と、錘荷重22総重量100 Kgfの載荷を確認する。
(9)制御盤ボックス53の操作によって、原点圧力値“0”
入力する。
(10)デジタルレギュレータ50の圧力値を“0.217”に設定して入力する。
(11)自沈する場合は、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
(12)デジタルレギュレータ50の圧力値を自沈するまで”0.191”→”0.127”→”0.064”→”0”と段階的に下げて自沈を確認する。
【0041】
図6は、本発明における使用状態を示すフローチャート図(続き)である。
(13)自沈する場合は、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。自沈しない場合は、回転モータ40を稼動させ、貫入ロッド31を回転させる。
(14)貫入ロッド31回転により貫入体30が貫入する距離をワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
(15)貫入体30が降下する途中でデジタルレギュレータ50の圧力値“0.255”を入 力し、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
(16)自沈する場合は、回転モータ40の回転を停止する。
・デジタルレギュレータ50の圧力値“0.255”を入力し、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
・デジタルレギュレータ50の圧力値“0.217”を入力し、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
(17)デジタルレギュレータ50の圧力調整を自沈するまで“0.217”→”0.191”→”0.127”→”0.064”→”0”と段階的に圧力を下げて自沈を確認する。
【0042】
図7は、本発明における使用状態を示すフローチャート図(続き)である。
(18)回転モータ40を回転させ、貫入ロッド31を回転する。
・デジタルレギュレータ50の圧力値“0”を入力し、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
(19)貫入ロッド31長さの最下位置もしくは75cmの距離との間で貫入ロッド31の回転数と貫入深度を計測して記録する。
(20)デジタルレギュレータ50の圧力値“0.217”を入力し、回転モータ40を停止させ、貫入ロッド31の回転を停止する。
(21)クランプチャック33を緩めて貫入ロッド31を開放する。
(22)デジタルレギュレータ50の圧力値“0.318”を入力する。
(23)貫入体30が上昇する。
(24)貫入ロッド30を継ぎ足す。
(25)クランプチャック33を締め付け固定する。
(26)自沈する場合は、回転モータ40を停止させ、貫入ロッド31の回転を停止する。
(27)デジタルレギュレータ50の圧力値“0.255”を入力する。
(28)デジタルレギュレータ50の圧力値“0.217”を入力し、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
(29)デジタルレギュレータ50の圧力調整を自沈するまで“0.217→0.191→0.127→0.064→0”と段階的に下げて自沈量を確認する。
(30)自沈する場合は、回転モータ40を停止させ、貫入ロッド31の回転を停止する。
(31)自沈しない場合は、回転モータ40を回転させて貫入ロッド31を回転させ、デジタルレギュレータ50の圧力値“0”を入力する。
(32)貫入ロッドの回転数をデジタル回転数読取装置51で測定し、ワイヤー式デジタル距離計52でC値を測定して記録する。
(33)この繰り返しを所定の地盤深さまで行い、調査範囲の決められた箇所を測定し、地層の強度を調査する。
【0043】
図8及び図9は、本発明の貫入体30の貫入量とエアーシリンダ44の加重の関係の具体例を示した説明図である。基本的な使用方法は前述のとおりであるが、図8では、軟弱な地層と強固な地層が繰り返して層状を成しているような場合に、建物の基礎とすることができると判断できる強固な地層を調査するために、貫入ロッド31を継ぎ足して、地層状態を調査する場合を示したものである。
【0044】
(1)において貫入ロッド31を地表に設置し、(2)において表土の軟らかい地層の深さを測定し、(3)〜(7)においてその下層にある強固な地層の距離と固さを測定し、(8)〜(11)においてさらに下層にある軟弱な地層の深さを測定し、(12)においてさらにその下層にある強固な地層の距離と固さを測定し、(13)〜(22)においてさらにその下層にある軟弱な地層の深さを測定し、(23)〜(26)においてさらにその下層にある強固な地層の距離と固さを測定し、(27)において貫入半回転数オーバーにより強固な岩盤層がさらにその下層にあることがわかる。
【0045】
また、(6)、(20)、(26)において、クランプチャック33により貫入ロッド31を継ぎ足している。
【0046】
つぎに、図10に基き、手動時の操作について説明する。
(1) スタートは、上昇ボタンを押すことでエアーシリンダ44の圧力が0.318MPaとなり、貫入体30が上昇する。
(2)総重量100 Kgfになるように錘荷重を載荷する。
(3) エアーセレクトスイッチ57を操作し、エアーシリンダ44の圧力を0.255MPaにして微下降させる。
(4)順次、エアーセレクトスイッチ57を操作し、“0.217”→“0.191”→“0.127”→“0.064”→“0”と段階的にエア圧力を下げて自沈がなくなるまで深さを測定する。
(5)自沈がなくなったら、回転スイッチをONにして貫入ロッド31を貫入させる。
(6)距離と回転の測定を続ける。
(7)急激に貫入ロッド31が下降した場合は停止ボタンを押す。係る操作によりエアーセレクトスイッチ57の設定にかかわりなくエアーシリンダ44のエア圧力は0.255MPaになり、入ロッド31の加重は0Kgf となる。
(8) 順次、エアーセレクトスイッチ57を操作し、“0.217”→“0.191”→“0.127”→“0.064”→“0”と段階的にエア圧力を下げて、どの圧力で沈下し又停止するか自沈がなくなるまで深さを測定する。
(9)自沈がなくなったら、再度回転スイッチをONにして貫入ロッド31を貫入させる。
(10)距離と回転の測定をする。
【符号の説明】
【0047】
10 エアーシリンダ式地盤強度調査機
20 基台
21 走行車輪
22 錘荷重
23 載荷昇降台
30 貫入体
31 貫入ロッド
32 スクリューポイント
33 クランプチャック
40 回転モータ
41 歯車またはチェーン
42 ガイド支柱
43 ガイドローラ
44 エアーシリンダ
45 チェーン
46 スプロケット
47 手動ブレーキ
50 デジタルレギュレータ
51 デジタル回転数読取装置
52 ワイヤー式デジタル距離計
54 制御盤ボックス
55 数値入力ボタン
56 圧力調整ボリューム
57 エアーセレクトスイッチ
58 排気孔
A 伝達機構
B 回転装置
C 加重手段
D 昇降機構
E 測定装置
K コンプレッサ
G 地盤
T 形成層




【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫入体の自沈変化量をエアーシリンダを用いてデジタル制御するスウェーデン式サウンディング方式のエアーシリンダ式地盤強度調査機であって、
貫入ロッドの先端部に設けられるスクリューポイントを地盤に対して直角に突き立てる貫入体と、
該貫入体を伝達機構を介して回転する回転装置と貫入ロッドに加重をかけて地盤にスクリューポイントを貫入させる加重手段を備える載荷昇降台と、
該載荷昇降台を昇降させるエアーシリンダ式の昇降機構と、
貫入ロッドの貫入深度と回転数を測定する測定装置と、から成り、
前記加重手段が、載荷される錘荷重による下向きの推力方向に対し、前記エアーシリンダのエア圧による上向きの推力方向を対向させ、その推力の差異によって貫入体を自沈ならびに昇降させる手段とし、該エア圧制御にデジタルレギュレータをシーケンス制御する構成を採用したことを特徴とするエアーシリンダ式地盤強度調査機。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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