説明

エアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造

【課題】 テンションテープ固定部の緩み、ずれ防止、張力維持、可撓膜体の形状維持を図り、端部を保護し、作業性良く適正に施工するエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造を提供する。
【解決手段】 側壁上端面17にアンカーボルト12を植設し、接着剤1、独立気泡のスポンジゴム製帯板2、可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3を順次設け、その上面に可撓膜体4の外周縁部を配置し、その上面を養生ゴム板5にて被覆し、その上に可撓膜体固定用リングプレート6を設置し、上記アンカーボルト12に螺合する薄肉ナット7で締結固定し、可撓膜体4の上面に配設したテンションテープ8の端部を固定するテンションテープ用固定プレート9を上記可撓膜体固定用リングプレート6上に重ね、該テンションテープ用固定プレート9及びその上に重ねた押えプレート10を、上記アンカーボルト12に螺合する厚肉ナット11で緊締する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水や石油等の液体、低温液化ガス、消化ガス、粉体、粒状物などの各種貯蔵物を貯蔵する貯槽等構築物の上部を被覆するドーム屋根を構築するエアードーム工法 (登録商標、以下同じ) における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貯槽等構築物の上部を被覆するドーム屋根を構築するエアードーム工法について、図6に基づいて説明する。
貯槽101は、平底円形の底版103と、この底版103の外周縁近傍に立設した円筒形状の側壁104と、この側壁104の上部を被覆する割球殻形状のドーム屋根102とで形成する。これらの底版103、側壁104、及びドーム屋根102は、コンクリート構造又は金属構造、あるいはコンクリート構造と金属構造などを組み合わせて形成する。
このドーム屋根102を施工するために、貯槽101の上部を被覆する可撓膜体105の周縁を側壁104の上端部に気密に固着し、送風機106を利用してこの可撓膜体105の下部に空気を導入して緊張させ、この緊張した可撓膜体105の上部にモルタルやコンクリートなどの屋根部材を施工する。この可撓膜体105は、繊維織物に樹脂材料等をコーティングした可撓性を有する膜材が用いられている。
【0003】
図7に示すように、上記エアードーム工法でドーム屋根102を構築する際に使用する可撓膜体105、及びその上面に張設するテンションテープ107の外周端部の固定部は、側壁104の上端部に重ね合わせてリングプレートとボルト・ナットなどによる固着具108によって気密に固着している。
【0004】
上記固定構造に関する従来の発明には、特許第3041720号公報「コンクリート製ドーム屋根における可撓膜体の取付け構造」がある。この発明は、コンクリート製ドーム屋根の内側に張設する可撓膜体の取付け部の可撓膜体を、側壁の上面にシール材を介してアンカーボルトで固定する可撓膜体の取付け構造において、所定範囲に帯状のシール膜を設けるなどして、気密性を向上した取付け構造に関するものである。
【0005】
また、同様の従来の発明には、特許第2826784号公報「空気膜構造とその空気膜で形成したドーム屋根」がある。この発明は、可撓性の空気膜構造において、テンションテープに相当する部材として合成樹脂繊維材で平帯形状の補強バンドを形成し、この補強バンドは内部空気圧を受けて膨らむ空気膜の変形を平均した緊張力をもって上方から抑制する如く空気膜の上面に配置したものである。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3041720号公報
【特許文献2】特許第2826784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6及び図7に示す従来の構造は、テンションテープ107端部の固定部が緩んでずれて、張力が維持できないことにより可撓膜体105の形状維持ができないことがあった。
また、テンションテープ107を固着する位置が定まらず移動して固着具108での取付け作業が難しく、可撓膜体105の取付け作業に手間を要した。さらに、テンションテープ107の端部を傷めないように保護する必要があった。
【0008】
上記紹介した特許第3041720号公報「コンクリート製ドーム屋根における可撓膜体の取付け構造」の発明は、コンクリート製ドーム屋根の内側に張設する可撓膜体の取付け部の可撓膜体を、側壁の上面にシール材を介してアンカーボルトで固定する可撓膜体の取付け構造において、所定範囲に帯状のシール膜を設けるなどして、気密性を向上した取付け構造であるが、テンションテープを取付ける際に平均に気密固定することが難しくなる場合があった。
【0009】
また、上記紹介した特許第2826784号公報「空気膜構造とその空気膜で形成したドーム屋根」の発明は、可撓性の空気膜構造において、テンションテープに相当する合成樹脂繊維材で平帯形状の補強バンドを形成し、この補強バンドは内部空気圧を受けて膨らむ空気膜の変形を平均した緊張力をもって上方から抑制する如く空気膜の上面に配置したものであるが、実際は補強バンドを空気膜の上面に平均に配設することが困難であり、かつ膨らむ空気膜の形状維持の安定化を図ることも難しかった。
【0010】
この発明の目的は、上述のような従来技術のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け部の構造が有する問題点に鑑みてなされたもので、テンションテープの固定部の緩み、ずれなどの防止を図り、張力の維持を図り、ひいては可撓膜体の形状維持を図り、端部を傷めず保護し、取付けの作業性が良く、適正に施工するエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造を提供するものである。

【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造は、貯槽等構築物の上部を被覆するドーム屋根を構築するエアードーム工法において、側壁上端面17にアンカーボルト12を植設し、この側壁上端面17の内側寄りに接着剤1を塗布し、その接着剤1に独立気泡のスポンジゴム製帯板2を固着し、該独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3を貼着し、該可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3上に可撓膜体4の外周縁部を仮留めによる位置決めした状態で独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に可撓膜体4の外周縁部を被覆配置し、可撓膜体4の外周縁部の上面を養生ゴム板5にて養生被覆し、該養生ゴム板5上に重ねて可撓膜体固定用リングプレート6を設置し、該可撓膜体固定用リングプレート6を貫通する上記アンカーボルト12に螺合する薄肉ナット7で可撓膜体固定用リングプレート6を締結固定するとともに、該可撓膜体4の上面に交叉させて配設したテンションテープ8の各取付け端部を固定するテンションテープ用固定プレート9を上記可撓膜体固定用リングプレート6上に重ね、該テンションテープ用固定プレート9及びその上に重ねたテンションテープ8の取付け端部を押える押えプレート10のそれぞれに貫通する上記アンカーボルト12に螺合する厚肉ナット11でテンションテープ用固定プレート9及び押えプレート10を緊締することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造は、上記テンションテープ8の取付け端部に、テンションテープ用固定プレート9への取付け位置決めをするための取付け位置決めマーキング13を施し、その取付け位置決めマーキング13の位置に合わせてテンションテープ用固定プレート9の折り返し部9a、9bに沿って巻き付け固定するものである。
【0013】
請求項3記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造は、上記テンションテープ用固定プレート9に穿設したアンカーボルト12を挿通する穴を大口径15とし、その大口径15内に薄肉ナット7を挿着して可撓膜体4の外周縁部を固定し、上記テンションテープ用固定プレート9の外周縁に丸棒16を固着し、テンションテープ用固定プレート9に塗布した接着剤を介してテンションテープ8の取付け端部が丸棒16で折り返されて平面V字状に巻き付けられテンションテープ用固定プレート9及びその上に重ねた押えプレート10を貫通するアンカーボルト12に螺合する厚肉ナット11で緊締してテンションテープ8の取付け部位を固定するものである。

【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造は、コンクリート側壁上端面にアンカーボルト12を植設し、このコンクリート側壁上端面17の内側寄りに接着剤1を塗布し、その接着剤1に独立気泡のスポンジゴム製帯板2を固着し、該独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3を貼着し、該可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3上に可撓膜体4の外周縁部を仮留めによる位置決めした状態で独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に可撓膜体4の外周縁部を被覆配置し、可撓膜体4の外周縁部の上面を養生ゴム板5にて養生被覆し、該養生ゴム板5上に重ねて可撓膜体固定用リングプレート6を設置し、該可撓膜体固定用リングプレート6を貫通する上記アンカーボルト12に螺合する薄肉ナット7で可撓膜体固定用リングプレート6を締結固定したので、可撓膜体4の取付け端部を直接、コンクリート側壁上端面17に固着する場合の密着性の困難性が解決され、独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に固定することとしたので可撓膜体4の取付け端部の密着性が大幅に向上するとともに、可撓膜体4の取付け端部の気密化が大幅に向上する。
【0015】
しかも、可撓膜体4の取付け端部を独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に固定する際に、独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に設けた可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3上に可撓膜体4の外周縁部を仮留めにすることができ、可撓膜体4の位置決めが容易となり、可撓膜体4の取付け作業の大幅な時間短縮が図られ、作業の能率化が向上する。
【0016】
また、可撓膜体4の取付け端部は独立気泡のスポンジゴム製帯板2と養生ゴム板5に挟まれて保護されているので、外力が作用しようとも破損等による損傷から開放され、耐用年数の向上が期待できる。
【0017】
そして、テンションテープ8の各取付け端部を固定するテンションテープ用固定プレート9を上記可撓膜体固定用リングプレート6上に重ね、該テンションテープ用固定プレート9及びその上に重ねたテンションテープ8の取付け端部を押える押えプレート10のそれぞれを貫通する上記アンカーボルト12に螺合する厚肉ナット11でテンションテープ用固定プレート9及び押えプレート10を緊締することにより、テンションテープ8はテンションテープ用固定プレート9で固定されながらもテンションテープ用固定プレート9を中継点として連続して可撓膜体4の上面に交叉させて配設することも可能となり、作業性の大幅な向上が期待できる。
【0018】
また、請求項2記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造は、テンションテープ8の取付け端部に、テンションテープ用固定プレート9への取付け位置決めをするための取付け位置決めマーキング13を施し、その取付け位置決めマーキング13の位置に合わせてテンションテープ用固定プレート9の折り返し部9a、9bに沿って巻き付け固定することができるので、取付け位置決めマーキング13に合わせてテンションテープ8をテンションテープ用固定プレート9の折り返し部9a、9bに沿って巻き付けるだけで済むことから、作業性の向上が図れるだけではなくテンションテープ8は可撓膜体4上で緩まずに均一に交叉させて配置することができ、確りとテンションテープ8の取付け端部をコンクリート側壁上端面17に固定することができる。
【0019】
また、請求項3記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造は、テンションテープ用固定プレート9の外周縁に丸棒16を固着し、テンションテープ用固定プレート9に塗布した接着剤を介してテンションテープ8の取付け端部が丸棒16で折り返されて平面V字状に巻き付けられテンションテープ用固定プレート9及びその上に重ねた押えプレート10を貫通するアンカーボルト12に螺合する厚肉ナット11で緊締してテンションテープ8の取付け端部を固定するので、テンションテープ8の取付け端部はテンションテープ用固定プレート9に塗布した接着剤とテンションテープ用固定プレート9で平面V字状に巻き付けることによって、より一層強固な固定が可能となる。また、テンションテープ8の取付け端部をテンションテープ用固定プレート9に平面V字状の巻き付けるに際しても丸棒16に当接した状態で折り返されるからテンションテープ8の取付け端部が損傷すること無く巻き付けることができ恒久的に使用できる。

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係る可撓膜体及びテンションテープの端部取付構造を示す一部を欠除した斜視説明図である。
【図2】図1の可撓膜体の端部取付構造を示す一部分解斜視説明図である。
【図3】図2の可撓膜体及びテンションテープの端部取付構造を示す縦断面説明図である。
【図4】テンションテープ端部取付状況を示す平面説明図である。
【図5】テンションテープの配置状況を示す平面説明図である。
【図6】エアードーム工法を説明する側面説明図である。
【図7】従来の可撓膜体及びテンションテープ、モルタル並びにコンクリートを設けた貯槽等構造物のドーム屋根を示す一部を欠除した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係るエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造の実施形態を、図1乃至図5に基づいて説明する。
図1は可撓膜体及びテンションテープの端部取付構造の一部を欠除した斜視説明図、図2はその一部分解斜視説明図、図3はその縦断面説明図である。
図1に示すように、コンクリート製貯槽101の側壁104の側壁上端面17にアンカーボルト12を植設し、このアンカーボルト12に可撓膜体4を取付け、この可撓膜体4の上面に交叉させてテンションテープ8を配設する。このテンションテープ8の端部は、テンションテープ用固定プレート9に巻き付けて固定する。(図2及び図3で詳細説明する)
なお、本実施形態に示す貯槽101、ドーム屋根102、円筒形状の側壁104は、図6に示すエアードーム工法全体側面説明図と同一の符号を使用した。また、貯槽101はコンクリート製又は金属製のいずれでもよいが、本実施例ではコンクリート製の場合について説明する。
【0022】
図2及び図3に示すように、側壁104の側壁上端面17に、所定間隔をおいてアンカーボルト12を順次植設する。
この側壁上端面17の内側寄りに接着剤1を塗布する。その接着剤1を塗布した接着面に独立気泡のスポンジゴム製帯板2を固着する。
このスポンジゴム製帯板2には独立気泡のスポンジゴムを使用することはもちろんであるが、気密性が得られる材料であるならば独立気泡を有する発泡ウレタンフォーム等の独立気泡の合成樹脂フォームであってもよい。
このように、接着剤1を塗布することにより、異種部材で粗いコンクリート側壁上端縁の表面に独立気泡のスポンジゴム製帯板2を密着させることができる。
【0023】
スポンジゴム製帯板2の上面の端部寄りに、可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3を貼着する。この可撓膜体位置決め用両面粘着テープ3上に、可撓膜体4の外周縁部の一部を仮留めして、可撓膜体4の外周縁部の位置決めを行う。このように位置決めした状態で、独立気泡のスポンジゴム製帯板2の上面に可撓膜体4の外周縁部を被覆配置する。
可撓膜体4の外周縁部の上面を養生ゴム板5にて養生被覆する。このように、養生ゴム板5を使用することにより可撓膜体4の周縁部は損傷等から保護される。この養生ゴム板5上に重ねて、可撓膜体固定用リングプレート6を設置する。
【0024】
可撓膜体固定用リングプレート6を貫通するアンカーボルト12に、薄肉ナット7を螺合して可撓膜体固定用リングプレート6を締結固定し、まず側壁上端面17に可撓膜体4の周縁部を密着固定させる。
【0025】
可撓膜体4の上面に交叉させて配設したテンションテープ8の各取付け端部を固定するテンションテープ用固定プレート9は、可撓膜体固定用リングプレート6上に重ねる。
さらに、テンションテープ用固定プレート9及びその上に重ねたテンションテープ8の取付け端部を押える押えプレート10を設け、そのそれぞれを貫通するアンカーボルト12には厚肉ナット11を螺合してテンションテープ用固定プレート9及び押えプレート10を緊締する。
【0026】
図1乃至図3のように、テンションテープ8の取付け端部は、テンションテープ用の固定プレート9に巻き付けて固定する。
テンションテープ8の取付け端部に、テンションテープ用固定プレート9への取付け位置決めをするための取付け位置決めマーキングを施し、その取付け位置決めマーキング位置に合わせてテンションテープ用固定プレート9の折り返し部に沿って平面V字状に巻き付けて固定する。(図4で詳細説明する)
【0027】
テンションテープ用固定プレート9と押えプレート10及び厚肉ナット11によって、テンションテープ8の取付け端部は確りと固定保持されると同時に、可撓膜体4の外周縁部を固定する固定用リングプレート6の補強となり、ドーム屋根102で覆われた貯槽101の内圧による引抜き力の抑制と気密性が確保される。
【0028】
また、テンションテープ用固定プレート9の上下両面に色の付いた接着剤を塗布することにより、テンションテープ8を固定した位置からの移動距離が視覚できるため、テンションテープ8の張り具合及び可撓膜体4の膨張程度を確実に把握することができる。
つまり、テンションテープ用固定プレート9の全面に、黒いネオプレンゴム系接着剤 (図示せず) を塗布することにより、接着剤本来の粘性による滑り防止と硬化後の接着効果に加えて、施工途中での白いテンションテープ8上に付着した黒い接着剤の跡幅をみて、施工初期からの滑り量、移動距離が判るため、可撓膜体の所定の膨らみ形状の保持と管理に役立つ。
【0029】
また、テンションテープ用固定プレート9に大口径15を設け、薄肉ナット7で可撓膜体4を確り固定し、テンションテープ用固定プレート9の外周縁に丸棒16を固着することによって、テンションテープ8に確り張力を与えて巻き付け、緩まないように作業能率良く固定することができる。
このように、丸棒16の固着によって、最も荷重が掛かるテンションテープ用固定プレート9のエッジ部がテンションテープ8に当らないため、テンションテープ8に発生する張力、つまり締付けと擦れによるテンションテープ8の損傷がなく保護することが出来る。
【0030】
図4は、テンションテープ8の取付け状況を示す平面説明図である。
テンションテープ8取付け端部は、テンションテープ用固定プレート9端縁に施した取付け位置決めマーキング13の位置に合わせた状態で、折り返し部9a、9bによって平面V字状となるようにテンションテープ用固定プレート9に巻き付けて固定する。
この折り返し部9a、9bは、テンションテープ用固定プレート9を固定するアンカーボルト12、12にそれぞれ螺合する薄肉ナット7、7の間に位置するように形成する。
【0031】
このように、テンションテープ取付け用固定プレート9にテンションテープ8の取付け端部を平面V字状に折り返すように巻き付けることによって、長さをマーキングした所定位置に確り、緩まないように固定することができる。
つまり、テンションテープ8は、丸棒16の位置折り返し部9aで確り絞るように締付け、内側の位置折り返し部9bで滑らないように固定することができる。
【0032】
図5は、テンションテープ8の配置状況を示す平面説明図である。
可撓膜体4の上面に、幅帯状のテンションテープ8を直角格子状に張設する場合を示している。
このテンションテープ8を張設する本数は、ドーム屋根102の径の大きさに応じて定める。

【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明は、水や石油等の液体、低温液化ガス、消化ガス、粉体、粒状物などの各種貯蔵物を貯蔵する種々の貯槽等構築物の上部を被覆するドーム屋根及びその構築法における可撓膜体及びテンションテープの取付構造に広範囲に適用することができる。

【符号の説明】
【0034】
1 接着剤
2 独立気泡のスポンジゴム製帯板
3 可撓性位置決め用両面粘着テープ
4 可撓膜体
5 養生ゴム板
6 可撓膜体固定用リングプレート
7 薄肉ナット
8 テンションテープ
9 テンションテープ用固定プレート
10 押えプレート
11 厚肉ナット
12 アンカーボルト
13 取付け位置決めマーキング
14 挿通穴
15 大口径
16 丸棒
17 側壁上端面

101 貯槽
102 ドーム屋根
103 底版
104 側壁
105 可撓膜体
106 送風機
107 テンションテープ
108 固着具




【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯槽等構築物の上部を被覆するドーム屋根を構築するエアードーム工法において、側壁上端面にアンカーボルトを植設し、この側壁上端面の内側寄りに接着剤を塗布し、その接着剤に独立気泡のスポンジゴム製帯板を固着し、該独立気泡のスポンジゴム製帯板の上面に可撓膜体位置決め用両面粘着テープを貼着し、該可撓膜体位置決め用両面粘着テープ上に可撓膜体の外周縁部を仮留めによる位置決めした状態で独立気泡のスポンジゴム製帯板の上面に可撓膜体の外周縁部を被覆配置し、可撓膜体の外周縁部の上面を養生ゴム板にて養生被覆し、該養生ゴム板上に重ねて可撓膜体固定用リングプレートを設置し、該可撓膜体固定用リングプレートを貫通する上記アンカーボルトに螺合する薄肉ナットで可撓膜体固定用リングプレートを締結固定するとともに、該可撓膜体の上面に交叉させて配設したテンションテープの各取付け端部を固定するテンションテープ用固定プレートを上記可撓膜体固定用リングプレート上に重ね、該テンションテープ用固定プレート及びその上に重ねたテンションテープの取付け端部を押える押えプレートのそれぞれに貫通する上記アンカーボルトに螺合する厚肉ナットでテンションテープ用固定プレート及び押えプレートを緊締することを特徴とするエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造。
【請求項2】
上記テンションテープの取付け端部に、テンションテープ用固定プレートへの取付け位置決めをするための取付け位置決めマーキングを施し、その取付け位置決めマーキングの位置に合わせてテンションテープ用固定プレートの折り返し部に沿って巻き付け固定することを特徴とする請求項1記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造。
【請求項3】
上記テンションテープ用固定プレートに穿設したアンカーボルトを挿通する穴を大口径とし、その大口径内に薄肉ナットを挿着して可撓膜体の外周縁部を固定し、上記テンションテープ用固定プレートの外周縁に丸棒を固着し、テンションテープ用固定プレートに塗布した接着剤を介してテンションテープの取付け端部が丸棒で折り返されて平面V字状に巻き付けられテンションテープ用固定プレート及びその上に重ねた押えプレートを貫通するアンカーボルトに螺合する厚肉ナットで緊締してテンションテープの取付け部位を固定することを特徴とする請求項1又は2記載のエアードーム工法における可撓膜体及びテンションテープの取付け構造。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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