説明

エクステリア構造物及び伸縮門扉

【課題】簡単な構造で容易且つ確実に連結でき、しかも意匠性の低下を防止できるようにする。
【解決手段】上下一対の水平パンタグラフ機構8の端部を上下に連結する連結枠11を備え、この連結枠11に端枠60,61を当接して固定し、連結枠11の上下方向に複数組の締結ユニット62を備え、この各締結ユニット62は連結枠11と端枠15との各側壁60,61の内、その一方の側壁60,61に螺合され且つ頭部70が他方の側壁60,61側に突出する締結ネジ69を設けると共に、他方の側壁60,61に、締結ネジ69の頭部70が通過可能な第1孔75と、頭部70が第1孔75を通過して締結ネジ69の軸部71が第1孔75に挿通した状態から連結枠11と端枠15とを上下方向に相対的に移動させたときに軸部71が嵌合し且つ頭部70が通過不能な第2孔76とを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エクステリア構造物及び伸縮門扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エクステリア構造物、例えば伸縮門扉等において、間口に応じて複数の扉体を連結して使用する場合には、隣り合う扉体の端部側の縦枠同士を連結板を介して連結することがある。この場合、一方の縦枠に、他方の縦枠側へと突出する連結板を固定し、この連結板を他方の縦枠にネジにより固定する構造が採用されている(特許文献1)。
【特許文献1】特許第2871540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の構造では、一方の縦枠に連結板を固定しておき、その連結板を他方の縦枠にネジで固定するため、一対の縦枠同士が直接当接せず、両縦枠間に隙間が発生し易いという欠点がある。また連結板を介して両縦枠を連結しているため、連結板により全ての荷重を支える必要があり、連結板の数を増やすか連結板の板厚を大にしない限り、両縦枠を剛強に結合し難いという欠点がある。
【0004】
また一対の縦枠に跨がってボルトを挿通して、ボルト・ナットにより一対の縦枠を締結する場合には、長いボルトが必要である上に、ボルト・ナットが露出するため、意匠性等を重視する伸縮門扉その他のエクステリア構造物では採用し難いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、簡単な構造で容易且つ確実に連結でき、しかも意匠性の低下を防止できるエクステリア構造物及び伸縮門扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエクステリア構造物は、一対の縦枠11,15を当接して固定したエクステリア構造物において、前記両縦枠11,15の相対向する側壁60,61の内、その一方の前記側壁60,61側に螺合され且つ頭部70が他方の前記側壁60,61側に突出する締結ネジ69を設け、他方の前記側壁60,61に、前記頭部70が通過可能な第1孔75と、前記頭部70が前記第1孔75を通過して前記締結ネジ69の軸部71が前記第1孔75に挿通した状態から前記両縦枠11,15を上下方向に相対的に移動させたときに前記軸部71が嵌合し且つ前記頭部70が通過不能な第2孔76とを設けたものである。
【0007】
また本発明に係る伸縮門扉は、上下一対の水平パンタグラフ機構8の端部を上下に連結する連結枠11を備え、該連結枠11に端枠15を当接して固定した伸縮門扉において、前記連結枠11の上下方向に複数組の締結ユニット62を備え、該各締結ユニット62は前記連結枠11と前記端枠15との各側壁60,61の内、その一方の前記側壁60,61に螺合され且つ頭部70が他方の前記側壁60,61側に突出する締結ネジ69を設けると共に、他方の前記側壁60,61に、前記締結ネジ69の前記頭部70が通過可能な第1孔75と、前記頭部70が前記第1孔75を通過して前記締結ネジ69の軸部71が前記第1孔75に挿通した状態から前記連結枠11と前記端枠15とを上下方向に相対的に移動させたときに前記軸部71が嵌合し且つ前記頭部70が通過不能な第2孔76とを設けたものである。
【0008】
前記連結枠11の上部側で上側の前記パンタグラフ機構8の近傍に前記締結ユニット62を設け、該締結ユニット62から下方に所定間隔離れて別の前記締結ユニット62を設けてもよい。また前記連結枠11の下部側で下側の前記パンタグラフ機構8の近傍に、一方の前記側壁60,61に設けられた係合孔85と、他方の前記側壁60,61に設けられ且つ前記連結枠11と前記端枠15との前記相対的な移動時に前記係合孔85に係合する係合片86とを有する係合手段63を設けてもよい。
【0009】
前記端枠15内の下部に保持枠34を介して落とし棒装置17を設け、該落とし棒装置17に対応して前記係合手段63を配置してもよい。前記連結枠11の上下両側に、前記各パンタグラフ機構8の前後一対の端部リンク部材21の先端を枢支する枢軸22を固定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、簡単な構造で容易且つ確実に連結でき、しかも意匠性の低下を防止できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1〜図13は水平パンタグラフ式の伸縮門扉に採用した本発明の第1の実施例を例示する。
【0012】
この伸縮門扉は、図1(A)〜(C)に示すように、出入口1の左右両側で地面2上に立設された吊り元支柱3及び戸当たり支柱4と、吊り元支柱3及び戸当たり支柱4間に左右方向に伸縮自在に配置され且つ出入口1を開閉する扉体5とを有する。戸当たり支柱4には、上下一対の連結部材6を介して施錠受け枠7が固定されている。
【0013】
扉体5は左右方向に伸縮自在に構成された上下一対の水平式のパンタグラフ機構8と、この両パンタグラフ機構8の中間部分を上下に連結する左右方向に複数本の連結桟9,10と、両パンタグラフ機構8の両端部分を上下に連結する連結枠11とを備えている。
【0014】
なお、扉体5は吊り元側の連結枠11が上下方向のヒンジ12、連結部材13を介して吊り元支柱3に回動自在に連結され、図1(A)(B)に二点鎖線で示す収縮状態(開状態)と、図1(A)(B)に実線で示す伸長状態(閉状態)との間で伸縮自在であり、また収縮状態でヒンジ12廻りに回転収納可能である。
【0015】
扉体5の戸当たり側の連結枠11には、把手14等を有する施錠端枠15が装着され、その施錠端枠15が施錠受け枠7に当接して施錠されるようになっている。更に扉体5には、左右方向の略中央部に中間落とし棒装置16が、施錠端枠15に端部落とし棒装置17が夫々設けられている。また扉体5の略中央部、戸当たり端側には、地面2上を走行する走行車輪18が設けられている。
【0016】
パンタグラフ機構8は、図2(A)(B)に示すように、平面視X字状に交差して配置された左右方向に複数組の一対の中間リンク部材20と、両端に平面視八の字状に配置された一対の端部リンク部材21とを有し、連結桟9,10、枢軸22を介して縦軸心廻りに水平方向に屈伸しながら左右方向に伸縮自在である。一対の中間リンク部材20はその略中央の交差部で連結桟9により相対回動自在に連結され、左右方向に隣り合う各組の中間リンク部材20はその先端部で連結桟10により相対回動自在に連結されている。
【0017】
一対の端部リンク部材21は、内端側が対応する端部側の中間リンク部材20の先端部に連結桟10により相対回動自在に連結され、また外端側の円筒部23が前後に近接して配置された連結枠11の上下両端の枢軸22に相対回動自在に套嵌されて連結されている。
【0018】
連結枠11は一対のパンタグラフ機構8を端部側で上下方向に連結するもので、上下の両パンタグラフ機構8間で上下方向に配置されている。連結枠11の上下両端には、図3、図4に示すように、内部の前後一対の軸保持部24内に上下両側から枢軸22が挿入され、その挿入部分でリベット25により固定されている。なお、リベット25に代えてネジを使用してもよい。
【0019】
端部リンク部材21の円筒部23の上下両側には、一対の枢軸22を前後に連結する連結板26,27が設けられている。連結板27は端部リンク部材21と連結枠11との間で両枢軸22に套嵌されている。連結板26は枢軸22の先端に当接され、リベット28により枢軸22に固定されている。なお、連結板26は端部リンク部材21の抜け止め板を兼用している。
【0020】
施錠端枠15は図5〜図8に示すように矩形筒状であって、一対のコ字状の半割り材30を結合して中空状に構成されている。半割り材30はコ字状の開放端側に内重なり部31と外重なり部32とを有し、その両者の内重なり部31と外重なり部32とを重合させて、その重なり部31,32で後述のようにネジ結合されている。
【0021】
施錠端枠15内には、施錠受け枠7側の施錠受け具に対応する施錠掛け具を備えた施錠装置(図示省略)と、端部落とし棒装置17とが内部に組み込まれ、また前後両側に把手14が設けられている。なお、施錠端枠15は二つ割り状である必要はなく、一体の角筒状に構成しても良い。
【0022】
端部落とし棒装置17は扉体5を伸長状態にしたとき、収縮状態にしたとき、又は回転収納したときに施錠端枠15の前後移動を規制するためのもので、図9〜図13に示すように、施錠端枠15内の下部に固定された保持枠34と、この保持枠34内に上下方向に摺動自在に挿入されたパイプ製の落とし棒35と、落とし棒35を上下方向に操作する操作体としての操作摘まみ36と、落とし棒35を上昇位置(図9の実線位置)に係脱自在に保持する係合式の保持手段37とを備え、落とし棒35が地面2側の落とし孔38等に係脱するようになっている。
【0023】
保持枠34は矩形筒状で、左右の凹部39に施錠端枠15の左右の重なり部31,32が嵌合した状態で、上下両端側のネジ33により重なり部31,32側に固定されている。保持枠34の内部には落とし棒35を上下方向に摺動自在に保持する棒保持部40が内側に設けられている。なお、棒保持部40は、上下方向の略全長にわたって周方向に複数個、例えば4個形成されたリブにより構成されている。
【0024】
落とし棒35は保持枠34のリブにより上下方向に摺動自在に支持案内され、下端部が地面2の落とし孔38に係合する下降位置(図9の二点鎖線位置)と、落とし孔38から上方に外れた上昇位置との間で上下動自在である。
【0025】
保持手段37は、上昇位置の落とし棒35の上方近傍で保持枠34に前後方向に貫通して固定された係合ピン42と、上下方向の中間部が落とし棒35内で係合ピン42と略平行な支軸43により係合ピン42に対して係脱方向に揺動自在に枢支された係合具44と、この係合具44を係合方向に付勢するバネ45とを備えている。
【0026】
係合具44は縦長状であって、下側の略半分が落とし棒35の上部側に挿入され、上下方向の略中央が支軸43により落とし棒35に枢支されている。係合具44にはその上端部に係合部46が、中間にストッパー47が、下端部にバネ支持部48が夫々設けられている。なお、支軸43には係合具44の両側にリング状のスペーサ49が套嵌されている。
【0027】
係合部46の上下両側には、落とし棒35の上下動時に係合ピン42に案内されて係合具44をバネ45に抗して係脱方向に揺動させる案内部50,51が形成されており、上下両側の案内部50,51を含む係合部46は略三角形又は台形状になっている。ストッパー47は係合部46が係合ピン42から離脱したときに落とし棒35の上端に当接して、落とし棒35の上昇時に案内部50が係合ピン42に接触可能な姿勢に係合具44を保持するためのものである。バネ支持部48は係合具44にL字状に屈曲して形成され、このバネ支持部48に落とし棒35の内周と係合具44との間に介在されたバネ45が套嵌されている。
【0028】
操作摘まみ36は落とし棒35の通孔52、保持枠34の案内孔53、施錠端枠15の前後両側に装着された案内板54を前後方向に貫通する連結ピン55の前後に固定され、施錠端枠15の前後両側に近接して配置されている。案内板54には案内孔53に対応して上下方向の長孔56が形成され、その案内孔53、長孔56は少なくとも落とし棒35の上昇位置と下降位置との範囲にわたる長さとなっている。案内板54は施錠端枠15の前後にネジ57等で固定されている。
【0029】
係合ピン42、支軸43はスプリングピン等により構成され、保持枠34、落とし棒35、操作摘まみ36の外側から両端に打ち込まれたブラインドリベット等のリベットにより固定されている。
【0030】
連結枠11と施錠端枠15は、図5〜図8に示すように、両者の相対向する側壁60,61同士を当接して、連結枠11の上下方向に複数個の締結ユニット62と、下端部の係合手段63とにより固定されている。締結ユニット62は連結枠11の上端部で上側のパンタグラフ機構8の近傍と、これから下方に所定間隔離れた略中央部、例えば把手14と端部落とし棒装置17間等の中間部とに設けられ、また係合手段63は連結枠11の下端部で下側のパンタグラフ機構8の近傍に設けられている。
【0031】
おな、上側の締結ユニット62は上側の枢軸22の連結枠11に挿入された部分に対応し、係合手段63は下側の枢軸22の連結枠11に挿入された部分に対応して配置されている。
【0032】
施錠端枠15には連結枠11に対応する側壁61側の前後両端に突部64が設けられ、この突部64間の凹部65に連結枠11が嵌合している。連結枠11の側壁60側には、その前後の軸保持部24間で施錠端枠15の重なり部31,32の前後両側に対応する前後一対の突部58と、この突部58間を連絡する連絡壁66とが上下方向の略全長に形成され、連結枠11の内部側に連絡壁66に対応して上下方向の凹入溝67が形成されている。
【0033】
各締結ユニット62は、上下に所定の間隔を置いて配置された複数本、例えば2本の締結ネジ69を有する。各締結ネジ69は頭部70と軸部71とを有し、その軸部71が連結枠11の側壁61の連絡壁66を貫通して、凹入溝67内に嵌合する縦長状の当て板72に螺合され、両側壁60,61を締結するようになっている。当て板72は締結ネジ69間でリベット73により連絡壁66に固定されている。なお、締結ネジ69は連結枠11の側壁60に直接螺合してもよい。
【0034】
施錠端枠15の側壁61には、締結ネジ69の頭部70が通過可能な大径の第1孔75と、この第1孔75の上側に連通状に形成され且つ締結ネジ69の頭部70が通過不能で締結ネジ69の軸部71側が嵌合可能な小径の第2孔76とを有するダルマ状の取り付け孔77が各締結ネジ69に対応して形成されている。また施錠端枠15の反対側の側壁78には、各第2孔76に嵌合する締結ネジ69、特にその軸部71に対応して操作孔79が形成され、着脱自在に挿入された栓80により塞がれている。
【0035】
なお、取り付け孔77は施錠端枠15の重なり部31,32に形成されている。施錠端枠15の上下両端側にはキャップ81が嵌合され、重なり部31,32に挿通されたネジ82により固定されている。従って、施錠端枠15の重なり部31,32は、保持枠34を固定するネジ33、締結ユニット62の締結ネジ69、キャップ81のネジ82等により上下方向の複数箇所で結合されている。
【0036】
係合手段63は、保持枠34側を含む施錠端枠15の側壁61に形成された係合孔85と、連結枠11の側壁に固定された係合片86とを有し、係合片86の上向きの係合部86aを係合孔85に嵌め込んで当接状態の施錠端枠15を連結枠11に対して相対的に下方に移動させたときに、係合片86の係合部86aが係合孔85の上縁に係合するようになっている。なお、係合手段63は係合孔85を連結枠11に、係合片86を施錠端枠15に夫々設けてもよい。
【0037】
係合片86は係合部46に対して段違い状に屈曲する取り付け部86bを有し、その取り付け部86bが突部58間に嵌合して、連絡壁66の凹入溝67内の当て板88に螺合するネジ89により締結されている。係合孔85は各締結ユニット62の第1孔75を締結ネジ69の頭部70に対応させたときに、その係合部46が係合孔85内に収まるように、重なり部31,32及び保持枠34に上下方向の長孔状に形成されている。当て板88はリベット90により連絡壁66に固定されている。
【0038】
上記構成の伸縮門扉において、出入口1を閉じる場合には、扉体5を伸ばして施錠端枠15を施錠受け枠7に当接して施錠する。このとき各パンタグラフ機構8では、その前後一対の端部リンク部材21の先端部を連結枠11側の前後の枢軸22に連結し、その連結枠11に施錠端枠15を固定しているため、施錠端枠15をパンタグラフ機構8に対して所定の角度に保持できる。従って、施錠端枠15を施錠受け枠7に合わせて行けば、両者の対向端面を容易且つ確実に当接させることができる。そして、端部落とし棒装置17の落とし棒35を地面2側の落とし孔38に落とし込んで扉体5をロックする。なお、中間落とし棒装置16でも扉体5の中間部をロックする。
【0039】
端部落とし棒装置17は、次のように操作する。落とし棒35を上昇させた状態では、図9に示すように係合具44の係合部46が係合ピン42に係合することにより、落とし棒35は上昇位置に保持されている。
【0040】
落とし棒35を落とし孔38に落とし込む場合には、操作摘まみ36を把持して施錠端枠15に沿って下方へと押し下げる。すると係合部46の下側の案内部51が係合ピン42に対して摺動し、係合具44がバネ45に抗して支軸43廻りに離脱方向へと図10のa矢示方向に回動するため、係合部46が係合ピン42から離脱して下方へと通過する。従って、そのまま操作摘まみ36を下方へと操作して落とし棒35の下端部を地面2側の落とし孔38に落とし込めばよい。
【0041】
係合ピン42から離脱した係合具44は、そのストッパー47が落とし棒35の上端に当接した状態にある。そこで、落とし棒35を落とし孔38から抜いてロックを解除する場合には、操作摘まみ36を把持して保持枠34に沿って上昇させる。すると連結ピン55が案内孔53によって案内されるため、係合具44を所定の姿勢に維持したままで操作摘まみ36、落とし棒35が一体に上昇し、落とし棒35が落とし孔38から抜ける。
【0042】
操作摘まみ36を上昇位置の近傍まで上昇させると、係合部46の上側の案内部50が係合ピン42に対して摺動し、係合具44がバネ45に抗して支軸43廻りにa矢示方向に回動する。そして、係合部46が係合ピン42を通過すると、係合具44がバネ45により戻されて係合部46が係合ピン42に係合し、これによって落とし棒35、操作摘まみ36を上昇位置に保持することができる。
【0043】
従って、操作摘まみ36を保持枠34に沿って上下方向に直線的に操作することにより、保持手段37の係合ピン42と係合具44とを係脱操作することが可能であり、操作摘まみ36により落とし棒35を容易に操作することができる。また操作摘まみ36を上昇位置まで上昇させる限り、係合具44が係合ピン42に係合して落とし棒35を上昇位置に確実に保持できるため、従来のように上昇位置での係合不良等により落とし棒35が落下する等の惧れも生じない。
【0044】
保持手段37は、落とし棒35の上側で連結桟9,10に設けられた係合ピン42と、下部が落とし棒35内に挿入され且つ係合ピン42と略平行な支軸43により落とし棒35に係合ピン42に対して係脱方向に揺動自在に枢支された係合具44と、支軸43よりも下側で落とし棒35内に設けられ且つ係合具44を係合方向に付勢するバネ45とを備え、しかも係合具44は係合部46の上下両側に、落とし棒35の上下動時に係合具44を係合ピン42に対して係脱方向に案内する案内部50,51を有するため、簡単な構造で落とし棒35を上昇位置で係脱自在に確実に保持でき、また施錠端枠15の内部に落とし棒35と共に保持手段37をコンパクトに組み込むことができる。
【0045】
各パンタグラフ機構8の端部側では、中間部分を上下に連結する連結桟9,10とは異なり、枢軸22により端部リンク部材21を回動自在に枢支すると共に、枢軸22が上下両端に固定された連結枠11を介してパンタグラフ機構8の端部側を上下に連結しているので、その連結枠11を介して施錠端枠15を容易に結合できる。
【0046】
また連結枠11の上下両端に前後2本の枢軸22を固定しているが、端部リンク部材21の円筒部23の上下両側に連結板26,27を設けて前後の枢軸22を連結しているので、各枢軸22を連結枠11の上下に確実に固定でき、両枢軸22間の間隔が前後に広がってパンタグラフ機構8の伸縮動作に支障を来すようなことはない。
【0047】
連結枠11に施錠端枠15を固定する場合には、連結枠11側の上下二組の締結ユニット62の締結ネジ69を仮止めし、突部58と締結ネジ69の頭部70との間に、施錠端枠15の重なり部31,32の厚み以上の間隔をあけておく。
【0048】
次に連結枠11と施錠端枠15との側壁60,61同士を対向させ、各締結ユニット62において締結ネジ69の頭部70を取り付け孔77の第1孔75に、係合手段63において係合片86の係合部86aを係合孔85に夫々合わせて互いに嵌め込みながら、施錠端枠15の凹部内に連結枠11を嵌合させた後、連結枠11に対して施錠端枠15を下方へと相対的に摺動させて、取り付け孔77の第2孔76に締結ネジ69の軸部71を嵌合し係合させると共に、係合片86の係合部86aを係合孔85の上縁に係合させる。その後、施錠端枠15の操作孔79からドライバー等の工具を挿入して締結ネジ69を締め付けて、連結枠11と施錠端枠15とを当接状態で固定し、操作孔79に栓80を挿入する。
【0049】
このようにすれば、簡単な構造の締結ユニット62により施錠端枠15と連結枠11とを容易且つ確実に連結でき、しかも締結ユニット62が施錠端枠15、連結枠11から外部に露出することがないため、両者の連結部分での意匠性の低下を防止できる利点がある。また仮止め状態の締結ネジ69に取り付け孔77の第2孔76を係合した後、締結ネジ69を締め付けて両側壁60,61を締結するので、両側壁60,61が当接した状態で施錠端枠15と連結枠11とを固定でき、従来に比較して簡単な構造で剛強な固定が可能である。
【0050】
更に上側のパンタグラフ機構8の近傍に締結ユニット62が、下側のパンタグラフ機構8の近傍に係合手段63が夫々配置されると共に、枢軸22の軸保持部24に対する挿入部分に対応して締結ユニット62、係合手段63が位置しているため、連結枠11の上下両端側に枢軸22を介して各パンタグラフ機構8からの外力が連結枠11に作用するにも拘わらず、連結枠11を施錠端枠15に確実に固定できる。
【0051】
図14は本発明の第2の実施例を例示する。この実施例では、下側の締結ユニット62は、端部落とし棒装置17の上側近傍で連結枠11と施錠端枠15との間に設けられている。端部落とし棒装置17の上下方向の長さが比較的短く、下側のパンタグラフ機構8と下側の締結ユニット62とが上下方向に大きく開き過ぎない場合には、このように下側の締結ユニット62を端部落とし棒装置17の上側近傍に配置しても、連結枠11の下端部と施錠端枠15との間に隙間ができるようなことはない。従って、係合手段63は必ずしも必要ではない。連結枠11の内部に補強部材を設けて、下側の締結ユニット62を端部落とし棒装置17の上側近傍に配置することも可能である。
【0052】
図15〜図18は本発明の第3の実施例を例示する。この実施例では、端部落とし棒装置17は施錠端枠15の前後両側に設けられ、下側の締結ユニット62は連結枠11の下端部で下側のパンタグラフ機構8の上側近傍に設けられている。
【0053】
端部落とし棒装置17は、施錠端枠15に固定された上下一対の案内金具94と、この案内金具94によって上下方向に摺動自在に支持された落とし棒35とを備えている。落とし棒35には上端に操作摘まみ36部が、その下側近傍の外周に係合突部95が設けられている。各案内金具94は内部のU字状の取り付け金具93との間で施錠端枠15の前後の側壁84を挟んでネジ96により固定されている。操作摘まみ36は落とし棒35の上端に設けられている。
【0054】
上下の案内金具94には落とし棒35を摺動自在に案内する案内孔97が形成され、また上側の案内金具94には係合突部95が上下方向に通過する切り欠き部98が案内孔97に連通して形成されている。なお、案内金具94は側面視コ字状であり、これを覆うように箱状のカバー99が套嵌されネジで固定されている。
【0055】
この場合の端部落とし棒装置17は、次のように操作する。落とし棒35は上昇位置では係合突部95が案内金具94の上面に係止されている。落とし棒35によるロックに際しては、操作摘まみ36を把持し落とし棒35を若干持ち上げながら切り欠き部98側へと廻す。そして、係合突部95が切り欠き部98に一致した状態で落とし棒35を案内金具94に沿って下降させ、その下端部を地面2側の落とし孔38に落とし込む。
【0056】
このように端部落とし棒装置17が施錠端枠15の前後両側にあるか、端部落とし棒装置17を省略する等、施錠端枠15内に落とし棒35がない場合には、下側のパンタグラフ機構8に近接して連結枠11の下端部側に締結ユニット62を設けることも可能である。
【0057】
即ち、第1の実施例のように施錠端枠15内に端部落とし棒装置17がある場合には、連結枠11の下端部に締結ユニット62を設けても、その端部落とし棒装置17が邪魔になって締結ネジ69を操作することができないか、又は端部落とし棒装置17と締結ユニット62とを前後方向にずらして配置する必要がある。しかし、施錠端枠15内に落とし棒35がない場合には、締結ユニット62の締結ネジ69を容易に操作できるので、連結枠11の下端部側に締結ユニット62を設けることができる。
【0058】
図19、図20は本発明の第4の実施例を例示する。この実施例では、締結ユニット62の施錠端枠15の側壁61に締結ネジ69が、連結枠11の側壁60に取り付け孔77が夫々設けられている。取り付け孔77は上側(又は下側)に第1孔75が、その下側(又は上側)に第2孔76が設けられている。そして、連結枠11の側壁60と反対側に操作孔79と、これを塞ぐ栓80とが設けられている。このように締結ユニット62は、施錠端枠15の側壁61に締結ネジ69を、連結枠11の側壁60に取り付け孔77を夫々設けることも可能である。
【0059】
以上、本発明の実施例について詳述したが、この実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施例では、水平リンク式の伸縮門扉において、扉体5の上下のパンタグラフ機構8の端部間を上下に連結する連結枠11と施錠端枠15とを当接して固定する場合を例示したが、扉体5の吊り元側で上下のパンタグラフ機構8の端部間を上下に連結する連結枠11に吊り元側端枠を固定する場合にも同様に実施可能である。この場合には、一般に吊り元側端枠に落とし棒装置を設けないため、第3の実施例のように連結枠11の上下両端部に締結ユニット62を配置することもできる。
【0060】
水平リンク式の伸縮門扉の場合、その連結枠11はパンタグラフ機構8の端部リンク部材21を枢支できる構造であれば、施錠端枠15の上下方向の長さと略同一でも良い。
【0061】
締結ユニット62は直接的又は間接的に当接する二つの側壁60,61の内、その一方の側壁に締結ネジ69があり、他方の側壁に取り付け孔77があれば十分である。また取り付け孔77は下側に第1孔75を、上側に第2孔76を配置する他、上側に第1孔75を、下側に第2孔76を配置しても良い。
【0062】
係合手段63は直接的又は間接的に当接する二つの側壁60,61の内、その一方の側壁に係合孔85があり、他方の側壁に係合片86があれば十分である。また締結ユニット62のみの場合には、上下方向に離間した位置に複数個の締結ユニット62を配置することが望ましいが、締結ユニット62と係合手段63とを組み合わせる場合には、締結ユニット62と係合手段63は上下方向に離間した位置に少なくとも1個あればよい。
【0063】
締結ユニット62、係合手段63による固定構造は、水平リンク式の伸縮門扉の他、隣り合う縦枠を有し、その両縦枠の側壁を直接的又は間接的に当接して固定する箇所であれば、各種のエクステリア構造物の全般に採用可能である。勿論、その場合のエクステリア構造物は、フェンス等のように可動部分を有しないものでも良い。
【0064】
締結ユニット62は上下方向に締結の間隔をおいて複数個配置することが望ましい。例えば、両縦枠が上下方向に長い場合には、その縦枠(長さが異なる場合には短い方の縦枠)の上下両端部と中間部とに3個以上設けてもよいし、短い場合には上下両端部等、上下方向に所定の間隔をおいて適当箇所に2個設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施例を示し、(A)は伸縮門扉の平面図、(B)はその正面図、(C)はその側面図である。
【図2】(A)は同扉体の要部の拡大平面図、(B)はその正面図である。
【図3】同端部リンク部材の枢支部分の一部破断平面図である。
【図4】同端部リンク部材の枢支部分の正面断面図である。
【図5】同連結枠と施錠端枠との結合部の正面断面図である。
【図6】同連結枠と施錠端枠との結合部の側面断面図である。
【図7】同連結枠と施錠端枠との結合部の拡大平面断面図である。
【図8】図7のV−V線断面図である。
【図9】同端部落とし棒装置側の正面断面図である。
【図10】端部落とし棒装置の拡大正面断面図である。
【図11】端部落とし棒装置の拡大側面断面図である。
【図12】図10のW−W線断面図である。
【図13】図10のX−X線断面図である。
【図14】本発明の第2の実施例を示す正面断面図である。
【図15】本発明の第3の実施例を示す戸当たり側の正面図である。
【図16】施錠端枠下部の正面断面図である。
【図17】図16のY−Y線断面図である。
【図18】落とし棒案内部の側面断面図である。
【図19】本発明の第4の実施例を示す連結枠と施錠端枠との結合部の正面断面図である。
【図20】図19のZ−Z線断面図である。
【符号の説明】
【0066】
8 水平パンタグラフ機構
11 連結枠(縦枠)
15 施錠端枠(縦枠)
17 端部落とし棒装置
21 端部リンク部材
22 枢軸
34 保持枠
60,61 側壁
62 締結ユニット
63 係合手段
69 締結ネジ
70 頭部
71 軸部
75 第1孔
76 第2孔
85 係合孔
86 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の縦枠(11,15)を当接して固定したエクステリア構造物において、前記両縦枠(11,15)の相対向する側壁(60,61)の内、その一方の前記側壁(60,61)側に螺合され且つ頭部(70)が他方の前記側壁(60,61)側に突出する締結ネジ(69)を設け、他方の前記側壁(60,61)に、前記頭部(70)が通過可能な第1孔(75)と、前記頭部(70)が前記第1孔(75)を通過して前記締結ネジ(69)の軸部(71)が前記第1孔(75)に挿通した状態から前記両縦枠(11,15)を上下方向に相対的に移動させたときに前記軸部(71)が嵌合し且つ前記頭部(70)が通過不能な第2孔(76)とを設けたことを特徴とするエクステリア構造物。
【請求項2】
上下一対の水平パンタグラフ機構(8)の端部を上下に連結する連結枠(11)を備え、該連結枠(11)に端枠(15)を当接して固定した伸縮門扉において、前記連結枠(11)の上下方向に複数組の締結ユニット(62)を備え、該各締結ユニット(62)は前記連結枠(11)と前記端枠(15)との各側壁(60,61)の内、その一方の前記側壁(60,61)に螺合され且つ頭部(70)が他方の前記側壁(60,61)側に突出する締結ネジ(69)を設けると共に、他方の前記側壁(60,61)に、前記締結ネジ(69)の前記頭部(70)が通過可能な第1孔(75)と、前記頭部(70)が前記第1孔(75)を通過して前記締結ネジ(69)の軸部(71)が前記第1孔(75)に挿通した状態から前記連結枠(11)と前記端枠(15)とを上下方向に相対的に移動させたときに前記軸部(71)が嵌合し且つ前記頭部(70)が通過不能な第2孔(76)とを設けてなることを特徴とする伸縮門扉。
【請求項3】
前記連結枠(11)の上部側で上側の前記パンタグラフ機構(8)の近傍に前記締結ユニット(62)を設け、該締結ユニット(62)から下方に所定間隔離れて別の前記締結ユニット(62)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の伸縮門扉。
【請求項4】
前記連結枠(11)の下部側で下側の前記パンタグラフ機構(8)の近傍に、一方の前記側壁(60,61)に設けられた係合孔(85)と、他方の前記側壁(60,61)に設けられ且つ前記連結枠(11)と前記端枠(15)との前記相対的な移動時に前記係合孔(85)に係合する係合片(86)とを有する係合手段(63)を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の伸縮門扉。
【請求項5】
前記端枠(15)内の下部に保持枠(34)を介して落とし棒装置(17)を設け、該落とし棒装置(17)に対応して前記係合手段(63)を配置したことを特徴とする請求項4に記載の伸縮門扉。
【請求項6】
前記連結枠(11)の上下両側に、前記各パンタグラフ機構(8)の前後一対の端部リンク部材(21)の先端を枢支する枢軸(22)を固定したことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の伸縮門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−108478(P2009−108478A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278493(P2007−278493)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000230984)日本工機株式会社 (36)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】