説明

エクステリア用木材

【課題】浸透孔を規則的に穿設しながら厚み方向に荷重が加わっても破損し難く、確実に耐久性や機械的強度の向上が可能であると共に、高品質なデッキ材としても使用できるエクステリア用木材を提供する。
【解決手段】厚み方向に穿設された複数の浸透孔10を有し、樹脂が含浸されているエクステリア用木材1であって、浸透孔10は、幅方向に所定間隔毎に一列に並設され、各列L1が長さ方向に所定間隔毎に複数列並設されるように規則的に穿設されており、各列L1が、幅方向に平行な直線L0に対して所定の角度θで傾斜していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性や機械的強度などを高めるために、樹脂を含浸して圧縮されたエクステリア用の木材に関する。
【背景技術】
【0002】
エクステリア材は屋外に施工される構造物であり、外構材とも称される。当該エクステリア材は、日夜大きな気温、気象の変化に曝されるため、耐久性が問題になる。特に直射日光、昼夜の寒暖差、高湿、降雨、紫外線などは構造物の材質や装飾を変化させてしまう原因であり、こまめにメンテナンスをしないと簡単に劣化、変色、剥離などしてしまう。これらは意匠性の低下だけでなく、万が一の事故につながる危険性もある。
【0003】
このような背景から、近年ではエクステリア材としてセラミックや金属製の無機質製、又はプラスチック製のものが多用されつつある。しかし、これらの材料は木材のような暖かみや柔らかみが感じられず、且つ廃棄の場合も処理が困難であることが問題となる。したがって、本来的には、暖かみ等を有し且つ廃棄の問題も少ない木材をエクステリア材として使用することが望まれる。しかし、木材はセラミックや金属等と比べて機械的強度が低く、日光や風雨等の環境の他、シロアリや腐朽菌による劣化も生じ易い。また、防火性の問題もある。つまり、木材をそのままエクステリア材として使用しても、金属製等のエクステリア材に比べて耐候性、耐水性、防腐性、防虫性、耐光性などの耐久性や、寸法安定性及び難燃性不足が指摘される。
【0004】
そのうえ、例えばデッキ材など、人や重量物などの大きな荷重が作用し得るようなエクステリア材には、高い機械的強度も必要となる。そこで従来では、エクステリア材を木製とする場合、特にデッキ材では、機械的強度が比較的高い硬質木材が使用されていた。このような硬質木材としては、ウリン、イペ、ジャラ、ボンゴシなどの外国産の輸入木材が使用されている。しかし、輸入木材は現在枯渇や伐採制限により高騰しつつあり、廉価な国産木材への代替が望まれている。環境的な側面からも植林木の有効利用が望ましい。しかし、例えば日本における代表的な植林木であるスギ材は、軟質で強度が低く、耐腐朽性や耐候性等も十分とは言えず、そのままではデッキ材などのようなエクステリア材として代替が難しい。
【0005】
そこで、軟質なスギ材などに樹脂を含浸させて耐久性や機械的強度などを向上させた木材が特許文献1や特許文献2に提案されており、本願発明の発明者の1人も自らこのような技術を非特許文献1に公開している。特許文献1のエクステリア材は、特定のフェノール樹脂を含浸させた複数枚の単板を熱圧成形した木質材料とすることで、耐候性、耐水性などを向上させている。特許文献2では、各種木材に珪酸化合物を含浸させてゲル化すると共に、燃焼抑制剤やシランカップリング剤及び反応性樹脂化合物を含浸させることで、難燃性、寸法安定性、防腐性、防虫性、及び強度を向上させており、木材に対して珪酸化合物などを良好に浸透させるための浸透孔を穿設している。この浸透孔は、レーザー加工やドリル等の木工加工によって穿設でき、貫通孔でも非貫通孔でもよいとされている。また、浸透孔の穿設方向は、板目に対して交差し、かつ繊維方向に直交する厚み方向が好ましいとされ、縦横等間隔で規則正しく板目面全体に亘って複数個穿設されている。反応性樹脂化合物としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリルウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、レゾルシノール系樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0006】
さらに非特許文献1では、無垢材へ浸透孔を穿設したことによる生産性の向上を利用して、水溶性のフェノール樹脂を含浸させた穿孔木材を熱プレスした圧密木材としている。そして、樹脂による圧密木材の変形固定に着目して、浸透孔の穿設ピッチ及び個数が異なる2種類の木材を用意し、浸透孔の穿設ピッチ及び個数の相違による物性変化について検討している。各浸透孔は直径φ=1.3mmであり、板厚R=38mmのスギ心材に対して、木目に対して直角に裏面から表面に向けて深さ35mmで穿設してある。また、図7に示すように浸透孔10の穿設位置に規則性があり、幅方向(短手方向)と平行にそれぞれ10mm間隔と15mm間隔で一列に並べられ、且つ、各列が長さ方向(長手方向)に10mm間隔及び15mm間隔でそれぞれ並設されている。長さ方向に隣接する各列同士は、半ピッチずつズレている。ピッチ15mmの木材における浸透孔の穿設個数は49個/100cmであり、ピッチ10mmの木材における浸透孔の穿設個数は100個/100cmである。
【0007】
製造方法としては、液中圧縮法や減圧浸透法により樹脂を含浸させたものを、圧縮して余分な樹脂を搾り出したうえで乾燥してから、圧縮率50%にまで圧縮した状態で熱プレスすることでフェノール樹脂を硬化させ、圧縮率50%の改質木材を得ている。そして、それぞれの質量増加率から穿設個数が多いほど樹脂浸透率(樹脂含浸量)が高いこと、及び煮沸回復率から穿設個数が多いほど寸法安定性が高いことが確認できている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−168451号公報
【特許文献2】特開2006−346902号公報
【非特許文献1】2006年11月9〜10日開催の2006年度日本木材学会中部支部大会 講演要旨集 第16号、P58〜59、「穿孔加工が木材への樹脂注入量に及ぼす影響」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、単にフェノール樹脂を含浸させているのみなので樹脂含浸量が少なく、改質効果すなわち耐久性や機械的強度の向上に限界があり、圧縮する場合の寸法安定性も劣る。これに対し特許文献2や非特許文献1では、複数の浸透孔を穿設しているので、樹脂含浸量が向上する。しかも、各浸透孔は規則的に配設されているので、均一含浸も可能である。しかし、特許文献2では、シリカゲルを含浸させることを前提としているので、含浸させた後に圧縮しておらず、圧密化による機械的強度のさらなる向上は図られていない。これに対し非特許文献1では、樹脂含浸後に木材を圧密化しているので、生産性を向上しながら機械的強度もより向上できている。
【0010】
しかし、特許文献2や非特許文献1では、図7に示すように、幅方向に並設された浸透孔10の各列Lが、幅方向と平行となっている。これでは、各浸透孔の配設パターンが整然となり過ぎ、長さ方向における各浸透孔間の間隔も一定となるので、例えばデッキ材に上方から荷重が加わった場合など、エクステリア材の厚み方向に曲げ荷重が加わった場合、幅方向に並設された浸透孔の各列が切れ目のように働き、当該部分において木材が破損し易くなってしまう。また、非特許文献1では各浸透孔のピッチ(単位面積当たりの穿設個数)に着目しているのみであって、圧縮率や浸透孔の深さと直径との関係などの観点からの評価はしておらず、より確実に耐久性や機械的強度の向上を図るための条件が十分ではなかった。
【0011】
また、特許文献1、2や非特許文献1では、デッキ材として使用した場合については特に考慮されておらず、デッキ材に特有の問題点に対する改良や付加価値は成されていない。
【0012】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、浸透孔を規則的に穿設しながら厚み方向に荷重が加わっても破損し難く、確実に耐久性や機械的強度の向上が可能であると共に、高品質なデッキ材としても使用できるエクステリア用木材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、厚み方向に穿設された複数の浸透孔を有し、樹脂が含浸されているエクステリア用木材であって、前記浸透孔は、幅方向に所定間隔毎に一列に並設され、各列が長さ方向に所定間隔毎に複数列並設されるように規則的に穿設されており、前記各列が、幅方向に平行な直線に対して所定の角度で傾斜していることを特徴とする。
【0014】
前記樹脂が熱硬化性樹脂であって、原寸に対して所定量厚み方向に圧縮された状態、すなわち圧密化された状態で固定化されており、その際、樹脂を含浸させた圧縮前の密度(g/cm)と、圧縮前の厚みに対する圧縮後の厚みの寸法比(圧縮後寸法/圧縮前寸法)(以下、圧縮前後の厚み寸法比、又は単に厚み寸法比ということがある)との関係が、圧縮前の密度/厚み寸法比<1の関係を満たすようにする。
【0015】
前記浸透孔が裏面から表面に向けて穿設された非貫通孔である場合において、浸透孔の深さを5mm以下とする場合は、浸透孔の直径を0.7mm以上2.0mm以下とし、浸透孔の深さを5mmを超え15mm以下とする場合は、浸透孔の直径を1.0mm以上2.0mm以下とし、浸透孔の深さを15mmを超え35mm以下とするの場合は、浸透孔の直径を1.3mm以上2.0mm以下とし、浸透孔の深さを35mmを超え45mm以下とする場合は、浸透孔の直径を1.5mm以上2.0mm以下とする。一方、前記浸透孔が表面から裏面にかけて貫通する貫通孔である場合は、該浸透孔の直径を4mm以上5mm以下とする。このようなエクステリア材は、種々の構造物として使用できるが、中でもデッキ材として使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、幅方向に延びる各列が、幅方向と平行な直線に対して所定の角度で傾斜しているので、各浸透孔は一定の規則性を有しながらも整然となり過ぎることがなく、厚み方向に大きな荷重が作用した場合でも、明確な破断線と得る幅方向と平行な直線が形成されないので、破損の可能性を低減できる。
【0017】
樹脂を含浸させた圧縮前の密度と圧縮前後の厚み寸法比すなわち圧縮率との関係が所定の条件を満たすように設定してあれば、木材に割れなどの欠損が生じることを避けられる。また、浸透孔の深さに応じてその直径を適切に設定してあれば、割れなどの欠損が生じることをより避けられる。浸透孔が直径4〜5mmの貫通孔となっていれば、例えばデッキ材のように水平に施工した場合に、降雨、散水、露などによって表面に水分が溜まっても、貫通孔を通して排水できる。すなわち、浸透孔を排水孔としても兼用できる。これにより、施工後の乾燥時間も短縮されるので、腐朽抑制による長寿命化や転倒防止に寄与する。
【0018】
このようなエクステリア用木材をデッキ材として使用すれば、上記全ての効果をデッキ材に特有の問題や物性等に対応した効果として最大限利用でき、品質の高いデッキ材とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1に、木材1の裏面斜視図を示す。図2は、浸透孔10の配設パターンである。図1及び図2に示すように、本発明は、エクステリア材(外構材)用として使用される木材1に、複数の浸透孔10が穿設されており、熱可塑性樹脂を含浸させたうえで熱プレスして圧密化されている。なお、図1には浸透孔10の一部のみを図示している。
【0020】
木材としては特に限定されることなく、種々の樹種を使用できる。具体的には、アガチス、アサメラ、アスペン、アニグレ、アピトン、アフリカパドウク、アフリカンマホガニー、アフロルモシア、アボジラ、アムーラ、アルトガルプス、アルダー、アルモン、アンベロイ、イエローシダー、レッドシダー、ペンシルシダー、イエローステルキュリア、イエローポプラ、イゲム、イペ、イロコ、インチア、インチュレ、ウイロー、ウエンジ、ウオールナット、ウリン、エボジア、エボニー、エルム、エヨン、オクメ、オバンコル、オフン、オベチュ、カイン、カナリューム、カプール、カメレレ、ガラムート、カランタス、ガム、花梨、カロフィルム、キレット、杉、ヌマ杉、雲杉、レバノン杉、南洋杉、台湾杉、米杉、グランドファー、クリンキーバイン、クルイン、ゲロンガン、ケンパス、コーディア、ゴールデンエルム、黒檀、コットンウッド、コテイペ、グムノキ、ササフラス、サテンジャラ、シカモア、サペリ、ジェルトン、シカモア、シタン、シロカスプルス、シュリアンバツ、ジョンコン、シルキーオーク、シルバーハート、シロタガヤ、スコッチバイン、スロアネラ、スプルース、セセンドック、セプター、ゼブラウッド、セペチール、セランガンカチャ、セランガンバツ、セルチス、センゴンゴンラウト、センゴンラウト、ソノケリン、ソフトメープル、ダークレッドメランチ、ターミリア、ダイゾックス、台湾檜、タウン、ターミナリア、鉄刀木、ダグラスファー、ダフリカ、ダンタ、チーク、チェリー、チトラ、チャンバカ、中国ナラ、チューリップウッド、チンウィン、テレンタン、チュレ、ナーラ、チーク、南洋桐、ニヤトーウォール、バスウッド、ローズウッド、ノーブルファー、バーケラ、ハードメープル、バーチ、バーブルハート、バーリニア、バオロッサ、ハカランダ、バクチカン、ハックベリー、パドウク、パラゴム、パリサンダー、バイキライ、ビーカン、ビーチ、ビテックス、ヒッコリー、ビヌアン、ピメロデンドロン、ビンタンゴール、フーブパイン、ファルカタ、フィリピンマホガニー、ブビンガ、プライ、ブラックチェリー、ブランチョネラ、米檜、米栂、米ヒバ、米樅、紅桧、ヘムロック、ペルポック、エゾ松、カラ松、トド松、アカ松、クロ松、琉球松、朝鮮松、カリビア松、ラジアタ松、紅松、ポドカルプス、ポプラ、ホワイトアッシュ、ホワイトオーク、ホワイトシリス、ホワイトセラヤ、ホワイトファー、ホワイトメランチ、ボンゴシ、マコレ、マホガニー、マラス、マヤビス、マンガシロノ、マンソニア、ミルキーバイン、ミレンシア、マンソニア、メープル、メラピ、メルサワ、メルボウ、モアビ、モラベ、モレイラ、モンキーポッド、タブラ、ラミン、ラング、リンデン、レッドウッド、レッドオーク、レッドガム、レッソメランチ、ローソンサイプレス、ヤン、ワワなどを挙げることができる。
【0021】
本発明では、詳しくは後述するが、樹脂を含浸させたうえで圧密化していることで強度が向上する。したがって、例えばウリン、イペ、ジャラ、ボンゴシ、セランガン、バツなどの硬質木材よりも、例えばダグラスファー(米松)、レッドウッド(欧州赤松)、カラマツ、アカ松などの松類、米ヒバ、米栂、ヒノキ、及び杉類のような軟質木材を使用した方がより効果が大きく好ましい。一般的に、針葉樹は広葉樹よりも軟質である。軟質木材の中でも、環境などの面から輸入木材よりも例えばスギ、アカ松、ヒノキなどの国産木材が好ましい。さらに、軟質な国産木材の中でも、植林木の有効利用の観点からスギが好ましい。
【0022】
本発明の木材は、屋外においてインテリアのように装飾性、機能性、娯楽性の意味合いが大きいエクステリア材として使用される。その形態は、集成材や、LVL(単板積層材)、合板などの木質材料でも構わないが、一本の原木から角材や板材として直接必要な寸法に切り出した無垢材が好ましい。本来的に樹脂が含浸し難い木材に対して樹脂含浸性能を向上させることを目的としているからである。木材の表面に現れる木目は、柾目でも板目でも構わないが、板目が現れるように切り出して(板取りして)おくことが好ましい。柾目は、板目と比べて収縮や変形が少なく強度が高い点で有利であるが、高価である。そのうえ、本発明では浸透孔を中心に樹脂を含浸させるので、浸透孔を厚み方向に穿設した場合、浸透孔が木目と平行になるので、夏目と冬目とに亘って均等に含浸し難くなる。板目であれば低コストであると共に、本発明の効果を最大限利用できる。木目が板目の場合、浸透孔は木目に対して交差する方向となり、木目が柾目の場合は、浸透孔は木目に対して略平行となる。エクステリア材としては、デッキ、テラス、ロッキングチェア、テーブル、門扉、車庫、カーポート、塀、柵、及び垣根などがある。これらの中でも、耐久性に加えて高い強度が必要となる、図3に示すようなデッキ材100として使用することが好ましい。
【0023】
含浸させる樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、アミノ樹脂、グリオキザール樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリルウレタン系樹脂、及びレゾルシノール系樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。また、植物由来のリグリンを使用することもできる。中でも、良好な寸法安定性を得られるフェノール樹脂、アミノ樹脂、グリオキザール樹脂が好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。なお、必要に応じて適宜硬化剤も含浸させておく。さらにれらの中でも、低分子水溶性フェノール樹脂が好ましい。低分子のフェノール樹脂であれば浸透性が良く、細胞壁内へも良好に浸透していく。その分子量としては、150〜300程度、好ましくは180〜250程度である。フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類の反応により得られる樹脂であり、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール等のアルキルフェノール、石炭系および石油系フェノール類、カシューナット殻液、レゾルシン、ビスフェノール類等を挙げることができる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、環状ホルマール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、高級アルデヒド等を例示できる。フェノール樹脂として、上記の組合せの中でも、フェノールとホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂が好ましく用いられる。
【0024】
図2に示すように、浸透孔は木材の平面方向に亘って全体的に穿設する。樹脂含浸量の偏在を避けるためである。穿設方向は、図1に示すように、厚み方向へ穿設する。これにより、浸透孔は木材の繊維方向とも直交する。浸透孔は、厚み方向であれば傾斜していても構わないが、好ましくは垂直に穿設する。浸透孔が傾斜していると、木材を厚み方向に圧縮した際に、横ひずみによって破損し易くなる。浸透孔を非貫通孔とする場合は、意匠性を考慮して裏面から表面に向けて穿設する。浸透孔が裏面から表面に向けて穿設された非貫通孔であれば、表面に孔が存在しないので意匠性が良い。非貫通孔とする場合は、できるだけ深く穿設することが好ましい。具体的には、木材の厚みに対する浸透孔の深さが、少なくとも50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。木材の厚みに対する浸透孔の深さが50%未満では、表層部分における樹脂含浸量が少なくなってしまう。木材の厚みに対する浸透孔の深さが90%以上あれば、厚み方向において樹脂含浸量が少ない部分は殆ど生じない。
【0025】
浸透孔の穿設個数は、単位面積(100cm)当たり少なくとも40個以上とする。浸透孔の穿設個数が40個/100cm未満では、樹脂含浸量が少なくなって耐久性の向上などの改質効果を十分に得られず、圧縮した際の寸法安定性も悪化する。樹脂含浸量は、浸透孔の穿設個数に比例して増大するので、浸透孔の穿設個数は多いほど好ましいが、あまりに多いと逆に強度が低下してしまうので、浸透孔の直径にもよるが、浸透孔の穿設個数の上限は200個/100cm程度とする。好ましくは、50〜150個/100cm程度である。浸透孔の穿設個数が50個/100cm以上であれば、木材を良好に改質でき、樹種によっては飽和含浸量に近い量の樹脂を含浸させることもできる。樹脂含浸量が多い程、耐候性、耐水性、防腐性、防虫性、耐光性などの耐久性や、寸法安定性、難燃性、及び機械的強度の向上効果も大きくなる。スギ材を使用する場合は、50〜70個/100cm程度が最も好ましい。スギ材では、浸透孔の穿設個数が70個/100cm程度で樹脂含浸量が飽和するからである。浸透孔は、ドリル加工により穿設してもよいし、例えば炭酸ガスレーザーなどのレーザー加工によって穿設してもよい。
【0026】
浸透孔の穿設パターンは、図2に示すように、幅方向に所定間隔(横ピッチ)毎に一列に並設し、かつ各列が長さ方向に所定間隔(縦ピッチ)毎に複数列並設されるように規則的に穿設する。樹脂を全体的に均一に含浸させるためである。このとき重要なのが、幅方向に平行な直線Lに対して各列L1を所定の角度θで傾斜させておく。これにより、長さ方向における各浸透孔間の距離が不規則となり、厚み方向に大きな荷重が作用した場合でも破損し難くなる。各列Lの傾斜角度θは特に限定されないが、幅方向に平行な直線Lに対して0°を超え45°以下とすることが好ましい。傾斜角度θが45°を超えても大きな問題は無いが、逆方向からみた傾斜角度が結局45°以下となり得るからである。図1で言えば、幅方向に平行な直線Lに対する各列Lの傾斜角度θを左上がりの角度で見ているが、同時に右上がりの列Lも存在することになり、このときのLの傾斜角度は45°を超えている。より好ましくは、幅方向に平行な直線Lに対する各列Lの傾斜角度θが5°〜30°であり、さらに好ましくは10°〜20°である。なお、長さ方向に隣接する各列同士における浸透孔の幅方向穿設位置は、互いに半ピッチ分ずつすらしてある。横ピッチP(幅方向における浸透孔間距離)、縦ピッチP(各列間距離)、及びズレ寸法Q(幅方向に隣接する浸透孔間の長さ方向距離)は特に制限されず、浸透孔の穿設個数及び各列Lの傾斜角度θが上記条件を満たす範囲で、かつ各浸透孔間の長さ方向距離が均一とならないように、適宜設定すればよい。横ピッチPと縦ピッチPとは同じであっても良いし、異ならせてあっても良い。好ましくはP=Pとする。
【0027】
ここで、浸透孔を穿設する際に重要な要素として、浸透孔の深さと直径との関係である。具体的には、浸透孔の深さが5mm以下の場合は、該浸透孔の直径を0.7mm以上2.0mm以下とする。浸透孔の深さが5mmを超え15mm以下の場合は、該浸透孔の直径を1.0mm以上2.0mm以下とする。浸透孔の深さが15mmを超え35mm以下の場合は、該浸透孔の直径を1.3mm以上2.0mm以下とする。浸透孔の深さが35mmを超え45mm以下の場合は、該浸透孔の直径を1.5mm以上2.0mm以下とする。浸透孔の深さが45mmを超える場合は、該浸透孔の直径を2.0mmより大きくする。浸透孔の深さに対してその直径が上記条件より小さいと、圧縮した際に浸透孔周辺に欠損が生じることがあるからである。逆に、浸透孔の深さに対してその直径が上記条件より大きいと、木材に対する浸透孔全体の空間率が高くなって強度が低下し、破損し易くなる。また、浸透孔を貫通孔とする場合は、浸透孔の直径を4.0mm以上5.0mm以下とする。貫通孔とした場合に浸透孔の直径が4.0mm未満であれば、樹脂含浸によって貫通孔が閉塞されてしまい、排水機能が阻害されるか失われるからである。一方、貫通孔とした場合に浸透孔の直径が5.0mmを越えると、排水機能の面では有利だが、強度が大きく低下してしまう。
【0028】
本発明では、浸透孔が穿設された木材に樹脂を含浸させるのみでよいが、さらに、その他の添加剤も含浸させておくことで、付加価値を付与して高品質な木材を得ることができる。具体的には、樹脂と共に又は樹脂含浸前に防腐・防蟻剤や着色剤を含浸させることができる。防腐・防蟻剤とは、防腐効果と防蟻効果とを兼ね備えた薬剤であり、水系のものが好ましい。防腐・防蟻剤をも含浸させることで、樹脂含浸による防腐性、防蟻性の向上に加えて、さらに防腐性、防蟻性が向上する。水系の防腐・防蟻剤としては、フェノール類・無機フッ化物系、アルキルアンモニウム化合物系、銅・アゾール化合物系等の有機系や、ポリデン塩、グリン塩等の無機定着型、硼砂等の硼素系が例示できる。また、例えばトリアゾール系、ピレスロイド系等の油性の防腐・防蟻剤でもエマルション化することで水系として使用可能であり、これらに限定されるものではない。上記水系の防腐・防蟻剤の固形分含有量が、樹脂含浸前の木材重量に対して0.5〜10重量%となるように含浸させることが好ましい。防腐・防蟻剤の固形分含有量が樹脂含浸前の木材重量に対して0.5重量%未満では、当該防腐・防蟻剤を含浸させる効果が良好に発現し難い。一方、防腐・防蟻剤の固形分含有量が樹脂含浸前の木材重量に対して10重量%を越えても、基本的には樹脂を含浸させることである程度防腐・防蟻性が向上しているので、含浸量に対する防腐・防蟻性の向上率が低くなり、コストの無駄となる。
【0029】
染料や顔料は、求められる木材の色彩に応じて適宜選択的に含浸させればよい。また、樹脂としてフェノール樹脂を含浸させる場合、該フェノール樹脂を含浸させる前に、フェノール樹脂との反応により発色する金属塩溶液を含浸させることもできる。フェノール樹脂との反応により発色する金属塩としては、芳香族カルボン酸やリン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。金属塩の含浸量は、発色性と樹脂含浸の阻害性とを考慮しながら、適宜設定すればよい。その目安としては、金属塩の固形分含有量が、樹脂含浸前の木材重量に対して0.5〜10重量%程度である。0.5重量%未満では、発色が殆ど確認されない。一方、10重量%を越えると、先に含浸される金属塩の含浸量が多くなって、その後に含浸させるフェノール樹脂の含浸量が低減してしまう。これらの着色剤を含浸させておけば、木材を任意の色に着色でき、品質を向上できる。
【0030】
特に、本発明のエクステリア材をデッキ材として使用する場合は、図4に示すように、木材表面に凹凸20を形成しておくことが好ましい。降雨や散水などによってデッキ材表面に水分が付与されても、木材表面の凹凸が滑り止めとして機能する。凹凸の形状は、滑り止め機能を発揮し得る形状であれば特に限定されず、前後又は左右両端に亘る直線状又は波状の帯(突条)としたり、スポット的に突出又は陥没する山又は凹みとしたり、表面全体に亘って多数連続する山谷としたりできる。中でも、前後(長さ方向)又は左右(幅方向)両端に亘って形成された帯状の凹凸とすることが好ましい。これによれば、木材の側面から凹部に溜まった水分を排水できる。このとき、各浸透孔は表裏両面に開口する貫通孔11とすることが好ましい。浸透孔を貫通孔11とすることで、当該貫通孔11からも水分を裏面側へ排水できる。
【0031】
次に、エクステリア材の代表的な製造方法について説明する。所定寸法に板取りした無垢材に対し、板目及び繊維方向と直交するように所定寸法及び個数の浸透孔を上記配設条件にて厚み方向に穿設したうえで、樹脂を含浸させる。樹脂を含浸させる前に、水分率が8%以下となる程度にまで乾燥させておくことが好ましい。必要に応じて乾燥させた後、公知の方法にて樹脂を含浸させる。含浸させる樹脂は、水又は有機溶媒に溶融させた溶液状が好ましいが、水に分散させた分散液でもよい。含浸方法は、木材を樹脂溶液に浸漬した状態で、減圧又は圧縮した状態としてから常圧(大気圧)含浸させる方法、加圧状態で含浸させる方法、又はこれらの組み合わせにより行える。好ましくは、減圧又は圧縮した状態としてから、加圧状態で含浸させる。
【0032】
減圧する場合は真空容器内で行う。圧縮はプレス機によって行い、浸透孔の穿設方向即ち厚み方向に圧縮する。減圧又は圧縮することで、木材中の空気や水分が排出除去されるので、その後常圧又は加圧状態とすることで、樹脂が木材の導管や細胞壁内部にまで浸透しやすくなる。常圧又は減圧状態から加圧状態で含浸させる場合は、気体を反応容器内に注入して加圧したり、加熱により加圧したり、両者の組み合わせでもよい。加圧することで、木材の導管や細胞壁の内部にまで強制的に樹脂を含浸させることができる。加圧条件としては、0.4〜2.2MPa程度、好ましくは0.5〜1.5MPa程度とすればよい。軟質木材であれば比較的低圧でも良好に含浸させられるが、硬質木材の場合は比較的高圧とする。木材を樹脂溶液に浸漬すると、樹脂溶液は、主として各浸透孔の内周面から浸透孔を中心に繊維方向に沿って所定の範囲で含浸していく。
【0033】
樹脂を十分に含浸できたところで、熱プレスする前に、余分な液体を除去しておく。余分な液体には、水や有機溶媒のほか、液状の樹脂も含まれる。後の熱圧工程においてガスの発生量を低減するためである。余分な液体の除去は乾燥することで行えるが、乾燥する前に木材をプレス機により圧縮することが好ましい。木材を圧縮することで、余分な液体を強制的に搾り出すことができる。ここでの圧縮はあくまで余分な液体の除去が目的なので、圧縮量は比較的小さくてよく、後の熱圧工程と同等若しくはそれより小さくしておく。あまり圧縮量が大きいと、せっかく良好に含浸させた樹脂が必要以上に搾り出されるからである。圧縮によってある程度余分な液体を強制除去できたところで、確実に水分や有機溶媒を除去するために、乾燥する。乾燥は、常温乾燥でも加熱乾燥でもよい。乾燥時間を短縮化できる点で、加熱乾燥が好ましい。その際の加熱温度は、少なくとも常温(室温)以上熱硬化樹脂の硬化温度未満とする。例えば、30〜70℃程度が好ましい。
【0034】
樹脂を含浸させた木材を十分に乾燥できたら、次いで熱プレスにより木材組織を厚み方向に圧密化する。木材を圧密化することで密度が上がり、強度がさらに向上する。このとき重要なのが、圧縮率である。具体的には、樹脂を含浸させた圧縮前の密度(g/cm)と、圧縮前の厚みに対する圧縮後の厚みの寸法比(圧縮後寸法/圧縮前寸法)との関係が、次式
圧縮前の密度/厚み寸法比<1・・・・(1)
の関係を満たすように設定する。式(1)で表される関係が1より大きくなると、圧密化の際に木材が破損するおそれがあるからである。例えば、樹脂を含浸させた圧縮前の木材の密度が0.3g/cmであれば、圧縮前後の厚み寸法比(圧縮後寸法/圧縮前寸法)を0.3より大きくする。換言すれば、圧縮率((圧縮前寸法−圧縮後寸法)/圧縮前寸法)×100を70%より小さくする。同様に、樹脂を含浸させた圧縮前の木材の密度が0.5g/cmであれば、厚み寸法比を0.5より大きく(圧縮率を50%より小さく)する。上記圧縮条件において圧縮した状態で加熱(熱プレス)して熱硬化性樹脂を硬化させることで、木材を当該寸法にて固定化する。このときの加熱温度は、少なくとも熱硬化性樹脂の硬化温度以上とする。具体的には、130℃程度以上とすればよい。
【0035】
なお、この木材をデッキ材用として使用するために表面に凹凸を設ける場合は、表面に凹凸のある金型により熱プレスするだけでよい。当該表面に凹凸を有する金型で熱プレスすることで、金型の凹凸が良好に木材表面に転写される。また、含浸工程、乾燥工程、圧密化工程などにおいて木材をプレスする場合、金型と木材との間にガスや液体の流路を確保するために、金属メッシュ等を介在させることが好ましい。金属メッシュは、木材の表裏両面に介在させても良いし、片面のみに介在させてもよい。片面のみに介在させる場合は、浸透孔の開口を有する裏面に介在させることが好ましい。
【0036】
(実施例)
<穿設個数と含浸量との関係>
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。まず、浸透孔の穿設個数と含浸量との関係について評価した。無欠点のスギ心材(長さ500mm、厚み38mm、幅100mm)の気乾材を用いて、穿設個数がそれぞれ異なる6種類の木材1〜6を用意した。木材1〜6の浸透孔は、全て裏面からドリルによって深さ35mm(厚みに対して約92%の深さ)、直径1.3mmの非貫通孔として穿設した。各木材における浸透孔の配設条件を表1に示す。なお、表1中の各英字符号は、図2を参照。
【0037】
【表1】

【0038】
樹脂は、水溶性フェノール樹脂(アイカ工業社製 PX−341)を蒸発残分20%まで水で希釈した。そして、各木材を含浸槽内で30分減圧した後、十分量の樹脂水溶液を注入して浸漬し、大気圧に解放して1時間溶液中に保持してから取り出した。樹脂を含浸させた後の木材重量から樹脂含浸前の重量を引いた値を体積で割って、含浸率(kg/m)を求めた。その結果を図5に示す。
【0039】
図5の結果から、浸透孔が多い程、樹脂含浸率すなわち含浸量が多くなることがわかる。浸透孔の穿設個数が70個/100cmと100個/100cmとでは、樹脂含浸率の差が殆ど無いことから、スギ材の場合、浸透孔の穿設個数が70個/100cm程度で樹脂の含浸量が飽和することがわかった。これにより、スギ材の場合は浸透孔の穿設個数が50〜70個/100cmが好ましいことがわかった。
【0040】
<強度試験>
次に、浸透孔の配設パターンの相違による強度変化について検討した。強度試験には、浸透孔の穿設個数が好ましい範囲にある50個/100cmの木材4と、70個/100cmの木材6とを使用した。上記のように樹脂を含浸させた木材4及び木材6を、平板プレスにて圧縮率50%で圧縮して余分な液体を搾り出した後、50℃の恒温乾燥機中で20時間乾燥させた。次いで、140℃で圧縮率50%に1時間保持してフェノール樹脂を硬化させて木材の寸法固定した。また、浸透孔の穿設個数が50個/100cmの比較例1と、70個/100cmの比較例2も作製した。比較例1及び比較例2における幅方向に並設された浸透孔の各列Lは、図4に示すように幅方向と平行とした。製造条件は木材4及び木材6と同様である。
【0041】
木材4、木材6、比較例1、比較例2を、JIS Z2101「木材の試験方法」に規定されている曲げ試験方法に基づいて、浸透孔の開口を有する裏面を引張面とした中央集中負荷により、曲げ応力(曲げ強度)を測定した。その結果を図6に示す。
【0042】
図6の結果から、浸透孔の穿設個数が多いほど曲げ応力(曲げ強度)が高かった。これは、浸透孔の穿設個数が多いほど樹脂含浸量が多くなることに基づいている。そのうえで、各木材と各比較例とを対比すると、各列Lを傾斜させた木材の方が、各列Lが幅方向に平行となっている比較例より曲げ強度が高くなっていた。これにより、同じ浸透孔の穿設個数でも、幅方向の各列Lを傾斜させることで強度が高くなることがわかった。
【0043】
<浸透孔の深さと直径の関係>
次に、浸透孔の深さと直径との関係について検討した。上記と同じ木材に対して、深さ5mm、15mm、35mm、45mmの非貫通孔、及び貫通孔をそれぞれ穿設し、各深さの浸透孔の直径を段階的に変化させたときに、上記と同じ条件で樹脂を含浸し圧密化処理をしたときの木材の状態を目視にて観察した。そのときの穿設深さと直径条件、及び観察結果を表2に示す。なお、各状態判定の基準は次の通りである。
○:特に欠損は生じていない、貫通孔の場合は浸透孔が閉塞されていない
×:欠損が生じている、貫通孔の場合は浸透孔が閉塞している
【0044】
【表2】

【0045】
表2の結果から、いずれの穿設深さにおいても、その直径が大きい方が圧密化処理後の木材状態が良好となる傾向にあることがわかった。また、穿設深さが深くなるに伴い、直径の下限が大きくなる傾向にあることもわかった。これらの傾向から、浸透孔の深さが5mm以下の場合は浸透孔の直径を0.7mm以上、浸透孔の深さが5mmを超え15mm以下の場合は浸透孔の直径を1.0mm以上、浸透孔の深さが15mmを超え35mm以下の場合は浸透孔の直径を1.3mm以上、浸透孔の深さが35mmを超え45mm以下の場合は浸透孔の直径を1.5mm以上、貫通孔の場合は浸透孔の直径を4mm以上、にそれぞれすることが好ましいことがわかった。一方、浸透孔の直径が大きすぎても木材の強度が低下してしまうので、非貫通孔の場合はその直径の上限は2.0mm程度が好ましく、貫通孔の場合は5.0mm程度が好ましい。
【0046】
<密度と圧縮率との関係>
次に、圧密化処理の際の密度と圧縮率との関係について検討した。上記木材4に対して、樹脂含浸量を異ならせて圧密化処理前(圧縮前)の密度が表3に示す値のときに、圧縮前の厚みに対する圧縮後の厚みの寸法比、すなわち圧縮率を段階的に変化させた状態で固定化したときの木材の状態を目視にて観察した。樹脂を含浸させた圧縮前の密度、圧縮前後の厚み寸法比(圧縮後寸法/圧縮前寸法)、圧縮率((圧縮前寸法−圧縮後寸法)/圧縮前寸法)×100、及び観察結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
表3の結果から、樹脂を含浸させた圧縮前の密度と圧縮前後の厚み寸法比との関係(圧縮前の密度/厚み寸法比)が、1未満となることが好ましいことがわかった。これにより、樹脂を含浸させた圧縮前の密度と圧縮前の厚みに対する圧縮後の厚みの寸法比との関係が、圧縮前の密度/厚み寸法比<1を満たすように設定することが好ましいことが導き出せた。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】エクステリア用木材の裏面斜視図である。
【図2】浸透孔の穿設位置パターンを示す概念図である。
【図3】デッキ材の外観図である。
【図4】デッキ材として使用する場合に好適な形態の断面図である。
【図5】浸透孔の穿設個数と含浸量との関係を示すグラフである。
【図6】浸透孔の穿設個数及びパターンと曲げ応力との関係を示す棒グラフである。
【図7】従来の浸透孔の穿設位置パターンを示す概念図である。
【符号の説明】
【0050】
1 木材
10 浸透孔(非貫通孔)
11 浸透孔(貫通孔)
20 凹凸
L 幅方向に並設された浸透孔の列
幅方向と平行な基準線
傾斜して幅方向に並設された浸透孔の列
θ Lに対するLの傾斜角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に穿設された複数の浸透孔を有し、樹脂が含浸されているエクステリア用木材であって、
前記浸透孔は、幅方向に所定間隔毎に一列に並設され、各列が長さ方向に所定間隔毎に複数列並設されるように規則的に穿設されており、
前記各列が、幅方向に平行な直線に対して所定の角度で傾斜していることを特徴とするエクステリア用木材。
【請求項2】
前記樹脂が熱硬化性樹脂であって、
原寸に対して所定量厚み方向に圧縮された状態で固定化されており、
樹脂を含浸させた圧縮前の密度(g/cm3)と、圧縮前の厚みに対する圧縮後の厚みの寸法比(圧縮後寸法/圧縮前寸法)との関係が、次式
圧縮前の密度/厚み寸法比<1
の関係を満たす、請求項1に記載のエクステリア用木材。
【請求項3】
前記浸透孔が、裏面から表面に向けて穿設された非貫通孔であり、
浸透孔の深さが5mm以下の場合は、浸透孔の直径が0.7mm以上2.0mm以下であり、
浸透孔の深さが5mmを超え15mm以下の場合は、浸透孔の直径が1.0mm以上2.0mm以下であり、
浸透孔の深さが15mmを超え35mm以下の場合は、浸透孔の直径が1.3mm以上2.0mm以下であり、
浸透孔の深さが35mmを超え45mm以下の場合は、浸透孔の直径が1.5mm以上2.0mm以下である、請求項1または請求項2に記載のエクステリア用木材。
【請求項4】
前記浸透孔が、表面から裏面にかけて貫通する貫通孔であり、
該浸透孔の直径が4mm以上5mm以下である、請求項1または請求項2に記載のエクステリア用木材。
【請求項5】
デッキ材として使用される、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のエクステリア用木材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−220279(P2009−220279A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63941(P2008−63941)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省、地域資源活用型研究開発事業(穿孔圧密・樹脂複合技術による県産スギ材の高度利用プロセス開発)委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390015358)大日本木材防腐株式会社 (10)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】