説明

エスカレータのステップ間挟み込み防止装置

【課題】エスカレータにおいて各ステップが階段状から平面状に移行するときにステップ間への異物挟み込みを効果的に抑制する。
【解決手段】多数のステップが連なって階段状に移動するとともに乗降口近傍では各ステップの踏板が平面状になるエスカレータのステップ間挟み込み防止装置は、ステップ26の踏板32において隣接するステップ26のライザ面34の近傍に設けられた凹部46内に、上下移動可能に収容されたせり上がり段部50と、せり上がり段部50に対向するライザ面34の下部に固定され、ステップ26が階段状になるときにせり上がり段部50を押し上げるカム54と、ステップ26が階段状から平面状に移行するときにせり上がり段部50の上面が踏板32と面一になる位置までせり上がり段部50を凹部内に引き戻すコイルバネ52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータのステップ間挟み込み防止装置に係り、特に、エスカレータのステップが階段状から平面状へと段差が縮小するときにステップ間に異物が挟み込まれるのを防止する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数階床を有する商業施設等において、利用者が階床間を移動するための昇降機としてエスカレータが設置されている。エスカレータでは、多数のステップが連なって周回移動しており、乗降口近傍では各ステップの上面すなわち踏板が互いに面一となって平面状になり、一方、傾斜して移動するときには各ステップが階段状となって移動する。
【0003】
上記のようにエスカレータの各ステップが階段状から平面状へと移行するときに、ステップ間に例えばゴム靴等の異物が挟みことがある。この場合、各ステップに設けたセンサでステップの異常振動等が検出され、これによりエスカレータが緊急停止してしまうことがあった。
【0004】
具体的に図6(A)を参照して説明すると、各ステップ26は、乗客が載る踏板32と、踏板32の奥行き方向の端部下方に連結されるライザ34とを有する。ライザ34は一般に、緩やかに湾曲した曲面状に形成されている。
【0005】
ステップ26が階段状になって矢印A方向すなわち斜め上方へ移動するとき、横方向から見て、ライザ34の上端から降ろした鉛直方向線36とライザ34の表面との間に略三角状に入り込んだ空間38ができる。そのため、この空間38に乗客が履いているゴム靴等の柔らかい素材の靴90が位置していると、乗降口に近づいて各ステップ26が平面状になるように移動するときにライザ34と踏板32との間の隙間40に靴90のつま先部90aが挟み込まれることがあった。
【0006】
上記空間38に靴等の異物が位置しないようにステップ26の踏板32の表面縁部には注意喚起のための例えば黄色いコ字状の枠が踏板縁部に表示または設置されていることが多いが、その枠を気にすることなく踏板32上に乗ってしまう乗客もいるのが現状である。
【0007】
また、図6(B)に示すように、階段状になって矢印B方向すなわち斜め下方へ移動するステップ26上に例えばロングスカート92を着用した乗客がステップ26に乗っていて、乗降口に近づいて各ステップ26が平面状になるように移動するときに、上記空間38に位置しているロングスカート92の後方下端部92aがライザ34と踏板32との間の隙間40に挟みこまれることがあった。このような乗客の後方でのステップ間の挟み込みは、乗客が上記枠内に立っていたとしても後方への注意を払わないのが普通であるために回避するのが難しかった。
【0008】
これに関連する先行技術文献として、例えば特開2010−189099号公報(以下、特許文献1という)には、スカートガードに接触する靴に断続的な衝撃を与える以外の方法で、ステップとスカードガードとの間の隙間に靴が挟み込まれるのを抑制することを解決課題としたエスカレータが開示されている。このエスカレータは、無端状に連結されて循環移動する複数のステップと、往路側において移動するステップの両側に対向して配置されるスカードガードとを備え、スカートガードのステップ対向表面に、ステップの移動方向に沿って延伸する突条を上記移動方向と直交する方向に複数配列して形成してあるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−189090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1のエスカレータでは、ステップとスカートガードとの間の隙間にゴム靴等が挟み込まれるのを抑制することには有効であるが、ステップ間への異物挟み込みを抑制するための解決策を与えるものではない。
【0011】
本発明の目的は、各ステップが階段状から平面状に移行するときにステップ間への異物挟み込みを効果的に抑制できるエスカレータのステップ間挟み込み防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るエスカレータのステップ間挟み込み防止装置は、多数のステップが連なって階段状に移動するとともに乗降口近傍では各ステップの踏板が平面状になるエスカレータのステップ間挟み込み防止装置であって、
【0013】
前記ステップの踏板において隣接するステップのライザ面の近傍に設けられた凹部内に、上下移動可能に収容されたせり上がり段部と、前記せり上がり段部に対向するライザ面の下部に固定され、前記ステップが階段状になるときに前記せり上がり段部を押し上げるカムと、前記ステップが階段状から平面状に移行するときに前記せり上がり段部の上面が前記踏板と面一になる位置まで前記せり上がり段部を凹部内に引き戻す復帰部材と、を備える。
【0014】
本発明に係るエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、前記せり上がり段部は下方が開口した箱状に形成され、前記復帰部材は前記せり上がり部材内の天井面と前記凹部の底部との間に連結されるバネで構成されてもよい。
【0015】
また、本発明に係るエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、前記カムは、前記凹部の底部に形成された切り込みを通過して前記せり上がり段部の下部を押し上げるよう構成されてもよい。
【0016】
また、本発明に係るエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、前記せり上がり段部の少なくとも上部は、注意喚起色に着色されているのが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、前記せり上がり段部の奥行き方向の側面には、このせり上がり段部が設けられている踏板の縁部に形成された櫛歯状の凸部、および、前記隣接するステップのライザ面にある櫛歯状の凸部の少なくとも一方に対して、隙間を空けて嵌り込む形状に形成されていてもよい。
【0018】
さらに、本発明に係るエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、前記せり上がり段部は略台形状の横断面を有し、これを収容する凹部も前記せり上がり段部に対応して略台形状の収容空間を含み、前記カムは、前記せり上がり段部の平行な側辺に沿って斜め上方に前記せり上がり段部を押し上げる形状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るエスカレータのステップ間挟み込み防止装置によれば、階段状になって移動するステップの踏板には、カムによって押し上げられたせり上がり段部が隣接するステップのライザ面近傍に位置していることから、乗客がこのせり上がり段部、すなわちライザ面から離れた位置に立つことを促すことができる。これにより、各ステップが乗降口に近づいて平面状になるときに各ステップ間にゴム靴等の異物が挟み込まれるのを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態であるステップ間挟み込み防止装置を適用したエスカレータの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態のステップ間挟み込み防止装置を備えたステップの縦断面図である。
【図3】ステップ間挟み込み防止装置を構成するせり上がり段部の一部を示す上面図である。
【図4】ライザ面に固定されたカムを、せり上がり段部の一部破断した横断面とともに示す図である。
【図5】本実施形態のステップ間挟み込み防止装置の作動状態を示す図であり、(A)は各ステップが平面状態に揃ったときの様子を示す図であり、(B)は各ステップが階段状になったときの状態を示す図である。
【図6】従来のエスカレータにおけるステップ間異物挟み込みを説明するための図であり、(A)は異物がゴム靴である場合を示し、(B)は異物がロングスカートの後方下端部である場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態であるステップ間挟み込み防止装置を適用したエスカレータ10の概略構成図である。エスカレータ10は、エスカレータ自体を下方から支持する例えば金属板製のトラス12と、トラス12の上に設けられる移動手摺り部14および欄干部16とを備える。
【0023】
トラス12は、上階の床18に設置される上部トラス部12a、下階の床20に設置される下部トラス部12b、および、上部トラス部12aと下部トラス部12bとの間を傾斜した状態で連結する傾斜トラス部12cを含んで構成される。
【0024】
上階の乗降口に対応する上部トラス部12aの上部は、ランディングプレート19によって覆われている。上部トラス部12a内には、モータおよび減速機等を含む駆動ユニット(図示せず)、駆動ユニットによって回動駆動される駆動スプロケット22、および、エスカレータ10の全体の制御を司るエスカレータ制御盤30等が配置されている。
【0025】
一方、下階の乗降口に対応する下部トラス部12bの上部は、ランディングプレート21によって覆われている。そして、下部トラス部12b内には、従動スプロケット24が配置されている。
【0026】
トラス12内には、多数のステップ26が設けられている。各ステップ26の幅方向両端部には、駆動スプロケット22と従動スプロケット24とに掛け渡された無端状のステップチェーン28が固定されている。これにより、駆動ユニットによって駆動スプロケット22が回転駆動されることによって、各ステップ26は階段状をなしながら下階と上階との間を上り移動または下り移動するようになっている。また、各ステップ26は、上階および下階の乗降口へ近づくにつれて階段状から平面状へと移行して段差が解消されるようになっている。
【0027】
図2は、本実施形態のステップ間挟み込み防止装置を設けたステップ26を示す縦断面図である。ステップ26は、従来技術で説明したのと同様に、乗客が立って乗る踏板32と、踏板32の奥行き方向(図2中の左右方向)の端部下部に連結されるライザ34とを有する。ライザ34は一般に、緩やかに湾曲した曲面状に形成されている。
【0028】
ステップ26の踏板32の下面には、略V字状をなす一対の金属製フレーム42が幅方向(図2中の紙面垂直方向)両側に固定されている。そして、フレーム42の下端部には、ガイドローラ44が回転可能に支持されている。このガイドローラがトラス12内に設けられた図示しないガイドレールに沿って移動することにより、各ステップ26が階段状から平面状へ、または、この逆に移行しながら周回移動するようになっている。
【0029】
踏板32の奥行き方向の一端部には、凹部46が形成されている。凹部46は、隣接する別のステップ26のライザ34の表面近傍に設けられる。また、凹部46は、鉛直方向に対して少し傾斜した側壁部46aと、側壁部46aの下端部に連結する底部46bとを有しており、これら側壁部46aおよび底部46bとによって略台形状をなす収容空間が形成されている。
【0030】
凹部46の底部46bには、カムを通過可能にする切り込み47が形成されている。これについては、再度後述する。
【0031】
ステップ26の踏板32に形成された凹部46内には、せり上がり段部50が配置されている。せり上がり段部50は、ステップ26と同等の幅を有している。また、せり上がり段部50の上面は、カムによって押し上げられていないとき、踏板32の上面と面一になっている。
【0032】
せり上がり段部50は、略台形状の三方壁部を有する箱型に形成されており、下方が上記凹部46の底部46bに向かって開口している。せり上がり段部50の幅方向端部は、側壁があってもよいし、開放されていてもよい。そして、せり上がり段部50内の天井面と凹部46の底部との間に、コイルバネ(復帰部材)52が連結されている。コイルバネ52は、踏板32からせり上がるように矢印C方向へ押し上げられたせり上がり段部50を凹部46内の収容位置へと引き戻す機能を有する。また、コイルバネ52は、せり上がり段部50の幅方向に関して適当な間隔を置いて複数配置されている。
【0033】
なお、本実施形態では、せり上がり段部のための復帰部材としてコイルバネを用いたが、これに限定されるものではなく、板バネ、ゴム、流体シリンダ等の他の弾性部材を復帰部材として用いてもよい。
【0034】
ステップ26のライザ34の外表面には、カム54が固定されている。カム54は、隣接するステップ26のせり上がり段部50に対向するライザ34の表面の下部に取り付けられている。カム54は、各ステップ26が平面状から階段状へと移行するときに上記せり上がり段部50を押し上げる機能を有する。カム54は、直線状をなす上面54aと略円弧状をなす下面54bとを有して、ライザ34から突出している。また、カム54は、上記切り込み48よりも狭い幅に形成されており、これによりせり上がり段部50を押し上げ動作するときに切り込み48内を上下方向に通過できるようになっている。
【0035】
さらに、せり上がり段部50は、少なくとも上部が注意喚起色、例えば黄色に着色されていることが好ましい。このように着色してあることで、乗降口でステップに乗ろうとする乗客に対してより効果的に注意喚起することができ、その結果、せり上がり段部50上に立たないように促すことができる。
【0036】
図3は、せり上がり段部50の一部を示す上面図であり、図4は、ライザ34の表面に固定されたカム54を、せり上がり段部50の一部破断した横断面とともに示す図である。
【0037】
図3を参照すると、ステップ26の踏板32の表面には、クリートと呼ばれる多数の溝33aが幅方向に並んで且つ奥行き方向に延伸して形成されている。換言すれば、各溝33aの間には、多数の突条33bが幅方向に並んで且つ奥行き方向に延伸して形成されている。クリートは、その上に立つ乗客が滑りにくくするためのものである。クリートを構成する突条33bの端部は、踏板32の縁部からせり上がり段部50側へ櫛歯状に突出している。
【0038】
本実施形態では、せり上がり段部50の上面にも、上記踏板32の突条33bに対応する多数の突条56が形成されている。ただし、せり上がり段部50の上面は、滑り止め機能を持たせる必要はないため、凹凸のない平面状に形成されてもよい。
【0039】
ライザ34の表面にも、溝深さが交互に異なる溝35a,35bが形成されている。これらの溝35a,35b内にせり上がり段部50の突条56が非接触状態で嵌り込むように構成されている。また、せり上がり段部50の側面には、踏板32の縁部から突出する突条33bの端部間に非接触状態で嵌り込むような櫛歯状の凸部58が形成されている。
【0040】
このようにせり上がり段部50は、奥行き方向の両側において非接触状態で凹凸嵌合していることで、ステップ26に対する幅方向のずれを防止できるとともに、上下方向への移動の際のガイド機能を果たすことができる。また、これにより踏板32とせり上がり段部50との間の隙間、および、せり上がり段部と隣接するステップ26の踏板32との間の隙間が狭いジグザグ状に形成されることになるため、異物の挟み込みを抑制できる効果も見込める。
【0041】
なお、本実施形態では、せり上がり段部50の奥行き方向両側に非接触状態での凹凸嵌合する部分を設けたが、これに限定されるものではなく、せり上がり段部50の奥行き方向の何れか一方の側面だけに上記のような凹凸嵌合を設けてもよいし、あるいは、せり上がり段部50の両側面が凹凸嵌合しない平面状に形成されていてもよい。
【0042】
図4を参照すると、ライザ34の表面に固定されたカム54が上面視状態で示されている。また、カム54に対応して、せり上がり段部50を収容する凹部46の底部46bに形成された矩形状の切り込み48が示されている。このようがカム54および切り込み48がステップ26の幅方向に複数箇所設けられている。また、カム54は、せり上がり段部50の奥行き方向の幅に略相当する長さを有していて、せり上がり段部50の2つの側壁の下部に同時に当接可能になっている。
【0043】
続いて、上述したせり上がり段部50、コイルバネ52およびカム54を含んで構成されるステップ間挟み込み防止装置の動作について説明する。図5は、ステップ間挟み込み防止装置の作動状態を示す図であり、(A)は各ステップ26が平面状態に揃ったときの様子を示し、(B)は各ステップ26が階段状になったときの状態を示す。
【0044】
図5(A)を参照すると、エスカレータ10の乗降口近傍において互いに隣接する各ステップ26の踏板32が平面状態に揃っているとき、ライザ34の下部に固定されているカム54がせり上がり段部50から下方に離れている。そのため、この状態ではせり上がり段部50は、その自重および/またはコイルバネ52の引っ張り力によって、凹部46内に収容されている。このとき、ステップ26の踏板32とせり上がり段部50の上面とは面一になっているため、エスカレータ10に乗ろうとする乗客の妨げにはならない。また、乗客は、上記のように例えば黄色に着色されているせり上がり段部50上に立たないように注意することも促される。
【0045】
その後、乗降口から次第に離れて移動するにつれて各ステップ26は、図5(B)に示すように階段状になる。この場合、上側(図5(B)中の右側)のステップ26が隣接するステップ26に対して相対的に矢印C方向へ移動することにより階段状になる。このとき、上側ステップ26のライザ34に固定されたカム54が、下側ステップ26の凹部46の底部46bに形成された切り込み48を下方から通過して、せり出し段部50の下部に当接して矢印C方向、すなわち斜め上方に押し上げる。これにより、せり上がり段部50は、コイルバネ52の引っ張り力に抗してステップ26の踏板32より上にせり上がって突出する。
【0046】
この場合、カム54は、略台形状の縦断面をなすせり上がり段部50の平行な側辺に沿って斜め上方にせり上がり段部50を押し上げる形状に形成されていることが好ましい。このようにすることで、せり上り段部50がせり上がるときに、隣接するライザ34の表面に干渉するのを回避することができる。
【0047】
上記のようにせり上がり段部50が突出した状態になると、上側ステップ26のライザ34の上端から降ろした鉛直方向線とライザ34の表面との間に形成されていた略三角状の空間38(図6参照)が上記突出したせり上がり段部50によって占められることになる。したがって、ステップ26に乗った乗客は、段部50があることによってライザ34から離れた踏板32上の位置に立つことになり、その結果、乗客が着用しているゴム靴やロングスカート等がステップ26間の隙間に入り込むのを効果的に抑制することが可能になる。
【0048】
階段状になって移動する各ステップ26が乗降口に接近するにつれて、各ステップ26の段差が縮小して、図5(A)に示すような平面状態となる。このとき、踏板32上に突出していたせり上がり段部50は、カム54の下方への退避とともにコイルバネ52の引っ張り力等によって凹部46内に収納される。
【符号の説明】
【0049】
10 エスカレータ、12 トラス、12a 上部トラス部、12b 下部トラス部、12c 傾斜トラス部、14 移動手摺り部、16 欄干部、18,20 床、19,20 ランディグプレート、22 駆動スプロケット、24 従動スプロケット、26 ステップ、28 ステップチェーン、30 エスカレータ制御盤、32 踏板、33a 溝、33b 突条、34 ライザ、35a,35b 溝、36 鉛直方向線、38 空間、40 隙間、42 フレーム、44 ガイドローラ、46 凹部、46a 側壁部、46b 底部、50 せり上がり段部、52 コイルバネ、54 カム、54a 上面、54b 下面、56 突条、58 凸部、90 靴、90a つま先部、92 ロングスカート、92a 後方下端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のステップが連なって階段状に移動するとともに乗降口近傍では各ステップの踏板が平面状になるエスカレータのステップ間挟み込み防止装置であって、
前記ステップの踏板において隣接するステップのライザ面の近傍に設けられた凹部内に、上下移動可能に収容されたせり上がり段部と、
前記せり上がり段部に対向するライザ面の下部に固定され、前記ステップが階段状になるときに前記せり上がり段部を押し上げるカムと、
前記ステップが階段状から平面状に移行するときに前記せり上がり段部の上面が前記踏板と面一になる位置まで前記せり上がり段部を凹部内に引き戻す復帰部材と、
を備える、エスカレータのステップ間挟み込み防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、
前記せり上がり段部は下方が開口した箱状に形成され、前記復帰部材は前記せり上がり部材内の天井面と前記凹部の底部との間に連結されるバネで構成されることを特徴とする、エスカレータのステップ間挟み込み防止装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、
前記カムは、前記凹部の底部に形成された切り込みを通過して前記せり上がり段部の下部を押し上げるよう構成されることを特徴とする、エスカレータのステップ間挟み込み防止装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、
前記せり上がり段部の少なくとも上部は注意喚起色に着色されていることを特徴とする、エスカレータのステップ間挟み込み防止装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、
前記せり上がり段部の奥行き方向の側面には、このせり上がり段部が設けられている踏板の縁部に形成された櫛歯状の凸部、および、前記隣接するステップのライザ面にある櫛歯状の凸部の少なくとも一方に対して、隙間を空けて嵌り込む形状に形成されていることを特徴とする、エスカレータのステップ間挟み込み防止装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のエスカレータのステップ間挟み込み防止装置において、
前記せり上がり段部は略台形状の横断面を有し、これを収容する凹部も前記せり上がり段部に対応して略台形状の収容空間を含み、前記カムは、前記せり上がり段部の平行な側辺に沿って斜め上方に前記せり上がり段部を押し上げる形状に形成されていることを特徴とする、エスカレータのステップ間挟み込み防止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−162353(P2012−162353A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23509(P2011−23509)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】