説明

エスカレータの表示装置

【課題】ステップの位置を表す矢印や、乗客の注意を促す文字等を表示し、安価で小型且つ意匠的に見栄えが良いエスカレータの表示装置を提供する。
【解決手段】エスカレータのステップ走行路に沿う側壁の、欄干サイドパネル1の下方の周縁部に赤色LED4Rおよび緑色LED4Gを配設する。欄干サイドパネル1のステップ2側の表面に、長波長(赤色)の光で発色する塗料で、「足元に注意してください」の文字と、ステップ2が出てくる位置を指し示す矢印とを印刷し、短波長(緑色)の光で発色する塗料で、「エスカレータは上らないでください」の文字を印刷する。赤色LED4Rおよび緑色LED4Gを点灯させたときの光は欄干サイドパネル1を通過し、「足元に注意してください」の文字と矢印が赤色光で発色して表示され、「エスカレータは上らないでください」の文字が緑色光で発色して表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエスカレータのステップの出てくる位置や潜り込む位置を表す矢印や、乗客の注意を促す文字などを表示することができるエスカレータの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータのステップ(踏み段)走行路に沿って両サイドに設けられたサイドパネルの、例えば欄干部分の透明パネル(ガラス、アクリルなど)に表示する表示装置としては、例えば液晶パネルが用いられていた。
【0003】
尚、エスカレータのハンドレール及び壁面に画像を表示させる装置は、例えば下記特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2005−82400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のように、エスカレータの欄干部分のガラス又はアクリルなどの透明なサイドパネルに表示する液晶パネルは、バックライトが必要であり、また価格が高いという問題があった。
【0005】
また表示装置として電球やLED(発光ダイオード)を用いる場合は、ガラス又はアクリルなどの透明なサイドパネルに埋め込むことができないか、又はできたとしても配線等が乗客から見えてしまい見栄えが非常に悪い。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、例えばエスカレータのステップの出てくる位置、潜り込む位置を表す矢印や、乗客の注意を促す文字などを表示することができ、安価で小型且つ意匠的に見栄えが良いエスカレータの表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明のエスカレータの表示装置は、エスカレータのステップ走行路に沿う側壁の透明媒体の周縁部に配設された発光体と、前記透明媒体の表面に配設され、前記発光体の発光色で感光反応する感光材料で表現された被表示物とを備えたことを特徴としている。
【0008】
また、前記被表示物に近設された人感センサーを備え、該人感センサーが人の存在を検出したときに前記発光体を発光させることを特徴としている。
【0009】
また前記発光体は複数の色の発光体であり、前記被表示物は、前記複数の色の発光体の各発光色で各々感光反応する感光材料で表現されていることを特徴としている。
【0010】
また前記被表示物は、発光塗料で印刷された絵、文字から成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
(1)請求項1〜4に記載の発明によれば、被表示物は、感光材料が、透明媒体を通して導かれる発光体の光に感光反応することによって表示される。このため例えばステップの出てくる位置、潜り込む位置を表す矢印や、乗客の注意を促す文字などを容易に表示することができる。
【0012】
前記発光体は透明媒体の周縁部、例えばサイドパネルの下方に配設されるため、発光体や配線等がエスカレータの乗客から目えることはなく、意匠上見栄えが良い。
【0013】
また表示装置としての厚みを薄くすることができ、小型化が図られる。またバックライトなどが不要であり、安価に構成することができる。さらに感光材料(発光塗料)を透明媒体表面に例えば印刷することにより、容易に被表示物を設けることができるので、ガラスやアクリルなどの透明媒体表面を削るなどの面倒な作業は不要である。
(2)また請求項2に記載の発明によれば、エスカレータに乗ろうとする乗客を人感センサーが検出した場合、例えばエスカレータの乗り口の欄干サイドパネル表面に印刷した、ステップが出てくる位置を表す矢印や、「足元に注意」などの文字を表示することができ、注意を喚起することができる。
【0014】
またエスカレータから降りようとする乗客を人感センサーが検出した場合、例えばエスカレータの降り口の欄干サイドパネル表面に印刷した、ステップが潜り込む位置を表す矢印や、「足元に注意」などの文字を表示することができ、注意を喚起することができる。
(3)また請求項3に記載の発明によれば、複数の色で区別された異なる被表示物を同時に表示することや、それらを選択的に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。図1は上りエスカレータの下部乗り場側の側面を表しており、1はガラス又はアクリルなどの透明媒体から成る欄干サイドパネル、2はステップ(踏み段)、3はハンドレールを示している。
【0016】
欄干サイドパネル1の下方の周縁部には、発光体としての赤色LED4Rおよび緑色LED4Gが各々複数個配設されている。欄干サイドパネル1のステップ2側の表面には、長波長(赤色)の光で発色する塗料で、「足元に注意してください」の文字と、ステップ2が出てくる位置を指し示す矢印とが印刷され、短波長(緑色)の光で発色する塗料で、「エスカレータは上らないでください」の文字が印刷されている。
【0017】
図2は赤色LED4Rを発光させた場合を表し、(a)は上りエスカレータの下部乗り場側の側面を示し、(b)は欄干サイドパネル1の正面の構成を示し、(c)は欄干サイドパネル1の側面の構成を示している。
【0018】
図2において、赤色LED4Rは欄干サイドパネル1の底面の周縁部に所定距離隔てるか又は近接して配設され、赤色LED4Rを点灯させたときの赤色光は欄干サイドパネル1内を通過しながら反射し、赤色光の波長に感応して塗料が発光し、ステップ2が出てくる位置を指し示す矢印と、「足元に注意してください」の文字とが表示される。
【0019】
図3は緑色LED4Gを発光させた場合を表し、(a)は上りエスカレータの下部乗り場側の側面を示し、(b)は欄干サイドパネル1の正面の構成を示し、(c)は欄干サイドパネル1の側面の構成を示している。
【0020】
図3において、緑色LED4Gは欄干サイドパネル1の底面の周縁部に所定距離隔てるか又は近接して配設され、緑色LED4Gを点灯させたときの緑色光は欄干サイドパネル1内を通過しながら反射し、緑色光の波長に感応して塗料が発光し、「エスカレータは上らないでください」の文字が表示される。
【0021】
さらに赤色LED4R、緑色LED4Gをともに点灯させれば、図1のように赤色発光の「足元に注意してください」の文字および矢印と、緑色発光の「エスカレータは上らないでください」の文字とが両方表示される。
【0022】
尚前記「足元に注意してください」、「エスカレータは上らないでください」等の文字や、ステップが出てくる位置を指し示す矢印(被表示物)は、欄干サイドパネル1表面に、前述した塗料で印刷するに限らず、赤色、緑色で感光反応する塗料で表現された文字、矢印が印刷された赤色、緑色感光フィルムを欄干サイドパネル1表面に貼り付けても良い。
【0023】
このようにエスカレータの欄干部分において、「足元に注意してください」、「エスカレータは上らないでください」などの文字や矢印等を、サイドパネルに浮かび上がらせて表示することができるので、乗客に注意を促すことができる。
【0024】
また赤色LED4Rおよび緑色LED4Gは、欄干サイドパネル1の周縁部位、例えば下方に設けるため、欄干サイドパネル1の厚み方向に何ら部品が設置されず、外観を損ねることはなく、また配線やLED素子も乗客からは見えないので、意匠的にも優れている。
【0025】
図4は人感センサーにより乗客を検出したときに前記文字、矢印等を発光表示させるようにした実施形態例である。図4(a)において上りエスカレータの乗り口の欄干部分の、ステップ2が出てくる部位よりも所定距離手前(乗り口側)の部位には人感センサー5aが設けられている。
【0026】
この人感センサー5aが乗客を検出すると前記欄干サイドパネル1と同様の欄干サイドパネル1aの下方に設けられた赤色LED4R、緑色LED4Gが点灯し、欄干サイドパネル1aの表面(ステップ2側)に印刷された「足元に注意してください」、「エスカレータは上らないでください」などの文字およびステップ2が出てくる位置を指し示す矢印が表示される。
【0027】
また図4(b)において下りエスカレータの降り口の欄干部分の、ステップ2が潜り込む部位よりも所定距離手前(上方側)の部位には人感センサー5bが設けられている。
【0028】
この人感センサー5bが乗客を検出すると前記欄干サイドパネル1と同様の欄干サイドパネル1bの下方に設けられた赤色LED4Rが点灯し、欄干サイドパネル1bの表面(ステップ2側)に印刷された「足元に注意してください」の文字およびステップ2が潜り込む位置を指し示す矢印が表示される。
【0029】
このように図4の構成によれば、人感センサー5a,5bが人を検出することと連動して前記「足元に注意してください」、「エスカレータは上らないでください」などの文字や矢印等を表示することができ、エスカレータの乗客に注意を促すことができる。
【0030】
尚前記被表示物は、文字、矢印に限らず他の記号や絵などであっても良い。また各階の案内やメッセージ、広告などを表示するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態例の全体構成図。
【図2】本発明の一実施形態例を表し、(a)は赤色表示時の全体構成図、(b)は要部正面図、(c)は要部側面図。
【図3】本発明の一実施形態例を表し、(a)は緑色表示時の全体構成図、(b)は要部正面図、(c)は要部側面図。
【図4】本発明の他の実施形態例を表し、(a)は上りエスカレータにおける全体構成図、(b)は下りエスカレータにおける全体構成図。
【符号の説明】
【0032】
1,1a,1b…欄干サイドパネル
2…ステップ
3…ハンドレール
4R…赤色LED
4G…緑色LED
5a,5b…人感センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータのステップ走行路に沿う側壁の透明媒体の周縁部に配設された発光体と、
前記透明媒体の表面に配設され、前記発光体の発光色で感光反応する感光材料で表現された被表示物とを備えたことを特徴とするエスカレータの表示装置。
【請求項2】
前記被表示物に近設された人感センサーを備え、該人感センサーが人の存在を検出したときに前記発光体を発光させることを特徴とする請求項1に記載のエスカレータの表示装置。
【請求項3】
前記発光体は複数の色の発光体であり、
前記被表示物は、前記複数の色の発光体の各発光色で各々感光反応する感光材料で表現されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエスカレータの表示装置。
【請求項4】
前記被表示物は、発光塗料で印刷された絵、文字から成ることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のエスカレータの表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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