説明

エスカレータ用ローラの清掃方法

【課題】ガイドローラの取り外し作業をなくし、ガイドローラの外周面の清掃を確実かつ効率的に実施可能にする。
【解決手段】エスカレータEの駆動停止によって、手摺ベルト2の表面に汚れ吸着用の粘着材層15を持つ清掃用フィルム11を剥離可能に貼着し、この貼着された清掃用フィルム11の両端部に重なるように、手摺ベルト2の表面に剥離防止フィルム7を着脱可能に貼着する。そしてエスカレータEの運転再開によって手摺ベルト2を搬送させ、駆動ローラ4およびガイドローラ6に付着した汚れを、清掃用フィルム11の粘着材層15に吸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータの手摺ベルトに貼着した清掃用フィルムにより、手摺ベルトの搬送をガイドする駆動ローラやガイドローラを清掃するエスカレータ用ローラの清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人や物を建物の階下や階上に移動または搬送するのにエスカレ−タが広く利用されている。図5はかかるエスカレータEの従来例を一部破断して示す射視図である。このエスカレータEは、利用者が立って乗るステップ1と、このステップ1と同じスピ−ドで移動するゴム製の手摺ベルト2とを備えており、ステップ1と手摺ベルト2とは各々に備えた駆動機構によって同期駆動される。
【0003】
手摺ベルト2は、エスカレ−タEの表側(ステップ1の上方)においては、レ−ル状に形成されたガイド3に摺動自在に嵌合支持されている。また、手摺ベルト2はエスカレ−タEの裏側(ステップ1の下方)においては、ベルト搬送路上に設けられた駆動ローラ4や複数のガイドローラ5によって駆動およびガイド支持され、さらに前記ガイド3に沿って走行する。
【0004】
このガイドローラ5は手摺ベルト2の搬送路上に数10個、例えば、30個以上設けられ、手摺ベルト2がこれらの駆動ローラ4やガイドローラ5の回転によって、ステップと同等の速度で走行する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、駆動ローラ4やガイドローラ5には利用者の手などから手摺ベルト2に移った新聞のインク等が付着しており、このような付着物は単に拭き取るだけでは落ちないため、ブラシでこすり取るか、ナイフを使って削り取るなどの方法が採られている。このため、作業負担がさらに大きくなり、作業時間も長くなる。
【0006】
また、手摺ベルト2には利用者の手などから様々な付着物(堆積物)が堆積する。この付着物は手摺ベルト2の移動中にこの手摺ベルト2と接触するガイドローラ5の外周面に転移して堆積する。また、この付着物として、ブレーキの摩擦鉄粉、機械油の飛散、綿ごみ、ほこり、ステップから落下するごみなどがある。駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面に堆積した付着物が再び手摺ベルト2に転移し、結果として短時間のうちに手摺ベルト2の全体に汚れが拡散、堆積してしまい、見栄えが悪くなる。
【0007】
今日、手摺ベルト2に付着した堆積物等の汚れの清掃は清掃事業者によって定期的に行われている。この清掃は、エスカレータEの稼動を停止させた状態で行われるが、手摺ベルト2表面を清掃しても、エスカレータEを再駆動した場合に、前述のようにガイドローラ5の外周面の付着物が直ぐに手摺ベルト2の表面に再転移してしまう。このため、駆動ローラ4やガイドローラ5自体を定期的に清掃したり、清掃された新しいものに交換したりすることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開08−259162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、かかる従来の駆動ローラ4やガイドローラ5の清掃作業や交換作業では、エレベータE付近の側面パネルやステップパネルの面倒な開閉作業を伴う。また、ガイドローラ5は各々が非常に狭い間隔、例えば、ガイドロ−ラ表面間が10mm程度の間隔で取付けられている関係上、その清掃や交換作業が困難である。さらに、このような作業を多数(例えば、20〜50個)のガイドローラ5について定期的に行うことは容易ではない。
【0010】
本発明は前記のような従来の問題点に着目してなされたものであり、駆動ローラやガイドローラの清掃や交換のために側面パネルやステップパネルなどの開閉作業を行わなくても、駆動ローラやガイドローラの外周面に付着した油分およびその油分を含む固形物(堆積物)などの汚れを確実かつ効率的に除去することができるエスカレータ用ローラの清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的達成のために、本発明に係るエスカレータ用ローラの清掃方法は、エスカレータに設置されているガイドレール上を、複数個のガイドローラの駆動で摺動する無端状の手摺ベルトの該ガイドローラ外周面に付着する付着物を除去する清掃する方法であって、前記駆動ローラおよび前記ガイドローラによって搬送される手摺ベルトを停止させる工程と、前記停止した手摺ベルトの表面に、該手摺ベルト表面の搬送方向の所定長に亘って、汚れ吸着用の粘着材を持つ清掃用フィルムを剥離可能に貼着する工程と、この貼着された清掃用フィルムの両端部を剥離防止フィルムで一部重合せて着脱可能に貼着する工程とからなり、前記手摺ベルトを前後方向に駆動させ、前記剥離防止フィルムで前記清掃用フィルムがガイドローラに巻き付くのを防止するとともに、前記清掃用フィルムの粘着力で前記ガイドローラに付着した汚れを、前記清掃用フィルムの粘着材に吸着させることを特徴とする。
【0012】
これにより、清掃用フィルムを手摺ベルトに貼り付けて、エスカレータを駆動して手摺ベルトを前後方向に周回させることで、粘着材の強力な粘着力、吸着力を利用して、これまで容易に手が届かなかった手摺ベルトの駆動ローラやガイドローラの表面に付着した堆積物や油分をその粘着材に吸着させて、除去することができる。この場合に、剥離防止フィルムは清掃用フィルムの両端を手摺ベルトにしっかりと固定するため、清掃用フィルムが駆動ローラやガイドローラに巻き付くのを回避できる。また、エスカレータを停止させ、清掃用フィルムを手摺ベルトから剥離することで、手摺ベルトの表面に粘着材の一部を残すことなく、前記駆動ローラやガイドローラの清掃を完了でき、速やかにエスカレータの通常運転を再開することができる。これにより、従来のメンテナンス作業におけるような駆動ローラや多数のガイドローラ個々の煩わしい清掃や交換の作業を皆無とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るエスカレータ用ローラの清掃方法は、前記汚れ吸着用の粘着材を持つ清掃用フィルムが、前記手摺ベルト表面に、該手摺ベルトの搬送方向の所定長に亘って着脱可能に貼着されるベースフィルムと、該ベースフィルム上に積層され、表面に弾性部材が形設された除去フィルム層とで構成されることを特徴とする。これにより、エスカレータの駆動とともに移動する手摺ベルトに貼り付けられた清掃用フィルムの除去フィルム層が、その手摺ベルトを移動案内するガイドローラの外周面に付着している付着物を弾き飛ばしたり、絡め取ったりすることで、作業者の作用負担を小さく抑えて、ガイドローラの外周面を簡単かつ迅速に清掃することができる。
【0014】
また、本発明に係るエスカレータ用ローラの清掃方法は、前記汚れ吸着用の粘着材を持つ清掃用フィルムが、前記手摺ベルト表面に、該手摺ベルトの搬送方向の所定長に亘って着脱可能に貼着されるベースフィルムと、該ベースフィルム上に積層するように設けられた不織布層と、該不織布層に隣り合うように前記ベースフィルム上に積層され、表面に弾性部材が形設された除去フィルム層とで構成されることを特徴とする。これにより、前記不織布層が手摺ベルトを移動案内するガイドローラの外周面に付着している付着物を弾き飛ばしたり、絡め取ったりすることで、作業者の作用負担を小さく抑えて、ガイドローラの外周面を簡単かつ迅速に清掃することができる。
【0015】
また、本発明に係るエスカレータ用ローラの清掃方法は、前記清掃用フィルムの長さが2〜12m、好ましくは3〜6mであることを特徴とする。これにより、手摺ベルトが長尺であっても、清掃用フィルムのこの手摺ベルトに対する貼着作業を容易化することができる。
【0016】
また、本発明に係るエスカレータ用ローラの清掃方法は、前記剥離防止フィルムの巾が2.5〜5cmであることを特徴とする。これにより、清掃用フィルムの手摺ベルトに対する貼着作業を容易化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エスカレータの駆動によって搬送される手摺ベルトに貼り付けられた清掃用フィルムの粘着材層が、その手摺ベルトを搬送案内する駆動ローラやガイドローラの外周面に付着している付着物を吸着または吸着するように掻き取る(絡め取る)ことで、作業員の作業負担を大きく軽減しながら、駆動ローラやガイドローラの外周面を確実かつ効率的に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるエスカレータ用ローラの清掃方法の実施に用いるエスカレータ全体の概念図である。
【図2】図1に示す手摺ベルトに貼着される清掃用フィルムの断面図である。
【図3】図1に示すエスカレータの手摺ベルトの対する清掃用フィルムの貼着構造を示す断面図である。
【図4】図1に示すエスカレータの手摺ベルトに対する清掃用フィルムの貼着施工手順を示す説明図である。
【図5】従来のエスカレーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態によるエスカレータ用ローラの清掃方法を。図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のエスカレータ用ローラの清掃方法の説明に用いるエスカレータの斜視図、図2は、図1に示す清掃用フィルムの断面図、図3は、手摺ベルトの対する清掃用フィルムの貼着構造を示す断面図、図4は、清掃用フィルムの貼着施工手順を示す説明図である。
【0020】
図1〜図4において、エスカレータEは、図1に示すように構成され、利用者が立って乗る、図5に示すようなステップ1と同じスピードで搬送される手摺ベルト2を備えている。これらのステップ1と手摺ベルト2は駆動機構6によって同期駆動され、従って、これらの搬送速度は等しい。なお、図5に示したものと同一の構成部分には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0021】
また、本発明のローラの清掃方法の実施に当たって、図2に示すような清掃用フィルム11が手摺ベルト2に貼着される。この清掃用フィルム11は、伸縮率150以上、好ましくは200〜250(JIS K・7127)が高い素材、例えばウレタン樹脂系やゴム系のベースフィルム12と、このベースフィルム12の片面(下面)に塗布されたベルト貼着用の粘着材層13と、ベースフィルム12の他の片面(上面)に積層するように設けられた汚れ吸着用の粘着材層14と、この粘着材層14に貼着された剥離シート15とからなる。
【0022】
この清掃用フィルム11は、使用前は、運搬や取扱いを容易にするため渦巻状に巻き込まれた形態をなす。つまり、粘着材層13が剥離シート15の上面に重ねられるように、渦巻状に巻き込まれている。また、粘着材層13の粘着力は粘着材層14の粘着力より大きくしてある。これにより、ガイドローラ等に付着した付着物を粘着材14によって吸着させているときに、粘着材層13が手摺ベルト2から剥がれて浮き上がるのを防止することができる。さらに、各粘着材層13、14には例えばアクリル酸或いはエステル系粘着材が用いられる。
【0023】
また、この清掃用フィルム11は、エスカレータEの手摺ベルト2よりも幅寸法が大きく、エスカレータEの搬送方向に長い所定長の帯状体をなす。この長さは、例えば手摺ベルト2の外周長の焼く10%程度とされる。なお、粘着材層14の厚みは、例えば20〜50μmとされる。また、剥離シート15は手摺ベルト2に貼着された清掃用フィルム11を用いて前記各ローラの清掃を行う際に、粘着材層14から剥離されて廃棄される。
【0024】
清掃用フィルム11は長尺であり,その幅は、図3に示すように、手摺ベルト2の全幅における少なくとも平面部2aを被うサイズとされている。なお、この清掃用フィルム11の幅を前記平面部2aの両側に連続する円弧部2b、2bの一部を被うサイズとすることは任意である。
また、清掃用フィルム11は前記のように構成され、駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面の清掃のために、図1に示すように、手摺ベルト2に貼り付けられる。
【0025】
なお、実験によれば、清掃用フィルムの物性値として、フィルム厚(総厚)が240μm、剥離シート15の厚みが100μm、粘着材層14の厚みが20μm、ベースフィルム厚が100μm、粘着材層14の耐SUS粘着力が0.3(N/10mm)、引張り強伸度はフィルム弾性が30.0(N/10mm)、破断強度が21.0(N/10mm)、破断伸度が540%となるものを採用したところ、ガイドローラ等の外周に付着した汚れが確実かつ効率的に取り除かれたことが確認された。
【0026】
次に、エスカレータEにおいて、前記清掃用フィルム11を手摺ベルト2に貼着する方法およびこの清掃用フィルム11を用いて駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面に付着した汚れ(油分やこの油分を含む付着物(堆積物)等を除去する動作について説明する。
【0027】
まず、前記駆動機構6によるエスカレータEの駆動(移動)を停止する。この停止したエスカレータEの左右の手摺ベルト2のうち、前記ベルトガイド3に案内される部分、つまり図1に示す直線部分H(例えば、3〜6m)における手摺ベルト2の進行方向P側の所定長Lに亘って、図1および図4(a)に示すように、清掃用フィルム11を貼り付ける。
【0028】
ここで、清掃用フィルム11の長さLを複数に分割して、これらを所定間隔をおいて手摺ベルト2に貼り付けてもよい。この場合には、清掃用フィルム11が短くなった分、手摺ベルト2に対する貼り付け作業が容易になる、また、これらの分割された各清掃用フィルム11の粘着力を異ならせることで、汚れの程度または付着物の種類に応じた清掃が行える。
【0029】
この清掃用フィルム11の貼り付けに当たっては、まず、粘着材層13を手摺ベルト2の表面に所定長Lに亘って貼り付ける。これによりベースフィルム12上に粘着材層14および剥離シート15を持つ清掃用フィルム11が、図1、図3および図4(b)に示すように、手摺ベルト2の平面部2aに密接固定される。
【0030】
次いで、このように手摺ベルト2に固定された清掃用フィルム11上の剥離シート15を粘着材層14から剥し、さらにその両端部(手摺ベルト搬送方向の前後端部、小口)を、これに重なるように例えば2.5〜5.0cm幅の剥離防止フィルム7で接着固定する。この剥離防止フィルム7は、図3に示すように、基材が例えば60μm厚のウレタン系の樹脂またはゴム系のフィルム7aからなる。このフィルム7aには、清掃用フィルム11上面の粘着材層14およびこの清掃用フィルム11が重ねられない部位の手摺ベルト2上面に接着可能な粘着材層7bが塗布されている。この粘着材層7bは手摺ベルト2上面に対して剥離可能に接着される。
【0031】
剥離防止フィルム7は、このように清掃用フィルム11の手摺ベルト搬送方向の前後端部を、手摺ベルト2の表面に対し抑圧保持するように固定する。また、剥離防止フィルムは清掃用フィルムの両端を手摺ベルトにしっかりと固定するため、前記手摺ベルトを前後方向に繰り返し駆動させた際にも、清掃用フィルムが駆動ローラやガイドローラに巻き付くのを回避できる。
【0032】
図4(c)、(d)はこの剥離防止フィルム7による抑圧保持によって清掃用フィルム11が固定された状態を示す。このため、清掃用フィルム11の搬送駆動による駆動ローラ4やガイドローラ5の清掃作業中に、その清掃用フィルム11の前後端部が前記接触移動時にストレスを受けて手摺ベルト2から剥離することを確実に回避できる。なお、清掃用フィルム11を手摺ベルト2の表面に所定長に亘って貼り付ける作業や、剥離防止フィルム7を清掃用フィルム11の前後端部および手摺ベルト2の表面に対し抑圧保持するように貼着する作業等を含む一連の作業は、機器を用いて自動化することもできるが、必要に応じマニュアル作業とすることも可能である。
【0033】
このようにして手摺ベルト2に清掃用フィルム11を貼着固定した後は、エスカレータEの駆動機構6の作動を開始する。この作動開始によって、手摺ベルト2がステップ1下方の駆動ローラ(駆動輪)4、ガイドローラ5およびステップ1上方のベルトガイド3に案内されて搬送される。清掃用フィルム11が駆動ローラ4やガイドローラ5に対向する部分では、粘着材層14は駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面に強い押圧力で接触する。
【0034】
この強い押圧力を受けて、駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面に付着していた油分やその他の液体が粘着材層14によって吸着されて除去される。また、駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面に付着していた堆積物(固形物)は、粘着材層14自体の弾力性によって掻き取られるように吸着(転移)されて、廃棄される。
【0035】
この結果、駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面の前記油分や堆積物などが、人の手を煩わすことなく、強制的にかつ効率的に取り除かれる。この油分や堆積物除去のために、駆動ローラ4、ガイドローラ5および前記ベルトガイド3に沿って手摺ベルト2を、前記駆動機構によって複数回(例えば、3回)に亘って巡回搬送させてもよい。こうすることで、駆動ローラ4やガイドローラ5に固着した堆積物もさらに確実に取り除くことができる。
【0036】
そして、ガイドローラ5の外周面の付着物が除去されたことを確認したうえで、清掃用フィルム11がステップ上方のガイド3上に出てきた、例えば図1や図4(e)に示すような位置で、駆動機構6の作動を停止させる。そこで、剥離防止フィルム7を清掃用フィルム11とともに手摺ベルト2の表面から剥離して、廃棄する。この後は、前記駆動機構6を再稼動し、手摺ベルト2を巡回搬送させることで、清掃がなされたきれいな手摺ベルト2を持つエスカレータEとして、通常の運用を再開することができる。
【0037】
また、前記付着物(堆積物)が多く汚れが強い場合には、清掃用フィルム11を2〜3回程度交換して、前記のような手摺ベルト2の搬送を繰り返し行わせることで、前記付着物を駆動ローラ4およびガイドローラ5の外周から完全に除去することができる。
【0038】
さらに、前記汚れ吸着用の粘着材14を持つ清掃用フィルム11を、前記手摺ベルト2表面に、該手摺ベルト2の搬送方向の所定長に亘って着脱可能に貼着されるベースフィルム12と、該ベースフィルム12上に積層され、表面に弾性部材が形設された除去フィルム層とで構成することもできる。これにより、エスカレータEの駆動とともに移動する手摺ベルト2に貼り付けられた清掃用フィルム11の除去フィルム層が、その手摺ベルト2を移動案内するガイドローラの外周面に付着している付着物を弾き飛ばしたり、絡め取ったりすることで、作業者の作用負担を小さく抑えて、駆動ローラ4やガイドローラ5の外周面を簡単かつ迅速に清掃することができる。ここでは、前記弾性部材として様々な形態のブラシ部材を用いることができる。
【0039】
このように本実施形態のエスカレータ用ローラの清掃方法は、エスカレータEの駆動停止によって駆動ローラ4およびガイドローラ5によって搬送される手摺ベルト2を停止させ、停止した手摺ベルト2の表面に、この手摺ベルト2の表面の搬送方向の所定長に亘って、汚れ吸着用の粘着材層14を持つ清掃用フィルム11を剥離可能に貼着し、この貼着された清掃用フィルム11の両端部に重なるように、この両端部およびこの両端部付近に露出する手摺ベルト2の表面に剥離防止フィルム7を着脱可能に貼着し、前記停止中のエスカレータEの運転再開によって前記手摺ベルト2を搬送させ、前記駆動ローラ4およびガイドローラ6に付着した汚れを、前記手摺ベルト2に貼着された清掃用フィルム11の粘着材に吸着、除去させるという方法である。
【0040】
そして、このエスカレータ用ローラの清掃方法によれば、エスカレータEの駆動によって搬送される手摺ベルト2に貼り付けられた清掃用フィルム11の粘着材層14が、その手摺ベルト2を搬送案内する駆動ローラ4やガイドローラ6の外周面に付着している付着物を吸着または吸着するように掻き取る(絡め取る)ことで、作業員の作業負担を大きく軽減しながら、駆動ローラ4やガイドローラ6の外周面を確実かつ効率的に清掃することができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ガイドローラ等の取り外し作業をなくし、駆動ローラやガイドローラの外周面の汚れを効率的かつ確実に除去することができるという効果を有し、手摺ベルトの案内を司る駆動ローラやガイドローラの清掃に使用するエスカレータ用ローラの清掃方法等に有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 ステップ
2 手摺ベルト
3 ガイド
4 駆動ローラ
5 ガイドローラ
7 剥離防止フィルム
11 清掃用フィルム
12 ベースフィルム
13、14 粘着材層
15 剥離シート
E エスカレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータに設置されているガイドレール上を、複数個のガイドローラの駆動で摺動する無端状の手摺ベルトの該ガイドローラ外周面に付着する付着物を除去する清掃する方法であって、
前記駆動ローラおよび前記ガイドローラによって搬送される手摺ベルトを停止させる工程と、
前記停止した手摺ベルトの表面に、該手摺ベルト表面の搬送方向の所定長に亘って、汚れ吸着用の粘着材を持つ清掃用フィルムを剥離可能に貼着する工程と、
この貼着された清掃用フィルムの両端部を剥離防止フィルムで一部重合せて着脱可能に貼着する工程とからなり、
前記手摺ベルトを前後方向に駆動させ、前記剥離防止フィルムで前記清掃用フィルムがガイドローラに巻き付くのを防止するとともに、前記清掃用フィルムの粘着力で前記ガイドローラに付着した汚れを、前記清掃用フィルムの粘着材に吸着させることを特徴とするエスカレータ用ガイドローラの清掃方法。
【請求項2】
前記汚れ吸着用の粘着材を持つ清掃用フィルムが、
前記手摺ベルト表面に、該手摺ベルトの搬送方向の所定長に亘って着脱可能に貼着されるベースフィルムと、
該ベースフィルム上に積層され、表面に弾性部材が形設された除去フィルム層とで構成されることを特徴とする請求項1記載のエスカレータ用ガイドローラの清掃方法。
【請求項3】
前記汚れ吸着用の粘着材を持つ清掃用フィルムが、
前記手摺ベルト表面に、該手摺ベルトの搬送方向の所定長に亘って着脱可能に貼着されるベースフィルムと、
該ベースフィルム上に積層するように設けられた不織布層と、
該不織布層に隣り合うように前記ベースフィルム上に積層され、表面に弾性部材が形設された除去フィルム層とで構成されることを特徴とする請求項1記載のエスカレータ用ガイドローラの清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−11843(P2011−11843A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155851(P2009−155851)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(593198669)有限会社ビステック (6)
【出願人】(508055364)株式会社ビデカ (2)
【Fターム(参考)】