説明

エステルの製造方法

本発明は、無機リン(I)化合物とチタン酸エステルを含んで成る触媒存在下、エステル化反応を行うことにより、有機カルボニル化合物とアルコールからエステルを製造する方法に関する。本発明の製造方法は、初めに有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物を一緒に混合することにより行われ、得られる混合物を濾過した後、アルコールとチタン酸エステルを、濾過した混合物に加えることで、エステル化反応が行われる。本発明の方法は、高いエステル化度を有し着色の少ないエステルへの、(ポリ)脂肪酸又は(ポリ)ヒドロキシ脂肪酸のエステル化反応に特に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステルの製造方法に関し、より特には、脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸とアルコール又はポリオールとのエステルであって、例えば化粧品又は医薬品の添加物(又は添加剤)として使用されるエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのエステル化反応、とりわけ、脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸のエステルの製造に伴う問題は、エステル化度がしばしば十分に高くないことと得られる生成物が黄色から茶色がかっていることである。エステル化度と変色は、とりわけ、使用するエステル化触媒に依存する。従って、酸触媒は、通常、淡色の生成物を生ずるが、エステル化度は不満足であり、塩基触媒は、浅黒い生成物を生ずるが、エステル化度は高い。
【0003】
例えば、EP 0 000 424 B1 は、ポリマーモノカルボン酸、例えばポリ−(12−ヒドロキシステアリン酸)と、アルコール、例えばポリエチレングリコールとのエステル化を開示する。とりわけ、テトラブチルチタネートが、エステル化触媒として、記載されている。しかし、得られるヒドロキシ脂肪酸のエステルは、色について不満足である。
【0004】
ポリマーエステルの変色を減らすために、複数の化合物の組み合わせから成る触媒も提案されている。米国特許 US 6080834、US 6166170、US 6255441 は、ポリエステル、特にポリアルキレンテレフタレートの製造に使用し得る触媒組成物に関する。触媒組成物は、チタン化合物とリン化合物とを、錯化剤の存在下反応させることで得られる。適するチタン化合物は、テトラアルキルオルトチタネートである。リン化合物は、リンの酸、例えば、次亜リン酸であってよい。しかし、上述の触媒組成物を、脂肪酸、特にヒドロキシ脂肪酸とアルコール、例えばポリオールとのエステル化のために用いると、得られるエステルは、エステル化度についても着色についても不満足である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明が取り扱う課題は、着色は最小限でありながら、高いエステル化度を有するエステルの製造方法を提供することである。本発明の製造方法は、上述の特性を有する、脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸とアルコールとのエステル化生成物の製造に特に適する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある一連の製造工程を維持するとの条件下で、無機リン(I)化合物とチタネートを含む触媒を用いて、極めて着色が少なく高いエステル化度を有する、有機カルボニル化合物とアルコールとのエステルを製造することができることが、今回驚くべきことに見出された。
【0007】
従って、本発明は、無機リン(I)化合物とチタネートを含む触媒の存在下、エステル化反応を行うことによる、有機カルボニル化合物とアルコールとのエステルの製造方法であって、有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物を最初に混合し、得られる混合物を濾過した後、アルコールとチタネートを濾過した混合物に加えて、エステル化反応を行うことを特徴とする製造方法に関する。
【0008】
触媒組成物を、最初に無機リン(I)化合物、チタネート及び錯化剤から調製した後、酸とアルコールとの反応混合物に加える既知の方法と異なり、本発明の製造方法では、触媒組成物を、互いに別々に、異なる段階で加える。有機カルボニル化合物を無機リン(I)化合物で初めに予め処理した後、得られる混合物を濾過する。いずれの特定の理論にも制限されることなく述べると、本発明の手順の長所は、おそらく、リン(I)化合物を用いる前処理とその後の濾過が、有機カルボニル化合物の精製をもたらすことであろう。これは、チタネートの存在下、濾液とアルコールとの次の反応で得られるエステルの変色をもたらし得る不純物のレベルを減らす。実際のエステル化反応において追加の触媒成分としてチタネートの存在は、要求される高いエステル化度を、結局もたらす。従って、概して、極めて着色は少ないが、高いエステル化度を有する生成物を、本発明に基づく方法で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
有機カルボニル化合物
本発明の方法は、特定のエステルの製造に制限されるものではない。基本的に、いずれかのエステル化可能な有機カルボニル化合物を使用してもよく、カルボン酸又はカルボン酸誘導体、より特にはカルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド又はカルボン酸エステル等が含まれる。以後、エステル化反応の出発物質として、通常カルボン酸を記載した場合はいつでも、対応する酸の上述した誘導体が、いつでも含まれると理解するべきである。
【0010】
本発明の方法は、8〜22、好ましくは12〜18の炭素原子を含む脂肪酸成分を有する脂肪酸エステルを製造するために特に適する。カルボニル成分は置換されていてもよい。本発明の方法は、例えばヒドロキシ脂肪酸、例えば脂肪酸部分に8〜22、好ましくは12〜18の炭素原子を有するもののエステル化反応に、特に有利に使用できる。本発明のエステル化方法の出発化合物として、12−ヒドロキシステアリン酸が特に適する。
【0011】
上述したモノマーの脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸は、対応するポリ脂肪酸又はポリヒドロキシ脂肪酸、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の自己縮合度(degree of self-condensation)を有するものによって置き換えてもよい。有機カルボニル化合物のこの群の好ましい例は、ポリ−12−ヒドロキシステアリン酸である。
【0012】
ポリ−12−ヒドロキシステアリン酸のエステルは、例えば化粧品の乳化剤として使用される。それらは、例えば、「Dehymuls(登録商標)PGPH」、「Eumulgin(登録商標)VL75」(重量比1:1の Coco Glucoside との混合物)又は「Dehymuls(登録商標)SBL」という商品名で、独コグニス社(Cognis Deutschland GmbH & Co. KG)から市販されている組成物中に存在する。ポリオールポリヒドロキシステアレートも、 EP 0 766 661 B1 に記載されている。これらの化合物は、本発明の方法で、製造することもできる。
【0013】
アルコール
しかし、本発明の方法は、エステル化反応の出発成分の一として、EP 0 766 661 B1 に記載のアルコールに制限されるものではない。基本的に、いずれのモノアルコール及び多価アルコールを用いてもよい。エステル化反応は、ポリオールを用いて行うことが好ましい。2〜12、より特には2〜8の水酸基を含むポリオールが好ましい。特に好ましいポリオールは、ポリアルキレングリコール、より特にはポリエチレングリコール、グリセロール及びポリグリセロールである。
【0014】
本発明の方法で使用される有機カルボニル化合物とアルコールの量は特に制限されるものではなく、これらの出発成分のエステル化反応の典型的な範囲であってよい。水酸基の完全なエステル化が可能である他、その部分的なエステル化も可能である。有機カルボニル化合物とアルコールとの適するモル比は、例えば1:1〜30:1、より特には1:1〜20:1であり、特に好ましい態様では1:1〜15:1である。
【0015】
チタネート
基本的に、チタネートは、エステル化触媒として既に既知のいずれかのチタネートから選択することができる。本発明に基づくと、アルコールとエステルを形成することができるチタネートが好ましい。好ましいチタネートは、テトラアルキルオルトチタネート、より特にはテトライソプロピルチタネート及びテトラブチルチタネートである。チタネートの適する量は、反応混合物中の有機カルボニル化合物、アルコール及び触媒の全量を基準として、例えば0.01〜0.1重量%である。あまりに多量のチタネートを用いると、得られるエステルの望ましくない変色がもたらされ、あまりに少量のチタネートでは、エステル化反応が遅くなりすぎる。
【0016】
リン(I)化合物
基本的に、エステル化触媒として既に既知のいずれかのリン(I)化合物から、リン(I)化合物を選択してもよい。本発明に基づくと、好ましいリン(I)化合物は、リン(I)の酸(即ち、ホスフィン酸、次亜リン酸)又はリン(I)の酸の塩(ホスフィン酸塩、次亜リン酸塩)である。リン(I)化合物の適する量は、反応混合物中の有機カルボニル化合物、アルコール及び触媒の全量を基準として、0.1〜1重量%である。
【0017】
本発明の方法の第一工程において、有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物を、20〜220℃の温度で、好ましくは60〜180℃の温度で、より特には80〜120℃の温度で、少なくとも20分間混合する。混合時間は、温度に依存し、典型的には15〜180分間である。80〜120℃の温度で、30〜60分の混合時間が好ましい。
【0018】
無機塩基
濾過工程の前に、有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物との混合物に、無機塩基を加えると、得られるエステル化生成物の着色に関して、特に良好な結果が達成される。特に好ましい態様において、無機塩基は、塩基性の塩、より特には例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のカーボネート(又は炭酸塩)である。無機塩基を十分な量加えて、リン(I)化合物を実質的に完全に中和することが好ましい。従って、使用するリン(I)化合物と当量で、無機塩基を加えることが好ましいが、リン(I)化合物に対して過剰に、無機塩基を加えてもよい。
【0019】
無機塩基を加える長所は、おそらく、一方では、予備的な中和の結果として、反応混合物が次のエステル化工程でそれほど酸性にならないことであり、その結果、高いエステル化度を達成することができるということである。他方では、無機塩を加えると、塩はおそらく濾過助剤として作用し、従って、濾過工程の精製効果を高める。
【0020】
濾過助剤
無機塩の添加とは別に、又は無機塩の添加に加えて、濾過工程の前に、有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物の混合物に、濾過助剤を加えてよい。基本的に、例えば、漂布土(又は酸性白土)等のいずれかの穏やかなアルカリ性〜穏やかな酸性の既知の濾過助剤が適する。適する濾過助剤は、例えば、「ハイフロー(Hyflow)(登録商標)スーパーセル(Supercel)」(マニヴィル社:Manville Corp.)又は「トンシル(Tonsil)(登録商標)スタンダード(Standard)」(シュードヘミー社:Suedchemie)の商品名で市販されている。これらの濾過助剤は、濾過工程の精製効果を向上し、従って、最終生成物の着色を減少させる方向に寄与する。
【0021】
本発明の方法は、溶融(もしくは融解)相又は溶液で行ってよい。コストと環境の観点から、本発明の方法は、溶融して行うことが好ましい。しかし、反応は、非極性、不活性な有機溶媒中で行ってもよい。特に好ましい溶媒は、エステル化で形成する水と、沸点低下を伴って共沸混合物を形成するもの、例えばトルエン、キシレン等である。本発明に基づくエステル化方法で選択される特定の手順は、選択される抽出物(又は遊離体)によって、主に定められる。適する方法のパラメーターの選択、例えば適する溶媒の選択及び反応温度の選択は、原則、当業者に周知である。
【0022】
最終生成物の変色を最少にするために、本発明の方法の間に選択されるエステル化温度は、可能な限り低い。溶融して行われる場合、エステル化反応は、240℃以下の温度で行うことが好ましく、より特には180〜220℃の温度で行うことが好ましい。リン(I)化合物としてリン(I)の酸又はその塩を用いる場合、本発明の方法のエステル化工程にて、約170℃より高い温度では、すばやい変色が通常認められる。これは、おそらく、最終的に反応混合物の脱色(又は漂白)をもたらすホスファン及びリン酸を−中間段階を経て−形成するリン(I)酸の分解に起因する。
【0023】
もし、エステル化工程の間に、反応混合物を最大の反応温度にゆっくり加熱して、水を連続的に除去すると、特に良好な結果が得られる。これは、有機カルボニル化合物としてヒドロキシ脂肪酸を使用する場合に著しい。あまりに素早い温度の上昇は、ヒドロキシ脂肪酸からの水の脱離をもたらし得、従って、反応混合物中に望ましくない不飽和脂肪酸の形成をもたらし得る。
【0024】
反応−エステル化反応そのもの又は反応全体−を、不活性ガスの雰囲気下で、例えば窒素又はアルゴン下で、行うことによって、最終生成物の品質を向上することができる。
下記の例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0025】
例1
ポリエチレンングリコールポリヒドロキシステアレートの合成
5gのリン(I)酸(50%)を、726.8g(2.37モル)の12−ヒドロキシステアリン酸に加え、90℃で1時間攪拌した。8gの炭酸ナトリウムと5gのハイフロー(登録商標)スーパーセルを加えた後、熱い混合物を濾過した。273.2g(0.18モル)のポリエチレンングリコール1500と0.4gのタイザー(Tyzor)(登録商標)TPTを濾液に加えた。反応混合物を、不活性ガス(窒素)雰囲気下にて、ゆっくり2時間かけて190℃に加熱し、更に18時間減圧下にてエステル化した。その間、温度を徐々に210℃に上昇させ、水を連続的に除去した。約100℃に冷却し、濾過した後、生成物を濾液として得た。
【0026】
生成物の酸価は8、ヨウ素価は2、ハーゼン色数(Hazen color value)は100であった。本発明に基づく方法を用いると、特に淡色(又は明るい色)で概して臭気のない生成物を得ることができる。
【0027】
例2
ポリエチレンングリコールポリヒドロキシステアレートの合成
0.4gのタイザー(登録商標)TPTの代わりに、0.4gのタイザー(登録商標)TBTを用いた以外は、例1と同様の手順を行った。
生成物の酸価は8、ヨウ素価は2、ハーゼン色数は100であった。
【0028】
比較例1
ポリエチレンングリコールポリヒドロキシステアレートの合成
672g(2.19モル)の12−ヒドロキシステアリン酸、328.3g(0.219モル)のポリエチレングリコール1500及び0.2gのTi(OBu)を窒素下240℃に加熱した。水の排出が終了した後、減圧し、更に酸価が減少しなくなるまで、縮合反応を続けた。100℃に冷却し、0.5%の濾過助剤(ハイフロー(登録商標)スーパーセル)を加えた後、生成物を濾過した。
【0029】
生成物(濾液)の酸価は9.5であり、暗褐色であった。ハーゼン色数もガードナー(Gardner)色数も、測定することができなかった。
【0030】
比較例2
ポリエチレンングリコールポリヒドロキシステアレートの合成
754.3g(2.46モル)の12−ヒドロキシステアリン酸及び245.8g(0.164モル)のポリエチレングリコール1500を窒素下240℃に加熱した。水の排出が終了した後、減圧し、更に酸価が減少しなくなるまで、縮合反応を続けた。120℃に冷却し、0.5%の濾過助剤(ハイフロー(登録商標)スーパーセル)を加えた後、濾過して、生成物を濾液として得た。
【0031】
生成物の酸価は23であり、暗褐色であった。ハーゼン色数もガードナー色数も、測定することができなかった。
【0032】
比較例3
506g(1.65モル)の12−ヒドロキシステアリン酸、494g(0.165モル)のポリエチレングリコール3000及び5g(0.038モル)のHPO(50%)を窒素下240℃に加熱した。水の排出が終了した後、減圧し、更に酸価が減少しなくなるまで、縮合反応を続けた。その後、触媒を炭酸ナトリウムで中和した。このために、理論量の2倍のNaCO(無水)(酸価から計算)を、80℃の生成物に加えた。0.5%の濾過助剤(ハイフロー(登録商標)スーパーセル)を加えた後、塩を濾別した。生成物を濾液として得た。
【0033】
生成物(濾液)の酸価は26であり、淡褐色であった。ハーゼン色数もガードナー色数も、測定することができなかった。
【0034】
比較例4
ポリエチレンングリコールポリヒドロキシステアレートの合成
711g(2.316モル)の12−ヒドロキシステアリン酸を80℃に加熱した後、0.5gのHPOを加えた。160℃で30分後、289g(0.193モル)のポリエチレングリコール1500を、更に30分後、0.4gのTi(OBu)を、窒素下にて加え、全体を210℃に加熱した。水の排出が終了した後、減圧し、更に酸価が減少しなくなるまで、240℃で縮合反応を続けた。120℃に冷却し、0.5%の濾過助剤(ハイフロー(登録商標)スーパーセル)を加えた後、濾過して、生成物を濾液として得た。
【0035】
生成物の酸価は11.1であり、暗褐色であった。ハーゼン色数もガードナー色数も、測定することができなかった。
【0036】
例3
ポリエチレンングリコールポリヒドロキシステアレートの合成
5gの次亜リン酸を、893.6g(2.91モル)の12−ヒドロキシステアリン酸に加えた後、90℃で1時間攪拌した。2gの炭酸ナトリウムと5gの濾過助剤(ハイフロー(登録商標)スーパーセル)を加えた後、熱い混合物を濾過した。
【0037】
106.4g(0.64モル)のポリグリセロールと0.4gのテトラブチルチタネートを濾液に加えた。不活性ガス雰囲気下、反応混合物をゆっくり190℃に2時間かけて加熱し、水を連続的に除去した後、210℃に加熱して、もはや酸価が減少しなくなるまで、減圧下、18時間縮合した。約100℃に冷却し、生成物を濾液として得た。
【0038】
生成物の酸価は0.8、ヨウ素価は5.3であり、明るいベージュ色であった。ガードナー色数は、2.1であり、ハーゼン色数は299であった。
【0039】
付録
1)ハイフロー(Hyflow)(登録商標)スーパーセル(Supercel)
INCI:キーゼルグル(Kieselgur)
製造者:マンヴィル・コーポレーション(Manville Corporation)、米国
2)タイザー(Tyzor)(登録商標)TBT
INCI:テトラブチルチタネート
製造者:E.I. du Pont de Numerous and Company、ウィルミントン、デラウエア州、米国
3)タイザー(Tyzor)(登録商標)TPT
INCI:テトライソプロピルチタネート
製造者:E.I. du Pont de Numerous and Company、ウィルミントン、デラウエア州、米国


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機リン(I)化合物とチタネートを含む触媒の存在下、エステル化反応を行うことによって、有機カルボニル化合物とアルコールとのエステルを製造する方法であって、
(1)有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物を一緒に混合し、
(2)得られる混合物を濾過し、及び
(3)アルコールとチタネートを濾過した混合物に加えてエステル化反応を行うこと
を特徴とする製造方法。
【請求項2】
有機カルボニル化合物として、カルボン酸、より特には8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を含む脂肪酸を用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
有機カルボニル化合物として、ヒドロキシ脂肪酸、より特には8〜22、好ましくは12〜18の炭素原子を含むヒドロキシ脂肪酸、より特には12−ヒドロキシステアリン酸を用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
有機カルボニル化合物として、2〜20、より特には2〜10の自己縮合度を有するポリ脂肪酸又はポリヒドロキシ脂肪酸を用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
アルコールとして、ポリオール、より特にはポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール又はこれらの物質の混合物を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
使用するチタネートは、使用するアルコールとエステルを形成することができるチタネートであり、より特にはテトラアルキルオルトチタネートであり好ましくはテトライソプロピルチタネート又はテトラブチルチタネートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
有機カルボニル化合物、アルコール及び触媒の全量を基準として、チタネートを0.01〜0.1重量%の量で使用することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
リン(I)化合物としてリン(I)酸又はその塩を使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
有機カルボニル化合物、アルコール及び触媒の全量を基準として、リン(I)化合物を、0.1〜1重量%の量で使用することを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
濾過工程(2)の前に、無機塩基、好ましくは塩基性の塩、より特にはカーボネートを、有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物を含む混合物に加えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
無機塩基を、十分な量加えて、リン(I)化合物を実質的に完全に中和することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
反応工程(1)において、有機カルボニル化合物と無機リン(I)化合物を、少なくとも20分間、20〜220℃の温度で、好ましくは60〜180℃の温度で、より特には80〜120℃の温度で混合することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
反応を、溶融して、又は非極性、不活性有機溶媒中で、好ましくは沸点低下を伴って水と共沸混合物を形成するものの中で行うことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
エステル化反応を、240℃以下の温度、より特には180〜220℃の温度で溶融して行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
少なくともエステル化反応を不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。


【公表番号】特表2006−505598(P2006−505598A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548812(P2004−548812)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012044
【国際公開番号】WO2004/041769
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】