エッジオーバーコート防止装置及びそれを用いた電気めっき材の製造方法
【課題】電気めっき時のエッジオーバーコートを防止すると共に、補助陰極上に析出しためっき被膜との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、めっき被膜の被めっき材への噛み込みをなくしたエッジオーバーコート防止装置及びそれを用いた電気めっき材の製造方法を提供する。
【解決手段】エッジオーバーコート防止装置6は被めっき材20を電気めっきする際に用いられ、被めっき材に対向して配置される絶縁体2と、絶縁体を挟んで被めっき材の近傍に配置される補助陰極4とを備え、補助陰極の外周縁が絶縁体の外周縁より内側に位置する。
【解決手段】エッジオーバーコート防止装置6は被めっき材20を電気めっきする際に用いられ、被めっき材に対向して配置される絶縁体2と、絶縁体を挟んで被めっき材の近傍に配置される補助陰極4とを備え、補助陰極の外周縁が絶縁体の外周縁より内側に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁シールド用銅箔等の被めっき材を電気めっきする際、エッジオーバーコートを防止する装置及びそれを用いた電気めっき材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気めっきは、被めっき材の表面に両面・片面を問わず、金属の被膜を形成する表面処理方法として一般的に行われている方法である。ところが、従来から、金属ストリップ等の被めっき材の端部に電流が集中してめっき量が多くなる、いわゆるエッジオーバーコートが問題となっている。そこで、エッジオーバーコートを防止するため、金属ストリップの端部にエッジマスクを対向させ、めっき電流を物理的に遮蔽する技術が開示されている(特許文献1、2参照)。
また、アノードの端部にアノードマスクを設け、めっき電流を物理的に遮蔽する技術が開示されている(特許文献3参照)。
さらに、金属ストリップの両端近傍に補助電極を配置し、補助電極を金属ストリップと同一極性の電源に接続する技術が開示されている(特許文献4参照)。補助電極により、主電極と補助電極との間にも電流が分流し、金属ストリップの両端への電流集中を防止することができる。
【0003】
【特許文献1】実開昭60−117863号公報
【特許文献2】特開平8−239796号公報
【特許文献3】特開平6−306695号公報
【特許文献4】特開昭62−202096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エッジマスクを用いる方法の場合、十分な効果を発揮するためにはエッジマスクを被めっき材両端にかなり近接させる必要があり、被めっき材の蛇行などによってエッジマスクと被めっき材が衝突し、被めっき材の折れやシワが発生する可能性がある。特に、板厚の薄い(例えば、6〜100μm)銅箔等にめっきする場合に、折れが生じ易い。
さらに、銅箔等を予め樹脂フィルムで片面をラミネートした後に電気めっきに供される片面めっきの場合、両面めっきと異なり、エッジマスクを用いてもエッジオーバーコートを防止できないことがある。つまり、両面めっきや、ラミネート無しの片面めっきであれば、アノードからの電流は、ストリップ対向面だけでなく、エッジマスクの外側を経由してストリップの裏面にも回り込み、裏面のめっきに電流が消費される。ところが、図11に示すようにストリップの裏面200bが絶縁体(例えば樹脂ラミネート)である場合、裏面200bに回り込んだ電流は、裏面200bがめっきされないためにエッジマスク300内側を経由し、ストリップの上面200a端部をめっきし、エッジオーバーコートを生じる。
なお、図11の主電極100から延びる矢印は、電気力線を示す。又、ストリップ200は幅方向の中心線Cを中心に対称であるので、中心線より左側のみ示す。
【0005】
また、アノードの側端と裏面(ストリップの対向面の反対面)をアノードマスクで覆う方法を用いても、上記した片面ラミネート材を電気めっきする場合には、エッジオーバーコートを防止できないことがある。これは、アノードマスク外側に回りこんだ電流が被めっき材の端部に集中しエッジオーバーコートを生じるためである。
【0006】
一方、補助電極を用いる方法の場合、エッジ部に集中する電流をトラップする効果により、エッジオーバーコートを有効に防止することができる。しかし、補助電極に付着及び成長しためっき被膜と、被めっき材とが衝突し、被めっき材の折れやシワが発生したり、補助電極上のめっき被膜を被めっき材が噛み込む可能性がある。これは、長時間めっきを行うと、補助電極に析出したSnめっき皮膜がストリップ端部に向かって伸び、両者の間隔が縮まってストリップと接触することに起因する。特に、上記した板厚の薄い銅箔等を被めっき材に用いる場合、折れやめっき被膜の噛み込むによる歩留り低下が起きやすい。
なお、特許文献2記載の技術は、エッジマスク内側に補助電極(陽極)を配置するものであるが、この方法の場合、主電極に重畳して補助電極からめっきが施されるため、被めっき材の端部のソリや蛇行に応じて補助電極の電流を調整する必要があり、現実的な方法として採用し難い。
【0007】
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、電気めっき時のエッジオーバーコートを防止すると共に、補助陰極上に析出しためっき被膜との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、めっき被膜の被めっき材への噛み込みをなくしたエッジオーバーコート防止装置及びそれを用いた電気めっき材の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のエッジオーバーコート防止装置は被めっき材を電気めっきする際に用いられ、前記被めっき材に対向して配置される絶縁体と、前記絶縁体を挟んで前記被めっき材の近傍に配置される補助陰極とを備え、前記補助陰極の外周縁が前記絶縁体の外周縁より内側に位置する。
【0009】
このように、補助陰極と被めっき材との間に絶縁体を配置すると、補助陰極によってエッジオーバーコートが防止されるだけでなく、絶縁体が邪魔になるため補助陰極に析出しためっき金属が成長して被めっき材に達する(接触する)ことが防止される。そのため、補助陰極に付着及び成長しためっき金属との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、補助陰極上のめっき被膜を被めっき材が噛み込むこともなくなる。
特に、被めっき材が銅箔等の薄い材料であると強度が低いために、折れやシワが生じ易く、本発明が有効である。又、片面めっき材の場合、エッジマスクを用いても、電流が非めっき面側からエッジマスク内側を経由して被めっき材の端部に流れ、エッジオーバーコートを生じるが、補助陰極で電流を消費させることでエッジオーバーコートを有効に防止できる。
さらに、絶縁体の外周縁が補助陰極の外周縁より外側に張り出しているため、補助陰極に析出しためっき金属の成長方向は、被めっき材から離れた方向へ向かう。そのため、めっき金属と被めっき材との接触がより一層防止される。
【0010】
前記絶縁体が前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置されていてもよい。
前記被めっき材はストリップであり、前記絶縁体の一部が前記被めっき材の端部より内側に延びて該端部を覆うエッジマスクを構成していてもよい。
前記被めっき材の片面が絶縁性であってもよい。
【0011】
前記補助陰極と前記被めっき材との間隔を調整する間隔調整手段、及び/又は前記補助陰極の電流を調整する電流調整手段を有してもよい。
このようにすると、エッジオーバーコートを防止する効果と、補助陰極へのめっき金属の析出防止効果を適度に両立できる。又、補助陰極と被めっき材との間隔及び/又は補助陰極の電流を調整することにより、エッジオーバーコートが生じない最適の電流分布が得られる。
【0012】
前記電流調整手段は、前記被めっき材に印加される電流と独立して前記補助陰極の電流を調整可能であることが好ましい。
このようにすると、補助陰極によるめっき電流の制御がより精度よく行え、エッジオーバーコートと補助陰極へのめっき金属の析出をさらに有効に防止できる。又、過剰の電流が補助陰極に流れることを防止するため、めっき液中の金属イオンの消費を抑制し、めっき液の消耗が低減される。
【0013】
前記補助陰極は前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置され、前記電流調整手段は各補助陰極の電流をそれぞれ独立して調整可能であると好ましい。
このようにすると、両端の補助陰極の電流密度をそれぞれ変化できるため、被めっき材の蛇行等によって片方の被めっき材端部のみエッジオーバーコートが発生することを防止できる。
【0014】
被めっき材に対向するアノードにアノードマスクを備えると好ましい。
このようにすると、補助陰極とアノードマスクを併用することにより、アノードマスクが裏に回り込む電流を少なくするので、補助陰極の電流密度をさらに低下させることができる。
【0015】
本発明の電気めっき材の製造方法は、被めっき材に対向して絶縁体を配置し、前記絶縁体を挟んで前記被めっき材と反対側に補助陰極を配置し、かつ前記補助陰極の外周縁を前記絶縁体の外周縁より内側に位置させ、前記被めっき材と前記補助陰極とをカソードとして前記被めっき材に電気めっきする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気めっき時のエッジオーバーコートを防止すると共に、補助陰極上に析出しためっき被膜との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、めっき被膜の被めっき材への噛み込みをなくすことができる。特に、樹脂フィルムで片面をラミネートした片面めっき材である銅箔等の薄い材料をめっきする際に本発明は有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置について説明する。
図1に本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置を含む連続電気めっき装置の全体構成の一例を示す。但し、本発明のエッジオーバーコート防止装置は、図1に示す縦型めっき装置の他、横型、ドラム型等全てのめっき装置に適用できる。
連続電気めっき装置50は、めっき液を収容するめっき槽45、めっき槽45上の通電ロール30及びアッパーロール34、めっき槽45内に配置されたシンカーロール32を備え、銅箔ストリップ20を通電ロール30からシンカーロール32を経由してアッパーロール34へ張り渡し、銅箔ストリップ20を連続的に走行させてめっき槽45へ出入させるようになっている。又、通電ロール30とシンカーロール32の間に張り渡された銅箔ストリップ20の外側に対向して主電極(アノード)10が垂直に配置され、同様に、アッパーロール34とシンカーロール32の間に張り渡された銅箔ストリップ20の外側に対向して他の主電極(アノード)10が垂直に配置されている。
【0018】
そして、通電ロール30と主電極(アノード)10間に接続された主電源(整流器)5により、カソードとなる銅箔ストリップ20が電気めっきされる。なお、この実施形態においては、連続電気めっき装置50は銅箔ストリップ20の片面を電気めっきするようになっていて、主電極(アノード)10としては、例えばSnが用いられる。又、銅箔ストリップ20の片面(裏面)20bに樹脂(PET;ポリエチレンテレフタレート)フィルムがラミネートされ、表面20aは銅が表出している。
さらに、それぞれの主電極10に対向する銅箔ストリップ20の両端の近傍には、該両端に対向してエッジオーバーコート防止装置6が配置されている。エッジオーバーコート防止装置6は後述する補助陰極を備え、通電ロール30と補助陰極の間に接続された補助電源(整流器)42により、補助陰極がカソードとなる。
エッジオーバーコート防止装置6は、銅箔ストリップ20の両端に沿って垂直に長尺状に延び、銅箔ストリップ20の厚みより外側に張り出している。エッジオーバーコート防止装置6の下端は主電極10の下端より下側に延び、エッジオーバーコート防止装置6の上端はめっき液面より浮上している。
【0019】
図2は、図1の紙面方向に平行な面で銅箔ストリップ20を幅方向に切断したときの、本発明の第1の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置の部分断面図である。銅箔ストリップ20は幅方向の中心線Cを中心に左右対称であるので、中心線から左側端部までの領域のみを示す。
図2において、銅箔ストリップ20の左端に対向して絶縁体2が配置され、絶縁体2を挟んで銅箔ストリップ20と反対側に補助陰極4が配置されている。そして、絶縁体2と補助陰極4とによってエッジオーバーコート防止装置6が構成されている。
絶縁体2は断面がコ字状をなし、コ字の2つの延長部分2Lの先端が銅箔ストリップ端部20cより内側にそれぞれ位置し、該端部20cの表裏面を覆うことにより、エッジマスクを構成する。絶縁体2のコ字基部の面は、銅箔ストリップ20の幅方向(及び端面)に垂直になっている。
又、厚肉板状の補助陰極4は絶縁体2のコ字基部の裏面(銅箔ストリップ20に対向する面と反対面)に密着し、補助陰極4の外周縁が絶縁体2のコ字基部の外周縁より内側に位置している。この補助電極は外周縁が絶縁体2のエッジマスクの外周縁より内側に位置していることを特徴とし、エッジマスクの形状および位置には影響を受けない。
【0020】
このように、補助陰極と被めっき材(銅箔ストリップ20)との間に絶縁体を配置すると、補助陰極によってエッジオーバーコートが防止されるだけでなく、絶縁体が邪魔になるため補助陰極に析出しためっき被膜が成長して被めっき材に達する(接触する)ことが防止される。そのため、補助陰極に付着及び成長しためっき被膜との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、補助陰極上のめっき被膜を被めっき材が噛み込むこともなくなる。
特に、被めっき材が銅箔等の薄い材料であると強度が低いために、折れやシワが生じ易く、本発明が有効である。又、片面めっき材の場合、上記図9で説明したように、エッジマスクを用いても、電流が非めっき面側からエッジマスク内側を経由して被めっき材の端部に流れ、エッジオーバーコートを生じるが、補助陰極で電流を消費させることでエッジオーバーコートを有効に防止できる。
【0021】
さらに、本発明においては、絶縁体の外周縁が補助陰極の外周縁より外側に張り出しているため、補助陰極に析出しためっき被膜(電着粒等)の成長方向Dは、被めっき材から離れた方向へ向かう。そのため、めっき被膜と被めっき材との接触がより一層防止される。
補助陰極4の形状は特に限定されず、例えば円筒状、棒状、箔状、板上等とすることができるが、補助陰極4の体積が小さいほど、補助陰極4に析出するめっき量が少なくなり、めっき液中のめっき金属濃度を低下させないので、補助陰極4の体積が小さい方がよい。
補助陰極4は、導電性の材料であれば特に限定されないが、再処理を考慮するとめっき金属と同一の材料とすることが好ましい。
絶縁体2をエッジマスクとする場合、エッジマスクの断面形状は特に限定されないが、コ字状とすると被めっき材と衝突し難くなるので好ましい。
絶縁体2の材質は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等とすることができる。
なお、本発明においては、絶縁体を挟んで被めっき材と反対側に補助陰極が配置されている限り、絶縁体の形状も限定されず、絶縁体と補助陰極の位置関係も限定されない。
又、本発明において、絶縁体が被めっき材に「対向して」配置されるとは、被めっき材に面している限りあらゆる位置を含む。例えば、被めっき材が帯(板)状のストリップの場合、板面に絶縁体が対向してもよく、板の端部(エッジ)に絶縁体が対向してもよい。但し、エッジオーバーコートを有効に防止する点では、被めっき材が帯(板)状の場合には板の端部(エッジ)に絶縁体が対向する(図2、図3のように)のが好ましい。
【0022】
次に、本発明の第2の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置について、図2と同様な断面図3により説明する。図3に示すように、第2の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置6Bは、絶縁体2Bの形状が異なること以外は、第1の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置と同様であるので、同一部分を同一符号を付して省略する。
図3において、絶縁体2Bは板状をなし、絶縁体2Bの裏面(銅箔ストリップ20に対向する面と反対面)に補助陰極4が密着し、補助陰極4の外周縁が絶縁体2Bの外周縁より内側に位置している。絶縁体2Bの面は、銅箔ストリップ20の幅方向(及び端面)に垂直になっている。
【0023】
第2の実施形態においても、補助陰極と被めっき材との間に絶縁体が配置されているため、補助陰極によってエッジオーバーコートが防止されるだけでなく、補助陰極に析出しためっき被膜が成長して被めっき材に達する(接触する)ことが防止される。そして、補助陰極でめっき電流を消費させることで、エッジオーバーコートを防止できる。
さらに、第2の実施形態においても、絶縁体の外周縁が補助陰極の外周縁より外側に張り出しているため、補助陰極に析出しためっき被膜の成長方向Dは、被めっき材から離れた方向へ向かう。そのため、めっき被膜と被めっき材との接触がより一層防止される。
【0024】
次に、補助陰極の電流制御について説明する。詳しくは後述する実施例で説明するが、本発明者らが鋭意検討した結果、エッジオーバーコートの発生は、補助陰極の電流密度、及び補助陰極と被めっき材との間隔によって大きく影響を受けることが判明した。まず、補助陰極と被めっき材との間隔が近接している場合は、補助電極の電流密度が低くてもエッジオーバーコート抑制効果が生じる。一方、補助陰極と被めっき材との間隔が遠くなると補助電極の効果が少なくなるため、エッジオーバーコートを抑制するためには補助電極の電流密度を上昇させる必要がある。これは、補助陰極と被めっき材との間隔や補助陰極の電流が変化すると、被めっき材との間の電流分布が変化し、エッジオーバーコートに影響を与えるためと考えられる。
このことは、逆に、めっき装置の大きさや構成、めっき条件等に応じて、補助陰極の電流密度、及び/又は補助陰極と被めっき材との間隔を調整すれば、確実にエッジオーバーコートを抑制できることを示す。つまり、補助陰極の電流又は上記間隔さえ調整すればエッジオーバーコートにならない適切な補助陰極の電流密度が存在する。
【0025】
以上のことから、本発明のエッジオーバーコート装置において、前記補助陰極と前記被めっき材との間隔を調整する間隔調整手段、及び/又は前記補助陰極の電流を調整する電流調整手段を有することが好ましい。
上記間隔調整手段は、例えば、補助陰極を支持部材(例えばめっき槽の側壁から延びる梁)上の所定位置に移動可能に取付ける構造とすることができる。移動可能な取付けは、例えば、上記梁に並ぶ複数の取付け孔のいずれかの孔で、補助陰極をネジ止めする構造が挙げられる。
又、補助陰極の電流を調整する電流調整手段としては、補助陰極に接続される電源(整流器)や、電源と補助陰極との間の抵抗器が挙げられる。
【0026】
次に、図4〜図6を参照して被めっき材(銅箔ストリップ20)用の主電源と補助陰極4用の電源の配線態様について説明する。
図4は、被めっき材20用の主電源と補助陰極4用の電源として、共通の主電源70を用いた場合の配線図である。主電源7050のカソード端子(−)は通電ロール30(を介して銅箔ストリップ20)に接続されると共に各補助陰極4にも接続されている。又、主電源70のアノード端子(+)は、アノード10に接続され、カソード端子(−)、各電源は整流器であってよい。
図4に示す場合、被めっき材と補助陰極の電源が共通であるので、エッジオーバーコートを有効に抑制するためには、補助陰極と電源の間に抵抗を入れて補助陰極の電流を調整するか、補助陰極と被めっき材の間隔を変えることが好ましい。
【0027】
図5は、被めっき材20用の主電源70と別個に、補助陰極4用の電源80を用いた場合の配線図である。主電源70のカソード端子(−)が通電ロール1(を介して銅箔ストリップ20)に接続され、アノード端子(+)はアノード10に接続されている。
一方、補助陰極用電源80のアノード端子(+)はアノード10に接続され、カソード端子(−)は各補助陰極4に並列に接続されている。
図5の配線の場合、被めっき材20と補助陰極4とは別個の電源により制御されるので、補助陰極の電流調整が容易となり、エッジオーバーコートの抑制が容易となる。
【0028】
図6は、被めっき材20用の主電源70と別個に、補助陰極4用の電源81、82を用いた場合の配線図である。主電源70のカソード端子(−)が通電ロール1(を介して銅箔ストリップ20)に接続され、アノード端子(+)はアノード10に接続されている。
一方、補助陰極用電源81のアノード端子(+)はアノード10に接続され、カソード端子(−)は左側の補助陰極4に接続されている。又、補助陰極用電源82のアノード端子(+)はアノード10に接続され、カソード端子(−)は右側の補助陰極4に接続されている。
【0029】
図6の配線の場合、被めっき材20と補助陰極4とは別個の電源により制御されるので、補助陰極の電流調整が容易となり、エッジオーバーコートの抑制が容易となる。又、図6の配線の場合、左側と右側の補助陰極4がそれぞれ別個の補助陰極用電源に接続されているため、両端の補助陰極の電流(密度)をそれぞれ変えることができる。そのため、被めっき材の蛇行等によって片方の端部のエッジオーバーコートが顕著になることを防止できる。
なお、蛇行により被めっき材との間隔の狭くなった方の補助陰極の電流密度を低く、間隔の広くなった方の補助陰極の電流密度を高くすれば、被めっき材の両エッジ部のめっき厚をほぼ同等(均一)にすることができ、片方の端部にエッジオーバーコートが発生したり顕著になることがない。
【0030】
本発明のエッジオーバーコート防止装置において、被めっき材に対向するアノードにアノードマスクを備えると好ましい。
図7、8は、それぞれアノードマスクの一例を示す。図7において、アノードマスク11は、アノード10の両端部と、アノード10において被めっき材20との対向面の端縁部と、アノード10の裏面とを覆っている。又、図8において、アノードマスク11Bは、アノード10の両端部と、アノード10において被めっき材20との対向面の端縁部からやや被めっき材20側へ離間した位置と、アノード10の裏面とを覆っている。つまり、アノードマスク11Bは、アノード10の両端部から被めっき材20へ向かって延びる張り出し部11xを有している。
アノードマスクは、アノードから外側に漏れる電流を抑えることでオーバーコートを抑え、被めっき材の幅方向のめっき付着量を均一にする。アノードマスクは、少なくともアノードの両端から外側(被めっき材側)に漏れるエッジ電流を低減するものであれば形状は限定されず、絶縁板等を用いることができる。
【0031】
但し、銅箔等を予め樹脂フィルムで片面をラミネートした材料に片面めっきする場合、アノードマスクを用いてもオーバーコートを充分に抑制できない。そこで、本発明においては、アノードマスク単体で用いるのではなく、補助陰極と併用することで、補助陰極に印加する電流密度を低減し、めっき金属が補助陰極に析出することをさらに抑えることができる。
このような目的から、本発明においては、被めっき材に印加される電流と独立して補助陰極の電流を調整可能である場合(例えば、補助陰極が主電源と別個の電源に接続され、補助陰極の電流密度を単独で制御できる場合)にアノードマスクを用いる。
例えば、上記したように、被めっき材の電流密度と比較して補助陰極の電流密度を低くする場合には、補助陰極の電流密度がある閾値を超えないと、補助陰極による効果が生じないが、アノードマスクを用いると、補助陰極の電流密度の閾値を低くすることができるという効果を生じる。
【0032】
本発明の電気めっき材の製造方法は、被めっき材に対向して絶縁体を配置し、前記絶縁体を挟んで前記被めっき材と反対側に補助陰極を配置し、かつ前記補助陰極の外周縁を前記絶縁体の外周縁より内側に位置させ、前記被めっき材と前記補助陰極とをカソードとして前記被めっき材に電気めっきするものである。被めっき材、絶縁体、補助陰極の材質や形状、絶縁体と補助陰極の配置態様は、上記したエッジオーバーコート防止装置と同様とすることができる。
本発明は上記実施形態に限定されず、絶縁体が被めっき材に対向して配置される限り、例えば絶縁体の面を被めっき材の端面に対して斜めに配置してもよい。要は、主電極から被めっき材へ向かう電流のうち、被めっき材の端部へ向かう電流を補助陰極で消費するよう、補助陰極と絶縁体の位置を調整すればよい。
又、補助陰極と絶縁体とは密着していても、離間していてもよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0034】
<実験1>
図1に示した垂直型連続電気めっき装置を用い、被めっき材(ストリップ)として圧延銅箔(7.8μm)の片面に厚さ3μmの接着層を介してPETフィルム(12.5μm)をラミネートしたもの(幅(W)600mm)を用い、ストリップの片面(銅露出面)にめっきした。めっきライン速度 5m/min、電流密度 10A/dm2、めっき時間 15sとして約1μm厚のSnめっきを行った。
エッジオーバーコート防止装置として、図3に記載のものを用いた。補助陰極4としては、長手方向長さ1500mm(液面内 720mm)、幅50mm、厚み0.05mmのSn(99.9%)を使用した。ストリップ両端と補助陰極の距離は60mmとした。絶縁体2Bの寸法は、図9のd = 1200mm(液面内 720mm), e=50mm、f=55mm、g=10mmとした。
又、実験1において、被めっき材と補助陰極の電流密度及び距離の違いによる効果を求めた。このため、発明例1においては、図4の電源配置(電源が共通)とし、発明例2においては、図5の電源配置(電源が別個)とした。又、補助陰極の電流密度の閾値を見出すため、発明例2より補助陰極の電流密度を低くしたものを比較例1とした。
【0035】
<評価>
1.被めっき材へのエッジオーバーコート
被めっき材の中央部と両端部のめっき厚を蛍光X線膜厚計 SFT8000(SII社製)で測定した。被めっき材のエッジから内側200〜400mmの部分を中央部とし、幅方向に10mmの測定間隔でめっき厚を数点測定し、測定群の平均値を中央部のめっき厚とした。
又、被めっき材の両端部のめっき厚については、エッジから内側10mmまでをエッジ部とみなし、測定長さ1000mm以上、長さ方向に100mm間隔で数点測定し、測定群の平均値を両端部(エッジ部)のめっき厚とした。
そして、以下の基準でエッジオーバーコートを評価した。評価が△か〇であれば実用上問題がない。
〇:被めっき材の中央部のめっき厚を1とすると、両端部のめっき厚が0.7〜1.3の間にある。
△:被めっき材の中央部のめっき厚を1とすると、両端部のめっき厚が0.7以下。
×:被めっき材の中央部のめっき厚を1とすると、両端部のめっき厚が1.3以上。
なお、両端部のめっき厚のうち、片端でも上記基準から外れた場合は、外れた値に基づく評価を行った。従って、両端部のめっき厚のうち片端でも膜厚が1.3以上の場合は、評価×とした。
【0036】
2.補助陰極へのめっき金属(Sn)の析出
24時間連続めっき後に補助陰極から被めっき材(ストリップ)へ向かってSnの析出物が延びたか否かを目視で判定した。又、補助陰極を取り出し、補助陰極表面のSn析出量を測定した。測定は、まず試験前の補助電極の厚みを幅方向に10mmづつの間隔でマイクロメーターで測定し、試験後に同様に厚みを測定した。そして、試験前後の厚みの差からSn析出量を換算した(Sn析出量=補助電極の面積×めっき厚平均値×Snの比重)。
上記目視判定、及びSn析出量の結果から、以下の総合評価を行った。
◎:被めっき部方向のSnの析出無し、Sn析出量が一番少(0.21g/分)
○:被めっき部方向のSnの析出無し、Sn析出量が少(1.11g/分)
被めっき部方向のSnの析出無し、Sn析出量が多(1.38g/分)
×:被めっき部方向のSnの析出あり
【0037】
<実験2>
エッジオーバーコート防止装置として、図3に記載のものの代わりに図2に記載のものを用いたこと以外は、実験1と同様に実験及び評価を行った。
絶縁体2の寸法は、図10のa = 50mm、b = 30mm、c = 60mm、d = 1200mm(液面内 720mm、)とした。補助陰極とストリップ端面の距離は60mmとした。
又、実験1においても、被めっき材と補助陰極の電流密度及び距離の違いによる効果を求めた。このため、発明例3においては、図4の電源配置(電源が共通)とし、発明例4においては、図5の電源配置(電源が別個)とした。又、補助陰極の電流密度の閾値を見出すため、発明例4より補助陰極の電流密度を低くしたものを比較例2とした。
【0038】
<実験3>
図8に記載のアノードマスクをさらに用いたこと以外は、実験2と同様に実験及び評価を行った。
アノードマスク11Bの寸法は図8のp=5mm、q=200mm、r=600mmとし、図8の紙面方向のアノードマスク11Bの長さ=850mmとした。
又、実験3においても、被めっき材と補助陰極の電流密度及び距離の違いによる効果を求めた。このため、発明例5においては、図4の電源配置(電源が共通)とし、発明例6,7においては、図5の電源配置(電源が別個)とした。又、補助陰極の電流密度の閾値を見出すため、発明例7より補助陰極の電流密度を低くしたものを比較例3とした。
【0039】
得られた結果を表1に示す。なお、表1において実験1Aの付記「A」は、被めっき材(ストリップ)と補助陰極の間隔(最も被めっき材に近接した距離)を60mmで一定とした場合を示す。又、実験1Bの付記「B」は、上記間隔を変えた場合を示す。実験2,3も同様である。
【0040】
【表1】
【0041】
(実験1A)
上記間隔が60mmである実験1Aの場合、被めっき材と補助陰極の電流密度が同一であっても(発明例1)、エッジオーバーコートと補助陰極へのめっき金属の析出が共に△の評価であり、実用上問題はなかった。又、被めっき材の電流密度より補助陰極の電流密度を低くした発明例2の場合、エッジオーバーコートと補助陰極へのめっき金属の析出は共に〇の評価であり、電流密度を同一とした発明例1より評価が優れていた。
一方、補助陰極の電流密度を6A/cm2まで低減した比較例1の場合、エッジオーバーコートの評価が劣化した。このことより、補助陰極の電流密度には下限(7A/cm2)があり、補助陰極の電流密度を下限より高くし、かつ被めっき材の電流密度より低くすることが好ましいことがわかる。
【0042】
(実験2A,3A)
実験2Aにおいても同様な結果が得られ、実験2Aにおける補助陰極の電流密度の下限は7A/cm2であった(発明例4)。
実験3Aにおいても同様な結果が得られたが、実験3Aにおける補助陰極の電流密度の下限は1.5A/cm2であり(発明例7)、アノードマスクを用いると補助陰極の電流密度の下限が低くなり、補助陰極の電流密度の操作範囲が広がることが判明した。
【0043】
(実験1B)
上記間隔を60mmより広げていくと、間隔が85mmの場合は、実験1Aと同様に被めっき材と補助陰極の電流密度が同一であっても(発明例1)、エッジオーバーコートがなく、補助陰極へのめっき金属の析出が共に△の評価であり、実用上問題はなかった。一方、間隔を260mmまで広げると、被めっき材と補助陰極の電流密度が同一の場合は(比較例1)、エッジオーバーコートが生じた。そこで、補助陰極の電流密度を被めっき材の電流密度より上昇させると(発明例2)、エッジオーバーコートを防止することができた。
以上より、補助陰極の電流密度、及び/又は補助陰極と被めっき材との間隔を調整することにより、確実にエッジオーバーコートを抑制できることがわかる。
【0044】
(実験2B,3B)
実験2Bにおいても実験1Bと同様な結果が得られた。
実験3Bにおいては、上記間隔を広げても、被めっき材と補助陰極の電流密度を同一としたり(発明例5)、補助陰極の電流密度を被めっき材の電流密度より低くして(発明例6,7)、エッジオーバーコートを抑制することができた。
【0045】
<実験4>
実験2A又は実験3Aと同様に上記間隔を60mmとして実験及び評価を行った。但し、図2においてストリップの位置を中央部から左に40mm動かし、ストリップ端面と左側の補助陰極の距離を20mmとした。一方、右側のエッジオーバーコート防止装置において、補助陰極とストリップ端面との距離を20mmとした。
実験4においては、左右の補助陰極の電流密度を変えるため、図6の電源配置(主電源と別個に補助陰極用電源を持ち、かつ左右の補助陰極にそれぞれ別の補助陰極用電源を設けた)とした。又、アノードマスクの効果を判定するため、アノードマスクを用いないものを発明例7とし、図8のアノードマスクを用いたものを発明例8とした。
一方、左右の補助陰極の電流密度を同一としたものを比較例4,5とした。但し、比較例4はアノードマスクを用いず、比較例5はアノードマスクを用いた。
得られた結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2から明らかなように、発明例8,9の場合、左右の補助陰極の電流密度を変え、被めっき材との間隔の狭くなった左側の補助陰極の電流密度を低く、間隔の広くなった右側の補助陰極の電流密度を高くしたため、被めっき材の両エッジ部のめっき厚をほぼ同等にすることができ、被めっき材の片方の端部にエッジオーバーコートが発生したり顕著になることがなかった。
なお、アノードマスクを用いた発明例9の場合、発明例8に比べて補助陰極の電流密度を低くすることができた。
一方、左右の補助陰極の電流密度を同じとした比較例4,5の場合、被めっき材の左側端部にエッジオーバーコートが発生し、右側端部では中央部よりめっき厚が薄くなった。つまり、被めっき材の両エッジ部のめっき厚が大幅に異なるものとなった。
【0048】
次に、本発明に含まれない比較例について、実験1〜3と同様に実験及び評価を行った。
但し、比較例6、7は、それぞれ発明例1、2において絶縁体を用いず、比較例8は、比較例1において絶縁体を用いなかった。又、比較例9、10は、それぞれ発明例5,6において絶縁体を用いなかった。比較例11は、本発明のエッジオーバーコート防止装置を用いず、図8のアノードマスクを用いてめっきを行った。比較例12は、本発明のエッジオーバーコート防止装置を用いず、図2のエッジマスクと図8のアノードマスクのみを用いてめっきを行った。比較例12は、本発明のエッジオーバーコート防止装置を用いず、図2のエッジマスクのみを用いてめっきを行った。なお、比較例6〜11において、被めっき材(ストリップ)と補助陰極の間隔(最も被めっき材に近接した距離)を60mmで一定とした。
【0049】
得られた結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3から明らかなように、補助陰極のみを用いた比較例6〜10の場合、被めっき材の方向に、補助陰極上にSnの析出が確認された。これは、析出したSnと被めっき材が衝突する可能性を示す。
又、補助陰極を用いなかった比較例11〜13の場合、エッジオーバーコートを防止できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】エッジオーバーコート防止装置が配置される連続電気めっき装置の全体構成図である。
【図2】図1の紙面方向に平行な面で銅箔ストリップを切断したときの、本発明の第1の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置への電源配線を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置への電源配線を示す別の図である。
【図6】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置への電源配線を示すさらに別の図である。
【図7】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置におけるアノードマスクを示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置における別のアノードマスクを示す断面図である。
【図9】図2に対応するエッジオーバーコート防止装置の実際の寸法を示す図である。
【図10】図3に対応するエッジオーバーコート防止装置の実際の寸法を示す図である。
【図11】従来のエッジマスクを片面めっきに用いた場合の電気力線を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 絶縁体
4 補助陰極
6 エッジオーバーコート防止装置
10 主電極(アノード)
20 被めっき材(銅箔ストリップ)
20c 被めっき材の端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁シールド用銅箔等の被めっき材を電気めっきする際、エッジオーバーコートを防止する装置及びそれを用いた電気めっき材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気めっきは、被めっき材の表面に両面・片面を問わず、金属の被膜を形成する表面処理方法として一般的に行われている方法である。ところが、従来から、金属ストリップ等の被めっき材の端部に電流が集中してめっき量が多くなる、いわゆるエッジオーバーコートが問題となっている。そこで、エッジオーバーコートを防止するため、金属ストリップの端部にエッジマスクを対向させ、めっき電流を物理的に遮蔽する技術が開示されている(特許文献1、2参照)。
また、アノードの端部にアノードマスクを設け、めっき電流を物理的に遮蔽する技術が開示されている(特許文献3参照)。
さらに、金属ストリップの両端近傍に補助電極を配置し、補助電極を金属ストリップと同一極性の電源に接続する技術が開示されている(特許文献4参照)。補助電極により、主電極と補助電極との間にも電流が分流し、金属ストリップの両端への電流集中を防止することができる。
【0003】
【特許文献1】実開昭60−117863号公報
【特許文献2】特開平8−239796号公報
【特許文献3】特開平6−306695号公報
【特許文献4】特開昭62−202096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エッジマスクを用いる方法の場合、十分な効果を発揮するためにはエッジマスクを被めっき材両端にかなり近接させる必要があり、被めっき材の蛇行などによってエッジマスクと被めっき材が衝突し、被めっき材の折れやシワが発生する可能性がある。特に、板厚の薄い(例えば、6〜100μm)銅箔等にめっきする場合に、折れが生じ易い。
さらに、銅箔等を予め樹脂フィルムで片面をラミネートした後に電気めっきに供される片面めっきの場合、両面めっきと異なり、エッジマスクを用いてもエッジオーバーコートを防止できないことがある。つまり、両面めっきや、ラミネート無しの片面めっきであれば、アノードからの電流は、ストリップ対向面だけでなく、エッジマスクの外側を経由してストリップの裏面にも回り込み、裏面のめっきに電流が消費される。ところが、図11に示すようにストリップの裏面200bが絶縁体(例えば樹脂ラミネート)である場合、裏面200bに回り込んだ電流は、裏面200bがめっきされないためにエッジマスク300内側を経由し、ストリップの上面200a端部をめっきし、エッジオーバーコートを生じる。
なお、図11の主電極100から延びる矢印は、電気力線を示す。又、ストリップ200は幅方向の中心線Cを中心に対称であるので、中心線より左側のみ示す。
【0005】
また、アノードの側端と裏面(ストリップの対向面の反対面)をアノードマスクで覆う方法を用いても、上記した片面ラミネート材を電気めっきする場合には、エッジオーバーコートを防止できないことがある。これは、アノードマスク外側に回りこんだ電流が被めっき材の端部に集中しエッジオーバーコートを生じるためである。
【0006】
一方、補助電極を用いる方法の場合、エッジ部に集中する電流をトラップする効果により、エッジオーバーコートを有効に防止することができる。しかし、補助電極に付着及び成長しためっき被膜と、被めっき材とが衝突し、被めっき材の折れやシワが発生したり、補助電極上のめっき被膜を被めっき材が噛み込む可能性がある。これは、長時間めっきを行うと、補助電極に析出したSnめっき皮膜がストリップ端部に向かって伸び、両者の間隔が縮まってストリップと接触することに起因する。特に、上記した板厚の薄い銅箔等を被めっき材に用いる場合、折れやめっき被膜の噛み込むによる歩留り低下が起きやすい。
なお、特許文献2記載の技術は、エッジマスク内側に補助電極(陽極)を配置するものであるが、この方法の場合、主電極に重畳して補助電極からめっきが施されるため、被めっき材の端部のソリや蛇行に応じて補助電極の電流を調整する必要があり、現実的な方法として採用し難い。
【0007】
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、電気めっき時のエッジオーバーコートを防止すると共に、補助陰極上に析出しためっき被膜との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、めっき被膜の被めっき材への噛み込みをなくしたエッジオーバーコート防止装置及びそれを用いた電気めっき材の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のエッジオーバーコート防止装置は被めっき材を電気めっきする際に用いられ、前記被めっき材に対向して配置される絶縁体と、前記絶縁体を挟んで前記被めっき材の近傍に配置される補助陰極とを備え、前記補助陰極の外周縁が前記絶縁体の外周縁より内側に位置する。
【0009】
このように、補助陰極と被めっき材との間に絶縁体を配置すると、補助陰極によってエッジオーバーコートが防止されるだけでなく、絶縁体が邪魔になるため補助陰極に析出しためっき金属が成長して被めっき材に達する(接触する)ことが防止される。そのため、補助陰極に付着及び成長しためっき金属との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、補助陰極上のめっき被膜を被めっき材が噛み込むこともなくなる。
特に、被めっき材が銅箔等の薄い材料であると強度が低いために、折れやシワが生じ易く、本発明が有効である。又、片面めっき材の場合、エッジマスクを用いても、電流が非めっき面側からエッジマスク内側を経由して被めっき材の端部に流れ、エッジオーバーコートを生じるが、補助陰極で電流を消費させることでエッジオーバーコートを有効に防止できる。
さらに、絶縁体の外周縁が補助陰極の外周縁より外側に張り出しているため、補助陰極に析出しためっき金属の成長方向は、被めっき材から離れた方向へ向かう。そのため、めっき金属と被めっき材との接触がより一層防止される。
【0010】
前記絶縁体が前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置されていてもよい。
前記被めっき材はストリップであり、前記絶縁体の一部が前記被めっき材の端部より内側に延びて該端部を覆うエッジマスクを構成していてもよい。
前記被めっき材の片面が絶縁性であってもよい。
【0011】
前記補助陰極と前記被めっき材との間隔を調整する間隔調整手段、及び/又は前記補助陰極の電流を調整する電流調整手段を有してもよい。
このようにすると、エッジオーバーコートを防止する効果と、補助陰極へのめっき金属の析出防止効果を適度に両立できる。又、補助陰極と被めっき材との間隔及び/又は補助陰極の電流を調整することにより、エッジオーバーコートが生じない最適の電流分布が得られる。
【0012】
前記電流調整手段は、前記被めっき材に印加される電流と独立して前記補助陰極の電流を調整可能であることが好ましい。
このようにすると、補助陰極によるめっき電流の制御がより精度よく行え、エッジオーバーコートと補助陰極へのめっき金属の析出をさらに有効に防止できる。又、過剰の電流が補助陰極に流れることを防止するため、めっき液中の金属イオンの消費を抑制し、めっき液の消耗が低減される。
【0013】
前記補助陰極は前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置され、前記電流調整手段は各補助陰極の電流をそれぞれ独立して調整可能であると好ましい。
このようにすると、両端の補助陰極の電流密度をそれぞれ変化できるため、被めっき材の蛇行等によって片方の被めっき材端部のみエッジオーバーコートが発生することを防止できる。
【0014】
被めっき材に対向するアノードにアノードマスクを備えると好ましい。
このようにすると、補助陰極とアノードマスクを併用することにより、アノードマスクが裏に回り込む電流を少なくするので、補助陰極の電流密度をさらに低下させることができる。
【0015】
本発明の電気めっき材の製造方法は、被めっき材に対向して絶縁体を配置し、前記絶縁体を挟んで前記被めっき材と反対側に補助陰極を配置し、かつ前記補助陰極の外周縁を前記絶縁体の外周縁より内側に位置させ、前記被めっき材と前記補助陰極とをカソードとして前記被めっき材に電気めっきする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気めっき時のエッジオーバーコートを防止すると共に、補助陰極上に析出しためっき被膜との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、めっき被膜の被めっき材への噛み込みをなくすことができる。特に、樹脂フィルムで片面をラミネートした片面めっき材である銅箔等の薄い材料をめっきする際に本発明は有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置について説明する。
図1に本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置を含む連続電気めっき装置の全体構成の一例を示す。但し、本発明のエッジオーバーコート防止装置は、図1に示す縦型めっき装置の他、横型、ドラム型等全てのめっき装置に適用できる。
連続電気めっき装置50は、めっき液を収容するめっき槽45、めっき槽45上の通電ロール30及びアッパーロール34、めっき槽45内に配置されたシンカーロール32を備え、銅箔ストリップ20を通電ロール30からシンカーロール32を経由してアッパーロール34へ張り渡し、銅箔ストリップ20を連続的に走行させてめっき槽45へ出入させるようになっている。又、通電ロール30とシンカーロール32の間に張り渡された銅箔ストリップ20の外側に対向して主電極(アノード)10が垂直に配置され、同様に、アッパーロール34とシンカーロール32の間に張り渡された銅箔ストリップ20の外側に対向して他の主電極(アノード)10が垂直に配置されている。
【0018】
そして、通電ロール30と主電極(アノード)10間に接続された主電源(整流器)5により、カソードとなる銅箔ストリップ20が電気めっきされる。なお、この実施形態においては、連続電気めっき装置50は銅箔ストリップ20の片面を電気めっきするようになっていて、主電極(アノード)10としては、例えばSnが用いられる。又、銅箔ストリップ20の片面(裏面)20bに樹脂(PET;ポリエチレンテレフタレート)フィルムがラミネートされ、表面20aは銅が表出している。
さらに、それぞれの主電極10に対向する銅箔ストリップ20の両端の近傍には、該両端に対向してエッジオーバーコート防止装置6が配置されている。エッジオーバーコート防止装置6は後述する補助陰極を備え、通電ロール30と補助陰極の間に接続された補助電源(整流器)42により、補助陰極がカソードとなる。
エッジオーバーコート防止装置6は、銅箔ストリップ20の両端に沿って垂直に長尺状に延び、銅箔ストリップ20の厚みより外側に張り出している。エッジオーバーコート防止装置6の下端は主電極10の下端より下側に延び、エッジオーバーコート防止装置6の上端はめっき液面より浮上している。
【0019】
図2は、図1の紙面方向に平行な面で銅箔ストリップ20を幅方向に切断したときの、本発明の第1の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置の部分断面図である。銅箔ストリップ20は幅方向の中心線Cを中心に左右対称であるので、中心線から左側端部までの領域のみを示す。
図2において、銅箔ストリップ20の左端に対向して絶縁体2が配置され、絶縁体2を挟んで銅箔ストリップ20と反対側に補助陰極4が配置されている。そして、絶縁体2と補助陰極4とによってエッジオーバーコート防止装置6が構成されている。
絶縁体2は断面がコ字状をなし、コ字の2つの延長部分2Lの先端が銅箔ストリップ端部20cより内側にそれぞれ位置し、該端部20cの表裏面を覆うことにより、エッジマスクを構成する。絶縁体2のコ字基部の面は、銅箔ストリップ20の幅方向(及び端面)に垂直になっている。
又、厚肉板状の補助陰極4は絶縁体2のコ字基部の裏面(銅箔ストリップ20に対向する面と反対面)に密着し、補助陰極4の外周縁が絶縁体2のコ字基部の外周縁より内側に位置している。この補助電極は外周縁が絶縁体2のエッジマスクの外周縁より内側に位置していることを特徴とし、エッジマスクの形状および位置には影響を受けない。
【0020】
このように、補助陰極と被めっき材(銅箔ストリップ20)との間に絶縁体を配置すると、補助陰極によってエッジオーバーコートが防止されるだけでなく、絶縁体が邪魔になるため補助陰極に析出しためっき被膜が成長して被めっき材に達する(接触する)ことが防止される。そのため、補助陰極に付着及び成長しためっき被膜との接触による被めっき材の折れやシワを抑制し、補助陰極上のめっき被膜を被めっき材が噛み込むこともなくなる。
特に、被めっき材が銅箔等の薄い材料であると強度が低いために、折れやシワが生じ易く、本発明が有効である。又、片面めっき材の場合、上記図9で説明したように、エッジマスクを用いても、電流が非めっき面側からエッジマスク内側を経由して被めっき材の端部に流れ、エッジオーバーコートを生じるが、補助陰極で電流を消費させることでエッジオーバーコートを有効に防止できる。
【0021】
さらに、本発明においては、絶縁体の外周縁が補助陰極の外周縁より外側に張り出しているため、補助陰極に析出しためっき被膜(電着粒等)の成長方向Dは、被めっき材から離れた方向へ向かう。そのため、めっき被膜と被めっき材との接触がより一層防止される。
補助陰極4の形状は特に限定されず、例えば円筒状、棒状、箔状、板上等とすることができるが、補助陰極4の体積が小さいほど、補助陰極4に析出するめっき量が少なくなり、めっき液中のめっき金属濃度を低下させないので、補助陰極4の体積が小さい方がよい。
補助陰極4は、導電性の材料であれば特に限定されないが、再処理を考慮するとめっき金属と同一の材料とすることが好ましい。
絶縁体2をエッジマスクとする場合、エッジマスクの断面形状は特に限定されないが、コ字状とすると被めっき材と衝突し難くなるので好ましい。
絶縁体2の材質は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等とすることができる。
なお、本発明においては、絶縁体を挟んで被めっき材と反対側に補助陰極が配置されている限り、絶縁体の形状も限定されず、絶縁体と補助陰極の位置関係も限定されない。
又、本発明において、絶縁体が被めっき材に「対向して」配置されるとは、被めっき材に面している限りあらゆる位置を含む。例えば、被めっき材が帯(板)状のストリップの場合、板面に絶縁体が対向してもよく、板の端部(エッジ)に絶縁体が対向してもよい。但し、エッジオーバーコートを有効に防止する点では、被めっき材が帯(板)状の場合には板の端部(エッジ)に絶縁体が対向する(図2、図3のように)のが好ましい。
【0022】
次に、本発明の第2の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置について、図2と同様な断面図3により説明する。図3に示すように、第2の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置6Bは、絶縁体2Bの形状が異なること以外は、第1の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置と同様であるので、同一部分を同一符号を付して省略する。
図3において、絶縁体2Bは板状をなし、絶縁体2Bの裏面(銅箔ストリップ20に対向する面と反対面)に補助陰極4が密着し、補助陰極4の外周縁が絶縁体2Bの外周縁より内側に位置している。絶縁体2Bの面は、銅箔ストリップ20の幅方向(及び端面)に垂直になっている。
【0023】
第2の実施形態においても、補助陰極と被めっき材との間に絶縁体が配置されているため、補助陰極によってエッジオーバーコートが防止されるだけでなく、補助陰極に析出しためっき被膜が成長して被めっき材に達する(接触する)ことが防止される。そして、補助陰極でめっき電流を消費させることで、エッジオーバーコートを防止できる。
さらに、第2の実施形態においても、絶縁体の外周縁が補助陰極の外周縁より外側に張り出しているため、補助陰極に析出しためっき被膜の成長方向Dは、被めっき材から離れた方向へ向かう。そのため、めっき被膜と被めっき材との接触がより一層防止される。
【0024】
次に、補助陰極の電流制御について説明する。詳しくは後述する実施例で説明するが、本発明者らが鋭意検討した結果、エッジオーバーコートの発生は、補助陰極の電流密度、及び補助陰極と被めっき材との間隔によって大きく影響を受けることが判明した。まず、補助陰極と被めっき材との間隔が近接している場合は、補助電極の電流密度が低くてもエッジオーバーコート抑制効果が生じる。一方、補助陰極と被めっき材との間隔が遠くなると補助電極の効果が少なくなるため、エッジオーバーコートを抑制するためには補助電極の電流密度を上昇させる必要がある。これは、補助陰極と被めっき材との間隔や補助陰極の電流が変化すると、被めっき材との間の電流分布が変化し、エッジオーバーコートに影響を与えるためと考えられる。
このことは、逆に、めっき装置の大きさや構成、めっき条件等に応じて、補助陰極の電流密度、及び/又は補助陰極と被めっき材との間隔を調整すれば、確実にエッジオーバーコートを抑制できることを示す。つまり、補助陰極の電流又は上記間隔さえ調整すればエッジオーバーコートにならない適切な補助陰極の電流密度が存在する。
【0025】
以上のことから、本発明のエッジオーバーコート装置において、前記補助陰極と前記被めっき材との間隔を調整する間隔調整手段、及び/又は前記補助陰極の電流を調整する電流調整手段を有することが好ましい。
上記間隔調整手段は、例えば、補助陰極を支持部材(例えばめっき槽の側壁から延びる梁)上の所定位置に移動可能に取付ける構造とすることができる。移動可能な取付けは、例えば、上記梁に並ぶ複数の取付け孔のいずれかの孔で、補助陰極をネジ止めする構造が挙げられる。
又、補助陰極の電流を調整する電流調整手段としては、補助陰極に接続される電源(整流器)や、電源と補助陰極との間の抵抗器が挙げられる。
【0026】
次に、図4〜図6を参照して被めっき材(銅箔ストリップ20)用の主電源と補助陰極4用の電源の配線態様について説明する。
図4は、被めっき材20用の主電源と補助陰極4用の電源として、共通の主電源70を用いた場合の配線図である。主電源7050のカソード端子(−)は通電ロール30(を介して銅箔ストリップ20)に接続されると共に各補助陰極4にも接続されている。又、主電源70のアノード端子(+)は、アノード10に接続され、カソード端子(−)、各電源は整流器であってよい。
図4に示す場合、被めっき材と補助陰極の電源が共通であるので、エッジオーバーコートを有効に抑制するためには、補助陰極と電源の間に抵抗を入れて補助陰極の電流を調整するか、補助陰極と被めっき材の間隔を変えることが好ましい。
【0027】
図5は、被めっき材20用の主電源70と別個に、補助陰極4用の電源80を用いた場合の配線図である。主電源70のカソード端子(−)が通電ロール1(を介して銅箔ストリップ20)に接続され、アノード端子(+)はアノード10に接続されている。
一方、補助陰極用電源80のアノード端子(+)はアノード10に接続され、カソード端子(−)は各補助陰極4に並列に接続されている。
図5の配線の場合、被めっき材20と補助陰極4とは別個の電源により制御されるので、補助陰極の電流調整が容易となり、エッジオーバーコートの抑制が容易となる。
【0028】
図6は、被めっき材20用の主電源70と別個に、補助陰極4用の電源81、82を用いた場合の配線図である。主電源70のカソード端子(−)が通電ロール1(を介して銅箔ストリップ20)に接続され、アノード端子(+)はアノード10に接続されている。
一方、補助陰極用電源81のアノード端子(+)はアノード10に接続され、カソード端子(−)は左側の補助陰極4に接続されている。又、補助陰極用電源82のアノード端子(+)はアノード10に接続され、カソード端子(−)は右側の補助陰極4に接続されている。
【0029】
図6の配線の場合、被めっき材20と補助陰極4とは別個の電源により制御されるので、補助陰極の電流調整が容易となり、エッジオーバーコートの抑制が容易となる。又、図6の配線の場合、左側と右側の補助陰極4がそれぞれ別個の補助陰極用電源に接続されているため、両端の補助陰極の電流(密度)をそれぞれ変えることができる。そのため、被めっき材の蛇行等によって片方の端部のエッジオーバーコートが顕著になることを防止できる。
なお、蛇行により被めっき材との間隔の狭くなった方の補助陰極の電流密度を低く、間隔の広くなった方の補助陰極の電流密度を高くすれば、被めっき材の両エッジ部のめっき厚をほぼ同等(均一)にすることができ、片方の端部にエッジオーバーコートが発生したり顕著になることがない。
【0030】
本発明のエッジオーバーコート防止装置において、被めっき材に対向するアノードにアノードマスクを備えると好ましい。
図7、8は、それぞれアノードマスクの一例を示す。図7において、アノードマスク11は、アノード10の両端部と、アノード10において被めっき材20との対向面の端縁部と、アノード10の裏面とを覆っている。又、図8において、アノードマスク11Bは、アノード10の両端部と、アノード10において被めっき材20との対向面の端縁部からやや被めっき材20側へ離間した位置と、アノード10の裏面とを覆っている。つまり、アノードマスク11Bは、アノード10の両端部から被めっき材20へ向かって延びる張り出し部11xを有している。
アノードマスクは、アノードから外側に漏れる電流を抑えることでオーバーコートを抑え、被めっき材の幅方向のめっき付着量を均一にする。アノードマスクは、少なくともアノードの両端から外側(被めっき材側)に漏れるエッジ電流を低減するものであれば形状は限定されず、絶縁板等を用いることができる。
【0031】
但し、銅箔等を予め樹脂フィルムで片面をラミネートした材料に片面めっきする場合、アノードマスクを用いてもオーバーコートを充分に抑制できない。そこで、本発明においては、アノードマスク単体で用いるのではなく、補助陰極と併用することで、補助陰極に印加する電流密度を低減し、めっき金属が補助陰極に析出することをさらに抑えることができる。
このような目的から、本発明においては、被めっき材に印加される電流と独立して補助陰極の電流を調整可能である場合(例えば、補助陰極が主電源と別個の電源に接続され、補助陰極の電流密度を単独で制御できる場合)にアノードマスクを用いる。
例えば、上記したように、被めっき材の電流密度と比較して補助陰極の電流密度を低くする場合には、補助陰極の電流密度がある閾値を超えないと、補助陰極による効果が生じないが、アノードマスクを用いると、補助陰極の電流密度の閾値を低くすることができるという効果を生じる。
【0032】
本発明の電気めっき材の製造方法は、被めっき材に対向して絶縁体を配置し、前記絶縁体を挟んで前記被めっき材と反対側に補助陰極を配置し、かつ前記補助陰極の外周縁を前記絶縁体の外周縁より内側に位置させ、前記被めっき材と前記補助陰極とをカソードとして前記被めっき材に電気めっきするものである。被めっき材、絶縁体、補助陰極の材質や形状、絶縁体と補助陰極の配置態様は、上記したエッジオーバーコート防止装置と同様とすることができる。
本発明は上記実施形態に限定されず、絶縁体が被めっき材に対向して配置される限り、例えば絶縁体の面を被めっき材の端面に対して斜めに配置してもよい。要は、主電極から被めっき材へ向かう電流のうち、被めっき材の端部へ向かう電流を補助陰極で消費するよう、補助陰極と絶縁体の位置を調整すればよい。
又、補助陰極と絶縁体とは密着していても、離間していてもよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0034】
<実験1>
図1に示した垂直型連続電気めっき装置を用い、被めっき材(ストリップ)として圧延銅箔(7.8μm)の片面に厚さ3μmの接着層を介してPETフィルム(12.5μm)をラミネートしたもの(幅(W)600mm)を用い、ストリップの片面(銅露出面)にめっきした。めっきライン速度 5m/min、電流密度 10A/dm2、めっき時間 15sとして約1μm厚のSnめっきを行った。
エッジオーバーコート防止装置として、図3に記載のものを用いた。補助陰極4としては、長手方向長さ1500mm(液面内 720mm)、幅50mm、厚み0.05mmのSn(99.9%)を使用した。ストリップ両端と補助陰極の距離は60mmとした。絶縁体2Bの寸法は、図9のd = 1200mm(液面内 720mm), e=50mm、f=55mm、g=10mmとした。
又、実験1において、被めっき材と補助陰極の電流密度及び距離の違いによる効果を求めた。このため、発明例1においては、図4の電源配置(電源が共通)とし、発明例2においては、図5の電源配置(電源が別個)とした。又、補助陰極の電流密度の閾値を見出すため、発明例2より補助陰極の電流密度を低くしたものを比較例1とした。
【0035】
<評価>
1.被めっき材へのエッジオーバーコート
被めっき材の中央部と両端部のめっき厚を蛍光X線膜厚計 SFT8000(SII社製)で測定した。被めっき材のエッジから内側200〜400mmの部分を中央部とし、幅方向に10mmの測定間隔でめっき厚を数点測定し、測定群の平均値を中央部のめっき厚とした。
又、被めっき材の両端部のめっき厚については、エッジから内側10mmまでをエッジ部とみなし、測定長さ1000mm以上、長さ方向に100mm間隔で数点測定し、測定群の平均値を両端部(エッジ部)のめっき厚とした。
そして、以下の基準でエッジオーバーコートを評価した。評価が△か〇であれば実用上問題がない。
〇:被めっき材の中央部のめっき厚を1とすると、両端部のめっき厚が0.7〜1.3の間にある。
△:被めっき材の中央部のめっき厚を1とすると、両端部のめっき厚が0.7以下。
×:被めっき材の中央部のめっき厚を1とすると、両端部のめっき厚が1.3以上。
なお、両端部のめっき厚のうち、片端でも上記基準から外れた場合は、外れた値に基づく評価を行った。従って、両端部のめっき厚のうち片端でも膜厚が1.3以上の場合は、評価×とした。
【0036】
2.補助陰極へのめっき金属(Sn)の析出
24時間連続めっき後に補助陰極から被めっき材(ストリップ)へ向かってSnの析出物が延びたか否かを目視で判定した。又、補助陰極を取り出し、補助陰極表面のSn析出量を測定した。測定は、まず試験前の補助電極の厚みを幅方向に10mmづつの間隔でマイクロメーターで測定し、試験後に同様に厚みを測定した。そして、試験前後の厚みの差からSn析出量を換算した(Sn析出量=補助電極の面積×めっき厚平均値×Snの比重)。
上記目視判定、及びSn析出量の結果から、以下の総合評価を行った。
◎:被めっき部方向のSnの析出無し、Sn析出量が一番少(0.21g/分)
○:被めっき部方向のSnの析出無し、Sn析出量が少(1.11g/分)
被めっき部方向のSnの析出無し、Sn析出量が多(1.38g/分)
×:被めっき部方向のSnの析出あり
【0037】
<実験2>
エッジオーバーコート防止装置として、図3に記載のものの代わりに図2に記載のものを用いたこと以外は、実験1と同様に実験及び評価を行った。
絶縁体2の寸法は、図10のa = 50mm、b = 30mm、c = 60mm、d = 1200mm(液面内 720mm、)とした。補助陰極とストリップ端面の距離は60mmとした。
又、実験1においても、被めっき材と補助陰極の電流密度及び距離の違いによる効果を求めた。このため、発明例3においては、図4の電源配置(電源が共通)とし、発明例4においては、図5の電源配置(電源が別個)とした。又、補助陰極の電流密度の閾値を見出すため、発明例4より補助陰極の電流密度を低くしたものを比較例2とした。
【0038】
<実験3>
図8に記載のアノードマスクをさらに用いたこと以外は、実験2と同様に実験及び評価を行った。
アノードマスク11Bの寸法は図8のp=5mm、q=200mm、r=600mmとし、図8の紙面方向のアノードマスク11Bの長さ=850mmとした。
又、実験3においても、被めっき材と補助陰極の電流密度及び距離の違いによる効果を求めた。このため、発明例5においては、図4の電源配置(電源が共通)とし、発明例6,7においては、図5の電源配置(電源が別個)とした。又、補助陰極の電流密度の閾値を見出すため、発明例7より補助陰極の電流密度を低くしたものを比較例3とした。
【0039】
得られた結果を表1に示す。なお、表1において実験1Aの付記「A」は、被めっき材(ストリップ)と補助陰極の間隔(最も被めっき材に近接した距離)を60mmで一定とした場合を示す。又、実験1Bの付記「B」は、上記間隔を変えた場合を示す。実験2,3も同様である。
【0040】
【表1】
【0041】
(実験1A)
上記間隔が60mmである実験1Aの場合、被めっき材と補助陰極の電流密度が同一であっても(発明例1)、エッジオーバーコートと補助陰極へのめっき金属の析出が共に△の評価であり、実用上問題はなかった。又、被めっき材の電流密度より補助陰極の電流密度を低くした発明例2の場合、エッジオーバーコートと補助陰極へのめっき金属の析出は共に〇の評価であり、電流密度を同一とした発明例1より評価が優れていた。
一方、補助陰極の電流密度を6A/cm2まで低減した比較例1の場合、エッジオーバーコートの評価が劣化した。このことより、補助陰極の電流密度には下限(7A/cm2)があり、補助陰極の電流密度を下限より高くし、かつ被めっき材の電流密度より低くすることが好ましいことがわかる。
【0042】
(実験2A,3A)
実験2Aにおいても同様な結果が得られ、実験2Aにおける補助陰極の電流密度の下限は7A/cm2であった(発明例4)。
実験3Aにおいても同様な結果が得られたが、実験3Aにおける補助陰極の電流密度の下限は1.5A/cm2であり(発明例7)、アノードマスクを用いると補助陰極の電流密度の下限が低くなり、補助陰極の電流密度の操作範囲が広がることが判明した。
【0043】
(実験1B)
上記間隔を60mmより広げていくと、間隔が85mmの場合は、実験1Aと同様に被めっき材と補助陰極の電流密度が同一であっても(発明例1)、エッジオーバーコートがなく、補助陰極へのめっき金属の析出が共に△の評価であり、実用上問題はなかった。一方、間隔を260mmまで広げると、被めっき材と補助陰極の電流密度が同一の場合は(比較例1)、エッジオーバーコートが生じた。そこで、補助陰極の電流密度を被めっき材の電流密度より上昇させると(発明例2)、エッジオーバーコートを防止することができた。
以上より、補助陰極の電流密度、及び/又は補助陰極と被めっき材との間隔を調整することにより、確実にエッジオーバーコートを抑制できることがわかる。
【0044】
(実験2B,3B)
実験2Bにおいても実験1Bと同様な結果が得られた。
実験3Bにおいては、上記間隔を広げても、被めっき材と補助陰極の電流密度を同一としたり(発明例5)、補助陰極の電流密度を被めっき材の電流密度より低くして(発明例6,7)、エッジオーバーコートを抑制することができた。
【0045】
<実験4>
実験2A又は実験3Aと同様に上記間隔を60mmとして実験及び評価を行った。但し、図2においてストリップの位置を中央部から左に40mm動かし、ストリップ端面と左側の補助陰極の距離を20mmとした。一方、右側のエッジオーバーコート防止装置において、補助陰極とストリップ端面との距離を20mmとした。
実験4においては、左右の補助陰極の電流密度を変えるため、図6の電源配置(主電源と別個に補助陰極用電源を持ち、かつ左右の補助陰極にそれぞれ別の補助陰極用電源を設けた)とした。又、アノードマスクの効果を判定するため、アノードマスクを用いないものを発明例7とし、図8のアノードマスクを用いたものを発明例8とした。
一方、左右の補助陰極の電流密度を同一としたものを比較例4,5とした。但し、比較例4はアノードマスクを用いず、比較例5はアノードマスクを用いた。
得られた結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2から明らかなように、発明例8,9の場合、左右の補助陰極の電流密度を変え、被めっき材との間隔の狭くなった左側の補助陰極の電流密度を低く、間隔の広くなった右側の補助陰極の電流密度を高くしたため、被めっき材の両エッジ部のめっき厚をほぼ同等にすることができ、被めっき材の片方の端部にエッジオーバーコートが発生したり顕著になることがなかった。
なお、アノードマスクを用いた発明例9の場合、発明例8に比べて補助陰極の電流密度を低くすることができた。
一方、左右の補助陰極の電流密度を同じとした比較例4,5の場合、被めっき材の左側端部にエッジオーバーコートが発生し、右側端部では中央部よりめっき厚が薄くなった。つまり、被めっき材の両エッジ部のめっき厚が大幅に異なるものとなった。
【0048】
次に、本発明に含まれない比較例について、実験1〜3と同様に実験及び評価を行った。
但し、比較例6、7は、それぞれ発明例1、2において絶縁体を用いず、比較例8は、比較例1において絶縁体を用いなかった。又、比較例9、10は、それぞれ発明例5,6において絶縁体を用いなかった。比較例11は、本発明のエッジオーバーコート防止装置を用いず、図8のアノードマスクを用いてめっきを行った。比較例12は、本発明のエッジオーバーコート防止装置を用いず、図2のエッジマスクと図8のアノードマスクのみを用いてめっきを行った。比較例12は、本発明のエッジオーバーコート防止装置を用いず、図2のエッジマスクのみを用いてめっきを行った。なお、比較例6〜11において、被めっき材(ストリップ)と補助陰極の間隔(最も被めっき材に近接した距離)を60mmで一定とした。
【0049】
得られた結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3から明らかなように、補助陰極のみを用いた比較例6〜10の場合、被めっき材の方向に、補助陰極上にSnの析出が確認された。これは、析出したSnと被めっき材が衝突する可能性を示す。
又、補助陰極を用いなかった比較例11〜13の場合、エッジオーバーコートを防止できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】エッジオーバーコート防止装置が配置される連続電気めっき装置の全体構成図である。
【図2】図1の紙面方向に平行な面で銅箔ストリップを切断したときの、本発明の第1の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置への電源配線を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置への電源配線を示す別の図である。
【図6】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置への電源配線を示すさらに別の図である。
【図7】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置におけるアノードマスクを示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るエッジオーバーコート防止装置における別のアノードマスクを示す断面図である。
【図9】図2に対応するエッジオーバーコート防止装置の実際の寸法を示す図である。
【図10】図3に対応するエッジオーバーコート防止装置の実際の寸法を示す図である。
【図11】従来のエッジマスクを片面めっきに用いた場合の電気力線を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 絶縁体
4 補助陰極
6 エッジオーバーコート防止装置
10 主電極(アノード)
20 被めっき材(銅箔ストリップ)
20c 被めっき材の端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被めっき材を電気めっきする際に用いられ、
前記被めっき材に対向して配置される絶縁体と、
前記絶縁体を挟んで前記被めっき材の近傍に配置される補助陰極とを備え、
前記補助陰極の外周縁が前記絶縁体の外周縁より内側に位置するエッジオーバーコート防止装置。
【請求項2】
前記絶縁体が前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置されている請求項1に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項3】
前記被めっき材はストリップであり、前記絶縁体の一部が前記被めっき材の端部より内側に延びて該端部を覆うエッジマスクを構成する請求項2に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項4】
前記被めっき材の片面が絶縁性である請求項1ないし3のいずれかに記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項5】
前記補助陰極と前記被めっき材との間隔を調整する間隔調整手段、及び/又は前記補助陰極の電流を調整する電流調整手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項6】
前記電流調整手段は、前記被めっき材に印加される電流と独立して前記補助陰極の電流を調整可能である請求項5に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項7】
前記補助陰極は前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置され、前記電流調整手段は各補助陰極の電流をそれぞれ独立して調整可能である請求項5又は6に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項8】
前記被めっき材に対向するアノードにアノードマスクを備えた請求項7に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項9】
被めっき材に対向して絶縁体を配置し、
前記絶縁体を挟んで前記被めっき材と反対側に補助陰極を配置し、かつ前記補助陰極の外周縁を前記絶縁体の外周縁より内側に位置させ、
前記被めっき材と前記補助陰極とをカソードとして前記被めっき材に電気めっきする電気めっき材の製造方法。
【請求項1】
被めっき材を電気めっきする際に用いられ、
前記被めっき材に対向して配置される絶縁体と、
前記絶縁体を挟んで前記被めっき材の近傍に配置される補助陰極とを備え、
前記補助陰極の外周縁が前記絶縁体の外周縁より内側に位置するエッジオーバーコート防止装置。
【請求項2】
前記絶縁体が前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置されている請求項1に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項3】
前記被めっき材はストリップであり、前記絶縁体の一部が前記被めっき材の端部より内側に延びて該端部を覆うエッジマスクを構成する請求項2に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項4】
前記被めっき材の片面が絶縁性である請求項1ないし3のいずれかに記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項5】
前記補助陰極と前記被めっき材との間隔を調整する間隔調整手段、及び/又は前記補助陰極の電流を調整する電流調整手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項6】
前記電流調整手段は、前記被めっき材に印加される電流と独立して前記補助陰極の電流を調整可能である請求項5に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項7】
前記補助陰極は前記被めっき材の両端に対向してそれぞれ配置され、前記電流調整手段は各補助陰極の電流をそれぞれ独立して調整可能である請求項5又は6に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項8】
前記被めっき材に対向するアノードにアノードマスクを備えた請求項7に記載のエッジオーバーコート防止装置。
【請求項9】
被めっき材に対向して絶縁体を配置し、
前記絶縁体を挟んで前記被めっき材と反対側に補助陰極を配置し、かつ前記補助陰極の外周縁を前記絶縁体の外周縁より内側に位置させ、
前記被めっき材と前記補助陰極とをカソードとして前記被めっき材に電気めっきする電気めっき材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−173952(P2009−173952A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10549(P2008−10549)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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