説明

エネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法

【課題】 燃料電池の負荷追従性を向上することを可能とするエネルギー管理装置及び電力管理方法を提供する。
【解決手段】 電力管理システム1は、SOFC110の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部540と、高温維持制御を行うべき期間を特定する特定部530とを備える。制御部540は、特定部530によって特定された期間において、高温維持制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池及び負荷に接続されたエネルギー管理装置を備えるエネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、需要家毎に設けられるエネルギー管理装置(例えば、HEMS;Home Energy Management System)によって、需要家に設けられる負荷や需要家に設けられる分散電源などを制御する技術が知られている。
【0003】
分散電源としては、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)などの燃料電池が考えられる。或いは、分散電源としては、太陽光、風力、地熱などのクリーンなエネルギーを利用する発電装置が考えられる。
【0004】
ここで、燃料電池から供給される電力は、一般的に、需要家に設けられる負荷の消費電力に追従するように制御される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−15783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、負荷の消費電力が低い状態が続いた場合には、燃料電池の動作中温度が低下する。燃料電池の動作中温度が低下した状態では、燃料電池の負荷追従性が悪化してしまい、負荷の消費電力に対して、燃料電池から供給される電力が追従できなくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、燃料電池の負荷追従性を向上することを可能とするエネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の特徴に係るエネルギー管理システムは、燃料電池及び負荷を備える。エネルギー管理システムは、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部と、前記高温維持制御を行うべき期間を特定する特定部とを備える。前記制御部は、前記特定部によって特定された期間において、前記高温維持制御を行う。
【0009】
第1の特徴において、前記制御部は、前記高温維持制御において、前記燃料電池をヒータによって加熱する。
【0010】
第1の特徴において、前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記負荷の消費電力の履歴に基づいて、前記負荷の消費電力が所定閾値を下回る期間を特定する。
【0011】
第1の特徴において、前記燃料電池の運転によって生じる排熱は、貯湯ユニットに貯留される水を温めるために用いられる。前記制御部は、前記高温維持制御において、前記貯湯ユニットに還流する湯量を減少する。
【0012】
第1の特徴において、前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記貯湯ユニットに貯留される湯の使用履歴に基づいて、前記貯湯ユニットの貯湯量が所定閾値を上回る期間を特定する。
【0013】
第1の特徴において、前記燃料電池の運転によって生じる排熱は、貯湯ユニットに貯留される水を温めるために用いられる。前記制御部は、前記貯湯ユニットの貯湯量が所定閾値よりも少ない場合に、前記高温維持制御を停止する。
【0014】
第1の特徴において、前記制御部は、自立運転状態において、前記高温維持制御を常に行う。
【0015】
第1の特徴において、前記エネルギー管理システムには、他の発電機器がさらに接続される。前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記他の発電機器の発電電力が売電不可の状態下で、なおかつ当該他の発電機器における発電が多く見込まれる時間帯を特定する。
【0016】
第1の特徴において、前記エネルギー管理システムには他の発電機器がさらに接続される。前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記燃料電池による単位量当たりの発電単価が他の発電機器の発電電力の売電単価を上回る状態下で、なおかつ発電が多く見込まれる時間帯を特定する。
【0017】
第2の特徴に係るエネルギー管理装置は、燃料電池及び負荷に接続される。エネルギー管理装置は、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部と、前記高温維持制御を行うべき期間を特定する特定部とを備える。前記制御部は、前記特定部によって特定された期間において、前記高温維持制御を行う。
【0018】
第3の特徴に係る電力管理方法は、燃料電池及び負荷に接続されたエネルギー管理装置を備えるエネルギー管理システムに適用される。電力管理方法は、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行うべき期間を特定するステップAと、前記特定部によって特定された期間において、前記高温維持制御を行うステップBとを備える。
【0019】
第4の特徴に係るエネルギー管理システムは、燃料電池及び負荷を備える。エネルギー管理システムは、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部を備える。前記制御部は、自立運転状態において、前記高温維持制御を常に維持し、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、前記高温維持制御を行う。
【0020】
第5の特徴に係るエネルギー管理装置は、燃料電池及び負荷に接続される。エネルギー管理装置は、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部を備える。前記制御部は、自立運転状態において、前記高温維持制御を常に維持し、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、前記高温維持制御を行う。
【0021】
第6の特徴に係る電力管理方法は、燃料電池及び負荷に接続されたエネルギー管理装置を備えるエネルギー管理システムに適用される。電力管理方法は、自立運転状態において、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を常に行うステップAと、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、前記高温維持制御を行うステップBとを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、燃料電池の負荷追従性を向上することを可能とするエネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、第1実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るHEMS500を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係るエネルギー管理方法を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係るエネルギー管理方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、本発明の実施形態に係るエネルギー管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0025】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0026】
[実施形態の概要]
第1に、エネルギー管理システムは、燃料電池及び負荷を備える。エネルギー管理システムは、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部を備える。前記制御部は、自立運転状態において、前記高温維持制御を常に維持し、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、前記高温維持制御を行う。
【0027】
実施形態では、制御部は、自立運転状態において、高温維持制御を常に維持する。従って、燃料電池の負荷追従性の悪化によって、燃料電池から供給される電力の不足が生じる事態が抑制される。一方で、制御部は、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、高温維持制御を行う。従って、不要な高温維持制御に伴うエネルギーのコスト増大が抑制される。すなわち、燃料電池から供給される電力の不足については、系統から供給される電力で補うことによって、却ってコストメリットが得られる。
【0028】
第2に、エネルギー管理システムは、燃料電池及び負荷を備える。エネルギー管理システムは、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部と、前記高温維持制御を行うべき期間を特定する特定部とを備える。前記制御部は、前記特定部によって特定された期間において、前記高温維持制御を行う。
【0029】
実施形態では、制御部は、特定部によって特定された期間において、高温維持制御を行う。これによって、燃料電池の負荷追従性の悪化を適切に抑制することが可能である。また、不要な高温維持制御に伴うエネルギーのコスト増大も抑制される。
【0030】
[第1実施形態]
(エネルギー管理システム)
以下において、第1実施形態に係るエネルギー管理システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【0031】
図1に示すように、電力管理システム1は、SOFCユニット100と、貯湯ユニット200と、分電盤300と、負荷400と、HEMS500とを有する。
【0032】
SOFCユニット100は、天然ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応によって、電力(例えば、DC電力)を出力する装置(Solid Oxide Fuel Cell)を含むユニットである。
【0033】
詳細には、SOFCユニット100は、SOFC110と、SOFC PCS120と、熱交換器130と、SOFCコントローラ140とを有する。
【0034】
SOFC110は、ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応によって、電力(例えば、DC電力)を発電する装置(Solid Oxide Fuel Cell)である。SOFC110は、燃料電池の一例である。なお、SOFC110の発電量は、SOFC110に供給されるガス及び空気の量に応じて変化する。なお、SOFC110に供給されるガス及び空気の量は、SOFCコントローラ140によって制御される。
【0035】
SOFC PCS120は、SOFC110から出力されるDC電力をAC電力に変換する。SOFC PCS120は、電力ライン12を介してAC電力を分電盤300に出力する。
【0036】
熱交換器130は、貯湯槽210と連結されており、SOFC110の運転(発電)によって生じる排熱によって、貯湯槽210から供給される水を温める。詳細には、熱交換器130は、貯湯槽210から供給される水を温めて、温められた湯を貯湯槽210に還流する。このように、SOFC110の運転(発電)によって生じる排熱は、貯湯槽210から供給される水を温めるために用いられる。
【0037】
SOFCコントローラ140は、負荷追従運転を行うための制御を行う。具体的には、SOFCコントローラ140は、SOFCユニット100(SOFC110)から出力される電力が負荷400の消費電力に追従するように、SOFC110を制御する。
【0038】
SOFCコントローラ140は、系統10から供給される電力が所定値(例えばゼロ)となるように、SOFCユニット100(SOFC110)の目標出力電力値を決定する。SOFCコントローラ140は、SOFCユニット100(SOFC110)の出力電力が目標出力電力値となるように、SOFC110を制御する。
【0039】
なお、系統10から供給される電力は、負荷400の消費電力に応じて変化する。従って、系統10から供給される電力に応じて目標出力電力値を決定するケースであっても、SOFCユニット100(SOFC110)の出力電力は、負荷400の消費電力に追従することに留意すべきである。
【0040】
或いは、SOFCコントローラ140は、負荷400の消費電力と等しい目標出力電力値を決定する。SOFCコントローラ140は、SOFCユニット100(SOFC110)の出力電力が目標出力電力値となるように、SOFC110を制御する。
【0041】
第1実施形態において、SOFCコントローラ140は、SOFC110の動作中温度をHEMS500に通知する。SOFC110の動作中温度は、例えば、SOFC110に併設された温度計によって計測可能である。
【0042】
貯湯ユニット200は、熱交換器130と連結された貯湯槽210を有する。貯湯槽210は、SOFC110の運転によって生じる排熱によって温められた湯を貯留する。また、貯湯ユニット200は、熱交換器130に供給する水量の調整などによって、貯湯槽210の貯湯量を制御する機能を有する。
【0043】
ここで、貯湯ユニット200は、SOFCコントローラ140を経由して、貯湯槽210の貯湯量をHEMS500に通知する。なお、「貯湯量」は、温度換算の値(すなわち、貯熱量)と考えてもよい。
【0044】
分電盤300は、電力ライン11を介して系統10と接続されており、電力ライン12を介してSOFCユニット100と接続されており、電力ライン13を介して負荷400と接続される。分電盤300は、電力ライン11を介して系統10から供給される電力及び電力ライン12を介してSOFCユニット100か供給される電力を、電力ライン13を介して負荷400に分配する。
【0045】
第1実施形態では、分電盤300は、計測部310を有する。計測部310は、系統10から供給される電力を計測する。また、計測部310は、負荷400の消費電力を計測する。
【0046】
なお、複数の負荷400が設けられている場合には、計測部310は、複数の負荷400の消費電力の合計を計測してもよく、各負荷400の消費電力を個別に計測してもよい。
【0047】
ここで、計測部310は、SOFCユニット100及びHEMS500に信号線を介して接続されており、SOFCユニット100及びHEMS500に計測値を送信する。
【0048】
負荷400は、電力ライン13を介して供給される電力を消費する装置である。例えば、負荷400は、冷蔵庫、照明、エアコン、テレビなどの装置を含む。なお、負荷400は、単数の装置であってもよく、複数の装置を含んでもよい。
【0049】
HEMS500は、需要家の電力を管理する装置(HEMS;Home Energy Management System)である。HEMS500は、SOFCユニット100、分電盤300(計測部310)及び負荷400に信号線を介して接続される。HEMS500は、負荷400の動作モードを制御する機能を有する。HEMS500は、エネルギー管理装置の一例である。
【0050】
具体的には、HEMS500は、図2に示すように、HEMS500は、受信部510と、送信部520と、特定部530と、制御部540とを有する。
【0051】
受信部510は、SOFCコントローラ140、分電盤300(計測部310)及び負荷400から各種情報を受信する。例えば、受信部510は、貯湯槽210の貯湯量を示す情報、SOFC110の動作中温度を示す情報をSOFCコントローラ140から受信する。受信部510は、系統10から供給される電力(計測値)又は負荷400の消費電力(計測値)を計測部310から受信する。なお、受信部510は、負荷400の状態(電源ON/OFF、動作モード)を示す負荷状態情報を負荷400から受信してもよい。
【0052】
第1実施形態において、計測部310及び負荷400の少なくとも一方から受信する情報は、記憶部(不図示)に蓄積されており、記憶部において、負荷400の消費電力の履歴として管理されることが好ましい。また、貯湯槽210の貯湯量を示す情報は、記憶部(不図示)に蓄積されており、記憶部において、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴として管理されることが好ましい。
【0053】
送信部520は、SOFCユニット100及び負荷400に各種情報を送信する。詳細には、送信部520は、SOFC110の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行うための温度制御信号を送信する。
【0054】
ここで、高温維持制御は、SOFC110をSOFC110に併設されたヒータで加熱することによって行われてもよい。このようなケースでは、送信部520は、温度制御信号をヒータに送信する。或いは、高温維持制御は、貯湯槽210に還流する湯量を減少することによって行われてもよい。このようなケースでは、送信部520は、温度制御信号を貯湯ユニット200に送信する。なお、貯湯槽210に還流する湯量の減少とは、高温維持制御を行っていない状態において貯湯槽210に還流する湯量(標準湯量)に対して減少することを意味する。
【0055】
なお、送信部520は、負荷400を制御するための負荷制御情報を負荷400に送信してもよい。
【0056】
特定部530は、高温維持制御を行うべき期間を特定する。具体的には、特定部530は、高温維持制御を行うべき期間として、SOFC110の出力電力(発電量)が所定閾値を下回る期間を特定する。なお、特定部530は、SOFC110の出力電力(発電量)の増大量が所定閾値未満である期間を、高温維持制御を行うべき期間から除外してもよい。例えば、特定部530は、以下に示す5つの方法によって、高温維持制御を行うべき期間を特定する。
【0057】
第1に、特定部530は、高温維持制御を行うべき期間として、負荷400の消費電力の履歴に基づいて、負荷400の消費電力が所定閾値を下回る期間を特定する。言い換えると、特定部530は、SOFC110の動作中温度が低下する期間を特定する。但し、負荷400の消費電力が所定閾値を下回る期間が長期的に継続するケース、すなわち、負荷400の消費電力の増大が見込めないケースにおいては、特定部530は、高温維持制御を行うべき期間から、負荷400の消費電力の増大量が所定閾値を下回る期間を除外してもよい。
【0058】
第2に、特定部530は、高温維持制御を行うべき期間として、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴に基づいて、貯湯槽210の貯湯量が所定閾値を上回る期間を特定してもよい。言い換えると、特定部530は、貯湯槽210に貯留される湯の使用量が少ない期間を特定する。貯湯槽210の貯湯量が多い場合には、貯湯槽210に還流する湯量を減少しても、貯湯槽210の貯湯量が不足することがない。
【0059】
第3に、特定部530は、負荷400の消費電力の履歴及び貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴の組合せに基づいて、高温維持制御を行うべき期間を特定してもよい。例えば、特定部530は、負荷400の消費電力が所定閾値を下回る期間又は貯湯槽210の貯湯量が所定閾値を上回る期間を特定してもよい。或いは、特定部530は、負荷400の消費電力が所定閾値を下回り、かつ、貯湯槽210の貯湯量が所定閾値を上回る期間を特定してもよい。
【0060】
第4に、特定部530は、太陽電池など、他の発電機器の発電電力の売電の可否および時間帯に基づいて、高温維持制御を行うべき期間を特定してもよい。すなわち、他の発電機器として、太陽電池などの時間帯に応じて発電量に変動が発生する類の発電機器が負荷にともに接続される場合には、その出力の大小を加味する。例えば、太陽電池の場合には、日中は発電量が多く、夜間は発電量が小さい。また、発電量が多く見込まれる時間帯であるにもかかわらず、太陽電池側の電圧が上昇して逆潮流が禁止されるときのように、他の発電機器側からの売電が出来ない場合には、SOFC110の発電量に依存する量が低下し、SOFC110の動作中温度が低下する。この場合、次に逆潮流可能となった場合には、他の発電機器からの発電電力は売電に回されてしまうため、急遽SOFC110は発電量の増加が要求される可能性がある。このため、他の発電機器の発電電力が売電不可の状態下では、発電が多く見込まれる時間帯については高温維持制御を行う期間と特定してもよい。
【0061】
第5に、特定部530は、他の発電機器の発電電力の売電単価とSOFCによる発電単価の比較結果に基づいて、高温維持制御を行うべき期間を特定してもよい。すなわち、第4の期間特定方法として示した例のように売電可能かつ発電量が多く見込まれる時間帯において、SOFC110による単位量当たりの発電単価と、太陽電池など他の発電機器の発電電力の売電単価とを比較し、前者が上回る場合には他の発電機器の発電電力は売電されず、負荷での消費にあてられることとなり、SOFC110の発電量に依存する量が低下し、SOFC110の動作中温度が低下する。このため、SOFC110による単位量当たりの発電単価が他の発電機器の他の発電機器の発電電力の売電単価を上回る状態下で、発電が多く見込まれる時間帯については高温維持制御を行う期間と特定してもよい。
【0062】
制御部540は、HEMS500を制御する。具体的には、制御部540は、SOFC110の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う。
【0063】
第1実施形態において、制御部540は、自立運転状態において、高温維持制御を常に維持し、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、高温維持制御を行うことが好ましい。
【0064】
なお、所定条件は、例えば、高温維持制御を行うべき期間が特定部530によって特定されており、現在時刻が高温維持制御を行うべき期間に含まれることである。
【0065】
また、制御部540が高温維持制御を行う方法としては、以下に示す2つの方法が考えられる。
【0066】
第1に、制御部540は、高温維持制御において、SOFC110をSOFC110に併設されたヒータで加熱する。すなわち、制御部540は、ヒータに対する温度制御信号の送信を送信部520に指示する。
【0067】
ここで、ヒータによってSOFC110を加熱するケースでは、負荷400の消費電力の履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間が特定されることが好ましい。但し、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間が特定されてもよい。
【0068】
第2に、制御部540は、高温維持制御において、貯湯槽210に還流する湯量を減少する。すなわち、制御部540は、貯湯ユニット200に対する温度制御信号の送信を送信部520に指示する。
【0069】
ここで、貯湯槽210に還流する湯量を減少するケースでは、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間が特定されることが好ましい。但し、負荷400の消費電力の履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間が特定されてもよい。
【0070】
なお、制御部540は、高温維持制御において、ヒータによってSOFC110を加熱し、かつ、貯湯槽210に還流する湯量を減少してもよい。
【0071】
(エネルギー管理方法)
以下において、第1実施形態に係るエネルギー管理方法について説明する。図3及び図4は、第1実施形態に係るエネルギー管理方法を示すシーケンス図である。
【0072】
第1に、負荷400の消費電力の履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間が特定されるケースについて、図3を参照しながら説明する。
【0073】
図3に示すように、ステップ110において、HEMS500は、高温維持制御を行うべき期間を特定する。具体的には、HEMS500は、高温維持制御を行うべき期間として、SOFC110の出力電力(発電量)が所定閾値を下回る期間を特定する。例えば、HEMS500は、上述した5つの方法によって、高温維持制御を行うべき期間を特定する。例えば、HEMS500は、負荷400の消費電力が所定閾値を下回る期間を特定する。
【0074】
ステップ120において、HEMS500は、SOFC110の出力電力(発電量)の増大量が所定閾値以上であるか否かを判定する。HEMS500は、判定結果が“YES”である場合には、ステップ130の処理に移る。一方で、HEMS500は、判定結果が“NO”である場合には、一連の処理を終了する。
【0075】
例えば、HEMS500は、負荷400の消費電力の増大が見込める場合に、ステップ130の処理に移る。
【0076】
なお、上述した5つの方法では、ステップ110及びステップ120の処理が合わせて説明されていることに留意すべきである。
【0077】
ステップ130において、HEMS500は、ステップ110で特定された期間において、高温維持制御を行う。ここでは、HEMS500は、ヒータによってSOFC110を加熱することが好ましい。
【0078】
第2に、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間が特定されるケースについて、図4を参照しながら説明する。
【0079】
図4に示すように、ステップ210において、HEMS500は、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間を特定する。詳細には、HEMS500は、貯湯槽210の貯湯量が所定閾値を上回る期間を特定する。
【0080】
ステップ220において、HEMS500は、ステップ210で特定された期間において、高温維持制御を行う。ここでは、HEMS500は、貯湯槽210に還流する湯量を減少することが好ましい。
【0081】
(作用及び効果)
第1実施形態では、HEMS500は、自立運転状態において、高温維持制御を常に維持する。従って、SOFC110の負荷追従性の悪化によって、SOFC110から供給される電力の不足が生じる事態が抑制される。一方で、HEMS500は、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、高温維持制御を行う。従って、不要な高温維持制御に伴うエネルギーのコスト増大が抑制される。すなわち、SOFC110から供給される電力の不足については、系統から供給される電力で補うことによって、却ってコストメリットが得られる。
【0082】
第1実施形態では、HEMS500は、特定部530によって特定された期間において、高温維持制御を行う。これによって、SOFC110の負荷追従性の悪化を適切に抑制することが可能である。また、不要な高温維持制御に伴うエネルギーのコスト増大も抑制される。
【0083】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0084】
具体的には、変更例1において、HEMS500は、貯湯槽210の貯湯量が所定閾値よりも少ない場合に、高温維持制御を停止する。
【0085】
例えば、負荷400の消費電力の履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間が特定された場合には、貯湯槽210の貯湯量が所定閾値よりも少ないケースが考えられる。このようなケースにおいて、高温維持制御が貯湯槽210に還流する湯量を減少する制御である場合には、貯湯槽210の貯湯量が不足する可能性がある。
【0086】
従って、変更例1では、HEMS500は、このようなケースを想定して、貯湯槽210の貯湯量が所定閾値よりも少ない場合に、高温維持制御を停止する。
【0087】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0088】
実施形態では、エネルギー管理装置として、HEMS500を例示した。しかしながら、エネルギー管理装置は、例えば、BEMS(Building and Energy Manegement System)であってもよく、FEMS(Factory Energy Manegement System)であってもよい。
【0089】
実施形態では、HEMS500は、負荷400の消費電力の履歴又は貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴に基づいて、高温維持制御を行うべき期間を特定する。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。HEMS500は、負荷400の消費電力を常に監視して、高温維持制御を行うべき期間を特定してもよい。同様に、HEMS500は、貯湯槽210に貯留される湯の使用量を常に監視して、高温維持制御を行うべき期間を特定してもよい。
【0090】
実施形態では、HEMS500は、自立運転時においては、常に高温維持制御を行う。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。HEMS500は、自立運転時においても、特定部530によって特定された期間において高温維持制御を行ってもよい。
【0091】
実施形態では特に触れていないが、制御部540の機能は、HEMS500以外の装置が有していてもよい。例えば、SOFCコントローラ140が制御部540の機能を有していてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…電力管理システム、10…系統、11…電力ライン、12…電力ライン、13…電力ライン、100…SOFCユニット、110…SOFC、120…SOFC PCS、130…熱交換器、140…SOFCコントローラ、200…貯湯ユニット、210…貯湯槽、300…分電盤、310…計測部、400…負荷、500…HEMS、510…受信部、520…送信部、530…特定部、540…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池及び負荷を備えるエネルギー管理システムであって、
前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部と、
前記高温維持制御を行うべき期間を特定する特定部とを備え、
前記制御部は、前記特定部によって特定された期間において、前記高温維持制御を行うことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記高温維持制御において、前記燃料電池をヒータによって加熱することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記負荷の消費電力の履歴に基づいて、前記負荷の消費電力が所定閾値を下回る期間を特定することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記燃料電池の運転によって生じる排熱は、貯湯ユニットに貯留される水を温めるために用いられており、
前記制御部は、前記高温維持制御において、前記貯湯ユニットに還流する湯量を減少することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記貯湯ユニットに貯留される湯の使用履歴に基づいて、前記貯湯ユニットの貯湯量が所定閾値を上回る期間を特定することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理システム。
【請求項6】
前記燃料電池の運転によって生じる排熱は、貯湯ユニットに貯留される水を温めるために用いられており、
前記制御部は、前記貯湯ユニットの貯湯量が所定閾値よりも少ない場合に、前記高温維持制御を停止することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、自立運転状態において、前記高温維持制御を常に行うことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項8】
前記エネルギー管理システムには、他の発電機器がさらに接続されており、
前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記他の発電機器の発電電力が売電不可の状態下で、なおかつ当該他の発電機器における発電が多く見込まれる時間帯を特定することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項9】
前記エネルギー管理システムには他の発電機器がさらに接続されており、
前記特定部は、前記高温維持制御を行うべき期間として、前記燃料電池による単位量当たりの発電単価が他の発電機器の発電電力の売電単価を上回る状態下で、なおかつ発電が多く見込まれる時間帯を特定することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項10】
燃料電池及び負荷に接続されたエネルギー管理装置であって、
前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部と、
前記高温維持制御を行うべき期間を特定する特定部とを備え、
前記制御部は、前記特定部によって特定された期間において、前記高温維持制御を行うことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項11】
燃料電池及び負荷に接続されたエネルギー管理装置を備えるエネルギー管理システムに適用される電力管理方法であって、
前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行うべき期間を特定するステップAと、
前記特定部によって特定された期間において、前記高温維持制御を行うステップBとを備えることを特徴とする電力管理方法。
【請求項12】
燃料電池及び負荷を備えるエネルギー管理システムであって、
前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、自立運転状態において、前記高温維持制御を常に維持し、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、前記高温維持制御を行うことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項13】
燃料電池及び負荷に接続されたエネルギー管理装置であって、
前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、自立運転状態において、前記高温維持制御を常に維持し、系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、前記高温維持制御を行うことを特徴とするエネルギー管理装置。
【請求項14】
燃料電池及び負荷に接続されたエネルギー管理装置を備えるエネルギー管理システムに適用される電力管理方法であって、
自立運転状態において、前記燃料電池の動作中温度を所定温度範囲に維持する高温維持制御を常に行うステップAと、
系統連系時において、所定条件が満たされた場合に、前記高温維持制御を行うステップBとを備える特徴とする電力管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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