説明

エネルギー管理システム及びプログラム

【課題】発電システムの効率的な運用を図る。
【解決手段】蓄電ユニット40に蓄電された電力と、蓄熱ユニット50に蓄熱された熱エネルギーを考慮しつつ、発電電力予測部33によって予測される発電電力と、消費電力予測部63によって予測される消費電力に基づいて、発電システムによって発電される余剰電力の供給を調整する。また、環境情報取得ユニットによって取得された環境情報に基づいて、余剰電力を用いた空調を行う。これにより、余剰電力の効率的な利用が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー管理システム及びプログラムに関し、更に詳しくは、発電手段によって発電されるエネルギーを、効率的に利用するためのエネルギー管理システム、及び前記エネルギー管理システムの制御用コンピュータに用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化や、世界規模で進行する経済産業の発展にともない、CO排出量の削減、或いはエネルギー消費量の削減を目的とする取り組みが重要視されている。このような背景から、太陽光発電システムに代表される分散型発電システムが、マンションなどの集合住宅や、一戸建て家屋に普及するに至っている。
【0003】
この種の分散型発電システムの稼働時間や発電量は、天候などによって左右される。このため、分散型発電システムは、ユーザの要求に応じて電力を供給することが困難になる場合がある。また、分散型発電システムの普及が拡大すると、電力系統に潮流する電力量が増加し、電力系統が不安定になることも考えられる。
【0004】
そこで、分散型発電システムを安定して効率よく運用するための技術が種々提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3988853号公報
【特許文献2】特開2006−300428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された装置は、履歴等に基づいて予測されたエネルギーの需要量と、実際のエネルギーの需要量とを比較する。そして、両者の差が小さい場合には、太陽光発電システムや、燃料電池等のエネルギー供給源を、予め設定されたスケジュールに基づいて制御する。一方、実際のエネルギーの需要量と、予測されたエネルギーの需要量との差が大きい場合は、エネルギー供給源を、実際のエネルギーの需要量に応じて制御する。この装置を用いることで、エネルギー供給源を効率よく運用するとともに、予想外に負荷が変動した場合にも、エネルギーの供給を滞りなく行うことができる。
【0007】
しかしながら、太陽光発電システムや風力発電システムに代表される分散型発電システムの出力の変動は、エネルギーの需要の変動と必ずしもシンクロするわけではない。このため、これらの発電システムからの出力を、何らかの形で蓄えるシステムが必要となる。この場合には、蓄えられたエネルギーを考慮して、発電システムを運用する必要がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の装置は、住戸に設置されたエネルギー供給源それぞれの出力と、住戸でのエネルギー消費量とを監視する。そして、監視した結果に基づいて、各エネルギー供給源の最適な運用方法を提案する。これにより、オペレータは、効率よくエネルギー供給源を運用することが可能となる。
【0009】
しかしながら、この装置を用いたとしても、エネルギー供給源の運用は、終局的にはオペレータに委ねられる。このため、エネルギー供給源の制御が人の勘によるものとなり、必ずしも提案された運用方法が実現されるとは限らない。
【0010】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、蓄積されたエネルギーを考慮しつつ、発電システムから供給されるエネルギーの出力を調整することで、当該エネルギーを効率的に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るエネルギー管理システムは、
住戸に設置される発電手段と、
前記発電手段によって発電される電力を計測する発電電力計測手段と、
前記発電手段によって発電された電力の履歴に基づいて、前記発電手段によって発電される電力を予測する発電電力予測手段と、
前記発電手段によって発電された電力を蓄える蓄電手段と、
前記蓄電手段が蓄える電力量を計測する蓄電量計測手段と、
前記電力を消費する消費機器と、
前記消費機器が消費する消費電力を計測する消費電力計測手段と、
前記消費機器が消費した消費電力の履歴に基づいて、前記消費機器が消費する消費電力を予測する消費電力予測手段と、
前記電力を電力系統に潮流させる売電手段と、
前記発電電力予測手段の予測結果と、前記消費電力予測手段の予測結果と、前記蓄電量計測手段の計測結果とに基づいて、前記蓄電手段へ供給される前記電力を調整する制御手段と、
を有する。
【0012】
本発明の第2の観点に係るプログラムは、
本発明のエネルギー管理システムの制御用コンピュータに、
前記発電手段によって発電された電力の履歴に基づいて、前記発電手段によって発電される電力を予測する手順と、
前記消費機器が消費した消費電力の履歴に基づいて、前記消費機器が消費する消費電力を予測する手順と、
予測された前記発電手段によって発電される電力と、予測された前記消費機器が消費する消費電力とに基づいて、前記蓄電手段及び前記売電手段に供給する電力を調整する手順と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄電手段の蓄電量を考慮しつつ、予測される発電電力と、予測される消費電力とに基づいて、蓄電手段及び売電手段に供給される電力が調整される。したがって、発電システムによって発電された電力の効率的な利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るエネルギー管理システムのブロック図である。
【図2】住戸に設置された電気機器の配置を示す図である。
【図3】発電電力と時刻との関係を表す曲線を示す図である。
【図4】1時間当たりの発電電力量を表すグラフを示す図である。
【図5】発電電力を予測する手順を説明するための図である。
【図6】制御ユニットのブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係るエネルギー管理システムのブロック図である。
【図8】住戸に設置された電気機器の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るエネルギー管理システム10のブロック図である。このエネルギー管理システム10は、分散型の発電システムによって発電される発電電力を、負荷の状況や、電気エネルギーを蓄える電池ユニットの状況を考慮して、効率的に利用するためのシステムである。図1に示されるように、エネルギー管理システム10は、制御ユニット20、発電システム30、蓄電ユニット40、蓄熱ユニット50、電力消費機器61、消費電力計62、消費電力予測部63、及び売電ユニット71を有している。
【0016】
発電システム30は、太陽電池パネル31、発電電力計32、発電電力予測部33を有している。
【0017】
図2は、住戸100に設置された電気機器の配置を示す図である。図2を参照するとわかるように、太陽電池パネル31は、住戸100の屋根に配置されている。この太陽電池パネル31は、不図示のコンバータを介して電力系統に接続される。
【0018】
図1に戻り、発電電力計32は、太陽電池パネル31によって発電され、電力系統に供給される電力の瞬時値、及び単位時間あたりの電力量を計測する。そして、計測結果に関する情報を、制御ユニット20及び発電電力予測部33へ送信する。
【0019】
発電電力予測部33は、不揮発性のメモリを有し、発電電力計32から送信される情報を時系列的に記憶する。図3には、太陽電池パネル31によって発電された発電電力と時刻との関係を表す曲線S1が示されている。発電電力予測部33が、発電電力計32から送信される電力の瞬時値に関する情報を時系列的に記憶することで、時刻を示す数値tと、電力の値を示す数値pとからなるデータ(t、p)が蓄積される。
【0020】
また、図4には、太陽電池パネル31によって発電された1時間当たりの発電電力量を表す棒グラフが示されている。発電電力予測部33が、発電電力計32から送信される1時間当たりの発電電力量に関する情報を時系列的に記憶することで、時刻tと、時刻tから1時間経過するまでの発電電力量Pとからなるデータ(t、P)が蓄積される。
【0021】
発電電力予測部33は、発電電力計32から送信される現在の発電電力及び発電電力量に関する情報を受信する。そして、現在の時刻と、現在の発電電力及び発電電力量と、蓄積されたデータ(t、P)及びデータ(t、P)とに基づいて、太陽電池パネル31によって発電される発電電力を予測する。
【0022】
発電電力の予測は、種々の統計的手法を用いることができる。この場合は、過去の発電電力の履歴が多いほど正確に予測することができる。また、気象情報を加味することで更に正確な予測が可能となる。例えば図5には、過去の発電電力の履歴から統計的に導き出された電力推移曲線S2が示されている。図5に示されるように、時刻9時の時点での発電電力が概ねWである場合には、発電電力予測部33は、時刻9時以降は、発電電力が概ね電力推移曲線S1に沿って推移すると予測する。
【0023】
発電電力予測部33は、発電電力の推移を予測すると、予測結果に関する情報を制御ユニット20へ送信する。
【0024】
図1に戻り、蓄電ユニット40は、電池ユニット41及び蓄電量計42を有している。電池ユニット41は、発電システム30によって発電され、制御ユニット20を介して供給される電力を蓄電する。また、蓄電量計42は、電池ユニット41に蓄えられた電力量を計測する。そして、計測結果を制御ユニット20へ通知する。
【0025】
蓄熱ユニット50は、給湯器51及び蓄熱量計52を有している。給湯器51は、住戸100で使用される温水を生成する装置である。この給湯器51は、一定量の水道水が貯水された貯水タンクを有している。そして、制御ユニット20を介して供給される電力を利用して、貯水タンク内の水を加熱し保持する。これにより、電力が変換されることによって生成された熱エネルギーが蓄熱される。給湯器51に蓄えられている熱エネルギーの量は、蓄熱量計52によって計測され、制御ユニット20へ通知される。
【0026】
電力消費機器61は、住戸100で使用される空調装置、冷蔵庫、テレビ及び洗濯機等の家電製品である。エネルギー管理システム10では、住戸100で使用される電力消費機器61には、共通の基幹ブレーカを介して電力が供給される。したがって、基幹ブレーカでの電流及び電圧を計測することで、住戸100全体で利用される電力を計測することができる。
【0027】
消費電力計62は、電力消費機器61で使用される電力を計測する。そして、計測結果に関する情報を、制御ユニット20及び消費電力予測部63へ送信する。
【0028】
消費電力予測部63は、不揮発性のメモリを有し、消費電力計62から送信される情報を時系列的に記憶する。消費電力予測部63が、消費電力計62から送信される電力の瞬時値に関する情報を時系列的に記憶することで、時刻を示す数値tと、電力の値を示す数値wとからなるデータ(t、w)が蓄積される。
【0029】
消費電力予測部63は、消費電力計62から送信される現在の消費電力に関する情報を受信する。そして、現在の時刻と、現在の消費電力と、蓄積されたデータ(t、w)とに基づいて、電力消費機器61によって消費される消費電力の推移を予測する。そして、予測結果に関する情報を制御ユニット20へ送信する。
【0030】
売電ユニット71は、電力会社と、売電電力の単価(円/Kwh)について、ネゴシエーションを行い、売電電力の単価を決定する。売電電力の単価は、電力の需給バランスの変化により、将来的には細分化された時間帯で変化することが予想される。このため、経済的な収支を計算する上で、時系列的な売電電力の単価を評価することが必要となる。売電ユニット71は、上述した観点から、電力会社と売電電力の単価についてのネゴシエーションを行い、売電電力の単価を決定する。
【0031】
売電ユニット71は、売電電力の単価を決定すると、制御ユニット20を介して供給される電力を、電力系統80へ潮流させる。
【0032】
図6は、制御ユニット20の制御系を示すブロック図である。図6に示されるように、制御ユニット20は、CPU(Central Processing Unit)20a、主記憶部20b、補助記憶部20c、インタフェース部20d、及び上記各部を相互に接続するシステムバス20eを有している。
【0033】
CPU20aは、補助記憶部20cに記憶されているプログラムに従って、後述する所定の処理を実行する。
【0034】
主記憶部20bは、RAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。この主記憶部20bは、CPU20aの作業領域として用いられる。
【0035】
補助記憶部20cは、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリを含んで構成されている。この補助記憶部20cには、後述する処理を実行するためのプログラムや、パラメータなどが記憶されている。
【0036】
インタフェース部20dは、シリアルインタフェース、或いはアナログ信号を受信するためのアナログインタフェースを有している。発電電力計32、発電電力予測部33、消費電力計62、消費電力予測部63、蓄電量計42から送信される情報は、インタフェース部20dによって受信され、システムバス20eを介して、CPU20aに通知される。
【0037】
上述のように構成された制御ユニット20は、発電電力予測部33、消費電力予測部63等から送信される情報に基づいて、蓄電ユニット40へ供給する電力と、売電ユニット71へ供給する電力の調整を行う。また、制御ユニット20は、発電システム30によって発電された電力だけでは、電力消費機器61で消費される消費電力をまかなうことができないと判断した場合には、受電ユニット72を介して電力系統80から電力を受電する。そして、受電した電力を電力消費機器61へ供給する。
【0038】
例えば、制御ユニット20は、蓄電量計42及び蓄熱量計52からの出力を監視する。そして、蓄電ユニット40の蓄電量、及び蓄熱ユニット50の蓄熱量に余裕があり、今後消費電力が増加すると見込まれる場合には、余剰電力を蓄電ユニット40と、蓄熱ユニット50へ優先的に供給する。なお、余剰電力とは、発電電力を電力消費機器61に供給した後の残りの電力をいう。
【0039】
これにより、消費電力の増加分を補完するための電力の蓄電が、売電に優先して実行される。したがって、今後消費電力が増加したとしても、消費電力の増加分を蓄電された電力でまかなうことが可能となる。
【0040】
また、蓄熱ユニット50に供給される余剰電力が変換されることにより生成された熱エネルギーの蓄熱が、売電に優先して実行される。したがって、消費電力が増加した後に、給湯器51で消費される電力を抑制することができる。このため、系統から取り込む電力量を削減することができる。
【0041】
制御ユニット20は、消費電力が減少すると見込まれる場合には、蓄電ユニット40と蓄熱ユニット50へ供給する余剰電力を減少させ、優先的に余剰電力を売電ユニット71へ供給する。これにより、蓄電ユニット40へ蓄電する際に生じる電力ロスと、余剰電力を熱エネルギーに変換し蓄熱ユニット50へ蓄熱する際の電力ロスを抑えつつ、余剰電力を無駄なく売電することができる。
【0042】
制御ユニット20は、現時点から所定の期間経過後までの間に、電力消費機器61によって消費される消費電力量が、蓄電ユニット40に蓄えられた電力量よりも少なくなると見込まれる場合には、余剰電力を、売電ユニット71へ供給する。これにより、効率的に余剰電力を売電することができる。
【0043】
また、制御ユニット20は、現時点から所定の期間経過後までの間に、電力消費機器61によって消費される消費電力量が、発電手段によって発電される電力量よりも大きくなると見込まれる場合には、売電ユニット71への余剰電力の供給を停止する。これにより、余剰電力が、蓄電ユニット40へ優先的に蓄電される。また、余剰電力が変換されることにより生成された熱エネルギーが、蓄熱ユニット50に優先的に蓄熱される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、蓄電ユニット40に蓄電された電力と、蓄熱ユニット50に蓄熱された熱エネルギーを考慮しつつ、発電電力予測部33によって予測された発電電力と、消費電力予測部63によって予測された消費電力とに基づいて、余剰電力の供給が調整される。これにより、余剰電力の効率的な利用が可能となる。
【0045】
《第2の実施形態》
次に本発明の第2の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いる。
【0046】
図7は、第2の実施形態に係るエネルギー管理システム10Aのブロック図である。また、図8は、エネルギー管理システム10Aを構成する機器の配置を示す図である。図7及び図8を参照するとわかるように、本実施形態に係るエネルギー管理システム10Aは、住戸100の室内100Aの環境情報を取得する環境情報取得ユニット73を有している。また、電力消費機器としての床下蓄熱システム61A、電動窓61B、及び電動雨戸61Cとを有している。
【0047】
図8に示されるように、床下蓄熱システム61Aは、室内100Aと床下100Bとの間で空気を循環させるためのダクト91と、ダクト91の内部に配置された循環ファン92と、セラミック等によって構成された蓄熱材93を有している。床下蓄熱システム61Aでは、例えば循環ファン92が正転すると、室内100Aの内部の空気が100Bへ供給される。また、循環ファン92が逆転すると、床下100Bの空気が室内100Aに供給される。
【0048】
電動窓61B及び電動雨戸61Cは、駆動モータを有している。制御ユニット20は、この駆動モータを駆動させることで、電動窓61B及び電動雨戸61Cを開閉することができる。
【0049】
環境情報取得ユニット73は、室内100Aの温度、湿度、及び通風量を計測し、計測結果に関する情報を、制御ユニット20へ送信する。
【0050】
制御ユニット20は、環境情報取得ユニット73から通知される環境情報に基づいて、余剰電力で床下蓄熱システム61A、電動窓61B、電動雨戸61Cを駆動する。
【0051】
例えば、冬季の晴天の日は、昼間に余剰電力が多くなり、室内の温度も上昇する。この場合には、制御ユニット20は、電動雨戸61Cを開けて、日光を室内へ入射させる。そして、室内100Aの温度が所定の温度を超えた場合に、床下蓄熱システム61Aを構成する循環ファン92を正転させて、室内100Aの空気を床下100Bへ供給する。これにより、蓄熱材93と空気との間で熱交換が起こり、蓄熱材93に熱エネルギーが蓄積される。
【0052】
制御ユニット20は、住戸100に居住者が滞在する夜間には、循環ファン92を逆転させて、床下100Bの空気を室内100Aに供給する。これにより、昼間に蓄熱材93に蓄熱された熱エネルギーによって加熱された空気が、室内100Aに供給される。
【0053】
また、制御ユニット20は、例えば夏期の晴天の日に、余剰電力が発生した場合には、この余剰電力で、電動窓61B、及び電動雨戸61Cを開けて、外気を住戸100の室内100Aに取り込む。この場合に、制御ユニット20は、環境情報取得ユニット73を介して、室内100Aでの通風量、湿度等を監視し、電動窓61B及び電動雨戸61Cの開度を調整する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、環境情報取得ユニット73によって取得された環境情報に基づいて、余剰電力を用いた室内100Aの空調が行われる。このため、余剰電力を有効に利用することができる。
【0055】
また、比較的消費電力が小さい床下蓄熱システム61Aの循環ファン92、電動窓61B、電動雨戸61Cを駆動することで、消費電力が大きな空調装置と同等の効果が期待できる。これにより、余剰電力を有効に利用することが可能になる。
【0056】
なお、上記実施形態では、環境情報に基づいて、余剰電力を利用する場合について説明した。これに限らず、天候、風速、風向、太陽光の照度等を加味して、床下蓄熱システム61A、電動窓61B、電動雨戸61Cを駆動してもよい。
【0057】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態によって限定されるものではない。
【0058】
例えば、上記実施形態では、余剰電力を、蓄電ユニット40、蓄熱ユニット50及び売電ユニット71のいずれかへ供給する場合について説明した。これに限らず制御ユニット20は、余剰電力を利用して、電力消費機器61の1つである空調装置を運転することとしてもよい。また、住戸100が換気システムを備えている場合には、余剰電力を利用して、換気システムを運転することとしてもよい。太陽光発電システムを用いた場合は、居住者が不在の昼間に余剰電力が多く発生する。このため、居住者の不在時に余剰電力を利用して住戸の空調を実施しておくことで、居住者が帰宅した後に消費される消費電力を効果的に削減することが可能となる。
【0059】
上記実施形態では、消費電力計62は、住戸100で使用される電力消費機器61全体で消費される消費電力を計測することとした。これに限らず、電力消費機器61ごとに消費電力を計測し、電力消費機器61ごとに、将来消費される消費電力を予測することとしてもよい。
【0060】
上記実施形態では、発電電力予測部33が、発電電力計32から送信される情報に基づいて、発電電力の予測を行った。これに限らず、制御ユニット20が、発電電力計32からの出力に基づいて、発電電力の予測を行ってもよい。
【0061】
上記実施形態では、消費電力予測部63が、消費電力計62から送信される情報に基づいて、消費電力の予測を行った。これに限らず、制御ユニット20が、消費電力計62からの出力に基づいて、消費電力の予測を行ってもよい。
【0062】
上記実施形態では、発電システム30が、太陽電池パネル31を有している場合について説明した。これに限らず、電力供給源は、風力発電ユニット、或いは燃料電池等の分散型の発電機であってもよい。
【0063】
制御ユニット20は、売電ユニット72が決定した単価に基づいて、電力系統80に潮流させる電力を調整してもよい。この場合には、例えば、売電の際の単価と、買電の際の単価との差に応じた電力を、潮流させることが考えられる。
【0064】
上記実施形態に係る制御ユニット20を構成する補助記憶部20cに記憶されているプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magnet-Optical Disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行するシステムを構成することとしてもよい。
【0065】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしても良い。
【0066】
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等しても良い。
【0067】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のエネルギー管理システム及びプログラムは、発電手段によって発電されたエネルギーを効率的に利用するのに適している。
【符号の説明】
【0069】
10,10A エネルギー管理システム
20 制御ユニット
20a CPU
20b 主記憶部
20c 補助記憶部
20d インタフェース部
20e システムバス
30 発電システム
31 太陽電池パネル
32 発電電力計
33 発電電力予測部
40 蓄電ユニット
41 電池ユニット
42 蓄電量計
50 蓄熱ユニット
51 給湯器
52 蓄熱量計
61 電力消費機器
61A 床下蓄熱システム
61B 電動窓
61C 電動雨戸
62 消費電力計
63 消費電力予測部
71 売電ユニット
72 受電ユニット
73 環境情報取得ユニット
80 電力系統
91 ダクト
92 循環ファン
93 蓄熱材
100 住戸
100A 室内
100B 床下

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸に設置される発電手段と、
前記発電手段によって発電される電力を計測する発電電力計測手段と、
前記発電手段によって発電された電力の履歴に基づいて、前記発電手段によって発電される電力を予測する発電電力予測手段と、
前記発電手段によって発電された電力を蓄える蓄電手段と、
前記蓄電手段が蓄える電力量を計測する蓄電量計測手段と、
前記電力を消費する消費機器と、
前記消費機器が消費する消費電力を計測する消費電力計測手段と、
前記消費機器が消費した消費電力の履歴に基づいて、前記消費機器が消費する消費電力を予測する消費電力予測手段と、
前記電力を電力系統に潮流させる売電手段と、
前記発電電力予測手段の予測結果と、前記消費電力予測手段の予測結果と、前記蓄電量計測手段の計測結果とに基づいて、前記蓄電手段へ供給される前記電力を調整する制御手段と、
を有するエネルギー管理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記消費機器で消費される消費電力が増加すると予測される場合に、前記蓄電手段へ供給される前記電力を増加させる請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記消費機器で消費される消費電力が減少すると予測される場合に、前記蓄電手段へ供給される前記電力を減少させる請求項1又は2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記消費機器で消費される消費電力量が、前記蓄電手段に蓄えられた電力量よりも少なくなると判断した場合に、前記発電手段によって発電される電力を、前記売電手段へ供給する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記消費機器で消費される消費電力量が、前記発電手段によって発電される電力量よりも多くなると判断した場合に、前記売電手段への電力の供給を停止する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項6】
前記消費機器は、空調装置であり、
前記制御手段は、前記消費機器で消費される消費電力が、前記発電手段によって発電される電力よりも小さい場合に、前記電力の余剰分で前記空調装置を運転する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項7】
前記住戸内の環境情報を取得する環境情報取得手段を備え、
前記制御手段は、前記環境情報に基づいて、前記発電手段によって発電される電力を用いて、前記住戸に設置された換気システムを運転する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記環境情報に基づいて、前記発電手段によって発電される電力を用いて、前記住戸に設置された通風口を開放する請求項7に記載のエネルギー管理システム。
【請求項9】
昼間に熱を蓄熱する蓄熱材と、
前記蓄熱材に太陽光によって加熱された空気を供給する空気供給手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記消費機器で消費される消費電力が、前記発電手段によって発電される電力よりも小さい場合に、前記電力の余剰分で前記空気供給手段を駆動する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項10】
前記蓄熱材と前記住戸内部との間で空気を循環する循環手段を備え、
前記制御手段は、夜間に前記循環手段を駆動する請求項9に記載のエネルギー管理システム。
【請求項11】
前記蓄電手段は、前記発電手段によって発電される電力で加熱される水を貯水する給湯器である請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項12】
前記発電手段は、太陽電池を含む請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項13】
前記制御手段は、電力会社からの料金情報に基づいて、前記売電手段に供給するエネルギー量を決定する請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項14】
請求項1に記載のエネルギー管理システムの制御用コンピュータに、
前記発電手段によって発電された電力の履歴に基づいて、前記発電手段によって発電される電力を予測する手順と、
前記消費機器が消費した消費電力の履歴に基づいて、前記消費機器が消費する消費電力を予測する手順と、
予測された前記発電手段によって発電される電力と、予測された前記消費機器が消費する消費電力とに基づいて、前記蓄電手段及び前記売電手段に供給する電力を調整する手順と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−100420(P2012−100420A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245464(P2010−245464)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】