エネルギー解放式浮力アクチュエータ
海洋のような水域において波エネルギーを取り込むための装置(11)に用いられる浮力アクチュエータ(10)である。浮力アクチュエータ(10)は、水域(12)内に配備され、該水域において、波運動に応じるようになっている。浮力アクチュエータ(10)は、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体(101)と、該流路に沿った流れを制御するためのゲート手段(115)と、を備えている。ゲート手段(115)は、本体(101)を通る流路を横切るバリア(222)をもたらすフラップ(221)として構成された複数の蓋要素を備えている。各フラップ(221)は、該フラップ(221)が他のフラップ(221)と協働してバリア(222)をもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっている。バリア(222)をもたらす状態に各フラップ(221)を離脱可能に保持するために、ラッチ機構(231)が設けられている。ラッチ機構(231)は、磁気連結具を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波運動に応じるエネルギー解放式浮力アクチュエータに関し、さらに詳細には、波運動に応じて動作可能な装置に波運動を取り込ませるためのこのような浮力アクチュエータに関する。また、本発明は、波エネルギー変換システムに関する。
【0002】
本発明は、必ずしもこれのみに制限されるものではないが、特に、波エネルギーを取り込み、取り込んだエネルギーを、流体ポンプまたは線形発電機のようなエネルギー変換装置を駆動するための線形運動に、変換するための浮力アクチュエータとして、考案されている。このような構成では、浮力アクチュエータは、水域内にて、典型的には、水面下にて、浮力によって浮遊している状態で、エネルギー変換装置に操作可能に接続されているとよい。浮力アクチュエータは、実質的には、水域内の波運動に応じて運動する水没式の浮体である。
【背景技術】
【0003】
背景技術の以下の検討は、本発明の理解を容易にすることのみを意図している。この検討は、参照した資料のいずれかがこの出願の優先日に一般的な知識の一部であるかまたはあったことを承認または認知するものではない。
【0004】
波運動に応じて動作可能な装置に波運動を取り込ませることは、知られている、この一例として、浮体を利用して、波運動を往復ポンプ作用に変換する方法が挙げられる。典型的には、このような浮体は、中実構造を有しており、発泡体のような浮力材料を含んでいる。
【0005】
激しい海の状態、典型的には、(嵐の状態におけるような)悪天候の状態に晒されると、浮体は、極端な力を受けることがある。このような状態に晒されると、周知の浮体は、損傷するか、崩壊するか、または離脱しがちである。さらに、このような状態では、浮体が接続されている繋ぎ紐も、損傷または破損する可能性がある。また、ポンプストロークおよび取り付けられた機器への負荷を制限するために、浮力アクチュエータの運動を制御することが望ましい場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この背景技術および背景技術に関連する問題および困難さに対して、開発されたものである。従って、本発明の目的は、従来から知られている浮体の問題および困難さの少なくとも1つに対処し、または代替案として、有用な選択肢を少なくとも提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータであって、波運動に対する浮力アクチュエータの応答を変化させるゲート手段を備える内部空間を画定している本体を備えている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0008】
好ましくは、ゲート手段は、内部空間内に閉じこめられている。
【0009】
好ましくは、ゲート手段は、水が浮力アクチュエータの本体を通って流れることを可能にするように構成されている。
【0010】
好ましくは、ゲート手段は、特定の海の状態に応じるようになっている。
【0011】
一構成では、特定の海の状態は、(嵐の状態におけるような)悪天候状態における激しい海の状態である。これは、このような状態に晒されたときの浮力アクチュエータおよび浮力アクチュエータが連結されている任意の機構の保全性を維持することを目的としている。
【0012】
好ましくは、ゲート手段は、少なくとも1つの蓋要素を備えているとよく、蓋要素は、蓋要素が通常時に塞いでいる閉状態であって、本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、蓋要素が本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で移動可能になっているとよい。
【0013】
好ましくは、蓋要素を閉状態に離脱可能に保持するために、離脱可能な連結具が設けられている。
【0014】
好ましくは、離脱可能な連結具は、蓋要素を離脱させ、蓋要素を閉状態から開状態に移動させ、開状態をもたらすように、動作するように適合されている。離脱は、海の状態によって行われてもよいし、または遠隔制御によって行われてもよい。
【0015】
好ましくは、離脱可能な連結具は、磁気連結具を含んでいる。磁気連結具は、磁気吸引力を利用して、蓋要素を閉状態に保持するようになっているとよい。磁気連結具は、それぞれの蓋要素上および/または蓋要素が閉状態にあるときに配置される本体の一部に沿った対応する位置に設けられた複数の磁石を備えているとよい。このようして、蓋要素は、蓋要素に対する力が磁気吸引力を十分に上回るまで、閉状態にとどまることになり、該力が十分に上回ると、この力によって、フラップは、離脱して閉状態から離れる方に揺動し、開口をもたらすように、付勢されることになる。
【0016】
好ましくは、蓋要素は、フラップを備えている。
【0017】
好ましくは、フラップは、フラップが通常時に塞いでいる閉状態であって、本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、フラップが外方に揺動して本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で旋回可能になっている。
【0018】
磁気吸引力は、以下のもの、すなわち、磁石の数、磁石の強度、および吸引力をもたらすために磁場が横断する間隙のいずれかまたは複数を変化させることによって、特定の波運動に対して設定されるようになっているとよい。
【0019】
磁気吸引力は、調整可能になっているとよい。
【0020】
磁気取付け手段は、遠隔地から調整されるようになっている。
【0021】
好ましくは、磁気取付け手段は、電磁石式である。
【0022】
磁気連結具は、蓋要素上のその内端に隣接する箇所に位置する磁石手段と、磁石手段が磁気的に吸引されるようになっている相手部品と、を備えているとよい。相手部品は、衝撃プレートを備えているとよい。磁気連結具は、蓋要素に対する力が磁気吸引力を十分に上回るまで、各蓋要素を閉状態に保持するように動作可能になっており、該力が十分に上回ると、この力によって、磁気連結具は、蓋要素を離脱させて閉状態から離れる方に揺動させ、本体を通る水の流れを可能にする開口をもたらすように、付勢されることになる。
【0023】
磁石手段は、ハウジング内に収容された永久磁石のアレイを備えているとよい。ハウジングは、浮力アクチュエータが運転されることになる水環境から磁石を隔離するように適合されている。
【0024】
ハウジングは、非磁性かつ多孔性材料(例えば、プラスチックポリマー)から構成され、該ハウジング内に、永久磁石が包み込まれるようになっているとよい。好ましくは、プラスチックポリマーは、いくらかの物理的緩衝をもたらすために、いくらかの弾性特性を有している。典型的には、永久磁石は、ハウジング内に鋳込まれている。このような構成は、ハウジングが、永久磁石を閉じ込めると共に、永久磁石をハウジング内の適切な箇所でかつ互いに対しても適切な箇所に保持することができるので、有利である。
【0025】
ハウジングは、磁気連結具の相手部品と直面する接触面を有しているとよい。永久磁石は、接触面と永久磁石との間のクッション部分をハウジングにもたらすために、接触面に対して凹んだ箇所に位置しているとよい。接触面は、磁石手段と相手部品とが接触したときに凹んでいる永久磁石を摩耗の影響から保護する摩耗面として機能するようになっていてもよい。
【0026】
典型的には、ハウジングは、必要に応じて、取外し可能および交換可能になっている。
【0027】
クッション部分は、好ましくは、ハウジングと一体になっている。他の構成では、クッション材は、磁気連結具の相手部品と接触するためにハウジングに付着されたクッション材料の層によって設けられるとよい。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの蓋要素は、その自重によって閉じるようになっている。しかし、他の構成では、少なくとも1つの蓋要素は、閉状態に付勢されるようになっていてもよい。これは、付勢機構を用いることによって、例えば、蓋要素ごとにヒンジ内にバネを組み込むことによって、達成されるとよい。
【0029】
さらに他の構成では、ヒンジ付き蓋要素は、少なくとも1つのフラップの自由端に取り付けられたゴム製バネ機構を介して閉状態に付勢されるようになっていてもよい。
【0030】
典型的には、ゲート手段は、複数の蓋要素を備えている。これは、蓋要素の故障に対する耐故障特性を浮力アクチュエータにもたらすので、有利である。もし1つの蓋要素が通常運転にて誤って開いた場合でも、浮力アクチュエータの作動に悪影響を与える程度まで、水を浮力アクチュエータの中空内部に進入させるのに十分に大きい流路は、まだもたらされないだろう。というのも、浮力アクチュエータの作動に悪影響を与える流れが生じるには、少なくとも2つの蓋要素が開いている必要があるが、2つの蓋要素が誤って開く確率は、1つのみの蓋要素が機能しなくなる確率よりも著しく小さいからである。
【0031】
好ましくは、蓋要素は、互いに協働して本体を通る流路を横切るバリアをもたらすように構成されており、各蓋要素は、該蓋要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらす状態になり、かつ該状態から離脱するように、移動可能になっている。バリアは、必ずしも、本体を通る流れを完全に塞ぐ必要はなく、むしろ該流れを必要な量だけ単純に妨げるようになっていればよい。
【0032】
一構成では、蓋要素によってもたらされるバリアは、本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように流路を横切って拡がるようになっている。
【0033】
他の構成では、バリアは、閉状態にある各蓋要素が本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有している。具体的には、各蓋要素は、本体の開上端に向かう方向に傾斜しているとよい。すなわち、閉状態にあるとき、各蓋要素の内端は、本体の境界内において、外端よりも本体の開上端の近くに位置している。このようにして、完全な閉状態と完全な開状態との間の蓋要素の運動の範囲が狭められることになる。この構成によれば、閉状態にある蓋要素は、傾斜した、いくらか円錐状の形状を有するバリアをもたらすことになる。
【0034】
好ましくは、各蓋要素の離脱可能な連結具は、同じ海の状態によって動作されるようなっているとよい。
【0035】
一構成では、本体は、長手方向の拡がりを有するように、かつ流路であって、該流路に沿って、水が本体の長軸と平行に本体を通って流れることができる、流路をもたらすように、構成されているとよい。
【0036】
他の構成では、本体は、上端、下端、および2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状であるとよい。この構成では、側面は、凸形状を有しており、好ましくは、中央が膨らんでいる。
【0037】
好ましくは、本体は、モジュール式構造を有している。
【0038】
好ましくは、本体は、上端、下端、および側面を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えている。
【0039】
シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えているとよい。パネルは、上列および下列を備える少なくとも2列に配列されているとよい。上列は、本体の上端に上縁を画定しており、下列は、下端に下縁を画定している。上縁は、上側ポータルの境界を定めており、下縁は、下側ポータルの境界を定めている。
【0040】
好ましくは、2つの列、すなわち、上列および下列が設けられており、パネルは、各々、同じ形状を有している。従って、どのようなパネルが、いずれの列内のどの位置に配置されてもよいことになる。これは、パネルのコスト効率のよい製造、およびシェルを得るためのパネルの迅速な組立を容易にするので、有利である。
【0041】
好ましくは、各パネルは、略矩形構造を有している。
【0042】
好ましくは、互いに隣接するパネル間の接続部は、半重ね継手を備えている。
【0043】
本体は、海水内に配備された時点で浮力アクチュエータの運動を容易にする1つまたは複数の係留点を備えているとよい。
【0044】
流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータの運動との組合せによっては、フラップが、過剰な力によって閉じること、すなわち、穏やかに閉じるというよりもむしろ勢いよく閉じることがある。この問題を軽減させるために、ある種の物理的緩衝材が、接触面間に設けられているとよい。この緩衝材は、接触面の片面または両方のいずれかに取り付けられた適切なエネルギー緩衝特性を有する弾性材料の成型片の形態にあるとよい。例えば、この弾性材料は、各フラップまたは本体の相手部品に取り付けることができる。
【0045】
勿論、他の緩衝構造も可能である。例えば、フラップの揺動は、流体力学的にまたは電気的(渦電流)緩衝制御を介して、緩衝されてもよい。さらに、接触面の弾性緩衝と共に、流体力学的または電気的(渦電流)手段による揺動の緩衝の両方が行われてもよい。
【0046】
適切な流体圧緩衝器の例として、粘性流体が、浮力アクチュエータが配備されている水環境から吸入かつ該水環境に排出される水からなる、ダッシュポットが挙げられる。ダッシュポットのピストンは、各フラップと接触する弾性バンパーを備えているとよい。この構成では、バンパーの弾性特性によって、フラップの閉鎖運動にいくらかの初期緩衝が与えられることになる。
【0047】
本発明の第2の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、流路に沿った流れを制御するためのゲート手段と、を備えており、ゲート手段は、互いに協働して本体を通る流路を横切るバリアをもたらすように構成された複数の蓋要素を備えており、各蓋要素は、該蓋要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっている、浮力アクチュエータが提供されている。バリアは、必ずしも、本体を通る流れを完全に塞ぐ必要はなく、むしろ該流れを必要な量だけ単純に妨げるようになっていればよい。
【0048】
1つまたは複数の蓋要素が、該要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらしている状態から離脱するように移動したとき、バリアが開き、バリアを通る流体の流れを可能にしている。実質的に、蓋要素は、開閉可能なハッチとして構成されており、閉状態にあるとき、バリアをもたらすようになっている。開状態にあるとき、ハッチは、各々、バリア内に開口をもたらし、水が該開口を通って流れることが可能になっている。
【0049】
好ましくは、バリアは、本体の境界内にあるように構成され、かつ位置決めされている。さらに、バリアをもたらす蓋要素は、完全な開状態にあるときでさえ、本体の境界内にとどまるようになっている。
【0050】
一構成では、蓋要素によってもたらされるバリアは、本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように流路を横切って拡がるようになっている。
【0051】
他の構成では、バリアは、閉状態にある各蓋要素が本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有している。具体的には、各蓋要素は、本体の開上端に向かう方向に傾斜しているとよい。すなわち、閉状態にあるとき、各蓋要素の内端は、外端よりも本体の開上端の近くに位置している。このようにして、完全な閉状態と完全な開状態との間の蓋要素の運動の範囲が狭められることになる。この構成によれば、閉状態にある蓋要素は、傾斜した、いくらか円錐状の形状を有するバリアをもたらすことになる。
【0052】
本発明の第3の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、本体を通る水の流れを妨げるためのチャンバを画定している複数の区分を受け入れるように適合された支持構造体を有している本体を備えており、支持構造体および複数の区分は、輸送され、現地で組み立てられるように適合されている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0053】
本体は、どのような適切な形状、例えば、円筒、球、切頭球、または切頭円錐の形状を有していてもよい。本体の形状は、輪郭付けされた要素を本体上に設けることによって、得られるとよい。輪郭付けされた要素は、典型的には発泡材料のような低比重を有する浮力材料から形成された浮力構造であるとよい。
【0054】
好ましくは、各区分は、2つの端を有するフレームを備えており、一端は、壁部分を受けるように適合されており、他端は、支持構造体に接続されるように構成されている。
【0055】
好ましくは、複数の区分は、本体を通る水の流れを妨げるチャンバを画定するように、互いに連結されるように構成されている。
【0056】
一構成では、浮力アクチュエータの流体力学的特性は、選択的に変更されるようになっているとよい。これによって、浮力アクチュエータがどのような特定の時期に稼働している環境(例えば、生じ得る海の状態)にも応じて、浮力アクチュエータの性能特性を較正することができる。
【0057】
流体力学的特性の変更の例として、浮力の変更(追加または除去のいずれか)または本体の応答領域の変更(例えば、容積または形状)、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0058】
変更される流体力学的特性が浮力アクチュエータの浮力である場合、この変更は、浮力アクチュエータに対する浮力材料の追加または除去によって達成されるとよい。例えば、浮力材料の変更として、支持構造体への浮力材料の追加または該支持構造体からの浮力材料の除去が挙げられる。これは、流体(液体またはガス)の追加または除去によって、自動的に達成されてもよい。応答領域の例として、本体の形状の変更が挙げられる。本体の形状は、前述したような輪郭付け要素を用いることによって、変更されるとよい。一例を挙げると、浮力アクチュエータの外形は、例えば、浮力アクチュエータの外面に浮力材料を取り付けることによって、変更されるとよい。
【0059】
本発明の第4の態様によれば、水域内に浸漬されるようになっている浮力アクチュエータにおいて、周囲の水域から一定量の水を受け入れるように適合された中空内部を画定している本体を備えており、本体は、中空内部を通る流れを制御するための流れ制御手段を有しており、流れ制御手段は、本体を通る流体の流れを塞ぐかまたは少なくとも妨げる第1の状態と、中空内部を通る流体の流れを可能にする第2の状態と、を有している、浮力アクチュエータが提供されている。
【0060】
好ましくは、流れ制御手段は、内部空間内に閉じ込められている。
【0061】
好ましくは、流れ制御手段は、調整可能になっている。
【0062】
一構成では、流れ制御手段は、遠隔的に調整可能になっているとよい。
【0063】
本発明の第5の態様によれば、浮力アクチュエータを組み立てるためのキットにおいて、支持構造体と、浮力アクチュエータを組み立てるように支持構造体に接続されるように適合された複数の区分と、を備えている、キットが提供されている。
【0064】
本発明の第6の態様によれば、内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、本体は、内部空間を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えており、シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0065】
本発明の第7の態様によれば、内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、本体は、開上端、開下端、および2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状を有している、浮力アクチュエータが提供されている。この構成では、側面は、凸形状を有しており、好ましくは、中央が膨らんでいる。
【0066】
本発明の第8の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、流路に沿った流れを制御するためのゲート手段であって、ゲート手段は、本体を通る流路を横切るバリアをもたらす複数の蓋要素を備えており、蓋要素は、該蓋要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっている、ゲート手段と、各蓋要素を前記状態に離脱可能に保持するためのラッチ手段であって、磁気連結具を備えている、ラッチ手段と、を備えている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0067】
本発明の第9の態様によれば、前述した本発明の先行する態様のいずれか1つに記載の少なくとも1つの浮力アクチュエータを備えている波エネルギー変換システムが提供されている。
【0068】
好ましくは、浮力アクチュエータは、(流体ポンプまたは線形発電機のような)エネルギー変換装置に操作可能に接続され、波運動を該エネルギー変換装置に伝達するようになっている。
【0069】
本発明の第10の態様によれば、水域内の波エネルギーを取り込む方法において、本発明の先行する態様のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータを水域内に配備することを含んでいる、方法が提供されている。
【0070】
本発明は、添付の図面に示されているような本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明を参照することによって、さらにいっそう理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】海洋波エネルギーを取り込むための装置の一部をなす第1の実施形態による浮力アクチュエータの斜視図である。
【図2】浮力アクチュエータの略斜視図である。
【図3】浮力アクチュエータの平面図である。
【図4】浮力アクチュエータの一部の略斜視図である。
【図5】図4に示されている浮力アクチュエータの一部の側面図である。
【図6】浮力アクチュエータのゲート手段を特に示す、図4の平面図である。
【図7】浮力アクチュエータのゲート手段の開状態を示す、該ゲート手段の平面図である。
【図8】ゲート手段が開状態にある浮力アクチュエータの一部の略斜視図である。
【図9】図8に示されている浮力アクチュエータの一部の側面図である。
【図10】支持構造体の内部の側面図である。
【図11】支持構造体の略斜視図である。
【図12】支持構造体の平面図である。
【図13】組み立てられた装置の略斜視図である。
【図14】図2に示されている浮力アクチュエータの断面図である。
【図15】海洋波エネルギーを取り込むための装置の一部をなす第2の実施形態による浮力アクチュエータの斜視図である。
【図16】図15に示されている構造の略側面図である。
【図17】第2の実施形態による浮力アクチュエータの底面図である。
【図18】浮力アクチュエータの側面図である。
【図19】浮力アクチュエータの内部構造体を断面で示す、図18と同様の図である。
【図20】底側から見た、浮力アクチュエータの斜視図である。
【図21】浮力アクチュエータのさらなる側面図である。
【図22】浮力アクチュエータのさらなる底面図である。
【図23】浮力アクチュエータのシェルを形成する上パネル列を示す、浮力アクチュエータの部分的斜視図である。
【図24】図23に示されている構造の側面図である。
【図25】上パネル列のパネルの分解図である。
【図26】上パネル列のパネルの断面図である。
【図27】シェルを形成する下パネル列を示す、浮力アクチュエータの部分斜視図である。
【図28】図27に示されている構造の側面図である。
【図29】シェルにおける4つの相互接続されたパネルの側面図である。
【図30】図29に示されている相互接続されたパネルの断面図である。
【図31】2つのパネル間の継手を特に示す、該2つのパネルの略断面図である。
【図32】2つのパネル間の継手を特に示す、該2つのパネルのさらなる断面図である。
【図33】パネルの1つをその内側から見た立面図である。
【図34】外側から見た、図33の同様の図である。
【図35】上から見た、パネルの斜視図である。
【図36】浮力アクチュエータの内部構造体をその底側から見た斜視図である。
【図37】内部構造体の平面図である。
【図38】内部構造体の側面図である。
【図39】内部構造体の部分斜視図である。
【図40】図39に示されている構造の平面図である。
【図41】図39に示されている構造の側面図である。
【図42】浮力アクチュエータの一部をなすフラップの斜視図である。
【図43】フラップの平面図である。
【図44】フラップの側面図である。
【図45】浮力アクチュエータの各フラップ用の磁石連結具の一部として用いられる磁石手段の分解斜視図である。
【図46】磁気手段の変形形態の略平面図である。
【図47】図46に示されている構造の略側面図である。
【図48】第3の実施形態による浮力アクチュエータの側面図である。
【図49】図48の浮力アクチュエータの内部構造体の一部の側面図である。
【図50】図49に示されている内部構造体のヘッド部分の略側面図である。
【図51】フラップが開状態で示されている第4の実施形態による浮力アクチュエータの略側面図である。
【図52】フラップがバリアをなしている閉状態で示されている以外、図51と同様の図である。
【図53】閉状態にあり、かつフラップの閉動作を緩和するために緩衝手段と係合しているフラップを特に示す、第5の実施形態による浮力アクチュエータの部分図である。
【図54】フラップが緩衝手段から離れる方に揺動している状態で示されている以外、図53と同様の図である。
【図55】フラップがその戻り経路において緩衝手段と接触を開始している状態で示されている以外、図53と同様の図である。
【図56】先の実施形態のいずれかによる浮力アクチュエータを組み込んでいる波エネルギー変換システムの略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図面に示されている実施形態は、各々、海洋波エネルギーを取り込むための装置11に用いられるエネルギー解放式浮力アクチュエータ10に向けられている。
【0073】
図1を参照すると、装置11は、水面13および海底14を有する海水域12内に設置され、運転されるようになっている。装置11は、海底14に係留されたポンプ機構15を備えている。浮力アクチュエータ10は、ポンプ機構15に操作可能に接続されており、海水域12内にて、ポンプ機構15の上方で水面13の下方の位置、典型的には浮力アクチュエータ10の上面が中立の水位線から数メートル下の深さの位置に、浮力によって浮遊している。さらに、浮力アクチュエータ10と浮力アクチュエータ10が操作可能に接続されたポンプ機構15との組合せは、好ましくは、以下の全長、すなわち、その全長が最小の状態(浮力アクチュエータがその可動域の最下点にある状態)にて、好ましくは10メートル以上から100メートル以下の水深に配備されるのに適する全長を画定している。浮力アクチュエータ10は、繋ぎ紐17を備える連結具16を介して、ポンプ機構15に操作可能に接続されている。
【0074】
図2−6を参照すると、第1の実施形態による浮力アクチュエータ10は、支持構造体23および複数の区分25を有する本体21を備えている。これらの区分25は、支持構造体23を包囲しており、外側チャンバ壁26および内側チャンバ壁28を有する略環状形状のチャンバ24を画定している。浮力アクチュエータ10の両端は、開いており、チャンバ24内への水の進入を可能にしている。
【0075】
図4に示されているように、各区分25は、フレーム27を備えている。フレーム27は、壁部分29を支持するように構成された外端と、支持構造体23に取り付けられるように適合された内端と、を有している。各フレーム27の両側は、図13に示されているように互いに連結するように構成されている。これらの区分25は、構造体23を包囲しているチャンバ24を画定している。各区分25は、ゲート手段31によって横断されている。ゲート手段31は、開状態および閉状態のいずれにおいても浮力アクチュエータ内に閉じ込められるように、構成されている。この目的は、後に明らかになるだろう。
【0076】
フレーム27は、鋼ストラットを備える構造を有している。壁部分29は、金属シートである。代替的に、フレーム27および壁部分29は、海洋環境に耐えるのに適する他の材料から構成されていてもよい。
【0077】
チャンバ24の開端間にてチャンバ24内を通る水流は、ゲート手段31を介して制御されるようになっているとよい。ゲート手段31は、該ゲート手段に加えられる所定の流体差圧、すなわち、中空内部と浮力アクチュエータ10が浸漬している周囲の水域との間の所定の流体差圧に応じて、動作するようになっている。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータが激しい海の状態に晒されたとき、該浮力アクチュエータに加えられるうねり運動によって生じることになる。他の構成では、浮力アクチュエータの運動は、特定の運動範囲内にとどまるようにゲート手段31を選択的に動作させることによって、制御されてもよい。
【0078】
ゲート手段31は、ヒンジ35(図6参照)を介してフレーム27の片側に旋回可能に接続されたフラップ33として構成された蓋要素を備えている。ヒンジ35は、フラップ33の片側に取り付けられている。フラップ33の反対側(自由端)では、ラッチ機構37がフラップ33を閉状態に離脱可能に保持するようになっている。これによって、チャンバ24を通る水流が妨げられることになる。ラッチ機構37は、図示されている構成では、磁気連結具41からなる離脱可能な連結具39と、プレート43と、を備えている。プレート43は、フレーム27の反対側に配置されている。磁気連結具41は、フラップ33を閉状態に保持するようにプレート43に吸引されている(図4、図5参照)。磁気連結具41は、それぞれのフラップ33の自由端に沿った位置および/またはフレーム27の対応する縁に沿った対応する位置に設けられた複数の磁石を備えているとよい(図8,9参照)。このようにして、フラップ33は、フラップ33に対する力が磁気吸引力を上回るほど十分大きくなるまで、閉状態に保持されることになり、該力が十分に大きくなると、この力によって、フラップ33は、離脱して閉状態から離れる方に揺動するように付勢され、これによって、開口(図7、図8参照)が形成され、水が開口を通って流れることが可能になる。
【0079】
この実施形態では、離脱可能な連結具39は、悪天候の状態に応じて、フラップを離脱させ、閉状態から開状態に移動させて開口を形成すべく、動作するように構成されている。
【0080】
磁気吸引力は、調整可能になっていてもよい。磁気吸引力は、磁石の数および磁石の強度ならびに磁石と支材との間の間隔のいずれかを変化させることによって、特定の波運動に対して調整されるようになっていてもよい。
【0081】
他の構成では、磁気吸引力は、遠隔地から調整されるようになっている。この場合、磁気取付け手段は、例えば、可変磁気吸引力をもたらす電磁石であるとよい。
【0082】
フラップ33は、各々、特定の水流レベルにおいてその自重の影響を受けて閉じるように構成されているとよい。代替的に、各フラップは、その閉状態に付勢されるようになっていてもよい。これは、バネ機構を用いることによって、例えば、フラップごとにヒンジ内にバネを組み込むことによって、達成されるとよい。
【0083】
さらに他の実施形態では、ヒンジ付きフラップは、少なくとも1つのフラップの自由端に取り付けられたゴム製バネ機構を介して閉状態に付勢されている。
【0084】
バネ力は、海の状態が沈静化し、フラップがまさにはためくようになった後でしか閉鎖を促進してはならないという意味において、比較的弱くしておく必要がある。しかし、必ずしも、フラップにバネ負荷を与える必要がない。何故なら、フラップは、浮力アクチュエータ10の穏やかな運動のみによって、自己閉鎖することができるようになっているからである。
【0085】
前述したように、フラップ33を開くことによって、水がチャンバ24内を流れることが可能になるので、移動する水が浮力アクチュエータに衝突する抵抗が、最小限に抑えられることになる。これによって、位置エネルギーの殆どが排除される。何故なら、浮力アクチュエータ10は、波によってそれほど大きく持ち上げられることがなく、またより軽くなっているからである。同時に、運動エネルギーも低減することになる。何故なら、(水がもはや閉じ込められていないので)質量が減少し、(浮力アクチュエータがもはや浮力アクチュエータを加速させる波力に対するこのような反力をもたらすことがないので)速度が減少するからである。浮力アクチュエータ10を水が完全に通り抜けるようにさせることは不可能である。何故なら、浮力アクチュエータ10と水との間には、いくつかの連結具が常に存在しているからである。しかし、ポンプ15および連結具21への嵐による負荷は、ゲート手段31を用いることによって、許容レベルまで減衰されることが見込まれるので、これらの大きな力に耐える極めて嵩張った(かつ高価な)構造物を設計する必要がないことになる。
【0086】
フラップの故障に対する耐故障特性を有していることが、浮力アクチュエータ10の1つの特徴である。もし1つのフラップ33が、(例えば、磁気ラッチの故障またはヒンジの破損によって)、通常運転にて誤って開いた場合でも、浮力アクチュエータ10の作動に悪影響を与える程度まで、水を浮力アクチュエータ10の中空内部に進入させるのに十分に大きな流路は、まだもたらされないだろう。というのも、浮力アクチュエータ10の作動に悪影響を与える流れが生じるには、少なくとも2つのフラップが開いている必要があるが、2つのフラップが誤って開く確率は、1つのみのフラップが機能しなくなる確率よりも著しく小さいからである。
【0087】
この点に関して、ゲート手段31が浮力アクチュエータ内に閉じこめられているのは、特に有利である。ゲート手段31は、外部の海洋環境から保護されており、浮力アクチュエータ10が衝突に巻き込まれた場合でも損傷を受けるほど露出していない。この構成では、メッシュ材料を用いて、浮力アクチュエータ10の開端を閉じ、チャンバ24内への海洋材料の侵入を阻止することができる。また、海洋生物の成長を阻止する方法を用いることもできる。例えば、海洋生物の群体の生成を阻止するために、ゲート手段31の表面に被膜が施されてもよい。
【0088】
前述した区分25は、支持構造体23と一緒に、図2および図3に示されている浮力アクチュエータを形成している。
【0089】
図10を参照すると、支持構造体23は、中心コア49および中心コア23を包囲しているフレーム47を備えている。フレーム47は、ストラット51の3つのグループを備えている。ストラット51の第1および第2のグループは、コア40から傾斜して外方に延在しており、各々、構造体23内に円錐状の空間を画定している。ストラット51の第1のグループは、コア49の第1の端からコア49の中間区域に延在しており、第2のグループは、中心コア49の中間からコアの第2の端区域に延在している。(図では見えていない)ストラットの第3のグループは、コア49の第1の端から半径方向外方に延在している。この構成では、ストラットは、5角柱を画定している。代替的に、他の形状であってもよい。図10に示されている構成では、ストラットのグループにつき、10本のストラット51が、1対のストラットが構造体23の各側面54に対応するように、設けられている。ラグ59,61が、中心コア49の各端から長手方向に延在している。ラグ59,61は、浮力アクチュエータ10の運転中、輸送中、および組立中に、持上げ手段および支持手段として役立つものである。
【0090】
さらに、フレーム47は、フレーム47の周辺に沿って延在している一連の垂直方向に整列したスタブ45を備えている(図10〜図12参照)。一連のスタブ45間に配置されているのは、側パネル53である。側パネル53は、支持構造体および内側チャンバ壁26の小平面を画定している。各パネル55,57は、フレーム47の両端に配置されている。この構成によって、図12に示されている構造体23内の閉じた内部空間が画定されている。スタブ45は、区分25を受け入れるために、側パネル53から上方に延在している。
【0091】
前述した構成では、構造体23内に空洞が画定されている。浮力アクチュエータ10の実質的に中空の特性によって、浮力アクチュエータ10は、既知の先行技術の浮体と比較して軽量である。空洞は、浮力アクチュエータ10に総正味の浮力をもたらすために、浮力材料によって満たされている。浮力材料は、とりわけ、空気、空気を含む浮袋、発泡体のような低密度材料であればよい。発泡体は、独立気泡を含むウレタンフォームであるとよい。しかし、他の適切な材料が用いられてもよい。
【0092】
浮力は、ポンピングストローク中に付加的な浮上りをもたらすことになる。波は、浮力アクチュエータ10に下向き力と殆ど同程度の大きな上向き力を加えている。しかし、各ポンプ15は、一方向にしか作動しないので、浮力アクチュエータ10内の浮力は、下降ストローク中に蓄えられた位置エネルギーとして作用することになる。従って、上昇ストローク中、浮力および浮上り力の両方が、ポンプに作用することになる。
【0093】
浮力アクチュエータの流体力学的特性は、構造体23内の浮力を選択的に変化させることによって、変更されてもよい。浮力を変化させる例として、構造体23への浮力材料の追加または構造体23からの浮力材料の除去が挙げられる。また、他の構成では、浮力材料の種類が変更されてもよい。
【0094】
他の構成では、浮力アクチュエータの流体力学的特性は、浮力アクチュエータの外形を選択的に変化させることによって、変更されてもよい。これは、例えば、浮力材料を壁部分29の外面に取り付けることによって達成されるとよい。
【0095】
単一の繋ぎ紐を有する浮力アクチュエータの場合、その適切な形状の例として、球、切頭球、短寸逆円錐、切頭円錐、または短寸円筒が挙げられる。勿論、他の形状であってもよい。
【0096】
球形状は、最適である。何故なら、球形状は、その対称性によって、波擾乱と浮力アクチュエータとの間に回転結合が生じないので、うねり力を繋ぎ紐の直線張力に最適に変換させることができるからである。
【0097】
球、短寸円筒、および短寸逆円錐の間でのエネルギー蓄積性能の差は、製造のしやすさおよび構造安定性のような他の因子も考慮した場合、球を優先して他の形状を排除するほど大きなものではない。従って、許容されるエネルギー貯蔵性能と構造安定性の許容レベルとを有するさまざまな形状が考えられる。
【0098】
浮力アクチュエータは、そのモジュール構造から、個別の構成要素として輸送され、最終目的地の近くで組み立てられることが可能である。この構成は、実質的に、前述した支持構造体23および10個の区分25を備えるキットである。図13に示されているように、浮力アクチュエータ10は、区分25を支持構造体23のスタブ45に留め、互いに隣接する区分25を互いに連結することによって、形成されることになる。この作業は、支持構造体23が、例えば、クレーンによってラグ61から垂直に懸垂された状態で行われるとよい。
【0099】
組み立てられた浮力アクチュエータ10(図2参照)は、水域内に配備するために、ラグ61を介して持ち上げられとよい。前述したように、作業時に、浮力アクチュエータ10は、繋ぎ紐17を備える連結具16を介して、ポンプ機構15に操作可能に接続されることになる。繋ぎ紐17は、浮力アクチュエータのラグ59(図10参照)に留められるようになっている。
【0100】
ポンプ15は、水域12内に係留され、浮力アクチュエータ10を介して波エネルギーによって作動されるように構成されている。ポンプ15は、海水域12内のポンプの上方で水面13の下方にて典型的には中立の水位線から数メートル下の深さの位置に浮力によって浮遊している実施形態による浮力アクチュエータ10に操作可能に接続されることになる。この構成によって、ポンプ15は、波運動に応じる浮力アクチュエータ10の運動によって、作動されることになる。ポンプ15は、高圧流体の形態にあるエネルギーを利用する閉ループシステムに高圧作動流体(例えば、高圧水)を供給するようになっているとよい。
【0101】
運転時において、装置11に衝突する波によって、浮力アクチュエータ10の浮上りが生じる。この浮上りは、繋ぎ紐17を介してポンプ15に伝達され、ポンプ15にポンピングストロークを行わせる。いったん波が通過すると、浮力アクチュエータ10に加えられた浮上り力が減少し、浮力アクチュエータは、浮力アクチュエータに接続された種々の構成部品、例えば、ポンプ15のポンピング機構の重量によって下降し、これによって、ポンプ15に吸入ストロークを行わせる。ピストン機構は、下降すると、吸入チャンバ内に進入している水内に押し込まれる。ピストン機構が下降するにつれて、吸入チャンバ内の水は、ピストンチャンバ内に流れ、ポンピングチャンバを徐々に拡張する。吸入逆止弁によって、水の流入が可能になっている。これによって、次の波擾乱に応じる浮力アクチュエータ10の浮上り時に行われる次のポンピングストロークに備えて、ピストンチャンバおよび吐出チャンバが水で充填されることになる。
【0102】
激しい海の状態、典型的には、(嵐の状態におけるような)悪天候の状態では、浮力アクチュエータ10が極端な力を受け、この極端な力が浮力アクチュエータにうねり運動を加えることがある。このような状態では、浮力アクチュエータ10を損傷しないように保存し、装置11の他の構造部品に伝えられるうねり負荷を制限する必要がある。これは、浮力アクチュエータ10のエネルギーを解放し、浮力アクチュエータ10を事実上非作動とすることによって、または浮力アクチュエータ内に水を貫流させることによって、浮力アクチュエータ10に加えられたうねり力を少なくとも制限することによって、達成されるようになっている。これは、浮力アクチュエータ10をこの浮力アクチュエータが浸漬している水域に対して通り抜けさせる効果、すなわち、浮力アクチュエータ10が、どのような手段も取られていない場合におけるよりもわずかしか、水の浮上り運動に応じないようにさせる効果を有している。これは、ゲート手段31の開口によって達成されることになる。ゲート手段31は、ゲート手段31に加えられた所定の流体差圧に応じて開き、これによって、水が浮力アクチュエータ10を通って上方に流れることを可能にする。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータ10が激しい海の状態に晒されたとき、浮力アクチュエータ10に加えられる上向きのうねり運動によって生じることになる。
【0103】
他の構成では、浮力アクチュエータの運動は、特定の運動範囲内にとどまるようにゲート手段31を選択的に動作させることによって、制御されてもよい。
【0104】
図15〜図45を参照すると、第2の実施形態による浮力アクチュエータ10が示されている。図15および図16に示されているように、第2の実施形態による浮力アクチュエータ10は、水面および海底14を有する海水域12内に設置されて運転されるようになっている装置11の一部をなしている。装置11は、海底14に係留されたポンプ機構15を備えている。第2の実施形態による浮力アクチュエータ10は、第1の実施形態による浮力アクチュエータ10の場合と同じように、ポンプ機構15に操作可能に接続されており、海水域12内にて、ポンプ機構15の上方で水面13の下方に、浮力によって浮遊している。浮力アクチュエータ10は、繋ぎ紐17を備える連結具16を介してポンプ機構15に操作可能に接続されている。
【0105】
第2の実施形態による浮力アクチュエータ10は、上端103、下端105、およびこれらの2つの端間に延在している側面107を有する切頭円錐形状の本体101を備えている。この構成では、側面107は、凸形状を有しており、その中央が膨らんでいる。
【0106】
本体101は、中空であり、上端103および下端105は、各々、本体内の中空内部109の方に開いている。中空内部109は、チャンバ110を画定している。チャンバ110は、制御された流路を内蔵している。この流路が開いているとき、水が流路に沿って開上端103と開下端105との間にて本体内を流れることができる。上端103は、チャンバ100内に開いている上側ポータル104を画定しており、下端105は、チャンバ110内に開いている下側ポータル106を画定している。
【0107】
本体101は、内部構造体111を備えている。内部構造体111は、本体の上端103、下端105、および側面107を画定しているシェル113を支持している。
【0108】
内部構造体111は、繋ぎ紐17が該内部構造体に取り付けられるように、構成されている。
【0109】
浮力アクチュエータ10は、質量の中心が浮力の中心の下方にあるように、構成されている。これによって、激しい海の状態で運転するとき、浮力アクチュエータに一定の安定性をもたらすことができる。この実施形態では、質量の中心と浮力の中心との間のこの関係は、内部構造体111およびシェル113の相対的な位置決めおよびそれらの構造によって、達成されるようになっている。
【0110】
内部構造体111は、ゲート手段115を組み入れている。ゲート手段115は、以下にさらに詳細に述べるように、開上端103における上側ポータル104と開下端105における下側ポータル106との間にて本体101を通る流れを制御するためのものである。ゲート手段115は、第1の実施形態の場合と同じように、ゲート手段115に加えられた所定の流体差圧に応じて動作可能であり、これによって、水が浮力アクチュエータ10を通って上方に流れることができるようになっている。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータ10が激しい海の状態に晒されたとき、浮力アクチュエータ10に加えられる上向きのうねり運動によって生じることになる。
【0111】
この実施形態は、本体101内に閉じ込められる所定の水量に対して、本体101の上側ポータル104および下側ポータル106を通り抜ける最大通水断面を達成することができる構造をもたらすことを意図しており、このような構造を得るのに、本体の切頭円錐形状が役立っている。
【0112】
シェル113は、複数の区分121を備えるモジュール構造を有している。区分121は、一緒に接続されるように適合されたパネル123として構成されている。図示されている構成では、パネル123は、2列、すなわち、上列125および下列127に配列されている。上列125は、本体101の上端103に上縁128を画定しており、下列127は、下端107に下縁129を画定している。上下縁128,129は、丸められた断面輪郭を有している。
【0113】
上縁128は、上側ポータル104の境界を定めており、下縁129は、下側ポータル106の境界を定めている。
【0114】
パネル123は、各々、同じ形状を有しており、これによって、どのようなパネルがいずれの列125,127内のどの位置に配置されてもよい。これは、パネル123のコスト効率の良い製造、およびシェル113を得るためのパネル123の迅速な組立を容易にするので、有利である。
【0115】
各パネル123は、外面133、内面135、および4つの縁137を有するパネル本体131を備える略矩形構造を有している。4つの縁137は、外縁139、内縁141、および2つの互いに向き合った側縁143,145から構成されている。
【0116】
各パネル123が取り付けられ、シェル113が組み立てられると、パネル123が組立シェル113の上列125または下列127のいずれに配置されているかによって、パネルの外縁139は、シェル113の上縁128またはシェル113の下縁129のいずれかの一部を画定することになる。外縁139は、シェル113の上下縁128,129の丸められた輪郭に一致するように丸められている。
【0117】
各パネル123の2つの互いに向き合った側縁143,145は、組立シェル113内の同一パネル列における隣接するパネル123の隣接する縁に接続されるように構成されている。これは、パネル123aがその隣接するパネル123b,123cと一緒に示されている図18を参照すれば、分かるだろう。また、図29は、パネル123bが省かれた構造を示している。パネル123aは、互いに向き合った縁143a 145aを有しており、側縁143aは、パネル123bの側縁145bに接続されており、側縁145aは、パネル123cの側縁143cに接続されている。
【0118】
さらに詳細には、各パネル123の側縁143,145は、隣接するパネルの対応する側縁と嵌合するように構成されている。図示されている構成では、側縁143,145は、パネル123間に半重ね継手147をもたらすように構成されている。この構成では、1つのパネルの側縁143および隣接するパネルの対応する側縁145は、重なって嵌合することが可能である。嵌合された側縁143,145は、どのような適切な方法、例えば、機械的な固定、化学的結合、または溶接によって、一緒に固定されてもよい。図示されている構成では、この接続は、ボルトまたはリベットのような締付け具149を用いる機械的な固定である。取外し可能な締付け具を用いる機械的な固定による接続は、修理または保守のために後で必要とされるシェル113の分解が容易になるので、有利である。
【0119】
半重ね継手147は、各側縁143,145に沿った切込み151によって形成されている。切込み151は、フランジ153および隣接する凹部155を画定している。フランジ153および凹部155は、嵌合に適するように形作られている。このような構成によれば、2つのパネル間の半重ね継手147において、第1のパネル123の側縁143のフランジ153は、第2のパネルの側縁145の対応する凹部155内に配置され、第2のパネル123の側縁145のフランジ153は、第1のパネルの側縁143の対応する凹部155内に配置されることになる。
【0120】
各パネル123の内縁141は、組立シェル113内の隣接するパネル列における隣接するパネル123の内縁に接続されるように、構成されている。これは、図18および図29を参照すれば、分かるだろう。これらの図では、上列125のパネル123a、下列127のパネル123dが、それぞれの内縁141a,141dが互いに隣接している状態で示されている。
【0121】
さらに詳細には、各パネル123の内縁141は、組立シェル113内の隣接するパネル列における隣接するパネル123の内縁141に嵌着するように、構成されている。図示されている構成では、内縁141は、複数の半重ね継手161をもたらすように構成されている。この実施形態では、2つの半重ね継手が各内縁141によってもたらされているが、3つ以上の半重ね継手も可能である。
【0122】
2つの半重ね継手161は、内縁141の互いに向き合った内縁141に沿って設けられた第1の切込み163および第2の切込み165によって形成されている。第1の切込み163は、外側フランジ167および隣接する内側凹部169を画定している。同様に、第2の切込み165は、内側フランジ171および隣接する外側凹部173を画定している。外側フランジ167および外側凹部173は、連続しており、内側凹部169および内側フランジ171も、連続している。
【0123】
外側フランジ167および内側凹部169は、嵌合に適するように形作られており、内側フランジ171および外側凹部173も、嵌合に適するように形作られている。このような構成によれば、2つのパネル間の半重ね継手147において、第1のパネル123の側縁143のフランジ153は、第2のパネルの側縁145の対応する凹部155に配置され、第2のパネル123の側縁145のフランジ153は、第1のパネルの側縁143の対応する凹部155内に配置されることになる。
【0124】
この実施形態では、半重ね継手161を構成しているそれぞれのフランジ167,171および凹部169,173間の嵌合は、摩擦嵌めであり、これによって、パネル123の内縁141間にスナップ嵌合をもたらすことが可能となる。
【0125】
この構成では、1つのパネルの内縁141および隣接するパネルの対応する内縁141は、重なって嵌合されることが可能になっている。嵌合された内縁141は、どのような適切な方法、例えば、機械的な固定、化学結合、または溶接によって、一緒に固定されてもよい。図示されている構成では、この接続は、ボルトまたはリベットのような締付け具175を用いる機械的な固定である。取外し可能な締付け具を用いる機械的な固定による接続は、修理または保守のために後で必要とされるシェル113の分解が容易になるので、有利である。
【0126】
シェル113は、浮力構造を有している。この目的のために、各シェルパネル123は、浮揚性を有している。これは、どのような適切な方法によって、例えば、パネル内に1つまたは複数の空洞を形成することによって、またはパネル内に発泡体のような浮力材料を封入することによって、達成されてもよい。この実施形態では、各パネル123の本体131は、中空構造を有している。該中空構造は、外面133を画定している外側スキン区域183と内面135を画定している内側スキン区域185とを有するスキン181を備えている。外側スキン区域183および内側スキン区域185は、互いに離間した関係にあり、それらの間に閉じた空間187を画定している。ブリッジ要素189のアレイが外側スキン区域183および内側スキン区域185と一体に形成されており、空間187を横切ってそれらの区域間に延在しており、これによって、2つのスキン区域を補強している。この実施形態では、空間は、空気を含んでいるが、どのような適切な浮力材料、例えば、他のガスまたは発泡材料を含んでいてもよい。
【0127】
水中に配備された時点での浮力アクチュエータ10の移動を容易にするために、1つまたは複数の係留点190が、シェル113の外部に設けられている。典型的には、このような移動は、曳航の形態でなされる。係留点190は、強固なものとするために、内部構造体111に接続されている。
【0128】
内部構造体111は、シェル113を支持している中心コア201を備えている。内部構造体111は、中心カラム203および中心カラム203上に取り付けられたフレーム205を備えている。典型的には、中心カラム203およびフレーム205は、主に金属から構成されており、これは、浮力アクチュエータ10の質量の中心が浮力の中心の下方に位置することを確実にするのに役立つことになる。
【0129】
中心カラム203は、上区分206および下区分207を備えている。上区分206は、カラム203を包囲している中心プレート208と、中心プレート208の下方の取付けブラケット209と、を備えている。
【0130】
フレーム205は、中心カラム203の上区分206から半径方向に延在しているアーム210と、中心カラム203の下区分207とアーム210の半径方向外端との間に延在しているストラット211と、を備えている。各アーム210は、フレーム要素213を備えている。フレーム要素213は、その半径方向内端にて、取付けブラケット209の1つに取り付けられている。各フレーム要素213の半径方向外端は、ストラット211のそれぞれによって支持されている。
【0131】
フレーム205は、シェル213が取り付け可能になっているマウント215を備えている。図示されている構成では、マウント215は、フレーム要素213の外端の取付けブラケット217を備えており、これらの取付け可能なブラケット217にシェル213がボトル締め可能になっている。
【0132】
フレーム205は、図20に最もよく示されているように、シェルを内部構造体111の適所に固定するために、中心カラム203の下区分とシェル213との間に延在している半径方向フレーム要素218も備えている。
【0133】
アーム210の半径方向の配置によって、アーム間に空間219が画定されることになる。空間219は、本体内を通る流路の一部をなしており、該流路の一部が開くと、水が該流路の一部に沿って上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体内を流れることが可能になる。空間219は、半径方向最内端を頂点とする略三角形の形状を有している。
【0134】
ゲート手段115は、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101を通る水の流れを調整するように、動作可能である。
【0135】
ゲート手段115は、フラップ221として構成された複数の蓋要素を備えている。フラップ221は、互いに協働して、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101内を通る流路を横切るバリア222をもたらすように、構成されている。バリア222は、必ずしも本体101内を通る流れを完全に塞ぐ必要はなく、むしろ該流れを単純に妨げるようになっていればよい。
【0136】
各フラップ221は、他のフラップと協働してバリア222をもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能である。1つまたは複数のフラップ221が該状態から離脱するように移動すると、バリア222が開き、バリアを通る流体の流れを可能にする。実質的に、フラップ221は、開閉可能なハッチとして構成されており、閉状態にあるとき、バリア222をもたらすようになっている。開状態にあるとき、ハッチは、各々、バリア内に開口をもたらし、水が該開口を通って流れることが可能になる。
【0137】
図示されている構成では、フラップ221は、各々、空間219の各々を流れに対して開閉するように、該空間219に関連付けられている。
【0138】
フラップ221は、空間219の形状と一致するように形作られている。図示されている構成では、各フラップ221は、内端223と、外端225と、2つの互いに向き合った側面227と、を備えている。フラップ221の形状は、図42、図43および図44に最もよく示されている。側面227は、内側面区域227aおよび外側面区域227bを備えている。側面227は、図40に示されているように、互いに隣接するフラップ221が閉状態にあるとき、これらのフラップ221の内側面区域227aが互いに密に隣接して位置するように、構成されている。これによって、効果的なバリア222が容易に達成されることになる。
【0139】
フラップ221は、それぞれの空間219と関連させて開状態と閉状態との間で揺動するように、フレーム205上に旋回可能に取り付けられている。閉状態では、フラップ221は、空間219を横切って延在しており、これによって、バリア222をもたらし、流れを妨げることになる。旋回可能に取り付けられているので、各フラップ221は、その該当する空間219から離れる方に揺動して空間を露出させることができ、これによって、バリア222が開き、流れが該バリアを通ることができる。図36、図37および図39では、閉状態にあるフラップ221が示されている。図19は、閉状態から離れる方に部分的に揺動したフラップ221を示している。
【0140】
図示されている構成では、各フラップ221は、フレーム205上の外端225に隣接する箇所に、ヒンジ229によって旋回可能に取り付けられている。フラップ221が閉状態にあるとき、内端223は、中心プレート208上に支持されている。
【0141】
バリア222は、シェル113の境界内に収まるように構成され、かつ位置決めされている。さらに、バリア222を構成することになるフラップ221は、完全な開状態にあるときでも、シェル113の境界内にとどまるようになっている。
【0142】
フラップ221を閉状態に保持し、本体101内を通る水の流れを妨げるために、ラッチ機構231が各フラップ221に付随している。ラッチ機構231は、離脱可能な連結具238を備えている。連結具238は、この実施形態では、磁気連結具239から構成されている。磁気連結具239は、各フラップ221の内端223と中心コア201の隣接する部分との間に吸引力をもたらすものである。図示されている構成では、磁気連結具239は、フラップ221上の内端223に隣接する箇所に位置する磁石手段241と、中心カラム203上の衝突プレート243と、を備えている。衝突プレート243は、(鋼または他の強磁性材料のような)材料から作製されており、磁石手段241が該衝突プレート243に磁気的に吸引されるようになっている。衝突プレート243は、図示されている構成では、中心カラム203の中心プレート208によって画定されている。
【0143】
磁気連結具239は、フラップに対する力が磁気吸引力に打ち勝つのに十分な大きさになるまで、各フラップ221を閉状態に保持するように動作可能になっており、フラップに対する力が十分に大きくなると、この力によって、磁気連結具は、フラップを離脱させて閉状態から離れる方に揺動させ、水が本体101内を流れることを可能にする開口をもたらすように、付勢されることになる。
【0144】
この実施形態における磁石手段241は、ハウジング247内に収容された永久磁石245のアレイを備えている。永久磁石245は、どのような適切な種類のものであってもよい。良好な経時変化特性を有する永久磁石が望ましい。(NdFeB磁石としても知られている)ネオジウム磁石が特に適切であると考えられる。
【0145】
ハウジング247は、浮力アクチュエータが運転されることになる水環境から磁石245を隔離するように構成されている。
【0146】
流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータ10の運動との組合せによっては、フラップ221が、過剰な力によって閉じること、すなわち、穏やかに閉じるというよりもむしろ勢いよく閉じることがある。もしこの状態が緩和されないなら、フラップ221自体のみならず、ラッチ機構231および内部構造111の他の部品の過剰な摩耗および損傷をもたらすことになるだろう。この問題を軽減させるために、ある種の物理的緩衝材が、接触面間に設けられているとよい。この緩衝材は、接触面の片面または両方のいずれかに取り付けられた適切なエネルギー緩衝特性を有する弾性材料の成型片の形態にあるとよい。例えば、この弾性材料は、各フラップ221または衝突プレート243のような内部構造11の相手部品のいずれかまたは両方に取り付けられているとよい。
【0147】
勿論、他の緩衝構造も可能である。例えば、フラップ221の揺動は、流体力学的にまたは電気的(渦電流)緩衝制御を介して、緩衝されてもよい。実際には、接触面の弾性緩衝を行うと共に、流体力学的または電気的(渦電流)手段による揺動の緩衝を行うと、有利である。
【0148】
図46および図47には、磁石手段241の変形形態が示されている。この変形形態は、永久磁石245を保護すると共に、衝突プレート243に接触したときにいくらかの物理的緩衝をもたらすように、考案されている。この変形形態では、ハウジング247は、非磁性かつ非多孔性材料(例えば、プラスチックポリマー)から構成されており、該ハウジング247内に、永久磁石245が包み込まれている。好ましくは、プラスチックポリマー材料は、いくらかの物理的緩衝をもたらすために、いくらかの弾性特性を有している。ポリウレタン、アクリル樹脂、および高分子HMPEが、ハウジング247に特に適するプラスチックポリマーであると考えられる。
【0149】
典型的には、永久磁石245は、ハウジング247内に鋳込まれている。このような構成は、ハウジング247が、永久磁石245を閉じ込めると共に、永久磁石245をハウジング内の適切の箇所でかつ互いに対しても適切な箇所に保持することができるので、有利である。
【0150】
ハウジング247は、衝突プレート243と直面する接触面251を有している。図示されている構成では、永久磁石245は、接触面251に対して凹んだ箇所に位置しており、接触面251と永久磁石245との間に位置するクッション部分253をハウジングにもたらしている。接触面251は、磁石手段241と衝撃プレート243とが接触したときに凹んでいる永久磁石245を摩耗の影響から保護する摩耗面としても、機能している。
【0151】
典型的には、ハウジング247は、必要に応じて取外し可能および交換可能になっている。
【0152】
この実施形態では、クッション部分253は、ハウジング247と一体になっている。他の構成では、クッション材は、衝撃プレート243と接触するためにハウジング247に付着されたクッション材料の層によって設けられていてもよい。
【0153】
図示されていないが、クッション材は、衝突プレート243との関連で設けられていてもよい。一例では、衝突プレート243は、衝撃吸収取付け構造上に支持されるようになっていてもよい。衝撃吸収取付け構造は、ゴムマウントから構成され、該ゴムマウント上に衝突プレート243が弾性的に支持されるようになっているとよい。
【0154】
この第2の実施形態では、フラップ221によってもたらされるバリア222は、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101内を流れる水の流れの方向と実質的に直交するように、チャンバ110を横断して拡がるようになっている。典型的には、フラップ221は、完全な閉状態と完全な開状態との間にて約90°の円弧を描いて揺動することができる。このような運動の範囲によって、フラップは、流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータ10の運動との組合せの下で、過剰な力により閉鎖しやすくなる。上記の説明において示唆されているように、緩衝をもたらすことによって、この潜在的な問題を軽減することが可能になる。
【0155】
過剰な力によってフラップ221を閉じる問題を軽減する他の手法は、完全な閉状態と完全な開状態との間のフラップの運動の範囲を小さくし、これによって、フラップが閉状態から離脱しているとき、フラップが流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータ10の運動との組合せによって影響される程度を低減させることである。
【0156】
図48、図49および図50に示されている第3の実施形態による浮力アクチュエータ10は、このような手法を取り入れている。
【0157】
第3の実施形態による浮力アクチュエータ10は、多くの点において、第2の実施形態による浮力アクチュエータと類似しているので、同様の参照番号を用いて、同様の部品を示すことにする。
【0158】
第3の実施形態による浮力アクチュエータ10では、バリア222は、傾斜構造を有している。この構造では、閉状態にある各フラップ221は、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101を通る水の流れの方向に対して傾斜している。詳細には、各フラップ221は、上側ポータル104に向かう方向に傾斜している。すなわち、図48に示されているように、閉状態にあるとき、各フラップ221の内端223は、外端225よりも上側ポータル104の近くに位置している。このようにして、完全な閉状態と完全な開状態との間のフラップの運動の範囲が狭まることになる。
【0159】
この構成によって、閉状態にあるときのフラップ221は、傾斜した、いくらか円錐状の形状を有するバリア222をもたらすことになる。
【0160】
中心カラム203およびフレーム205を備えている内部構造体111は、この構成に適合するように修正されている。具体的には、空間219を間に画定しているアーム210は、傾斜している。加えて、中心カラム203は、閉状態にあるときにフラップ221の内端223を支持するヘッド部分261を組み込んでおり、ラッチ機構231として機能する磁気連結具239用の衝突プレート243も備えている。具体的には、ヘッド部分261は、複数のセグメント263を備えており、これらのセグメント263の各々が衝突プレート243のそれぞれを画定している。
【0161】
フレーム205は、傾斜した上側フレーム要素273および傾斜した下側フレーム要素275を備えるクモ状構造体271を備えている。フレーム要素273,275の外端は、取付けプレート277の外端に収束しており、該取付けプレート277に、シェル113が取り付け可能になっている。この構成によれば、上側フレーム要素273が、アーム210およびそれらの間の空間219を画定している。
【0162】
図51および図52を参照すると、第4の実施形態による浮力アクチュエータ10が概略的に示されている。この浮力アクチュエータは、本体301を備えている。本体301は、中空であり、上端303および下端305を有している。上端303および下端305の各々は、本体内の中空内部307に向かって開いている。中空内部307は、制御された流路を内蔵するチャンバ309を画定している。この制御された流路が開いたとき、水が、該流路に沿って開上端303と開下端305との間にて本体内を流れることができる。開上端303と開下端305との間にて本体301を通る流れを制御するためのゲート手段311が設けられている。先の実施形態と同じように、ゲート手段311は、該ゲート手段311に加えられる所定の流体差圧に応じて動作可能である。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータ10が激しい海の状態に晒されたときに、浮力アクチュエータ10に加えられるうねり運動によって生じることになる。
【0163】
ゲート手段311は、複数のフラップ313を備えている。フラップ313は、互いに協働して、開上端303と開下端305との間にて本体301を通る流路を横切るバリア315をもたらすよう構成されている。バリア315は、必ずしも本体301を通る流れの全体を塞ぐ必要はなく、該流れを単に妨げるようになっていればよい。
【0164】
各フラップ313は、該フラップ313が他のフラップと協働してバリア315をもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっている。1つまたは複数のフラップ313が該状態から離脱するように移動すると、バリア315が開き、流体がバリアを通って流れることが可能になる。先の実施形態と同じように、フラップ313は、開閉可能なハッチとして構成されており、閉状態にあるとき、バリア315をもたらすことになる。開状態にあるとき、ハッチは、各々、バリア315内に開口をもたらし、水が該開口を通って流れることが可能になる。
【0165】
この実施形態では、フラップ313は、開状態と閉状態との間で揺動するように旋回可能に取り付けられている。図示されている構成では、フラップ313は、本体301に取り付けられたヒンジ319によって画定されている旋回軸317上に旋回可能に取り付けられている。フラップ313は、該フラップ313を閉状態に付勢する浮力装置321に操作可能に接続されている。浮力装置321は、図示されている構成では、本体301の外部に配置されている。浮力の影響による浮力装置321の上向きの運動を制限するために、ストッパ323が各浮力装置321に付随している。フラップ313に加えられた差圧に応じて、フラップ313が(図52に示されているような)閉状態から(図51に示されているような)開状態に上向きに揺動すると、浮力装置321は、浮力装置321に加えられている浮力の影響に対抗して、ストッパ323から離れて下方に移動することになる。フラップ313への差圧が十分に低下すると、浮力装置321に加えられている浮力が、浮力装置321を戻し、ストッパ323に係合させ、これによって、フラップ313が閉状態に戻ることになる。
【0166】
この実施形態では、フラップ313は、チャンバ309内において片持ち梁のように支持されている。すなわち、フラップ313は、ヒンジ319からチャンバ309内に支えられずに延在している。この構成によれば、フラップ313は、いくらかの固有の弾性を有しており、これによって、閉状態にあるときに、フラップが(図52に破線によって描かれているように)下向きの流体力学的な力に応じて、限られた量だけ撓むことができるように、構成されている。これは、フラップ313の撓みがフラップの閉鎖運動時にいくらかのクッションをもたらすことができるので、有利である。
【0167】
浮力アクチュエータ10のいくつかの実施形態に関して前述したように、流体力学的条件と浮力アクチュエータ10の運動とのいくつかの組合せによっては、バリアを構成することになるフラップが過剰な力によって閉じる可能性、すなわち、穏やかに閉じるというよりもむしろ勢いよく閉じる可能性がある。流体圧手段による緩衝に関して、いくつかの緩衝構造がすでに開示されている。
【0168】
図53、図54および図55を参照すると、第5の実施形態による浮力アクチュエータ10の一部が概略的に示されている。この実施形態による浮力アクチュエータ10は、ゲート手段351を備えている、ゲート手段351は、先の実施形態の場合と同じように、互いに協働して流路を横切るバリアをもたらすように構成された複数のフラップ353(1つのみが示されている)を備えている。
【0169】
この実施形態による浮力アクチュエータ10は、各フラップ353を緩衝しながら閉鎖するのを容易にするように適合された流体圧緩衝器355をさらに備えている。流体圧緩衝器355は、シリンダ359およびピストン361を有するダッシュポット357を備えている。ピストン361は、ピストンヘッド363およびピストンシャフト365を備えている。ピストンヘッド363は、シリンダ359を2つのチャンバ367,369に分割するために、シリンダ359内に収容されている。チャンバ367は、ピストンシャフト365の反対側にあり、ピストン361を延びた状態に付勢するように適合されたバネ371を備えている。チャンバ367は、流体、この実施形態では、典型的には、周囲の海水環境からの水を制御して吸入および排出するための出入口373も備えている。ピストンシャフト365の自由端は、各フラップ353と接触するようになっている弾性バンパー375を備えている。
【0170】
フラップ353が(図53に示されているような)閉状態にあるとき、バンパー375は、フラップ353に接触しており、ピストン361は、シリンダ359内に後退し、バネ371は、圧縮されている。(図54に示されているように)フラップ353が閉状態から離脱するように運動しているとき、フラップ353は、バンパー375から分離し、ピストン361は、圧縮されたバネ371の影響を受けて伸張することになる。ピストンが伸張すると、チャンバ367が徐々に拡張し、次いで、水が出入口373を通ってチャンバ367内に引き込まれることになる。(図55に示されているように)フラップ353の復帰運動時に、フラップ353は、まず、バンパー375に係合し、このバンパー375の弾性特性によって、いくらかの初期緩衝が得られる。フラップ353がさらに継続して復帰運動すると、力がピストン361に加えられ、ピストン361を後退させることになる。ピストン361の後退によって、チャンバ367が徐々に収縮し、水が出入口373を通ってチャンバ367から排出されることになる。出入口373は、チャンバ367からの水の排出率を調整し、これによって、粘性緩衝効果をもたらすように、寸法決めされている。従って、フラップ353は、過剰な力を受けることなく、その閉鎖動作を制御して行うことが可能となる。
【0171】
図56を参照すると、本発明の第6の実施形態は、複数のユニット401を備える波エネルギー変換システム400に関するものである。ユニット401は、各々、先の実施形態による装置の1つであり、各々、浮力アクチュエータ10を有している。このような構成によれば、それぞれの浮力アクチュエータ10は、浮力アクチュエータのアレイ403に配置されている。どのような数の浮力アクチュエータ10が、アレイに設けられていてもよい。
【0172】
ユニット401間の間隔およびアレイ403のパターンは、支配的な海の状態の実波長および波の方向に関して最適化される特徴である。
【0173】
各実施形態による装置は、高圧作動流体の形態にあるエネルギーを、例えば、発電プラントまたは淡水化プラントに用いるために引き出すようになっている閉ループシステム(図示せず)と連動して、運転されるとよい。
【0174】
以上の説明から、実施形態の各々によって、比較的軽くて悪天候な状態では保存のために事実上作動不能になるエネルギー解放式浮力アクチュエータが提供されることは、明らかである。
【0175】
さらに、本発明の範囲は、開示されている実施形態の範囲に制限されないことを理解されたい。
【0176】
前述した実施形態は、各々、モジュール構造を有しているが、本発明による浮力アクチュエータは、単一ユニットとして構成され、その状態で現地に輸送されてもよいことを理解されたい。
【0177】
明細書および請求項の全体を通して、文脈に他の指示がない限り、「comprise(〜を備える)」という用語、または「comprises」または「comprising」のような変形は、記述されている完全体または完全体の群を含むが、他の完全体または他の完全体の群を排除するものではないことを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、波運動に応じるエネルギー解放式浮力アクチュエータに関し、さらに詳細には、波運動に応じて動作可能な装置に波運動を取り込ませるためのこのような浮力アクチュエータに関する。また、本発明は、波エネルギー変換システムに関する。
【0002】
本発明は、必ずしもこれのみに制限されるものではないが、特に、波エネルギーを取り込み、取り込んだエネルギーを、流体ポンプまたは線形発電機のようなエネルギー変換装置を駆動するための線形運動に、変換するための浮力アクチュエータとして、考案されている。このような構成では、浮力アクチュエータは、水域内にて、典型的には、水面下にて、浮力によって浮遊している状態で、エネルギー変換装置に操作可能に接続されているとよい。浮力アクチュエータは、実質的には、水域内の波運動に応じて運動する水没式の浮体である。
【背景技術】
【0003】
背景技術の以下の検討は、本発明の理解を容易にすることのみを意図している。この検討は、参照した資料のいずれかがこの出願の優先日に一般的な知識の一部であるかまたはあったことを承認または認知するものではない。
【0004】
波運動に応じて動作可能な装置に波運動を取り込ませることは、知られている、この一例として、浮体を利用して、波運動を往復ポンプ作用に変換する方法が挙げられる。典型的には、このような浮体は、中実構造を有しており、発泡体のような浮力材料を含んでいる。
【0005】
激しい海の状態、典型的には、(嵐の状態におけるような)悪天候の状態に晒されると、浮体は、極端な力を受けることがある。このような状態に晒されると、周知の浮体は、損傷するか、崩壊するか、または離脱しがちである。さらに、このような状態では、浮体が接続されている繋ぎ紐も、損傷または破損する可能性がある。また、ポンプストロークおよび取り付けられた機器への負荷を制限するために、浮力アクチュエータの運動を制御することが望ましい場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この背景技術および背景技術に関連する問題および困難さに対して、開発されたものである。従って、本発明の目的は、従来から知られている浮体の問題および困難さの少なくとも1つに対処し、または代替案として、有用な選択肢を少なくとも提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータであって、波運動に対する浮力アクチュエータの応答を変化させるゲート手段を備える内部空間を画定している本体を備えている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0008】
好ましくは、ゲート手段は、内部空間内に閉じこめられている。
【0009】
好ましくは、ゲート手段は、水が浮力アクチュエータの本体を通って流れることを可能にするように構成されている。
【0010】
好ましくは、ゲート手段は、特定の海の状態に応じるようになっている。
【0011】
一構成では、特定の海の状態は、(嵐の状態におけるような)悪天候状態における激しい海の状態である。これは、このような状態に晒されたときの浮力アクチュエータおよび浮力アクチュエータが連結されている任意の機構の保全性を維持することを目的としている。
【0012】
好ましくは、ゲート手段は、少なくとも1つの蓋要素を備えているとよく、蓋要素は、蓋要素が通常時に塞いでいる閉状態であって、本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、蓋要素が本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で移動可能になっているとよい。
【0013】
好ましくは、蓋要素を閉状態に離脱可能に保持するために、離脱可能な連結具が設けられている。
【0014】
好ましくは、離脱可能な連結具は、蓋要素を離脱させ、蓋要素を閉状態から開状態に移動させ、開状態をもたらすように、動作するように適合されている。離脱は、海の状態によって行われてもよいし、または遠隔制御によって行われてもよい。
【0015】
好ましくは、離脱可能な連結具は、磁気連結具を含んでいる。磁気連結具は、磁気吸引力を利用して、蓋要素を閉状態に保持するようになっているとよい。磁気連結具は、それぞれの蓋要素上および/または蓋要素が閉状態にあるときに配置される本体の一部に沿った対応する位置に設けられた複数の磁石を備えているとよい。このようして、蓋要素は、蓋要素に対する力が磁気吸引力を十分に上回るまで、閉状態にとどまることになり、該力が十分に上回ると、この力によって、フラップは、離脱して閉状態から離れる方に揺動し、開口をもたらすように、付勢されることになる。
【0016】
好ましくは、蓋要素は、フラップを備えている。
【0017】
好ましくは、フラップは、フラップが通常時に塞いでいる閉状態であって、本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、フラップが外方に揺動して本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で旋回可能になっている。
【0018】
磁気吸引力は、以下のもの、すなわち、磁石の数、磁石の強度、および吸引力をもたらすために磁場が横断する間隙のいずれかまたは複数を変化させることによって、特定の波運動に対して設定されるようになっているとよい。
【0019】
磁気吸引力は、調整可能になっているとよい。
【0020】
磁気取付け手段は、遠隔地から調整されるようになっている。
【0021】
好ましくは、磁気取付け手段は、電磁石式である。
【0022】
磁気連結具は、蓋要素上のその内端に隣接する箇所に位置する磁石手段と、磁石手段が磁気的に吸引されるようになっている相手部品と、を備えているとよい。相手部品は、衝撃プレートを備えているとよい。磁気連結具は、蓋要素に対する力が磁気吸引力を十分に上回るまで、各蓋要素を閉状態に保持するように動作可能になっており、該力が十分に上回ると、この力によって、磁気連結具は、蓋要素を離脱させて閉状態から離れる方に揺動させ、本体を通る水の流れを可能にする開口をもたらすように、付勢されることになる。
【0023】
磁石手段は、ハウジング内に収容された永久磁石のアレイを備えているとよい。ハウジングは、浮力アクチュエータが運転されることになる水環境から磁石を隔離するように適合されている。
【0024】
ハウジングは、非磁性かつ多孔性材料(例えば、プラスチックポリマー)から構成され、該ハウジング内に、永久磁石が包み込まれるようになっているとよい。好ましくは、プラスチックポリマーは、いくらかの物理的緩衝をもたらすために、いくらかの弾性特性を有している。典型的には、永久磁石は、ハウジング内に鋳込まれている。このような構成は、ハウジングが、永久磁石を閉じ込めると共に、永久磁石をハウジング内の適切な箇所でかつ互いに対しても適切な箇所に保持することができるので、有利である。
【0025】
ハウジングは、磁気連結具の相手部品と直面する接触面を有しているとよい。永久磁石は、接触面と永久磁石との間のクッション部分をハウジングにもたらすために、接触面に対して凹んだ箇所に位置しているとよい。接触面は、磁石手段と相手部品とが接触したときに凹んでいる永久磁石を摩耗の影響から保護する摩耗面として機能するようになっていてもよい。
【0026】
典型的には、ハウジングは、必要に応じて、取外し可能および交換可能になっている。
【0027】
クッション部分は、好ましくは、ハウジングと一体になっている。他の構成では、クッション材は、磁気連結具の相手部品と接触するためにハウジングに付着されたクッション材料の層によって設けられるとよい。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの蓋要素は、その自重によって閉じるようになっている。しかし、他の構成では、少なくとも1つの蓋要素は、閉状態に付勢されるようになっていてもよい。これは、付勢機構を用いることによって、例えば、蓋要素ごとにヒンジ内にバネを組み込むことによって、達成されるとよい。
【0029】
さらに他の構成では、ヒンジ付き蓋要素は、少なくとも1つのフラップの自由端に取り付けられたゴム製バネ機構を介して閉状態に付勢されるようになっていてもよい。
【0030】
典型的には、ゲート手段は、複数の蓋要素を備えている。これは、蓋要素の故障に対する耐故障特性を浮力アクチュエータにもたらすので、有利である。もし1つの蓋要素が通常運転にて誤って開いた場合でも、浮力アクチュエータの作動に悪影響を与える程度まで、水を浮力アクチュエータの中空内部に進入させるのに十分に大きい流路は、まだもたらされないだろう。というのも、浮力アクチュエータの作動に悪影響を与える流れが生じるには、少なくとも2つの蓋要素が開いている必要があるが、2つの蓋要素が誤って開く確率は、1つのみの蓋要素が機能しなくなる確率よりも著しく小さいからである。
【0031】
好ましくは、蓋要素は、互いに協働して本体を通る流路を横切るバリアをもたらすように構成されており、各蓋要素は、該蓋要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらす状態になり、かつ該状態から離脱するように、移動可能になっている。バリアは、必ずしも、本体を通る流れを完全に塞ぐ必要はなく、むしろ該流れを必要な量だけ単純に妨げるようになっていればよい。
【0032】
一構成では、蓋要素によってもたらされるバリアは、本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように流路を横切って拡がるようになっている。
【0033】
他の構成では、バリアは、閉状態にある各蓋要素が本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有している。具体的には、各蓋要素は、本体の開上端に向かう方向に傾斜しているとよい。すなわち、閉状態にあるとき、各蓋要素の内端は、本体の境界内において、外端よりも本体の開上端の近くに位置している。このようにして、完全な閉状態と完全な開状態との間の蓋要素の運動の範囲が狭められることになる。この構成によれば、閉状態にある蓋要素は、傾斜した、いくらか円錐状の形状を有するバリアをもたらすことになる。
【0034】
好ましくは、各蓋要素の離脱可能な連結具は、同じ海の状態によって動作されるようなっているとよい。
【0035】
一構成では、本体は、長手方向の拡がりを有するように、かつ流路であって、該流路に沿って、水が本体の長軸と平行に本体を通って流れることができる、流路をもたらすように、構成されているとよい。
【0036】
他の構成では、本体は、上端、下端、および2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状であるとよい。この構成では、側面は、凸形状を有しており、好ましくは、中央が膨らんでいる。
【0037】
好ましくは、本体は、モジュール式構造を有している。
【0038】
好ましくは、本体は、上端、下端、および側面を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えている。
【0039】
シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えているとよい。パネルは、上列および下列を備える少なくとも2列に配列されているとよい。上列は、本体の上端に上縁を画定しており、下列は、下端に下縁を画定している。上縁は、上側ポータルの境界を定めており、下縁は、下側ポータルの境界を定めている。
【0040】
好ましくは、2つの列、すなわち、上列および下列が設けられており、パネルは、各々、同じ形状を有している。従って、どのようなパネルが、いずれの列内のどの位置に配置されてもよいことになる。これは、パネルのコスト効率のよい製造、およびシェルを得るためのパネルの迅速な組立を容易にするので、有利である。
【0041】
好ましくは、各パネルは、略矩形構造を有している。
【0042】
好ましくは、互いに隣接するパネル間の接続部は、半重ね継手を備えている。
【0043】
本体は、海水内に配備された時点で浮力アクチュエータの運動を容易にする1つまたは複数の係留点を備えているとよい。
【0044】
流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータの運動との組合せによっては、フラップが、過剰な力によって閉じること、すなわち、穏やかに閉じるというよりもむしろ勢いよく閉じることがある。この問題を軽減させるために、ある種の物理的緩衝材が、接触面間に設けられているとよい。この緩衝材は、接触面の片面または両方のいずれかに取り付けられた適切なエネルギー緩衝特性を有する弾性材料の成型片の形態にあるとよい。例えば、この弾性材料は、各フラップまたは本体の相手部品に取り付けることができる。
【0045】
勿論、他の緩衝構造も可能である。例えば、フラップの揺動は、流体力学的にまたは電気的(渦電流)緩衝制御を介して、緩衝されてもよい。さらに、接触面の弾性緩衝と共に、流体力学的または電気的(渦電流)手段による揺動の緩衝の両方が行われてもよい。
【0046】
適切な流体圧緩衝器の例として、粘性流体が、浮力アクチュエータが配備されている水環境から吸入かつ該水環境に排出される水からなる、ダッシュポットが挙げられる。ダッシュポットのピストンは、各フラップと接触する弾性バンパーを備えているとよい。この構成では、バンパーの弾性特性によって、フラップの閉鎖運動にいくらかの初期緩衝が与えられることになる。
【0047】
本発明の第2の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、流路に沿った流れを制御するためのゲート手段と、を備えており、ゲート手段は、互いに協働して本体を通る流路を横切るバリアをもたらすように構成された複数の蓋要素を備えており、各蓋要素は、該蓋要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっている、浮力アクチュエータが提供されている。バリアは、必ずしも、本体を通る流れを完全に塞ぐ必要はなく、むしろ該流れを必要な量だけ単純に妨げるようになっていればよい。
【0048】
1つまたは複数の蓋要素が、該要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらしている状態から離脱するように移動したとき、バリアが開き、バリアを通る流体の流れを可能にしている。実質的に、蓋要素は、開閉可能なハッチとして構成されており、閉状態にあるとき、バリアをもたらすようになっている。開状態にあるとき、ハッチは、各々、バリア内に開口をもたらし、水が該開口を通って流れることが可能になっている。
【0049】
好ましくは、バリアは、本体の境界内にあるように構成され、かつ位置決めされている。さらに、バリアをもたらす蓋要素は、完全な開状態にあるときでさえ、本体の境界内にとどまるようになっている。
【0050】
一構成では、蓋要素によってもたらされるバリアは、本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように流路を横切って拡がるようになっている。
【0051】
他の構成では、バリアは、閉状態にある各蓋要素が本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有している。具体的には、各蓋要素は、本体の開上端に向かう方向に傾斜しているとよい。すなわち、閉状態にあるとき、各蓋要素の内端は、外端よりも本体の開上端の近くに位置している。このようにして、完全な閉状態と完全な開状態との間の蓋要素の運動の範囲が狭められることになる。この構成によれば、閉状態にある蓋要素は、傾斜した、いくらか円錐状の形状を有するバリアをもたらすことになる。
【0052】
本発明の第3の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、本体を通る水の流れを妨げるためのチャンバを画定している複数の区分を受け入れるように適合された支持構造体を有している本体を備えており、支持構造体および複数の区分は、輸送され、現地で組み立てられるように適合されている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0053】
本体は、どのような適切な形状、例えば、円筒、球、切頭球、または切頭円錐の形状を有していてもよい。本体の形状は、輪郭付けされた要素を本体上に設けることによって、得られるとよい。輪郭付けされた要素は、典型的には発泡材料のような低比重を有する浮力材料から形成された浮力構造であるとよい。
【0054】
好ましくは、各区分は、2つの端を有するフレームを備えており、一端は、壁部分を受けるように適合されており、他端は、支持構造体に接続されるように構成されている。
【0055】
好ましくは、複数の区分は、本体を通る水の流れを妨げるチャンバを画定するように、互いに連結されるように構成されている。
【0056】
一構成では、浮力アクチュエータの流体力学的特性は、選択的に変更されるようになっているとよい。これによって、浮力アクチュエータがどのような特定の時期に稼働している環境(例えば、生じ得る海の状態)にも応じて、浮力アクチュエータの性能特性を較正することができる。
【0057】
流体力学的特性の変更の例として、浮力の変更(追加または除去のいずれか)または本体の応答領域の変更(例えば、容積または形状)、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0058】
変更される流体力学的特性が浮力アクチュエータの浮力である場合、この変更は、浮力アクチュエータに対する浮力材料の追加または除去によって達成されるとよい。例えば、浮力材料の変更として、支持構造体への浮力材料の追加または該支持構造体からの浮力材料の除去が挙げられる。これは、流体(液体またはガス)の追加または除去によって、自動的に達成されてもよい。応答領域の例として、本体の形状の変更が挙げられる。本体の形状は、前述したような輪郭付け要素を用いることによって、変更されるとよい。一例を挙げると、浮力アクチュエータの外形は、例えば、浮力アクチュエータの外面に浮力材料を取り付けることによって、変更されるとよい。
【0059】
本発明の第4の態様によれば、水域内に浸漬されるようになっている浮力アクチュエータにおいて、周囲の水域から一定量の水を受け入れるように適合された中空内部を画定している本体を備えており、本体は、中空内部を通る流れを制御するための流れ制御手段を有しており、流れ制御手段は、本体を通る流体の流れを塞ぐかまたは少なくとも妨げる第1の状態と、中空内部を通る流体の流れを可能にする第2の状態と、を有している、浮力アクチュエータが提供されている。
【0060】
好ましくは、流れ制御手段は、内部空間内に閉じ込められている。
【0061】
好ましくは、流れ制御手段は、調整可能になっている。
【0062】
一構成では、流れ制御手段は、遠隔的に調整可能になっているとよい。
【0063】
本発明の第5の態様によれば、浮力アクチュエータを組み立てるためのキットにおいて、支持構造体と、浮力アクチュエータを組み立てるように支持構造体に接続されるように適合された複数の区分と、を備えている、キットが提供されている。
【0064】
本発明の第6の態様によれば、内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、本体は、内部空間を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えており、シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0065】
本発明の第7の態様によれば、内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、本体は、開上端、開下端、および2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状を有している、浮力アクチュエータが提供されている。この構成では、側面は、凸形状を有しており、好ましくは、中央が膨らんでいる。
【0066】
本発明の第8の態様によれば、波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、流路に沿った流れを制御するためのゲート手段であって、ゲート手段は、本体を通る流路を横切るバリアをもたらす複数の蓋要素を備えており、蓋要素は、該蓋要素が他の蓋要素と協働してバリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっている、ゲート手段と、各蓋要素を前記状態に離脱可能に保持するためのラッチ手段であって、磁気連結具を備えている、ラッチ手段と、を備えている、浮力アクチュエータが提供されている。
【0067】
本発明の第9の態様によれば、前述した本発明の先行する態様のいずれか1つに記載の少なくとも1つの浮力アクチュエータを備えている波エネルギー変換システムが提供されている。
【0068】
好ましくは、浮力アクチュエータは、(流体ポンプまたは線形発電機のような)エネルギー変換装置に操作可能に接続され、波運動を該エネルギー変換装置に伝達するようになっている。
【0069】
本発明の第10の態様によれば、水域内の波エネルギーを取り込む方法において、本発明の先行する態様のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータを水域内に配備することを含んでいる、方法が提供されている。
【0070】
本発明は、添付の図面に示されているような本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明を参照することによって、さらにいっそう理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】海洋波エネルギーを取り込むための装置の一部をなす第1の実施形態による浮力アクチュエータの斜視図である。
【図2】浮力アクチュエータの略斜視図である。
【図3】浮力アクチュエータの平面図である。
【図4】浮力アクチュエータの一部の略斜視図である。
【図5】図4に示されている浮力アクチュエータの一部の側面図である。
【図6】浮力アクチュエータのゲート手段を特に示す、図4の平面図である。
【図7】浮力アクチュエータのゲート手段の開状態を示す、該ゲート手段の平面図である。
【図8】ゲート手段が開状態にある浮力アクチュエータの一部の略斜視図である。
【図9】図8に示されている浮力アクチュエータの一部の側面図である。
【図10】支持構造体の内部の側面図である。
【図11】支持構造体の略斜視図である。
【図12】支持構造体の平面図である。
【図13】組み立てられた装置の略斜視図である。
【図14】図2に示されている浮力アクチュエータの断面図である。
【図15】海洋波エネルギーを取り込むための装置の一部をなす第2の実施形態による浮力アクチュエータの斜視図である。
【図16】図15に示されている構造の略側面図である。
【図17】第2の実施形態による浮力アクチュエータの底面図である。
【図18】浮力アクチュエータの側面図である。
【図19】浮力アクチュエータの内部構造体を断面で示す、図18と同様の図である。
【図20】底側から見た、浮力アクチュエータの斜視図である。
【図21】浮力アクチュエータのさらなる側面図である。
【図22】浮力アクチュエータのさらなる底面図である。
【図23】浮力アクチュエータのシェルを形成する上パネル列を示す、浮力アクチュエータの部分的斜視図である。
【図24】図23に示されている構造の側面図である。
【図25】上パネル列のパネルの分解図である。
【図26】上パネル列のパネルの断面図である。
【図27】シェルを形成する下パネル列を示す、浮力アクチュエータの部分斜視図である。
【図28】図27に示されている構造の側面図である。
【図29】シェルにおける4つの相互接続されたパネルの側面図である。
【図30】図29に示されている相互接続されたパネルの断面図である。
【図31】2つのパネル間の継手を特に示す、該2つのパネルの略断面図である。
【図32】2つのパネル間の継手を特に示す、該2つのパネルのさらなる断面図である。
【図33】パネルの1つをその内側から見た立面図である。
【図34】外側から見た、図33の同様の図である。
【図35】上から見た、パネルの斜視図である。
【図36】浮力アクチュエータの内部構造体をその底側から見た斜視図である。
【図37】内部構造体の平面図である。
【図38】内部構造体の側面図である。
【図39】内部構造体の部分斜視図である。
【図40】図39に示されている構造の平面図である。
【図41】図39に示されている構造の側面図である。
【図42】浮力アクチュエータの一部をなすフラップの斜視図である。
【図43】フラップの平面図である。
【図44】フラップの側面図である。
【図45】浮力アクチュエータの各フラップ用の磁石連結具の一部として用いられる磁石手段の分解斜視図である。
【図46】磁気手段の変形形態の略平面図である。
【図47】図46に示されている構造の略側面図である。
【図48】第3の実施形態による浮力アクチュエータの側面図である。
【図49】図48の浮力アクチュエータの内部構造体の一部の側面図である。
【図50】図49に示されている内部構造体のヘッド部分の略側面図である。
【図51】フラップが開状態で示されている第4の実施形態による浮力アクチュエータの略側面図である。
【図52】フラップがバリアをなしている閉状態で示されている以外、図51と同様の図である。
【図53】閉状態にあり、かつフラップの閉動作を緩和するために緩衝手段と係合しているフラップを特に示す、第5の実施形態による浮力アクチュエータの部分図である。
【図54】フラップが緩衝手段から離れる方に揺動している状態で示されている以外、図53と同様の図である。
【図55】フラップがその戻り経路において緩衝手段と接触を開始している状態で示されている以外、図53と同様の図である。
【図56】先の実施形態のいずれかによる浮力アクチュエータを組み込んでいる波エネルギー変換システムの略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図面に示されている実施形態は、各々、海洋波エネルギーを取り込むための装置11に用いられるエネルギー解放式浮力アクチュエータ10に向けられている。
【0073】
図1を参照すると、装置11は、水面13および海底14を有する海水域12内に設置され、運転されるようになっている。装置11は、海底14に係留されたポンプ機構15を備えている。浮力アクチュエータ10は、ポンプ機構15に操作可能に接続されており、海水域12内にて、ポンプ機構15の上方で水面13の下方の位置、典型的には浮力アクチュエータ10の上面が中立の水位線から数メートル下の深さの位置に、浮力によって浮遊している。さらに、浮力アクチュエータ10と浮力アクチュエータ10が操作可能に接続されたポンプ機構15との組合せは、好ましくは、以下の全長、すなわち、その全長が最小の状態(浮力アクチュエータがその可動域の最下点にある状態)にて、好ましくは10メートル以上から100メートル以下の水深に配備されるのに適する全長を画定している。浮力アクチュエータ10は、繋ぎ紐17を備える連結具16を介して、ポンプ機構15に操作可能に接続されている。
【0074】
図2−6を参照すると、第1の実施形態による浮力アクチュエータ10は、支持構造体23および複数の区分25を有する本体21を備えている。これらの区分25は、支持構造体23を包囲しており、外側チャンバ壁26および内側チャンバ壁28を有する略環状形状のチャンバ24を画定している。浮力アクチュエータ10の両端は、開いており、チャンバ24内への水の進入を可能にしている。
【0075】
図4に示されているように、各区分25は、フレーム27を備えている。フレーム27は、壁部分29を支持するように構成された外端と、支持構造体23に取り付けられるように適合された内端と、を有している。各フレーム27の両側は、図13に示されているように互いに連結するように構成されている。これらの区分25は、構造体23を包囲しているチャンバ24を画定している。各区分25は、ゲート手段31によって横断されている。ゲート手段31は、開状態および閉状態のいずれにおいても浮力アクチュエータ内に閉じ込められるように、構成されている。この目的は、後に明らかになるだろう。
【0076】
フレーム27は、鋼ストラットを備える構造を有している。壁部分29は、金属シートである。代替的に、フレーム27および壁部分29は、海洋環境に耐えるのに適する他の材料から構成されていてもよい。
【0077】
チャンバ24の開端間にてチャンバ24内を通る水流は、ゲート手段31を介して制御されるようになっているとよい。ゲート手段31は、該ゲート手段に加えられる所定の流体差圧、すなわち、中空内部と浮力アクチュエータ10が浸漬している周囲の水域との間の所定の流体差圧に応じて、動作するようになっている。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータが激しい海の状態に晒されたとき、該浮力アクチュエータに加えられるうねり運動によって生じることになる。他の構成では、浮力アクチュエータの運動は、特定の運動範囲内にとどまるようにゲート手段31を選択的に動作させることによって、制御されてもよい。
【0078】
ゲート手段31は、ヒンジ35(図6参照)を介してフレーム27の片側に旋回可能に接続されたフラップ33として構成された蓋要素を備えている。ヒンジ35は、フラップ33の片側に取り付けられている。フラップ33の反対側(自由端)では、ラッチ機構37がフラップ33を閉状態に離脱可能に保持するようになっている。これによって、チャンバ24を通る水流が妨げられることになる。ラッチ機構37は、図示されている構成では、磁気連結具41からなる離脱可能な連結具39と、プレート43と、を備えている。プレート43は、フレーム27の反対側に配置されている。磁気連結具41は、フラップ33を閉状態に保持するようにプレート43に吸引されている(図4、図5参照)。磁気連結具41は、それぞれのフラップ33の自由端に沿った位置および/またはフレーム27の対応する縁に沿った対応する位置に設けられた複数の磁石を備えているとよい(図8,9参照)。このようにして、フラップ33は、フラップ33に対する力が磁気吸引力を上回るほど十分大きくなるまで、閉状態に保持されることになり、該力が十分に大きくなると、この力によって、フラップ33は、離脱して閉状態から離れる方に揺動するように付勢され、これによって、開口(図7、図8参照)が形成され、水が開口を通って流れることが可能になる。
【0079】
この実施形態では、離脱可能な連結具39は、悪天候の状態に応じて、フラップを離脱させ、閉状態から開状態に移動させて開口を形成すべく、動作するように構成されている。
【0080】
磁気吸引力は、調整可能になっていてもよい。磁気吸引力は、磁石の数および磁石の強度ならびに磁石と支材との間の間隔のいずれかを変化させることによって、特定の波運動に対して調整されるようになっていてもよい。
【0081】
他の構成では、磁気吸引力は、遠隔地から調整されるようになっている。この場合、磁気取付け手段は、例えば、可変磁気吸引力をもたらす電磁石であるとよい。
【0082】
フラップ33は、各々、特定の水流レベルにおいてその自重の影響を受けて閉じるように構成されているとよい。代替的に、各フラップは、その閉状態に付勢されるようになっていてもよい。これは、バネ機構を用いることによって、例えば、フラップごとにヒンジ内にバネを組み込むことによって、達成されるとよい。
【0083】
さらに他の実施形態では、ヒンジ付きフラップは、少なくとも1つのフラップの自由端に取り付けられたゴム製バネ機構を介して閉状態に付勢されている。
【0084】
バネ力は、海の状態が沈静化し、フラップがまさにはためくようになった後でしか閉鎖を促進してはならないという意味において、比較的弱くしておく必要がある。しかし、必ずしも、フラップにバネ負荷を与える必要がない。何故なら、フラップは、浮力アクチュエータ10の穏やかな運動のみによって、自己閉鎖することができるようになっているからである。
【0085】
前述したように、フラップ33を開くことによって、水がチャンバ24内を流れることが可能になるので、移動する水が浮力アクチュエータに衝突する抵抗が、最小限に抑えられることになる。これによって、位置エネルギーの殆どが排除される。何故なら、浮力アクチュエータ10は、波によってそれほど大きく持ち上げられることがなく、またより軽くなっているからである。同時に、運動エネルギーも低減することになる。何故なら、(水がもはや閉じ込められていないので)質量が減少し、(浮力アクチュエータがもはや浮力アクチュエータを加速させる波力に対するこのような反力をもたらすことがないので)速度が減少するからである。浮力アクチュエータ10を水が完全に通り抜けるようにさせることは不可能である。何故なら、浮力アクチュエータ10と水との間には、いくつかの連結具が常に存在しているからである。しかし、ポンプ15および連結具21への嵐による負荷は、ゲート手段31を用いることによって、許容レベルまで減衰されることが見込まれるので、これらの大きな力に耐える極めて嵩張った(かつ高価な)構造物を設計する必要がないことになる。
【0086】
フラップの故障に対する耐故障特性を有していることが、浮力アクチュエータ10の1つの特徴である。もし1つのフラップ33が、(例えば、磁気ラッチの故障またはヒンジの破損によって)、通常運転にて誤って開いた場合でも、浮力アクチュエータ10の作動に悪影響を与える程度まで、水を浮力アクチュエータ10の中空内部に進入させるのに十分に大きな流路は、まだもたらされないだろう。というのも、浮力アクチュエータ10の作動に悪影響を与える流れが生じるには、少なくとも2つのフラップが開いている必要があるが、2つのフラップが誤って開く確率は、1つのみのフラップが機能しなくなる確率よりも著しく小さいからである。
【0087】
この点に関して、ゲート手段31が浮力アクチュエータ内に閉じこめられているのは、特に有利である。ゲート手段31は、外部の海洋環境から保護されており、浮力アクチュエータ10が衝突に巻き込まれた場合でも損傷を受けるほど露出していない。この構成では、メッシュ材料を用いて、浮力アクチュエータ10の開端を閉じ、チャンバ24内への海洋材料の侵入を阻止することができる。また、海洋生物の成長を阻止する方法を用いることもできる。例えば、海洋生物の群体の生成を阻止するために、ゲート手段31の表面に被膜が施されてもよい。
【0088】
前述した区分25は、支持構造体23と一緒に、図2および図3に示されている浮力アクチュエータを形成している。
【0089】
図10を参照すると、支持構造体23は、中心コア49および中心コア23を包囲しているフレーム47を備えている。フレーム47は、ストラット51の3つのグループを備えている。ストラット51の第1および第2のグループは、コア40から傾斜して外方に延在しており、各々、構造体23内に円錐状の空間を画定している。ストラット51の第1のグループは、コア49の第1の端からコア49の中間区域に延在しており、第2のグループは、中心コア49の中間からコアの第2の端区域に延在している。(図では見えていない)ストラットの第3のグループは、コア49の第1の端から半径方向外方に延在している。この構成では、ストラットは、5角柱を画定している。代替的に、他の形状であってもよい。図10に示されている構成では、ストラットのグループにつき、10本のストラット51が、1対のストラットが構造体23の各側面54に対応するように、設けられている。ラグ59,61が、中心コア49の各端から長手方向に延在している。ラグ59,61は、浮力アクチュエータ10の運転中、輸送中、および組立中に、持上げ手段および支持手段として役立つものである。
【0090】
さらに、フレーム47は、フレーム47の周辺に沿って延在している一連の垂直方向に整列したスタブ45を備えている(図10〜図12参照)。一連のスタブ45間に配置されているのは、側パネル53である。側パネル53は、支持構造体および内側チャンバ壁26の小平面を画定している。各パネル55,57は、フレーム47の両端に配置されている。この構成によって、図12に示されている構造体23内の閉じた内部空間が画定されている。スタブ45は、区分25を受け入れるために、側パネル53から上方に延在している。
【0091】
前述した構成では、構造体23内に空洞が画定されている。浮力アクチュエータ10の実質的に中空の特性によって、浮力アクチュエータ10は、既知の先行技術の浮体と比較して軽量である。空洞は、浮力アクチュエータ10に総正味の浮力をもたらすために、浮力材料によって満たされている。浮力材料は、とりわけ、空気、空気を含む浮袋、発泡体のような低密度材料であればよい。発泡体は、独立気泡を含むウレタンフォームであるとよい。しかし、他の適切な材料が用いられてもよい。
【0092】
浮力は、ポンピングストローク中に付加的な浮上りをもたらすことになる。波は、浮力アクチュエータ10に下向き力と殆ど同程度の大きな上向き力を加えている。しかし、各ポンプ15は、一方向にしか作動しないので、浮力アクチュエータ10内の浮力は、下降ストローク中に蓄えられた位置エネルギーとして作用することになる。従って、上昇ストローク中、浮力および浮上り力の両方が、ポンプに作用することになる。
【0093】
浮力アクチュエータの流体力学的特性は、構造体23内の浮力を選択的に変化させることによって、変更されてもよい。浮力を変化させる例として、構造体23への浮力材料の追加または構造体23からの浮力材料の除去が挙げられる。また、他の構成では、浮力材料の種類が変更されてもよい。
【0094】
他の構成では、浮力アクチュエータの流体力学的特性は、浮力アクチュエータの外形を選択的に変化させることによって、変更されてもよい。これは、例えば、浮力材料を壁部分29の外面に取り付けることによって達成されるとよい。
【0095】
単一の繋ぎ紐を有する浮力アクチュエータの場合、その適切な形状の例として、球、切頭球、短寸逆円錐、切頭円錐、または短寸円筒が挙げられる。勿論、他の形状であってもよい。
【0096】
球形状は、最適である。何故なら、球形状は、その対称性によって、波擾乱と浮力アクチュエータとの間に回転結合が生じないので、うねり力を繋ぎ紐の直線張力に最適に変換させることができるからである。
【0097】
球、短寸円筒、および短寸逆円錐の間でのエネルギー蓄積性能の差は、製造のしやすさおよび構造安定性のような他の因子も考慮した場合、球を優先して他の形状を排除するほど大きなものではない。従って、許容されるエネルギー貯蔵性能と構造安定性の許容レベルとを有するさまざまな形状が考えられる。
【0098】
浮力アクチュエータは、そのモジュール構造から、個別の構成要素として輸送され、最終目的地の近くで組み立てられることが可能である。この構成は、実質的に、前述した支持構造体23および10個の区分25を備えるキットである。図13に示されているように、浮力アクチュエータ10は、区分25を支持構造体23のスタブ45に留め、互いに隣接する区分25を互いに連結することによって、形成されることになる。この作業は、支持構造体23が、例えば、クレーンによってラグ61から垂直に懸垂された状態で行われるとよい。
【0099】
組み立てられた浮力アクチュエータ10(図2参照)は、水域内に配備するために、ラグ61を介して持ち上げられとよい。前述したように、作業時に、浮力アクチュエータ10は、繋ぎ紐17を備える連結具16を介して、ポンプ機構15に操作可能に接続されることになる。繋ぎ紐17は、浮力アクチュエータのラグ59(図10参照)に留められるようになっている。
【0100】
ポンプ15は、水域12内に係留され、浮力アクチュエータ10を介して波エネルギーによって作動されるように構成されている。ポンプ15は、海水域12内のポンプの上方で水面13の下方にて典型的には中立の水位線から数メートル下の深さの位置に浮力によって浮遊している実施形態による浮力アクチュエータ10に操作可能に接続されることになる。この構成によって、ポンプ15は、波運動に応じる浮力アクチュエータ10の運動によって、作動されることになる。ポンプ15は、高圧流体の形態にあるエネルギーを利用する閉ループシステムに高圧作動流体(例えば、高圧水)を供給するようになっているとよい。
【0101】
運転時において、装置11に衝突する波によって、浮力アクチュエータ10の浮上りが生じる。この浮上りは、繋ぎ紐17を介してポンプ15に伝達され、ポンプ15にポンピングストロークを行わせる。いったん波が通過すると、浮力アクチュエータ10に加えられた浮上り力が減少し、浮力アクチュエータは、浮力アクチュエータに接続された種々の構成部品、例えば、ポンプ15のポンピング機構の重量によって下降し、これによって、ポンプ15に吸入ストロークを行わせる。ピストン機構は、下降すると、吸入チャンバ内に進入している水内に押し込まれる。ピストン機構が下降するにつれて、吸入チャンバ内の水は、ピストンチャンバ内に流れ、ポンピングチャンバを徐々に拡張する。吸入逆止弁によって、水の流入が可能になっている。これによって、次の波擾乱に応じる浮力アクチュエータ10の浮上り時に行われる次のポンピングストロークに備えて、ピストンチャンバおよび吐出チャンバが水で充填されることになる。
【0102】
激しい海の状態、典型的には、(嵐の状態におけるような)悪天候の状態では、浮力アクチュエータ10が極端な力を受け、この極端な力が浮力アクチュエータにうねり運動を加えることがある。このような状態では、浮力アクチュエータ10を損傷しないように保存し、装置11の他の構造部品に伝えられるうねり負荷を制限する必要がある。これは、浮力アクチュエータ10のエネルギーを解放し、浮力アクチュエータ10を事実上非作動とすることによって、または浮力アクチュエータ内に水を貫流させることによって、浮力アクチュエータ10に加えられたうねり力を少なくとも制限することによって、達成されるようになっている。これは、浮力アクチュエータ10をこの浮力アクチュエータが浸漬している水域に対して通り抜けさせる効果、すなわち、浮力アクチュエータ10が、どのような手段も取られていない場合におけるよりもわずかしか、水の浮上り運動に応じないようにさせる効果を有している。これは、ゲート手段31の開口によって達成されることになる。ゲート手段31は、ゲート手段31に加えられた所定の流体差圧に応じて開き、これによって、水が浮力アクチュエータ10を通って上方に流れることを可能にする。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータ10が激しい海の状態に晒されたとき、浮力アクチュエータ10に加えられる上向きのうねり運動によって生じることになる。
【0103】
他の構成では、浮力アクチュエータの運動は、特定の運動範囲内にとどまるようにゲート手段31を選択的に動作させることによって、制御されてもよい。
【0104】
図15〜図45を参照すると、第2の実施形態による浮力アクチュエータ10が示されている。図15および図16に示されているように、第2の実施形態による浮力アクチュエータ10は、水面および海底14を有する海水域12内に設置されて運転されるようになっている装置11の一部をなしている。装置11は、海底14に係留されたポンプ機構15を備えている。第2の実施形態による浮力アクチュエータ10は、第1の実施形態による浮力アクチュエータ10の場合と同じように、ポンプ機構15に操作可能に接続されており、海水域12内にて、ポンプ機構15の上方で水面13の下方に、浮力によって浮遊している。浮力アクチュエータ10は、繋ぎ紐17を備える連結具16を介してポンプ機構15に操作可能に接続されている。
【0105】
第2の実施形態による浮力アクチュエータ10は、上端103、下端105、およびこれらの2つの端間に延在している側面107を有する切頭円錐形状の本体101を備えている。この構成では、側面107は、凸形状を有しており、その中央が膨らんでいる。
【0106】
本体101は、中空であり、上端103および下端105は、各々、本体内の中空内部109の方に開いている。中空内部109は、チャンバ110を画定している。チャンバ110は、制御された流路を内蔵している。この流路が開いているとき、水が流路に沿って開上端103と開下端105との間にて本体内を流れることができる。上端103は、チャンバ100内に開いている上側ポータル104を画定しており、下端105は、チャンバ110内に開いている下側ポータル106を画定している。
【0107】
本体101は、内部構造体111を備えている。内部構造体111は、本体の上端103、下端105、および側面107を画定しているシェル113を支持している。
【0108】
内部構造体111は、繋ぎ紐17が該内部構造体に取り付けられるように、構成されている。
【0109】
浮力アクチュエータ10は、質量の中心が浮力の中心の下方にあるように、構成されている。これによって、激しい海の状態で運転するとき、浮力アクチュエータに一定の安定性をもたらすことができる。この実施形態では、質量の中心と浮力の中心との間のこの関係は、内部構造体111およびシェル113の相対的な位置決めおよびそれらの構造によって、達成されるようになっている。
【0110】
内部構造体111は、ゲート手段115を組み入れている。ゲート手段115は、以下にさらに詳細に述べるように、開上端103における上側ポータル104と開下端105における下側ポータル106との間にて本体101を通る流れを制御するためのものである。ゲート手段115は、第1の実施形態の場合と同じように、ゲート手段115に加えられた所定の流体差圧に応じて動作可能であり、これによって、水が浮力アクチュエータ10を通って上方に流れることができるようになっている。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータ10が激しい海の状態に晒されたとき、浮力アクチュエータ10に加えられる上向きのうねり運動によって生じることになる。
【0111】
この実施形態は、本体101内に閉じ込められる所定の水量に対して、本体101の上側ポータル104および下側ポータル106を通り抜ける最大通水断面を達成することができる構造をもたらすことを意図しており、このような構造を得るのに、本体の切頭円錐形状が役立っている。
【0112】
シェル113は、複数の区分121を備えるモジュール構造を有している。区分121は、一緒に接続されるように適合されたパネル123として構成されている。図示されている構成では、パネル123は、2列、すなわち、上列125および下列127に配列されている。上列125は、本体101の上端103に上縁128を画定しており、下列127は、下端107に下縁129を画定している。上下縁128,129は、丸められた断面輪郭を有している。
【0113】
上縁128は、上側ポータル104の境界を定めており、下縁129は、下側ポータル106の境界を定めている。
【0114】
パネル123は、各々、同じ形状を有しており、これによって、どのようなパネルがいずれの列125,127内のどの位置に配置されてもよい。これは、パネル123のコスト効率の良い製造、およびシェル113を得るためのパネル123の迅速な組立を容易にするので、有利である。
【0115】
各パネル123は、外面133、内面135、および4つの縁137を有するパネル本体131を備える略矩形構造を有している。4つの縁137は、外縁139、内縁141、および2つの互いに向き合った側縁143,145から構成されている。
【0116】
各パネル123が取り付けられ、シェル113が組み立てられると、パネル123が組立シェル113の上列125または下列127のいずれに配置されているかによって、パネルの外縁139は、シェル113の上縁128またはシェル113の下縁129のいずれかの一部を画定することになる。外縁139は、シェル113の上下縁128,129の丸められた輪郭に一致するように丸められている。
【0117】
各パネル123の2つの互いに向き合った側縁143,145は、組立シェル113内の同一パネル列における隣接するパネル123の隣接する縁に接続されるように構成されている。これは、パネル123aがその隣接するパネル123b,123cと一緒に示されている図18を参照すれば、分かるだろう。また、図29は、パネル123bが省かれた構造を示している。パネル123aは、互いに向き合った縁143a 145aを有しており、側縁143aは、パネル123bの側縁145bに接続されており、側縁145aは、パネル123cの側縁143cに接続されている。
【0118】
さらに詳細には、各パネル123の側縁143,145は、隣接するパネルの対応する側縁と嵌合するように構成されている。図示されている構成では、側縁143,145は、パネル123間に半重ね継手147をもたらすように構成されている。この構成では、1つのパネルの側縁143および隣接するパネルの対応する側縁145は、重なって嵌合することが可能である。嵌合された側縁143,145は、どのような適切な方法、例えば、機械的な固定、化学的結合、または溶接によって、一緒に固定されてもよい。図示されている構成では、この接続は、ボルトまたはリベットのような締付け具149を用いる機械的な固定である。取外し可能な締付け具を用いる機械的な固定による接続は、修理または保守のために後で必要とされるシェル113の分解が容易になるので、有利である。
【0119】
半重ね継手147は、各側縁143,145に沿った切込み151によって形成されている。切込み151は、フランジ153および隣接する凹部155を画定している。フランジ153および凹部155は、嵌合に適するように形作られている。このような構成によれば、2つのパネル間の半重ね継手147において、第1のパネル123の側縁143のフランジ153は、第2のパネルの側縁145の対応する凹部155内に配置され、第2のパネル123の側縁145のフランジ153は、第1のパネルの側縁143の対応する凹部155内に配置されることになる。
【0120】
各パネル123の内縁141は、組立シェル113内の隣接するパネル列における隣接するパネル123の内縁に接続されるように、構成されている。これは、図18および図29を参照すれば、分かるだろう。これらの図では、上列125のパネル123a、下列127のパネル123dが、それぞれの内縁141a,141dが互いに隣接している状態で示されている。
【0121】
さらに詳細には、各パネル123の内縁141は、組立シェル113内の隣接するパネル列における隣接するパネル123の内縁141に嵌着するように、構成されている。図示されている構成では、内縁141は、複数の半重ね継手161をもたらすように構成されている。この実施形態では、2つの半重ね継手が各内縁141によってもたらされているが、3つ以上の半重ね継手も可能である。
【0122】
2つの半重ね継手161は、内縁141の互いに向き合った内縁141に沿って設けられた第1の切込み163および第2の切込み165によって形成されている。第1の切込み163は、外側フランジ167および隣接する内側凹部169を画定している。同様に、第2の切込み165は、内側フランジ171および隣接する外側凹部173を画定している。外側フランジ167および外側凹部173は、連続しており、内側凹部169および内側フランジ171も、連続している。
【0123】
外側フランジ167および内側凹部169は、嵌合に適するように形作られており、内側フランジ171および外側凹部173も、嵌合に適するように形作られている。このような構成によれば、2つのパネル間の半重ね継手147において、第1のパネル123の側縁143のフランジ153は、第2のパネルの側縁145の対応する凹部155に配置され、第2のパネル123の側縁145のフランジ153は、第1のパネルの側縁143の対応する凹部155内に配置されることになる。
【0124】
この実施形態では、半重ね継手161を構成しているそれぞれのフランジ167,171および凹部169,173間の嵌合は、摩擦嵌めであり、これによって、パネル123の内縁141間にスナップ嵌合をもたらすことが可能となる。
【0125】
この構成では、1つのパネルの内縁141および隣接するパネルの対応する内縁141は、重なって嵌合されることが可能になっている。嵌合された内縁141は、どのような適切な方法、例えば、機械的な固定、化学結合、または溶接によって、一緒に固定されてもよい。図示されている構成では、この接続は、ボルトまたはリベットのような締付け具175を用いる機械的な固定である。取外し可能な締付け具を用いる機械的な固定による接続は、修理または保守のために後で必要とされるシェル113の分解が容易になるので、有利である。
【0126】
シェル113は、浮力構造を有している。この目的のために、各シェルパネル123は、浮揚性を有している。これは、どのような適切な方法によって、例えば、パネル内に1つまたは複数の空洞を形成することによって、またはパネル内に発泡体のような浮力材料を封入することによって、達成されてもよい。この実施形態では、各パネル123の本体131は、中空構造を有している。該中空構造は、外面133を画定している外側スキン区域183と内面135を画定している内側スキン区域185とを有するスキン181を備えている。外側スキン区域183および内側スキン区域185は、互いに離間した関係にあり、それらの間に閉じた空間187を画定している。ブリッジ要素189のアレイが外側スキン区域183および内側スキン区域185と一体に形成されており、空間187を横切ってそれらの区域間に延在しており、これによって、2つのスキン区域を補強している。この実施形態では、空間は、空気を含んでいるが、どのような適切な浮力材料、例えば、他のガスまたは発泡材料を含んでいてもよい。
【0127】
水中に配備された時点での浮力アクチュエータ10の移動を容易にするために、1つまたは複数の係留点190が、シェル113の外部に設けられている。典型的には、このような移動は、曳航の形態でなされる。係留点190は、強固なものとするために、内部構造体111に接続されている。
【0128】
内部構造体111は、シェル113を支持している中心コア201を備えている。内部構造体111は、中心カラム203および中心カラム203上に取り付けられたフレーム205を備えている。典型的には、中心カラム203およびフレーム205は、主に金属から構成されており、これは、浮力アクチュエータ10の質量の中心が浮力の中心の下方に位置することを確実にするのに役立つことになる。
【0129】
中心カラム203は、上区分206および下区分207を備えている。上区分206は、カラム203を包囲している中心プレート208と、中心プレート208の下方の取付けブラケット209と、を備えている。
【0130】
フレーム205は、中心カラム203の上区分206から半径方向に延在しているアーム210と、中心カラム203の下区分207とアーム210の半径方向外端との間に延在しているストラット211と、を備えている。各アーム210は、フレーム要素213を備えている。フレーム要素213は、その半径方向内端にて、取付けブラケット209の1つに取り付けられている。各フレーム要素213の半径方向外端は、ストラット211のそれぞれによって支持されている。
【0131】
フレーム205は、シェル213が取り付け可能になっているマウント215を備えている。図示されている構成では、マウント215は、フレーム要素213の外端の取付けブラケット217を備えており、これらの取付け可能なブラケット217にシェル213がボトル締め可能になっている。
【0132】
フレーム205は、図20に最もよく示されているように、シェルを内部構造体111の適所に固定するために、中心カラム203の下区分とシェル213との間に延在している半径方向フレーム要素218も備えている。
【0133】
アーム210の半径方向の配置によって、アーム間に空間219が画定されることになる。空間219は、本体内を通る流路の一部をなしており、該流路の一部が開くと、水が該流路の一部に沿って上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体内を流れることが可能になる。空間219は、半径方向最内端を頂点とする略三角形の形状を有している。
【0134】
ゲート手段115は、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101を通る水の流れを調整するように、動作可能である。
【0135】
ゲート手段115は、フラップ221として構成された複数の蓋要素を備えている。フラップ221は、互いに協働して、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101内を通る流路を横切るバリア222をもたらすように、構成されている。バリア222は、必ずしも本体101内を通る流れを完全に塞ぐ必要はなく、むしろ該流れを単純に妨げるようになっていればよい。
【0136】
各フラップ221は、他のフラップと協働してバリア222をもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能である。1つまたは複数のフラップ221が該状態から離脱するように移動すると、バリア222が開き、バリアを通る流体の流れを可能にする。実質的に、フラップ221は、開閉可能なハッチとして構成されており、閉状態にあるとき、バリア222をもたらすようになっている。開状態にあるとき、ハッチは、各々、バリア内に開口をもたらし、水が該開口を通って流れることが可能になる。
【0137】
図示されている構成では、フラップ221は、各々、空間219の各々を流れに対して開閉するように、該空間219に関連付けられている。
【0138】
フラップ221は、空間219の形状と一致するように形作られている。図示されている構成では、各フラップ221は、内端223と、外端225と、2つの互いに向き合った側面227と、を備えている。フラップ221の形状は、図42、図43および図44に最もよく示されている。側面227は、内側面区域227aおよび外側面区域227bを備えている。側面227は、図40に示されているように、互いに隣接するフラップ221が閉状態にあるとき、これらのフラップ221の内側面区域227aが互いに密に隣接して位置するように、構成されている。これによって、効果的なバリア222が容易に達成されることになる。
【0139】
フラップ221は、それぞれの空間219と関連させて開状態と閉状態との間で揺動するように、フレーム205上に旋回可能に取り付けられている。閉状態では、フラップ221は、空間219を横切って延在しており、これによって、バリア222をもたらし、流れを妨げることになる。旋回可能に取り付けられているので、各フラップ221は、その該当する空間219から離れる方に揺動して空間を露出させることができ、これによって、バリア222が開き、流れが該バリアを通ることができる。図36、図37および図39では、閉状態にあるフラップ221が示されている。図19は、閉状態から離れる方に部分的に揺動したフラップ221を示している。
【0140】
図示されている構成では、各フラップ221は、フレーム205上の外端225に隣接する箇所に、ヒンジ229によって旋回可能に取り付けられている。フラップ221が閉状態にあるとき、内端223は、中心プレート208上に支持されている。
【0141】
バリア222は、シェル113の境界内に収まるように構成され、かつ位置決めされている。さらに、バリア222を構成することになるフラップ221は、完全な開状態にあるときでも、シェル113の境界内にとどまるようになっている。
【0142】
フラップ221を閉状態に保持し、本体101内を通る水の流れを妨げるために、ラッチ機構231が各フラップ221に付随している。ラッチ機構231は、離脱可能な連結具238を備えている。連結具238は、この実施形態では、磁気連結具239から構成されている。磁気連結具239は、各フラップ221の内端223と中心コア201の隣接する部分との間に吸引力をもたらすものである。図示されている構成では、磁気連結具239は、フラップ221上の内端223に隣接する箇所に位置する磁石手段241と、中心カラム203上の衝突プレート243と、を備えている。衝突プレート243は、(鋼または他の強磁性材料のような)材料から作製されており、磁石手段241が該衝突プレート243に磁気的に吸引されるようになっている。衝突プレート243は、図示されている構成では、中心カラム203の中心プレート208によって画定されている。
【0143】
磁気連結具239は、フラップに対する力が磁気吸引力に打ち勝つのに十分な大きさになるまで、各フラップ221を閉状態に保持するように動作可能になっており、フラップに対する力が十分に大きくなると、この力によって、磁気連結具は、フラップを離脱させて閉状態から離れる方に揺動させ、水が本体101内を流れることを可能にする開口をもたらすように、付勢されることになる。
【0144】
この実施形態における磁石手段241は、ハウジング247内に収容された永久磁石245のアレイを備えている。永久磁石245は、どのような適切な種類のものであってもよい。良好な経時変化特性を有する永久磁石が望ましい。(NdFeB磁石としても知られている)ネオジウム磁石が特に適切であると考えられる。
【0145】
ハウジング247は、浮力アクチュエータが運転されることになる水環境から磁石245を隔離するように構成されている。
【0146】
流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータ10の運動との組合せによっては、フラップ221が、過剰な力によって閉じること、すなわち、穏やかに閉じるというよりもむしろ勢いよく閉じることがある。もしこの状態が緩和されないなら、フラップ221自体のみならず、ラッチ機構231および内部構造111の他の部品の過剰な摩耗および損傷をもたらすことになるだろう。この問題を軽減させるために、ある種の物理的緩衝材が、接触面間に設けられているとよい。この緩衝材は、接触面の片面または両方のいずれかに取り付けられた適切なエネルギー緩衝特性を有する弾性材料の成型片の形態にあるとよい。例えば、この弾性材料は、各フラップ221または衝突プレート243のような内部構造11の相手部品のいずれかまたは両方に取り付けられているとよい。
【0147】
勿論、他の緩衝構造も可能である。例えば、フラップ221の揺動は、流体力学的にまたは電気的(渦電流)緩衝制御を介して、緩衝されてもよい。実際には、接触面の弾性緩衝を行うと共に、流体力学的または電気的(渦電流)手段による揺動の緩衝を行うと、有利である。
【0148】
図46および図47には、磁石手段241の変形形態が示されている。この変形形態は、永久磁石245を保護すると共に、衝突プレート243に接触したときにいくらかの物理的緩衝をもたらすように、考案されている。この変形形態では、ハウジング247は、非磁性かつ非多孔性材料(例えば、プラスチックポリマー)から構成されており、該ハウジング247内に、永久磁石245が包み込まれている。好ましくは、プラスチックポリマー材料は、いくらかの物理的緩衝をもたらすために、いくらかの弾性特性を有している。ポリウレタン、アクリル樹脂、および高分子HMPEが、ハウジング247に特に適するプラスチックポリマーであると考えられる。
【0149】
典型的には、永久磁石245は、ハウジング247内に鋳込まれている。このような構成は、ハウジング247が、永久磁石245を閉じ込めると共に、永久磁石245をハウジング内の適切の箇所でかつ互いに対しても適切な箇所に保持することができるので、有利である。
【0150】
ハウジング247は、衝突プレート243と直面する接触面251を有している。図示されている構成では、永久磁石245は、接触面251に対して凹んだ箇所に位置しており、接触面251と永久磁石245との間に位置するクッション部分253をハウジングにもたらしている。接触面251は、磁石手段241と衝撃プレート243とが接触したときに凹んでいる永久磁石245を摩耗の影響から保護する摩耗面としても、機能している。
【0151】
典型的には、ハウジング247は、必要に応じて取外し可能および交換可能になっている。
【0152】
この実施形態では、クッション部分253は、ハウジング247と一体になっている。他の構成では、クッション材は、衝撃プレート243と接触するためにハウジング247に付着されたクッション材料の層によって設けられていてもよい。
【0153】
図示されていないが、クッション材は、衝突プレート243との関連で設けられていてもよい。一例では、衝突プレート243は、衝撃吸収取付け構造上に支持されるようになっていてもよい。衝撃吸収取付け構造は、ゴムマウントから構成され、該ゴムマウント上に衝突プレート243が弾性的に支持されるようになっているとよい。
【0154】
この第2の実施形態では、フラップ221によってもたらされるバリア222は、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101内を流れる水の流れの方向と実質的に直交するように、チャンバ110を横断して拡がるようになっている。典型的には、フラップ221は、完全な閉状態と完全な開状態との間にて約90°の円弧を描いて揺動することができる。このような運動の範囲によって、フラップは、流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータ10の運動との組合せの下で、過剰な力により閉鎖しやすくなる。上記の説明において示唆されているように、緩衝をもたらすことによって、この潜在的な問題を軽減することが可能になる。
【0155】
過剰な力によってフラップ221を閉じる問題を軽減する他の手法は、完全な閉状態と完全な開状態との間のフラップの運動の範囲を小さくし、これによって、フラップが閉状態から離脱しているとき、フラップが流体力学的条件と移動している水体内の浮力アクチュエータ10の運動との組合せによって影響される程度を低減させることである。
【0156】
図48、図49および図50に示されている第3の実施形態による浮力アクチュエータ10は、このような手法を取り入れている。
【0157】
第3の実施形態による浮力アクチュエータ10は、多くの点において、第2の実施形態による浮力アクチュエータと類似しているので、同様の参照番号を用いて、同様の部品を示すことにする。
【0158】
第3の実施形態による浮力アクチュエータ10では、バリア222は、傾斜構造を有している。この構造では、閉状態にある各フラップ221は、上側ポータル104と下側ポータル106との間にて本体101を通る水の流れの方向に対して傾斜している。詳細には、各フラップ221は、上側ポータル104に向かう方向に傾斜している。すなわち、図48に示されているように、閉状態にあるとき、各フラップ221の内端223は、外端225よりも上側ポータル104の近くに位置している。このようにして、完全な閉状態と完全な開状態との間のフラップの運動の範囲が狭まることになる。
【0159】
この構成によって、閉状態にあるときのフラップ221は、傾斜した、いくらか円錐状の形状を有するバリア222をもたらすことになる。
【0160】
中心カラム203およびフレーム205を備えている内部構造体111は、この構成に適合するように修正されている。具体的には、空間219を間に画定しているアーム210は、傾斜している。加えて、中心カラム203は、閉状態にあるときにフラップ221の内端223を支持するヘッド部分261を組み込んでおり、ラッチ機構231として機能する磁気連結具239用の衝突プレート243も備えている。具体的には、ヘッド部分261は、複数のセグメント263を備えており、これらのセグメント263の各々が衝突プレート243のそれぞれを画定している。
【0161】
フレーム205は、傾斜した上側フレーム要素273および傾斜した下側フレーム要素275を備えるクモ状構造体271を備えている。フレーム要素273,275の外端は、取付けプレート277の外端に収束しており、該取付けプレート277に、シェル113が取り付け可能になっている。この構成によれば、上側フレーム要素273が、アーム210およびそれらの間の空間219を画定している。
【0162】
図51および図52を参照すると、第4の実施形態による浮力アクチュエータ10が概略的に示されている。この浮力アクチュエータは、本体301を備えている。本体301は、中空であり、上端303および下端305を有している。上端303および下端305の各々は、本体内の中空内部307に向かって開いている。中空内部307は、制御された流路を内蔵するチャンバ309を画定している。この制御された流路が開いたとき、水が、該流路に沿って開上端303と開下端305との間にて本体内を流れることができる。開上端303と開下端305との間にて本体301を通る流れを制御するためのゲート手段311が設けられている。先の実施形態と同じように、ゲート手段311は、該ゲート手段311に加えられる所定の流体差圧に応じて動作可能である。所定の流体差圧は、浮力アクチュエータ10が激しい海の状態に晒されたときに、浮力アクチュエータ10に加えられるうねり運動によって生じることになる。
【0163】
ゲート手段311は、複数のフラップ313を備えている。フラップ313は、互いに協働して、開上端303と開下端305との間にて本体301を通る流路を横切るバリア315をもたらすよう構成されている。バリア315は、必ずしも本体301を通る流れの全体を塞ぐ必要はなく、該流れを単に妨げるようになっていればよい。
【0164】
各フラップ313は、該フラップ313が他のフラップと協働してバリア315をもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっている。1つまたは複数のフラップ313が該状態から離脱するように移動すると、バリア315が開き、流体がバリアを通って流れることが可能になる。先の実施形態と同じように、フラップ313は、開閉可能なハッチとして構成されており、閉状態にあるとき、バリア315をもたらすことになる。開状態にあるとき、ハッチは、各々、バリア315内に開口をもたらし、水が該開口を通って流れることが可能になる。
【0165】
この実施形態では、フラップ313は、開状態と閉状態との間で揺動するように旋回可能に取り付けられている。図示されている構成では、フラップ313は、本体301に取り付けられたヒンジ319によって画定されている旋回軸317上に旋回可能に取り付けられている。フラップ313は、該フラップ313を閉状態に付勢する浮力装置321に操作可能に接続されている。浮力装置321は、図示されている構成では、本体301の外部に配置されている。浮力の影響による浮力装置321の上向きの運動を制限するために、ストッパ323が各浮力装置321に付随している。フラップ313に加えられた差圧に応じて、フラップ313が(図52に示されているような)閉状態から(図51に示されているような)開状態に上向きに揺動すると、浮力装置321は、浮力装置321に加えられている浮力の影響に対抗して、ストッパ323から離れて下方に移動することになる。フラップ313への差圧が十分に低下すると、浮力装置321に加えられている浮力が、浮力装置321を戻し、ストッパ323に係合させ、これによって、フラップ313が閉状態に戻ることになる。
【0166】
この実施形態では、フラップ313は、チャンバ309内において片持ち梁のように支持されている。すなわち、フラップ313は、ヒンジ319からチャンバ309内に支えられずに延在している。この構成によれば、フラップ313は、いくらかの固有の弾性を有しており、これによって、閉状態にあるときに、フラップが(図52に破線によって描かれているように)下向きの流体力学的な力に応じて、限られた量だけ撓むことができるように、構成されている。これは、フラップ313の撓みがフラップの閉鎖運動時にいくらかのクッションをもたらすことができるので、有利である。
【0167】
浮力アクチュエータ10のいくつかの実施形態に関して前述したように、流体力学的条件と浮力アクチュエータ10の運動とのいくつかの組合せによっては、バリアを構成することになるフラップが過剰な力によって閉じる可能性、すなわち、穏やかに閉じるというよりもむしろ勢いよく閉じる可能性がある。流体圧手段による緩衝に関して、いくつかの緩衝構造がすでに開示されている。
【0168】
図53、図54および図55を参照すると、第5の実施形態による浮力アクチュエータ10の一部が概略的に示されている。この実施形態による浮力アクチュエータ10は、ゲート手段351を備えている、ゲート手段351は、先の実施形態の場合と同じように、互いに協働して流路を横切るバリアをもたらすように構成された複数のフラップ353(1つのみが示されている)を備えている。
【0169】
この実施形態による浮力アクチュエータ10は、各フラップ353を緩衝しながら閉鎖するのを容易にするように適合された流体圧緩衝器355をさらに備えている。流体圧緩衝器355は、シリンダ359およびピストン361を有するダッシュポット357を備えている。ピストン361は、ピストンヘッド363およびピストンシャフト365を備えている。ピストンヘッド363は、シリンダ359を2つのチャンバ367,369に分割するために、シリンダ359内に収容されている。チャンバ367は、ピストンシャフト365の反対側にあり、ピストン361を延びた状態に付勢するように適合されたバネ371を備えている。チャンバ367は、流体、この実施形態では、典型的には、周囲の海水環境からの水を制御して吸入および排出するための出入口373も備えている。ピストンシャフト365の自由端は、各フラップ353と接触するようになっている弾性バンパー375を備えている。
【0170】
フラップ353が(図53に示されているような)閉状態にあるとき、バンパー375は、フラップ353に接触しており、ピストン361は、シリンダ359内に後退し、バネ371は、圧縮されている。(図54に示されているように)フラップ353が閉状態から離脱するように運動しているとき、フラップ353は、バンパー375から分離し、ピストン361は、圧縮されたバネ371の影響を受けて伸張することになる。ピストンが伸張すると、チャンバ367が徐々に拡張し、次いで、水が出入口373を通ってチャンバ367内に引き込まれることになる。(図55に示されているように)フラップ353の復帰運動時に、フラップ353は、まず、バンパー375に係合し、このバンパー375の弾性特性によって、いくらかの初期緩衝が得られる。フラップ353がさらに継続して復帰運動すると、力がピストン361に加えられ、ピストン361を後退させることになる。ピストン361の後退によって、チャンバ367が徐々に収縮し、水が出入口373を通ってチャンバ367から排出されることになる。出入口373は、チャンバ367からの水の排出率を調整し、これによって、粘性緩衝効果をもたらすように、寸法決めされている。従って、フラップ353は、過剰な力を受けることなく、その閉鎖動作を制御して行うことが可能となる。
【0171】
図56を参照すると、本発明の第6の実施形態は、複数のユニット401を備える波エネルギー変換システム400に関するものである。ユニット401は、各々、先の実施形態による装置の1つであり、各々、浮力アクチュエータ10を有している。このような構成によれば、それぞれの浮力アクチュエータ10は、浮力アクチュエータのアレイ403に配置されている。どのような数の浮力アクチュエータ10が、アレイに設けられていてもよい。
【0172】
ユニット401間の間隔およびアレイ403のパターンは、支配的な海の状態の実波長および波の方向に関して最適化される特徴である。
【0173】
各実施形態による装置は、高圧作動流体の形態にあるエネルギーを、例えば、発電プラントまたは淡水化プラントに用いるために引き出すようになっている閉ループシステム(図示せず)と連動して、運転されるとよい。
【0174】
以上の説明から、実施形態の各々によって、比較的軽くて悪天候な状態では保存のために事実上作動不能になるエネルギー解放式浮力アクチュエータが提供されることは、明らかである。
【0175】
さらに、本発明の範囲は、開示されている実施形態の範囲に制限されないことを理解されたい。
【0176】
前述した実施形態は、各々、モジュール構造を有しているが、本発明による浮力アクチュエータは、単一ユニットとして構成され、その状態で現地に輸送されてもよいことを理解されたい。
【0177】
明細書および請求項の全体を通して、文脈に他の指示がない限り、「comprise(〜を備える)」という用語、または「comprises」または「comprising」のような変形は、記述されている完全体または完全体の群を含むが、他の完全体または他の完全体の群を排除するものではないことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波運動に応じる浮力アクチュエータであって、波運動に対する前記浮力アクチュエータの応答を変化させる少なくとも1つのゲート手段を備える内部空間を画定している本体を備えていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項2】
前記ゲート手段は、前記内部空間内に閉じこめられていることを特徴とする請求項1に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項3】
前記ゲート手段は、水が前記浮力アクチュエータの前記本体を通って流れることを可能にするように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項4】
前記ゲート手段は、特定の海の状態に応じるようになっていることを特徴とする請求項1、2、または3のいずれかに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項5】
前記ゲート手段は、少なくとも1つの蓋要素を備えており、前記蓋要素は、前記蓋要素が通常時に塞いでいる閉状態であって、前記本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、前記蓋要素が前記本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で移動可能になっていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項6】
前記蓋要素を前記閉状態に離脱可能に保持するために、離脱可能な連結具が設けられており、前記離脱可能な連結具は、前記蓋要素を離脱させ、前記蓋要素を前記閉状態から前記開状態に移動させ、前記開状態をもたらすように、動作するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項7】
前記離脱可能な連結具は、磁気連結具を含んでいることを特徴とする請求項6に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項8】
前記蓋要素は、フラップを備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項9】
前記フラップは、前記フラップが通常時に塞いでいる閉状態であって、前記本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、前記フラップが外方に揺動して前記本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で旋回可能になっていることを特徴とする請求項8に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項10】
前記磁気連結具は、前記蓋手段上のその内端に隣接する箇所に位置する磁石手段と、前記磁石手段が磁気的に吸引されるようになっている相手部品と、を備えていることを特徴とする請求項7、8、または9のいずれかに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項11】
前記磁石手段は、ハウジング内に収容された永久磁石のアレイを備えていることを特徴とする請求項10に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記磁気連結具の前記相手部品と直面する接触面を有しており、前記永久磁石は、前記接触面に対して凹んだ箇所に位置していることを特徴とする請求項11に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記接触面と前記永久磁石との間にクッション部分をもたらしていることを特徴とする請求項12に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項14】
前記ゲート手段は、複数の蓋要素を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項15】
前記蓋要素は、互いに協働して前記本体を通る流路を横切るバリアをもたらすように構成されており、各蓋要素は、前記蓋要素が他の蓋要素と協働して前記バリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっていることを特徴とする請求項14に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項16】
前記蓋要素によってもたらされる前記バリアは、前記本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように前記流路を横切って拡がっていることを特徴とする請求項15に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項17】
前記バリアは、前記閉状態にある各蓋要素が前記本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有していることを特徴とする請求項15に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項18】
各蓋要素は、前記本体の前記開上端に向かう方向に傾斜していることを特徴とする請求項17に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項19】
前記本体は、長手方向の拡がりを有するように、かつ流路であって、該流路に沿って、水が前記本体の長軸と平行に前記本体を通って流れることができる流路をもたらすように、構成されていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項20】
前記本体は、上端、下端、および前記2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状を有していることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項21】
前記側面は、凸形状を有しており、中央が膨らんでいることを特徴とする請求項20に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項22】
前記本体は、モジュール式構造を有していることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項23】
前記本体は、上端、下端、および側面を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項24】
前記シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えていることを特徴とする請求項23に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項25】
各パネルは、略矩形構造を有していることを特徴とする請求項24に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項26】
互いに隣接するパネル間の接続部は、半重ね継手を備えていることを特徴とする請求項25に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項27】
前記本体は、海水内に配備された時点で前記浮力アクチュエータの運動を容易にする1つまたは複数の係留点を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項28】
前記閉状態への各蓋要素の運動を緩和するための緩衝材をさらに備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項29】
前記蓋要素によってもたらされる前記バリアは、前記本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように前記流路を横切って拡がっていることを特徴とする請求項15〜28のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項30】
前記バリアは、前記閉状態にある各蓋要素が前記本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有していることを特徴とする請求項15〜28のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項31】
波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、前記流路に沿った流れを制御するためのゲート手段と、を備えており、前記ゲート手段は、互いに協働して前記本体を通る前記流路を横切るバリアをもたらすように構成された複数の蓋要素を備えており、各蓋要素は、前記蓋要素が他の蓋要素と協働して前記バリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項32】
前記バリアは、前記本体の境界内にあるように構成され、かつ位置決めされており、前記蓋要素は、完全な開状態にあるときでさえ、前記本体の境界内にとどまるようになっていることを特徴とする請求項31に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項33】
前記蓋要素によってもたらされる前記バリアは、前記本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように前記流路を横切って拡がっていることを特徴とする請求項31または32に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項34】
前記バリアは、前記閉状態にある各蓋要素が前記本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有していることを特徴とする請求項31または32に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項35】
波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、前記本体を通る水の流れを妨げるためのチャンバを画定している複数の区分を受け入れるように適合された支持構造体を有している本体を備えており、前記支持構造体および前記複数の区分は、輸送され、現地で組み立てられるように構成されていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項36】
水域内に浸漬されるようになっている浮力アクチュエータにおいて、周囲の水域から一定量の水を受け入れるように適合された中空内部を画定している本体を備えており、前記本体は、前記中空内部を通る流れを制御するための流れ制御手段を有しており、前記流れ制御手段は、前記本体を通る流体の流れを塞ぐかまたは少なくとも妨げる第1の状態と、前記中空内部を通る流体の流れを可能にする第2の状態と、を有していることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項37】
前記流れ制御手段は、前記内部空間内に閉じ込められていることを特徴とする請求項36に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項38】
内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、 前記本体は、前記内部空間を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えており、前記シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項39】
内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、 前記本体は、開上端、開下端、および前記2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状を有していることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項40】
波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、前記流路に沿った流れを制御するためのゲート手段であって、前記ゲート手段は、前記本体を通る前記流路を横切るバリアをもたらす複数の蓋要素を備えており、前記蓋要素は、前記蓋要素が他の蓋要素と協働して前記バリアをもたらす状態になるようにおよび該状態から離脱するように、移動可能になっている、ゲート手段と、各蓋要素を前記状態に離脱可能に保持するためのラッチ手段であって、磁気連結具を備えているラッチ手段と、を備えていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項41】
先行する請求項のいずれの1つに記載の浮力アクチュエータを組み立てるためのキット。
【請求項42】
浮力アクチュエータを組み立てるためのキットにおいて、支持構造体と、前記浮力アクチュエータを組み立てるように前記支持構造体に接続されるように構成された複数の区分と、を備えていることを特徴とするキット。
【請求項43】
請求項1〜40のいずれか1つに記載の少なくとも1つの浮力アクチュエータを備えている波エネルギー変換システム。
【請求項44】
水域内の波エネルギーを取り込む方法において、請求項1〜40のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータを前記水域内に配備することを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項45】
添付の図面を参照して実質的に明細書に記載されているような浮力アクチュエータ。
【請求項1】
波運動に応じる浮力アクチュエータであって、波運動に対する前記浮力アクチュエータの応答を変化させる少なくとも1つのゲート手段を備える内部空間を画定している本体を備えていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項2】
前記ゲート手段は、前記内部空間内に閉じこめられていることを特徴とする請求項1に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項3】
前記ゲート手段は、水が前記浮力アクチュエータの前記本体を通って流れることを可能にするように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項4】
前記ゲート手段は、特定の海の状態に応じるようになっていることを特徴とする請求項1、2、または3のいずれかに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項5】
前記ゲート手段は、少なくとも1つの蓋要素を備えており、前記蓋要素は、前記蓋要素が通常時に塞いでいる閉状態であって、前記本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、前記蓋要素が前記本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で移動可能になっていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項6】
前記蓋要素を前記閉状態に離脱可能に保持するために、離脱可能な連結具が設けられており、前記離脱可能な連結具は、前記蓋要素を離脱させ、前記蓋要素を前記閉状態から前記開状態に移動させ、前記開状態をもたらすように、動作するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項7】
前記離脱可能な連結具は、磁気連結具を含んでいることを特徴とする請求項6に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項8】
前記蓋要素は、フラップを備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項9】
前記フラップは、前記フラップが通常時に塞いでいる閉状態であって、前記本体を通る水の流れを妨げる閉状態と、前記フラップが外方に揺動して前記本体を通る水の流れを可能にする開状態と、の間で旋回可能になっていることを特徴とする請求項8に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項10】
前記磁気連結具は、前記蓋手段上のその内端に隣接する箇所に位置する磁石手段と、前記磁石手段が磁気的に吸引されるようになっている相手部品と、を備えていることを特徴とする請求項7、8、または9のいずれかに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項11】
前記磁石手段は、ハウジング内に収容された永久磁石のアレイを備えていることを特徴とする請求項10に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記磁気連結具の前記相手部品と直面する接触面を有しており、前記永久磁石は、前記接触面に対して凹んだ箇所に位置していることを特徴とする請求項11に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記接触面と前記永久磁石との間にクッション部分をもたらしていることを特徴とする請求項12に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項14】
前記ゲート手段は、複数の蓋要素を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項15】
前記蓋要素は、互いに協働して前記本体を通る流路を横切るバリアをもたらすように構成されており、各蓋要素は、前記蓋要素が他の蓋要素と協働して前記バリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっていることを特徴とする請求項14に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項16】
前記蓋要素によってもたらされる前記バリアは、前記本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように前記流路を横切って拡がっていることを特徴とする請求項15に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項17】
前記バリアは、前記閉状態にある各蓋要素が前記本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有していることを特徴とする請求項15に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項18】
各蓋要素は、前記本体の前記開上端に向かう方向に傾斜していることを特徴とする請求項17に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項19】
前記本体は、長手方向の拡がりを有するように、かつ流路であって、該流路に沿って、水が前記本体の長軸と平行に前記本体を通って流れることができる流路をもたらすように、構成されていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項20】
前記本体は、上端、下端、および前記2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状を有していることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項21】
前記側面は、凸形状を有しており、中央が膨らんでいることを特徴とする請求項20に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項22】
前記本体は、モジュール式構造を有していることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項23】
前記本体は、上端、下端、および側面を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項24】
前記シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えていることを特徴とする請求項23に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項25】
各パネルは、略矩形構造を有していることを特徴とする請求項24に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項26】
互いに隣接するパネル間の接続部は、半重ね継手を備えていることを特徴とする請求項25に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項27】
前記本体は、海水内に配備された時点で前記浮力アクチュエータの運動を容易にする1つまたは複数の係留点を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項28】
前記閉状態への各蓋要素の運動を緩和するための緩衝材をさらに備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項29】
前記蓋要素によってもたらされる前記バリアは、前記本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように前記流路を横切って拡がっていることを特徴とする請求項15〜28のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項30】
前記バリアは、前記閉状態にある各蓋要素が前記本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有していることを特徴とする請求項15〜28のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータ。
【請求項31】
波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、前記流路に沿った流れを制御するためのゲート手段と、を備えており、前記ゲート手段は、互いに協働して前記本体を通る前記流路を横切るバリアをもたらすように構成された複数の蓋要素を備えており、各蓋要素は、前記蓋要素が他の蓋要素と協働して前記バリアをもたらす状態になりかつ該状態から離脱するように、移動可能になっていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項32】
前記バリアは、前記本体の境界内にあるように構成され、かつ位置決めされており、前記蓋要素は、完全な開状態にあるときでさえ、前記本体の境界内にとどまるようになっていることを特徴とする請求項31に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項33】
前記蓋要素によってもたらされる前記バリアは、前記本体を通る水の流れの方向と実質的に直交するように前記流路を横切って拡がっていることを特徴とする請求項31または32に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項34】
前記バリアは、前記閉状態にある各蓋要素が前記本体を通る水の流れの方向に対して傾斜している傾斜構造を有していることを特徴とする請求項31または32に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項35】
波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、前記本体を通る水の流れを妨げるためのチャンバを画定している複数の区分を受け入れるように適合された支持構造体を有している本体を備えており、前記支持構造体および前記複数の区分は、輸送され、現地で組み立てられるように構成されていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項36】
水域内に浸漬されるようになっている浮力アクチュエータにおいて、周囲の水域から一定量の水を受け入れるように適合された中空内部を画定している本体を備えており、前記本体は、前記中空内部を通る流れを制御するための流れ制御手段を有しており、前記流れ制御手段は、前記本体を通る流体の流れを塞ぐかまたは少なくとも妨げる第1の状態と、前記中空内部を通る流体の流れを可能にする第2の状態と、を有していることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項37】
前記流れ制御手段は、前記内部空間内に閉じ込められていることを特徴とする請求項36に記載の浮力アクチュエータ。
【請求項38】
内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、 前記本体は、前記内部空間を画定しているシェルを支持する内部構造体を備えており、前記シェルは、一緒に接続されるように適合されたパネルとして構成された複数の区分を備えていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項39】
内部空間を画定している本体を備えている波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、 前記本体は、開上端、開下端、および前記2つの端間に延在している側面を有する切頭円錐形状を有していることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項40】
波運動に応じる浮力アクチュエータにおいて、水が沿って流れることができる流路を組み入れている本体と、前記流路に沿った流れを制御するためのゲート手段であって、前記ゲート手段は、前記本体を通る前記流路を横切るバリアをもたらす複数の蓋要素を備えており、前記蓋要素は、前記蓋要素が他の蓋要素と協働して前記バリアをもたらす状態になるようにおよび該状態から離脱するように、移動可能になっている、ゲート手段と、各蓋要素を前記状態に離脱可能に保持するためのラッチ手段であって、磁気連結具を備えているラッチ手段と、を備えていることを特徴とする浮力アクチュエータ。
【請求項41】
先行する請求項のいずれの1つに記載の浮力アクチュエータを組み立てるためのキット。
【請求項42】
浮力アクチュエータを組み立てるためのキットにおいて、支持構造体と、前記浮力アクチュエータを組み立てるように前記支持構造体に接続されるように構成された複数の区分と、を備えていることを特徴とするキット。
【請求項43】
請求項1〜40のいずれか1つに記載の少なくとも1つの浮力アクチュエータを備えている波エネルギー変換システム。
【請求項44】
水域内の波エネルギーを取り込む方法において、請求項1〜40のいずれか1つに記載の浮力アクチュエータを前記水域内に配備することを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項45】
添付の図面を参照して実質的に明細書に記載されているような浮力アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【公表番号】特表2012−522933(P2012−522933A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503834(P2012−503834)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000398
【国際公開番号】WO2010/115241
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511222021)シーイーティーオー・アイピー・プロプライエタリー・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000398
【国際公開番号】WO2010/115241
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511222021)シーイーティーオー・アイピー・プロプライエタリー・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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