説明

エピトープアナログ

【課題】クラスIMHC制限T細胞エピトープに対応するペプチドのアナログ及びその生成方法を提供する。
【解決手段】特定の配列からなる、クラスIMHCペプチドの結合溝に対して親和性を有する単離ペプチドもしくはクラスIMHC/ペプチド複合体。これらのアナログは、MHC分子と直接相互作用する残基でアミノ酸置換を含有し、改善、修正されるか、又は有用な免疫学的特性を付与される。さらに、各種置換が非標準的残基であるノルロイシン及び/又はノルバリンを含むアナログが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
一つの実施形態では、本明細書中に開示の発明は、クラスIMHC制限T細胞エピトープに対応するペプチドのアナログ及びその生成方法に関する。これらのアナログは、MHC分子と直接相互作用する残基におけるアミノ酸置換を含むことができ、改善されているか、修飾されているか、又は有用な免疫特性を付与することができる。特に、腫瘍関連抗原SSX−2、NY−ESO−1、PRAME、PSMA、チロシナーゼ、及びメラン−A由来のエピトープアナログが同定されている。さらに、種々の置換が非標準残基であるノルロイシン及び/又はノルバリンを含むアナログ類を開示する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、「SSX−2ペプチドアナログ」と題される2004年6月17日に出願された米国特許仮出願番号60/581,001号及び「NY−ESOペプチドアナログ(NY-ESO PEPTIDE ANALOGS)」と題される2004年6月17日に出願された米国特許仮出願番号60/580,962号に対する優先権を主張する。(それぞれ、その全体が本明細書中で参考として援用される)
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
主要組織適合複合体及びT細胞標的認識
T−リンパ球(T細胞)は、特定抗原シグナルに応答して機能する抗原特異的免疫細胞である。Bリンパ球及びそれらが産生する抗体も、また抗原特異的物体である。しかしながら、Bリンパ球と異なり、T細胞は、遊離型又は可溶型の抗原に応答しない。T細胞が抗原に応答するためには、抗原が主要組織適合複合体(MHC)として知られる提示複合体に結合することが必要である。
【0004】
MHCタンパク質は、T細胞が、本来持つ細胞又は「自己」細胞を外来細胞と区別する手段を提供する。MHC分子は、その後T細胞によってモニタリングされる潜在的なペプチドエピトープを提示する免疫受容体のカテゴリーに入る。クラスIMHC及びクラスIIMHCの2つのMHCクラスが存在する。CD4+T細胞は、クラスIIMHCタンパク質と相互作用し、主にヘルパー表現型を有する一方で、CD8+T細胞は、クラスIMHCタンパク質と相互作用し、主に細胞溶解性表現型を有するが、それぞれ、調節機能、特に抑制機能も示し得る。両MHCは、その構造の大部分が細胞外表面に存在する膜貫通タンパク質である。さらに、両MHCクラスは、その外側部分にペプチド結合溝を有する。天然又は外来のタンパク質の小フラグメントがこの溝で結合し、細胞外環境に提示される。
【0005】
抗原提示細胞(APC)と呼ばれる細胞は、MHCを使用して抗原をT細胞に示す。抗原がMHC上に提示されると、T細胞は抗原を認識することができる。この要件は、MHC制限と呼ばれる。抗原が認識可能なMHCによって示されない場合、T細胞は抗原シグナルを認識せず、これに対して作用しない。認識可能なMHCに結合したペプチドに特異的なT細胞は、これらのMHC−ペプチド複合体に結合し、免疫応答の次の段階に進む。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[発明の概要]
SSX−241-49アナログの実施の形態
実施の形態には、MHCクラスI制限T細胞エピトープのアナログSSX−241-49KASEKIFYV(配列番号1)、pAPCによってプロセッシングされてエピトープアナログを提示することができるこれらのアナログを含むポリペプチド、及びアナログを発現する核酸が含まれる。アナログは、野生型エピトープと比較して類似又は改善された免疫学的特性を有し得る。
【0007】
1つの実施形態は、配列KASEKIFYV(配列番号1)を用いたエピトープに対する免疫化によって生成されたT細胞株からのサイトカイン産生を誘発するのに十分な量で配列KASEKIFYV(配列番号1)の1つ又は複数のアミノ酸置換を含む配列を有する単離SSX−2ペプチドに関する。1つの態様では、十分な量は10μM以下である。さらなる態様では、3μM以下である。さらなる態様では、1μM以下である。さらなる態様では、0.3μM以下である。1つの態様では、標準アミノ酸で置換される。さらなる態様では、十分な量は0.3μM以下である。1つの態様では、Tyr、Val、Leu、Ala、Ile、Met、Trp、Phe、Asp、Asn、又はSerなどの標準アミノ酸で置換される。
【0008】
さらなる態様では、置換には、非標準アミノ酸が含まれる。1つの態様では、非標準アミノ酸は、例えば、Nle、Nva、Abu、又は標準アミノ酸のD型立体異性体である。さらなる態様では、置換には、修飾末端アミノ酸が含まれる。1つの態様では、修飾末端アミノ酸は、アミド化C末端アミノ酸である。さらなる態様では、少なくとも1つの置換は、アミノ酸の付加であってよく、付加はC末端付加である。さらなる態様では、ペプチドには、さらに、任意の部位において、好ましくは、任意のMHC相互作用に関与しないことが明らかなP3部位、P5部位、又はP7部位におけるアミノ酸の保存的置換が含まれる。
【0009】
さらなる実施の形態は、P1〜P9の9個のアミノ酸の単離ペプチドに関し、この単離ペプチドは各部位に1つのアミノ酸を含む。例えば、P1は、K、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala、又はD−Lysである;P2は、A、L、V、I、M、D−AIa、Nal−2、Abu、Aib、Nle、又はNvaである;P3は、Sである;P4は、E、Q、Nle、又はNvaである;P5は、Kである;P6は、I、L、V、Nle、又はNvaである;P7は、Fである;P8は、Y、F、Phe(4−F)である;P9のPΩ(P−オメガ)は、V、I、A、Nva、MeVal、又はAbuである。場合によっては、配列は、KASEKIFYVではない。
【0010】
さらなる実施の形態は、P1〜P9の9個のアミノ酸の単離ペプチドに関し、この単離ペプチドは各部位に1つのアミノ酸を含む。例えば、P1は、K、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala、又はD−Lysである;P2は、V、L、M、Abu、Nle、又はNvaである;P3は、Sである;P4は、E、Q、Nle、又はNvaである;P5は、Kである;P6は、I、L、V、Nle、又はNvaである;P7は、Fである;P8は、Y、F、Phe(4−F)である;P9でのPΩは、V、I、A、Nva、MeVal、Abu、又はV−NH2である。
【0011】
さらなる実施の形態は、P1〜P9の9個のアミノ酸の単離ペプチドに関し、この単離ペプチドは各部位に1つのアミノ酸を含む。例えば、P1は、K、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala、又はD−Lysである;P2は、A、L、V、M、Abu、Nle、又はNvaである;P3は、Sである;P4は、E、Q、Nle、又はNvaである;P5は、Kである;P6は、I、L、V、Nle、又はNvaである;P7は、Fである;P8は、Y
、F、Phe(4−F)である;P9は、Vである;P10でのPΩは、I又はLである。
【0012】
さらなる実施の形態は、P1〜P9の9個のアミノ酸の単離ペプチドに関し、この単離ペプチドは各部位に1つのアミノ酸を含む。例えば、P1は、K、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala、又はD−Lysである;P2は、Vである;P3は、Sである;P4は、E、Q、Nle、又はNvaである;P5は、Kである;P6は、I、L、V、Nle、又はNvaである;P7は、Fである;P8は、Y、F、Phe(4−F)である;P9は、Vである;P10でのPΩは、I、L、V、又はNleである。
【0013】
さらなる実施の形態は、P1〜P9の9個のアミノ酸の単離ペプチドに関し、この単離ペプチドは各部位に1つのアミノ酸を含む。例えば、P1は、K、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala、又はD−Lysである;P2は、Lである;P3は、Sである;P4は、E、Q、Nle、又はNvaである;P5は、Kである;P6は、I、L、V、Nle、又はNvaである;P7は、Fである;P8は、Y、F、Phe(4−F)である;P9は、Vである;P10でのPΩは、I、L、V、Nle、又はNvaである。
【0014】
さらなる実施の形態は、配列K{L、V、M、I、D−Ala、D−Val、Nal−2、Aib、Abu、Nle、又はNva}SEKIFYV;又は{F、Phg、Y、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、O−メチル−Tyr、又はβ−(3−ベンゾチエニル−Ala}ASEKIFYV;又は{Y、F、又はW}{V、M、又はI}SEKIFYV;又は{F又はW}LSEKIFYV;又はK{A、V、又はL}SEKIFYI;又はK{L又はV}SEKIFYV−NH2;又はFVSEKIFY{I、A、Nva、Abu、又はMeVal};又はFVS{Q、Nle、Nva}KIFYV;又はFVSEK{L、V、Nle、又はNva}FYV;又はFVSEKIF{F、Phe(4−F)}V;又はKASEKIFYV{I、L、};又はKVSEKIFYV{I、L、V、又はNle};又はKLSEKIFYV{L、V、Nle、又はNva}を有する単離ペプチドに関する。
【0015】
さらなる実施の形態は、配列K{L、V、M、Abu、Nle、又はNva}SEKIFYV;又は{F又はPhg}A SEKEFYV;又はYVSEKIFYV;又はF{L、V、又はI}SEKIFYV;又はW{L又はI}SEKIFYV;又はK{V又はL}SEKIFYI.;又はFVSEKIFY{I又はNva}を有する単離ペプチドに関する。
【0016】
さらなる実施の形態は、配列K{V又はL}SEKIFYV;又は{F又はY}ASEKIFYV;又はFVSEKIFYIを有する単離ペプチドに関する。
【0017】
さらなる実施の形態は、ペプチドが上記実施の形態及び本明細書中のいずれかのペプチド配列を有する、クラスIMHC/ペプチド複合体に関する。1つの態様では、複合体は、クラスIMHC/SSX−241-49複合体を認識するTCRと交差反応性を示す。さらなる態様では、複合体は、HLA−A2/SSX−241-49複合体である。
【0018】
さらなる実施の形態は、免疫原性組成物であって、上記実施の形態いずれかの及び本明細書中のペプチド配列を含む、免疫原性組成物に関する。1つの態様では、ペプチドは、例えば、配列K{L、V、M、Abu、Nle、又はNva}SEKIFYV;又は{F又はPhg}ASEKIFYV;又はYVSEKIFYV;又はF{L、V、又はI}SEKIFYV;又はW{L又はI}SEKIFYV;又はK{V又はL}SEKIFYI
;又はFVSEKIFY{I又はNva}、又はK{V又はL}SEKIFYV;又は{F又はY}ASEKIFYV;又はFVSEKIFYIを有する。
【0019】
いくつかのさらなる実施の形態は、MHCクラスI制限T細胞エピトープNY−ESO−1157-165つまり、SLLMWITQC(配列番号1)のアナログ、pAPCによってプロセッシングされてエピトープアナログを提示することができるこれらのアナログを含むポリペプチド、及びアナログを発現する核酸に関する。アナログは、野生型エピトープと比較して類似又は改善された免疫特性を有することができる。
【0020】
1つの実施の形態は、配列SLLMWITQC(配列番号1)を持つエピトープに対する免疫化によって生成されたT細胞株からのサイトカイン産生を誘発するのに十分な量の1つ又は複数のアミノ酸置換を含むSLLMWITQC(配列番号1)の配列を有する単離NY−ESO−1157-165ペプチドに関する。例えば、1つの態様では、十分な量は10μM以下である。さらなる態様では、十分な量は3μM以下である。また、さらなる態様では、十分な量は1μM以下である。さらなる態様では、十分な量は0.3μM以下である。1つの態様では、置換には、標準アミノ酸が含まれる。さらなる態様では、置換には、非標準アミノ酸が含まれる。1つの態様では、非標準アミノ酸は、例えば、Tyr、Val、Leu、Ala、Ile、Met、Nle、Nva、Trp、Phe、Asp、Asn、Ser、Abu、及び標準アミノ酸のD型立体異性体である。さらなる態様では、置換には、修飾末端アミノ酸が含まれる。1つの態様では、修飾末端アミノ酸は、アミド化C末端アミノ酸である。さらなる態様では、少なくとも1つの置換は、アミノ酸の付加であり、付加はC末端付加である。
【0021】
1つの実施の形態は、
P1が、S、F、K又はWであり、
P2が、L、I、V、Nle又はNvaであり、
P3がLであり、
P4が、M、L又はNであり、
P5がWであり、
P6が、I、A、L、V又はNであり、
P7がTであり、
P8が、Q、E、D又はTであり、
P9のPΩがC、V、I、L、A、Nva、Nle、V−NH2又はL−NH2である配列を有するが、配列がSLLMWITQ{C、V、I、L、A}、FVLMWITQA又はFILMWITQ{L、I}ではない単離ペプチドに関する。
【0022】
別の実施の形態は、
P1がYであり、
P2が、L、V、I、Nle又はNvaであり、
P3がLであり、
P4が、M、L又はNであり、
P5がWであり、
P6が、I、A、L、V又はNであり、
P7がTであり、
P8が、Q、E、D又はTであり、
P9のPΩがV、I、L、Nva、Nle、V、V−NH2又はL−NH2である配列を有するが、配列がYVLMWITL又はYLLMWIT{I、L}ではない単離ペプチドに関する。
【0023】
さらなる実施の形態は、配列{S、Y}LLMWITQ{C、V}{L、I、Nle}
を有する単離十量体ペプチドに関する。
【0024】
さらに別の実施の形態は、配列SILMWITQ{C、V、L、A}、YLLMWITQ{NVa、Nle}、F{L、V}LMWITQ{V、L、I}、Y{I、Nva、Nle}LMWITQV、YLLLWITQV又はTVLMWITQVを有する単離ペプチドに関する。
【0025】
さらなる実施の形態は、配列{S、F}VLMWITQV、SLMWITQNva又はSNvaLMWITQVを有する単離ペプチドに関する。
【0026】
さらに別の実施の形態は、配列SNvaLMWITQVを有する単離ペプチドに関する。
【0027】
いくつかの実施の形態は単離ペプチドに関する。このペプチドは、
P0
が、X、XX又はXXXで、Xが任意のアミノ酸又は非アミノ酸を示し、
P1がK、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala又はD−Lysであり、
P2がA、L、V、I、M、D−Ala、Nal−2、Abu、Aib、Nle又はNvaであり、
P3がSであり、
P4がE、Q、Nle又はNvaであり、
P5がKであり、
P6がI、L、V、Nle又はNvaであり、
P7がFであり、
P8がY、F、Phe(4−F)であり、
P9のPΩがV、I、A、Nva、MeVal、Abu又はV−NH2であるか、或いはP9がVであり、
P10のPΩがI、L、V、Nle又はNvaであり、
PΩ+1がX、XX又はXXXで、Xが任意のアミノ酸又は非アミノ酸を示す配列を含むか、又はこの配列から実質的に構成され得、配列がKASEKIFYVではない。
【0028】
単離ペプチドは、下記配列:
K{L、V、M、I、D−Ala、D−Val、Nal−2、Aib、Abu、Nle又はNva}SEKIFYV、又は
{F、Phg、Y、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、O−メチル−Try又はβ−(3−ベンゾチエニル−Ala}ASEKIFYV、又は
{Y、F又はW}{V、M又はI}SEKIFYV、又は
{F又はW}LSEKIFYV、又は
K{A、V又はL}SEKIFYI、又は
K{L又はV}SEKIFYV−NH2、又は
FVSEKIFY{I、A、Nva、Abu又はMeVal}、又は
FVS{Q、Nle、Nva}KIFYV、又は
FYSEK{L、V、Nle又はNva}FYV、又は
FVSEKIF{F、Phe(4−F)}V、又は
KASEKIFYV{I、L}、又は
KVSEKIFYV{I、L、V又はNle}、又は
KLSEKIFYV{L、V、Nle又はNva}
を含むか、又はこの配列から実質的に構成され得る。
【0029】
単離ペプチドは、下記配列:
K{L、V、M、Abu、Nle又はNva}SEKIFYV、又は
{F又はPhg}ASEKIFYV、又は
YVSEKIFYV、又は
F{L、V又はI}SEKIFYV、又は
W{L又はI}SEKIFYV、又は
K{V又はL}SEKIFYI、又は
FVSEKIFY{I又はNVa}
を含むか、又はこの配列から実質的に構成され得る。
【0030】
また、単離ペプチドは、下記配列:
K{V又はL}SEKIFYV、又は
{F又はY}ASEKIFYV、又は
FVSEKIFYI、又は
KVSEKIFYV
を含むか、又はこの配列から実質的に構成されることができる。
【0031】
さらに、単離ペプチドは、配列KVSEKIFYVを含むか、又はこの配列から実質的に構成され得る。
【0032】
単離ペプチドは、クラスIMHCペプチド結合溝に対して親和性を有する。MHCは例えば、HLA−A2とすることができる。
【0033】
いくつかの実施の形態は、クラスIのMHC/ペプチド複合体に関し、ペプチドは、請求項1に記載のペプチドの配列を有する。クラスIMHC/ペプチド複合体は、クラスIMHC/SSX−241-49複合体を認識するTCRと交差反応性である。クラスIMHC/ペプチド複合体は、HLA−A2/SSX−241-49複合体である。
【0034】
他の実施の形態は、遊離配列と結合する上記及び本明細書中に記載のペプチド配列を含むポリペプチドに関する。
【0035】
なおさらなる実施の形態は、上記又は本明細書中に記載のペプチドが含まれる免疫原性組成物に関する。
【0036】
他の実施の形態は、上記又は本明細書中に記載のポリペプチドをコードする核酸又は発現のための核酸手段に関する。また、いくつかの実施の形態は、このような核酸又は核酸手段を含む免疫原性組成物に関する。
【0037】
いくつかの実施の形態は、CTL応答を誘導、維持又は増幅する方法に関する。この方法は、上記及び本明細書中に記載の組成物の節内投与を含む。
【0038】
他の実施の形態は、上記又は本明細書中に記載の組成物及び免疫増強剤の節内投与を含む、クラスIMHC制限T細胞応答を同調させる方法に関する。
【0039】
さらなる実施の形態は、上記又は本明細書中に記載の組成物の節内投与を含む、CTL応答を誘導、維持又は同調させる方法に関する。
【0040】
いくつかの実施の形態は、クラスIMHC結合溝に対してKASEKIFYVと同程度か、又はそれよりも強い親和性を有する配列KASEKIFYVにおいて1個〜3個の置換を含む単離ペプチドに関する。解離の半減期が、上記クラスIMHC結合溝からのKA
SEKIFYVの解離の半減期と同程度か、又はそれよりも長くてもよい。単離ペプチドは、ペプチドKASEKIFYVに対する特異性によりT細胞に認識される。
【0041】
さらに別の実施の形態は、
P1がK、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala又はD−Lysであり、
P2がA、L、V、I、M、D−Ala、Nal−2、Abu、Aib、Nle又はNvaであり、
P3がSであり、
P4がE、Q、Nle又はNvaであり、
P5がKであり、
P6がI、L、V、Nle又はNvaであり、
P7がFであり、
P8がY、F、Phe(4−F)であり、
P9のPΩがV、I、A、Nva、MeVal又はAbuである配列であって、KASEKIFYVではない配列、
又は
P1がK、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala又はD−Lysであり、
P2がV、L、M、Abu、Nle又はNvaであり、
P3がSであり、
P4がE、Q、Nle又はNvaであり、
P5がKであり、
P6がI、L、V、Nle又はNvaであり、
P7がFであり、
P8がY、F、Phe(4−F)であり、
P9のPΩがV、I、A、Nva、MeVal、Abu又はV−NH2である配列、
又は
P1がK、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala又はD−Lysであり、
P2がA、L、V、M、Abu、Nle又はNvaであり、
P3がSであり、
P4がE、Q、Nle又はNvaであり、
P5がKであり、
P6がI、L、V、Nle又はNvaであり、
P7がFであり、
P8がY、F、Phe(4−F)であり、
P9がVであり、
P10のPΩがI又はLである配列、
又は
P1がK、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala又はD−Lysであり、
P2がVであり、
P3がSであり、
P4がE、Q、Nle又はNvaであり、
P5がKであり、
P6がI、L、V、Nle又はNvaであり、
P7がFであり、
P8がY、F、Phe(4−F)であり、
P9がVであり、
P10のPΩがI、L、V又はNleである配列、
又は
P1がK、F、Y、W、Phg、Phe(4−F)、Phe(4−NO2)、MeTyr、β−(3−ベンゾチエニル)−Ala又はD−Lysであり、
P2がLであり、
P3がSであり、
P4がE、Q、Nle又はNvaであり、
P5がKであり、
P6がI、L、V、Nle又はNvaであり、
P7がFであり、
P8がY、F、Phe(4−F)であり、
P9がVであり、
P10のPΩがI、L、V、Nle又はNvaである配列を含むか、又はこの配列から実質的に構成される単離ペプチドに関する。
【0042】
いくつかの実施の形態は、
P0がX、XX又はXXXで、Xが任意のアミノ酸又は非アミノ酸を示し、
P1がS、F、K、W又はYであり、
P2がL、I、V、Nle又はNvaであり、
P3がLであり、
P4がM、L又はNであり、
P5がWであり、
P6がI、A、L、V又はNであり、
P7がTであり、
P8がQ、E、D又はTであり、
P9のPΩがC、V、I、L、A、Nva、Nle、V−NH2又はL−NH2であり、
PΩ+1がX、XX又はXXXで、Xが任意のアミノ酸又は非アミノ酸を示する配列であって、SLLMWITQ{C、V、I、L、A}、FVLMWITQA、FILMWITQ{L、I}、YVLMWITL又はYLLMWIT{I、L}ではない配列、
P1がS、F、K又はWであり、
P2がL、I、V、Nle又はNvaであり、
P3がLであり、
P4がM、L又はNであり、
P5がWであり、
P6がI、A、L、V又はNであり、
P7がTであり、
P8がQ、E、D又はTであり、
P9のPΩがC、V、I、L、A、Nva、Nle、V−NH2又はL−NH2である配列であって、SLLMWITQ{C、V、I、L、A}、FVLMWITQA又はFILMWITQ{L、I}ではない配列、
又は
P1がYであり、
P2がL、V、I、Nle又はNvaであり、
P3がLであり、
P4がM、L又はNであり、
P5がWであり、
P6がI、A、L、V又はNであり、
P7がTであり、
P8がQ、E、D又はTであり、
P9のPΩがV、I、L、Nva、Nle、V、V−NH2又はL−NH2である配列で
あって、YVLMWITL又はYLLMWIT{I、L}ではない配列を含むか、又はこの配列から実質的に構成される単離ペプチドに関する。
【0043】
さらなる実施の形態は、クラスIMHC/ペプチド複合体であって、該ペプチドが上記実施の形態又は本明細書中に記載のいずれかのペプチド配列を有する複合体に関する。1つの態様では、複合体は、クラスIMHC/NY−ESO−1157-165複合体を認識するTCRと交差反応性を示す。さらなる態様では、複合体は、HLA−A2/NY−ESO−1157-165複合体である。
【0044】
上記実施の形態の1つの態様では、ペプチドは、HLA−A2等のクラスIMHCペプチド結合溝に親和性を示す。
【0045】
さらなる実施の形態は、遊離配列と結合して実施の形態のいずれかのペプチド配列を含むポリペプチドに関する。
【0046】
さらなる実施の形態は、実施の形態のいずれかのペプチドを含む免疫原性組成物に関する。1つの態様では、ペプチドは、本明細書中に記載の配列を有することができる。
【0047】
さらなる実施の形態は、実施の形態のいずれかのペプチドをコードするが、好ましくは、非標準アミノ酸置換を持たない核酸に関する。さらなる態様では、核酸を、ベクター中でコードすることができる。
【0048】
さらなる実施の形態は、実施の形態のいずれかのペプチドをコードする核酸を含む免疫原性組成物に関する。
【0049】
さらなる実施の形態は、実施の形態のいずれかの組成物又はペプチドを節内投与することによるCTL応答の誘導方法に関する。さらなる態様では、本方法により、CTLを維持することが可能である。さらなる態様では、本方法により、クラスIMHC制限T細胞応答を増幅することが可能である。さらなる態様では、本方法により、クラスIMHC制限T細胞応答を同調させることが可能である。さらなる態様では、本方法はまた、免疫増強剤を含む。
【0050】
いくつかの実施の形態は、天然のエピトープ配列中に1〜3個又は4個のアミノ酸置換を含む配列を有する単離ペプチドであって、該配列のエピトープに対する免疫化によって生成されたT細胞株からのサイトカイン産生を誘発するのに必要なペプチドの濃度が、例えば10μM、1μM、及び0.3μM等の特定の濃度以下である単離ペプチドに関する。標準アミノ酸及び非標準アミノ酸等による置換が含まれる。標準アミノ酸のD型立体異性体、Nva、又はNleのような非標準アミノ酸は、本明細書中に記載の非標準アミノ酸のいずれかである。置換には、修飾末端アミノ酸が含まれ、修飾末端アミノ酸は、アミド化C末端アミノ酸である。置換の1つは、アミノ酸の付加であり、例えば、付加はC末端付加である。
【0051】
他の実施の形態は、標的関連抗原セグメントの配列と少なくとも1つの相違を含むアミノ酸配列を有するペプチドであって、該セグメントがMHCタンパク質のペプチド結合溝に対する既知又は予測される親和性を有し、少なくとも1つの相違が該セグメント中のMHC結合モチーフアンカー部位の残基のNle又はNva残基への置換であるペプチドに関する。アンカーの部位は、P2又はPΩのような第1のアンカー部位である。アンカー部位は、補助的なアンカー部位である。上記相違には、上記セグメント中の疎水性残基のNle又はNva残基への置換が含まれる。いくつかの態様では、I、L、又はVは、MHC結合モチーフのアンカー部位中の好ましい残基である。いくつかの態様では、ペプチ
ドは、例えば、約8〜14アミノ酸長、より好ましくは9〜10アミノ酸長を有することができる。
【0052】
タンパク質は、例えば、クラスIMHCタンパク質のようなヒトMHCタンパク質である。MHCタンパク質は、例えば、HLA−A2、A3、A24、A30、A66、A68、A69、B7、B8、B15、B27、B35、B37、B38、B39、B40、B48、B51、B52、B53、B60、B61、B62、B63、B67、B70、B71、B75、B77、C4、Cw1、Cw3、Cw4、Cw6、Cw7及びCw10等のタイプである。いくつかの態様において、MHCタンパク質は、HLA−A2及びA24である。MHCは、アンカー残基結合ポケットを有してもよく、該ポケットは、HLA−A*0201のB又はF−ポケットに相同的である。結合ポケットがエピトープアンカー残基に適合し、それにより、MHC分子の結合特異性が定義される、結合ポケットの形成に関与するMHC残基は、当該技術分野でよく知られている。このような情報をまとめたものの一つが、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(http://)「sdmc.lit.org.sg:8080/fimm/」のFIMM(機能免疫学)ウェブサイトで見ることができる。それぞれの全体が本明細書中で参考として援用される、Schonbach C., Koh J.L.Y., Sheng X., Wong L., and V.Brusic.「FIMM:機能分子免疫学のデータベース」 Nucleic Acids Research, 2000, Vol. 28. No. 1 222-224、及びSchonbach C., Koh JL, Flower DR, Wong L., and Brusic V. 「FIMM:機能分子免疫学のデータベース(2002年改訂)」 Nucleic Acids Research, 2002, Vol. 30, No. 1 226-229も参照のこと。また、ペプチドは、上記MHCに対する上記セグメントの特性に相当する特性と実質的に同じであるか、又はそれよりも良好である少なくとも1つの結合特性を有する。例えば、結合特性は、上記セグメントの結合特性と比較して高い可能性がある。また、結合特性は例えば親和性又は結合の安定性である。
【0053】
ペプチドは、セグメントの免疫原性と実質的に同程度又はより良好な免疫原性を有し得る。免疫原性を向上させることができる。免疫原性は、上記セグメントに交差反応性を示す免疫応答を誘発することができるか、CTL応答を誘発することができる。例えば、MHC−四量体アッセイ、サイトカインアッセイ、細胞毒性アッセイを使用して、ペプチドを認識する免疫応答の測定、in vitroでの免疫化系を使用した、上記セグメントを認識する免疫応答の測定、又は他の任意の適切な方法によって免疫原性を評価することができる。免疫化系には、ヒト細胞が含まれる。例えば、トランスジェニックマウスを含むin vivoでの免疫化系を使用して免疫原性を評価することができる。ペプチドは、上記MHCの上記セグメントに少なくとも類似する結合特性を有する。例えば、いくつかの態様では、「類似する」と見なされるものを、本開示に基づいて決定することができる。いくつかの態様では、「類似性」は、例えば、最大半量結合、相対親和性、安定性(解離半減期)、及び交差反応性/機能的結合力のためのペプチド濃度に基づく。例として、ペプチドが、天然ペプチドの値の2倍、さらに3倍、4倍、5倍、又は10倍以内という結果又は特徴を有する場合、ペプチドが類似すると見なすことができる。また、例えば、交差反応性/機能的結合力について、データが天然ペプチドの3倍〜10倍以内である場合、類似の結果である。別の例として、天然ペプチドの2、3、4、5、6、7、10、15、又は20%以内である場合、結合率が類似すると見なすことができる。また、いくつかの態様では、ED50値が天然配列の2倍又は3倍以内である場合、ED50値が類似すると見なすことができる。類似の解離半減期は、例えば、2倍又は3倍以内である。さらに別の例として、交差反応性について、野生型と約2倍異なる値を類似すると見なすことができる。これらの類似の値は例示のみを目的とし、いくつかの実施の形態のいくつかの態様の文脈で示す。他の「類似の」値を、本明細書中の他の実験及び教示に基づいて決定される。
【0054】
ペプチドは、セグメントと免疫学的な交差反応性を示す。交差反応性を、セグメントを
用いた免疫化及びペプチド認識をアッセイすることによって評価することができる。交差反応性を、ペプチドを用いた免疫化及びセグメント認識をアッセイすることによって評価することができる。
【0055】
上記及び本明細書中に記載のペプチドを、例えば、2つの相違を含むように修飾することができる。いくつかの場合、各相違は独立してNle又はNva残基を含むことができる。いくつかの場合、1つの相違には、Nle又はNva残基を含むことができない。また、上記及び本明細書中に記載のペプチドは、3つ又はそれを超える相違を含む。
【0056】
標的関連抗原は、腫瘍関連抗原である。標的関連抗原は、病原体関連抗原である。
【0057】
他の実施の形態は、上記及び本明細書中に記載の本発明のペプチドを含む免疫原性組成物に関する。さらなる実施の形態は、このような組成物を哺乳動物、例えば、リンパ系に直接投与することを含む、免疫化方法に関する。
【0058】
さらに他の実施の形態は、T細胞エピトープアナログの作製方法に関する。本方法は、標的関連抗原セグメントのアミノ酸配列を提供することを含み、該セグメントがMHCタンパク質のペプチド結合溝に対して既知又は予測される親和性を有し、MHC結合モチーフのアンカー部位に対応する配列の少なくとも1つのアミノ酸をNle又はNvaに置換すること、及び、置換した配列を含むペプチドを合成することを含む。合成は、例えば、化学合成又は他の任意の合成方法である。
【0059】
いくつかの実施の形態は、T細胞エピトープペプチドアナログであって、該アナログが、MHC結合モチーフのアンカー部位に対応する少なくとも1つの天然の残基が、Nle又はNva残基と置換することによって天然のエピトープペプチドと異なる、T細胞エピトープペプチドアナログに関する。
【0060】
さらなる実施の形態は、免疫活性であり、1つ又は複数のMHCアンカー残基に非天然アミノ酸を保有するペプチドを示す組成物を生成する方法及び得られた組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
T細胞エピトープを含むペプチドは、通常、以下の複数の要因のうちの1つにより、免疫原又は免疫調節物質としては不十分である:最適薬物動態プロファイル、MHC分子への結合の制限(Konの減少及びKoffの増加)、正常な免疫レパートリーに存在するT細胞による内因性認識の減少(例えば、種々の耐性形態による)。ペプチドの免疫学的特性を向上させるために、配列が天然のエピトープと異なるペプチドのスクリーニング及び使用に関して種々のストラテジーが行われている。このようなアナログは、複素環式ペプチド及び代替ペプチドリガンド(APL)等の当該技術分野で種々の名称で知られている。このようなアナログの生成には、遺伝学的に標準的にコードされる残基由来のアミノ酸が最も頻繁に使用されている(例えば、Valmori, D. 他., J. Immunol. 160: 1750-1758, 1998を参照のこと)。非標準アミノ酸の使用は、典型的には、ペプチドの生化学的安定性を改善するための試みに関連している(例えば、Blanchet, J.-S. 他., J. Immunol. 167:5852-5861, 2001を参照のこと)。
【0062】
一般に、アナログは以下の2つの主なクラスに分類することができる:(1)より良好なHLA結合プロファイル及びより高い免疫応答を達成するためのペプチドアンカー残基の修飾、及び(2)自己抗原に対するT細胞耐性を回避するためのペプチドアンカー残基及びTCR接触残基の修飾。
【0063】
いくつかの実施形態は、以下の保持又は改善される特性(これらに限定されない)の少なくとも1つを有するアナログに関する:
1.TCRに対する交差反応性及び機能的結合力。
2.MHCクラスIへの結合に対する親和性及び安定性。
3.細胞毒性によって評価された免疫に対するin vivoでの効果。
4.IFN−γのex vivoでの産生によって評価された、免疫に対する
in vivoでの効果。
5.タンパク質分解に対する耐性の増大。
【0064】
いくつかの実施形態は、アナログを含むペプチド配列であって、当該配列のアミノ酸を、例えば、P1、P2、P3、PΩ等の位置指定子を使用して表したペプチド配列に関する。さらに、ペプチド配列を、P0及び/又はPΩ+1指定子が含まれるように表すことができる。いくつかの態様では、P0は、X、XX、又はXXXで、Xは任意のアミノ酸であるか、アミノ酸ではない。同様に、いくつかの態様では、PΩ+1は、X、XX、又はXXXで、Xは任意のアミノ酸であるか、アミノ酸ではない。したがって、例えば、XXXは、任意のアミノ酸残基又は非アミノ酸の組み合わせを意味する。したがって、これらの実施形態は、特定の配列のN末端又はC末端に3つまでの付加的なアミノ酸(アミノ酸残基の任意の組み合わせ)を有するポリペプチドを含む。また、いくつかの態様では、実施形態は、N末端又はC末端に付加的なアミノ酸を含まなくてもよい。
【0065】
結合ポケットがエピトープアンカー残基に適合し、それにより、MHC分子の結合特異性が定義されるような結合ポケットの形成に関与するMHC残基は、当該技術分野でよく知られている。このようなをまとめたものの一つが、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(http://)「sdmc.lit.org.sg:8080/fimm/」のFIMM(機能免疫学)ウェブサイトで見ることができる。それぞれの全体が本明細書中で参考として援用される、Schonbach C., Koh J.L.Y., Sheng X., Wong L., and V.Brusic. 「FIMM:機能分子免疫学のデータベース」 Nucleic Acids Research, 2000, Vol. 28. No. 1 222-224、及びSchonbach C., Koh JL, Flower DR, Wong L., and Brusic V. 「FIMM:機能分子免疫学のデータベース(2002年改訂)」 Nucleic Acids Research, 2002, Vol. 30, No. 1 226-229も参照のこと。
【0066】
語句「遊離配列」は、直接若しくはN末端トリミング又は他の生理学的過程と組み合わせた免疫プロテアソームプロセッシングによってエピトープ又はアナログを遊離可能にする状況が得られる、より大きな配列に含まれるエピトープ又はアナログを含むか、又はコードするペプチドをいう。いくつかの態様では、アナログ又はエピトープを、設計するか操作することができる。
【0067】
他の実施形態は、エピトープアレイ及び、プロセッシングしてアナログを遊離することができるエピトープアナログ配列を含む他のポリペプチドに関する。さらなる実施形態は、このようなポリペプチドをコードする核酸、特に、DNAプラスミド、又は単にアナログ及びこれらの発現物に関する。アナログ、アナログを含むポリペプチド、及びコードする核酸は全て、免疫原性組成物、特に、リンパ内送達に適した組成物の成分であり、その全ては、さらなる実施形態に関する。
【0068】
免疫特性が向上したペプチドアナログを、MHC−ペプチド複合体の結合を増大させて形成を安定化させるように、MHC分子との相互作用に関与するアンカー残基を修飾することによって設計することができる。このような修飾を、制限されたMHC分子の結合モチーフ又は好ましいアンカー残基の知識によって導くことができる。種々の置換を有するアナログの特性を予測するために使用することができる種々の規則、指標、及びアルゴリズムがさらに存在し、置換は、遺伝学的に標準的にコードできるアミノ酸から選択される
という制限を受ける。
【0069】
しかし、アンカー残基を非標準アミノ酸で置換した際の結果を予測するデータベースやアルゴリズムは存在せず、その有用性は今まで十分に調査されていない。非標準アミノ酸であるノルロイシン(Nle)及びノルバリン(Nva)を、MHC結合ペプチドのアンカー残基部位に有利に置換することができることを本明細書中に開示する。これらは、疎水性又は巨大なアミノ酸、詳細には、I、L、又はVが占める部位に置換されることが好ましい。
【0070】
MHC結合モチーフは、一般に、8〜10アミノ酸長以内の一般的に知られた部位の好ましい残基側鎖に関して定義される(例えば、Rammensee 他., 「MHCリガンド及びペプチドモチーフ」 (Molecular Biology Intelligence Unit), Springer-Verlag, Germany, 1997 Landes Bioscience, Austin, Texas; and Parker, 他., 「個々のペプチド側鎖の独立した結合に基づく潜在的HLA−A2結合ペプチドをランク付けするためのスキーム」 J. Immunol. 152:163-175を参照のこと)。MHC結合の予測に使用可能なウェブサイトのアルゴリズムも利用できる。例えば、Hans-Georg Rammensee, Jutta Bachmann, Niels Emmerich, Stefan Stevanovicのワールド・ワイド・ウェブページ: SYFPEITHI: MHCリガンド及びペプチドモチーフのインターネットデータベース(syfpeithi.bmi- heidelberg.com/scripts/MHCServer.dll/home.htmによるハイパーテキスト・トランスファー・プロトコルアクセス)を参照のこと。他にも、「bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla bind」がある。クラスI制限エピトープについて、C末端の部位PΩは、典型的には、第1のアンカーである。第2の部位P2は、しばしば第1のアンカーであるか、あるいは、P3及び/又はP5がこの役割を果たし得る。P2部位〜P7部位は全て、1つ又は別のMHCの第2又は補助的アンカー部位として認識されている(Rammensee 他.及び米国特許出願公開番号第2003−0215425号の表6(その開示全体が本明細書中で参考として援用される、2001年12月7日に出願された、「抗原提示細胞におけるエピトープ同期化」と題される米国特許出願番号第10/026,066号を参照のこと)。クラスII制限エピトープであるP1、P4、P6、P7及びP9は、アンカー部位として認識されている。上記は、一般的指針として意図され、例示と見なすべきであり、網羅的、制限的と見なすべきではない。結合モチーフ及びアンカー残基等の多くの分析及び統計は、化学論文及び特許書類並びにインターネットで利用可能である。この慣習及び結果により、本明細書中の教示と組み合わせた場合、エピトープアナログを設計するための有用なガイドが当業者に与えられる。
【0071】
提示MHC分子に実際に結合するペプチドの長さは、一般的に知られたモチーフ配列よりも長くてよい。クラスIIMHC分子の結合溝の末端は開いており、それにより、コアモチーフのいずれかの末端で伸長することができる。対照的に、結合溝は、クラスIMHC分子の両末端で閉じており、それにより、結合ペプチドの末端は、一般に、モチーフに対応していなければならないが、長さの有意な変動を、結合ペプチドの中心領域の隆起及び折り畳みによって適合することができ、それにより、少なくとも約14アミノ酸長までのペプチドを提示することができる(例えば、Probst-Kepper, M. 他., J. Immunol. 173:5610-5616, 2004を参照のこと)。
【0072】
エピトープアナログは、クラスIMHC分子との相互作用並びに元のエピトープを認識するT細胞受容体との相互作用の維持又は増加に関係するKon及びKoffを改善し得るか、特定のT細胞集合の拡大の増強に反映されるin vivo又はex vivoにおけるでの活性を修飾又は改善し得るか、特定のT細胞によるサイトカイン産生を改善することができるか、ペプチドと反応したT細胞によって介在される、天然エピトープを保有する標的に対するin vivo又はin vitroでの細胞毒性を改善し得る。さらに、このようなアナログは、より最適な形態で、複数の異なるMHCクラスI分子と相互作
用し得る。
【0073】
免疫特性が改善されたこのようなペプチドアナログは、1つ又は複数の非標準アミノ酸を含む1つ又は複数の置換を含む。非標準アミノ酸のうち、ノルバリン又はノルロイシンからなる第1のアンカー残基の置換が好ましく、これは、以下に例示するように、置換は、MHCクラスIとの相互作用を改善し得るだけでなく、天然のエピトープに特異的なTCRとの交差反応性を保存し、in vivoでの免疫プロファイルを改善し得るからである。より詳細には、P2アミノ酸残基のA、L又はVからノルバリン又はノルロイシンへの変異により免疫特性が改善されたので、好ましい。さらに、C末端残基のノルバリン又は好ましくはノルロイシンへの修飾により、アナログの免疫特性が改善された。さらに、P2又はPΩにおける、ノルバリン及び/又はノルロイシンを含む第1及び/又は第2のアンカー残基に複数の置換を含むアナログは、免疫特性の改善に関連し得る。
【0074】
ノルバリン(Nva)及びノルロイシン(Nle)のある使用は、米国特許番号第6,685,947号、PCT公開番号第WO03/076585号A2及び同第WO01/62776号Al、並びに米国特許公開番号第20040253218号A1に記載されている。これらの参考文献は、免疫学的特性を改善するための、MHC結合ペプチドのアンカー部位において置換されたNva又はNleの一般的有用性を教示していない。第218号公報は、置換された残基は、TCR相互作用部位に組み込まれるが、MHC相互作用部位には組み込まれないことを教示している。
【0075】
本発明のさらに別の実施形態では、ペプチドは、免疫原性を示すが、脳炎誘発性ではないNS特異的抗原由来のペプチドのアナログである。この目的のために最も適切なペプチドは、脳炎誘発性自己ペプチドがT細胞受容体(TCR)結合部位で修飾されているが、MHC結合部位で修飾されておらず、それにより、免疫応答が活性化されるが、反応不顕化されないペプチドである(Karin 他, 1998; Vergelli 他, 1996)。
【0076】
第776号公報に開示されたNleが組み込まれたHLA−A2.1制限ペプチドは、CEA、p53及びMAGE−3に由来する。CEAペプチドI(Nle)GVLVGV及びp53ペプチドS(Nle)PPPGTRVでは、NleはP2部位に存在する。ノルロイシンの一般的な有用性についての教示はなく、天然の配列と比較した場合、どのようにしてこのような置換によってアナログの特性が変化するのか、又は変化するのかどうかを開示していない。
【0077】
いくつかの本発明の実施形態は、MHCへの結合を促進する部位にNva及び/又はNleが組み込まれたエピトープアナログに関する。いくつかの実施形態は、詳細には、HLA−A2.1制限エピトープ、CEA、p53及び/若しくはMAGE−3由来のHLA−A2.1エピトープ、又はMAGE−3、CEA及び/若しくはp53由来の他のペプチド中のNle及び/又はNvaの使用を除外する。いくつかの実施形態は、上記の参照される特許文献中に開示の1つ又は複数の特異的配列を特に除外する。他の例示的実施形態は、P3、P5及び/又はPΩアンカー部位、非A2−HLA制限エピトープ又は非A2.1−HLA制限エピトープのアナログを作製するための補助的アンカー部位、癌遺伝子又は癌胎児性タンパク質に由来しないペプチドのアンカー部位、及びCT抗原由来のペプチドのアンカー部位におけるNle及び/又はNvaの使用を含む。
【0078】
一般に、このようなアナログは、薬剤単独又は治療と組み合わせて、免疫応答の発症及び調節への鍵であるMHC分子及びT細胞受容体との相互作用の最適化、感染症、癌、又は炎症等の種々の疾患の免疫療法及び/又は予防に有用である。
【0079】
アナログの産生
ペプチド合成法又は所望のペプチドアナログをコードする核酸の発現を利用したペプチドの製造を含む、当業者に既知の任意の方法を使用してアナログを産生することができる。したがって、アナログが1つ又は複数の非標準アミノ酸を含む場合、アナログはペプチド産生法によって産生される可能性がより高い。アナログが1つ又は複数の標準アミノ酸による置換のみを含む場合、当業者に既知の任意の方法を使用して発現ベクターから上記アナログを発現することができる。あるいは、遺伝子治療法を使用して上記ペプチドを発現することができる。
【0080】
アナログ試験
アナログの有用性及び/又は活性を同定した。この方法では、有用な及び/又は改善されたアナログを同定することができる。有用であるには、アナログは、必ずしも同定アッセイで改善されていることが見出されなくてもよい。したがって、有用なペプチドは、耐性化された患者で有用であるか、又はタンパク質分解に耐性を示す等の他の特性を含む。改善されると、ペプチドの、TCRへの結合、MHC分子への結合が明確に改善され、免疫応答又は任意の他の生物活性が改善される。有用であるには、ペプチドは、マウス試験系を使用した場合に改善されないが、ヒト免疫系での相違により、ヒトで試験した場合に改善することができる。あるいは、有用性は、耐性化したヒトにおける耐性を破壊する可能性に起因する。あるいは、有用性は、改善されたアナログの改善を同定するためのさらなる置換に関する基盤としたペプチドを使用する能力に起因し得る。
【0081】
有用性、改善された特性を評価し、アナログを野生型と比較するために、1つ又は複数の以下のアッセイを行った:HLA−A*0201に対するペプチド結合親和性;ペプチド−HLA−A*0201複合体の安定性アッセイ、交差反応性アッセイ(野生型のペプチド特異的CTLによるペプチドアナログの認識又はペプチドアナログを使用して生成されたCTLによる野生型ペプチドの認識)、IFN−γ分泌アッセイ、細胞毒性アッセイ及び/又はElispotアッセイ等の免疫原性アッセイ、in vitroでの腫瘍細胞溶解アッセイ、ex vivoでの腫瘍細胞溶解及びin vivoでの腫瘍細胞溶解等の抗原性アッセイ、及びタンパク質分解耐性の増大を同定するためのタンパク質分解アッセイ。例示的なアッセイの詳細は、実施例で提示される。
【0082】
アナログの使用
クラスIMHC制限T細胞応答、及び特に抗原に対するエフェクター及び記憶CTL応答を誘導、同調、維持、調節及び増幅するために開示されたアナログを使用する有用な方法が、「CTL応答の誘導方法」と題される米国特許出願番号第09/380,534号及び同第09/776,232号、「MHCクラスI制限免疫応答の制御方法」と題される2003年6月17日に出願された米国仮出願番号第60/479,393号、「予防又は治療目的のための、MHCクラスI制限エピトープに対する免疫応答の誘導、増大及び持続法」と題される米国特許出願番号第10/871,707号(公開番号第20050079152号)及び2004年12月29日に出願された米国仮特許出願番号第60/640,402号に記載されている。アナログはさらに最適化されたアナログを得るための調査において使用することができる。多くのハウスキーピングエピトープは2002年4月4日に出願された米国出願番号第10/117,937号(公開番号第20030220239号A1)及び同第10/657,022号(同第2004−0180354号)並びに2003年9月5日に出願されたPCT出願番号第PCT/US2003/027706号(公開番号第WO04022709号A2)並びに2001年4月6日に出願された米国仮出願番号第60/282,211号、2001年11月7日に出願された同第60/337,017号、2002年3月7日に出願された同第60/363,210号、2002年9月5日に出願された同第60/409,123号で提供され、これらの各出願は、「エピトープ配列」と題されている。さらにアナログはこれらの出願に記載されている様々な態様のうちの任意のものに使用することができる。エピトープクラスタ
(アナログからなるか又はアナログを包含する)が、「エピトープクラスタ」と題され、2000年4月28日に出願された米国特許出願番号第09/561,571号に開示され、より完全に定義される。アナログを使用及び伝達する方法が、それぞれ「CTL応答を誘導する方法」と題される米国特許出願番号第09/380,534号及び同第09/776,232号(公開番号第20020007173号A1)及びPCT出願番号第PCTUS98/14289号(公開番号第WO9902183号A2)に記載される。このような免疫療法のための有益なエピトープ選択法が、「抗原提示細胞におけるエピトープ同期化」と題され、2000年4月28日に出願された米国特許出願番号第09/560,465号、2001年12月7日に出願された同第10/026,066号(公開番号第20030215425号A1)、2001年11月7日に出願された同第10/005,905号、「エピトープ発見法」と題される同第09/561,074号、「エピトープクラスタ」と題され、2000年4月28日に出願された同第09/561,571号、「癌のための抗血管新生製剤」と題され、2002年3月7日に出願された同第10/094,699号(公開番号第20030046714号A1)、「エピトープ配列」と題され、2002年4月4日に出願された出願番号第10/117,937号(公開番号第20030220239号A1)及びPCTUS02/11101号(公開番号第WO02081646号A2)、「エピトープ配列」と題され、2003年9月5日に出願された出願番号第10/657,022号及びPCT出願番号第PCT/US2003/027706号(公開番号第WO04022709号A2)に開示される。ワクチンプラスミドの全体の設計の態様は、「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター」と題され、2000年4月28日に出願された米国特許出願番号第09/561,572号、「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びこれらの設計法」と題され、2002年11月7日に出願された同第10/292,413号(公開番号第20030228634号A1)、「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター」と題され、2002年8月20日に出願された同第10/225,568号(公開番号第20030138808号)及び2003年8月19日に出願されたPCT出願番号第PCT/US2003/026231号(公開番号第WO2004/018666号)、並びに「プラスミド増幅における望ましくない複製中間体の回避」と題される米国特許番号第6,709,844号に開示される。特定の癌に対する免疫応答を導く上で特に有益な特異抗原の組み合わせは、「様々なタイプの癌のためのワクチンにおける腫瘍関連抗原の組み合わせ」と題される、2003年6月17日に出願された米国仮特許出願番号第60/479,554号及び2004年6月17日に出願された米国特許出願番号第10/871,708号並びにPCT出願番号第PCT/US2004/019571号(公開番号第WO2004/112825号)に開示される。腫瘍血管新生に関連する抗原(例えば、PSMA、VEGFR2、Tie−2)は、「癌のための抗血管新生製剤」と題され、2002年3月7日に出願された米国特許出願番号第10/094,699号(公開番号第20030046714号A1)に開示されるように、癌性疾患に関してもまた有用である。標的を定めた生物反応修飾物質の投与による免疫応答の誘発、維持及び操作方法は、2004年12月29日に出願された米国仮出願番号第60/640,727号に開示される。CD4+細胞を介さずに免疫応答を誘導する方法は、2004年12月29日に出願された米国仮出願番号第60/640,821号で開示される。例示的な疾患、組織及び抗原並びに標的組織、標的細胞及び標的疾患に関するエピトープは、「CTL応答の誘導法」と題され、2001年2月2日に出願された米国出願番号第09/776,232号(公開番号第20020007173号)に記載される。例示的な方法は、「様々なタイプの癌の診断における腫瘍関連抗原の組み合わせ」と題され、2004年6月17日に出願された米国仮出願番号第60/580,969号及び2005年6月17日に出願された米国特許出願番号第_/_号(代理人整理番号:MANNK.050A)に見出される。方法及び組成物はまた、「様々なタイプの癌のための組成物における腫瘍関連抗原の組み合わせ」と題され、2004年12月29日に出願された米国仮出願番号第60/640,598号に開示される。免疫応答性を評価、モニタリングする診断法と、アナログの利用を
含む免疫化との統合は、「診断と治療法の統合による、積極的な免疫治療の有効性の改善」と題され、2004年6月17日に出願された米国仮特許出願第60/580,964号及び2005年6月17日に出願された米国特許出願番号第_/_号(代理人整理番号MANNK.040A)においてより完全に議論される。免疫原性ポリペプチドコードベクターは、「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びこれらの設計法」と題され、2002年11月7日に出願された米国特許出願番号第10/292,413号(公開番号第20030228634号A1)並びに「癌細胞及び腫瘍間質で発現する主要なエピトープ及びそれに次ぐ主要なエピトープに対する多価免疫応答を誘導する方法及び組成物」と題され、(代理人整理番号 MANNK.053PR)、2005年6月17日に出願された米国仮出願番号第_/_,_号に開示される。さらに、重要な方法及び組成物を含む有用な開示は、「癌腫のための多価の同調−増幅免疫治療」と題され、2005年6月17日(代理人整理番号. MANNK.054PR)に出願された米国仮出願番号第_/_,_号に見出される。さらなる方法、組成物、ペプチド及びペプチドアナログは、「SSX−2ペプチドアナログ」及び「NY−ESOペプチドアナログ」と題され、2004年6月17日に出願された米国仮出願番号第60/581,001号及び同第60/580,962号にそれぞれ開示される。この段落で言及されるこれらの出願の全ては、これらが教示する全てに関して、全体が参照として本明細書中に援用される。さらなるアナログ、ペプチド及び方法が、2005年6月17日に出願され、「SSX−2ペプチドアナログ」と題される米国特許出願番号第_/_,_号(代理人整理番号:MANNK.038A)、「NY−ESO−1ペプチドアナログ」と題される米国特許出願番号第_/_,_号(代理人整理番号:MANNK.039A)、及び「エピトープアナログ」と題される米国特許出願番号第_/_,_号(代理人整理番号:MANNK.051A)に開示される。これらに制限はされないが、例としてこれらの参考文献は、これらがクラスIMHC制限エピトープ、そのアナログ、アナログの設計、エピトープ及びアナログの使用、エピトープの使用法及び作製法、並びにこれらの発現のための核酸ベクターの設計及び使用について教示する事柄に関して、参照によって援用される。
【0083】
抗原
MHC制限様態においてT細胞によって認識される多くのエピトープを持つ抗原が存在し、これらに対する免疫応答の操作は、潜在的に治療性又は予防性を有する。本明細書中に記載されているMHC結合ペプチドのアナログを作製するための原則は、一般的にこれらの抗原及びそれらのエピトープのいずれかに適用可能である。本開示の具体的な焦点は、腫瘍関連抗原(TuAA)SSX−2、NY−ESO−1、PRAME、PSMA、チロシナーゼ、及びMelan−Aからのエピトープである。
【0084】
Hom−Mel−40としても既知であるSSX−2は、保存性の高い精巣癌抗原のファミリーの成員である(Gure, A.O.他 Int. J. Cancer 72:965-971, 1997、これは、本明細書にその全体が参照によって援用される)。このTuAA抗原としての同定は、「メラノーマ特異抗原をコードする単離核酸分子及びその使用」と題される米国特許番号第6,025,191号で教示され、これはその全体が参照により本明細書に援用される。精巣癌抗原は多様な腫瘍に見出されるが、一般的に精巣を除く正常な成人組織には存在しない。SSX−2は、滑膜肉腫、メラノーマ、頭部及び頸部癌、乳癌、結腸及び卵巣癌を含む多くの異なるのタイプの腫瘍で発現する。多様な癌におけるその幅広い発現に加えて、末期の疾患の患者におけるSSX−2は免疫原性でもある。さらに、転移性腫瘍の患者におけるこの抗原に対する自然発生的な体液性免疫応答及び細胞性免疫応答の証拠が存在し(Ayyoub M他, Cancer Res. 63(17):5601-6, 2003、Ayyoub M他 J Immunol. 168(4):1717-22, 2002)、これはその全体が参照により本明細書に援用される。2つのHLA−A2制限T細胞エプトープが逆T細胞免疫、すなわちSSX−241-49(Ayyoub M他 J Immunol. 168(4): 1717-22, 2002、「HLA分子と結合する、SSX又はNY−ESO−1分子において見出されるアミノ酸配列から成る単離ペプチド」と題される米国特許番号第6548064号、「エピトープ配列」と題される米国特許出願番号第10/117,937号)
及びSSX−2103-111(Wagner C他 Cancer Immunity 3:18, 2003))を用いて近年同定され、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に援用される。両方のエピトープのC末端は、in vitroでのプロテアソーム消化によって効率的に生成することができる。SSX−2陽性の患者の腫瘍浸潤リンパ節由来の単離HLA−A*0201/SSX−241-49多量体+CD8+T細胞が高い機能性結合力を示し、効果的にSSX−2陽性腫瘍を認識することができるが、自然発生的に起こる免疫応答は、腫瘍の増殖を停止するのに十分ではなく、それはおそらくこれらの免疫応答が疾患の進行のかなり遅い段階まで発現せず、活性化したT細胞が十分な数存在しないためである。さらに、米国特許番号第6,548,064号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)は、SSX−2エピトープのP2部位及びPΩ部位の両方で、T又はA残基を置換することを記載している。
【0085】
NY−ESO−1は、多種多様な腫瘍において見られる精巣癌抗原であり、CTAG−1(精巣癌抗原−1)及びCAG−3(癌抗原−3)としても知られている。腫瘍関連抗原(TuAA)としてのNY−ESO−1は、「食道癌関連抗原をコードする単離核酸分子、抗原自体、及びそれらの使用」と題される米国特許第5,804,381号に開示されて、これは、その全体が参照により本明細書に援用される。広範な配列同一性を有する抗原をコードするパラロガスな遺伝子座であるLAGE−1a/s及びLAGE−1b/Lは、公的に入手可能なヒトゲノムのアセンブリ中に開示されており、選択的スプライシングを介して生じると結論付けられている。さらに、CT−2(又はCTAG−2、精巣癌抗原−2)は、LAGE−1b/Lの対立遺伝子、突然変異体又は配列不一致のいずれかであるように思われる。広範な配列同一性のために、NY−ESO−1からの多くのエピトープはまた、これら他の抗原を発現している腫瘍に対して免疫性を誘導することができる。タンパク質は、アミノ酸70までは事実上同一である。71から134では、NY−ESO−1とLAGEの間の同一性の最大長は6残基であるが、潜在的に交差反応可能な配列が存在する。そして、135から180まで、NY−ESO及びLAGE−1a/sは、ただ一つの残基以外は同一であるが、LAGE−1b/Lは選択的スプライシングにより関連性がない。CAMEL及びLAGE−2抗原は、LAGE−1のmRNAに由来するが、選択的リーディングフレームに由来すると思われ、そのため関連性のないタンパク質配列が生じてしまう。つい最近、GenBankアクセッション番号AF277315.5(その全体が参照により本明細書に援用される)ヒト染色体XのクローンであるRP5−865E18及びRP5−1087L19、完全配列は、この領域内の3つの独立遺伝子座を報告しており、LAGE1(ゲノムアセンブリ中のCTAG−2に対応)、並びにLAGE2−A及びLAGE2−B(両者ともゲノムアセンブリ中のCTAG−1に対応)と標識されている。
【0086】
NY−ESO−1157-165は、「癌関連抗原をコードする単離核酸分子、抗原自体、及びその使用」と題される米国特許番号第6,274,145号においてHLA−A2制限エピトープとして同定され、「エピトープ配列」と題される米国特許出願番号第10/117,937号(公開番号第20030220239号)は、このC末端がin vitroでのアッセイにおいて、ハウスキーピングプロテアソームによって生成することを報告している。PΩでA、V、L、I、P、F、M、W又はGを置換するアナログは、単独で、又は別の位置でAと組み合わせて、「NY−ESO−1ペプチド誘導体及びその使用」と題される米国特許番号第6,417,165号及び同第6,605,711号に開示されている。この段落で開示されている参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0087】
MAPE、DAGE及びOIP4としても既知であるPRAMEは、元々はメラノーマ抗原と思われていた。続いて、これはCT抗原として認識されているが、多くのCT抗原(例えば、MAGE、GAGE及びBAGE)とは違い、これは急性脊髄性白血病で発現
する。PRAMEは、主として、限定された配列相同性を共有する仮想タンパク質から成るMAPEファミリーの成員である。TuAAとしてのPRAMEの実用性は、「腫瘍拒絶抗原前駆体DAGEをコードする単離核酸分子及びその使用」と題される米国特許番号第5,830,753号で教示され、これは、その全体が参照により本明細書に援用される。「T細胞ペプチドエピトープ及び該選択されたエピトープを組み込むワクチンの選択法及び製造法」と題される米国特許出願番号第10/181,499号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)は、in vitroでの免疫プロテアソームによる消化を利用して、PRAME425-433を含む多様で潜在的なエピトープを同定する。
【0088】
その全体が参照により本明細書に援用される、「前立腺特異的膜抗原」と題される米国特許番号第5,538,866号に記載されているTuAAであるPSMA(前立腺特異的膜抗原)が正常な前立腺上皮によって、前立腺癌においてはより高いレベルで発現される。これはまた、非前立腺腫瘍の血管新生においても見出されている。したがって、PSMAは、前立腺癌及び他の腫瘍の血管新生の両方を対象とするワクチンの基礎を形成することができる。この後者の考え方は、米国特許公開番号第20030046714号、PCT公開番号第WO02/069907号、及び「癌のための抗血管新生ワクチン」と題され、2001年3月7日に出願された米国仮特許出願番号第60/274,063号並びに「癌のための抗血管新生製剤」と題され、2002年3月7日に出願された米国出願番号第10/094,699号においてより完全に記載され、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に援用される。上記公開書類及び出願書類で開示される教示及び実施形態は、本発明に関連があり、有用である主要物及び実施形態をサポートするように考慮される。簡潔に言えば、腫瘍は増殖する際、新生血管の内部成長させる。これは、血管新生しない腫瘍の中心部が一般的に壊死性(necrotic)であるので、成長を維持するために必要であると理解され、血管新生阻害剤は腫瘍の退行を引き起こすと報告されている。このような新生血管又は血管新生は、確立した血管で見出されない抗原を発現し、したがって、特異的に標的化することができる。血管新生抗原に対してCTLを誘導することによって、血管は崩壊し、栄養物の腫瘍への流れ(及び腫瘍からの廃棄物の除去)を遮断し、退行を導くことができる。
【0089】
PSMA mRNAの選択的スプライシングもまた、Met58で始まるタンパク質へと導き、これにより、その全体が参照により本明細書に援用される「選択的スプライシングされた前立腺特異的な膜抗原をコードする単離核酸分子、及びその使用」と題される米国特許番号第5,935,818号に記載されるように、PSMAの推定膜アンカー領域を欠失させる。その全体が参照により本明細書に援用されるGenBankアクセッション番号AF261715である、PSMA様タンパク質と称されるタンパク質は、PSMAのアミノ酸309〜750とほぼ同一であるが、異なる発現プロファイルを有する。したがって、より好ましいエピトープは、アミノ酸58〜308に位置するN末端を有するエピトープである。PSMA288-297は、その全体が参照により本明細書に援用される「HLA結合ペプチド及びその使用」と題されるWO01/62776におけるHLA−A2結合モチーフを保有するように同定される。ハウスキーピングプロテアソームによる消化及びHLA−A2との実際の結合によるin vitroでのその製造は、「エピトープ配列」と題される米国特許出願番号第2003−0220239号に開示されている。
【0090】
チロシナーゼは、メラニン細胞分化の最も特異的なマーカの一つであると考えられているメラニン生合成酵素である。チロシナーゼはわずかな細胞型、主にメラニン細胞で発現され、しばしばメラノーマにおいて高レベルであることが分かった。TuAAとしてのチロシナーゼの有用性は、その全体が参照により本明細書に援用される「一部の異常細胞がHLA−A2/チロシナーゼ由来ペプチドの複合体を提示する細胞異常を患う個体を識別する方法、及びその個体の治療法」と題される米国特許第5,747,271号に教示されている。
【0091】
MART−1(T細胞により認識されるメラノーマ抗原)とも呼ばれるMelan−Aは、メラノーマにおいて高いレベルで発現する別のメラニン生合成タンパク質である。TuAAとしてのMelan−A/MART−1の有用性は、「メラノーマ抗原並びに診断法及び治療法におけるその使用」と題される米国特許番号第5,874,560号及び同第5,994,523号、並びに「HLA−A2により提示される少なくとも1つの腫瘍拒絶抗原へプロセッシングされる腫瘍拒絶抗原前駆体をコードする単離核酸配列」と題される米国特許番号第5,620,886号で教示され、これらは全てその全体が参照により本明細書に援用される。このTuAAからのエピトープを制限する免疫優勢HLA−A2は、Melan−A26-35である。これは、ハウスキーピングプロテアソームによって製造されることが示されており(Morel, S他 Immunity 12:107-117, 2000)、その全体が参照により本明細書に援用される。P2でLを置換する改善されたアナログを含む標準アミノ酸を組み込む様々なアナログが、「HLA分子と結合する単離ノナペプチド及び単離デカペプチド並びにそれらの使用」と題される米国特許番号第6,025,470号に開示され、これはその全体が参照により本明細書に援用される。生化学的安定性の改善という主目的を伴う非標準アミノ酸を組み込むアナログの使用が、Blanchet, J.-S.他, J. Immunol. 167:5852-5861, 2001で報告されており、これはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0092】
SSX−2 41−49アナログ
上述のように、SSX−241-49への応答を含む、癌患者におけるSSX−2への自然な免疫応答は、癌を制御するのに効果的ではない可能性がある。さらに、野生型SSX−241-49は、その臨床的潜在性をさらに制限することができる適当な免疫原性ペプチドにすぎない。スーパーアゴニストアナログの使用によって誘導されるより強いSSX−2特異的な免疫応答は、SSX−2陽性腫瘍を有する患者に対して臨床的恩恵をもたらす。
【0093】
したがって、一実施形態では、アナログは組成物中で使用され、被検体の免疫応答を刺激して、標的抗原を示す標的細胞に対する免疫応答を増大させることができる。上記実施形態は、腫瘍性疾患及びウイルス性疾患の治療及び予防における実用性を有すると考えられる。
【0094】
野生型のSSX−241-49は、in vivoで効果的に腫瘍を除去することを妨げ得る適当な免疫原性ペプチドにすぎないので、方法が、より効果があるか又は改善された多様な特性を有するde novo設計SSX−241-49バリアントに使用された。より免疫原性のあるSSX−2アナログペプチドを使用することで、臨床的応答をより良くするために、より強い免疫応答を刺激すること及び/又は自然に起こる免疫応答を増幅することを可能にした。したがって、野生型エピトープに対する結合特性(親和性及びHLA−A*0201/ペプチド複合体安定性)、免疫原性、抗原性及び交差反応性が、各アナログに関して分析され、改善された特性を同定した。いくつかの実施形態では、特性の改善とは、アナログが野生型よりもいくつかの目的に良好に使用することができるということを一般的に意味する。したがって、アナログは改善された結合、安定性又は改善された活性を示す必要はなく、このプロセスの或る特定の部分を媒介する能力の低減さえ示すことがあるが、それでもなお、別の方法では使用のために改善し得る。例えば、活性全てというわけではないが、いくつかの活性を維持するアナログは、野生型抗原に耐性があるヒトシステムにおいてより良好である。
【0095】
これまでに、好適なアンカー残基を組み込むことによる天然腫瘍関連ペプチドエピトープの修飾は、HLA分子と共に結合プロファイルの改善を伴うアナログを生成させ、免疫原性を増大させている。最も成功した例の1つは、Melan−A26〜35エピトープのA27Lペプチドアナログである。「Melan−A/MART−1免疫優勢ペプチド
アナログを選択することによるin vitroでの特異的な腫瘍反応性CTLの生成の増大」Valmori他, J Immunol. 1998,160(4):1750-8、これはその全体が参照により本明細書に援用される。元のエピトープが2部位において最適なアンカーアミノ酸残基を欠いているので、元のエピトープはHLA−A2分子と安定な複合体を形成することができなかった。修飾されたA27L Melan A26〜35ペプチドアナログは、HLA−A2分子に対する結合プロファイルが明らかに増大し、その野生型より大きな免疫原性を示している。このアナログで患者に免疫性を付与することにより、細胞表面に提示される野生型のエピトープを認識できる強いT細胞免疫応答を引き起こすことができる。同様の修飾を、GP100 209〜217(「HLA−A*0201結合残基で修飾されたメラノーマ抗原gp100由来のペプチドを有するメラノーマ反応性CTLの誘導の改善」Parkhurst他、J Immunol. 1996,157(6):2539-48、これは、その全体が参照により本明細書に援用される)、Her−2 369〜377(「MHC接触残基の変更によるHER−2/neuプロトオンコジーンの免疫優勢エピトープの免疫原性の改善」Vertuani他、J Immunol. 2004, 172(6):3501-8、これはその全体が参照により本明細書に援用される)のような他の多くの腫瘍関連エピトープを用いることで得ることに成功している。
【0096】
この時点までに、SSX−241-49アナログが多様な癌、特にSSX−2陽性癌及び/又は腫瘍を治療するためにSSX−2を基とするワクチンの開発にかなり有望であったにもかかわらず、このアナログは設計且つ研究されてこなかった。したがって、滑膜肉腫X切断点2(SSX−2)の野生型配列に対するアナログの同定及び製造に使用することができる方法が本明細書中に開示される。この方法を使用して、アミノ酸241〜249の野生型の配列に基づく95個の新規SSX−241−49アナログのパネルを多様な改善された特性で同定した。改善された特性には、クラスIMHC及びT細胞受容体(TCR)分子との結合、並びにIFN−γ分泌、細胞毒性、及び腫瘍細胞溶解のような生物反応が挙げられるが、これらに限定されない。野生型エピトープとの交差反応性を維持するという効果の改善を伴うペプチドが同定された。これらのアナログの中で、いくつかは、野生型SSX−241−49ペプチドのスーパーアゴニストバリアントであることが実証されており、そのアナログのいくつかはHLA−A*0201分子及び広範な安定性を有するペプチド−HLA複合体に対して非常に高い親和性を有することが示されている。マウスをこれらのアナログで免疫化した場合、HHDトランスジェニックマウスにおけるCTL免疫応答の増大を誘導することができる。得られたCTLは、in vivo及びin
vitroの両方でA2+及びSSX−2+腫瘍細胞系を効果的に溶解することができ、このアナログを使用して生じたCTLが、細胞表面に自然発生的に提示された野生型SSX−241−49エピトープを認識することができることを示している。野生型SSX−241−49エピトープと比較して、アナログは癌ワクチンの開発のより良い候補物質である。
【0097】
実施形態には、ヒト精巣癌(CT)抗原SSX−2(SSX−241-49)のアミノ酸41〜49に対する配列に関連する9又は10個のアミノ酸長の1つ又は複数のペプチドの集合が挙げられる。個々のペプチドの実施形態は、野生型の配列において定義された1つからいくつかのアミノ酸置換を有する。置換されたアミノ酸は、多様に通常遺伝的にコードされるアミノ酸の標準的なセット、これらの誘導体、これらのD−立体異性体、又は他の非標準L−アミノ酸の別の成員である。これらのアナログは、クラスIMHC分子及びTCR分子並びに免疫応答における他の成分と、野生型エピトープの相互作用を研究するのに、また、免疫学的特性のさらなる最適化を伴うさらなるアナログを設計するのに有用である。上記アナログのいくつかの実施形態は、免疫学的特性が試験されているHLA−トランスジェニックマウスモデルにおいて、野生型エピトープと少なくとも同様の免疫学的特性を有する。SSX−2が、耐性の程度が予測され得る自己抗原であるので、このようなペプチドはヒトにおいて有用であり、アナログにおけるアミノ酸の相違によって、野生型エピトープと交差反応性であるが、陰性選択を回避しているT細胞の集団を刺激する
のを助けることができる。様々なペプチドの実施形態は、MHCに対するより大きな親和性若しくはMHCとのより大きな結合安定性を有し、野生型エピトープを認識するT細胞からと同程度のサイトカイン製造を誘導するのに、より大きなサイトカイン製造を誘導するか又はより小さなペプチド濃度を必要とし、より免疫原性があり、野生型エピトープに対する交差反応性細胞溶解応答を誘導又は増幅することができ、或いは耐性を破壊することができるという1つ又は複数の改善された免疫学的特性を有する。
【0098】
一実施形態においてアナログは、P1、P2、P4、P6、P8、P9及びP10から成る群から選択される残基における置換を少なくとも1つ有する。さらなる実施形態において、アナログは、P1、P2、P4、P6、P8、P9及びP10から成る群から選択される残基における置換を少なくとも2つ有する。さらなる実施形態において、アナログは、P1、P2、P4、P6、P8、P9及びP10から成る群から選択される残基における置換を少なくとも3つ有する。さらなる実施形態において、アナログは、P2部位及びP9部位における置換を有する。さらなる実施形態においてペプチドは、P1残基、P2残基及びP9残基における置換を有する。さらなる実施形態において、ペプチドアナログは、P1残基、P2残基及びP4残基における置換を有する。さらなる実施形態において、ペプチドアナログは、P1残基、P2残基及びP6残基における置換を有する。さらなる実施形態において、ペプチドアナログは、P1残基、P2残基及びP8残基における置換を有する。一実施形態では2つの置換が、特性の改善を引き起こす。さらなる実施形態では、1つの置換が、特性の改善を引き起こす。さらなる実施形態では3つの置換が、特性の改善を引き起こす。さらなる実施形態では1つ又は複数の置換が、特性の改善を引き起こすが、なお野生型の配列と交差反応す、野生型の配列を認識するTCRによって依然として認識される。
【0099】
一実施形態は、アナログを遊離させるようにプロセッシングすることができるエピトープアナログ配列を含むエピトープアレイ及び他のポリペプチドに関する。さらなる実施形態は、このようなポリペプチド又は単にアナログをコードする核酸、特にDNAプラスミド、及びこれらの発現に関する。アナログ、アナログを含むポリペプチド、及びコード核酸は全て、免疫原性組成物、とりわけ、さらなる実施形態を構成する、リンパ管内輸送に適した組成物である。
【0100】
アナログ設計
実施形態は、配列KASEKIFYVの置換を含むSSX−241-49ペプチドに関する(図1参照)。さらなる実施形態では、アナログは一般的に配列KASEKIFYVYを有するSSX−241-50十量体ペプチドのアナログである。ペプチドを構成する残基又はアミノ酸は、N末端からC末端まで番号を付けたペプチド内の位置を示すために、P1−P9又はP1−P10として本明細書中に言及され、P1は九量体におけるN末端のリジンに対応し、P9はP1及びC末端のバリンに対応する。あるいは、残基は、これらが含まれる分子の主な活性を方向付ける。例えば、P2残基は、N末端の第1のアンカー分子として記載され、一方P9(又は十量体ではP10)は、第1のC末端のアンカーとして記載される。残基P4、P6及びP8は、最初にTCR相互作用に関係する。置換には、当業者に既知の標準アミノ酸及び非標準アミノ酸を含む任意のアミノ酸を使用することができる。多くの例示的なアミノ酸が本明細書中に開示されているが、本明細書中に開示される置換は、全ての推測される置換を含むリストを意味するものではなく、可能性のある置換の例示である。当業者は、本明細書中のアナログに使用するために購入又は化学的に製造される多くの他の非標準アミノ酸を、カタログ及び参照において見出すことができる。
【0101】
多くの可能性のあるアナログは、N末端の第1のアンカー(P2部位)、N末端の第2のアンカー(P1部位)、N末端の第1及び第2のアンカー(P1部位及びP2部位)、
N末端の第1/第2のアンカー(P1部位及びP2部位)、及びC末端第1のアンカー(P9部位)などにおいて、より良いHLA結合プロファイル及びより高い免疫応答を達成するためのペプチドアンカー残基の修飾により製造された。さらに、アンカー残基及びTCR接触残基における修飾を伴うペプチドが、自己抗原に対するT細胞耐性を回避するために製造され、これらの修飾には、N末端の第1の/第2のアンカー(P1部位及びP部位)及び第2のTCR認識部位(P4部位、P6部位及び/又はP8部位)での修飾、N末端の第1/第2のアンカー(P1部位及びP2部位)での修飾、並びにC末端の第1のアンカー(P9)及び第2のTCR認識部位(P4部位、P6部位及び/又はP8部位)での修飾が含まれた。さらに、十量体アナログが生成された。
【0102】
改善された特性を有するアナログを残基が最大に生成するであろう選択は、MHCペプチド相互作用の研究、TCRペプチド相互作用の研究及び当該技術分野で既知のこれまでのアナログの分析を必要とした。いくつかの残基は、最初に特定の相互作用を伴い、いくつかの残基は二次的な相互作用、又は三次的な相互作用を伴うことさえある。したがって、上記残基がどのようにこれらの分子と結合するかという知識は、上記分析に関係している。さらに、野生型残基のいくつかは、これらが目的とする相互作用に十分に働くという意味で好ましく、一方、他の野生型の残基は、相互作用にあまり十分に働かないという意味で好ましくない。したがって、一実施形態では、好ましくない残基が置換され得る。例えば、C末端のバリンはHLA分子との強い相互作用を生むので、一般的に好ましいアンカー残基であり、よって、この残基を置換するのはあまり好ましくない。しかし、有益なアンカー残基を組み込むことによる野生型の腫瘍関連ペプチドエピトープの修飾が、HLA分子との結合プロファイルの改善及び免疫原性の増大を伴うアナログを生成する。最も成功した例の1つは、Melan−A26−35エピトープのA27Lペプチドアナログである(Valmori D他 J Immunol. 160(4):1750-8,1998、これはその全体が参照により本明細書に援用される)。元のエピトープは部位2で最適なアンカー残基を欠くので、HLA−A2分子と安定な複合体を形成することはできなかった。対照的に、修飾されたMelan A26-35A27Lペプチドアナログは、HLA−A2分子との結合プロファイルが明白に増大し、野生型よりも大きい免疫原性を示した。このアナログを用いて、患者を免疫化することにより、細胞表面で提示された野生型エピトープを認識することができる、強いT細胞免疫応答を生じた。GP100 209〜217(Parkhurst MR他J Immunol. 157(6):2539-48,1996、これは、その全体が参照により本明細書に援用される)、Her−2 369〜377(Vertuani S他J Immunol. 172(6):3501-8,2004、これはその全体が参照により本明細書に援用される)のような他の多くの腫瘍関連エピトープを用いることにより、同様の修飾が得られた。
【0103】
置換する残基の個数の選択には、野生型のエピトープを認識するT細胞によって依然として認識されるであろうエピトープの質を十分に維持しつつ、より良好な残基を置換することが必要とされる。したがって、一実施形態では、1つ又は2つの置換が野生型のペプチドで為される。さらなる実施形態では、野生型のペプチドとの交差反応性を依然として維持しつつ、2つよりも多い置換が野生型のペプチドで為される。
【0104】
したがって、一般的には、TCR認識に関係するペプチドの一部は、野生型エピトープと交差反応するとともに、免疫原性が改善されるように置換されることが望ましい。例えば、免疫原性の増大を示すペプチドが好ましい。N末端のP2すなわち第2のアミノ酸は、改善した結合特性により、改善した免疫原性を生むプロセスに最初に関わると考えられているので、好ましい置換部位であり、目的の置換を同定するために多くの修飾が例示的なアナログにおいて為された。同様の考え方が、MHC結合にも重要であるカルボキシ末端部位、すなわちPΩにもあてはまる。
【0105】
したがって、一実施形態において、アナログには、野生型のアラニンをより疎水性の残
基に置換する、P2残基における置換が挙げられる。さらなる実施形態では疎水性残基はまた、より巨大な側鎖を有することができる。さらなる実施形態では、P1の残基は、より疎水性の残基で置換することができる。さらなる実施形態では、P1及びP2残基の両方がより疎水性の残基で置換することができる。さらなる実施形態では、P1、P2及びP9の残基の少なくとも1つを置換することができる。さらなる実施形態では、P1、P2及びP9の残基の少なくとも2つを置換することができる。さらなる実施形態では、P1、P2、P9、P4、及びP6での残基の少なくとも2つを、TCR結合に関連する1つ又は複数の残基を含んで、置換することができる。
【0106】
さらに、TCR又はMHC分子との結合を二次的にのみ伴うこれらの残基の置換が、有益である。例えば、二次的なTCR結合アミノ酸の置換は、依然として結合し、応答を生じ、且つMHC分子との結合を妨げないが、好ましくは自己抗原の耐性問題を克服するアナログを生成することができる。これは、癌を有する患者が抗原に部分的に耐性化し得るので有用である。したがって、この耐性を克服するために、いくつかの活性を維持するアナログが、より改善された免疫原性を有するアナログより好ましい可能性があるが、それは、このアナログが免疫系により「自己」として認識される可能性が低いからである。
【0107】
1.N末端に近接した第1のアンカー修飾(P2)
N末端の第1のアンカーは、ペプチドの第2のN末端アミノ酸であり、N末端に近接した第1のアンカーである。これは、最初にMHC分子との相互作用に関わり、置換が結合及び安定性の改善をもたらし得る。しかし、これはまた、TCR相互作用にも二次的に関わり得る。したがって、この部位の置換は、MHC分子との相互作用の改善並びにTCRとの相互作用の改善を伴うペプチドをもたらし得る。
【0108】
野生型の配列におけるこの部位で見出されるアラニンは、一般的にMHC分子との相互作用に関して好ましくないと考えられている。したがって、好ましい実施形態のアナログは、この部位での置換を有する。一実施形態では、野生型の配列において見出された元のAla42は、より疎水性のアミノ酸で置換することができる。標準アミノ酸及び非標準アミノ酸を含む、利用可能であるか又は当業者に既知である任意のものを含めた、より疎水性の任意のアミノ酸を使用することができる。さらなる実施形態では、元のAla42は、巨大な側鎖も保有しているより疎水性のアミノ酸で置換される。より疎水性のアミノ酸の例としては、Leu、Val、Ile、Met、α−アミノ酪酸、ノルロイシン及びノルバリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
【表1】

【0110】
2.N末端の第2のアンカー修飾(P1)
N末端の第2のアンカーは、N末端の第1のアミノ酸である。この残基は、Lys41であり、HLA−A*0201分子との相互作用における第2のアンカー残基として定義される。しかし、これはまた、T細胞受容体との相互作用に或る程度関与する。したがって、この位置の修飾は、より免疫原性で、腫瘍ワクチンの開発により好適ないくつかのヘテロクリティックアナログを生成することができる。この位置でのリジンが一般的に好ましいと考えられるが、置換は特性の大きな改善を伴う。
【0111】
したがって、一実施形態では、野生型の配列において見出される元のLys43はより疎水性のアミノ酸で置換することができる。標準アミノ酸及び非標準アミノ酸を含む、利用可能であるか又は当業者に既知である任意のものを含めた、より疎水性の任意のアミノ酸を使用することができる。さらなる実施形態では、Lys43は芳香族アミノ酸で置換することができる。より疎水性のアミノ酸の例としては、Phe、Tyr、Trp及びD−Lysが挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
【表2】

【0113】
3.N末端の第1及び第2の修飾(P2及びP1)
一実施形態では、第1及び第2のアンカー残基の両方が置換され、HLA分子に対する結合親和性の改善をもたらした。さらなる実施形態では、2重の置換が、HLA分子に対する結合安定性が改善した。さらなる実施形態では、結合及び/又は安定性が改善されず、低減すらする場合もあったが、耐性化された個体による活性又は認識のような、分子の他の特性が改善された。
【0114】
【表3】

【0115】
4.N末端の第1/第2のアンカー及びC末端の第1の修飾(P2、P1及びP9)
野生型ペプチドのC末端のValは、一般的に好ましいアンカー残基であり、最初にMHC分子との相互作用に関わる。しかし、どのアミノ酸が第1及び第2のN末端の修飾を伴うアナログを改善するかを同定するために、置換が行われた。これらのC末端の置換は、1つ又は複数のN末端の修飾なしでも使用することができる。
【0116】
これらの修飾が、結合親和性及び安定性を改善し、いくつかの場合には、交差反応性が低減したアナログをもたらすことが示された。このように、いくつかの実施形態では、C末端への置換は、交差反応性を低減させることなく、結合及び/又は安定性の改善を伴うペプチドをもたらした。しかし、別の実施形態では、C末端への置換が同程度又は低減した交差反応性と共に、結合及び/又は安定性の改善を伴うペプチドをもたらした。各分子は、或る特定の場合又は或る特定の患者において使用することができる。一実施形態では、C末端のバリンが大きな脂肪族アミノ酸で置換される。
【0117】
【表4】

【0118】
5.N末端の第1/第2のアンカー及びTCR残基修飾
TCR部位は、一般的にP4、P6及びP8残基として認識され、TCRとの結合に関わる第1の残基である。しかし、他の残基も、程度低いものの相互作用に関わる。一実施形態では、TCR相互作用に最初に関わる1つ又は複数の部位を、相互作用を増大するために置換することができる。おそらく、これらの置換は、MHC分子との結合を妨げないヘテロクリティックアナログを生成することができ、野生型ペプチドの耐性問題を克服することができる。さらなる実施形態では、TCR置換の少なくとも1つは、P1、P2及び/又はP9部位での少なくとも1つの置換を含むことができる。さらなる実施形態では、P4、P6及びP8部位での任意の1つ又は複数の置換は極性アミノ酸である。さらなる実施形態では、置換はP8部位での芳香族アミノ酸である。さらなる実施形態では、置換はP6部位での巨大脂肪族側鎖を有するアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換は相互作用を保つために大きな側鎖を有するアミノ酸である。
【0119】
【表5】

【0120】
6.C末端アミド
いくつかの実施形態では、C末端の残基が遊離型カルボン酸の場所でアミドを含むように修飾することができる。したがって、例えば、ペプチドが9−mer(九量体)である場合、P9残基が修飾され得る。ペプチドが10−mer(十量体)である場合、P10
残基が修飾され得る。好ましくは、これは、血液、リンパ液及びCNSを含むが、これらに限定されない生体媒質中で安定性が増大したペプチド又はアナログをもたらす。好ましくは、ペプチドは他の必要な活性を維持し、ワクチン接種の使用に適したアナログをすなわちイムノゲンとしてもたらすことができる。
【0121】
【表6】

【0122】
7.十量体
一般的なMHC結合ペプチドの長さは、約8〜約11のアミノ酸長で変化する。しかし、これまでに使用されたHLA−A*0201の多くは、9−mers(九量体)又は10−mers(十量体)である。したがって、一実施形態では、アナログは野生型の配列SSX−241-50のアナログである。しかし、野生型10−merが正確な結合モチーフを有さず、免疫学的活性を示さないので、10−merはP10部位におけるアミノ酸の置換並びに様々な野生型及びアナログの効果の同定によって作り出された(図1参照)。
【0123】
8.残存する残基
図1A及び図1Bに関して、任意の残基もまた保存的アミノ酸で置換することができる。保存的置換は、効果を生み出すことのできる上記置換のいずれかと対になり得る。あるいは保存的置換は、一次的、二次的又は三次的なレベルでさえ、何らかの活性に関係しているとは考えられない残基で特異的である。このような残基には、P3、P5及びP7が挙げられる。アナログを生成するために、例えばP3部位のセリンをアラニン又はスレオニンで置換することができる。一般的には、このような保存的置換は、アナログの活性に有意な影響を与えないが、いくつかの実施形態では、これらはある特定の活性を増大又は低減する。
【0124】
NY−ESO−1157-165アナログ
アナログの設計の多様な実施形態及び態様に関する多くの特性が、一般的に又はSSX−2エピトープに適用されるように、上記に開示されている。このような開示はまた、このエピトープ及びこれに続くエピトープに適用可能であるということを理解すべきである。簡潔にするために、このような開示を明確に再び述べることを最小限にとどめる。
【0125】
いくつかの実施形態は、MHCクラスI制限T細胞エピトープNY−ESO−1157-165のアナログ、SLLMWITQC(配列番号1)、エピトープアナログを提示するためにpAPCによってプロセッシングすることができるこれらのアナログを含むポリペプチ
ド、及びアナログを発現する核酸に関する。このアナログは、野生型のエピトープに比べて同程度又は改善された免疫学的特性を有する。
【0126】
一実施形態は、置換を包含する特異的な配列と共に、NY−ESO−1157-165のアナログを誘導体化及び改善する方法に関する。アナログは、置換を少なくとも1つ含むが、標準アミノ酸又は非標準アミノ酸を単独で又は様々な組み合わせで含む複数の置換を有する。アナログは、特性が維持又は改善されたペプチドをもたらす。
【0127】
エピトープNY−ESO−1157-165は、NY−ESO−1発現細胞系に対するエピトープ特異的なT細胞活性を測定することによって、NY−ESO−1発現細胞系で提示されることが示されており(Jaeger, E他 J. Exp. Med. 187:265-270,1998、「癌関連抗原をコードする単離核酸分子、抗原自体、及びこれらの使用」と題される米国特許番号第6,274,145号)、これはその全体が参照により本明細書に援用される。ペプチドNY−ESO−1157-165の物理化学的特性を改善する方法が、本明細書にその全体が参照により援用される「NY−ESO−1ペプチド誘導体及びその使用」と題される米国特許番号第6,417,165号)に記載されており、MHCとの相互作用を維持又は増大し、活性を妨げるジスルフィドC−C結合形成を妨げるような特性のない、他のアミノ酸を有する末端のシステインの交換から成る。しかし、C末端システイン残基の唯一の操作は、主要組織適合性(MHC)及び/又はT細胞受容体(TCR)結合に関するペプチド全体の、複数の残基を最適化するという利点を相殺する。したがって、Cys残基を変異させるという実用性を越えて、ペプチド全体のさらなるアミノ酸を変異させるのにかなり多くの機会が存在する。例えば、置換は、治療におけるより効果的な適用を可能にする方法において、MHC及び/又はTCRとの結合をさらに最適化するのに使用することができる。
【0128】
いくつかの実施形態は、ヒト精巣癌(CT)抗原NY−ESO−1(NY−ESO−1157-165)のアミノ酸157〜165の配列における9又は10個のアミノ酸長の1つ又は複数のペプチドの集合に関する。
【0129】
アナログ設計
アナログは、一般的に配列SLLMWITQC(配列番号1)を有するNY−ESO−1157-165のアナログである。野生型のアミノ酸が好ましいか、好ましくないかの分析には、他のペプチドとMHC又はTCRの相互作用に関するこれまでの分析を使用した。例えば、C末端のシステインは、HLA分子との強い相互作用を生み出さないので、一般的には好ましくないアンカー残基であり、したがって、この残基を置換することは非常に好ましい。しかし、P1部位のセリンは一般的に好ましいにも関わらず、芳香族化合物を置換することにより、特性が改善されたペプチドを製造することができることが見出された。さらに、P2部位のロイシンは一般的にこのましいが、疎水性及び/又は巨大なアミノ酸の置換は特性が改善されたペプチドをもたらした。最初にTCRとの相互作用を伴う残基(P4、P6及びP8)は、P8においては、芳香族化合物が一般的に有益な特性を有するペプチドを製造した。
【0130】
好ましい一実施形態は、P2部位における置換を有するアナログに関する。好ましくは、置換は疎水性の残基である。さらに好ましくは、置換は巨大な疎水性の残基である。さらなる実施形態ではP1の残基は、より疎水性の残基で置換される。さらなる実施形態ではP1及びP2残基は両方とも、より疎水性の残基で置換される。さらなる実施形態では、P1、P2及びP9の残基の少なくとも1つが置換される。さらなる実施形態では、P1、P2及びP9の残基の少なくとも2つが置換される。さらなる実施形態では、TCR結合に関わる1つ又は複数の残基を含むP1、P2、P9、P4及びP6の残基の少なくとも2つが置換される。さらなる実施形態では、P8が残基を芳香族化合物で置換される
。以下の置換の例は、図13A〜図13Cに示される。
【0131】
1.N末端に近接した第1のアンカー修飾(P2)
N末端の第1のアンカーは、ペプチドの第2のN末端アミノ酸であり、したがって、N末端に近接した第1のアンカーである。元のロイシン158は、NHC分子との結合に関して「好ましくない」とは考えられないが、置換により結合が改善されたペプチドを製造することができる。したがって、一実施形態では、野生型の配列中の元のLeu158は、同程度又はより疎水性のアミノ酸で置換される。標準アミノ酸及び非標準アミノ酸などの、利用可能であるか又は当業者に既知のものを含めた、任意の疎水性アミノ酸を利用することができる。さらなる実施形態では、元のLeu158は巨大な側鎖を有するより疎水性のアミノ酸で置換される。より疎水性のアミノ酸の例としては、Leu、Val、Ile、Met、α−アミノ酪酸、ノルロイシン及びノルバリンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ナフタール側鎖もまた置換される。好ましくは、置換によりHLA分子との結合及び安定性の改善がもたらされる。しかし、この残基は二次的又は三次的にTCR相互作用に関わり、置換はまたTCRによる認識の改善をもたらす。
【0132】
2.N末端の第2のアンカー修飾(P1)
N末端の第2のアンカーは、N末端の第1のアミノ酸すなわちP1である。この残基は多数の相互作用に関係する。Ser157の残基は、HLA−A*0201分子との相互作用における第2のアンカー残基として定義され、これはまた、T細胞受容体との相互作用に或る程度関与する。したがって、この部位の修飾は、より免疫原性であるとともに腫瘍ワクチンの開発により好適な、いくつかのヘテロクリティックアナログを生成する。したがって、置換は広範な質の改善をもたらし得る。
【0133】
セリンは、「好ましくない」とは考えられてはいないが、多くの置換はペプチドの質の改善をもたらす。したがって、一実施形態では、野生型配列中の元のSer157が、より疎水性のアミノ酸で置換される。標準アミノ酸及び非標準アミノ酸などの、利用可能であるか又は当業者に既知のものを含めた、任意のより疎水性のアミノ酸を利用することができる。より疎水性のアミノ酸の例には、Phe、Tyr、Trp、及びD−Lysが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
3.N末端の第1の修飾及び第2の修飾(P2及びP1)
一実施形態では、第1及び第2のアンカー残基の両方が置換され、HLA分子に対する結合親和性の改善をもたらした。さらなる実施形態では、2重の置換が、HLA分子に対する結合の安定性が改善された。さらなる実施形態では、結合及び/又は安定性が改善されず、低減する場合もあったが、耐性化された個体による活性又は認識などの、分子の他の特性が改善された。
【0135】
4.N末端の第1/第2のアンカー及びC末端の第1の修飾(P2、P1及びP9)
野生型ペプチドのC末端のシステインは一般的に好ましくないアンカー残基である。この残基は最初にMHC分子との相互作用に関わるので、MHC分子とのより強い相互作用をもたらす残基を置換することが好ましい。したがって、置換は、結合親和性及び安定性の改善を示し、いくつかの場合では、交差反応性の低減を伴うアナログをもたした。いくつかの実施形態では、C末端への置換は交差反応性を低減することなく、結合及び/又は安定性の改善を伴うペプチドをもたらす。しかし、別の実施形態では、C末端への置換は、同程度又は低減した交差反応性と共に、結合及び/又は安定性の改善を伴うペプチドをもたらす。この残基の置換は、ペプチドの改善をもたらすことがこれまでに示されているので、好ましくは、MHC分子との相互作用並びにTCRによる認識のような、他の相互作用が改善されたペプチドを製造することができる。したがって、いくつかの実施形態では、C末端の置換は少なくとも1つの他の置換と対になる。C末端へのアミノ酸置換の例
には、バリン、リジン、アラニン、及びイソロイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
5.N末端の第1/第2のアンカー及びTCR残基修飾
TCRとの相互作用に関わる第1の残基は、一般的にP4残基、P6残基、及びP8残基として認識される。しかし、他の残基はまた、それほどではないにせよ相互作用を関わる。一実施形態では、相互作用の改善をもたらすために、TCR相互作用を最初に関わる1つ又は複数の部位が置換される。好ましくは、これらの置換は、MHC分子と結合することを妨げないが、野生型ペプチドの耐性問題を克服することができるヘテロクリティックアナログを生じることができる。一実施形態では、少なくとも1つのTCR置換は、P1部位、P2部位及び/又はP9部位での置換を少なくとも1つ含む。一実施形態では、ある程度の極性を有するアミノ酸を、P4、P6、及びP8で置換することができる。さらなる実施形態では、芳香族化合物であるアミノ酸をP8部位で置換することができる。
【0137】
6.C末端アミド
いくつかの実施形態では、C末端残基を、遊離型カルボン酸の変わりにアミドを含むように修飾することができる。したがって、例えば、ペプチドが9−mer(九量体)である場合、P9残基が修飾される。ペプチドが10−mer(十量体)である場合、P10残基が修飾される。好ましくは、これは血液、リンパ液、及びCNSを含むが、これらに限定されない生体媒質において、安定性が増大したペプチド又はアナログをもたらす。好ましくは、ペプチドは他の活性を維持し、ワクチン接種の使用に適したアナログ又はイムノゲンとしてもたらすことができる。
【0138】
7.十量体
一般的なMHC結合ペプチドの長さは、約8〜約11のアミノ酸長である。しかし、これまでに使用されたHLA−A*0201の多くは、9−mers(九量体)又は10−mers(十量体)である。したがって、一実施形態では、アナログは野生型配列NY−ESO−1157-166の10−merである。しかし、野生型10−merが正確な結合モチーフを有さず、免疫学的活性を示さないので、10−merはP10部位でのアミノ酸の置換並びに様々な野生型及びアナログの効果の同定によって作り出された(図13A〜図13C参照)。一実施形態では、野生型のC末端で付加又は置換される残基は、ノルバリン、ロイシン、イソロイシン、バリン及びアラニンから成る群から選択される。
【0139】
8.残存残基
図13A及び図13Cに関して、任意の残基もまた保存的アミノ酸で置換することができる。保存的置換は、効果を生み出すことのできる上記置換のいずれかと対になり得る。あるいは保存的置換は、一次的、二次的又は三次的なレベルでさえ、何らかの活性に関係しているとは考えられない残基で特異的である。このような残基には、P3、P5及び/又はP7が挙げられ得る。保存的置換は当業者に既知であるが、例えばP3部位のロイシンは、アナログを製造するためにアラニン又はスレオニンで置換される。一般的には、このような保存的置換は、アナログの活性に有意な影響を与えない。しかし、いくつかの実施形態では、これらはある特定の活性を増大又はある特定の活性を低減し得る。既知の相互作用のために、このような保存的置換が活性のいずれかへの有意な影響を有するであろうということは考えにくい。
【0140】
PSMA288-297アナログ
アナログの設計の多様な実施形態及び態様に関する多くの特性が、一般的に又は特定のエピトープに適用されるように、上記に開示されている。このような開示はまた、このエピトープ及びこれに続くエピトープに適用可能であるということを理解すべきである。簡潔にするために、このような開示を明確に再び述べることを最小限にとどめる。
【0141】
いくつかの実施形態は、MHCクラスI制限T細胞エピトープPSMA288-297のアナログ、GLPSIPVHPI、エピトープアナログを提示するためにpAPCによってプロセッシングすることができるこれらのアナログを含むポリペプチド及びアナログを発現する核酸に関する。このアナログは、野生型のエピトープに比べて同程度又は改善された免疫学的特性を有する。ヒト癌細胞によるこのエピトープの提示を立証する証拠は、以下の実施例32で提示される。
【0142】
一実施形態は、置換を包含する特異的な配列を持つPSMA288-297のアナログを誘導体化及び改善する方法に関する。アナログは、置換を少なくとも1つ含むが、標準アミノ酸又は非標準アミノ酸を単独又は様々な組み合わせで含む複数の置換を有する。アナログは、特性が維持又は改善されたペプチドをもたらす。
【0143】
いくつかの実施形態は、ヒトPSMAのアミノ酸288〜297に対する配列に関する9又は10個のアミノ酸長の1つ又は複数のペプチドの集合に関する。
【0144】
アナログ設計
いくつかの実施形態では、PSMA288-297アナログは配列GLPSIPVHPIの置換を含む。以下の実施例2の表7に示されるように、結合モチーフのデータに関する参考資料は、P2アンカー残基が、A2.1制限エピトープの任意の部位における親和性に最も大きく寄与をすることを示している。この場合、P2部位のアミノ酸は、ロイシンが好ましい。PΩアンカー残基は、イソロイシンが好ましい。T2細胞アッセイシステム(図示せず)を使用したin vitroにおける結合の研究により、天然のペプチドは、一般的に、特にSSX−2及びNY−ESO−1に比べて優れた結合特性を有することが示されている。エピトープは、比較的低い濃度で有意な結合を示したが、これは、飽和状態に向かっての比較的緩やかな上昇と相関があった。野生型のエピトープは改善することができる。表7及び表8で示される分析は平均値であり、特定の配列における残基の挙動は、平均値からそれる。上記で検討されたSSX−2及びNY−ESO−1エピトープのNle及びNvaで得られた好ましい結果と一致しているので、Nle及びNvaはまた、PSMAエピトープのために上手く使用することができる。最終的には、エピトープに対するどのような耐性をも避けるのに役立つ代替物と相関がある場合、同様の結合特性であっても、ペプチドの免疫原性を効果的に増大することができる。トランスジェニックマウスモデルにおいて、天然のペプチドはエピトープに対する耐性を反映し得る程度の免疫原性(例えば、実施例35参照)しかなく、このエピトープが由来するPSMA領域がマウスとヒトPSMAとの間で同一である。
【0145】
1.N末端に近接した第1のアンカー修飾(P2)
上記したように、このエピトープのP2部位における天然残基は、通常、遺伝的にコードされたアミノ酸の中で最適な残基であるが、他の好ましい疎水性残基又は巨大な疎水性残基の効果が、結合、耐性破壊及び交差反応性免疫の潜在的な改善のために研究された。例示的な置換には、Met、Ile、Gln、Val、Nva、Nle及びアミノ酪酸(Abu)が挙げられる。
【0146】
2.N末端の第2のアンカー修飾(P1)
N末端の第2のアンカーは、N末端の第1のアミノ酸である。天然のGlyがこの位置であることはわずかに好ましいにすぎない。様々な観察(例えば、表7及び表8参照)がエピトープを改善する潜在性を有するアミノ酸には、Ala、Ser、Abu及びサルコシン(Sar、つまりN−メチルグリシン)が挙げられることを示す。
【0147】
3.C末端の第1のアンカー修飾(PΩ)
この位置での天然のIleは一般的に好ましいが、最適な残基ではない。この位置での置換は結合を改善することができる。例示的な置換には、Val、Leu、Nva、及びNleが挙げられる。
【0148】
4.第2のアンカー及びTCR調査
最後から第2の部位(PΩ−1)は、第2のアンカー及びTCR相互作用部位の両方の役割を果たす。Ala、Leu、Ser及びThrの置換は、TCR相互作用へのこれらの最初の効果を有するが、これらはまた、結合の改善に寄与する。P3は、結合及び免疫原性の両方をもたらし得る別の位置である。この位置でのTrpの置換は、結合及び免疫原性の両方を改善する。
【0149】
さらなる実施形態は、単独の置換で得られる様々な効果の組み合わせ、相乗作用、阻害のための複数の位置での置換の組み合わせに関する。
【0150】
PRAME425-433アナログ
アナログの設計の多様な実施形態及び態様に関する多くの特性が、一般的に又は特定のエピトープに適用されるように、上記に開示されている。このような開示はまた、このエピトープ及びこれに続くエピトープに適用可能であるということを理解すべきである。簡潔にするために、このような開示を明確に再び述べることを最小限にとどめる。
【0151】
いくつかの実施形態には、MHCクラスI制限T細胞エピトープPRAME425-433のアナログ、SLLQHLIGL、エピトープアナログを提示するためにpAPCによってプロセッシングすることができるこれらのアナログを含むポリペプチド、及びアナログを発現する核酸が含まれる。このアナログは、野生型エピトープに比べて同程度又は改善された免疫学的特性を有する。ヒト癌細胞によるこのエピトープの提示を立証する証拠は、以下の実施例39で提示される。
【0152】
一実施形態は、置換を包含する特異的な配列を持つPRAME425-433のアナログを誘導体化及び改善する方法に関する。アナログは、置換を少なくとも1つ含むが、標準アミノ酸又は非標準アミノ酸を単独又は様々な組み合わせで含む複数の置換を有する。アナログは、特性が維持又は改善されたペプチドをもたらす。
【0153】
いくつかの実施形態は、ヒトPRAME配列のアミノ酸425〜433に対する配列に関する9又は10個のアミノ酸長の1つ又は複数のペプチドの集合に関する。
【0154】
アナログ設計
いくつかの実施形態は、配列SLLQHLIGLの置換を含むPRAME425-433のアナログに関する。以下の実施例2の表7に示されるような、結合モチーフのデータに関する参考資料は、P2アンカー残基が、A2.1制限エピトープの任意の部位における親和性に最も大きく寄与することを示している。この場合、P2部位のアミノ酸は、ロイシンが好ましい。PΩアンカー残基は、ロイシンがこのましいが、以上に好ましいというわけではない。表7及び表8で示される分析は平均値であり、特定の配列における残基の挙動は、平均値からそれる、野生型のPΩ残基がその部位に必ずしも最も好ましいわけではない。他のエピトープのNle及びNvaで得られた好ましい結果と一致しているので、Nle及びNvaとこの配列を置換することで同程度の改善を得ることができる。最終的には、エピトープに対するどのような耐性をも避けるのに役立つ代替物と相関がある場合、同様の結合特性であっても、ペプチドの免疫原性を効果的に増大することができる。
【0155】
様々な置換に関する論理的根拠は、上記に説明されている。PRAME425-433エピトープで研究された特定の置換は、同じ論理に従い、実施例40〜42及び図25〜27に
開示されている。置換は、第1のアンカー部位P2及びPΩ(P9)、第2のアンカー部位P1及びPΩ−1(P8)で為された。置換はまた、TCR相互作用部位(第2のアンカー部位に加えて)P3及びP6で為された。選択された置換は、MHCクラスIペプチド複合体の結合及び/又は安定性、ペプチドの免疫学的特性を確定する鍵となる特性への影響を有する。さらに、T細胞レパートリーの検討から、また、天然エピトープに対する限定された免疫力に関与する仕組みを妨げるために、天然ペプチドを認識するT細胞受容体と相互作用するアナログの能力を維持する置換が、実用的価値となる。
【実施例】
【0156】
以下の実施例は、アナログ及びアナログを同定する方法を提供する。アナログは、例えば、免疫原、ワクチン及び/又は様々な癌の治療として使用することができる。アナログは、実施例1のように生成した。SSX−241-49アナログは、実施例2に示されるように同定されて、生成されたアナログは実施例3に列挙され、実施例4〜21に見られるように、改善された特性に関して試験した。NY−ESO−1157-165アナログの試験は、実施例22〜30に見られるように、改善された特性に関して試験した。
[実施例1]
【0157】
ペプチド合成、精製及び特徴づけ
ペプチドは、標準的なFmoc固相化学を使用して、0.05〜0.1ミリモルスケールでSymphony多重ペプチド合成機(PTI technologies, MA)又はABI 433Aペプチド合成機(Applied Biosystems, Foster City, CA)のいずれかで合成した。C末端遊離酸ペプチドは、プレロードPEG−PS樹脂(Symphony)又はWang樹脂(ABI)を使用して合成した。C末端アミド化ペプチドは、Fmoc−PAL−PEG−PS樹脂上で合成した。樹脂はすべて、Applied Biosystems(Foster City, CA)から購入した。ペプチド合成で使用されるFmocアミノ酸は、Novabiochem(San Diego, CA)及びAnaSpec(San Jose, CA)から購入した。合成後切断は、標準的なプロトコルにより実施された。
【0158】
ペプチド精製は、準分取用HPLCカラム又はSPEカートリッジ(Phenomenex, Torrance, CA)で実施された。全てのペプチドの純度は90%以上であった。各ペプチドの同一性は、Maldi−TOF MS(Voyager DE, Applied Biosystems)及びSynergi
C12カラム(Phenomenex, Torrance, CA)を使用した分析用HPLC(Varian又はShimazu)により確認された。
[実施例2]
【0159】
de novo設計されたSSX−241-49アナログ
抗原性が高くないペプチドの構造的修飾は、ペプチド−MHC結合、CTL認識及び/又は免疫原性を相当改善させることができる。効力が増強されたペプチドアナログを得るために野生型エピトープを修飾する方法に関する一般的なガイドラインが当該技術分野で既知である。よく知られている戦略は、対象となる特定のMHC分子への結合に関わる、いわゆるアンカー部位にある残基を最適化することである。HLA−A2の場合では、P2及びPΩ部位にある疎水性残基、特にP2にあるL及びM、並びにPΩにあるVに関する顕著な優位性が観察された(PΩは、エピトープのC末端残基を示す。HLA−A2に関しては、PΩはペプチドの長さに応じてP9又はP10である)。F、Y及びWのような芳香族残基でP1位置を置換することもまた好ましい。
【0160】
【表7】

【0161】
【表8】

【0162】
出典:Rammensee, Bachmann, Stevanovic:MHCリガンド及びペプチドモチーフ(MHC ligands and peptide motifs). Landes Bioscience 1997。
[実施例3]
【0163】
以下のアナログは、実施例1における予測の元生成した。
【0164】
【表9−1】

【表9−2】

【表9−3】

【0165】
非標準アミノ酸に関する略語:Nle、ノルロイシン;Nva、ノルバリン;Phg、フェニルグリシン;Phe(4−F)、4−フルオロフェニルアラニン;Phe(4−NO2)、4−ニトロフェニルアラニン;Abu、α−アミノ酪酸;Aib、α−アミノイソ酪酸;MeLeu、メチルロイシン;MeVal、メチルバリン;β−(3−ベンゾチエニル)Ala、β−(3−ベンゾチエニル)アラニン;O−メチル−Tyr、O−メチルチロシン;Cha、シクロヘキシルアラニン;Nal−1、β−(1−ナフチル)アラニン;Nal−2、β−(2−ナフチル)アラニン;−NH2は、カルボキシ末端がアミドへ変更されたことを示す。
[実施例4〜21]
【0166】
SSX241-49アナログの試験
実施例3で生成されたアナログを、以下の実施例4〜21で、結合及び生物学的作用のような活性に関して試験した。
[実施例4]
【0167】
T2細胞を使用したペプチド結合
HLA−A*0201に対するペプチドアナログ及び野生型エピトープの親和性は、T2細胞ベースアッセイ(Regner M, 他., Exp Clin Immunogenet. 1996; 13(1):30-5、これはその全体が参照により本明細書に援用される)を使用して評価した。
【0168】
結合アッセイに関して簡潔に述べると、TAPの発現を欠如し、その結果細胞表面上で安定なMHCクラスIを構築しないT2細胞を、種々の濃度のペプチド(対照又はアナログ)を用いて37℃で一晩パルス化して、十分に洗浄して、MHCクラスI(A2対立遺伝子)を認識する、蛍光タグ付けした抗体で染色して、FacsScan分析器にかけた
。一定の濃度のアナログと陰性対照(非MHC結合剤)の間のMFI(平均蛍光強度)の差異は、MHCとペプチドとの間の安定化複合体がどれだけT2細胞の表面上に提示されたかの関数である。したがって、ペプチドの限界濃度では、主としてKonの尺度であり、ペプチドの飽和レベルでは、Kon及びKoffの両方の尺度である。結合は、数学的に関連する2つの要因:最大半量結合(飽和に相当するシグナルの50%となるペプチド濃度)及び相対親和性(1/RA)により定量化された。相対親和性RAは、対照(野生型ペプチド)に対して正規化された結合、例えばペプチドアナログに対する対照の最大半量結合の比である。1/RA指数が大きいほど、且つ最大半量結合が小さいほど、アナログとMHC間の相互作用のKonは高い。これらの結合パラメータにより、野生型ペプチドに対して改善された53個のアナログが同定された。これらの改善された結合剤は、MHC及び/又はTCRとの相互作用に関与することが既知である部位を含む1個、2個、3個又は複数個の置換(標準及び/又は非標準アミノ酸を含む)を有する。しかしながら、MHC結合に対する全体的な影響は、修飾に依存していた。このようなペプチドアナログは、治療用組成物において、或いは治療用組成物をさらに派生させるための構造基盤として有用である。
[実施例5]
【0169】
T2細胞を使用したペプチド安定性
MHC上でのペプチド安定性(Koff)は通常、単に結合(Kon)から推察され得ない。さらに、結合とともに、MHCクラスI上でのペプチドの安定性は、T細胞の活性化が「シグナル1」(T細胞受容体とのMHCペプチド複合体相互作用)の持続期間に依存するため、このようなペプチドの免疫学的特性に関して重要であることがよく知られている。安定性アッセイに関して簡潔に述べると、TAPの発現が欠如し、その結果細胞表面上で安定なMHCクラスIを構築しないT2細胞を、MHCクラスIの最大注入(「飽和」)を達成することが既知の濃度のペプチド(対照又はアナログ)を用いて37℃で一晩パルス化して、十分に洗浄して、内因性タンパク質合成を阻止するエメチンの存在下で種々の間隔で追跡した。十分な洗浄後、MHCクラスI(A2対立遺伝子)を認識する、蛍光タグ付けした抗体で細胞を染色して、FacsScan分析器にかけた。一定の濃度のアナログと陰性対照(非MHC結合剤)の間のMFI(平均蛍光強度)間の差異は、MHCとペプチドとの間の安定化複合体がどれだけT2細胞の表面上に提示されたかの関数である。経時的なシグナルの減衰は、0時間での(追跡間隔の初めでの)結合に対する安定性指数50%として数学的に表された。
【0170】
このような改善されたアナログは、MHC及び/又はTCRとの相互作用に関与することが既知である部位を含む1個、2個、3個又は複数個の置換(標準及び/又は非標準アミノ酸を含む)を有し、MHC安定性に対する全体的な効果が修飾に依存している。このようなペプチドアナログは、治療用組成物において、或いは治療用組成物をさらに派生させるための構造基盤として有用である。43個のアナログが、天然ペプチドに対して安定性が増大された。
【0171】
結合及び安定性の両方が改善されたアナログは、改善された組成物において、或いは治療上の有益性を有する改善された組成物を生成するための構造基盤として有用である。
[実施例6]
【0172】
アナログの免疫学的特性:交差反応性及び機能的結合力の評価
ペプチドの免疫学的特性は、MHC分子への結合(Kon及びKoff)及びTCR(TCRとMHCペプチド複合体間の相互作用の親和性)の関数として記載される。第1のMHCアンカー残基への修飾は概して、MHC分子への結合に対する全体的な影響に関してかなりの程度の予測が可能である。
【0173】
第2のMHCアンカー残基の修飾は、ペプチド−MHC相互作用に対して、Kon及びKoffとともに、TCRに対するMHCペプチド複合体の相互作用の親和性に影響を与える。
【0174】
全体的な免疫学的特性の使用及びモデリングの提唱された方法と緊密に結び付いた態様によるペプチドアナログの迅速且つ合理的なスクリーニングを可能にする方法が考案された(一元的なMHC相互作用及びTCR結合特性に関するKon及びKoff)。この方法は、ヒトMHC(例えば、A2対立遺伝子)を保有するトランスジェニックマウスで、有用な応答を発生するのに十分強力な免疫化法を使用して、天然(非突然変異)エピトープ(SSX−241-49)に対するT細胞系を生成させることを包含し得る。ペプチドアナログは、コンピテントAPCの存在下、ex vivoで応答を引き起こし、天然(非突然変異)エピトープに特異的なT細胞の機能的影響を測定した。予測される影響が交差反応性ペプチドの場合では二相性であったため(抗原誘導性細胞死、即ちAICDに起因して限界濃度で活性化し、またより高濃度で阻害する)、評価は、様々な濃度のアナログで実施された。以下の3つのパラメータの測定は、ペプチドアナログの基本的且つ有用な特徴を規定する:
1.T細胞活性化を引き起こす影響(例えば、サイトカイン生産)を誘発ためのペプチドアナログの最小所要濃度
2.任意のアナログ濃度における最大(ピーク値)影響(例えば、サイトカイン生産)
3.活性化影響(例えば、サイトカイン濃度)のピーク値におけるアナログ濃度
【0175】
例えば、パラメータ#1及び3と関連する値の低減をもたらすが、#2と関連する値の増大をもたらすアナログが有用である。対照としての天然エピトープ及び非関連非交差反応性ペプチドの使用は、潜在的な値を有するアナログの種類を同定する際に有用である。天然のエピトープの特性に定量的と同程度であるか、或いはそれらからやや減衰される特性を示すアナログは、それらが交差反応性を保持する一方で、天然のペプチドの免疫学的特性と異なった免疫学的特性(例えば、AICDを誘導するより低い傾向又はin vivoで耐性を破壊するか、又は応答性を回復させる能力)を示し得るという事実から、依然として有用であると考えられる。
【0176】
このスクリーニング法の幾つかの利点としては、実用性及び迅速性、読出しとして潜在的にバイアスされたT細胞クローンに代わる、より適切なポリクローナルT細胞系の使用、並びにTCRに対するペプチド−MHC複合体の交差反応性及び機能的結合力へと転換され得るKon、Koffのようなパラメータ、及びTCR親和性を統合している複合値が挙げられる。これらのパラメータは、in vivo免疫学的特性を予測することができ、したがって、ペプチドアナログをさらに評価、最適化及び実際に適用するための有用なパネルを描くことができる。MHCへ結合し、且つ一般的に知られている野生型ペプチドに特異的なTCRに対する交差反応性を保持するアナログは、このアッセイにおいて測定可能な影響を誘発すると予測される。全体的な方法を図2に示す。
【0177】
T細胞系の生成に使用される方法は下記の通りである:A2ヒト対立遺伝子を保有するHHDトランスジェニックマウス(Pascolo他 J. Exp. Med. 185(12):2043-51, 1997、これはその全体が参照により本明細書に援用される)を、pIpC25μgと混合したSSX−2天然エピトープ(41〜49)50μgを用いて、両側投与により0日目、4日目、14日目及び18日目に鼠径リンパ節へ免疫化した。最終追加免疫の7日後に、マウスを屠殺して、脾細胞の懸濁液を、完全HL−1培地中で5×106個の細胞/mlで調製した。細胞を平底96ウェルプレートにおいて、種々の濃度のペプチドとともに48時間(200μl/ウェル)、ウェルへ添加した10U/mlのrIL−2とともにインキュベートした。上清を回集して、IFN−γの濃度をELISAのような標準的な方法により評価した。
[実施例7]
【0178】
単一部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
上記(実施例6、図2)の方法を適用して、野生型バージョンの天然SSX−241-49エピトープ(KASEKIFYV)において単一の置換を有するアナログのライブラリー全体を精査した(図3)。ex vivoでIFN−γ生産を誘発するためのアナログの最小所要量と任意のアナログ濃度でのサイトカイン生産の最大量との間に強力な逆相関関係が見られた。
【0179】
L、V又はMによるA42の置換は、このアッセイで評価されるペプチドの免疫原性特性を改善させた。L及びV突然変異体は活性であった。Mは、天然エピトープよりも活性であった。I突然変異体は、野生型エピトープを認識するTCRに対する交差反応性を保持した。
【0180】
非標準アミノ酸Abu、Nle又はNvaによる42位のAの置換は、サイトカイン生産を誘発するのに要するアナログの最小量、及び生産されるサイトカインの最大量の両方に関して、野生型エピトープに対してペプチドの免疫原性特性を改善させた。D−Ala、D−Val、Nal−2又はAibを包含する突然変異体は、このアッセイにおいて、天然ペプチドに対して交差反応性の保持及び免疫活性の低減を示すが、依然としてそれらの特性を調節又は増強するためのさらなる誘導体化に有用である。42位でのNal−1は、活性を抑止させた。
【0181】
第1の残基K41の変更は、F又はPhgによる置換が活性を改善させるのに対して、W、D−Lys及びChaは、このアッセイで免疫原性特性を消失させることを示した。Y、Phe−4F、Phe(4−NO2)、O−メチル−Try又はβ−(3−ベンゾチエニル−Ala)によるKの置換は活性を保持した。
【0182】
Iによる置換によるV49(C末端残基)位の修飾は、元のエピトープに比較してより低レベルで活性を保持した。−NH2の付加による最終残基の修飾は、ペプチドの活性を消失させ、これは、続いてL又はVで42位にあるAを変更することにより回復した。このことは、野生型ペプチドよりも低い活性を有するアナログが依然としてさらなる誘導体化に有用であることを直接的に示している。
[実施例8]
【0183】
2つの部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
上記(実施例6、図2)の方法を適用して、野生型バージョンでの野生型SSX−241-49エピトープにおいて2つの置換を有するアナログのライブラリー全体を精査した(図4)。
【0184】
1位及び2位における協調的な修飾は、アナログの活性に対して可変的な影響を有する。例えば、Y、F又はWによるK41の置換は、V、M又はIによるA42の置換と共に、野生型ペプチドに対してアナログの活性を保存又は増強した。TCRへの結合にP1残基がある程度関与するので、このような二重突然変異ペプチドは、耐性破壊をもたらす方法でTCRとの相互作用に影響を与える機会を増大する(したがって、実践的な適用に有用である)。以下の組合せ:Y(41位)とV(42位)、W(41位)とI又はI(42位)、及びF(41位)とL、V、I(42位)は、野生型ペプチドより活性であるアナログを生じた。41位にあるYと42位にあるI、又は41位にあるWと42位にあるV又はMとの組合せは、野生型ペプチドの活性と類似した活性を付与した。41位におけるD−リシンによるKの置換は、このアッセイにおいて、活性が保持されたアナログを生じた。非標準アミノ酸を包含するこのようなペプチドの代謝的分解がin vivoで減
少されるため、このようなペプチドは非常に有用である。
【0185】
42位にあるV又はLと49位にあるIの組合せは、天然ペプチドを上回って増大された活性をもたらした。
[実施例9]
【0186】
複数の部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
上記(実施例6、図2)の方法適用して、野生型バージョンの天然SSX−241-49エピトープに対して3つ又はそれ以上の置換を有するアナログのライブラリー全体を精査した(図5)。
【0187】
49位にあるI又はAと組み合わせた、41位及び42位にあるF並びにVは、野生型エピトープよりも改善された活性又は類似した活性をもたらした。それに対し、49位にあるL又はMは、活性が激しく減少した。
【0188】
最終部位の非標準アミノ酸であるNva、Abu又はMeValを含む三重突然変異体は、免疫活性の保持又は改善をもたらした。このようなペプチドは、in vivoでの安定性の増大及び酵素分解に対する耐性により、極めて有用である。
【0189】
推定TCR結合領域内のアミノ酸残基の修飾は、MHCグルーブにおける立体構造が天然ペプチドの立体構造とわずかに異なるため、交差反応性ととともにMHCへの結合を保持し、免疫応答又は耐性破壊の回復に有用である、価値のあるペプチドを生じる44位(Q、Nva又はNle)、46位(L、V、Nle又はNva)又は48位(F又はPhe−4F)におけるさらなる置換は、活性なアナログを生じるが、44位にあるD、N、S又はT、46位にあるM、或いは48位にあるT、S、Phg、或いは48位にあるTを伴う46位にあるLは、活性を欠いたアナログを生じた。最終的に、5個の置換を有する2つのアナログは活性を示さなかった(図5)。
[実施例10]
【0190】
天然ペプチドを包含し、様々な部位で突然変異した十量体の交差反応性及び機能的結合力
上記(実施例6、図2)の方法を適用して、一般的に知られているSSX−241-49ペプチドを包含する十量体のアナログのライブラリー全体を精査した(図6)。
【0191】
十量体SSX2 41−50は、41−49九量体に特異的なT細胞系を刺激する際に、41−49九量体に対して著しく活性が低かった。50位にあるY残基のI又はLへの変更は、V、Nle又はNvaへの変更よりも程度が低いか、又は全くないが、このアッセイで活性の回復をもたらした。十量体アナログの活性のさらなる最適化は、L又はVにより2位にあるAを変更することにより得ることができる。A42L置換は、Y50Nva十量体の活性を回復した。天然ペプチドと比較して、in vitroで活性が類似又は低減した(しかし、交差反応性は保持された)ペプチドアナログは、i)より限定されたAICD、ii)クラスIMHC上で安定性が増大し及び/又は耐性破壊に重要であるTCRとの相互作用がわずかに変化することによる、潜在的に高いin vivo活性に起因して、免疫応答の誘導又は追加免疫に依然として有用である。
[実施例11]
【0192】
天然エピトープに対する免疫性の増強を誘発するためのアナログの使用(ex vivoでの評価)
マウスの3つのグループ(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目にPBS25μl中SSX−241-49天然エピトープを発現するプラスミド25μg/各リンパ節で鼠径リンパ節へ直接的に接種することにより免疫化した。これに続いて、28日目及
び31日目に2回のさらなるペプチド追加免疫(同量)を行った。免疫化のスケジュールを図7に示す。追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoでSSX−241-49天然ペプチドで刺激して、様々なE:T比で51Cr標識化した標的細胞(T2細胞)を試験した(図8)。アナログA42Vは、追加免疫剤としてアナログA42L又は野生型ペプチド自体と比較して、天然ペプチドを発現する標的細胞に対してより高い応答を誘発することが結果により示された。これは、ex vivoでの実験により確定される結合及び安定性パラメータと相関した。
[実施例12]
【0193】
天然エピトープに対する免疫性の増強を誘発するためのアナログの使用(in vivoでの評価)
マウスの8つのグループ(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目にPBS25μl中SSX−241-49天然エピトープを発現するプラスミド25μg/各リンパ節で鼠径リンパ節へ直接的に接種することにより免疫化した。これに続いて、図9に示されるように、陰性対照ペプチド(Melan A26−35「EAA」)、天然ペプチド又はアナログを使用して、28日目及び31日目に2つのさらなるペプチドの追加免疫(同量)を行った。
【0194】
in vivoにおける天然ペプチドに対するでの応答を評価するために、脾細胞を同腹子対照HHDマウスから単離して、20μg/mL又は1μg/mlの天然ペプチドとともに2時間インキュベートした。続いて、これらの細胞をCFSEhi蛍光で染色して(4.0μM又は1μM、15分間)、CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した同等数の対照脾細胞とともに免疫化マウスの静脈内に同時注入した。18時間後、標的細胞の特異的な排除は、誘発された動物から脾臓及びPBMCを取り出すこと、及びフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定された。ペプチド注入した脾細胞に対応する集合の相対的な減少は、対照(未注入)集合に対して算出され、特異的溶解%として表した。図10(脾臓)及び図11(血液)は、図7に記載されるレジメンにより誘発されるin vivoでの細胞毒性を示す。3つの試験ペプチド(A42V、K41F及びK41Y)は、20並びに1μg/mlの天然ペプチドでコーティングされた標的細胞に対して、脾臓及び血液の両方において、天然ペプチドに比べて活性が増大した。興味深いことに、結合と、MHCとの相互作用におけるアナログの安定性と、天然ペプチドに対してin vivoでの免疫性を発生させる能力との間で限られた相関が見られたにすぎなかった(図11)。
[実施例13]
【0195】
腫瘍細胞に対する応答の増強を誘発するためのアナログの使用
マウスの8つのグループ(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目にPBS25μl中SSX−241-49天然エピトープを発現するプラスミド25μg/各リンパ節で鼠径リンパ節へ直接的に接種することにより免疫化した。これに続いて、図9に示されるように、陰性対照ペプチド(Melan A26−35「EAA」)、天然ペプチド又はアナログを使用して、28日目及び31日目に2つのさらなるペプチドの追加免疫(同量)を行った。
【0196】
追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoでSSX−241-49野生型ペプチドで刺激して、様々なE:T比で51Cr標識化したヒト腫瘍細胞細胞(624.38メラノーマ細胞)に対して試験した(図12)。アナログA42V及びK41F A42A V49Iは、天然SSX−241-49エピトープを発現するヒト腫瘍細胞に対する細胞毒性の増大を介する免疫応答を誘発した。
[実施例14]
【0197】
N末端近接第1のアンカー修飾(第2のAA)
表3に示される置換アナログを試験した場合、アナログは、野生型ペプチドエピトープと比較して結合及び安定性が改善したプロファイルを示した。しかしながら、各アナログに関する改善の規模は様々であり、A42Vの置換は、HLA−A*0201分子との結合親和性に関して最高の改善を示した。さらに、A42V−HLA−A*0201複合体の安定性は、野生型ペプチドとHLA−A*0201との間で形成される複合体よりも良好であり、T1/2は11.5時間から20時間まで延長した。42AのL、V及びMへの置換を伴うペプチドは、かなりの低濃度で野生型ペプチド特異的CTLのIFN−γ分泌を誘導することが可能であった。42AのIへの置換は、結合及び安定性が改善したプロファイルを有するアナログを生成した。P2部位にある残基もまた、ある程度までTCRとの相互作用に携わる。この観察はまた、野生型エピトープに比べて、HLA−A*0201との類似した結合親和性が類似した42AがAibに置換されたアナログによる結果によっても支持された。
[実施例15]
【0198】
N末端の第2のアンカー修飾(第1のAA)
N末端の第2のアンカーは、N末端にある第1のアミノ酸である。したがって、一実施形態では、野生型配列で見出される元のLys43は、より疎水性且つ巨大なアミノ酸で置換される。標準アミノ酸及び非標準アミノ酸を含む当業者に利用可能なもの或いは当業者に既知であるものを包含する、任意のより疎水性且つ巨大なアミノ酸もまた使用することができる。より疎水性のアミノ酸の例としては、Phe、Tyr、Trp及びD−Lysが挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
Lys41の残基は、HLA−A*0201分子と相互作用する第2のアンカー残基として定義され、T細胞受容体との相互作用にある程度携わる。したがって、この部位の修飾は、より免疫原性が高く且つ腫瘍ワクチンの開発により適切な幾つかのヘテロクリティックアナログを生成することができる。
【0200】
表3から、Lys41をTyr、Phe又はPhe誘導体(フェニルグリシン、p−フルオロフェニルアラニン、p−ニトロフェニルアラニン)に置換することにより、得られたアナログはHLA−A*0201分子とより高い親和性を有し、安定な複合体が形成することを理解することができる。他方で、予測アルゴリズムに基づくと、Trpアナログは、Tyr及びPheアナログの親和性と類似した親和性を有するはずであるが、上記LysをTrp又はTrp誘導体に置換したアナログは、HLA−A*0201分子との親和性が著しく低減した。実験データは、予測されるアルゴリズムの限界を実証している。例えば、Lys41のPhgへの置換は、HLA−A*0201分子との親和性及び安定性をが改善したアナログを生じているが、野生型ペプチド特異的CTLとの交差反応性は明らかに乏しかった。他方で、HLA−A*0201分子との親和性は、野生型ペプチドの親和性とほぼ同じであったが、p−ニトロフェニルアラニンアナログは、かなり低濃度で野生型ペプチド特異的CTLのIFN−γ分泌を誘導することが示された。
[実施例16]
【0201】
N末端の第1/第2のアンカー修飾
N末端にある第1及び第2のアンカー残基両方が修飾される場合、一般的な傾向は、得られたアナログのHLA−A*0201分子との親和性及び安定性が改善されるが(表3)、但しほんのわずかに例外を伴う:(K41Y、A42V)、(K41Y、A42M)及び(K41(D−Lys)、A42V)。さらに、得られたアナログは、野生型ペプチド特異的CTLと非常に良好な交差反応性を有した。K41W置換をA42V又はA42Lと組み合わせることにより、結合/安定性プロファイルが改善され、これらのアナログはまた、野生型ペプチドと目的の交差反応性活性を有した。N末端の第1のアンカー及び
第2のアンカーの組合せ修飾は、より大きくペプチド構造及び立体構造を変化させた。
[実施例17]
【0202】
N末端の第1/第2のアンカー及びC末端の第1の修飾
野生型ペプチドのC末端のValは、好ましいアンカー残基であった。しかしながら、それを、1つのさらなる−CH2基を有するIleへ突然変異させた場合に、効果の改善が観察され、類似の改善が、ValをAbuに置換した場合でも観察された。他のアナログは、MHC分子との結合親和性及び安定性が改善したが、それらの交差反応性の結果は良好ではなかった。これらのアナログの結果により、ペプチドC末端アンカー残基がまた、T細胞の認識において重要な役割を果たすことが示された(表4)。
[実施例18]
【0203】
N末端の第1/第2のアンカー及びTCR部位修飾
第2のTCR結合アミノ酸残基の置換は好ましくは、MHC分子への結合を干渉しないが、自己抗原の耐性問題を克服するヘテロクリティックアナログを生成する。N末端の第1/第2のアンカー残基(K41F及びA42V)とTCR部位の置換を組み合わせることにより、結合親和性及び安定性が改善されたアナログが生成された(表6)。K41F、A42V、E44(Nva)/(Nle)突然変異体及びK41F、A42V、I46L/(Nva)/(Nle)突然変異体のようなこれらのアナログの幾つかは、より低濃度で野生型ペプチド特異的CTLのIFN−γ生産を誘導した。
[実施例19]
【0204】
N末端アミド
ペプチドの遊離型カルボン酸のC末端をアミドで置換することで、タンパク質分解に対する安定性を付与することにより生物培地においてペプチド安定性を改善させ、ペプチドに対するジペプチジルカルボキシペプチダーゼ耐性を付与した。しかしながら、得られたアナログの幾つかは、MHC分子との親和性、並びに免疫原性及び抗原性が低減した。興味深いことに、本出願で開示される3つのアナログ(表7)は、MHC分子との結合能力を失うが、SSX−241-49−NH2(A42V)は、野生型ペプチドの濃度と同様の濃度でIFN−γの分泌を誘導する能力により示されるように、野生型ペプチド特異的CTLとの反応性を保持した。しかしながら、SSX−241-49−NH2(A42L)は、より低濃度でIFN−γ生産を刺激することが可能であった。
[実施例20]
【0205】
十量体
典型的なMHC結合ペプチドの長さは、八量体から11量体まで様々であり、ほとんどのHLA−A*0201結合ペプチドは、九量体又は十量体である。これまでの観察では、天然配列由来の九量体及び十量体はともに、同じMHCに関する結合モチーフを有することが見出されており、また同じN末端を有していた。プロテアソームプロセッシングの観点から、天然配列由来の九量体及び十量体は別個のエピトープであるが、それにもかかわらず抗原的に交差反応性であった。野生型エピトープSSX−241-49の場合、エピトープは九量体ペプチド及び十量体ペプチドであるSSX−241-50は、適切なMHC結合モチーフを欠き、免疫学的活性を示さなかった。したがって、野生型エピトープは、適切な結合モチーフを作ることができるアミノ酸を用いて十量体へ伸長された。表8に示すように、多くの十量体アナログが、HLA−A*0201分子とより低い結合親和性を有する一方で、アナログSSX−241-50(A42L、Y50L/V/Nle/Nva)は、HLA−A*0201分子に対する結合親和性をが改善された。特に、2つの十量体アナログ、A42L及びY50Nle/Nvaは、野生型ペプチドよりも低濃度で野生型ペプチドに対して免疫化されたT細胞からIFN−γ生産を誘導することが可能であった。
[実施例21]
【0206】
耐性化を克服するためのアナログの使用
アナログが野生型エピトープを上回った改善を示し得る一態様は、ヒト系における免疫原性の増大及び耐性破壊である。生殖細胞系の差異に起因しようと、陰性選択における差異に起因しようと、TCRレパートリーにおける差異は、変則的な結果を与える可能性を有する。このような問題に対処するために、アナログは、CTLを生成するためのHLA−A2+血液のin vitroでの免疫化で使用される。未処置のドナーでさえも使用するin vitroでの免疫化に関する手法は、当該技術分野で既知である(例えば、Stauss 他., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7871-7875, 1992、Salgaller 他. Cancer Res. 55:4972-4979, 1995、Tsai 他., J. Immunol. 158:1796-1802, 1997及びChung 他.,
J. Immunother. 22:279-287, 1999、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0207】
具体的には、正常ドナー由来のPBMCは、フィコール・ハイパック中での遠心分離によりバフィコートから精製された。培養はすべて、潜在的な異種病原体への暴露及びFBSペプチドの認識を回避するために、自己血漿(AP)を使用して実施された。ペプチド特異的CTLのin vitroでの生成をするために、自己樹状細胞(DC)をAPCとして用いた。その全体が参照により本明細書に援用されるKeogh 他., 2001に記載されるように、DCが生成されて、CTLは、DC及びにペプチドよりPBMCから誘導された。簡潔に述べると、単球に富んだ細胞分画を、GM−CSF及びIL−4とともに5日間培養して、2μg/mlのCD40リガンドを有する培養培地中でさらに2日間培養して成熟させた。24ウェルプレートで2×106個のCD8+に富んだTリンパ球/ウェル及び2×105個のペプチドパルス化DC/ウェルを、10%AP、10ng/mlのIL−7及び20IU/mlのIL−2を加えたRPMI2ml中で同時培養した。培養物は、7日目及び14日目に自己照射ペプチドパルス化DCで再刺激した。免疫原性は、本明細書中に記載するin vitroでの細胞毒性及びサイトカイン生産アッセイを使用してアッセイした。
[実施例22〜30]
【0208】
NY−ESO−1157-165アナログの試験
図13に列挙されるアナログは、以下の通り実施例22〜30で、結合及び生物学的影響のような活性に関して試験した。
[実施例22]
【0209】
単一部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力(図13A〜C)
上記(実施例6)の方法を適用して、自然(又は野生型)バージョンでの野生型NY−ESO−1157-165エピトープにおいて単一の置換を有するアナログのライブラリー全体を精査した(図13)。ex vivoでIFN−γ生産を誘発するためのアナログの最小必要量と任意のアナログ濃度でのサイトカイン生産の最大量との間に強力な逆相関関係が見られた。
【0210】
F又はKによるS157の置換は、MHC結合及び一般的に知られているエピトープに特異的なT細胞との交差反応性を部分的に有するアナログを生じた。IによるL158の置換は、この方法により評価されるペプチドの免疫学的特徴を改善させたのに対して、L158Vは、活性の部分的保持をもたらした。アミノ酸V、L、A又はIのいずれかによるC165の修飾は、免疫特性を改善した。
【0211】
N末端部位又は他の箇所で置換を有し、野生型ペプチドに対してこのアッセイにおいて保持されるが、増大されない活性を提示するペプチドは、ヒトにおいて有用である。さらに、当該ペプチドは、以下に記載するように、それらの特性を改善されるためのさらなる
誘導体化のための材料である。
[実施例23]
【0212】
2つの部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力(図13A〜C)
上記(実施例6)の方法を適用して、野生型NY−ESO−1157-165エピトープにおいて2つの置換を有するアナログのライブラリー全体を精査した。2位及び9位での同時半保存的修飾は、アナログの明確な独自性に応じて、アナログの免疫特性に対して強い影響を有することが示された。L158IをC165V又はC165Lと組み合わせることにより、野生型ペプチドと比べて活性がさらに増大した。同様に、L158Vは、C165V又はC165Lアナログの活性を改善して、野生型ペプチドと比べて活性をさらに増大した。L158Vは、C165A又はC165Iアナログの活性を部分的に保持し、第1のアンカー残基の二重突然変異の興味深い影響を示した。同様に、L158Iは、C165Aアナログの活性を部分的に保持した。
【0213】
1位及び9位での同時修飾は、アナログの明確な独自性に応じて、アナログの免疫特性に対して強い影響を有した。9位でのC165Nva(ノルバリン)又はNle(ノルロイシン)と組み合わせたS157Yは、S157Y単独又は野生型ペプチドを上回る実質的に改善された活性をもたらした。C165V突然変異体もまた、S157Y突然変異体の活性を回復した。9位でのV−NH2又はL−NH2は、S157Yアナログの活性を部分的に回復したが、A−NH2は回復しなかった。S157Fと9位のV、L、I、及び程度は低いがAとの組合せは、アナログの強力な活性を保持し、TCRとの相互作用における第1の残基の関与に起因して、9位での単一突然変異体よりも有用である。S157Kと9位でのV、L、I、及び程度は少ないがAとの組合せは、アナログの強力な活性を保持し、TCRとの相互作用における第1の残基の関与及び1位でのKのペプチド溶解性に対する全体的に有益な効果に起因して、9位での単一突然変異体よりも有用である。[実施例24]
【0214】
複数の部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力(図13A〜C)
上記(実施例6)の方法を適用して、野生型NY−ESO−1エピトープに対して複数の置換を有するアナログのライブラリー全体を精査した。
【0215】
L158Nva又はL158Nleは、S157Y C165V突然変異体の活性を大幅に改善させた。158位でのV又はIと、165位でのV、L、A又はIの組合せは、野生型ペプチドと比べてアナログの効果を部分的に回復することができる。S157Y L158I C165Vは、野生型ペプチド並びにC165V又はC165Iを伴うS157V及びC165L又はIを伴うS157Iと比べて活性が増大し、MHC結合及び野生型ペプチドに特異的なT細胞との交差反応性を保持した。
【0216】
160位でのL又はN、162位でのA、L、V又はN、或いは164位でのE、D又はTのほかに、157位及び165位でのY並びにVを含む三重置換は、交差反応性アッセイにおいてペプチドの活性を保持し、160位、162位及び164位
がTCRとの相互作用に関与するため、これらのアナログをin vivoでのT細胞耐性を破壊するのに有用な化合物としている。
【0217】
165位でのV、L、Iに加えて157F及び158Vを含む三重置換は、実施例2に記載するアッセイにおいて活性を示した。さらに、165位でのV又はAに加えてS157F及びL158Iを包含する三重突然変異体は活性を保持した。総合すると、これらのデータは、複数の置換の複雑な相互作用的且つ非線形的な特性を強調している。
【0218】
最後に、158V及び165Vとともに、S157W、及び程度はより大きいがS15
7Tを含む三重突然変異体は、野生型ペプチドに対して、それぞれ活性が保持又は増大された。
[実施例25]
【0219】
野生型ペプチドを包含し、様々な部位で突然変異された十量体の交差反応性及び機能的結合力(図13A〜C)
上記(実施例6)の方法を適用して、一般的に知られているNY−ESO−1157-165ペプチドを包含する十量体のアナログのライブラリー全体を精査した。十量体自体は、in vitroでの活性をかなり低減する一方で、166位でのL、又は157位でのY及び165位でのVと組み合わせた166位でのL、I、Nleのような、この位置での様々な置換は、活性を部分的に回復した。
【0220】
野生型ペプチドと比較して、in vitroで活性が類似又は低減された(しかし、交差反応性は保持された)ペプチドアナログは、i)より限定されたAICD(抗原誘導細胞死)、ii)クラスIMHCの安定性の増大及び/又はわずかに変更されたTCRとの相互作用に起因した、in vivoでのより高い活性に起因して、免疫応答の誘導又は追加免疫に依然として有用である。したがって、これらのアナログは耐性破壊に有用である。
[実施例26]
【0221】
アナログの免疫学的特性の評価:MHCクラスI分子へのペプチドの結合(図13A〜C)
HLA−A*0201に対するペプチド類縁類体及び野生型Iプトープの親和性は、T2細胞ベースのアッセイ(その全体が参照により本明細書に援用されるRegner M, 他., Exp Clin Immunogenet. 1996; 13(1):30-5)により評価した。結合アッセイに関して簡潔に述べると、TAPの発現を欠き、その結果細胞表面上で安定なMHCクラスIを構築しないT2細胞を、種々の濃度のペプチド(対照又はアナログ)を用いて37℃で一晩パルス化して、十分に洗浄して、MHCクラスI(A2対立遺伝子)を認識する蛍光タグ付けした抗体で染色して、FacsScan分析器にかけた。A2を結合するペプチドは、細胞表面でのその存在を安定化する。一定の濃度のアナログと陰性対照(非MHC結合ペプチド)の間のMFI(平均蛍光強度)の差異は、MHCとペプチドとの間の安定化複合体がどれだけT2細胞の表面上に提示されるかの関数である。したがって、ペプチドの限界濃度では、主としてKonの尺度であり、ペプチドの飽和レベルでは、Kon及びKoffの両方の尺度である。図13では、結合は、数学的に関連する2つの要因:最大半量結合(飽和に相当するシグナルの50%となるペプチド濃度)及び対照(野生型ペプチド)に対して正規化された結合、即ちペプチドアナログに対する対照の最大半量結合の比である、相対親和性(1/RA)により定量化される。1/RA指数が大きいほど、且つ最大半量結合が小さいほど、アナログとMHC分子間の相互作用のKonは高い。図13では、このような結合パラメータが野生型ペプチドと比べて改善された39個のアナログが記載されている。このような改善された結合剤は、正確な/対となる修飾に依存するMHC結合に対する全体的な影響を伴って、MHC及び/又はTCRとの相互作用に関与することが既知である部位で、標準及び/又は非標準アミノ酸の1つ、2つ、3つ又は複数の置換を有する。このようなペプチドアナログは、治療用組成物において、或いは治療用組成物をさらに派生させるための構造基盤として有用である。
[実施例27]
【0222】
免疫化の方法(図14)
8つのマウスのグループ(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に各リンパ節へPBS25μl中野生型NY−ESO−1157-165エピトープを発現するプラスミド25μgで鼠径リンパ節へ直接的に接種することにより免疫化した。これに続いて、
図14示すように、陰性対照ペプチド(HBVc)、野生型ペプチド又はアナログを使用して、28日目及び31日目に2回のペプチドの追加免疫(同量)を行った。
[実施例28]
【0223】
野生型エピトープに対して免疫性の増強を誘発するためのアナログの使用(ex vivoでの評価)(図15A〜C)
in vivoにおいて野生型エピトープに対して得られる応答を評価するために、脾細胞を同腹子対照HHDマウスから単離して、20μg/mL又は1μg/mlの野生型ペプチドとともに2時間インキュベートした。続いて、これらの細胞をCFSEhi及びCFSEmed蛍光で染色して(それぞれ4.0μM又は1μM、15分間)、CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した同等数の対照脾細胞とともに免疫化マウスの静脈内へ同時注入した。18時間後、標的細胞の特異的な排除は、誘発された動物から脾臓及びPBMCを取り出すこと、及びフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定された。ペプチド注入した脾細胞に対応する集合の相対的な減少は、対照(未注入)集合に対して算出され、特異的溶解率(%)として表した。図15Aは、陰性対照ペプチドを施したマウスにおけるin vivoでの細胞毒性の減少を示す。図15Bは、プラスミドで免疫化し、且つ野生型ペプチドで増幅させたマウスにおける細胞毒性の変動を示す。図15Cは、プラスミドで免疫化して、且つアナログL158Nva C165Vで増幅させたマウスにおけるほぼ一定した細胞毒性を示す。
[実施例29]
【0224】
野生型エピトープに対して免疫性の増強を誘発するアナログごとの比較(ex vivoでの評価)(図16A〜B)
上述の免疫化プロトコル(実施例8)において、また、実施例9に記載する方法を使用して、限界量(1μM、図16A)又は上部最適量(20μM、図16B)の野生型ペプチドでコーティングした標的細胞に対するin vivoでの細胞毒性は、2段階に関してそれぞれプラスミド及びペプチドアナログを使用した、同調並びに増幅プロトコルに続いて評価した。平均特異的溶解率(%)+/−SEとして表される結果により、アナログL158V C165Nvaが最高の活性を誘導すること、並びにアナログL158V C165V、L158V C165Nva及びS157K L158V C165Vが、野生型ペプチド又はC165V突然変異体と同じ範囲で効果を示すことが示された。複数の置換はTCR結合部位を変更し得るため、このようなアナログは、自己エピトープに対する耐性を破壊する際に、野生型ペプチドよりも有用である。さらに、S157K三重突然変異体は、直接的な実用的意義を伴って、野生型ペプチド又は他のアナログの溶解性の低さを改善させることができる。
[実施例30]
【0225】
野生型エピトープに対して免疫性の増強を誘発するためのアナログの使用(サイトカイン生産によるex vivoでの評価)(図17A〜B)
上述の免疫化プロトコル(実施例27)において、また実施例28に記載する誘発後に、脾細胞を単離して、プールして、10μMの野生型ペプチドNY−ESO−1157-165で、それぞれ3日間及び6日間in vitroで刺激した。上清を回収して、IFN−γの濃度をELISAにより測定した。アナログL158Nva C165Vは、ex vivoでの刺激時に、より迅速に高レベルのIFN−γを生産するT細胞を誘導した(図17A)。S157F L158V C165V、L158V C165Nva、及びL158V C165Vのような他のアナログは、野生型ペプチドによるex vivoでの再刺激時にIFN−γを生産が増大するT細胞を誘導した(図17B)。一方、C165Vは、実施例27〜28に記載するプロトコルに続く、野生型ペプチドに比べて、T細胞のIFN−γを生産する能力の増大を誘導することはできなかった。
[実施例31]
【0226】
ELISAによる結合及び安定性の特性化(iTopia試験)
プレースホルダーペプチドを注入したクラスIモノマーを含有する、アビジンコーティングしたマイクロタイタープレートを使用して、ペプチド結合、親和性及びオフ速度を評価した。モノマーコーティングされたプレートは、iTopiaエピトープディスカバリーシステムキット(Beckman Ciulter, Inc., San Diego, CA, USA)の一部として供給された。アッセイ緩衝液、抗MHC−FITC mAb及びβ2−ミクログロブリン並びに対照ペプチドもまたこのキットに供給された。
【0227】
結合アッセイ:
天然ペプチド及びアナログはまず、結合アッセイにより各MHC分子に対する結合能に関して評価された。このアッセイは、標準的な最適結合条件下における個々のペプチドのHLA分子に対する結合能を測定する。プレースホルダーペプチドを放出させて、プレートに結合したMHC重鎖のみを残して、モノマーコーティングされたプレートをまず取り剥がした。続いて、試験ペプチドを、抗MHC−FITC mAbとともに、最適なフォールディング条件下で導入した。プレートを21℃で18時間インキュベートした。抗MHC−FITC mAbは、リフォールディングされたMHC複合体へ優先的に結合する。したがって、各ペプチドから得られる蛍光強度は、MHC分子と複合体を形成するペプチドの能力に関連していた。各ペプチドの結合は、キット中に提供される陽性対照ペプチドとの比較で評価され、結果は、「結合%」と表した。天然ペプチドと比べて「より良好な結合剤」と同定されるアナログは続いて、親和性及びオフ速度アッセイで分析した。
【0228】
親和性アッセイ:
親和性アッセイに関して、プレースホルダーペプチドの最初の取り剥がし後に、一定の対立遺伝子に関する各試験ペプチドの濃度を増大させ(10-4〜10-8Mの範囲)、一連のウェルへ添加して、上述の条件下でインキュベートした。プレートを蛍光光度計上で読み取った。S字形用量応答曲線が、Prismソフトウェアを使用して作成された。最大の50%を達成するのに要されるペプチドの量をED50値として記録した。
【0229】
オフ速度アッセイ:
オフ速度アッセイに関して、21℃での18時間のインキュベーション後にプレートを洗浄して、過剰量のペプチドを除去した。続いて、プレートを対立遺伝子特異的モノマープレート上で37℃にてインキュベートした。プレートは、相対蛍光強度に関して複数の時点(0、0.5、1、1.5、2、4、6及び8時間)で測定した。ペプチドの50%がMHCモノマーから解離するのに要する時間をT1/2値(時間)として定義する。
【0230】
iScore算出:
iScoreは、iTopiaソフトウェア内に提供される多重パラメータ算出である。その値は、結合、親和性及び安定性のデータに基づいて算出された。
[実施例32]
【0231】
PSMA228-297の抗原性の検証
HHDトランスジェニックマウス(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目にPSMA288-297ペプチド(各リンパ節に対して、pI:C12.5μgを加えてPBS25μl中25μg)で免疫化した。追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoで天然PSMA288-297ペプチドで刺激して、51Cr標識化したヒト腫瘍細胞(PSMA+A2+LnCap細胞、又は陰性対照としてMHCクラスIブロッキング抗体でコーティングしたLnCap細胞)に対して様々なE:T比で試験した。%特異的溶解率(平均値±SEM)として表した結果により、PSMA特異的T細胞は、免疫介在性誘発を可能にする様式で腫瘍細胞のMHCクラスI上でPSMAエピトープの提示を確認し、MHCク
ラスIの利用可能性に応じた様式で、ヒト腫瘍細胞を溶解させることが可能であることが示された(図18)。
[実施例33〜38]
【0232】
PSMA288-297アナログの試験
図19及び図20に列挙されるアナログは、以下の通り実施例33〜38で、結合親和性及び安定性の改善、天然エピトープとの交差反応性並びに免疫原性のような様々な特性に関して試験した。
[実施例33]
【0233】
単一部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
実施例31に記載する手順を使用して、PSMA288-297及びアナログの結合特性を互いに比較して評価した(図19を参照)。結合に関する陽性対照は、melan−A26-35 A27Lであった。実質的に実施例6に記載されるように、天然エピトープとの交差反応性は、アナログペプチドを使用して、天然エピトープに特異的なT細胞系からのIFG−γ分泌を刺激することにより評価された。図19で示されるデータは、10μg/mlのアナログ(およそ10μM)で刺激することにより作成された。この濃度は概して、アナログに関して最大又はほぼ最大のIFN−γ生産をもたらし、したがって交差反応性を表すのに選択された。
【0234】
観察されるアナログの親和性をED50として図19に報告する。Met、Ile、Gln、Val、Nva、Nle及びAbuは、P2位で置換された。これらは概して、同様の親和性をもたらした。Nle及びMet置換はまた、解離の半減期の時間として測定される結合の安定性を同程度に維持した。Val、Nva及びAbuアナログは、類似したレベルのIFN−γ生産を誘発した。
【0235】
Val、Leu、Nva及びNleは、PΩ第1のアンカー部位でIleに代わって置換された。4つ全てが、類似した結合親和性を有した。Val及びNva置換は、交差反応性及びアナログが改善された免疫原性を有し得ることを示し、結合の安定性を改善し、IFN−γの生産量を増大させた。
【0236】
P1でのSer、Sar及びAbu置換は、結合特性を同程度に維持したが、交差反応性はあまり類似していなかった。PΩ−1位でのAla、Leu、Ser及びThr置換もまた、結合特性を同程度に維持した。最後に、P3位でのTrp置換は、結合の親和性及び安定性を約2倍増大し、並びに天然ペプチドの2倍以内のIFN−γ生産を示し、これらはすべて一般的に類似した値であった。
[実施例34]
【0237】
2つの部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
このエピトープにおける置換が結合親和性を大いに損なわないという上記に見られる傾向を、二重置換で検査して継続し(図20)、天然ペプチドと比較して結合親和性が類似しているか又は結合親和性が改善しているかを一様に示した。両方の第1のアンカー部位で置換を有するアナログの中でも、P2でのNva又はNle、PΩでのVal、P2でのVal及びPΩでのNvaを有するものが、結合安定性を改善し、前者2つは、IFN−γ生産を増大させた(第3のアナログに関してはデータが入手不可能であった)。PΩでのVal及びNva置換はまた、P1でのAla及びAbu置換と対にされた。これらのアナログは全て、単一のPΩ置換と比較して改善された強い結合安定性及びIFN−γ生産が改善しており、したがってP1置換をさらに改善させた。PΩ Nva置換はまた、P3Trp置換に、類似した交差反応性を回復させることが可能であった。
[実施例35]
【0238】
3つの部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
P1、P2及びP3、P1、P2及びPΩ、P2、P3及びPΩ、並びにP1、P3及びPΩの三重置換を行った(図21)。全ての場合において、P1置換はAlaであり、P3置換はTrpであり、PΩ置換はVal又はNvaであった。上述のように、天然ペプチドに少なくとも類似した親和性が維持された。P1、P2、P3に関して、P2でのNva及びNleが、結合の安定性を改善させた。このP2 Nvaアナログは、同量のIFN−γを誘発したのに対して、Nleアナログは、かなりの増大を示した。
【0239】
P1、P2、PΩに関して、P2及びPΩでのNva及びValのいずれかの組合せは、結合安定性を改善させた。このP2 Nva PΩ Valアナログはまた、IFN−γ生産においてかなりの増大を示した(他のものに関するデータはない)。この三重置換におけるP2及びPΩの両方でのValは、天然ペプチドのほぼ半分の結合安定性及びIFN−γ生産を示した。
【0240】
P2、P3、PΩに関して、Nva/W/Vアナログのみが、結合又はIFN−γ生産の改善を示した。試験した2つのP1、P3、PΩアナログに関して、Val又はNvaであるPΩは、結合安定性を改善させたが、交差反応性が低かった。
[実施例36]
【0241】
様々なアナログの交差反応性免疫原性
HHDトランスジェニックマウスの群(n=8)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に鼠径リンパ節へ直接接種することにより、pI:C12.5μgを加えたPBS25μl中のペプチド(天然エピトープPSMA288-297或いは第1又は第2のアンカー残基での置換を保有するアナログ)25μgで免疫化した。
【0242】
最終追加免疫の10日後に、マウスを屠殺して、脾細胞を調製して、ELISPOT分析によりIFN−γ生産を評価した。様々な数の脾細胞/ウェルを、抗IFN−γ抗体でコーティングしたELISPOTプレートにおいて、10μg/mlの天然ペプチドで刺激した。インキュベーションの48時間後に、アッセイを展開して、天然PSMA288-297ペプチドを認識したサイトカイン生産T細胞の頻度を自動的に計数した。データは、スポット形成コロニーの数/ウェル(三重反復実験の平均値±SD)として図22に表した。データは、天然ペプチドよりもわずかに高い(が、有意な)活性を示す他のアナログ(I297Nva又はG288Abu又はL289Nle I297Nva)とともに、I297V及びP290Wアナログにより達成される、天然エピトープに対する免疫応答のプライミングの増大を示す。天然エピトープの低い免疫原性が耐性を反映する程度にこれらのアナログの活性の改善は、耐性破壊を表す。
[実施例37]
【0243】
プラスミドにより誘導されるPSMA288-297に対する応答の、I297Vアナログによる増幅
HHDトランスジェニックマウスの2つの群(n=8)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に鼠径リンパ節へ直接接種することにより、PBS25μl中のPSMA288-297を発現するプラスミド25μgで免疫化した。これに続いて、天然ペプチド又はI297Vアナログのいずれかを用いて、28日目及び31日目に2回のペプチド追加免疫(25μg)を行った。
【0244】
最終追加免疫の10日後に、マウスを屠殺して、脾細胞を調製して、ELISPOT分析によりIFN−γ生産を評価した。様々な数の脾細胞/ウェルを、抗IFN−γ抗体でコーティングしたELISPOTプレートにおいて、10μg/mlの天然ペプチドで刺
激した。インキュベーションの48時間後に、アッセイを展開して、PSMA228-297ペプチドを認識するサイトカイン生産T細胞の頻度を自動的に計数した。データは、50万個のレスポンダー細胞に対して正規化した特異的T細胞の頻度(三重反復実験の平均値±SD)として図23に表した。データにより、脾細胞の数/ウェルとは関係なく、天然エピトープ特異的T細胞の頻度が、I297Vアナログで免疫化したマウス群においてかなり高かったことが示された。
[実施例38]
【0245】
ヒト腫瘍細胞に対するex vivoでの細胞毒性
HHDトランスジェニックマウス(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に鼠径リンパ節へ直接接種することにより、PBS25μl中のPSMA288-297エピトープを発現するプラスミド25μgで免疫化した。これに続いて、アナログI297V用いて、28日目及び31日目に2回のペプチド追加免疫(同量)を行った。追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoで天然PSMA288-297ペプチドで刺激して、51Cr標識化したヒト腫瘍細胞(Lncap、A2+PSMA+、若しくは624.38A2+PSMA-又は対照624.28細胞A2-PSMA-)に対して様々なE:T比で試験した。得られた免疫性は、Lncapに対する細胞毒性を仲介する際に有効であった(図24)。
[実施例39]
【0246】
PRAME425-433の抗原性の検証
HHDトランスジェニックマウス(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目にPRAME425-433ペプチド(各リンパ節に対して、pI:C12.5μgに加えてPBS25μl中25μg)で免疫化した。追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoで天然PRAME425-433ペプチドで刺激して、様々なE:T比で51Cr標識化したヒト腫瘍細胞(PRAME+A2+624.38メラノーマ細胞、又は陰性対照624.38細胞、A2発現が欠失)に対して試験した。%特異的溶解率(平均値±SEM)として表した結果により、PRAME特異的T細胞は、免疫介在性誘発を可能にする様式で、腫瘍細胞のMHCクラスI上でPRAME425-433エピトープの提示を確認し、ヒト腫瘍細胞を溶解させることが可能であることが示された(図25)。
[実施例40〜48]
【0247】
PRAME425-433アナログの試験
図26〜28に列挙されるアナログは、以下の通り実施例40〜48で、親和性及び結合の安定性の改善、天然エピトープとの交差反応性並びに免疫原性のような様々な特性に関して試験した。実施例31に記載する手順を使用して、PRAME425-433及び69個のアナログのHLA−A*0201結合特性を互いに比較して評価した。結合に関する陽性対照は、melan−A26-35A27Lであった。観察されるアナログの親和性を%結合(陽性対照と比較して)及びED50として報告する。結合の安定性を解離の半減時間として報告する。天然エピトープとの交差反応性は、実質的に実施例6に記載されるように、アナログペプチドを使用して、天然エピトープに特異的なT細胞系からのIFG−γ分泌を刺激することにより評価された。図26〜28で示されるデータは、およそ0.3μMのアナログペプチドを用いて刺激することにより作成された。結果は、3つの別個の実験から収集されて、それぞれにおいて天然ペプチドにより誘発されるIFN−γの量に対して正規化された。場合によっては、報告される値は、2つの測定の平均値である。アスタリスク「*」は、IFN−γ生産がバックグラウンドと識別できなかったことを示す。
[実施例40]
【0248】
単一部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力(図26)
Val、Met、Ile、Nle、Nva及びAbuの単一置換が、P2の第1のアンカー部位にあるLeuに対して行われた。これらのアナログは全て、天然ペプチドの20%以内の%結合を示した。ED50は、Met及びNvaアナログに関して確定した。前者は幾らか改善されたが、天然ペプチドに匹敵する親和性を有したのに対して、後者の親和性は約3倍低減されたが、依然としてPSMA288-287エピトープに匹敵していた。P2置換は全て、少なくとも天然ペプチドに類似した結合安定性を維持した。Met、Nle及びNvaアナログは、天然ペプチドの2倍以内のIFN−γ生産を誘発し、Valアナログは、いくらか少ないIFN−γ生産を誘発した。
【0249】
Lys、Phe、Tyr、Thr、Orn(オルニチン)及びHse(ホモセリン)の単一置換が、P1部位のSerで行われた。これらのアナログは全て、天然ペプチドの20%以内の%結合を示したが、但し、高い側に当該範囲を超過するPheアナログを除く。LysアナログのED50は確定しなかったが、他の5つのアナログは、天然ペプチドの3倍以内の親和性を有した。結合の安定性は概して天然ペプチドと同程度であり、Phe P1アナログは、天然ペプチドの12.2時間と比較して17.7時間の解離の半減時間を伴ってこの群で最大の結合安定性を示す。天然ペプチドの40%のIFN−γを誘発したLys P1アナログを除いて、これらのアナログは全て、それらが天然ペプチドの2倍以内のIFN−γ生産を誘発したため、交差反応性とみなされた。
【0250】
Val、Ile、Ala、Nle、Nva、Abuの単一置換が、PΩアンカー部位に対して行われ、並びにアミド基の付加によるカルボキシ末端の修飾が行われた。測定した結合親和性は、少なくとも天然ペプチドと同程度であった。結合の安定性はまた、一般的に類似しているが、Nvaアナログにおける高域での異常値である17.2時間のt1/2、及びたった3時間のかなりで低減されたt1/2を有するC末端アミドの低域での異常値が見られた。Val、Ile、Ala及びAbu PΩアナログはあまり良好ではない交差反応性を示すが、他のものは天然ペプチドの2倍以内のIFN−γ生産を誘発した。
【0251】
主としてTCR相互作用に影響を及ぼす位置での単一の置換も行われた:P3及びP6でのNle、Nva及びAbu、並びにP8でのAla、Ser及びSar。P6 Nvaアナログは、天然ペプチドの2倍以内のIFN−γを生産したが、P6 Abuアナログは44%で終結した。
[実施例41]
【0252】
2つの部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
二重置換アナログは、上記の単一置換の様々な組合せを使用して、P1及びP2、P2及びPΩ、並びにP1及びPΩで行われた(図27A及び27B)。検査したP1−P2二重置換はいずれも、結合親和性又は安定性に対して根本的な変化をもたず、いずれもIFN−γアッセイにおいて有意な交差反応性を示さなかった。同様の傾向が、P2−PΩ二重置換アナログで見られるが、L426Nva L433Nleアナログは、結合特性が同様にいくらか改善されるとともに、IFN−γアッセイにおいて天然ペプチドとの交差反応性の有意なレベルを示す。最後に、P1−PΩ二重置換に関して、検査したアナログもまた、少なくとも同程度の結合特性を有する一般的な傾向があったが、交差反応性アッセイにおいてはIFN−γをほとんど誘発しなかった。この分類における例外は、結合安定性がいくらか改善され、有意な交差反応性を示したS425T L433Nleアナログ、並びに4倍以上低減されたED50、ほぼ2倍の解離の半減時間を有し、且つ天然ペプチドよりも多くのIFN−γを誘発したS425F L433Nleアナログであった。
[実施例42]
【0253】
3つの部位で置換されたアナログの交差反応性及び機能的結合力
P1でPhe又はThr、P2でNva又はMet、並びにPΩでNleを有する4つの三重置換アナログを研究した。S425T L426M L433Nleアナログは同程度の親和性を有したのに対して、他の3つのアナログに関しては、親和性は改善された。P2 Nva置換を有するアナログはともに、結合安定性の増大及び有意なレベルの交差反応性を示した。図28を参照されたい。
[実施例43]
【0254】
L426Nva L433Nleアナログの交差反応性免疫原性
HHDトランスジェニックマウスの2つの群(n=8)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に鼠径リンパ節へ直接接種することにより、PBS25μl中のPRAME425-433を発現するプラスミド(以下の実施例49に記載するpCTLR2)25μgで免疫化した。これに続いて28日目及び31日目に天然ペプチド又はPRAMEエピトープアナログL426Nva L433Nleによる2回のペプチド追加免疫(2.5μg)を行った。
【0255】
最終追加免疫の10日後に、マウスを屠殺して、脾細胞を調製して、10μg/mlの天然ペプチドによる0.5×106個の細胞/ウェルのin vitroでの刺激後に、IFN−γ生産を評価した。インキュベーションの48時間後に、上清を収集して、PRAME425-433ペプチドに応じて生産されるIFN−γの濃度をELISAにより測定した。データは図29に表し、PRAME425-433L426Nva L433Nleアナログで追加免疫したマウスにおけるIFN−γ生産の有意な増強を示す。
[実施例44]
【0256】
L426Nva L433Nleアナログに誘導されるin vivoでの細胞毒性
HHDトランスジェニックマウスの2つの群(n=8)を上記実施例43に記載するように免疫化した。
【0257】
天然エピトープに対して得られるin vivoでの応答を評価するために、脾細胞を同腹子対照HHDマウスから単離して、20μg/mL又は1μg/mlの天然ペプチドとともに2時間インキュベートした。続いて、これらの細胞をCFSEhi及びCFSEmed蛍光で染色して(それぞれ4.0μM又は1μM、15分間)、CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した同等数の対照脾細胞とともに免疫化マウスの静脈内へ同時注入した。18時間後、標的細胞の特異的な排除は、誘発された動物から脾臓及びPBMCを取り出すこと、及びフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定された。ペプチド注入した脾細胞に対応する集合の相対的な減少は、対照(未注入)集合に対して算出され、%特異的溶解率として表した。図30における結果は、アナログが追加免疫剤として天然ペプチドに置き換わる場合に、細胞毒性の保存された誘導を示した。この傾向により、アナログが細胞毒性免疫性の誘導を改善させることができることが示される。[実施例45]
【0258】
in vivoでの細胞毒性及び四量体染色
HHDトランスジェニックマウスの7つの群(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に鼠径リンパ節へ直接接種することにより、PBS25μl中のPRAME425-433を発現するプラスミドであるpCTLR2 25μgで免疫化した。これに続いて、28日目及び31日目に、天然ペプチド、陰性対照(EAAGIGILTVペプチド)或いは第1及び/又は第2のアンカー残基に突然変異を有するPRAME425-433エピトープアナログ(S425F、L426Nva L433Nle、S425T L433Nle及びS425T L426Nva L433Nle)による2回のペプチド追加免疫(2.5μg)を行った。
【0259】
天然エピトープに対するin vivoでの応答を評価するために、脾細胞を同腹子対照HHDマウスから単離して、0.2μg/mL又は20μg/mlの天然ペプチドとともに2時間インキュベートした。続いて、これらの細胞をCFSE蛍光で染色して(それぞれ1及び2.5μM、15分間)、CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した同等数の対照脾細胞とともに免疫化マウスの静脈内へ同時注入した。18時間後、標的細胞の特異的な排除は、誘発された動物から脾臓を取り出すこと、及びフローサイトメトリーにより得られた細胞懸濁液中のCFSE蛍光を測定することにより測定された。ペプチド注入した脾細胞に対応する集合の相対的な減少は、対照(未注入)集合に対して算出され、%特異的溶解率として表した。さらに、PRAME425-433特異的T細胞の頻度は、四量体/CD8共染色により評価した。第1又は第2のアンカー残基に突然変異を包含するアナログによる追加免疫は、in vivoでの細胞毒性及び四量体染色に基づいて、天然ペプチドと比較した場合に匹敵する免疫活性を示した。アナログは、無関係のペプチドで追加免疫した「EAA群」との比較により示されるように、免疫応答を増幅することが可能であった。その点に関して、S425F、L33Nle、L426Nva L433Nle、S425T L433Nle又はS425T L426Nva L433Nleを含むアナログは全て、in vivoでの細胞毒性により評価されるように、天然エピトープに対する免疫性を拡大させることが可能であった。しかしながら、L433Nle、L426Nva L433Nle及びS425T L426Nva L433Nleアナログだけが、プラスミドでプライミングし、且つ陰性対照ペプチドで追加免疫したマウスよりも有意に高いレベルにまで、天然エピトープに対して特異的なT細胞のサブセットを拡張させた(図31)。
[実施例46]
【0260】
ex vivoでのサイトカイン生産
HHDトランスジェニックマウスの3つの群(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に鼠径リンパ節へ直接接種することにより、PBS25μl中のPRAME425-433を発現するプラスミドであるpCTLR2 25μgで免疫化した。これに続いて、28日目及び31日目に、PRAMEエピトープアナログL426Nva L433Nle及びS425T L426Nva L433Nle又は陰性対照ペプチドMelan A(EAAGIGILTV)により2回のペプチド追加免疫(2.5μg)を行った。
【0261】
最終追加免疫の10日後に、マウスを屠殺して、脾細胞を調製して、10μg/mlの天然ペプチドとのインキュベーションの48時間後に、ELISAによりIFN−γ生産を評価した。データは、pg/mlでのサイトカイン濃度(三重反復実験の平均値±SD)として図32に表した。両方のアナログで追加免疫したマウス由来の脾細胞によるex
vivoでのサイトカイン生産、及びS425T L426Nva L433Nleに対する応答よりもL426Nva L433Nleに対するより高い応答がデータにより示された。
[実施例47]
【0262】
アナログによるペプチド追加免疫後のヒト腫瘍細胞系に対するex vivoでの細胞毒性
HHDトランスジェニックマウス(n=4)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に鼠径リンパ節へ直接接種することにより、PBS25μl中のPRAME425-433を発現するプラスミドであるpCTLR2 25μgで免疫化した。これに続いて、28日目及び31日目に、アナログL426Nva L433Nleによる2回のペプチド追加免疫(2.5μg)を行った。追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoで天然ペプチドで刺激して、51Cr標識化したヒト腫瘍細胞(IFN−γで前処理したか、若しくは
前処理しないPRAME+624.38メラノーマ細胞、又は陰性対照624.38細胞、HLA−A2発現が欠失)に対して様々なE:T比で試験した。アナログL426Nva L433Nleは、A2を発現するヒト腫瘍細胞発現(624.38)に対する有意な細胞毒性を介在する免疫応答を誘発し、IFN−γによるそれらの前処理時にわずかに上昇された。対比して、A2−624.28細胞に対しては有意な活性は測定されなかった。図33を参照されたい。
[実施例48]
【0263】
PRAME425-433に対するin vitroでの免疫化
in vitroでの免疫化は、図34に提示した一般的なスキームに従って実施された。減少血単核細胞(PBMC)は、フィコール分離により健常なドナー(HLA−A*0201+)から得られた。新鮮なPBMC(2.5×106個)を、5ng/mlのPRAME425-433又はペプチドアナログとともにT細胞培養培地中で平板培養した。続いて、72及び96時間後に、20IU/mlのインターロイキン2を各ウェルへ添加して、さらなる添加ペプチド(5ng/ml)を7日目に添加した。培養物をさらに10日間インキュベートした後、エフェクター細胞を収集して、四量体染色に使用した。IVS PBMCをPRAME425-433四量体で標識化して、FACSCalibur(BD,San Jose,
CA)上で分析した。四分円を、無関係のHBV四量体及びSSX2四量体で染色した陰性対照に基づいて設定して、最低10,000ゲートのイベントを捕捉した。四量体陽性細胞は、リンパ球集合のパーセントとして表される。PRAME425-433特異的四量体は、天然ペプチドと比較した場合にペプチドアナログによるIVS後に有意に増強された。図35を参照のこと。これは、アナログが好適な免疫原になり得ることを実証している。
[実施例49]
【0264】
PRAME425-433エピトープを発現するプラスミドであるpCTLR2
pCTLR2は、PRAMEアミノ酸残基425〜433由来のHLA A2特異的CTLエピトープであるSLLQHLIGL、及びPRAMEのエピトープクラスター領域であるアミノ酸422〜509を有する1つのポリペプチドをコードする組換えDNAプラスミドワクチンである。プラスミド中の上記ポリペプチドに関するcDNA配列は、抗原提示細胞による取り込み時にポリペプチドに関するメッセンジャーの効率的な転写を可能にするサイトメガロウイルス(CMVp)由来のプロモーター/エンハンサー配列の制御下にある。コード配列の3’末端にあるウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(BGHポリA)は、メッセンジャーのポリアデニル化に関するシグナルを提供して、その安定性並びに核から細胞質への移行を増大させる。核へのプラスミド運搬を促進するために、サルウイルス40由来の核移行配列(NIS)をプラスミド骨格へ挿入させている。免疫応答をさらに追加免疫するために、CpG免疫賦活モチーフの1つのコピーをプラスミドへ操作している。最後に、プラスミド中の2つの原核生物の遺伝的要素は、E.coliにおける増幅、カナマイシン耐性遺伝子(Kan R)及びpMB細菌複製起点に関与する(図36を参照)。
【0265】
免疫原の翻訳産物の配列
コードされるポリペプチドのアミノ酸配列(150アミノ酸残基長)を以下に付与する。
【0266】
malqsllqhliglsnlthvlypvplesyedihgtlhlerlaylharlrellcelgrpsmvwlsanpcphcgdrtfydpepilcpcfmpnkrsllqhliglgdaaysllqhliglispekeeqyiasllqhliglkrpsikrsllqhligl(配列番号100)。
【0267】
最初の89個のアミノ酸残基は、PRAME422〜509を表すエピトープクラスター領域である。このエピトープクラスター領域内に、各種エピトープ予測アルゴリズムを使用して、多数の潜在的なHLA A2特異的CTLエピトープが見出されている。アミノ酸残基90〜150は、包埋されたPRAME425〜433CTLエピトープの4つのコピー(太字処理)を有するエピトープ遊離(synchrotope(商標))配列である。PRAME CTLエピトープのプロセッシングに重要な役割を果たすことが示されている短いアミノ酸配列が、規定PRAME CTLエピトープに隣接している。さらに、アミノ酸配列ispekeeqyia(PRAMEアミノ酸276〜286に相当、イタクック体で)は、コードされるポリペプチドの発現の検出を促進するためにスティングオブビーズ領域へ組み込まれている。
【0268】
四量体、ELISPOT、ELISA及び細胞毒性を包含する各種免疫学的アッセイを使用して、エピトープPRAME425-433に特異的な強力なCTL応答が、pCTLR2プラスミドで免疫化したHLA−A2トランスジェニックマウスから検出されており、pCRLR2に関する免疫原性有効性を示唆している。これらのデータにより、上記プラスミドは、抗原提示細胞により摂取されて、コードされるポリペプチドが合成されて、タンパク質分解的にプロセッシングされて、九量体エピトープペプチドを生産して、提示のためにHLA−A2結合されることが示された。
【0269】
プラスミド構築
長い相補的オリゴヌクレオチドの組の段階的な連結は、「スティングオブビーズ」エピトープ遊離配列(アミノ酸90〜150)のアミノ酸残基をコードするcDNAの生成をもたらした。これらのcDNAは、PRAMEエピトープクラスター領域(アミノ酸1〜89)をコードするcDNAとのさらなる連結に使用することができる制限酵素のための適切な付着末端を保有し、これらは鋳型としてPRAMEをコードするcDNAに関してPCRを実施することにより増幅された。続いて、挿入片全体が、Afl IIとEcoR I部位との間でベクター骨格へ連結された。コード配列全体は、DNAシーケンシングにより確認された。
[実施例50]
【0270】
抗原特異的T細胞応答の発生
H−2クラスI陰性のHLA−A2.1トランスジェニックHHDマウスを、病原体を含まない条件下で飼育して、HLA−A2.1制限ヒト腫瘍関連細胞毒性Tリンパ球(CTL)エピトープの免疫原性の評価に使用した。8〜12週齢の雌マウスを、in vivoでの細胞毒性研究のためのリンパ管内の免疫化及び脾細胞の単離に使用した。マウスを両側からの鼠径リンパ節注入により免疫化した。マウスは、イソフルオランの吸入により麻酔して、無菌条件下で手術を行った。手術の準備後に、鼠径ひだにおいて長さが0.5cmの切開を行い、鼠径リンパ節を露出させた。最大用量のプラスミドDNAワクチン又はペプチド25μl(25μg)を、0.5mLインスリンシリンジを使用してリンパ節へ直接注入した。滅菌6−0ナイロン皮膚縫合糸で創傷を閉じた。
[実施例51]
【0271】
ヒト腫瘍細胞に対するex vivoでの細胞毒性
HHDトランスジェニックマウス(n=4/群)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に、PBS25μl中25μg/各リンパ節でmelan−A26-35A27エピトープアナログを発現するプラスミドpSEM(米国特許出願第10/292,413号(公開番号第20030228634号A1)(その全体が参照により援用される)でより完全に記載されている)で免疫化した。これに続いて、アナログA27L、27Nva又はA27L V35Nvaを用いて、28日目及び31日目に2回のさらなるペプチド追加免疫(同量)を行った。追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoで天然mela
n−A26-35ペプチドで刺激して、51Cr標識化したヒト腫瘍細胞(624.38細胞)に対して様々なE:T比で試験した。A27L又はA27Nvaアナログで追加免疫した後に得られる免疫性は、天然ペプチドEAAGIGILTVに匹敵し、且つより有効であった(図37)。プライミング用プラスミドは、A27Lアナログを発現するため、実験は上記ペプチドを支持する潜在的な傾向を有しており、その結果、A27Nvaアナログで得られる相当な細胞毒性は、プライミングが上記の同配列を利用した場合その効力より低く見積もられ得る。
[実施例52]
【0272】
四量体分析
CD8+抗原特異的T細胞の測定には、クラスIのMHC/ペプチド複合体によるT細胞受容体(TCR)の同族認識を要する。これは、それぞれが特異的ペプチドに結合される4つのHLA MHCクラスI分子の複合体から構成され、且つ蛍光タンパク質と結合されたクラスIのMHC四量体を使用して実施することができる。したがって、四量体アッセイは、特定のMHC分子において複合体形成される所与のタンパク質に特異的な全T細胞集合の定量化を可能にする。さらに、結合は機能的経路に依存しないため、この集合は、機能的状態に関わらず、特異的CD8+T細胞すべてを包含する。免疫化動物におけるCTL応答は、HLA−A*0201 MART1(ELAGIGILTV)−PE MHC四量体(Beckman Coulter、T01008)又はチロシナーゼ369-377(YMDGTMSQV)特異的四量体試薬(HLA−A*0201チロシナーゼPE、Beckman Coulter)及びFITC結合ラット抗マウスCD8a(Ly−2)モノクローナル抗体(BD Biosciences)を用いて、密度遠心分離(Lympholyte Mammal, Cedarlane Labs)後に減少血から単離した単核細胞を共染色することにより測定した。データは、BD FACS Caliburフローサイトメータを使用して収集し、cellquestソフトウェアを使用して、リンパ球集合をゲーティングすること及びCD8+CTL集合内の四量体+細胞の割合を算出することにより分析した。
[実施例53]
【0273】
四量体染色(プラスミドプライミング、ペプチド追加免疫−天然対アナログ)
HHDトランスジェニックマウスの2つの群(n=8)を、0日目、3日目、14日目及び17日目にPBS25μl中チロシナーゼ369−377を発現するプラスミド25μg/各リンパ節を鼠径リンパ節へ直接接種することにより免疫化した。これに続いて、28日目及び31日目に、天然ペプチド又は377Nvaアナログによる2回のさらなるペプチド追加免疫(類似した量)を行った。10日後、チロシナーゼ369−377特異的四量体試薬(HLA−A*0201チロシナーゼ−PE、Beckman Coulter)を使用して、免疫応答をモニタリングした。個々のマウスを、眼窩洞後静脈を介して出血させて、2,000rpmで25分間、密度遠心分離(Lympholyte Mammal, Cedarlane Labs)を使用してPBMCを単離した。PBMCは、CD8に対するマウス特異的抗体(BD Biosciences)及びチロシナーゼ四量体試薬で共染色して、特異的パーセントは、FACS caliberフローサイトメータ(BD)を使用して、フローサイトメトリーにより確定された。チロシナーゼ特異的CD8+細胞のパーセントは、アナログによる天然ペプチドの置換が、チロシナーゼ特異的サブセットの拡張を保存したことを示す。アナログがチロシナーゼ特異的T細胞の拡張を改善させることができることが傾向により示される(図38)。
[実施例54]
【0274】
in vivoでの細胞毒性及び四量体染色(天然ペプチドとアナログ候補物のパネルとの間の直接的な比較)
HHDトランスジェニックマウスの4つの群(n=6)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に、リンパ節1つ当たりPBS25μl中のチロシナーゼ369-377及びMelan−A26-35A27Lエピトープを発現するプラスミド(pSEM)25μgを鼠径
リンパ節へ直接接種することにより免疫化した。これに続いて、28日目及び31日目に、左鼠径リンパ節へのMelan−A26-35A27L並びに右鼠径リンパ節への第1及び/又は第2のアンカー残基での置換を保有するチロシナーゼ369-377アナログの2回のさらなるペプチド追加免疫(類似した量)を行った。対照として、プラスミドのみで免疫化したマウス又は未処置マウスを使用した。
【0275】
天然チロシナーゼ及びMelan Aエピトープに対するin vivoでの応答を評価するために、脾細胞を同腹子対照HHDマウスから単離して、個々にHL−1無血清培地(Cambrex)中で20×106個の細胞/mlの濃度で20μg/mLの天然ペプチド(Melan−A26-35又はチロシナーゼ369-377)とともに2時間インキュベートした。続いて、これらの細胞をCFSE(Vybrant CFDA SE細胞トレーサーキット、Molecular Probes)で染色して(それぞれ1及び2.5μM、15分間)、CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した同等数の対照非ペプチドコーティング脾細胞とともに免疫化HHDマウス又は未処置対照HHDマウスの静脈内へ同時注入した。18時間後、標的細胞の特異的な排除は、誘発された動物から脾臓を取り出すこと、及びフローサイトメトリーにより得られた細胞懸濁液中のCFSE蛍光を測定することにより測定された。ペプチド注入した脾細胞に対応する集合の相対的な減少は、対照(未注入)集合に対して算出され、%特異的溶解率として表した。さらに、チロシナーゼ369-377及びMelan−A26-35特異的T細胞の頻度は、四量体/CD8共染色(HLA−A*0201四量体、Beckman
Coulter)により評価した。
【0276】
チロシナーゼアナログV377Nvaは、天然ペプチドと同様に、及びチロシナーゼアナログM370V V377Nvaよりも多く、チロシナーゼ特異的T細胞の集合を拡張させ、且つ細胞毒性免疫性を増幅させることが可能であった(図39)。
[実施例55]
【0277】
ヒト腫瘍細胞に対するex vivoでの細胞毒性
HHDトランスジェニックマウス(n=4/群)を、0日目、3日目、14日目及び17日目に、リンパ節1つ当たりPBS25μl中のチロシナーゼ369-377エピトープを発現するプラスミド(pSEM)25μgを鼠径リンパ節へ直接接種することにより免疫化した(図40における一般的なプロトコルに従って)。これに続いて、天然ペプチド又は第1のアンカー残基P2及びPΩ(370及び377)での置換を保有するアナログを用いて、28日目及び31日目に2回のペプチド追加免疫(同量)を行った。追加免疫の1週後に、脾細胞をex vivoで天然チロシナーゼ369-377ペプチドで刺激して、51Cr標識化したヒト腫瘍細胞(624.38細胞)に対して様々なE:T比でアッセイした。天然ペプチド及びM370V V377Nvaアナログは、624.38細胞に対して強健な細胞毒性を発生させた(図41)。天然ペプチドでは細胞溶解性活性の幾らかの希釈が見られたのに対して、アナログでは全く見られず、実施例52における四量体の結果から得られるより大きな免疫原性の徴候を強化した。先行例と合わせると、この観察は、よりストリジェントなアッセイ(in vivoでの細胞毒性及び四量体染色)をより高感度アッセイ(in vitroでの刺激後のex vivoでの細胞毒性)を補完することの有用性を示しており、潜在的に有用なアナログを概要する。
【0278】
上述の様々な方法及び技法は、本発明を実施するための多数の方法を提供する。当然のことながら、記載される目的及び利点の必ずしもすべてが、本明細書中に記載する任意の特定の実施形態により達成され得るわけではないことが理解されよう。したがって、例えば、上記方法は、本明細書中に教示されるある利点又は利点の群を、本明細書中に教示又は示唆され得るような他の目的又は利点を必ずしも達成せずに、達成或いは最適化する様式で実施されてもよいことが当業者に理解されよう。
【0279】
さらに、当業者は、種々の実施形態からの様々な特徴の互換性を認識するであろう。同様に、上記で論述される様々な要素、特徴及び工程、並びにこのような要素、特徴又は工程それぞれに関する他の既知の等価体は、当業者により混合及び調和されて、本明細書中に記載する原理による方法を実施することができる。様々な要素、特徴及び工程には、具体的に包含されるものもあれば、多様な実施形態で具体的に排除されるものもある。
【0280】
本発明は、ある特定の実施形態及び実施例の内容で開示されているが、本発明は、具体的に開示される実施形態を超えて、他の代替的実施形態及び/又は使用、並びにそれらの明瞭な変更及びこれらの等価体にまで拡大することが当業者に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1A】九量体の各アミノ酸部位でのSSX−241-49アナログについて調査した置換を要約した図である。
【図1B】十量体の各アミノ酸部位でのSSX−241-49アナログについて調査した置換を要約した図である。
【図2】アナログ同定のための好ましい実施形態の方法の概略図である。
【図3】1つの部位で置換されたSSX−241-49アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図4】2つの部位で置換されたSSX−241-49アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図5】2つを超える部位で置換されたSSX−241-49アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図6】41〜49個のペプチドを含む、一般的に知られるSSX−241-49十量体アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図7】SSX−241-49アナログの注射スキームを示す図である。
【図8】腫瘍細胞溶解におけるSSX−241-49A42V、A42Lアナログ、及び野生型の活性を示す図である。
【図9】追加免疫のためにSSX−241-49アナログペプチドを使用したin vivoでの細胞毒性研究及びex vivoでの細胞毒性研究のための注射スキームを示す図である。
【図10】対照(野生型ペプチド)及びEAA(Melan A26−35)と比較した多数のアナログについてのin vivoでの特異的溶解の結果を示す表である。
【図11】対照(野生型ペプチド)及びEAA(Melan A26−35)と比較した多数のアナログについてのin vivoでの特異的溶解の結果並びにMHC結合及びMHC安定性を示す表である。
【図12】野生型の対照と比較した多数のアナログでの免疫化後に行った腫瘍細胞(624.38ヒト腫瘍細胞)の特異的溶解率を示す図である。
【図13A】九量体及び十量体についての各アミノ酸部位で調査した置換並びに得られた結果を要約した図である。
【図13B】九量体及び十量体についての各アミノ酸部位で調査した置換並びに得られた結果を要約した図である。
【図13C】九量体及び十量体についての各アミノ酸部位で調査した置換並びに得られた結果を要約した図である。
【図14】NY−ESO−1アナログの分析及び試験のために使用した注射スキームを示す図である。
【図15A】誘発した動物由来の脾臓及びPBMCの除去及びフローサイトメトリーによるCFSE蛍光の測定によって測定した標的細胞の特異的消失を示す図である。
【図15B】誘発した動物由来の脾臓及びPBMCの除去及びフローサイトメトリーによるCFSE蛍光の測定によって測定した標的細胞の特異的消失を示す図である。
【図15C】誘発した動物由来の脾臓及びPBMCの除去及びフローサイトメトリーによるCFSE蛍光の測定によって測定した標的細胞の特異的消失を示す図である。
【図16A】NY−ESO−1アナログでの追加免疫後に野生型ペプチドでコーティングした標的細胞に対するin vivoでの細胞毒性を示す図である。
【図16B】NY−ESO−1アナログでの追加免疫後に野生型ペプチドでコーティングした標的細胞に対するin vivoでの細胞毒性を示す図である。
【図17A】サイトカイン産生によって評価した野生型エピトープに対する免疫性の増強を誘発するアナログの能力のex vivoでの分析を示す図である。
【図17B】サイトカイン産生によって評価した野生型エピトープに対する免疫性の増強を誘発するアナログの能力のex vivoでの分析を示す図である。
【図18】PSMA288-297エピトープの抗原性を実証するためのプロトコール及び試験結果を示す図である。
【図19】1つの部位で置換されたPSMA288-297アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図20】2つの部位で置換されたPSMA288-297アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図21】2つを超える部位で置換されたPSMA288-297アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図22】Elispotによって測定した種々のPSMA288-297アナログの免疫原性を示す図である。
【図23】Elispotによって測定したI297Vアナログによる抗PSMA288-297応答の増幅に関するアッセイの結果を示す図である。
【図24】I297Vアナログでの追加免疫の結果を示す図である。アッセイは、追加免疫によってPSMA+ヒト腫瘍株に対する細胞毒性免疫が得られることを示した。
【図25】PRAME425-433エピトープの抗原性を実証するためのプロトコール及び試験結果を示す図である。
【図26】1つの部位で置換されたPRAME425-433アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図27A】2つの部位で置換されたPRAME425-433アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図27B】2つの部位で置換されたPRAME425-433アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図28】2つを超える部位で置換されたPRAME425-433アナログの交差反応性及び機能的結合力を示す表である。
【図29】Elispotによって測定したPRAME425-433アナログの免疫原性を示す図である。
【図30】L426Nva L433Nleアナログでの追加免疫の結果を示す図である。アッセイは、追加免疫によって天然エピトープをコーティングした細胞に対する細胞毒性免疫が得られることを示した。
【図31】PRAMEアナログのin vivoでの評価のためのプロトコール及び評価結果を示す図である。
【図32】アナログ誘導された天然エピトープ再刺激T細胞におけるサイトカイン産生のex vivoでの刺激のためのプロトコールを示す図である。
【図33】L426Nva L433Nleアナログでの追加免疫の結果を示す図である。アッセイは、追加免疫によってヒト腫瘍細胞株に対する細胞毒性免疫が得られることを示した。
【図34】PRAME425-433に対するin vitroでの免疫化のためのプロトコールを示す図である。
【図35】PRAME425-433アナログでのin vitroでの免疫化後の四量体分析の結果を示す図である。
【図36】プラスミド(pCTLR2)(PRAME425-433エピトープを発現するプラスミド)の構造を示す図である。
【図37】ヒト腫瘍細胞をプラスミドDNAでプライミングし、ペプチドで追加免疫したT細胞で溶解した実験のアッセイ結果を示す図である。
【図38】Tyr369-377でのプラスミドプライミング及びV377vaアナログでのペプチド追加免疫後の四量体分析結果を示す図である。
【図39】多価MelanA A27Nva/チロシナーゼアナログ免疫化動物を用いたCFSEのin vivo誘導の結果を示す図である。
【図40】チロシナーゼアナログ免疫原性評価プロトコールの概略図である。
【図41】プラスミドでプライミングし、Tyr369-377アナログで追加免疫したHHD由来のエフェクター細胞でコーティングした624.38細胞に体する免疫応答の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P0が、X、XX又はXXXで、Xが任意のアミノ酸又は非アミノ酸を示し、
P1が、S、F、K、W又はYであり、
P2が、L、I、V、Nle又はNvaであり、
P3がLであり、
P4が、M、L又はNであり、
P5がWであり、
P6が、I、A、L、V又はNであり、
P7がTであり、
P8が、Q、E、D又はTであり、
P9のPΩが、C、V、I、L、A、Nva、Nle、V−NH2又はL−NH2であり、
PΩ+1が、X、XX又はXXXで、Xが任意のアミノ酸又は非アミノ酸を示すような配列から実質的に構成される単離ペプチドで、
配列SLLMWITQ{C、V、I、L、A}、SLLMWATQA、FLLMWITQV、FVLMWITQA、FILMWITQ{L、I}、YVLMWITL又はYLLMWIT{I、L}ではなく、
P1からP9で示されるアミノ酸配列が、SLLMWITQ{C、A}でない単離ペプチド。
【請求項2】
配列SILMWITQ{C、V、L、A}、YLLMWITQ{NVa、Nle}、F{L、V}LMWITQ{V、L、I}、Y{I、Nva、Nle}LMWITQV、YLLLWITQV又はTVLMWITQVから実質的に構成される、請求項1に記載の単離ペプチド。
【請求項3】
配列{S、F}VLMWITQV、SLMWITQNva又はSNvaLMWITQVから実質的に構成される、請求項1に記載の単離ペプチド。
【請求項4】
配列SNvaLMWITQVから実質的に構成される、請求項3に記載の単離ペプチド。
【請求項5】
前記ペプチドがクラスIMHCペプチドの結合溝に対して親和性を有する、請求項1に記載の単離ペプチド。
【請求項6】
前記MHCがHLA−A2である、請求項5に記載の単離ペプチド。
【請求項7】
前記ペプチドが請求項1に記載の配列を有する、クラスIMHC/ペプチド複合体。
【請求項8】
クラスIMHC/NY−ESO−1157-165複合体を認識するTCRと交差反応性である、請求項7に記載のクラスIMHC/ペプチド複合体。
【請求項9】
前記クラスIMHC/複合体は、HLA−A2/NY−ESO−1157-165複合体である、請求項8に記載のクラスIMHC/ペプチド複合体。
【請求項10】
遊離配列と結合した請求項1に記載のペプチド配列を含むポリペプチド。
【請求項11】
請求項1に記載のペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項12】
請求項10に記載のポリペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項13】
請求項10に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項14】
請求項1に記載のペプチドを発現するための核酸手段。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の核酸を含む免疫原性組成物。
【請求項16】
請求項11に記載の組成物を含む、CTL応答を誘導、維持又は増幅させるための節内投与用の医薬。
【請求項17】
請求項15に記載の組成物を含む、CTL応答を誘導、維持又は増幅させるための節内投与用の医薬。
【請求項18】
請求項15に記載の組成物を含む、クラスIMHCに制限されるT細胞応答を同調させるための節内投与用の医薬。
【請求項19】
請求項11に記載の組成物と免疫増強剤を含む、クラスIMHCに制限されるT細胞応答を同調させるための節内投与用の医薬。
【請求項20】
配列{S、Y}LLMWITQ{C、V}{L、I、Nle}を有する単離十量体ペプチド。
【請求項21】
クラスIMHCの結合溝に対する親和性を持つSLLMWITQC配列において1〜3個の置換を含む単離ペプチドで、該クラスIMHCの結合溝に対して、SLLMWITQCと同様又はより強い親和性を有するペプチド。
【請求項22】
解離の半減期が、前記クラスIMHCの結合溝からのSLLMWITQCの解離の半減期と同様又はより長い、請求項21に記載の単離ペプチド。
【請求項23】
前記ペプチドSLLMWITQCに対する特異性によりT細胞により認識される、請求項21に記載の単離ペプチド。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2008−283979(P2008−283979A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155749(P2008−155749)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【分割の表示】特願2007−516810(P2007−516810)の分割
【原出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(503208552)マンカインド コーポレイション (50)
【Fターム(参考)】