説明

エポキシ樹脂、その製造法、それを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物

【課題】 耐湿性、耐熱性、接着性、低誘電性、耐候性及び透明性に優れる硬化物を与え、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)、


(但し、Aは炭素数6〜12の炭化水素基、Rは水素原子又はメチル基、Gはグリシジル基を示す。また、nは0〜15の数を示す。)で表されるアダマンタン構造を有するエポキシ樹脂。また、上記のエポキシ樹脂及び硬化剤を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐湿性、耐熱性、接着性、低誘電性、耐候性、透明性等に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂及びその製造法、更にはそれを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物に関し、半導体素子、LED素子等の電子部品の封止、回路基板、コーティング材料及び複合材料等に好適に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、特に先端材料分野の進歩にともない、より高性能なベースレジンの開発が求められている。例えば、半導体封止の分野においては、近年の高密度実装化に対応したパッケージの薄形化、大面積化、更には表面実装方式の普及により、パッケージクラックの問題が深刻化しており、これらのベース樹脂としては、耐湿性、耐熱性、接着性、耐衝撃性等の向上が強く求められている。また、情報通信分野においては、情報量の増大化、通信速度の高速化に対応させるため、低誘電性に優れた材料が望まれている。
【0003】
しかしながら、従来から知られているエポキシ樹脂に、これらの要求を満足するものはない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、耐湿性や耐衝撃性に問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭63-238122号公報
【特許文献2】特開昭64-79215号公報
【特許文献3】特開平3-90075号公報
【特許文献4】特開2003−171439号公報
【0005】
そこで、特許文献1には耐湿性、耐衝撃性の向上を目的に、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化合物が提案されているが耐熱性の点で十分ではない。また、特許文献2には高耐熱性を目的に、2価フェノールのアラルキル型エポキシ化合物が提案されているが耐湿性、低誘電性の点で十分でない。更に、特許文献3にナフトールアラルキル型エポキシ化合物が提案されているが、依然、低誘電性の点で十分ではない。また、耐候性、透明性に優れたものとして、特許文献4に水素化されたエポキシ樹脂が開示されているが、耐熱性の点で十分ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、耐湿性、耐熱性、接着性、低誘電性、耐候性及び透明性に優れ、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は下記一般式(1)で表されるアダマンタン構造を有するエポキシ樹脂である。
【化1】

(但し、Aは炭素数6〜12の炭化水素基、Rは水素原子又はメチル基、Gはグリシジル基を示す。また、nは0〜15の数を示す。)
【0008】
また本発明は、下記一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンを反応させることを特徴とする一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の製造方法である。
【化2】

(但し、Aは炭素数6〜12の炭化水素基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。また、nは0〜15の数を示す。)
【0009】
更に本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分として上記エポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物である。また更に、本発明は、前記エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
【0010】
本発明のエポキシ樹脂は、一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンを反応させることにより得られるが、エポキシ樹脂の発明においては、製造方法はこれに限定されない。しかし、製造方法の発明を説明することによって、本発明のエポキシ樹脂の理解が容易となるので、製造方法の発明から説明する。
【0011】
一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂において、Aは炭素数6〜12の炭化水素基であり、芳香族骨格又は脂肪族骨格を有する環式基であることが望ましい。芳香族骨格としては、ベンゼン環、ナフタレン環等があり、脂肪族骨格としては、シクロヘキサン環、デカリン環等がある。耐熱性の点からは芳香族骨格が好ましく、耐候性及び透明性の観点からは脂肪族骨格が好ましい。脂肪族骨格には、シクロアルカン、シクロオレフィン等があるが、シクロアルカンが好ましい。なお、Aが末端に存在するときは1価の炭化水素基であり、中間に存在するときは2価の炭化水素基である。また、一分子中に複数のAが存在するが、炭素数6〜12の炭化水素基であれば、それらは同一であっても、異なってもよい。更に、芳香族骨格、脂肪族骨格というときは、芳香族環、脂肪族環にアルキル基等が上記炭素数の範囲内で置換してもよい。
【0012】
このような多価ヒドロキシ樹脂は、通常、フェノール類と特定の架橋剤を反応させることにより得ることができる。したがって、一般式(2)において、Aはフェノール類から生じる基又はその核水素化物ということができ、フェノール類を説明することにより好ましいAが理解される。
【0013】
フェノール類としては、具体的にはフェノール、2-メチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、1−ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン、2−ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。これらのフェノール類は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
架橋剤としては、下記一般式(3)で表されるアダマンタン化合物が使用される。
【化3】

ここで、Xは水酸基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。Rは水素原子又はメチル基を示すが、メチル基が好ましい。
【0015】
フェノール類と架橋剤の反応においては、架橋剤に対して過剰量のフェノール類が使用される。架橋剤の使用量は、通常、フェノール類1モルに対して0.1〜0.9モルの範囲であるが、好ましくは、0.1〜0.7モルの範囲である。これより多いと樹脂の軟化点が高くなり成形作業性に支障をきたす。また、これより少ないと反応終了後、過剰のフェノール類の除く量が多くなり、工業的に好ましくない。このモル比を調整することにより、一般式(2)のnが変動する。このnは平均の繰り返し数を示し、1〜15であるが、好ましくは1〜8、更に好ましくは1.1〜3である。
【0016】
この反応は、通常、50〜200℃で1〜20時間行い、この間、生成する水又はハロゲン化水素は系外に除かれる。また、場合により酸触媒を用いてもよく、この酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができる。このような酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸あるいは、活性白土、シリカ-アルミナ、ゼオライト等の固体酸等が挙げられる。
【0017】
更に、反応溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族溶媒を使用することができる。
【0018】
反応終了後、場合により、中和、水洗等の方法により触媒を除去し、必要に応じて残存する溶媒及び未反応のフェノール類を減圧留去等の方法により系外に除き、多価ヒドロキシ樹脂とする。また必要に応じて、得られた多価ヒドロキシ樹脂を、溶媒を用いて再結晶することにより一般式(1)において、nが1のビスヒドロキシ体とすることができる。再結晶溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族溶媒を使用することができる。また更に、上記反応で得られた多価ヒドロキシ樹脂を水素化することにより、シクロアルカン環やシクロオレフィン環を有する多価ヒドロキシ樹脂とすることもできる。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂は一般式(1)で表される。一般式(1)において、一般式(2)と同じ記号は同じものを意味すると理解される。Gはグリシジル基を示す。
【0020】
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンと反応させることにより得ることができる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
【0021】
例えば、一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂を過剰のエピクロロヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好ましくは、60〜120℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際の、アルカリ金属水酸化物の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して、0.8〜2モル、好ましくは、0.9〜1.2モルの範囲である。また、エピクロロヒドリンは多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基に対して過剰に用いられるが、通常、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して、1.5〜25モル、好ましくは、2〜15モルの範囲である。反応終了後、過剰のエピクロロヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。このエポキシ樹脂は一般式(1)で表されるものを主成分とするが、当然のことながらエポキシ基がエーテル結合としてオリゴマー化したものも含まれる。また更に、上記反応で得られたエポキシ樹脂を水素化することにより、シクロアルカン環やシクロオレフィン環を有するエポキシ樹脂とすることもできる。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂は、脂環式構造を有する分子運動の抑制された剛直なアダマンタン構造に起因して、耐熱性、耐湿性及び低誘電性に優れた性質を有し、硬化剤を配合して電気絶縁材料用のエポキシ樹脂組成物として好適に使用することができる。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなり、エポキシ樹脂成分として一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を必須成分として配合したものである。
【0024】
硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。これらを具体的に例示すれば、次のようである。本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更にはフェノール類、ナフトール類、又はビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレングリコール等との縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。また、一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂も使用できる。
【0026】
酸無水物としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
【0027】
アミン類としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
【0028】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明のエポキシ樹脂以外に分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて併用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、又はテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。しかし、本発明のエポキシ樹脂の使用割合は、エポキシ樹脂全体中、5〜100%、好ましくは50〜100%である。
【0029】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0030】
無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。また、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を配合してもよい。
【0031】
更に必要に応じて、公知の硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲である。
【0032】
本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工し得ることができる。硬化物を生成する際の温度は、通常、120〜220℃の範囲である。
【0033】
本発明の樹脂組成物又は硬化物は、耐熱性、耐湿性及び低誘電性に優れた性質を有し、電気絶縁材料の用途に適する。
【発明の効果】
【0034】
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、耐湿性、耐熱性、接着性、低誘電性、耐候性、透明性等に優れ、半導体封止、積層板、コーティング材料及び複合材料等の用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
【0036】
参考例
1000mlの4口フラスコにフェノール188g、水26gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら65℃に昇温し、二臭化ジメチルアダマンタン130gを加えた。その後、100℃に昇温し8時間反応を継続した。反応後、再沈殿及び水洗により生成した臭化水素及び過剰のフェノールを除去した後、180℃で減圧乾燥を行い、ビスフェノール体を主成分とする多価ヒドロキシ樹脂120gを得た。融点は225℃であった。
【実施例】
【0037】
実施例1
参考例で得た多価ヒドロキシ樹脂80gをエピクロロヒドリン850gに溶解し、減圧下(約120mmHg)、60℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液40gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により系外に除き、溜出したエピクロロヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、エピクロロヒドリンを留去し、メチルイソブチルケトン500mlに溶解した後、ろ過により生成した塩を除いた。イオン交換水にて水洗を行った後、メチルイソブチルケトンを留去し、エポキシ樹脂96gを得た。エポキシ当量は265であり、ICIコーンプレート法に基づく150℃での溶融粘度は0.032Pa・s、加水分解性塩素は550ppmであった。なお、ここで加水分解性塩素は、樹脂試料0.5gを1,4-ジオキサン30mlに溶解させたものを1N-KOH/メタノール溶液5mlで30分間煮沸還流したものを用い、硝酸銀溶液で電位差滴定を行うことにより求めた。
【0038】
得られたエポキシ樹脂のGPCチャートを図1に示す。GPC測定は、装置:HLC-82A(東ソー(株)製)及びカラム:TSK-GEL 2000 × 3本及びTSK-GEL4000 × 1本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/分、温度:38℃、検出器:RIの条件で行った。また、得られたエポキシ樹脂をイソプロピルアルコールにより再結晶を行った後、H−NMR及び赤外吸収スペクトルの測定を行った。チャートをそれぞれ図2及び図3に示す。
【0039】
実施例2及び比較例1
エポキシ樹脂として、実施例1で合成したエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂B)を用い、硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化製、MH-700)、硬化促進剤としてn−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイドを用い、表1に示す配合でミキシングロールにて80℃で溶融混合しエポキシ樹脂組成物を得た。なお、表中の数値は配合における重量部を示す。このエポキシ樹脂組成物を用いて150℃にて成形し、140℃にて3時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。
【0040】
ガラス転移点は、熱機械測定装置により、昇温速度10℃/分の条件で求めた。吸水率は、直径50mm、厚さ3mmの試験片を用い、ポストキュア後121℃、2atmの条件で24時間吸湿させた時の重量変化率とした。光透過度は5mm厚の試験片を用い、400nmでの光透過度を測定した。
【0041】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】エポキシ樹脂のGPCチャート
【図2】エポキシ樹脂のH−NMRチャート
【図3】エポキシ樹脂の赤外吸収スペクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)、
【化1】

(但し、Aは炭素数6〜12の炭化水素基、Rは水素原子又はメチル基、Gはグリシジル基を示す。また、nは0〜15の数を示す。)で表されるアダマンタン構造を有するエポキシ樹脂。
【請求項2】
下記一般式(2)、
【化2】

(但し、Aは炭素数6〜12の炭化水素基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。また、nは0〜15の数を示す。)で表される多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンを反応させることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
【請求項3】
エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、請求項1に記載のエポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−348064(P2006−348064A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172067(P2005−172067)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【出願人】(000221557)東都化成株式会社 (53)
【Fターム(参考)】