説明

エポキシ樹脂組成物のための衝撃強度改良剤

本発明は、エポキシ固体樹脂によって変性され、且つカルボキシル基を末端に有するブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNに関するものであり、その末端エポキシ基は任意選択により反応させられていてもよい。この種のポリマーは、特に、エポキシ樹脂組成物中の衝撃強度改良剤として用いられ、金属表面上への又は金属表面の接着にために特に有利であることが判明している。腐食の侵入の顕著な低減をもたらし、長寿命接着結合を確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃強度改良剤の分野及びエポキシ樹脂組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
衝撃強度改良剤は、衝撃のあるもとでの接着強度を向上させるために用いられる。特に、エポキシ樹脂組成物は通常高い機械強度を有するが、それらは非常に脆く、すなわち、硬化したエポキシ樹脂は、例えば、車両の衝突において生じるような衝撃のある場合に壊れ、それによって接着の破壊をもたらす。
【0003】
液状ゴムは、衝撃強度改良剤用に比較的長い間用いられてきた。例えば、Emerald Performance Material, LLC(米国)からHycar(登録商標)の名称で市販されているような、例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーに基づく液状ゴムが用いられてきた。アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーと固体エポキシ樹脂との付加体の使用が、例えば、欧州特許第0308664号明細書に記載されているように、さらに知られている。
【0004】
そのような公知のエポキシ樹脂組成物は、例えば車両製作の場合のように、特に金属表面に用いた場合には不利であることが判明しており、車両製作では、耐衝撃性を改質されたエポキシ樹脂組成物が、いわゆる「補強材(reinforcer)」として、構造要素の空隙の補強のための接着剤又は構造発泡体(構造フォーム)として用いられている。このことに対する一つの主な理由は、基材表面と接着剤又は補強材との間の領域に腐食が起こることによる、不十分な耐老化性である。このいわゆるフィルムの下(アンダーフィルム)の腐食は接着結合を弱め、結合の接着破壊をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0308664号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、エポキシ樹脂の分野で公知の衝撃強度改良剤と比較して、衝撃強度の向上と、アンダーフィルム腐食に対する腐食耐性の向上と、さらには接着力、特に金属表面への接着力の向上をもたらす衝撃強度改良剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、この目的は、請求項1記載のポリマーによって達成できることを発見した。エポキシ樹脂組成物におけるそのようなポリマーの使用は、実質的に少ないアンダーフィルム腐食と、そのため実質的により強く且つより長く持続する接着結合を、特に金属表面への又は金属表面の接着結合においてもたらす。
【0008】
本発明のその他の側面は、さらなる独立請求項の主題を構成する。本発明の特に好ましい態様は、従属請求項の主題である。
【0009】
[図面の簡単な説明]
本発明の実施例を、図面を参照して、より詳細に説明する。同じ要素は、様々な図面において同じ参照番号を付与されている。もちろん、本発明は、示し且つ説明した実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、発泡前の強化部材の模式図を示している。
【図2】図2は、発泡後の強化部材の模式図を示している。
【0011】
図は、本発明の直接の理解のために必要な要素のみを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、第一の側面では、下記式(I)のポリマーに関する。
【0013】
【化1】

【0014】
本明細書中、「ポリマー」の語は、重合度、モル質量、及び鎖長に関して異なるが化学的に均一な高分子の群を第一に含み、この群は多重反応(重合、重付加、重縮合)によって調製される。第二に、この用語は、多重反応による高分子のそのような群の誘導体、すなわち、特定した高分子上の官能基の反応、例えば、付加又は置換によって得られ、且つ化学的に均一又は化学的に不均一であってよい化合物をも含む。この用語はさらに、いわゆるプレポリマー、すなわち、その官能基が高分子の合成に関与する反応性オリゴマー予備付加体、をも含む。
【0015】
本明細書においては、「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリオール又はポリアミンなどは、一分子当たりにその名称にある官能基2つ以上を形式的に含む物質を指す。
【0016】
「固体エポキシ樹脂」の語は、エポキシ分野の当業者には非常によく知られており、「液状エポキシ樹脂」と対比して用いられる。固体エポキシ樹脂のガラス転移温度Tは25℃の室温よりも高く、すなわち、それらは室温で粉砕でき、流動可能な粒子をもたらすことができる。
【0017】
本明細書においては、「ジフェノール」の語は、2つのフェノール性水酸基を有する、単核の、多核の、及び縮合した芳香族及びヘテロ芳香族を指す。
【0018】
式(I)のポリマー中、R基は、カルボキシル末端のポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNからその末端カルボキシル基を取り除いた後の二価の基である。
【0019】
及びR基は、互いに独立に、それぞれ、固体エポキシ樹脂からそのグリシジルエーテル基を取り除いた後の二価の基である。
【0020】
特に、R及びR基は、互いに独立に、下記式(II)の二価の基である。
【0021】
【化2】

【0022】
式(II)中、pは2以上の値、特に2〜12、好ましくは2〜7の値を有する。
【0023】
X基は、互いに独立に、各場合に、2つのヒドロキシル基を取り除いた後のジフェノールの二価の基である。ジフェノールとして特に適しているものは、1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシトルエン、3,5-ジヒドロキシベンゾエート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(=ビスフェノールS)、ナフトレゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェニル、3,3-ビス(p-ヒドロキシフェニル)フタリド、5,5-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、フェノールフタレイン、フルオレセイン、4,4’-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールM)、4,4’-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールP)、2,2’-ジアリルビスフェノールA、フェノール類又はクレゾール類をジイソプロピリデンベンゼンと反応させて調製されるジフェノール類及びジクレゾール類、並びにこれらの化合物の全ての異性体、からなる群から選択されるものである。
【0024】
基は、アルキルアリール基、又は単核の、多核の、もしくは縮合した芳香族基であって、m=0の場合は、任意選択により、1つ以上のフェノール性水酸基を有していてもよく、あるいはR基は下記式(III)の基である。
【0025】
【化3】

【0026】
式(III)中、Rは、アルキルアリール基、又は単核の、多核の、もしくは縮合した芳香族基であって、m=0の場合は、任意選択により、1つ以上のフェノール性水酸基を有していてもよい。
【0027】
基は互いに独立に、各場合に、水素原子又はメチル基である。
【0028】
m及びnはそれぞれが0、1、又は2の値を有し、但し(m+n)=2となることを条件とする。特に、m及びnの両方がそれぞれ1の値を有する。好ましくは、mは0の値を有し、nは2の値を有する。
【0029】
m=n=1、又はm=0及びn=2の式(I)のポリマーは、m=2及びn=0の式(I)のポリマーと比較して、より大きな貯蔵安定性という利点を有する。この理由は、mが2ではないポリマーは、鎖延長することができないからである。この利点はまた、これらのポリマーを、エポキシ樹脂組成物中でのそれらの使用においても顕著なものにする。
【0030】
特に、R基は、フェノール、クレゾール、p-tert-ブチルフェノール、カルダノール(3-ペンタデセニルフェノール(カシューナッツ殻油から))、ノニルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキシベンジルアルコール、及び芳香族もしくは脂肪族カルボン酸、例えば、安息香酸、あるいは脂肪酸から、ヒドロキシル基を取り除いた後のものである。
【0031】
式(I)のポリマー中、m=0、すなわち、いかなるエポキシド基も存在しないという前提条件で、R基は任意選択で1つ以上のフリーヒドロキシル基を有していてもよい。特に、この場合、Rはまた、ジフェノール、例えば、スチレン又はジシクロペンタジエンと反応させたフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールフタレイン、又は4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸、又は、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンジルアルコール、又はベンジルアルコールから、OH基を除去した後のものであってもよい。
【0032】
式(I)のポリマーにおいて、R基は、特に、下記式(IV)の二価の基である。
【0033】
【化4】

【0034】
上記の破線はここではCTBNの2つのカルボキシル基に対する結合を表す。aはアクリロニトリルに由来する構造要素であり、b及びcはブタジエンに由来する構造要素である。
【0035】
10基は、1〜6の炭素原子を有する、特に4つの炭素原子を有する直鎖又は分岐したアルキレン基であり、これは任意選択により不飽和基によって置換されていてもよい。
【0036】
さらに、指数qは、40〜100、特に50〜90、好ましくは52〜66、最も好ましくは54〜52の値を有する。
【0037】
指数s、t、及びuは、それぞれ構造要素a、b、及びcの互いの割合を示す値である。指数sは0.05〜0.3、特に0.1〜0.25、好ましくは0.1〜0.2、最も好ましくは0.1〜0.18の値を有し、指数tは0.5〜0.8、特に0.6〜0.7の値を有する、指数uは0.1〜0.2、特に0.13〜0.15の値を有し、但し、s、t、及びuの合計は1に等しいことを条件とする。
【0038】
式(IV)に示される構造が単純化された表現であると理解されるべきであることは、当業者には明らかである。したがって、a、b、及びcによって指定された構造要素は、それぞれの場合に、互いに対して、ランダム、交互、又はブロックで配列されることができる。
【0039】
特に、Rは、Emerald Performance Materials, LLC(米国)によってHycar(登録商標)CTBNの商品名で市販されているカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNからカルボキシル基を形式的に除去した後で得られる基である。
【0040】
本発明による式(I)のポリマーは、上で説明したとおり、典型的には、室温で凝集した固体状態を有する。これが室温で液状又は粘稠でさえあるポリマーと比較して、そのようなポリマーの取り扱いをかなり容易にする。
【0041】
第二の側面では、本発明は上で説明した式(I)のポリマーの調製方法を含む。下記式(V)のカルボキシル末端ポリマーを、下記式(VI)の固体エポキシ樹脂と反応させる。
【0042】
【化5】

【0043】
上記式中、R、R、及びX基、及び指数pは上で既に説明している。
【0044】
式(V)のカルボキシル末端ポリマーを固体エポキシ樹脂と反応させ、液状エポキシ樹脂とは反応させないことが本発明には必要であり、すなわち、式(I)のポリマー中のR及びR基は、したがって、互いに独立に、2つのグリシジル基を除去した後の固体エポキシ樹脂である。液状エポキシ樹脂で変性したブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNの使用は、金属表面への又は金属表面の接着結合の場合に、フィルムの下の腐食(アンダーフィルム腐食)のわずかな低下しかもたらさない。対照的に、本発明にしたがって固体エポキシ樹脂で変性したブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNの使用は、驚くべきことにそのアンダーフィルム腐食の劇的な低下をもたらす。
【0045】
式(I)のポリマーは、式(V)のカルボキシル末端ポリマーを、化学量論的過剰の式(VI)の固体エポキシ樹脂と反応させることによって調製される。
【0046】
固体エポキシ樹脂のエポキシド基とブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNのカルボキシル基とのモル比は≧2:1、好ましくは3:1〜10:1である。このことが、全てのカルボキシル基がエポキシド基と反応することを確実にする。同時に、20000ダルトンを超える分子量を有するポリマーの形成も避けられる。
【0047】
nが0でない、すなわち、式(I)のポリマーのエポキシド基が少なくとも部分的に式(VII)の化合物と反応させられている式(I)のポリマーの調製のためには、小過剰のエポキシド基を用いることができる。
【0048】
【化6】

【0049】
基は既に上で説明している。
【0050】
nが0でない式(I)のポリマーの調製は段階的に行うことができ、例えば、m=2及びn=0の式(I)のポリマーの調製と、それに続く式(VII)の化合物との少なくとも部分的な反応を介して、あるいは式(V)のカルボキシル末端ポリマーと、式(VI)の固体エポキシ樹脂と、式(VII)の化合物を一緒に反応させるいわゆるワンポット法で行うことができる。
【0051】
好ましくは、nが0でない式(I)のポリマーは段階的に調製され、式(VI)の固体エポキシ樹脂が一末端で式(VII)の化合物と反応させられ、次に式(V)のカルボキシル末端ポリマーと反応させられる。
【0052】
エポキシド又はグリシジルエーテルとカルボン酸とのそのような反応及びそのための反応条件は、当業者には公知である。特に、この反応は、不活性雰囲気下で、比較的高い温度、例えば100℃より上、好ましくは約140℃において、且つ任意選択により場合によっては触媒を使用して行う。そのような触媒の例は、トリフェニルホスフィン、三級アミン、四級ホスホニウム塩、又は四級アンモニウム塩である。
【0053】
さらなる側面では、本発明は、ポリマーマトリクス中での衝撃強度改良剤としての、上述した式(I)のポリマーの使用を含む。
【0054】
本明細書においては、「衝撃強度改良剤」とは、破壊又はその他の損傷を受けることなしに衝突及び衝撃エネルギーを吸収する能力をポリマーマトリクスに付与するために、あるいはこのポリマーマトリクスのそのような能力を向上させるために、ポリマーマトリクス中で用いられる物質又は化合物を意味するものとして理解される。
【0055】
式(I)のこれらのポリマーは、架橋性組成物において、特にこれらのポリマーが反応することができるシステムにおいて用いられることが好ましい。したがって、これらのポリマーをどの組成物中で用いるかについての問題は、特に、ポリマーマトリクスに左右される。したがって、エポキシド基によって末端封止された式(I)のポリマーは、エポキシ樹脂組成物中に用いることが好ましい。
【0056】
さらなる側面では、本発明は、
a)少なくとも1種の上述した式(I)のポリマー;
b)少なくとも1種の固体エポキシ樹脂EP;及び
c)エポキシ樹脂用の少なくとも1種の硬化剤H
を含む組成物から出発する。
【0057】
好適な固体エポキシ樹脂EPは、特に、式(VI)の固体エポキシ樹脂であり、置換基R及び指数pは既に上で説明している。
【0058】
好ましい固体エポキシ樹脂EPは、25℃以上、特に30℃以上のガラス転移温度Tをもち、式HO−X−OHの化合物とエピクロルヒドリン及び/又は2-メチルエピクロルヒドリンとの反応によって典型的には調製でき、Xは既に上で説明している。式(I)のポリマー及び固体エポキシ樹脂EPにおけるXは、互いに独立に、既に説明した基から選択することができることは、当業者には明らかである。
【0059】
そのような固体エポキシ樹脂EPは、例えば、Huntsman International, LLC(米国)から商品名Araldite(登録商標)GT 7071又はAraldite(登録商標)GT 7004で市販されている。さらなる好適な固体エポキシ樹脂EPは、例えば、The Dow Chemical Company(米国)から、あるいはHexion Specialty Chemicals Inc.,(米国)から市販されている。
【0060】
さらに、変性した固体エポキシ樹脂、特に脂肪酸で変性した固体エポキシ樹脂を用いてもよく、例えば、Huntsman International LLC(米国)から、Araldite(登録商標)GT 6404の商品名で市販されている。
【0061】
固体エポキシ樹脂EPの割合は、組成物の総質量を基準にして、好ましくは30〜90質量%、特に35〜85質量%、好ましくは40〜75質量%である。
【0062】
さらに、本組成物は、特に、エポキシ樹脂用の少なくとも1種の硬化剤Hを含有する。
【0063】
硬化剤Hは、特に、エポキシド基に対して反応性の基を含み、ブロック形態で又はエポキシドに溶けにくい化合物として結晶形態で存在する。硬化剤Hは昇温によって活性化されることが好ましい。
【0064】
好適な硬化剤Hの例は、アミン、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、又は芳香脂肪族(アラアリファティック)、好ましくは一級又は二級の、アミン及びポリアミン;ポリアミンの付加体及びポリアルコキシ化生成物;アミン末端のポリアルキレングリコール;ポリフェノール類、例えば、フェノールノボラックもしくはクレゾールノボラック、モノフェノール類もしくはポリフェノール類とポリアミドとの付加体;ポリアミド、特に、脂肪族ポリアミンと二量化もしくは三量化した脂肪酸とから誘導されるポリアミド;ポリスルフィド;アニリン−ホルムアルデヒド類;多価フェノール類;多塩基カルボン酸及びそれらの無水物である。
【0065】
好ましい硬化剤Hは、ジシアンジアミド、グアナミン、グアニジン、アミノグアニジン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。さらに、活性化効果を有する硬化剤、例えば、置換尿素、例えば、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素(クロルトルロン)又はフェニル-ジメチル尿素類、特に、3-(p-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(モヌロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)、又は3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(ジウロン)、が可能である。さらに、イミダゾール類、イミダゾリン類、及びアミン錯体からなる群の化合物を用いてもよい。
【0066】
硬化剤Hは、特に好ましくはジシアンジアミドである。
【0067】
硬化剤Hは、組成物中のエポキシド基を基準にして化学量論量で用いることが好ましい。硬化剤Hの活性水素に対するエポキシド基のモル比は、好ましくは0.8〜1.2、特に0.9〜1.1、好ましくは0.95〜1.05である。
【0068】
特に、硬化剤Hの割合は、組成物の総質量を基準にして、0.05〜30質量%、特に0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。
【0069】
さらに、本組成物は、少なくとも1種の液状エポキシ樹脂を追加で含んでいてもよい。好ましい液状エポキシ樹脂は下記式(VII)を有する。
【0070】
【化7】

【0071】
式中、R5’、R11、及びR12基は、互いに独立に、H又はCHのいずれかである。さらに、指数rは、0〜1の値を有する。好ましい液状エポキシ樹脂は0.2以下のrの値を有する。
【0072】
これらは好ましくは、ビスフェノールAのグリシジルエーテル(BADGE)、ビスフェノールFのグリシジルエーテル(BFDGE)、及びビスフェノールA/Fのグリシジルエーテルである。ここでの「A/F」の表記は、アセトンとホルムアルデヒドの混合物をいい、この混合物はビスフェノールA/Fの調製において出発物質として用いられる。そのような液状樹脂は、例えば、Huntsman International LLC(米国)からAraldite(登録商標)GY 250、Araldite(登録商標)PY 304、Araldite(登録商標)GY 282、又は、The Dow Chemical Company(米国)からD.E.R(登録商標)331又はD.E.R(登録商標)330の商品名で、あるいは、Hexion Specialty Chemicals Inc.,(米国)からEpikote(登録商標)828又はEpikote(登録商標)862の商品名で市販されている。
【0073】
さらに、本組成物は、エポキシド基を有する少なくとも1種のフェノール樹脂をさらに含んでいてもよい。一般に酸触媒を使用して、≧1:1、特に1.2:1〜2:1のフェノールとホルムアルデヒドとの化学両論比でのフェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとの重縮合反応と、それによって得られたポリフェノール(ノボラックともいわれる)とエピクロルヒドリン及び/又は2-メチルエピクロルヒドリンとの続いての反応によって得られるフェノール樹脂が好ましい。
【0074】
そのようなエポキシド基を有するポリフェノール又はノボラックは、例えば、The Dow Chemical Company(米国)からD.E.N(登録商標)431及びD.E.N(登録商標)438の商品名で市販されている。
【0075】
有利には、液状エポキシ樹脂又はフェノール樹脂の割合は、組成物の総質量を基準にして0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に0.1〜5質量%である。
【0076】
この組成物は、化学又は物理発泡剤をさらに含んでいてもよい。温度、湿分、電磁放射、又は化学薬品の影響下でガス状物質を形成又は放出する有機又は無機物質が、化学発泡剤といわれる。そのような物質は、特に、アゾジカルボンアミド、スルホヒドラジド、炭酸水素塩、又は炭酸塩である。用いることのできる物理発泡剤は、温度、圧力、又は体積の変化、特に温度の上昇によって、集まったガス状態へと変わり、それによって体積膨張によって発泡体構造を形成する化合物である。特に、そのような物理的発泡剤は、昇温時に気化する液体である。さらには、組成物中にマイクロカプセル化した形態で導入されるガス又は低沸点液体を物理的発泡剤として用いることができる。化学及び物理発泡剤の両方とも、ポリマー組成物中に発泡体構造を作り出すことができる。
【0077】
好ましい発泡剤は、温度の影響下で組成物の発泡をもたらす化学発泡剤である。発泡のために必要な熱は、外部熱源、例えば、オーブン中での貯蔵、電気発熱要素との接触、マイクロ波放射、誘導加熱などによって、又は内部熱源、例えば、発熱化学反応によって導入されうる。
【0078】
好適な発泡剤は、例えば、Akzo Nobel社(オランダ)からExpancel(登録商標)の商品名で、Chemtura Corp.(米国)からCelogen(登録商標)の商品名で、又はLehmann & Voss & Co. KG(ドイツ国)からLuvopor(登録商標)の商品名で市販されている。
【0079】
本組成物は、追加の固体靭性改良剤をさらに含んでいてもよい。ここ及び以下で、「靭性改良剤」とは、組成物の総質量を基準にして0.1〜15質量%、特に0.5〜8質量%の少ない添加量であっても靭性に実質的増大をもたらし、したがって、エポキシ樹脂マトリクスの引裂き又は破壊の前に、より大きな曲げ、引張り、衝撃、又は衝突の応力を吸収することができる、エポキシ樹脂マトリクスへの添加剤を意味する。
【0080】
そのような固体靭性改良剤は、例えば、有機クレイ又はナノクレイの語で当業者に公知の有機イオン交換した層状鉱物;ブロックコポリマー、特に、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレートモノマーのブロックコポリマー;アモルファスシリカ;又は、コアシェルポリマー、である。特に、この固体靭性改良剤はコアシェルポリマーである。
【0081】
コアシェルポリマーは、弾性コアポリマー(コア)と剛性シェルポリマー(シェル)からなる。特に好適なコアシェルポリマーは、剛性の熱可塑性ポリマーの剛性シェルによって周りを包まれている弾性のアクリレート又はブタジエンポリマーを含むコアからなる。
【0082】
好ましいコアシェルポリマーはいわゆるMBSポリマーであり、これはArkema, Inc.(米国)からClearstrength(登録商標)、Rohm and Haas Co.(米国)からParaloid(登録商標)、あるいはZeon Chemicals L.P.(米国)からF-351(登録商標)の商品名で市販されている。
【0083】
乾燥したポリマーラテックスとして既に存在するコアシェルポリマー粒子が特に好ましい。これらの例は、Wacker Chemie AG(ドイツ国)のGENIOPERL(登録商標)M23A(これはポリシロキサンコアとアクリレートシェルを有する)、Eliokem, Inc.(米国)によって生産されているNEPシリーズの放射線架橋ゴム粒子、又はLanxess AG(ドイツ国)のNanopren(登録商標)、あるいはRohm and Haas Co.(米国)のParaloid(登録商標)EXL、である。
【0084】
固体コアシェルポリマーのさらなる類似の例は、Nanoresins AG(ドイツ国)によってAlbidur(登録商標)の商品名で提供されている。
【0085】
固体コアシェルポリマーの割合は、組成物の総質量を基準にして、0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜8質量%、特に0.1〜5質量%であることが有利である。
【0086】
さらに、本組成物は、少なくとも1種のフィラーを追加で含んでいてもよい。これは好ましくは、カーボンブラック、マイカ、タルク、カオリン、ウォラストナイト、長石(フェルドスパー)、閃長石(シエナイト)、緑泥石(クロライト)、フィロケイ酸塩(フィロシリケート)、例えば、ベントナイト又はモンモリロナイト、炭酸カルシウム(沈降性又は粉砕)、白雲石(ドロマイト)、石英、シリカ(熱分解法又は沈降法)、クリストバライト、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空セラミック球状粒子、中空ガラス球状粒子、中空有機球状粒子、ガラス球状粒子、着色顔料、ガラス繊維、プラスチック繊維、及び炭素繊維からなる群から選択されうる。フィラーは、当業者に公知の、有機変性された形態及び未処理の市販の形態の両方を意味するものとして理解される。
【0087】
フィラーの割合は、組成物の総質量を基準にして、3〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、特に8〜35質量%であることが有利である。
【0088】
さらに、本組成物は、非反応性の熱可塑性ポリマー、例えば、不飽和モノマーのホモポリマー又はコポリマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン、酢酸ビニル又はその高級エステル類、及び(メタ)アクリレートからなる群から選択される不飽和モノマーのホモポリマー又はコポリマーを含んでいてもよく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、アタクティックポリ-α-オレフィン(APAO)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレン(PE)が特に適している。
【0089】
さらなる好適な非反応性熱可塑性ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性ポリウレタン、又はポリエーテルエステルであり、例えば、DuPont社(米国)からHytrel(登録商標)の商品名で市販されている。
【0090】
本組成物は、さらなる成分、特に、触媒、反応性希釈剤、熱及び/又は光安定化剤、チキソ性付与剤、可塑剤、溶媒、染料、及び顔料を含んでいてもよい。
【0091】
上述した組成物は、例えば、接着剤、シーラントとして、あるいはコーティングをするための組成物として、特に構造接着剤として適している。
【0092】
さらに、本発明の組成物は、シーリング及び/又は防音のための隔壁部材中の構造発泡材として、あるいは構造部材及び強化要素中の空洞中の強化用の強化部材として用いられ、特に車両製作において用いられる発泡可能な熱硬化性組成物として適している。そのようなシステムは、「バッフル」及び「補強材(reinforcer)」の語によって当業者に公知である。
【0093】
特に、バッフル及び補強材用途のための発泡可能な熱硬化性材料として用いるために、本発明の組成物は特に有利であることが判明しており、なぜならそれらは金属表面に対して非常に良好な接着力を有し、それらの老化挙動においては、腐食、特にアンダーフィルム腐食に対する耐性が一般的に増大しているからである。
【0094】
図1及び2は、上に記載にしたがう本発明の使用例を模式的に示している。
【0095】
図1は、この態様中で発泡可能であり且つ支持部品3の上に存在している組成物1の発泡前の、構造部材4の空洞中に用いられている強化材を示している。車両製作において、そのような強化材は、車体の組み立てにおいて、次に特に大きな荷重に曝される部位、例えばクリップなどによって車体に固定される部位に用いられる。オーブン中でのカソード浸漬コーティング(cathodic dip-coating, CDC)の硬化時に、この発泡性組成物は発泡し、前記の部材に接着し、続いて完全に硬化する。
【0096】
図2は構造部材4の空洞中に用いられている強化材を示している。この場合は、発泡可能な材料2は既に完全に発泡しており、支持部品3と構造部材6との間の空洞を完全に満たしている。
【実施例】
【0097】
〔ポリマーP1〜P6の調製〕
式(I)に従うポリマーP1〜P6の調製のために、Hycar(登録商標)1300X13 CTBN (「X13」)、又はHycar(登録商標)1300X8 CTBN(「X8」)を、Cardolite(登録商標)NC 700(=Cardanol; 「NC 700」)、Araldite(登録商標)GT 7071(「GT 7071」)、及び場合により液状エポキシ樹脂(「BFDGE」)、エポキシド基を有するポリフェノール(「D.E.N 431」)、及び/又はビスフェノールAと、表1に記した質量比で、10時間、120℃で、触媒(PPh3)を添加して、反応させた。エポキシド当量質量(EEW)が2000 g/当量に達した後、反応を止めた。
【0098】
【表1】

【0099】
〔組成物Z1〜Z6の調製〕
ポリマーP1〜P6を、固体エポキシ樹脂Araldite(登録商標)GT 7004(「GT 7004」)又はAraldite(登録商標)GT 7071(「GT 7071」)と、表2に記した質量割合で混合した。その後、表2に示した追加の物質をその対応する質量割合で添加し、押出機中で混合した。
【0100】
〔組成物Ref1〜Ref3の調製〕
参照例Ref1〜Ref3として、式(I)に相当するポリマーなしの組成物を、表2に示した物質をその対応する質量割合で添加し、押出機中で混合する手順によって調製した。
【0101】
【表2】

【0102】
〔試験法の説明〕
引張剪断強度(「TSS」)は、Zwick/Roell Z005 引張試験機で、ISO 4587/DIN EN 1465に基づいて測定し、各場合に2つの同じ物質を互いに接着結合させた(接着面積:25×20 mm;層厚さ:2 mm;測定速度:10 mm/min;基材:高温亜鉛メッキ鋼 G1010(HLE, HE450M), 100×25×1.8 mm;硬化:180℃で30 分;測定温度:23℃(別途記載のない限り))。
【0103】
引張剪断強度の最初の測定(「TSS H0」)は、組成物の硬化後に行った。第二の測定(「TSS H7」)は、70℃且つ100%相対湿度(湿熱貯蔵)で7日間の試験体の貯蔵後に行った。硬化後の引張剪断強度(「TSS H0」)に対する湿熱貯蔵後の引張剪断強度(「TSS H7」)の変化を%で記した。
【0104】
破壊パターンは目視で分析し、基材上の目視で判断した腐食の傾向は引張剪断強度の測定結果に対応していた。本発明によらない配合物Ref1〜Ref3の場合は、かなりのアンダーフィルム腐食が基材上に認められ、いくつかの場合には、接着結合の自発的剥離を生じていた(TSS H7 = 0)。本発明による組成物Z1〜Z6は、基材上の腐食の兆候なしに凝集破壊パターンを示した。
【0105】
〔結果〕
引張剪断強度の測定の結果を表2に示している。それらは、式(I)のポリマーなしの参照例Ref1〜Ref3の場合のものと比較した湿熱貯蔵後の本発明の実施例の場合の引張剪断強度の低下はかなり小さいか、あるいは、孤立した例ではより高い引張剪断強度さえ、湿熱貯蔵後に測定されたことを示している。本発明の実施例の場合の接着力の小さな低下は、その少ないアンダーフィルム腐食に起因する。
【符号の説明】
【0106】
1・・・発泡性組成物
2・・・発泡した組成物
3・・・支持材料(支持部品)
4・・・構造部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のポリマー。
【化1】

式(I)中、R基は、カルボキシル末端のポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNからその末端カルボキシル基を取り除いた後の二価の基であり;
及びR基は、互いに独立に、それぞれ、固体エポキシ樹脂からその末端グリシジルエーテル基を取り除いた後の二価の基であり;
基は、アルキルアリール基、又は単核の、多核の、もしくは縮合した芳香族基であって、m=0の場合は、任意選択により、1つ以上のフェノール性水酸基を有していてもよく、あるいはR基は下記式(III):
【化2】

の基であり;
式(III)中、Rは、アルキルアリール基、又は単核の、多核の、もしくは縮合した芳香族基であって、m=0の場合は、任意選択により、1つ以上のフェノール性水酸基を有していてもよく;
基は互いに独立に、各場合に、水素原子又はメチル基であり;
m及びnはそれぞれが0、1、又は2の値を有し、但し(m+n)=2となることを条件とする。
【請求項2】
mが0又は1、特に0の値を有し、且つnが1又は2、特に2の値を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
及びR基が、互いに独立に、それぞれ下記式(II)の二価の基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマー。
【化3】

式(II)中、pは2以上の値、特に2〜12、好ましくは2〜7の値を有し;
Xは、互いに独立に、各場合に、そのヒドロキシル基を取り除いた後のジフェノールの二価の基である。
【請求項4】
前記ジフェノールが、1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシトルエン、3,5-ジヒドロキシベンゾエート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(=ビスフェノールS)、ナフトレゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェニル、3,3-ビス(p-ヒドロキシフェニル)フタリド、5,5-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、フェノールフタレイン、フルオレセイン、4,4’-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールM)、4,4’-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールP)、2,2’-ジアリルビスフェノールA、フェノール類又はクレゾール類をジイソプロピリデンベンゼンと反応させて調製されるジフェノール類及びジクレゾール類、並びに前記の化合物の全ての異性体、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
基が下記式(IV)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【化4】

式(IV)中、破線は2つのカルボキシル基に対する結合部位を表し;
aはアクリロニトリルに由来する構造要素であり、b及びcはブタジエンに由来する構造要素であり;
10基は、1〜6の炭素原子を有する、特に4つの炭素原子を有する直鎖又は分岐したアルキレン基であり、R10は任意選択により不飽和基によって置換されていてもよく;
qは、40〜100、特に50〜90の値を有し;
sは0.05〜0.3の値を有し;
tは0.5〜0.8の値を有し;
uは0.1〜0.2の値を有し;
但し、(s+t+u)=1であることを条件とする。
【請求項6】
qが52〜66、特に54〜62の値を有し;
sが0.1〜0.25の値を有し;
tが0.6〜0.7の値を有し;
uが0.13〜0.15の値を有し;
但し、(s+t+u)=1であることを条件とする、ことを特徴とする請求項5に記載のポリマー。
【請求項7】
基が、フェノール、クレゾール、p-tert-ブチルフェノール、3-ペンタデセニルフェノール、ノニルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキシベンジルアルコール、芳香族もしくは脂肪族カルボン酸、例えば、安息香酸、ジフェノール、例えば、スチレン又はジシクロペンタジエンと反応させたフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールフタレイン、4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸、p-ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンジルアルコール、及びベンジルアルコールからなる群から選択される基から各場合にOH基を除去した後のものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
下記式(V)のカルボキシル末端ポリマーを下記式(VI)の固体エポキシ樹脂と反応させることによる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法であって、
【化5】

前記固体エポキシ樹脂のエポキシド基と前記ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNのカルボキシル基とのモル比が≧2:1、好ましくは3:1〜10:1である、製造方法。
【請求項9】
調製した前記ポリマーの末端エポキシド基を、下記式(VII)の化合物との反応によって少なくとも部分的に反応させることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【化6】

〔式(VII)中、Rは、アルキルアリール基、又は単核の、多核の、もしくは縮合した芳香族基であって、m=0の場合は、1つ以上のフェノール性水酸基を任意選択により有していてもよく、あるいはR基は下記式(III)の基であり、
【化7】

式(III)中、Rは、アルキルアリール基、又は単核の、多核の、もしくは縮合した芳香族基であって、m=0の場合は、1つ以上のフェノール性水酸基を任意選択により有していてもよい。〕
【請求項10】
ポリマーマトリクス中における衝撃強度改良剤としての、請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)のポリマーの使用。
【請求項11】
前記ポリマーマトリクスがエポキシ樹脂マトリクスであることを特徴する、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
a)請求項1〜7のいずれか一項に記載した少なくとも1種のポリマー;
b)少なくとも1種の固体エポキシ樹脂EP;及び
c)エポキシ樹脂用の少なくとも1種の硬化剤H
を含む組成物。
【請求項13】
前記固体エポキシ樹脂EPが、式HO−X−OHの化合物と、エピクロルヒドリン及び/又は2-メチルエピクロルヒドリンとの反応によって調製できることを特徴とし、
上記式中Xが、それぞれの場合に、そのヒドロキシル基を取り除いた後のジフェノールの二価の基であり、前記ジフェノールが特に、1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシトルエン、3,5-ジヒドロキシベンゾエート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(=ビスフェノールS)、ナフトレゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェニル、3,3-ビス(p-ヒドロキシフェニル)フタリド、5,5-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、フェノールフタレイン、フルオレセイン、4,4’-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールM)、4,4’-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールP)、2,2’-ジアリルビスフェノールA、フェノール類又はクレゾール類をジイソプロピリデンベンゼンと反応させて調製されるジフェノール類及びジクレゾール類、並び前記の化合物の全ての異性体、からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
エポキシ樹脂用の前記硬化剤Hが昇温によって活性化されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
エポキシ樹脂用の前記硬化剤Hがジシアンジアミドを含むことを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の固体靭性改良剤、特にコアシェルポリマーをさらに含むことを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
特に、発泡剤、フィラー、非反応性熱可塑性ポリマー、触媒、反応性希釈剤、熱及び/又は光安定化剤、チキソ性付与剤、可塑剤、溶媒、染料、及び顔料からなる群から選択されるさらなる成分を追加で含むことを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
構造部材と強化要素との空洞中での強化のための、構造接着剤、及び/又は発泡可能な熱硬化性組成物としての、請求項12〜17のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−504198(P2011−504198A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534481(P2010−534481)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065949
【国際公開番号】WO2009/065914
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】