エミュレーション同期システムおよびその方法
【課題】
ATM網をLAN網でエミュレーションするには、同期クロック伝送用の回線が必要であった。また、LAN網でのゆらぎによってセル間隔の透過が保証されないという課題があった。
【解決手段】
ATM網から同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報としてLAN網を介して送受信する送受信手段と、受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生してATM網に出力する同期情報再生手段とを設けた。また、ATM網から入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記送受信手段によって送受信し、受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で伝送データをATM網に出力するようにした。
ATM網をLAN網でエミュレーションするには、同期クロック伝送用の回線が必要であった。また、LAN網でのゆらぎによってセル間隔の透過が保証されないという課題があった。
【解決手段】
ATM網から同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報としてLAN網を介して送受信する送受信手段と、受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生してATM網に出力する同期情報再生手段とを設けた。また、ATM網から入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記送受信手段によって送受信し、受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で伝送データをATM網に出力するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相異なるネットワーク網をエミュレートして相互接続する形態の通信分野に関し、特に、同期クロックを必要とするネットワーク網あるいは伝送装置の同期クロックを、同期クロックを必要としないネットワーク網を介して伝送するエミュレーション同期システムおよびその伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの普及に伴って、IEEE802.3標準のLAN(Local Area Network)網のサービスが増加してきている。特に、拠点間の距離によって料金体系が異なる従来のATM(Asynchronous Transfer Mode)網などのサービスに対して、広域のLAN網のサービスは価格が安く、サービスエリア内であれば距離に関係なく定額のものもあり、コストメリットが大きい。さらに、設備投資コストもATM網対応の設備に比べると、普及しているLAN対応の設備の方が割安な場合が少なくない。
【0003】
このように、通信業者の既存の専用線サービス(ATM網など)がある一方で、割安なLAN網のサービス(広域LAN網など)が急速に普及してきており、既存のATM網の代わりにLAN網を擬似的に利用するエミュレーション技術を用いたシステムが求められている。
ところが、ATM網に接続する伝送装置は、網側から同期クロックの供給を受け、これに同期させてデータを送受信する必要がある。これに対して、LAN網では、情報を送る時だけ物理層にデータを載せるバースト通信などが行われ、常時、同期クロックを伝送する必要がない。
【0004】
このような従来技術について、図10を用いて説明する。図10(a)はATM網にATM装置を接続する一般的なATM網の構成を示した図で、901はATM網、902はノードAのATM装置、903はノードBのATM装置、904はATM網901からATM装置902に供給される網同期のクロック、905はATM網901からATM装置903に供給される網同期のクロックをそれぞれ示している。図10(a)において、ノードAのATM装置902はATM網901から供給される網同期のクロック904に同期してセルデータを送受信し、ノードBのATM装置903はATM網901から供給される網同期のクロック905に同期してセルデータをそれぞれ送受信するので、常に、ATM網901の網同期クロックに同期してセルデータが送受信される。
【0005】
図10(b)はLAN網にATM装置902および903を接続する場合の従来の技術を示した図で、906はLAN網、907および908はATM装置902および903をLAN網に接続するための従来の技術によるATMエミュレーション装置、909は他のATM網などから供給されるクロック源、910は同期クロックを伝送するためのクロック回線、911はATMエミュレーション装置がクロック回線910から送られてくる同期クロックに基づいてATM装置902に供給するクロックをそれぞれ示している。
【0006】
図10(b)において、ATM装置903をLAN網906に接続してATM装置902と通信を行う場合には、図10(a)に示す網同期のクロック904および905の代わりに、クロック源909から供給されるクロックを伝送するためのクロック回線910を準備して、通信先のATM装置902にクロック911を伝送してやらなければならなかった。
【0007】
特許文献1記載の「媒体アクセス制御(MAC層)の同期記号を用いた非同期ネットワークの同期」では、非同期ネットワーク内での同期の配信と使用のための方法および構造体について記載されており、同期記号をMAC層上に周期的に挿入することによってネットワーク内に配信するようにしている。また、他のデバイスから受信した同期記号によるデバイス内部での周波数ロックのプロセスで使用する誤り訂正信号を発生するために、受信同期記号のカウントおよび間隔、および送信同期記号のカウントおよび間隔を用いる方法についても記載されている。
【特許文献1】特表2004−522329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ATM網へ接続する伝送装置は、網側から同期クロックの供給を受け、これに同期させてデータを送受信する必要があるので、LAN網でATM網をエミュレーションするには、従来の技術の図10(b)で説明したように、クロック伝送用のクロック回線910を用意しなければならず、逆にコストアップになったり、適用システムが限定されてしまうという課題があった。
【0009】
一方、仮にクロック情報を伝送できたとしても、ATMエミュレーション装置908がATM装置903が出力するATMのセルデータをLANのパケットデータに変換してLAN網906を介して通信先のATMエミュレーション装置907に伝送する間にLAN網906のルーティング状況などによって遅延が生じ、ATMエミュレーション装置907で再生されてATM装置902に出力されるATMのセルデータの出力間隔は、ATM装置903がATMエミュレーション装置908に出力するセルデータの出力間隔とは異なってしまう可能性がある。
【0010】
次に、この様子を図11を用いて説明する。図11はATM装置903がATMエミュレーション装置908に送信するATMのセルデータの間隔と、ATMエミュレーション装置907がATM装置902に受信したセルデータの様子を示した図で、ATM装置903から801、802、803および804の順にセルデータが送信され、ある遅延時間を経てATMエミュレーション装置907から801、802、803および804の順に受信データが出力される。尚、同番号のセルデータは、送信されてから、ある伝送遅延時間が経過後に受信される同じセルデータであることを示しており、同時に同じセルデータが存在しているわけではない。
【0011】
図11において、ATM装置903は、セルデータ801とセルデータ802とは時間間隔805(T1)で送信し、セルデータ802とセルデータ803とは時間間隔806(T2)で送信し、セルデータ803とセルデータ804とは時間間隔807(T3)でそれぞれ送信するものとする。これらのセルデータは、ATMエミュレーション装置908でLANパケットデータに変換されてLAN網906を介してATMエミュレーション装置907に伝送される。ATMエミュレーション装置907はこれをセルデータに再生して、セルデータ801、802、803および804の順にATM装置902に出力する。
【0012】
ところが、LAN網906のルーティング状況などによって伝送時間にゆらぎが生じ、セルデータ801とセルデータ802とは時間間隔812(T11)で受信し、セルデータ802とセルデータ803とは時間間隔813(T12)で受信し、セルデータ803とセルデータ804とは時間間隔814(T13)でそれぞれ受信することになる。つまり、ATM装置903が出力したセルデータの間隔とは異なって再生されてしまうという課題がある。
【0013】
一般にATM通信においては、セルデータの間隔はATM規約によってセル遅延の変動許容値が規定されており、ATM網の中でもセルの送信間隔を一定値以下に抑えるショーピングが行われている。ところが、上記のように、LAN網を介して伝送するとセルデータの間隔が異なってしまうという問題が生じ、ATM規約によって規定されているセル間隔を超えてしまう可能性がある。
【0014】
本発明は、同期クロックを伝送するための特別な回線を準備することなく、クロック情報を伝送することが可能なエミュレーション同期システムおよび方法を提供する。また、伝送されたクロック情報によって、LAN網で生じたセル間隔のずれを補正して、セル間隔の透過を行うシェーピング機能を実現するエミュレーション同期システムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のエミュレーション同期システムは、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生して前記伝送装置に出力する同期情報再生手段とを設けたことを特徴とする。
【0016】
特に、前記第1のネットワークをATM網とし、前記第2のネットワークをLAN網とし、前記同期クロックを前記ATM網の網同期クロックとすることを特徴とする。
また、本発明のエミュレーション同期システムは、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段とを設けたことを特徴とする。
【0017】
特に、前記第1のネットワークをATM網とし、前記第2のネットワークをLAN網とし、前記伝送データを前記ATM網のセルデータとしたことを特徴とする。
或いは、本発明のエミュレーション同期方法は、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生する同期情報再生手段とからなり、前記同期情報再生手段は前記同期クロックを前記伝送装置に出力することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のエミュレーション同期方法は、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段とからなり、前記データ送出手段は前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法は、同期のためのクロック情報をデータと同じ回線で伝送することができるので、別回線を用いてクロック情報を伝送する必要がない。また、セルデータ間隔をセル間隔計測手段が計測して受信側に伝送し、送信前と同じセルデータ間隔で受信側に出力することができるので、エミュレーション伝送によって生じたセルデータ間隔のゆらぎを補正し、セル間隔の透過を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法の実施形態について、図を用いて詳しく説明する。
図1はATMエミュレーション装置の構成を示すブロック図で、101はATMエミュレーション装置、102および103はATM網やATM装置との接続を行うATM終端部、104および105はLAN網やLAN装置との接続を行うLAN終端部、106はATMエミュレーション装置101で扱うクロックを処理するクロック処理部、107はATM終端部102が出力するセルデータのセル間隔を計測する受信セル間隔計測処理部、108は受信セル間隔計測処理部が出力するセルデータとセル間隔データとをカプセリングしてLANパケットを生成するカプセリング部、109はカプセリング部が出力するLANパケットとクロック処理部106が出力するクロックデータにクロックデータであることを示すフラグを付けてクロック情報としてLANパケット化する送信パケット処理部、110はATMエミュレーション装置101と同じ構成の通信先のATMエミュレーション装置から送られてくるLANパケットをクロック情報とカプセリングデータとに分ける受信パケット処理部、111は受信パケット処理部110が出力するクロック情報を解析するクロックデータ分解部、112は受信パケット処理部110が出力するカプセリングデータから受信セルデータと受信セルの間隔データとに分解するカプセル分解部、113はカプセル分解部112が出力する受信セルデータを受信セル間隔データに従ってセルの間隔を調整する送信セル間隔制御部、119および120はATM終端部102に入力される受信セルデータ、121および122はATM終端部103から出力される送信セルデータ、123はLAN終端部104から出力される送信LANパケット、124はLAN終端部105に入力される受信LANパケットをそれぞれ示している。
【0021】
図1において、ATM回線上を網クロックに同期して物理レイヤの信号として送られてくる送信セルデータ119および120はATM終端部102でATMレイヤ上でのセルデータに戻され、受信セル間隔計測処理部107に出力される。
次に、クロック処理部106の構成について、図2を用いて詳しく説明する。図2において、201はクロック源909からのクロックかATM終端部102から抽出したクロックかの何れかを選択するセレクタ、202は電圧によって発信周波数を可変できるVCO発振器、203はVCO発振器202を分周した周波数とセレクタ201が出力するクロックとの位相のズレを誤差電圧としてVCO発振器202を制御して同期させるPLL(Phase Locked Loop)回路、204はVCO発振器202の出力とセレクタ201の出力を比較してクロックデータ化するクロックデータ化部、205はセレクタ201が出力するクロック成分かクロックデータ分解部111が出力するクロック成分かのいずれかを選択するセレクタ、206はセレクタ201の選択を予め設定するクロック源設定スイッチ、207はセレクタ205の選択を予め設定するマスタ/スレーブ設定スイッチをそれぞれ示している。
【0022】
今、セレクタ201によって、ATM終端部102から抽出した物理レイヤの網クロック成分あるいはATM終端部102に接続されるATM装置が使用する外部クロックと同一のクロック源909のクロック成分の何れかを予めクロック源設定スイッチ206で選択し、さらにセレクタ205によって、セレクタ201が出力するクロック成分かクロックデータ分解部111が出力するクロック成分かのいずれかを予めマスタ/スレーブ設定スイッチ207で選択した後、これらのクロック成分より十分に高い周波数のVCO発振器202とPLL同期させる。さらに、同期したVCO発振器202の出力であるローカルクロックをクロックデータ化部204に出力すると共に、装置内の受信セル間隔計測処理部107,送信セル間隔制御部113およびATM終端部103にクロックを供給する。クロックデータ化部204は、VCO発振器202が出力する網クロックあるいはクロック源909よりも十分に高い周波数のローカルクロックでセレクタ201が出力する網クロックあるいはクロック源909の周期をカウントし、そのカウント値をクロックデータとして送信パケット処理部109に出力する。
【0023】
尚、本実施の形態では、カウント値をクロックデータとして用いたが、PLL動作時の誤差値など、受信側のPLLでローカルクロックを再生することができる情報をクロックデータとすれば同様の効果が得られる。また、マスタ/スレーブ設定スイッチ207はセレクタ205に作用し、スレーブ設定時には送信元のATMエミュレーション装置より受信したクロックデータからクロックデータ分解部111によって分解出力されるクロック成分を選択し、PLL203へ入力され、マスタ設定時にはマスタクロックとなるクロック源909からのクロック信号あるいはATM終端部102からの抽出クロック信号をセレクタ201により選択し、セレクタ205を介してクロック成分がPLL203へ入力される。
【0024】
次に、受信セル間隔計測処理部107の構成について、図3を用いて詳しく説明する。図3において、301はATM終端部102が出力する受信セルデータを蓄積する受信セルバッファ、302は受信セルバッファ301に蓄積する時にセル間隔を計測するセル間隔計測部、303はセル間隔計測部302が計測する受信セルデータ119と120のセル間隔T4をそれぞれ示している。
【0025】
今、受信セル間隔計測処理部107のセル間隔計測部302はクロック処理部106が出力するクロックに基づく一定間隔のパルスによって受信セルバッファ301に蓄積する際の受信セルデータのセル間隔を計測し、セル間隔情報をカプセリング部108に出力する。例えば、セル間隔計測部302は、受信セルデータ119および120が連続してATM終端部102から受信セルバッファ301に入力する時のセル間隔を計測し、セル間隔303(T4)になっていたとすると、受信セルデータ120をカプセリング部108に出力するタイミングで、セル間隔がT4であることを、カプセリング部108に知らせる。
【0026】
次に、カプセリング部108の動作について、図4を用いて詳しく説明する。図4(a)は受信セル間隔計測処理部107が出力する受信セルデータとセル間隔とを1つずつまとめてLANパケット化する様子を示した図で、図4(b)は受信セルデータとセル間隔とを複数個まとめてLANパケット化する他の実施形態を示した図である。図4において、403は受信セルデータ119および120に続いてATM終端部102に入力される受信セルデータ、405は受信セルデータ120と403とのセル間隔(T5)、406、407および412はLANパケット、408はLANパケット406のヘッダ、409はLANパケット406のデータフィールド、410はLANパケット406の誤りをチェックするFCS(Frame Check Sequence)、412はLANパケット、413はLANパケット412のヘッダ、414はLANパケット412のデータフィールド、415はLANパケット412のFCSをそれぞれ示している。
【0027】
図4(a)において、受信セル間隔計測処理部107が出力する受信セルデータ119と受信セルデータ120とのセル間隔(T4)303は、LANパケット406のデータフィールド409に受信セルデータ120と共に載せられてパケット化される。同様に、受信セルデータ120と受信セルデータ403とのセル間隔(T5)405は、LANパケット407のデータフィールド(図では省略されている)に受信セルデータ403と共に載せられてパケット化される。受信セルデータ119はその前の受信セルデータ(図では省略されている)とのセル間隔と共にLANパケット406の前にパケット化されている。このように、全ての受信セルデータは、一つ前の受信セルデータとのセル間隔と共にパケット化されて図1の送信パケット処理部109に出力される。
【0028】
図4(b)の場合は、先に説明した図4(a)において連続して生成される2つのパケットを1つにまとめてパケット化する他の実施形態を示しており、LANパケット412のデータフィールド414に受信セルデータ120とそのセル間隔(T4)303と受信セルデータ403とそのセル間隔(T5)405とが1つにまとめて載せられてパケット化される。このように、複数の受信セルデータと複数のセル間隔情報を1つにまとめてパケット化することで、ヘッダ413およびFCS415などの冗長部分を共有できるので、通信効率が高くなるという利点がある。
【0029】
次に、図1の送信パケット処理部109の動作について、図5を用いて詳しく説明する。図5(a)はクロック処理部106が出力するクロックデータをクロック情報としてLANパケット化する例を示しており、図5(b)は、LANパケット化の他の実施形態を示している。図5において、501および506はLANパケット、502および507はLANパケット501および506のそれぞれのヘッダ、503および508はLANパケット501および506のそれぞれのデータフィールド、504および509はLANパケット501および506のそれぞれのFCS、505はクロック処理部106が出力するクロックデータ、510はクロックデータ505がクロック情報であることを示すフラグをそれぞれ示している。
【0030】
図5(a)において、クロック処理部106が出力するクロックデータ505はクロック情報であることを示すフラグ510が付加されてLANパケット501のデータフィールド503に載せられてパケット化される。同図の場合は、1つのクロックデータにヘッダ502とFCS504を付加して1つのLANパケット501とする例を示している。
LANパケット化する他の実施形態を示す図5(b)の場合は、先に説明した図5(a)のフラグ510が付加されたクロックデータ505と、カプセリング部108が出力する受信セルデータ120と、そのセル間隔(T4)303とを1つにまとめてLANパケット506とするものである。クロックデータと受信セルデータとセル間隔情報とを1つにまとめてパケット化することで、ヘッダ507およびFCS509などの冗長部分を共有できるので、通信効率が高くなるという利点がある。もちろん、通信効率をさらに高めるために、図4(b)のLANパケット412にクロックデータ505を一緒に載せても構わない。
【0031】
このように、図1において、ATM網からATM終端部102に入力したATMの受信セルデータ119および120などの受信セルデータは、ATM網のクロックデータと、セルデータと、セル間隔情報とがLANパケット化されて、LAN終端部104から送信LANパケット123のようにLAN網に出力される。
尚、本実施形態では、分かり易いように、カプセリング部108と送信パケット処理部109とにブロックを分けて説明したが、何れも情報をLANパケット化する処理なので、1つにまとめて処理するようにしても本発明の効果は変わらない。また、ATM終端部102および103に接続するのは、ATM網であっても構わないし、ATM装置であっても構わない。但し、ATM終端部102にATM装置を接続する場合は、そのATM装置に外部からクロックを供給する必要がある。これに関しては、図7を用いて後で説明する。
【0032】
一方、LAN網からLAN終端部105に入力する受信LANパケット124は、受信パケット処理部110に出力される。受信パケット処理部110は先に説明した送信パケット処理部109と逆の動作を行い、受信LANパケット124が例えば図5(a)に示すLANパケット501であった場合は、クロックデータ505を取り出してクロックデータ分解部111に出力し、受信LANパケット124が例えば図4(a)に示すLANパケット406であった場合は、カプセル分解部112にLANパケット406を出力する。
【0033】
ここで、クロックデータ分解部111は、受信パケット処理部110からクロックデータ505を受け取り、マスタ側の網クロックあるいはクロック源の周期をカウントしたカウント値などに変換してクロック処理部106に伝える。クロック処理部106は、これらの値に基づいて図2で説明したようにクロック処理部106内のPLL回路によって十分に高い周波数のローカルクロックを分周し、マスタ側の網クロックあるいはクロック源を生成する。尚、この場合の動作は、先に説明したスレーブでの動作に相当する。
【0034】
次に、カプセル分解部112はカプセリング部108と逆の動作をし、例えば、図4(a)のLANパケット406を受信パケット処理部110から受け取ると、セルデータ120と、セル間隔(T4)303とにデータを分解し、送信セル間隔制御部113に出力する。
ここで、送信セル間隔制御部113の構成について、図6を用いて詳しく説明する。図6において、601はセル送出制御部、602は送信セルバッファをそれぞれ示している。尚、先に説明したものと同符号のものは同じものなので説明を省略する。
【0035】
今、セル送出制御部601はクロック処理部106が出力するクロックに基づく一定間隔のパルスによって送信セルバッファ602から送出するセルの間隔を制御し、カプセル分解部112から入力するセル間隔に応じた間隔を空けてセルをATM終端部103に送出し、ATM終端部103は送信セルバッファ602から受け取ったセルデータをATM網の物理層の送信データに変換し、クロック処理部106が出力するクロック信号に同期してATM網またはATM装置に送信される。
【0036】
例えば、送信セル間隔制御部113がカプセル分解部112から、図4(a)で説明した受信セルデータ119、120および403を受け取ったとすると、カプセル分解部112はセル送出制御部601に受信セルデータ119と120のセル間隔がT4であったことを知らせるので、セル送出制御部601は送信セルバッファ602にセルデータ119をATM終端部103に送出した後、セル間隔(T4)303だけ遅らせてからセルデータ120を送出するように制御する。
【0037】
次に、本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法の効果について、図7を用いて説明する。図7において、701,704および705は本発明の技術によってLAN網906を介して伝送されるクロック情報、702,706および707は図1のATMエミュレーション装置101と同じ構成のATMエミュレーション装置をそれぞれ示している。図7(a)は従来の技術で説明した図10(b)と対比させたもので、本発明では、クロック源909のクロックをATMエミュレーション装置707からLAN網906を介してクロック情報701のLANパケットとしてATMエミュレーション装置706に伝送することができるので、図10(b)のようにクロック回線910を必要とせず、クロック911をATM装置902に供給でき、安価にATM装置を利用することが可能となる。
【0038】
尚、本実施形態では1対1としたが、図7(b)に示すように、LAN網906を介して、ノードCのATM装置703がATMエミュレーション装置702を介して接続されていても、例えば、ATMエミュレーション装置702がマスタとなってクロック情報704をATMエミュレーション装置706に送ることで同期を保つことができるし、ATMエミュレーション装置707がマスタとなってクロック情報705をATMエミュレーション装置702に伝送することができる。尚、図7(b)ではクロック源909に相当するものは省略してある。
【0039】
次に、図8を用いてマスタとスレーブの関係について説明する。図8はクロック源909に同期して動作しているATM装置903のクロック成分をマスタと考えた時のクロック情報の流れを示した図である。ATMエミュレーション装置707はシステムで見た場合はATM装置903からクロック成分の供給を受けるのでスレーブに相当するが、装置間の関係で見た場合はLAN網906を介してATMエミュレーション装置706にクロック成分を供給するのでマスタとなり、この場合は図2で説明したセレクタ205はセレクタ201側を選択し、セレクタ201はATM終端部102側を選択することになる。
【0040】
ATMエミュレーション装置706においては、クロック成分はLAN網906を介してATMエミュレーション装置707から送られてくるのでスレーブとなり、この場合は図2で説明したセレクタ205はクロックデータ分解部111側を選択することになる。また、ATMエミュレーション装置706とATM装置902との装置間で見た場合はATMエミュレーション装置706がマスタとなり、クロック成分をATM装置902に供給する。
【0041】
このように、マスタとスレーブの関係を守ることによって、システムレベルでは1つのマスタクロック源からシステム内の各装置をスレーブとしてクロック成分を供給することができ、同期を取ることが可能となる。
次に、本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法のもう一つの効果について、図9を用いて説明する。図9は従来の技術で説明した図11に対比させたもので、従来の技術および本発明の実施形態で説明したものと同符号のものは同じものを示している。図9において、ATM装置903が出力するATMセルデータのセル間隔と同じセル間隔でATMエミュレーション装置706はATM装置902にATMセルデータを送出することができるので、ATM装置902はATM装置903にあたかも直接接続されているのと同じ品質のATMセルデータを受けることができる。
【0042】
例えば、ATM装置903がセルデータ801乃至804をセル間隔805乃至807で送出しているとき、ATMエミュレーション装置707の受信セル間隔計測処理部107はセルデータ801と802のセル間隔805がT1であることを計測し、LANパケット化されてセルデータ802と共にLAN網906を介してATMエミュレーション装置706に送られる。同様に、受信セル間隔計測処理部107はセルデータ802と803のセル間隔806がT2であることを、セルデータ803と804のセル間隔807がT3であることをそれぞれ計測し、LANパケット化されてセルデータ803あるいは804と共にLAN網906を介してATMエミュレーション装置706に送られる。
【0043】
これを受けたATMエミュレーション装置706の送信セル間隔制御部113は送信セルバッファ602にセルデータ801乃至804を蓄えながら、セルデータ801を送出した後、セル間隔(T1)805だけ待ってからセルデータ802を送出し、同様に、セル間隔(T2)806だけ待ってからセルデータ803を送出し、セル間隔(T3)807だけ待ってからセルデータ804を送出する。
【0044】
このように、図11の従来の技術ではLAN網を介してATMセルデータを伝送することによってセル間隔が変わってしまうという課題があり、極端な場合はATMのセル間隔の規定から外れてしまうことも懸念されたが、本発明では、図9に示すように、ATM装置903が出力するATMセルデータのセル間隔と同じセル間隔で、LAN網906を介して接続されているATMエミュレーション装置706からATM装置902へ送出することができ、ATMの品質を損なわずにLAN網を介してATMセルデータを伝送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態のクロック処理部106を説明するための補助図である。
【図3】本発明の実施形態の受信セル間隔計測処理部107を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態のカプセリング部108を説明するための補助図である。
【図5】本発明の実施形態の送信パケット処理部109を説明するための補助図である。
【図6】本発明の実施形態の送信セル間隔制御部113を示すブロック図である。
【図7】エミュレーション同期システムの全体構成を示す説明図である。
【図8】マスタとスレーブの関係を説明するための補助図である。
【図9】本発明の効果を説明するための補助図である。
【図10】従来技術の網接続を示す説明図である。
【図11】従来技術の課題を説明するための補助図である。
【符号の説明】
【0046】
101・・・ATMエミュレーション装置
102、103・・・ATM終端部
104、105・・・LAN終端部
106・・・クロック処理部
107・・・受信セル間隔計測処理部
108・・・カプセリング部
109・・・送信パケット処理部
111・・・クロックデータ分解部
112・・・カプセル分解部
113・・・送信セル間隔制御部
119・・・セルデータ
123・・・パケットデータ
【技術分野】
【0001】
相異なるネットワーク網をエミュレートして相互接続する形態の通信分野に関し、特に、同期クロックを必要とするネットワーク網あるいは伝送装置の同期クロックを、同期クロックを必要としないネットワーク網を介して伝送するエミュレーション同期システムおよびその伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの普及に伴って、IEEE802.3標準のLAN(Local Area Network)網のサービスが増加してきている。特に、拠点間の距離によって料金体系が異なる従来のATM(Asynchronous Transfer Mode)網などのサービスに対して、広域のLAN網のサービスは価格が安く、サービスエリア内であれば距離に関係なく定額のものもあり、コストメリットが大きい。さらに、設備投資コストもATM網対応の設備に比べると、普及しているLAN対応の設備の方が割安な場合が少なくない。
【0003】
このように、通信業者の既存の専用線サービス(ATM網など)がある一方で、割安なLAN網のサービス(広域LAN網など)が急速に普及してきており、既存のATM網の代わりにLAN網を擬似的に利用するエミュレーション技術を用いたシステムが求められている。
ところが、ATM網に接続する伝送装置は、網側から同期クロックの供給を受け、これに同期させてデータを送受信する必要がある。これに対して、LAN網では、情報を送る時だけ物理層にデータを載せるバースト通信などが行われ、常時、同期クロックを伝送する必要がない。
【0004】
このような従来技術について、図10を用いて説明する。図10(a)はATM網にATM装置を接続する一般的なATM網の構成を示した図で、901はATM網、902はノードAのATM装置、903はノードBのATM装置、904はATM網901からATM装置902に供給される網同期のクロック、905はATM網901からATM装置903に供給される網同期のクロックをそれぞれ示している。図10(a)において、ノードAのATM装置902はATM網901から供給される網同期のクロック904に同期してセルデータを送受信し、ノードBのATM装置903はATM網901から供給される網同期のクロック905に同期してセルデータをそれぞれ送受信するので、常に、ATM網901の網同期クロックに同期してセルデータが送受信される。
【0005】
図10(b)はLAN網にATM装置902および903を接続する場合の従来の技術を示した図で、906はLAN網、907および908はATM装置902および903をLAN網に接続するための従来の技術によるATMエミュレーション装置、909は他のATM網などから供給されるクロック源、910は同期クロックを伝送するためのクロック回線、911はATMエミュレーション装置がクロック回線910から送られてくる同期クロックに基づいてATM装置902に供給するクロックをそれぞれ示している。
【0006】
図10(b)において、ATM装置903をLAN網906に接続してATM装置902と通信を行う場合には、図10(a)に示す網同期のクロック904および905の代わりに、クロック源909から供給されるクロックを伝送するためのクロック回線910を準備して、通信先のATM装置902にクロック911を伝送してやらなければならなかった。
【0007】
特許文献1記載の「媒体アクセス制御(MAC層)の同期記号を用いた非同期ネットワークの同期」では、非同期ネットワーク内での同期の配信と使用のための方法および構造体について記載されており、同期記号をMAC層上に周期的に挿入することによってネットワーク内に配信するようにしている。また、他のデバイスから受信した同期記号によるデバイス内部での周波数ロックのプロセスで使用する誤り訂正信号を発生するために、受信同期記号のカウントおよび間隔、および送信同期記号のカウントおよび間隔を用いる方法についても記載されている。
【特許文献1】特表2004−522329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ATM網へ接続する伝送装置は、網側から同期クロックの供給を受け、これに同期させてデータを送受信する必要があるので、LAN網でATM網をエミュレーションするには、従来の技術の図10(b)で説明したように、クロック伝送用のクロック回線910を用意しなければならず、逆にコストアップになったり、適用システムが限定されてしまうという課題があった。
【0009】
一方、仮にクロック情報を伝送できたとしても、ATMエミュレーション装置908がATM装置903が出力するATMのセルデータをLANのパケットデータに変換してLAN網906を介して通信先のATMエミュレーション装置907に伝送する間にLAN網906のルーティング状況などによって遅延が生じ、ATMエミュレーション装置907で再生されてATM装置902に出力されるATMのセルデータの出力間隔は、ATM装置903がATMエミュレーション装置908に出力するセルデータの出力間隔とは異なってしまう可能性がある。
【0010】
次に、この様子を図11を用いて説明する。図11はATM装置903がATMエミュレーション装置908に送信するATMのセルデータの間隔と、ATMエミュレーション装置907がATM装置902に受信したセルデータの様子を示した図で、ATM装置903から801、802、803および804の順にセルデータが送信され、ある遅延時間を経てATMエミュレーション装置907から801、802、803および804の順に受信データが出力される。尚、同番号のセルデータは、送信されてから、ある伝送遅延時間が経過後に受信される同じセルデータであることを示しており、同時に同じセルデータが存在しているわけではない。
【0011】
図11において、ATM装置903は、セルデータ801とセルデータ802とは時間間隔805(T1)で送信し、セルデータ802とセルデータ803とは時間間隔806(T2)で送信し、セルデータ803とセルデータ804とは時間間隔807(T3)でそれぞれ送信するものとする。これらのセルデータは、ATMエミュレーション装置908でLANパケットデータに変換されてLAN網906を介してATMエミュレーション装置907に伝送される。ATMエミュレーション装置907はこれをセルデータに再生して、セルデータ801、802、803および804の順にATM装置902に出力する。
【0012】
ところが、LAN網906のルーティング状況などによって伝送時間にゆらぎが生じ、セルデータ801とセルデータ802とは時間間隔812(T11)で受信し、セルデータ802とセルデータ803とは時間間隔813(T12)で受信し、セルデータ803とセルデータ804とは時間間隔814(T13)でそれぞれ受信することになる。つまり、ATM装置903が出力したセルデータの間隔とは異なって再生されてしまうという課題がある。
【0013】
一般にATM通信においては、セルデータの間隔はATM規約によってセル遅延の変動許容値が規定されており、ATM網の中でもセルの送信間隔を一定値以下に抑えるショーピングが行われている。ところが、上記のように、LAN網を介して伝送するとセルデータの間隔が異なってしまうという問題が生じ、ATM規約によって規定されているセル間隔を超えてしまう可能性がある。
【0014】
本発明は、同期クロックを伝送するための特別な回線を準備することなく、クロック情報を伝送することが可能なエミュレーション同期システムおよび方法を提供する。また、伝送されたクロック情報によって、LAN網で生じたセル間隔のずれを補正して、セル間隔の透過を行うシェーピング機能を実現するエミュレーション同期システムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のエミュレーション同期システムは、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生して前記伝送装置に出力する同期情報再生手段とを設けたことを特徴とする。
【0016】
特に、前記第1のネットワークをATM網とし、前記第2のネットワークをLAN網とし、前記同期クロックを前記ATM網の網同期クロックとすることを特徴とする。
また、本発明のエミュレーション同期システムは、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段とを設けたことを特徴とする。
【0017】
特に、前記第1のネットワークをATM網とし、前記第2のネットワークをLAN網とし、前記伝送データを前記ATM網のセルデータとしたことを特徴とする。
或いは、本発明のエミュレーション同期方法は、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生する同期情報再生手段とからなり、前記同期情報再生手段は前記同期クロックを前記伝送装置に出力することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のエミュレーション同期方法は、同期クロックを必要とする第1のネットワークと、前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段とからなり、前記データ送出手段は前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法は、同期のためのクロック情報をデータと同じ回線で伝送することができるので、別回線を用いてクロック情報を伝送する必要がない。また、セルデータ間隔をセル間隔計測手段が計測して受信側に伝送し、送信前と同じセルデータ間隔で受信側に出力することができるので、エミュレーション伝送によって生じたセルデータ間隔のゆらぎを補正し、セル間隔の透過を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法の実施形態について、図を用いて詳しく説明する。
図1はATMエミュレーション装置の構成を示すブロック図で、101はATMエミュレーション装置、102および103はATM網やATM装置との接続を行うATM終端部、104および105はLAN網やLAN装置との接続を行うLAN終端部、106はATMエミュレーション装置101で扱うクロックを処理するクロック処理部、107はATM終端部102が出力するセルデータのセル間隔を計測する受信セル間隔計測処理部、108は受信セル間隔計測処理部が出力するセルデータとセル間隔データとをカプセリングしてLANパケットを生成するカプセリング部、109はカプセリング部が出力するLANパケットとクロック処理部106が出力するクロックデータにクロックデータであることを示すフラグを付けてクロック情報としてLANパケット化する送信パケット処理部、110はATMエミュレーション装置101と同じ構成の通信先のATMエミュレーション装置から送られてくるLANパケットをクロック情報とカプセリングデータとに分ける受信パケット処理部、111は受信パケット処理部110が出力するクロック情報を解析するクロックデータ分解部、112は受信パケット処理部110が出力するカプセリングデータから受信セルデータと受信セルの間隔データとに分解するカプセル分解部、113はカプセル分解部112が出力する受信セルデータを受信セル間隔データに従ってセルの間隔を調整する送信セル間隔制御部、119および120はATM終端部102に入力される受信セルデータ、121および122はATM終端部103から出力される送信セルデータ、123はLAN終端部104から出力される送信LANパケット、124はLAN終端部105に入力される受信LANパケットをそれぞれ示している。
【0021】
図1において、ATM回線上を網クロックに同期して物理レイヤの信号として送られてくる送信セルデータ119および120はATM終端部102でATMレイヤ上でのセルデータに戻され、受信セル間隔計測処理部107に出力される。
次に、クロック処理部106の構成について、図2を用いて詳しく説明する。図2において、201はクロック源909からのクロックかATM終端部102から抽出したクロックかの何れかを選択するセレクタ、202は電圧によって発信周波数を可変できるVCO発振器、203はVCO発振器202を分周した周波数とセレクタ201が出力するクロックとの位相のズレを誤差電圧としてVCO発振器202を制御して同期させるPLL(Phase Locked Loop)回路、204はVCO発振器202の出力とセレクタ201の出力を比較してクロックデータ化するクロックデータ化部、205はセレクタ201が出力するクロック成分かクロックデータ分解部111が出力するクロック成分かのいずれかを選択するセレクタ、206はセレクタ201の選択を予め設定するクロック源設定スイッチ、207はセレクタ205の選択を予め設定するマスタ/スレーブ設定スイッチをそれぞれ示している。
【0022】
今、セレクタ201によって、ATM終端部102から抽出した物理レイヤの網クロック成分あるいはATM終端部102に接続されるATM装置が使用する外部クロックと同一のクロック源909のクロック成分の何れかを予めクロック源設定スイッチ206で選択し、さらにセレクタ205によって、セレクタ201が出力するクロック成分かクロックデータ分解部111が出力するクロック成分かのいずれかを予めマスタ/スレーブ設定スイッチ207で選択した後、これらのクロック成分より十分に高い周波数のVCO発振器202とPLL同期させる。さらに、同期したVCO発振器202の出力であるローカルクロックをクロックデータ化部204に出力すると共に、装置内の受信セル間隔計測処理部107,送信セル間隔制御部113およびATM終端部103にクロックを供給する。クロックデータ化部204は、VCO発振器202が出力する網クロックあるいはクロック源909よりも十分に高い周波数のローカルクロックでセレクタ201が出力する網クロックあるいはクロック源909の周期をカウントし、そのカウント値をクロックデータとして送信パケット処理部109に出力する。
【0023】
尚、本実施の形態では、カウント値をクロックデータとして用いたが、PLL動作時の誤差値など、受信側のPLLでローカルクロックを再生することができる情報をクロックデータとすれば同様の効果が得られる。また、マスタ/スレーブ設定スイッチ207はセレクタ205に作用し、スレーブ設定時には送信元のATMエミュレーション装置より受信したクロックデータからクロックデータ分解部111によって分解出力されるクロック成分を選択し、PLL203へ入力され、マスタ設定時にはマスタクロックとなるクロック源909からのクロック信号あるいはATM終端部102からの抽出クロック信号をセレクタ201により選択し、セレクタ205を介してクロック成分がPLL203へ入力される。
【0024】
次に、受信セル間隔計測処理部107の構成について、図3を用いて詳しく説明する。図3において、301はATM終端部102が出力する受信セルデータを蓄積する受信セルバッファ、302は受信セルバッファ301に蓄積する時にセル間隔を計測するセル間隔計測部、303はセル間隔計測部302が計測する受信セルデータ119と120のセル間隔T4をそれぞれ示している。
【0025】
今、受信セル間隔計測処理部107のセル間隔計測部302はクロック処理部106が出力するクロックに基づく一定間隔のパルスによって受信セルバッファ301に蓄積する際の受信セルデータのセル間隔を計測し、セル間隔情報をカプセリング部108に出力する。例えば、セル間隔計測部302は、受信セルデータ119および120が連続してATM終端部102から受信セルバッファ301に入力する時のセル間隔を計測し、セル間隔303(T4)になっていたとすると、受信セルデータ120をカプセリング部108に出力するタイミングで、セル間隔がT4であることを、カプセリング部108に知らせる。
【0026】
次に、カプセリング部108の動作について、図4を用いて詳しく説明する。図4(a)は受信セル間隔計測処理部107が出力する受信セルデータとセル間隔とを1つずつまとめてLANパケット化する様子を示した図で、図4(b)は受信セルデータとセル間隔とを複数個まとめてLANパケット化する他の実施形態を示した図である。図4において、403は受信セルデータ119および120に続いてATM終端部102に入力される受信セルデータ、405は受信セルデータ120と403とのセル間隔(T5)、406、407および412はLANパケット、408はLANパケット406のヘッダ、409はLANパケット406のデータフィールド、410はLANパケット406の誤りをチェックするFCS(Frame Check Sequence)、412はLANパケット、413はLANパケット412のヘッダ、414はLANパケット412のデータフィールド、415はLANパケット412のFCSをそれぞれ示している。
【0027】
図4(a)において、受信セル間隔計測処理部107が出力する受信セルデータ119と受信セルデータ120とのセル間隔(T4)303は、LANパケット406のデータフィールド409に受信セルデータ120と共に載せられてパケット化される。同様に、受信セルデータ120と受信セルデータ403とのセル間隔(T5)405は、LANパケット407のデータフィールド(図では省略されている)に受信セルデータ403と共に載せられてパケット化される。受信セルデータ119はその前の受信セルデータ(図では省略されている)とのセル間隔と共にLANパケット406の前にパケット化されている。このように、全ての受信セルデータは、一つ前の受信セルデータとのセル間隔と共にパケット化されて図1の送信パケット処理部109に出力される。
【0028】
図4(b)の場合は、先に説明した図4(a)において連続して生成される2つのパケットを1つにまとめてパケット化する他の実施形態を示しており、LANパケット412のデータフィールド414に受信セルデータ120とそのセル間隔(T4)303と受信セルデータ403とそのセル間隔(T5)405とが1つにまとめて載せられてパケット化される。このように、複数の受信セルデータと複数のセル間隔情報を1つにまとめてパケット化することで、ヘッダ413およびFCS415などの冗長部分を共有できるので、通信効率が高くなるという利点がある。
【0029】
次に、図1の送信パケット処理部109の動作について、図5を用いて詳しく説明する。図5(a)はクロック処理部106が出力するクロックデータをクロック情報としてLANパケット化する例を示しており、図5(b)は、LANパケット化の他の実施形態を示している。図5において、501および506はLANパケット、502および507はLANパケット501および506のそれぞれのヘッダ、503および508はLANパケット501および506のそれぞれのデータフィールド、504および509はLANパケット501および506のそれぞれのFCS、505はクロック処理部106が出力するクロックデータ、510はクロックデータ505がクロック情報であることを示すフラグをそれぞれ示している。
【0030】
図5(a)において、クロック処理部106が出力するクロックデータ505はクロック情報であることを示すフラグ510が付加されてLANパケット501のデータフィールド503に載せられてパケット化される。同図の場合は、1つのクロックデータにヘッダ502とFCS504を付加して1つのLANパケット501とする例を示している。
LANパケット化する他の実施形態を示す図5(b)の場合は、先に説明した図5(a)のフラグ510が付加されたクロックデータ505と、カプセリング部108が出力する受信セルデータ120と、そのセル間隔(T4)303とを1つにまとめてLANパケット506とするものである。クロックデータと受信セルデータとセル間隔情報とを1つにまとめてパケット化することで、ヘッダ507およびFCS509などの冗長部分を共有できるので、通信効率が高くなるという利点がある。もちろん、通信効率をさらに高めるために、図4(b)のLANパケット412にクロックデータ505を一緒に載せても構わない。
【0031】
このように、図1において、ATM網からATM終端部102に入力したATMの受信セルデータ119および120などの受信セルデータは、ATM網のクロックデータと、セルデータと、セル間隔情報とがLANパケット化されて、LAN終端部104から送信LANパケット123のようにLAN網に出力される。
尚、本実施形態では、分かり易いように、カプセリング部108と送信パケット処理部109とにブロックを分けて説明したが、何れも情報をLANパケット化する処理なので、1つにまとめて処理するようにしても本発明の効果は変わらない。また、ATM終端部102および103に接続するのは、ATM網であっても構わないし、ATM装置であっても構わない。但し、ATM終端部102にATM装置を接続する場合は、そのATM装置に外部からクロックを供給する必要がある。これに関しては、図7を用いて後で説明する。
【0032】
一方、LAN網からLAN終端部105に入力する受信LANパケット124は、受信パケット処理部110に出力される。受信パケット処理部110は先に説明した送信パケット処理部109と逆の動作を行い、受信LANパケット124が例えば図5(a)に示すLANパケット501であった場合は、クロックデータ505を取り出してクロックデータ分解部111に出力し、受信LANパケット124が例えば図4(a)に示すLANパケット406であった場合は、カプセル分解部112にLANパケット406を出力する。
【0033】
ここで、クロックデータ分解部111は、受信パケット処理部110からクロックデータ505を受け取り、マスタ側の網クロックあるいはクロック源の周期をカウントしたカウント値などに変換してクロック処理部106に伝える。クロック処理部106は、これらの値に基づいて図2で説明したようにクロック処理部106内のPLL回路によって十分に高い周波数のローカルクロックを分周し、マスタ側の網クロックあるいはクロック源を生成する。尚、この場合の動作は、先に説明したスレーブでの動作に相当する。
【0034】
次に、カプセル分解部112はカプセリング部108と逆の動作をし、例えば、図4(a)のLANパケット406を受信パケット処理部110から受け取ると、セルデータ120と、セル間隔(T4)303とにデータを分解し、送信セル間隔制御部113に出力する。
ここで、送信セル間隔制御部113の構成について、図6を用いて詳しく説明する。図6において、601はセル送出制御部、602は送信セルバッファをそれぞれ示している。尚、先に説明したものと同符号のものは同じものなので説明を省略する。
【0035】
今、セル送出制御部601はクロック処理部106が出力するクロックに基づく一定間隔のパルスによって送信セルバッファ602から送出するセルの間隔を制御し、カプセル分解部112から入力するセル間隔に応じた間隔を空けてセルをATM終端部103に送出し、ATM終端部103は送信セルバッファ602から受け取ったセルデータをATM網の物理層の送信データに変換し、クロック処理部106が出力するクロック信号に同期してATM網またはATM装置に送信される。
【0036】
例えば、送信セル間隔制御部113がカプセル分解部112から、図4(a)で説明した受信セルデータ119、120および403を受け取ったとすると、カプセル分解部112はセル送出制御部601に受信セルデータ119と120のセル間隔がT4であったことを知らせるので、セル送出制御部601は送信セルバッファ602にセルデータ119をATM終端部103に送出した後、セル間隔(T4)303だけ遅らせてからセルデータ120を送出するように制御する。
【0037】
次に、本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法の効果について、図7を用いて説明する。図7において、701,704および705は本発明の技術によってLAN網906を介して伝送されるクロック情報、702,706および707は図1のATMエミュレーション装置101と同じ構成のATMエミュレーション装置をそれぞれ示している。図7(a)は従来の技術で説明した図10(b)と対比させたもので、本発明では、クロック源909のクロックをATMエミュレーション装置707からLAN網906を介してクロック情報701のLANパケットとしてATMエミュレーション装置706に伝送することができるので、図10(b)のようにクロック回線910を必要とせず、クロック911をATM装置902に供給でき、安価にATM装置を利用することが可能となる。
【0038】
尚、本実施形態では1対1としたが、図7(b)に示すように、LAN網906を介して、ノードCのATM装置703がATMエミュレーション装置702を介して接続されていても、例えば、ATMエミュレーション装置702がマスタとなってクロック情報704をATMエミュレーション装置706に送ることで同期を保つことができるし、ATMエミュレーション装置707がマスタとなってクロック情報705をATMエミュレーション装置702に伝送することができる。尚、図7(b)ではクロック源909に相当するものは省略してある。
【0039】
次に、図8を用いてマスタとスレーブの関係について説明する。図8はクロック源909に同期して動作しているATM装置903のクロック成分をマスタと考えた時のクロック情報の流れを示した図である。ATMエミュレーション装置707はシステムで見た場合はATM装置903からクロック成分の供給を受けるのでスレーブに相当するが、装置間の関係で見た場合はLAN網906を介してATMエミュレーション装置706にクロック成分を供給するのでマスタとなり、この場合は図2で説明したセレクタ205はセレクタ201側を選択し、セレクタ201はATM終端部102側を選択することになる。
【0040】
ATMエミュレーション装置706においては、クロック成分はLAN網906を介してATMエミュレーション装置707から送られてくるのでスレーブとなり、この場合は図2で説明したセレクタ205はクロックデータ分解部111側を選択することになる。また、ATMエミュレーション装置706とATM装置902との装置間で見た場合はATMエミュレーション装置706がマスタとなり、クロック成分をATM装置902に供給する。
【0041】
このように、マスタとスレーブの関係を守ることによって、システムレベルでは1つのマスタクロック源からシステム内の各装置をスレーブとしてクロック成分を供給することができ、同期を取ることが可能となる。
次に、本発明のエミュレーション同期システムおよびその方法のもう一つの効果について、図9を用いて説明する。図9は従来の技術で説明した図11に対比させたもので、従来の技術および本発明の実施形態で説明したものと同符号のものは同じものを示している。図9において、ATM装置903が出力するATMセルデータのセル間隔と同じセル間隔でATMエミュレーション装置706はATM装置902にATMセルデータを送出することができるので、ATM装置902はATM装置903にあたかも直接接続されているのと同じ品質のATMセルデータを受けることができる。
【0042】
例えば、ATM装置903がセルデータ801乃至804をセル間隔805乃至807で送出しているとき、ATMエミュレーション装置707の受信セル間隔計測処理部107はセルデータ801と802のセル間隔805がT1であることを計測し、LANパケット化されてセルデータ802と共にLAN網906を介してATMエミュレーション装置706に送られる。同様に、受信セル間隔計測処理部107はセルデータ802と803のセル間隔806がT2であることを、セルデータ803と804のセル間隔807がT3であることをそれぞれ計測し、LANパケット化されてセルデータ803あるいは804と共にLAN網906を介してATMエミュレーション装置706に送られる。
【0043】
これを受けたATMエミュレーション装置706の送信セル間隔制御部113は送信セルバッファ602にセルデータ801乃至804を蓄えながら、セルデータ801を送出した後、セル間隔(T1)805だけ待ってからセルデータ802を送出し、同様に、セル間隔(T2)806だけ待ってからセルデータ803を送出し、セル間隔(T3)807だけ待ってからセルデータ804を送出する。
【0044】
このように、図11の従来の技術ではLAN網を介してATMセルデータを伝送することによってセル間隔が変わってしまうという課題があり、極端な場合はATMのセル間隔の規定から外れてしまうことも懸念されたが、本発明では、図9に示すように、ATM装置903が出力するATMセルデータのセル間隔と同じセル間隔で、LAN網906を介して接続されているATMエミュレーション装置706からATM装置902へ送出することができ、ATMの品質を損なわずにLAN網を介してATMセルデータを伝送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態のクロック処理部106を説明するための補助図である。
【図3】本発明の実施形態の受信セル間隔計測処理部107を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態のカプセリング部108を説明するための補助図である。
【図5】本発明の実施形態の送信パケット処理部109を説明するための補助図である。
【図6】本発明の実施形態の送信セル間隔制御部113を示すブロック図である。
【図7】エミュレーション同期システムの全体構成を示す説明図である。
【図8】マスタとスレーブの関係を説明するための補助図である。
【図9】本発明の効果を説明するための補助図である。
【図10】従来技術の網接続を示す説明図である。
【図11】従来技術の課題を説明するための補助図である。
【符号の説明】
【0046】
101・・・ATMエミュレーション装置
102、103・・・ATM終端部
104、105・・・LAN終端部
106・・・クロック処理部
107・・・受信セル間隔計測処理部
108・・・カプセリング部
109・・・送信パケット処理部
111・・・クロックデータ分解部
112・・・カプセル分解部
113・・・送信セル間隔制御部
119・・・セルデータ
123・・・パケットデータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、
前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生して前記伝送装置に出力する同期情報再生手段と、
を設けたことを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項2】
請求項1記載のエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークをATM網とし、
前記第2のネットワークをLAN網とし、
前記同期クロックを前記ATM網の網同期クロックとすることを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項3】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、
前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段と、
を設けたことを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項4】
請求項3記載のエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークをATM網とし、
前記第2のネットワークをLAN網とし、
前記伝送データを前記ATM網のセルデータとしたことを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項5】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、
前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生する同期情報再生手段とからなり、
前記同期情報再生手段は前記同期クロックを前記伝送装置に出力することを特徴とするエミュレーション同期方法。
【請求項6】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、
前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、
前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段とからなり、
前記データ送出手段は前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力することを特徴とするエミュレーション同期方法。
【請求項1】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、
前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生して前記伝送装置に出力する同期情報再生手段と、
を設けたことを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項2】
請求項1記載のエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークをATM網とし、
前記第2のネットワークをLAN網とし、
前記同期クロックを前記ATM網の網同期クロックとすることを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項3】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置で構成されるエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、
前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段と、
を設けたことを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項4】
請求項3記載のエミュレーション同期システムにおいて、
前記第1のネットワークをATM網とし、
前記第2のネットワークをLAN網とし、
前記伝送データを前記ATM網のセルデータとしたことを特徴とするエミュレーション同期システム。
【請求項5】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データから同期クロックを抽出する同期情報抽出手段と、
前記同期情報抽出手段が抽出した前記同期クロックを同期情報として前記第2のネットワークを介して送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記同期情報から前記同期クロックを再生する同期情報再生手段とからなり、
前記同期情報再生手段は前記同期クロックを前記伝送装置に出力することを特徴とするエミュレーション同期方法。
【請求項6】
同期クロックを必要とする第1のネットワークと、
前記第1のネットワークに接続する伝送装置と、
同期クロックを必要としない第2のネットワークとからなり、
前記第1のネットワークで伝送する伝送データを前記第2のネットワークを介して前記伝送装置に送受信するエミュレーション装置におけるエミュレーション同期方法において、
前記第1のネットワークから入力する伝送データの入力間隔を計測するデータ間隔計測手段と、
前記データ間隔計測手段が計測したデータ間隔情報を前記伝送データと共に前記第2のネットワークに送受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信した前記伝送データを前記伝送装置に出力するデータ送出手段とからなり、
前記データ送出手段は前記送受信手段が受信した前記データ間隔情報が示すデータ間隔で前記伝送データを前記伝送装置に出力することを特徴とするエミュレーション同期方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−104244(P2007−104244A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290862(P2005−290862)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000237662)富士通アクセス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000237662)富士通アクセス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】
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