説明

エラストマーブレンド

本発明は、硫黄不含で且つ低排出のエラストマーブレンドであって、様々なゴムの特性を有し且つそのうちの機械的特性、特に圧縮永久歪み(DVR)、破断時の伸び、引張り強さ及び/又はガス透過率(浸透)が、個々の一成分コンパウンドに比べ改善され、耐熱性及び溶媒耐性も改善されたエラストマーブレンドの使用に関する。このようなエラストマーブレンドは、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有するゴム(A)、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有する少なくとも1つの別のゴム(B)を含む。ゴム(B)は、ゴム(A)とは化学的に異なっており、架橋剤(C)は、平均で1分子に対して少なくとも2つのSiHを含むヒドロシロキサン若しくはヒドロシロキサン誘導体又は複数のヒドロシロキサン若しくはその誘導体の混合物、ヒドロシリル化触媒系(D)並びに少なくとも1つの充填材料(E)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーブレンド、その製造方法及びその使用に関する。このエラストマーブレンドは、食品、特に飲料水、又は医学的若しくは薬学的製品の製造、輸送、プロセス技術及び包装の分野、或いは電子工業分野における材料として使用されるのが望ましい。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヒドロシリル化によって架橋するポリイソブチレン又はパーフルオロポリエーテルを、燃料電池におけるシール材料として使用することを記載している。
【0003】
特許文献2は、少なくとも2つのSiH基を有する化合物を含み且つ任意に白金触媒を含む、有利にはエチレンプロピレンジエンモノマーからなる架橋可能なゴム配合物を開示している。さらに、このゴム配合物をシール材料として使用することを記載している。
【0004】
特許文献3からは、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも1つのアルケニル基を有するビニルポリマー、ヒドロシリル基を有する成分を含む化合物、ヒドロシリル化触媒、並びに分子量600g/mol以下の不飽和脂肪族化合物からなる組成物が公知である。
【0005】
特許文献4により公知の硫黄若しくは過酸化物によって架橋されたブレンドは、高度不飽和ゴム及び分子量の異なる2つのエチレン/プロピレン/非共役ジエンターポリマーを有する。
【0006】
ジエンゴムの古典的な架橋化学技術、例えば硫黄若しくは過酸化物による架橋は、架橋された材料中の揮発成分の含量を高くし、その化学的特性が一成分コンパウンド(Einzelcompound)の値を顕著に下回り得る生成物をもたらす。この原因は、不良な混合及び不十分な共加硫であり得る。
【0007】
特許文献5には、ヒドロシリル化によって架橋されるポリイソブチレン及びシリコーンからなるブレンドを、燃料電池のシールとして使用することが記載されている。シリコーンは湿った環境、例えば燃料電池内では、加圧高温下で比較的長期間使用される場合に不良な圧縮永久歪みを有する。
【0008】
特許文献6は、熱可塑性樹脂と、イソブチレンイソプレンジビニルベンゼンを含有する不飽和ゴムとのブレンドの架橋の方法を開示しており、この場合、熱可塑性樹脂は、ゴム、ヒドロシリル化剤及びヒドロシリル化触媒に対して不活性である。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1075034号明細書
【特許文献2】米国特許第6743862号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1277804号明細書
【特許文献4】欧州特許第0344380号明細書
【特許文献5】米国特許第6875534号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1146082号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、硫黄不含で且つ低排出のエラストマーブレンドであって、種々のゴムの特性を有し、特に硬さ、引張り強さ、破断時の伸び、ガス透過率(浸透)及び/又は圧縮永久歪み(DVR)に関する機械的特性が、一成分コンパウンド、すなわち1種類のみのゴムを含む混合物又は化合物に対して改善され、より優れた耐熱性及び耐媒質性を有するエラストマーブレンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0011】
本発明によるエラストマーブレンドは、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有するゴム(A)と、ゴム(A)と化学的に異なり且つヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有する少なくとも1つの他のゴム(B)と、架橋剤(C)として1分子につき平均で少なくとも2つのSiH基を有するヒドロシロキサン若しくはヒドロシロキサン誘導体又は複数のヒドロシロキサン若しくは誘導体の混合物と、ヒドロシリル化触媒系(D)と、少なくとも1つの充填剤(E)とを含む。
【0012】
この場合、上記エラストマーブレンドは、有利には本質的にシリコーン不含であり且つ/又は本質的に熱可塑性樹脂不含であり、つまり、該エラストマーブレンドは、有利にはシリコーン30phr以下、特に有利にはシリコーン20phr未満、及び/又は有利には熱可塑性樹脂30重量%未満を含む。特に有利には、該エラストマーブレンドは、完全にシリコーン不含であり且つ/又は完全に熱可塑性樹脂不含である。
【0013】
このエラストマーブレンドは、該エラストマーブレンドがシリコーンを殆ど含有していないか又は含有していないことを考慮に入れると、その材料を通る流体又は気体の浸透がシリコーンゴムに比べかなり小さいという利点を有する。
【0014】
例えば圧縮永久歪みによって特徴付けられる、特に80℃を超える高温下での荷重後の残留変形は、このゴム、すなわち架橋されたゴム(A)及び(B)からなるエラストマーブレンドの場合には特に低い。エラストマーブレンドのこの特性は、例えば特に、熱可塑性プラスチックを含有する熱可塑性エラストマーブレンドに比して際立っている。物理的な架橋箇所が変形の際に横滑りし得るため、熱可塑性プラスチックでの残留変形はゴムより大きい。
【0015】
本発明の対象の有利な発展形態を、従属請求項に示す。
【0016】
有利な形態では、エラストマーブレンドは、ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(Coagens)(F)及び/又は少なくとも1つの添加剤(G)をさらに含む。
【0017】
2つのみの官能基を有するポリマーからなるヒドロシリル化により架橋されたエラストマーの機械的特性、特に圧縮永久歪み(DVR)は、ヒドロシロキサンのSiH基に対する官能基の比に極めて大きく依存することが多い。したがって、ヒドロシリル化によって架橋可能な基を全てのゴムの平均で2つより多く有するエラストマーブレンドは有利である。
【0018】
エラストマーブレンドの有利な形態では、ゴム(A)は、ヒドロシリル化によって架橋可能な基を2つより多く有し、少なくとも1つのゴム(B)は、ヒドロシリル化によって架橋可能な2つの官能基、特に2つの末端ビニル基を有する。
【0019】
エラストマーブレンドの、例えば圧縮永久歪み(DVR)、破断時の伸び及び/又は引張り強さ、気体透過率(浸透)に関する機械的特性を、特に一成分コンパウンドに対して改善するためには、有利には、
− ゴム(A)20〜95phr、
− 少なくとも1つのゴム(B)80〜5phr、
− ヒドロシリル化によって架橋可能な官能基に対するSiH基の比が0.2〜20、有利には0.5〜5、特に有利には0.8〜1.2である量の架橋剤(C)、
− ヒドロシリル化触媒系(D)0.05〜100000ppm、有利には0.1〜5000ppm、及び
− 少なくとも1つの充填剤(E)5〜800phr、非磁性充填剤については有利には10〜200phr、磁性充填剤又は磁化可能な充填剤については有利には200〜600phr
が使用される。
【0020】
エラストマーブレンドの、例えば空気中で100℃での圧縮永久歪み(DVR)に関する機械的特性を、特に一成分コンパウンドに対して改善するためには、有利には、
− ゴム(A)50〜95phr、
− 少なくとも1つのゴム(B)50〜5phr、
− ヒドロシリル化によって架橋可能な官能基に対するSiH基の比が0.2〜20、有利には0.5〜5、有利には0.8〜1.2である量の架橋剤(C)、
− ヒドロシリル化触媒系(D)0.05〜100000ppm、有利には0.1〜5000ppm、及び
− 少なくとも1つの充填剤(E)5〜800phr、非磁性充填剤については有利には10〜200phr、磁性充填剤又は磁化可能な充填剤については有利には200〜600phr
が使用される。
【0021】
有利な形態では、エラストマーブレンドはさらに、
− 共架橋剤(F)0.1〜30phr、有利には1〜10phr、及び/又は
− 少なくとも1つの添加剤(G)0.1〜20phr
を含む。
【0022】
略語phrは、ゴム100部当たりの部数(parts per hundred rubber)を意味し、つまり、ゴム100重量部ごとの重量部を意味する。各成分が上記範囲を有することによって、エラストマーブレンドを、所望の特性へと極めて特定的に適合させることができる。
【0023】
意外にも、良好な機械的特性、特に小さい、特に空気中で100℃での圧縮永久歪み(DVR)が、有利にはゴム(A)50〜70phr及びゴム(B)50〜30phrを含むエラストマーブレンドで達成される。
【0024】
意外にも、良好な機械的特性、特に良好な引張り強さ及び/又は比較的小さい気体透過率値が、有利にはゴム(A)20〜50phr及びゴム(B)80〜50phrを含むエラストマーブレンドで達成される。
【0025】
意外にも、空気中で100℃を超える、特に120℃〜150℃の温度での良好な貯蔵耐性(貯蔵安定性)、並びに/又は空気中で100℃を超える、特に120℃〜150℃の温度で数日及び/若しくは数週間後の小さい圧縮永久歪み(DVR)、並びに/又は小さい圧縮永久歪み(DVR)は、有利にはゴム(A)20〜50phr及びゴム(B)80〜50phr、特に有利にはゴム(A)20phr及びゴム(B)80phrを含むエラストマーブレンドで達成される。
【0026】
有利なエラストマーブレンドは、ゴム(A)が、有利にはビニル基を有するノルボルネン誘導体、特に5−ビニル−2−ノルボネンをジエンとして含有するエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)から、イソブチレンイソプレンジビニルベンゼンゴム(IIR−ターポリマー)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリレートゴム(ACM)から、或いはブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)の部分的に水素化されたゴムから、或いは例えば無水マレイン酸若しくは無水マレイン酸誘導体で官能化されたゴムから、或いはビニル基で官能化されたパーフルオロポリエーテルゴムから選択されるエラストマーブレンドであることが分かった。
【0027】
有利なゴム(B)は、ゴム(A)について掲げたゴム及び/又は2つのビニル基を有するポリイソブチレンゴム(PIB)から選択され、この場合、各エラストマーブレンド中のゴム(A)及び(B)は同一ではない、つまり特性の異なる化学的に異なる少なくとも2つのゴムである。
【0028】
特に有利なエラストマーブレンドは、ゴム(A)としてジエンに1つのビニル基を有するエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、及びゴム(B)として2つのビニル基を有するポリイソブチレン(PIB)を含む。
【0029】
有利には、ゴム(A)及び(B)の平均分子量は5000〜100000g/mol、特に5000〜60000g/molである。
【0030】
架橋剤(C)としては、有利には、
− 式(I)
【0031】
【化4】

【0032】
[式中、R1は、一価であり、炭素原子1〜10個を有し且つ置換された又は置換されていない芳香族炭化水素基又は飽和炭化水素基を表し、aは、0〜20の整数値を表し、bは、0〜20の整数の値を表し、R2は、炭素原子又は酸素原子1〜30個を有する二価の有機基を表す]のSiH含有の化合物、
− 式(II)
【0033】
【化5】

【0034】
のSiH含有の化合物
及び/又は
− 式(III)
【0035】
【化6】

【0036】
のSiH含有の化合物
が使用される。
【0037】
架橋剤(C)は、特に有利には、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)、トリス(ジメチルシリオキシ)フェニルシラン、ビス(ジメチルシリルオキシ)ジフェニルシラン、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、メチルヒドロシロキサンフェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー、ポリアルキルヒドロシロキサン、メチルヒドロシロキサンジフェニルシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー及び/又はポリフェニルメチルシロキサンメチルヒドロシロキサンから選択される。
【0038】
ヒドロシリル化触媒系(D)は、有利には、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ヘキサクロロ白金酸、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、ジクロロ(ジシクロペンタジエニル)白金(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)及び/又はジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)から、場合によってはマレイン酸ジアルキル、特にマレイン酸ジメチル、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロシロキサン、2−メチル−3−ブチン−2−オール及び/又は1−エチニルシクロヘキサノールから選択される反応速度調整剤(Kinetikregler)と組み合わされて、選択される。
【0039】
少なくとも1つの充填剤(E)は、有利には、ファーネスブラック、ランプブラック及び/又はチャネルブラック、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物、カーボネート、シリケート、表面改質若しくは疎水化された沈降シリカ及び/又は焼成シリカ、表面改質された金属酸化物、表面改質された金属水酸化物、表面改質されたカーボネート、例えば白亜若しくはドロマイト、表面改質されたシリケート、例えばカオリン、か焼カオリン、タルク、石英粉、ケイ質土、フィロケイ酸塩、ガラス球、繊維及び/又は有機充填剤、例えば木粉及び/又はセルロースから選択される。
【0040】
共架橋剤(F)は、有利には、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,2−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン誘導体、アリルエーテル、特にトリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルアルコールエステル、特にジアリルフタレート、ジアクリレート、トリアクリレート、特にトリメチルプロパントリアクリレート、ジメタクリレート及び/又はトリメタクリレート、特にトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、トリアリルホスホン酸エステル、並びに/又はヒドロシリル化によってゴム(A)及び/若しくは(B)に結合する少なくとも2つの官能基を有するブタジエンスチレンコポリマーから選択されている。
【0041】
添加剤(G)としては、
− 劣化防止剤、例えば紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾ誘導体若しくはトリアジン誘導体、
− 酸化防止剤、例えばヒンダードフェノール、ラクトン若しくは亜リン酸塩、
− オゾン分解防止剤、例えばパラフィン蝋、
− 難燃剤、
− 加水分解防止剤、例えばカルボジイミド誘導体、
− 結合剤、例えばヒドロシリル化によってゴムマトリクスに結合する官能基を有するシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、官能化されたゴムで改質されたポリマー、マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、
− 離型剤ないしは部材粘着性減少剤(Mittel zur Reduzierung der Bauteilklebrigkeit)、例えば蝋、脂肪酸塩、ポリシロキサン、ヒドロシリル化によってゴムマトリクスに結合する官能基を有するポリシロキサン、並びに/又は
− 着色剤及び/若しくは顔料
− 軟化剤、並びに/又は
− 加工助剤が使用される。
【0042】
さらに、望ましくは、費用をかけて除去しなければならない副生成物が架橋の際に生成されないエラストマーブレンドの製造方法が提供される。マイグレーションする可能性があり且つ医療分野若しくは食品包装の分野での使用で問題となる可能性のある分解生成物が遊離されてはならない。さらに、比較的少量のヒドロシリル化触媒系による架橋が、従来の材料より迅速に起こるのが望ましい。
【0043】
本発明によるエラストマーブレンドを製造するには、先ずゴム(A)及び(B)、少なくとも1つの充填剤(E)並びに場合によっては共架橋剤(F)及び/若しくは少なくとも1つの添加剤(G)を混合し、架橋剤(C)及びヒドロシリル化触媒系(D)を一成分系又は二成分系として添加し、全成分を混合する。
【0044】
一成分系の場合には、架橋剤(C)及びヒドロシリル化触媒系(D)の前記残りの成分への添加を、1つの系ないしは容器で行う。これに対し二成分系の場合には、架橋剤(C)及びヒドロシリル化触媒系(D)を、相互に別々に、つまり2つの系又は容器で、それぞれ先ず残りの成分からなる混合物の一部と均一な分布が得られるまで混合し、両方の系、すなわち架橋剤(C)を含む混合物及びヒドロシリル化触媒系(D)を含む混合物を合わせ、全ての成分を混合する。二成分系には、架橋剤(C)とヒドロシリル化触媒系(D)が互いに別々であり、架橋剤(C)もヒドロシリル化触媒系(D)も含有する混合物より長く貯蔵可能であるという利点がある。
【0045】
続いて、この生成物を、射出成形ないしは(液体)射出成形法((L)IM)によって、プレスないしは圧縮成形法(CM)によって、トランスファー成形法(TM)によって又はこれらからそれぞれ派生した方法、印刷法、例えばスクリーン印刷によって、芋虫様塗布若しくはビード塗布(Raupenauftrag)、浸漬又は噴霧によって加工する。
【0046】
前記の本発明によるエラストマーブレンドは、多様な用途に利用可能である。該エラストマーブレンドは、有利には、食品、特に飲料水、又は医学的若しくは薬学的製品の製造、輸送、プロセス技術及び包装の分野、或いは電子工業分野における材料として使用する。
【0047】
ヒドロシリル化によって特に白金触媒の存在下で架橋するエラストマーブレンドは、特に清潔である。
【0048】
エラストマーの従来の架橋では、例えば硫黄化合物、加えて活性剤若しくは過酸化物が使用される。その場合、架橋を生じさせる化学反応の際に、化学結合の新たな形成箇所で副生成物が生じる。この副生成物はゴムマトリクス中に残留し、完全には、つまり成形部材の長時間にわたる後加熱によっても除去することができない。しかも、ゴムマトリクス中に拡散する液体はこの副生成物を溶解させ、拡散過程によって成形部材の表面に輸送することができる。これにより、副生成物は、そこで接触する液体又は表面に自由に進出でき、例えば飲料水の分野又は食品工業での用途で特に健康上憂慮すべき汚染をもたらす可能性がある。このようなことは、本発明によるエラストマーブレンドでは直ちに起こらず、よって、該エラストマーブレンドでは、前記分野での使用が有利に考慮される。
【0049】
医療技術、例えば人工透析装置の部品についても同じことである。この場合にも、副生成物の遊離は必ず回避されなければならず、このことは、本発明によるエラストマーブレンドの使用によって保証される。
【0050】
ヒドロシリル化による架橋反応、特に白金触媒の使用下での架橋反応は、架橋結合を結びつけるための付加反応である。この場合、拡散によってエラストマーマトリクスから出ていく可能性がある副生成物は生じない。
【0051】
したがって、本発明によるエラストマーブレンドは、食品、飲料水若しくは医療技術、薬学の分野及び/又は電子工業の分野での使用のための特に清潔な材料として、特に適している。
【0052】
有利には、本発明によるエラストマーブレンドは、シール、例えば着脱可能な若しくは一体化されたシール、例えばOリング若しくはリップリングシール、接着式シール、軟金属シール又は含浸の材料、チューブ、弁、ポンプ、フィルタ、加湿器、改質装置、貯槽容器(タンク)、振動ダンパ、音響的に作動する部材の被覆体、膜又は接着剤の材料、織物、不織布、電磁波シールド、タイヤ、ブレーキカップ(Bremsmanschetten)、ブレーキ部材、ジョイントブーツ(Achsmanschetten)、ベローズのための被覆の材料、並びに/或いは弾性床材及び/若しくは形成物の材料として使用される。
【0053】
したがって、本発明によるエラストマーブレンドから、有利には、例えば医療技術における人工透析装置用のOリング又は平形ガスケットが製造される。
【0054】
例えば食品産業のパイプラインにおいて液体搬送の調整のための調整フラップを封止するいわゆるフラップシールにも、この極めて清潔な本発明によるエラストマーブレンドを有利に使用できる。
【0055】
さらに本発明によるエラストマーブレンドは、有利に、例えば飲料水分野における膜、Oリング若しくはフランジシールにおいて又は医薬品の製造で使用することができる。
【0056】
さらに本発明によるエラストマーブレンドは、シリコーンを殆ど含有していないか又は含有していないことを考慮に入れると、その材料を通る流体又は気体の浸透がシリコーンゴムに比べてかなり小さいという利点を有する。
【0057】
したがって、本発明によるエラストマーブレンドは、特に浸透に対し密であること及び副生成物の拡散がないことが重要である材料に有利に使用することができる。これに関して、本発明によるエラストマーブレンドは、医療技術における、例えば注入(輸液)のためのポンプでの膜用の材料として、又は医療用ガスの搬送で利用されるOリングとして有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
次に本発明の有利な実施例を記載する。
【0059】
ゴム(A)及び(B)、充填剤(E)並びに場合によっては共架橋剤(F)をミキサ、Hausschild&Co. KG社のSpeedMixer DAC 400 FVZで温度30〜60℃で成分の均一な分布が得られるまで混合する。続いて、架橋剤(C)及びヒドロシリル化触媒系(D)を添加し且つこの混合物を成分の均一な分布が得られるまでさらに混合する。
【0060】
この混合物から加硫条件下で150℃、例えばプレス装置で厚み2mmの板にプレスする。
【0061】
ゴム(A)として、ノルボネン含量5.3重量%及び平均分子量31000g/molを有する三井化学株式会社のエチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネンゴムを使用する(Mitsui-EPDM)。
【0062】
ゴム(B)として、平均分子量16000g/molを有するカネカ社の2つのビニル基を有するゴム(PIB)を使用する(EPION-PIB(EP 400))。
【0063】
架橋剤(C)として、株式会社カネカのポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)を使用する(CR 300)。CR 300は、1分子につき3個より多いSiH基を有し、よって、二官能性ビニルゴム、例えば2つのビニル基を有するポリイソブチレンの網状構造の形成に特に好適である。
【0064】
ヒドロシリル化触媒系(D)として、いわゆるカールシュテット触媒(Karstedt-Katalysator)、つまり、キシレン中5%で溶解され、反応速度調整剤としてのマレイン酸ジメチルと組み合わされて使用される白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を使用する。
【0065】
充填剤(E)として、Degussa社の疎水化された焼成シリカを使用する(Aerosil R8200)。疎水化されたかないしは疎水性シリカは、非極性ゴムに特に良好に混入することができ、改質されていないシリカに比して、よりわずかな粘度上昇並びにより良好な圧縮永久歪み(DVR)を生じさせる。
【0066】
本発明は、表及び図に示す以下の例に基づいて、さらによく理解することができる。
【0067】
エラストマーブレンドのこれら例及び比較例では、次の試験方法を使用して、エラストマーブレンドの特性を、単一種類のゴムとしてMitsui-EPDM或いはEPION-PIB(EP 400)を含有する一成分コンパウンドと比較して測定する。
【0068】
硬さ[ショアA] DIN53505による
圧縮永久歪み(DVR)[%] DIN ISO815による
(25%変形;空気中で100℃で24時間、ないしは120℃で24時間/70時間/1008時間、ないしは150℃で24時間/70時間/336時間、ないしは蟻酸で酸性にした2.5Mのメタノール/水の溶液中で90℃で1008時間)
窒素の透過[cm3(NTP)mm/m2hbar] DIN53536による
(80℃で)
室温での破断時の伸び[%]及び引張り強さ[MPa] DIN53504−S2による
破断時の伸びと引張り強さの相対的変化[%] DIN53508による
(空気中で120℃で24時間/70時間/1008時間、ないしは150℃で24時間/70時間/1008時間)。
【0069】
【表I】

【0070】
図1には、圧縮永久歪み(DVR)(空気中で100℃で24時間)の経過、
図2には、破断時の伸び(室温)の経過、
図3には、引張り強さ(室温)の経過、
図4には、気体透過率(浸透)の経過を
それぞれ、ゴム(A)としてMitsui-EPDM及びゴム(B)としてEPION-PIB(EP 400)を含有する種々のエラストマーブレンドの組成について示す。
【0071】
表Iのデータ及び図1〜4の図は、ゴム(A)及び(B)の含量の異なるブレンドの圧縮永久歪み、破断時の伸び、引張り強さ及び気体透過率(透過)に関する特性が、それぞれ1種類のみのゴムを含有する一成分コンパウンドに対して、変化し得ることを示している。
【0072】
意外にも、圧縮永久歪み(DVR)は、ゴム(A)としてのMitsui-EPDMとゴム(B)としてのEPION-PIB(EP 400)の比が1:1の場合に、最小となる(図1参照)。つまり、エラストマーブレンド2は、他の混合比や1種類のみのゴムを含有する一成分コンパウンド1及び2と比較して、荷重下での最小の残留変形を示す。一般に、この条件下では、特に良好な圧縮永久歪み値が、ゴム(A)50〜70phr及びゴム(B)30〜50phrを含むエラストマーブレンドの場合に得られる。
【0073】
破断時の伸びは、ゴム(A)としてのMitsui-EPDMの含量が増大するにつれてほぼ連続的に減少するが、ゴム(A)としてのMitsui-EPDMとゴム(B)としてのEPION-PIB(EP 400)と比が1:1の場合には、まだ比較的良好な破断時の伸び値を示す(図2参照)。
【0074】
ゴム(A)としてMitsui-EPDM20phr、ゴム(B)としてEPION-PIB(EP 400)80phr(エラストマーブレンド1)という比の場合に、引張り強さは、他の比を有するブレンドの引張り強さ並びに一成分コンパウンド1及び2の引張り強さと比較して最良となる。この場合にも、Mitsui-EPDMとEPION-PIB(EP 400)との1:1の比を有するエラストマーブレンド(エラストマーブレンド2)も、なお比較的良好な引張り強さを示す(図3参照)。
【0075】
窒素ガスの透過率は、Mitsui-EPDMの含量が高まるにつれて増大する。ポリイソブチレンは、EPDMと異なり比較的高い気密性を示す。図4から明らかなように、ゴム(A)としてのMitsui-EPDMとゴム(B)としてのEPION-PIB(EP 400)と比がの1:1の場合、なお比較的低い気体透過率値が得られる。
【0076】
【表II】

【0077】
【表III】

【0078】
図5には、空気中で120℃又は150℃での種々の時間後の圧縮永久歪み(DVR)を、
図6には、空気中で150℃で1008時間後の引張り強さの相対的変化及び破断時の伸びの相対的変化を、
ゴム(A)としてMitsui-EPDM20phrとゴム(B)としてEPION-PIB(EP 400)80phrとを含有するエラストマーブレンド1或いは一成分コンパウンド2(EPDM100phr)について、ヒドロシリル化架橋剤(C)又は過酸化物架橋剤を含有するもの、添加剤(G)としてのフェノール系劣化防止剤(ASM)含有及び不含であるものについて、示す。
【0079】
Mitsui-EPDMのための過酸化物架橋剤として、Arkema Inc.社の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを使用する(Luperox 101 XL-45)。
【0080】
フェノール系劣化防止剤(ASM)として、Ciba-Geigy社のIrganox 1076を使用する。
【0081】
表II及びIIIのデータ並びに図5及び6の図は、ゴム(A)としてMitsui-EPDM20phrとゴム(B)としてEPION-PIB(EP400)80phrとを含むエラストマーブレンド1が、ヒドロシリル化若しくは過酸化物により架橋された一成分コンパウンド2(Mitsui-EPDM100phr)と比して、本質的に低い圧縮永久歪み値(DVR)を有し、硬さ、破断時の伸び及び引張り強さといった特性の変化がより少ないことを示している。同じことが、意外にも、劣化防止剤が添加されたヒドロシリル化若しくは過酸化物によって架橋された一成分コンパウンド2(Mitsui-EPDM100phr)と比しても、あてはまる。
【0082】
50%を超える圧縮永久歪み値は、多くの使用分野で許容不能と見なされる。
【0083】
本発明によるエラストマーブレンドは、一成分コンパウンドと異なり160℃までの高温でさえ特別な耐性を示す。
【0084】
【表IV】

【0085】
図7に、2.5Mメタノール/水/蟻酸中、90℃で1008時間後の圧縮永久歪み(DVR)を、
添加剤(G)としてフェノール系劣化防止剤(ASM)を含有及び不含の、ゴム(A)としてMitsui-EPDM20phrとゴム(B)としてEPION-PIB(EP 400)80phrとを含むエラストマーブレンド1、並びにヒドロシリル化架橋剤(C)又は過酸化物架橋剤を含有し、添加剤(G)としてフェノール系劣化防止剤(ASM)を含有及び不含の一成分コンパウンド2(EPDM100phr)、並びに通常のヒドロシリル化シリコーン混合物(50/50、硬さ40ショアA)について、示す。
【0086】
Mitsui-EPDMのための過酸化物架橋剤として、Arkema Inc.社の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサンを使用する(Luperox 101 XL-45)。
【0087】
フェノール系劣化防止剤(ASM)として、Ciba-Geigy社のIrganox1076を使用する。
【0088】
表IVのデータ並びに図7の線図は、劣化防止剤(ASM)を含有及び不含のゴム(A)としてMitsui-EPDM20phrとゴム(B)としてEPION-PIB(EP 400)80phrとを含むエラストマーブレンド1が、ヒドロシリル化若しくは過酸化物により架橋された一成分2(Mitsui-EPDM100phr)並びに蟻酸で酸性にした2.5モルのメタノール/水の溶液中90℃で1008時間後の通常のヒドロシリル化シリコーン混合物(50/50、硬さ40ショアA)と比して、本質的に低い圧縮永久歪み値(DVR)を有することを示している。
【0089】
該エラストマーブレンドは、一成分コンパウンド及び通常のヒドロシリル化シリコーン混合物と異なり、上記条件下であっても50%未満の圧縮永久歪み値(DVR)を示す。
【0090】
したがって、本発明によるエラストマーブレンドは、水性酸媒体、例えば水性酸アルコール溶液中での特別な耐性を特徴としており、よって、この環境でのシール並びに含浸、被覆、膜又は接着剤、振動ダンパ及び/又はベローズのための材料として使用される。
【0091】
図8に、動的剪断応力がある場合の機械的減衰挙動の損失係数の経過(DIN EN ISO/IEC 17025認証に従って測定、二重サンドイッチ試験体(doppelsandwich-Probekoerper)、温度範囲−70℃〜+100℃、加熱速度1K/分、増分量2K、試験周波数1Hz、相対剪断変形±2.5%)を、ゴム(A)としてMitsui-EPDM20phrとゴム(B)としてEPION-PIB(EP 400)80phrとを含むエラストマーブレンド1についての温度に応じて、一成分コンパウンド1(EPION-PIB(EP 400)100phr)並びに一成分コンパウンド2(EPDM100phr)との比較で示す。
【0092】
図9に、複素剪断弾性率(komplexes Schubmodul)Gの経過(DIN EN ISO/IEC 17025認証に従って測定、二重サンドイッチ試験体、温度範囲−70℃〜+100℃、加熱速度1K/分、増分量2K、試験周波数1Hz、相対剪断変形±2.5%)を、ゴム(A)としてMitsui-EPDM20phrとゴム(B)としてEPION-PIB(EP 400)80phrとを含むエラストマーブレンド1についての温度に応じて、一成分コンパウンド1(EPION-PIB(EP 400)100phr)並びに一成分コンパウンド2(EPDM100phr)との比較で示す。
【0093】
図8及び9の線図は、動的剪断応力における機械的減衰挙動がゴム組成の選択によって変化し得る様子を示している。
【0094】
これは動的に負荷を受ける部材の設計において重要である。
【0095】
上記のように、エラストマーブレンドは、特別な耐熱性及び耐媒質性を特徴としている。
【0096】
【表V】

【0097】
ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(F)として、Nordmann Rassmann GmbH社のトリアリルイソシアヌレート(TAIC)又は日本曹達株式会社の1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)を使用する。
【0098】
表Vのデータは、共架橋剤不含のエラストマーブレンドのこれまでの例の他に、エラストマーブレンド1(EPDM20phr/PIB80phr)及びエラストマーブレンド3(EPDM80phr/PIB20phr)への添加剤として、例えば共架橋剤トリアリルイソシアヌレート(TAIC)又は1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)の使用について、ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(F)の添加が機械的特性へいかなる作用を及ぼすかを示している。
【0099】
この場合、硬さの値は、共架橋剤(F)の添加によって引張り強さの値と同様、高められる。
【0100】
圧縮永久歪み(DVR)は、温度120℃、24時間後でも、特に共架橋剤(F)としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)の添加によってさらに改善される。
【0101】
このことは、上記の種類の共架橋剤を含むエラストマーブレンドでは、上記機械的特性の範囲において、多種多様な使用分野に対して特に有利な、さらなる最適化の可能性があることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】圧縮永久歪み(DVR)(空気中で100℃で24時間)の経過を示す。
【図2】破断時の伸び(室温)の経過を示す。
【図3】引張り強さ(室温)の経過を示す。
【図4】気体透過率(浸透)の経過を示す。
【図5】空気中で120℃又は150℃での種々の時間後の圧縮永久歪み(DVR)を示す。
【図6】空気中で150℃で1008時間後の引張り強さの相対的変化及び破断時の伸びの相対的変化を示す。
【図7】2.5Mメタノール/水/蟻酸中、90℃で1008時間後の圧縮永久歪み(DVR)を示す。
【図8】動的剪断応力下での機械的減衰挙動の損失係数の経過を示す。
【図9】複素弾性率Gの経過を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有するゴム(A)、
前記ゴム(A)と化学的に異なる、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有する少なくとも1つの別のゴム(B)、
架橋剤(C)として、1分子につき平均で少なくとも2つのSiH基を有するヒドロシロキサン若しくはヒドロシロキサン誘導体又は複数のヒドロシロキサン若しくは誘導体の混合物、
ヒドロシリル化触媒系(D)、並びに
少なくとも1つの充填剤(E)
を含む、エラストマーブレンド。
【請求項2】
ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(F)及び/又は少なくとも1つの添加剤(G)をさらに含む、請求項1記載のエラストマーブレンド。
【請求項3】
前記ゴム(A)が、ヒドロシリル化によって架橋可能な2つより多い基を有し、前記少なくとも1つのゴム(B)が、ヒドロシリル化によって架橋可能な2つの官能基、有利には2つのビニル基を有する、請求項1又は2記載のエラストマーブレンド。
【請求項4】
− 前記ゴム(A)を20〜95phr、
− 前記少なくとも1つのゴム(B)を80〜5phr、
− 前記架橋剤(C)を、ヒドロシリル化によって架橋可能な官能基に対する前記SiH基の比が0.2〜20、有利には0.5〜5、特に0.8〜1.2である量で、
− 前記ヒドロシリル化触媒系を(D)0.05〜100000ppm、有利には0.1〜5000ppm、並びに
− 前記少なくとも1つの充填剤(E)を5〜800phr、
ここで、非磁性充填剤については有利には10〜200phr、磁性充填剤又は磁化可能な充填剤については有利には200〜600phrである、充填剤(E)を
含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項5】
− 前記ゴム(A)を50〜95phr、
− 前記少なくとも1つのゴム(B)を50〜5phr、
− 前記架橋剤(C)を、ヒドロシリル化により架橋可能な官能基に対するSiH基の比が0.2〜20、有利には0.5〜5、特に0.8〜1.2、である量で、
− 前記ヒドロシリル化触媒系(D)を0.05〜100000ppm、有利には0.1〜5000ppm、並びに
− 前記少なくとも1つの充填剤(E)を5〜800phr、
ここで、非磁性充填剤については有利には10〜200phr、磁性充填剤又は磁化可能な充填剤については有利には200〜600phrである、充填剤(E)を
含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項6】
− 共架橋剤(F)を0.1〜30phr、有利には1〜10phr、及び/又は
− 少なくとも1つの添加剤(G)を0.1〜20phr
含む、請求項2から5のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項7】
ゴム(A)50〜70phr及びゴム(B)50〜30phrを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項8】
前記ゴム(A)が、ジエンとして有利にはビニル基を有するノルボルネン誘導体、有利には5−ビニル−2−ノルボルネンを含有するエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からか、或いはイソブチレンイソプレンジビニルベンゼンゴム(IIR−ターポリマー)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリレートゴム(ACM)からか又はブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)から部分的に水素化されたゴムからか、或いは例えば無水マレイン酸若しくは無水マレイン酸誘導体で官能化されたゴムからか、或いはビニル基で官能化されたパーフルオロポリエーテルゴムから選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項9】
前記少なくとも1つのゴム(B)が、ジエンとして有利にはビニル基を有するノルボルネン誘導体、特に5−ビニル−2−ノルボルネンを含有するエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からか、或いはイソブチレンイソプレンジビニルベンゼンゴム(IIR−ターポリマー)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリレートゴム(ACM)及び/又はブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、2つのビニル基を有するポリイソブチレンゴム(PIB)から部分的に水素化されたゴムからか、或いは上記ゴムの、マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸で官能化されたゴムからか、及び/又はビニル基で官能化されたパーフルオロポリエーテルゴムから選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項10】
前記ゴム(A)が、ジエンに1つのビニル基を有するエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)から選択され、前記ゴム(B)が、2つのビニル基を有するポリイソブチレン(PIB)から選択される、請求項1から9のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項11】
前記ゴム(A)及び(B)の平均分子量が、5000〜100000g/mol、有利には5000〜60000g/molである、請求項1から10のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項12】
前記架橋剤(C)が、
− 式(I)
【化1】

[式中、R1は、一価で、炭素原子1〜10個を有し且つ置換されたか又は置換されていない芳香族炭化水素基又は飽和炭化水素基を表し、aは、0〜20の整数の値を表し、bは、0〜20の整数の値を表し、R2は、炭素原子又は酸素原子1〜30個を有する二価の有機基を表す]のSiH含有化合物、
− 式(II)
【化2】

のSiH含有化合物、
及び/又は
− 式(III)
【化3】

のSiH含有化合物から選択され、
有利には、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)、トリス(ジメチルシリルオキシ)フェニルシラン、ビス(ジメチルシリルオキシ)ジフェニルシラン、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、メチルヒドロシロキサンフェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー、ポリアルキルヒドロシロキサン、メチルヒドロシロキサンジフェニルシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー及び/又はポリフェニルメチルシロキサンメチルヒドロシロキサンから選択される、請求項1から11のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項13】
前記ヒドロシリル化触媒系(D)が、ヘキサクロロ白金酸、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、ジクロロ(ジシクロペンタジエニル)白金(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)及び/又はジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)から選択され、場合によっては、マレイン酸ジアルキル、特にマレイン酸ジメチル、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロシロキサン、2−メチル−3−ブチン−2−オール及び/又は1−エチルシクロヘキサノールから選択された反応速度調整剤と組み合わされる、請求項1から12のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項14】
前記少なくとも1つの充填剤(E)が、カーボンブラック、グラファイト、シリカ、シリケート、金属酸化物、金属水酸化物、カーボネート、ガラス球、繊維及び/又は有機充填剤から選択される、請求項1から13のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項15】
前記共架橋剤(F)が、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,2−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン誘導体、アリルエーテル、特にトリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルアルコールエステル、特にジアリルフタレート、ジアクリレート、トリアクリレート、特にトリメチルプロパントリアクリレート、ジメタクリレート及び/又はトリメタクリレート、特にトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、トリアリルホスホン酸エステル、並びに/又はヒドロシリル化によってゴム(A)及び/若しくは(B)に結合する少なくとも2つの官能基を有するブタジエンスチレンコポリマーから選択される、請求項2から14のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項16】
前記少なくとも1つの添加剤(G)が、劣化防止剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、難燃剤、加水分解防止剤、結合剤、離型剤ないしは部材の粘着を減少させる薬剤、着色剤及び/又は顔料、軟化剤及び/又は加工助剤から選択される、請求項2から15のいずれか1項に記載のエラストマーブレンド。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載のエラストマーブレンドの製造方法であって、前記ゴム(A)及び(B)並びに前記少なくとも1つの充填剤(E)を混合し、前記架橋剤(C)及び前記ヒドロシリル化触媒系(D)を一成分系又は二成分系として添加し、全成分を混合し、続いて、この生成物を射出成形法ないしは(液体)射出成型法((L)IM)によって、プレスないしは圧縮成形法(CM)によって、トランスファー成形法(TM)によって、又はこれからそれぞれ派生した方法、印刷法、例えばスクリーン印刷によって、ビード塗布、浸漬又は噴霧によって加工する、方法。
【請求項18】
請求項2から17のいずれか1項に記載のエラストマーブレンドの製造方法であって、前記ゴム(A)及び(B)、前記少なくとも1つの充填剤(E)並びに前記共架橋剤(F)及び/又は前記少なくとも1つの添加剤(G)を混合し、前記架橋剤(C)及び前記ヒドロシリル化触媒系(D)を一成分系又は二成分系として添加し、全成分を混合し、続いて、この生成物を射出成形法ないしは(液体)射出成形法((L)IM)によって、プレスないしは圧縮成形法(CM)によって、トランスファー成形法(TM)によって、又はこれからそれぞれ派生した方法、印刷法、例えばスクリーン印刷によって、ビード塗布、浸漬又は噴霧によって加工する、方法。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか1項に記載のエラストマーブレンドの使用であって、食品、特に飲料水又は医学的若しくは薬学的製品の製造、輸送、プロセス技術及び包装の分野、或いは電子工業分野における材料としての、使用。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか1項に記載のエラストマーブレンドの使用であって、特に食品、飲料水、医学、薬学及び/又は電子工業の分野での、チューブ、弁、ポンプ、フィルタ、加湿器、改質装置、貯槽(タンク)、振動ダンパ、音響的に作動する部材のシール若しくは含浸、被覆、膜又は接着剤の材料、織物、不織布、電磁波シールド、タイヤ、ブレーキカップ、ブレーキ部材、ジョイントブーツ、ベローズの被覆の材料及び/又は床材及び/又は形成材の材料としての、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−509011(P2009−509011A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531581(P2008−531581)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008935
【国際公開番号】WO2007/033790
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(501479868)カール・フロイデンベルク・カーゲー (73)
【Fターム(参考)】