説明

エラー確率を低減するためのハートビートの複数検出

【課題】通信システムが、所定の時間枠内のリクエストの少なくとも2つを明確に識別することによって、通信状態を変更するリクエストの表示を有する信号を検出する性能を改良する。
【解決手段】ある特定の用途では、基地局25は、適正に高い検出確率および適正に低い誤り確率で、通信状態を変更するリクエストを判断する。このシステム100は、誤ったトラフィック・チャネル割当て55のような、誤った通信状態の数を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線電話およびパーソナル・コンピュータの増加により、以前には特殊な用途だけに利用されると考えられていた高性能なテレコミュニケーション・サービスに対する要求が増大してきた。1980年代には、携帯電話ネットワークを介して無線音声通信が広く利用できるようになった。最初、このようなサービスは、一般に、加入者コストが高いために、ビジネスマンの専用領域であると考えられていた。このことは、遠隔分散コンピュータ・ネットワークにアクセスすることについても同じであると考えられていた。最近まで、ビジネス関係者および大規模な機関だけが、必要なコンピュータおよび有線アクセス装置を持つ余裕があった。
【0003】
身近になった新技術を広く利用できる結果として、現在は一般大衆が、インターネットおよび専用イントラネットなどのネットワークに有線アクセスするだけでなく、無線アクセスすることも望んでいる。無線方式は特に、電話回線に接続せずにこのようなネットワークにアクセスすることを望む、携帯用コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、携帯情報端末などのユーザに有益である。
【0004】
既存の無線インフラを利用して、インターネット、専用イントラネットおよび他のネットワークに対する低コストで高速なアクセス提供する、広く利用できる満足な解決手段はいまだに存在しない。これは、いくつかの望ましくない環境によるものと考えられる。第1に、ビジネス環境において無線ネットワークを介する高速データ・サービスを提供する一般的な方法は、ほとんどの家庭またはオフィスで利用できる音声グレード・サービスに容易に適合しないことである。例えば、このような標準高速データ・サービスは、標準セルラ無線端末機を介して効率的に伝送するのには必ずしも適していない、なぜなら、無線ネットワークは、元来、音声サービスの提供だけのために設計されていたからである。その結果、CDMAのような特定の方式はデータ伝送に適合する非対称動作のいくつかの基準を備えているとはいえ、今日のディジタル無線通信システムは音声伝送に最適化されている。例えば、米国電気通信工業会(TIA)により規定されている、IS−95における順方向トラフィック・チャネルのデータ・レートは、いわゆるレート・セット1に対しては1.2kbpsから9.6kbpsまでの増加に調整でき、またレート・セット2に対しては1.8kbpsから14.4kbpsまでの増加に調整できる。しかし、逆方向リンク・トラフィック・チャネルについては、データ・レートは4.8kbpsに固定されている。
【0005】
したがって、このような既存の無線システムは、一般に、順方向リンクを介して最高でも14.4キロビット/秒(kbps)の最大データ・レートに適合できる無線チャネルを提供するに留まる。このような低速データ・レートのチャネルは、ISDN(統合サービス・ディジタル・ネットワーク)方式の装置で利用できる128kbpsなどの高速レートは言うまでもなく、低コストである有線モデムを用いて一般に利用できる28.8または56.6kbpsのレートでデータ伝送するのにも全く役に立たない。これらレベルのデータ・レートは、webページのブラウジングのような動作に対して、急速に最低許容レベルになりつつある。
【0006】
有線ネットワークは、セルラ・システムが最初に開発された時点で知られていたが、大部分は、セルラ・ネットワーク・トポロジーを介する高速のISDNまたはADSLグレードのデータ・サービスを提供する無線システム用の設備ではなかった。
【0007】
大半の無線システムでは、無線チャネル・リソースよりも多い潜在ユーザが存在している。したがって、何らかの方式のデマンド・ベース、つまり要求に基づく多重アクセス・システムが要求される。
【0008】
多重アクセスが、無線周波数搬送波信号グループでアナログ変調を用いる従来の周波数分割多重アクセス(FDMA)によって提供される場合も、時分割多重アクセス(TDMA)または符号分割多重アクセス(CDMA)を用いる無線搬送波周波数の共有を可能にする方式によって提供される場合も、無線スペクトルの特性は共有されることが期待される。これは、有線媒体が相対的に低コストで、一般には共有を意図しないデータ伝送をサポートする従来の環境とはまったく異なる。
【0009】
無線システムの設計において考慮すべき他の要素は、データそのものの特性である。例えば、webページへのアクセスは一般に、逆方向および順方向に非対称のデータ・レートを要するバースト方式であると考えられる。通常用途では、遠隔のクライアント・コンピュータのユーザが、先ず、ブラウザ・プログラムに対してwebページのアドレスを指定する。次にブラウザ・プログラムが、通常長さが100バイト以下のwebページのアドレス・データを、ネットワークを介してサーバ・コンピュータに送信する。次にサーバ・コンピュータが要求されたwebページのコンテンツで応答する。コンテンツは、10キロバイトから数メガバイトのテキスト、画像、音声、さらにはビデオ・データを含むことがある。その後ユーザはページの内容を読むのに数秒または数分さえも費やしてから、別のwebページをダウンロードする。
【0010】
オフィス環境では、大部分の従業員のコンピュータ作業習慣は一般に、通常2〜3のwebページをチェック後、長期間にわたり別の何らかの作業、例えばローカルに格納されたデータへのアクセス、さらにはコンピュータの使用を完全に終了するなどを行う。したがって、このようなユーザがインターネットまたは専用イントラネットに1日中連続して接続を維持する場合でも、高速データ・リンクの実際の利用は一般に、全く散発的に発生するだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
インターネット接続をサポートする無線データ転送サービスが無線音声通信と共存する場合、無線CDMAシステムにおける利用可能なリソースの使用を最適化することが重要になってきている。周波数の再利用およびトラフィック・チャネルの動的な割当ては、高性能無線CDMA通信システムの効率を向上させるいくつかの形態に対応するが、今なお利用可能リソースを効率的に利用することへの要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
有効なリソースをより効率的に利用する1つの方法は、リソースをエラーの無い方法で確実に割り当てることである。例えば、トラフィック・チャネルに対するリクエストがなされていないときは、基地局はトラフィック・チャネルをフィールド・ユニットに割り当てるべきではない。同様に、トラフィック・チャネルに対するリクエストがなされているときは、基地局はトラフィック・チャネルをフィールド・ユニットに割り当てるべきである。このようなリクエストは、ユーザがフィールド・ユニットを使用してトラフィック・データを遠隔のネットワーク・ノードに送信するときに、フィールド・ユニットにより生成される。
【0013】
ある適用において、あるチャネル上のタイム・スロットにおけるマーカの伝送は、該当するフィールド・ユニットをアクティブに切り換えるための、そのユニットからのリクエストを表示する。すなわち、割り当てられたタイム・スロットにおけるマーカの伝送は、フィールド・ユニットから基地局までデータ・ペイロードを送信するために、逆方向リンク・トラフィック・チャネルをユーザに割り当てるように、フィールド・ユニットが要求していることを示す。これはフィールド・ユニットが現在スタンバイ・モードにいることを前提とする。一方、フィールド・ユニットは一対の逆方向リンク・チャネルの第2チャネルを介してマーカを送信して、フィールド・ユニットがアクティブ・モードに置かれることを要求していないことを示す。例えば、フィールド・ユニットは逆方向リンク・チャネル上でのデータ伝送を望まず、むしろ、即時にアクティブに切り換わることができるように基地局と同期するが、非アクティブを維持することを要求する。
【0014】
いずれの場合も、本発明は、通信状態を変更するリクエストのマーカすなわち表示を有する信号の検出性能を改良する。例えば、通信状態を変更するリクエストがなされていることを判断するために表示を測定することによって行う。一実施形態では、この測定には所定の時間期間内の少なくとも2つの明確なリクエストの識別を含む。システムはまた、リクエスト状態(すなわち、通信状態「変更リクエスト」)に対する非リクエスト状態(すなわち、定常状態または「制御維持」状態)の電力レベルに異なる大きさを適用することにより、代替基準、つまり既存の基準にとって替わる新しい基準を用いて、性能を改良する。この結果、誤ってトラフィック・チャネルを指定すなわち割り当てるような、誤り通信状態の数を低減できる。
【0015】
ある特定の適用では、加入者ユニットは、ハートビートにCDMAシステムの第1コードを使用するハートビート・チャネルに、基地局への逆方向リンクにおける第2コードを使用するリクエスト・チャネルを当てる。加入者ユニットは信号を繰り返しとし、さらには、本発明の原理を利用する基地局が、適正に高い検出確率および適正に低い誤り検出確率で通信状態の変更リクエストを判断するような方法で、異なる電力レベルを信号に当てる。
【0016】
本発明の教示は1xEV−DVシステムおよびI−CDMAで両立できるが、有線または無線通信システムで使用されるさまざまな他の通信プロトコルを採用しているシステムをサポートできるだけ十分に包括的である。本発明の実施形態は、IS−2000のような符号分割多重アクセス(CDMA)システム、およびIEEE 802.11a無線ローカルエリア・ネットワーク(LAN)のような直交周波数分割多重(OFDM)システムで利用できる。
【0017】
本発明の前述およびその他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示す本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明で明らかになるであろう。図面では、同一参照符号は異なる図面においても同一部品を指す。図面は必ずしも縮尺通りでなく、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態において開示する通信システムの略図である。
【図2A】図1の通信システムにおいて基地局で使用されるサブシステムの略図であり、このサブシステムを利用して、逆方向リンク信号が通信状態を変更するリクエストの表示を含むか否かを判断する。
【図2B】図2Aのサブシステム内で状態機械によって実行される処理のフローチャートである。
【図3A】「制御維持」を示す第1マーカ、および「アクティブへの切換リクエスト」を示す第2マーカを有する1xEV−DVの信号の図である。
【図3B】割り当てられたタイム・スロット内に、フィールド・ユニットが通信状態の変更を要求していることを示すマーカを有する、コード・チャネルの符号分割多重アクセス(CDMA)セットの信号の図である。
【図3C】表示を有する逆方向リンク信号の別の実施形態の信号の図である。
【図4】図3A〜3Cの信号における表示のエネルギ・レベルを判断するのに使用できる、信号対雑音比に対する検出確率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態を以下に説明する。
【0020】
「ハートビート(HB)」および「アクティブに切り換えるリクエスト付きハートビート(HB/RQST)」信号の見落としまたは誤った検出は大きなコスト損失を招く。HBの誤り検出が発生すると、基地局とフィールド端末間で使用される電力制御コマンドおよびタイミング・コマンドは、受信した不正確なコード位相に基づいて生成されることになる。したがって、電力制御は誤ってなされ、端末からの実際の受信電力に基づかないことになる。リクエスト・メッセージに対しては、リソースを必要としないときにリソースがユーザに割り当てられ、結果的に容量を浪費することになる。
【0021】
従来から、誤り検出の確率が極めて低いことが重要である場合、必要条件として、送受信基地局(BST)でのEb/No(すなわち、雑音密度に対するビット当たりエネルギ)しきい値が高いことが条件として課せられている。一方、HB信号の場合のように、検出速度がそれほど重要でない場合、複数の連続する検出が有効になる。これにより、誤り検出確率を大幅に低減できる。
【0022】
例えば、P(fd)=0.01であり、また 「有効検出」が判断される前に続けて3回の検出が指定された場合、全体P(fd)=(0.01)^3すなわち0.000001となる。これは、とにかく確率が極めて高いため、検出のコストが安くなる。例えば、単一の検出確率が0.9である場合、必要な3回検出は検出確率を0.9^3すなわち0.72に低下し、わずかな縮小のみである。この技術はレーダー装置で公知であるが、HBおよびHB/RQST信号を検出する本アプリケーションならびに他の通信システムおよびアプリケーションにおいてこの技術を利用していない。HBおよびHB/RQST信号は、本発明の教示が適用される信号の例であり、いずれにせよこれに限定されないものであることは理解されるべきである。
【0023】
検出され、カウントされる信号は、(i)連続であり、例えば、時間もしくはTDMAシステムにおいてユーザによって割り当てられたスロットのいずれかで連続であり、または(ii)信号間に休止を有するが、所定の時間期間内に所定数のパルス、ビット、もしくは他のインジケータを有する、ことができる。CDMA逆リンクでは、必要な複数の連続する検出または連続しない検出が用いられ、システム・レベル検出をできるようにする。さらに、システムは検出目標に対して異なる電力制御目標を設定できる。これは、低い伝送電力に対し、積分時間を増加させて検出エネルギを増加することを意味する。タイム・スロットを使用するシステムでは、システムは、所定ユーザに対して、連続または非連続タイム・スロットを監視する情報処機能を有することができる。さらに、システムは、ゲート制御された信号(ゲート回路でオン/オフされた信号)およびゲート制御されない信号で作動する。
【0024】
ハートビートの干渉レベルは、古典的な「レーダー」検出問題として推定できる。このために、CDMA方式における専用制御チャネル(DDCH)およびスロット方式制御維持モード(DCHM)の場合のような復調ではなく、「検出される」ハートビート・パルスに基づいて、さまざまな有利な方法が可能となる。
【0025】
図1は、本発明の実施形態を使用している、前述のシステムと同様の通信システム100の一例の図である。図示のように、基地局(BTS)25はアンテナ・タワー23を備え、複数のフィールド・ユニット42a,42b,42c(総称してフィールド・ユニット42)のそれぞれと無線通信リンクを維持する。このような無線リンクは、基地局25とフィールド・ユニット42の間の順方向リンク70および逆方向リンク65にリソースを割り当てることにより確立される。リンク65および70は、通常、いくつかの論理逆方向リンク・チャネル55およびいくつかの論理順方向リンク・チャネル60からそれぞれ形成される。
【0026】
図のように、通信システム100はインタフェース50とネットワーク20の間の無線通信をサポートする。通常、ネットワーク20は公衆交換電話網(PSTN)、またはインターネット、ネットワーク間のネットワークもしくはイントラネットなどのコンピュータ・ネットワークである。インタフェース50は、好ましくは、携帯型コンピュータ12のようなディジタル処理装置に接続され、場合によりアクセス・ユニットと呼ばれ、ネットワーク20への無線アクセスを提供する。したがって、携帯型コンピュータ12は、結線で接続されたデータ・リンクおよび無線データ・リンクの両方の組み合わせを介する通信によってネットワーク20にアクセスする。
【0027】
好ましい実施形態では、順方向リンク・チャネル60および逆方向リンク・チャネル55は、通信システム100において、符号分割多重アクセス(CDMA)チャネルと定義される。すなわち、各CDMAチャネルは、好ましくは、拡大された擬似ランダム雑音(PN)コード・シーケンスを用いて、データを符号化し、チャネルを介してこのデータを伝送することにより定義される。PNコード化されたデータは、次に、無線周波数搬送波上に変調される。これにより、受信機は所定のチャネルに割り当てられた特定の拡大されたPNコードのみを認識して、チャネル全体の中から1つのCDMAチャネルを解読できる。一実施形態によれば、各チャネルは、IS−95 CDMA規格および1xEV−DV規格に準拠して1.25MHz帯域を占め、38.4kbpsで伝送可能である。
【0028】
順方向リンク70は、少なくとも4つの論理順方向リンク・チャネル60を含む。図示のように、このリンクは、パイロット・チャネル60PL、リンク品質管理(LQM)チャネル60L、ページング・チャネル60PG、および多重トラフィック・チャネル60Tを含む。
【0029】
逆方向リンク65は、少なくとも5つの論理逆方向リンク・チャネル55を含む。図示のように、このリンクは、ハートビート・スタンバイ・チャネル55HS、ハートビート・リクエスト・アクティブ・チャネル55HRA、アクセス・チャネル55A、および多重トラフィック・チャネル55Tを含む。通常、逆方向リンク・チャネル55は、各順方向リンク・トラフィック・チャネル66Tが2.4kbpsから最大160kbpsまでの可変データ・レートをサポートできることを除いて、順方向リンク・チャネル60と同様である。
【0030】
基地局25とフィールド・ユニット42aの間を伝送されるデータは、一般に、webページ・データのような符号化されたディジタル情報で構成される。逆方向リンク65または順方向リンク70に多重トラフィック・チャネルを割り当てることにより、高速データ伝送レートが基地局25とフィールド・ユニット42aの間の特定リンクで実現される。ただし、複数のフィールド・ユニット42が帯域幅の割当てに対して競合するため、フィールド・ユニット42aは、データのペイロードを伝送するためのトラフィック・チャネルを割り当てるために、リソースが解放されるまで待機しなければならない場合がある。
【0031】
リクエスト付きハートビート信号とハートビートを区別するのに使用できる検出器システムの例(図2)を説明する前に、図3A〜図3Cを参照して、信号例の簡単な説明をする。
【0032】
図3Aにおいて、フィールド・ユニットによって伝送される1xEV−DV信号160は、3つの異なる状態、すなわち、「制御維持」状態165、「アクティブへの切換リクエスト」状態170、およびデータ・トラフィック状態175を有する。「制御維持」状態165において、信号160は「アクティブへの切換リクエスト」表示を含まない。言い換えれば、信号160は「アイドル」または「制御維持」状態に留まっている。これは、フィールド・ユニット42aがトラフィック・チャネルを要求していないことを示す。「アクティブへの切換リクエスト」状態170は、フィールド・ユニットが逆方向リンクを介してトラフィック・チャネル上のデータをBTS25に伝送することを要求していることの表示である。トラフィック状態175では、トラフィック・データはフィールド・ユニットによってBTSに伝送される。逆方向リンクを介するトラフィック・データの伝送に続き、「データ伝送完了」状態(図示せず)の伝送の後に、信号160は「制御維持」状態165に戻る。
【0033】
単一の信号160で示しているが、信号は複数の信号であってもよく、さらに、直交または非直交コードを用いて相互に排他的なチャネルに符号化されてもよい。例えば、「制御維持」状態165は「アクティブへの切換リクエスト」状態170とは異なるチャネル上で伝送される。同様に、トラフィック状態175で伝送されているトラフィック・データは、他の2つの状態165,170とは別のチャネル上に存在してもよい。多重チャネルの例は図3Bおよび図3Cを参照して説明される。
【0034】
図3Bは、時間区間i 177a、時間区間i+1 177b…で繰り返す、ユーザ1,2,3,…,Nに対して割り当てられるタイム・スロットを有するインターネット符号分割多重アクセス(I−CDMA)信号伝送の図の例である。チャネルは、ハートビート・チャネル55H、リクエスト・チャネル55Rおよびトラフィック・チャネル55Tから構成されている。これらのチャネルはそれぞれ、コードC1,C2,C3,C4,…,CNを有し、これらのコードによって、相互に排他的なコード・チャネル上で信号が伝送可能になる。送信および受信システムの両方は、これらコードを使用してチャネル内で情報を処理し、標準的なCDMA方式でチャネルに含まれている情報をそれぞれ分離する。
【0035】
図示する例では、ユーザ1,2,4,5,6,…,Nは、ハートビート・チャネル55H内の信号180の存在によって示されているように、アイドル状態に留まることを要求している。しかし、ユーザ3は、第1時間区間177aにおけるリクエスト・チャネル55R内の信号185a、第2時間区間177bにおけるリクエスト・チャネル55R内の信号185b、および場合により追加時間区間における信号に基づき、逆方向リンクを介してデータを伝送することを要求している。第3時間区間177cにおいて、BTS25は2つの連続する表示185aおよび185bに基づきデータ伝送のリクエストをすでに検出している。受取り通知の受信に続いて、ユーザ3はコードC5を使用して対応するトラフィック・チャネルでトラフィック・データ190の伝送を開始する。別の実施形態では、BTS25は、リクエストが生成されていることを判断して受取り通知を送信する前に、3つの連続する表示185a〜185cを要求できる。
【0036】
図3Cは、フィールド・ユニット42aから基地局25に「アクティブへの切換リクエスト」を表示するのに使用される、図3Aの1xEV−DVの詳細な信号の図である。この実施形態では、1xEV−DV信号は、異なる論理チャネル、すなわちハートビート・チャネル55Hおよびリクエスト・チャネル55R上の複数の信号によって構成されている。ハートビート・チャネル55Hは、フィールド・ユニット42aから基地局25に、連続するタイミングおよび他の情報(例えば、電力レベル、同期など)を提供する。フィールド・ユニット42aはリクエスト・チャネル55Rを使用して、基地局25のリクエスト(例えばディジタルの「1」)を生成し、逆方向リンク65上でデータを伝送するためのトラフィック・チャネルを要求する。
【0037】
斜線で示されるサンプリング時間周期195a,195b,…,195f(総称して195)は、BTS25がリクエスト信号55R、さらにはハートビート・チャネル55Hのタイム・スロットをサンプリングし、トラフィック・チャネルに対するリクエストがなされているか否かを判断する、時間または期間を示す。なお、サンプリングはタイム・スロット全体またはそのサブセット全体にわたって実行できる。また、この特定の実施形態では、ハートビート・チャネル55Hおよびリクエスト・チャネル55Rは相互に排他的なコードを使用して、サンプリングをタイム・スロットのすべてまたはサブセット内の相互に排他的なコード・チャネル55H,55Rについて実行する。ある特定の実施形態では、基地局25は、サンプリング時間195b,195dおよび195fにおけるタイム・スロット内のような、リクエスト表示に指定されたタイム・スロット内の相互に排他的なコード・チャネル55H,55Rをサンプリングする。これらのタイム・スロットの間、ハートビート・チャネル55Hは「非アクティブ」であるが、リクエスト・チャネル55Rは「アクティブ」である。
【0038】
前述のように、「アクティブ」リクエスト・タイム・スロット内の信号は、変調されたメッセージまたは「ビット」を伴わない単に符号化されたパイロット信号である。したがって、検出は、所定の時間期間またはいくつかの時間期間にわたって、それぞれのタイム・スロット内のハートビート信号およびリクエスト付きハートビート信号の各エネルギ・レベルのみに基づく。
【0039】
ある特定の実施形態では、「制御維持」状態165の表示は第1エネルギ・レベルを有し、「アクティブへの切換リクエスト」状態170は第2エネルギ・レベルを有する。基地局25は、アクティブへの切換えリクエストを表示するのに使用される繰り返しパルスに加えて、電力レベルの差を利用できる。例えば、この特定の実施形態では、2種類の状態を区別する方法は、信号の各エネルギ・レベルを測定し、(i)少なくとも1つのしきい値とこれらエネルギ・レベルを比較するか、または(ii)リクエストが存在していることを判断するが、任意で、ハートビート信号が論理ゼロの場合にタイム・スロット内の相互に排他的なコード・チャネルに存在していることを判断する。表示のエネルギ・レベルの差は、信号のデューティ・サイクル、信号の周波数、信号の電力、信号伝送構造等により提供できる。
【0040】
図4を参照して、信号のエネルギ・レベルを利用してシステム性能を向上させる方法が理解できる。図4は、次のパラメータすなわち因子を基にして信号伝送必要条件を選択するための図表を提供する。これら因子は、(i)検出の確率P(d)(x軸)、(ii)デシベル単位の信号対雑音比(y軸)、および(iii)誤り検出の確率P(fd)(グラフ内の曲線)である。この図表は、線形整流検出器(linear rectifier detector)の入力端末において要求される信号対雑音比を単一パルスに対する検出確率の関数として示している。この図表はまた、パラメータとして誤り検出確率P(fd)を伴い、信号対雑音比はゆらぎのない信号に対して計算される。別のパラメータすなわち因子を使用しても、表示の伝送電力レベルを確立または規定できると理解されるべきである。
【0041】
円で囲まれた点200では、信号対雑音比は3db、P(d)=20%、およびP(fd)
=1%である。同一の誤り検出確率に対して検出確率を向上させるには、単に、円で囲まれた点200を、同一の誤り検出確率の曲線に沿って上方に移動する必要があり、これは信号対雑音比の増加がシステムの性能を向上し、その結果、リクエスト信号が即時に検出されるように改良するために利用されることを示す。
【0042】
通信システム100の例(図1)に対する、ハートビート・スタンバイ55HSおよびハートビート・リクエスト・アクティブ55HRAエネルギ・レベルの例に関する実例のモデルを示して説明する前に、システムで使用されるプロセッサおよび検出器について簡単に説明する。
【0043】
図2Aは、フィールド・ユニット42aがBTS25にデータを送ることを要求したか否かを判断するのに使用されるリクエスト検出プロセッサ110の略図である。受信機Rx35は信号55を受信する。信号55は、メンテナンス・チャネル55N、トラフィック・チャネル55T、アクセス・チャネル55A、ハートビート・スタンバイ・チャネル55HS、およびハートビート・リクエスト・アクティブ・チャネル55HRAを含む。信号55を処理して、ハートビート・チャネル・プロセッサ112がハートビート・スタンバイ・チャネル55HSを受信し、リクエスト・チャネル・プロセッサ114がハートビート・リクエスト・アクティブ・チャネル55HRAを受信するようにする。
【0044】
この特定の実施形態では、ハートビート・チャネル・プロセッサ112およびリクエスト・チャネル・プロセッサ114は、同一の処理要素を有するので、簡単化のためにハートビート・チャネル・プロセッサ112のみの説明をする。
【0045】
ハートビート・チャネル・プロセッサ112は、ハートビート・スタンバイ・チャネル55HSを受信する。相関器115が逆拡散器120を用いてハートビート・スタンバイ・チャネル55HSを逆拡散する。積分器125がコヒーレントにハートビート信号を結合するために使用される。コヒーレントに信号を結合することによって、Iの積分Qおよびその位相が信号の位相を除去し、信号の電力を出力する。
【0046】
相関器115に続き、整流器130(すなわち信号の2乗の絶対値)が信号の電力を整流し、その後、この信号を第2積分器135により積分し、受信されたハートビート信号のエネルギを計算する。第2積分器135は、短い時間期間で計算される、信号のコヒーレントでない結合を提供する。端末が高速で移動する場合、コヒーレントでない積分は振幅のみを提供する。なお、端末が高速で移動すると、180度位相ポイントのクロスオーバーが発生し、これが、コヒーレントでない結合がない信号のエネルギの判断において曖昧性の原因となる。
【0047】
ハートビート・チャネル・プロセッサ112からの出力はハートビート・エネルギ・レベルであり、リクエスト・チャネル・プロセッサ114からの出力はリクエスト・エネルギ・レベルである。この特定の実施形態では、これらエネルギ・レベルのそれぞれは推測検出器(hypothesis detector)140に供給され、この検出器がハートビート信号、リクエスト信号またはいずれでもない信号が基地局25によって受信される逆方向リンク・チャネル55にあるか否かを判断する。
【0048】
推測検出器140の出力は状態機械145に供給される。状態機械を使用して、フィールド・ユニットが所定の基準に従って「アクティブへの切換リクエスト」を生成しているか否かを判断する。一実施形態において、この処理は、推測検出器140の出力の測定に相当する。測定の例には、連続するリクエスト信号の数のカウント、ハートビート・スタンバイ・チャネル信号とハートビート・リクエスト・アクティブ・チャネル信号との比の測定、および所定の期間期間内のハートビート・リクエスト・アクティブ信号のカウントなどが含まれる。さらに、推測検出器140および表示のエネルギ・レベルの差がシステム性能を向上させるが、本発明では必ずしも必要としない。言い換えると、ハートビート・スタンバイ・チャネル55HSおよびハートビート・リクエスト・アクティブ・チャネル55HRAを状態機械で直接処理して、フィールド・ユニット42aがアクティブへの切換を要求しているか否かを判断できる。さらなる詳細については、以下の状態機械145の実施形態の説明で明らかにする。
【0049】
この特定の実施形態では、状態機械145は論理真偽信号を出力する。図2Bは、状態機械により実行される処理の例を示す。
【0050】
図2Bは状態機械145のフローチャート例である。例示の状態機械145は、検出プロセッサ110が「立ち上がる」と、ステップ205で開始する。ステップ210において、状態機械145は、検出が発生しているか否かを判断するのに用いられるカウンタを初期化する。ステップ215において、状態機械145は推測検出器140からの出力を受け取る。状態機械145は、立ち上がった後、推測検出器140の出力を受け取ると、ステップ215で開始される「割込みサービス・ルーチン」として機能してもよい。カウンタは、検出または非検出を判断するとクリア(すなわち、ゼロに設定)され、以下に述べるように、検出プロセッサ110を再立ち上げすることなく、測定処理をリセットする。
【0051】
ステップ215において推測検出器140からの出力を受け取った後、状態機械145は推測検出器145の出力がリクエスト(すなわち、「アクティブへの切換リクエスト」)であるか否かを判断する。切換リクエストであれば(YESであれば)、状態機械145はステップ240に進行し、そこで、検出カウンタがインクリメントされる。ステップ245において、検出カウンタはしきい値と比較される。検出カウンタがしきい値を超えている場合、ステップ250において、状態機械145はフィールド・ユニット42aからの「アクティブへの切換リクエスト」の検出を報告する。検出カウンタがしきい値を超えていない場合、状態機械145はステップ215に戻り、推測検出器140からの別の出力を待つ。
【0052】
続けて図2Bを参照して、ステップ220において、推測検出器140の出力が「リクエスト」でないことが判断されると、状態機械145はステップ225に進行する。ステップ225において、状態機械145は非検出カウンタをインクリメントする。ステップ230において、非検出カウンタがしきい値を超えているか否かの判断がなされる。しきい値を超えている場合(YESであれば)、状態機械145はステップ235に進行し、そこで、状態機械145はフィールド・ユニット42aによる「アクティブへの切換リクエスト」の非検出を報告する。非検出カウンタがしきい値を超えていない場合、状態機械145はステップ215に戻る。
【0053】
ステップ235および250の後に、状態機械145はステップ255においでカウンタをクリアし、状態機械145がフィールド・ユニット42aからのさらなる「アクティブへの切換リクエスト」を検出できるようにする。ステップ260において、状態機械145は動作を終了する。
【0054】
状態機械145は検出カウンタを使用して、所定の基準に従って、検出プロセッサ110が受け取った「アクティブへの切換リクエスト」の表示の数を判断する。この基準は任意の形式にでき、例えば、連続検出の所定の数、所定時間期間内の検出の所定数、または検出と非検出の比を含むことができる。リクエスト信号の位相の測定のような別の非カウントに基づく測定を使用して、アクティブに切換えるリクエストが生成されたか否かを判断することもできる。
【0055】
状態機械145が、カウンタまたは他の基準を用いる別の実施形態を採用できることは理解されるべきである。例えば、状態機械145は他の処理フロー、カウンタでない変数、または他の標準もしくは非標準技術を使用して検出を判断できる。さらに、推測検出器140から出力を受け取るのではなく、状態機械145への入力がハートビート・チャネル・プロセッサ112またはリクエスト・チャネル・プロセッサ114からのそのままのデータであってもよい。さらに、別の実施形態では、状態機械145は推測検出器140との組合せに含まれてもよい。
【0056】
図2Aを再度参照して、フィールド・ユニット42aが「アクティブへの切換りクエスト」を生成しているか否かを高い確率とするために状態機械145を使用することに加えて、推測検出器140も使用される。
【0057】
いずれの信号が存在しているかを判断するために、推測検出器140は論理関数を有する。例えば、この特定の実施形態では、推測検出器140は、第1エネルギ・レベルしきい値を第1エネルギ・レベル(すなわち、ハートビート・エネルギ・レベル)と比較し、第2エネルギ・レベルしきい値を第2エネルギ・レベル(すなわち、リクエスト・エネルギ・レベル)と比較する。
【0058】
ハートビート・エネルギ・レベルと比較するエネルギ・レベルしきい値の例は9dbであり、リクエスト・エネルギ・レベルのしきい値の例は11dbである。エネルギ・レベルしきい値は、動的に選択されるか、事前に決定されているか、または、例えば、ハートビート・チャネル55Hを介してフィールド・ユニットから基地局に報告される、伝送電力レベルに基づくなどの、別の方法で適用できる。エネルギ・レベルの計算および比較に関しては、第1および第2エネルギ・レベルは、信号55が使用する信号伝送チャネル内のタイム・スロットの占有状態に依存する。したがって、エネルギ・レベルしきい値は、「アクティブへの切換リクエスト」またはアイドル・モードに留まるリクエストを表示するのに使用される「1」ビットの、求められる数または指定された数に基づくことができる。エネルギ・レベルしきい値の利用については、本出願と同時に出願された、関連米国特許出願の、Proctorによる発明の名称「ハートビート・リクエストよりも低電力レベルでのハートビート信号の伝送」に記載されている。前記出願は全文を参照により本明細書に引用したものとする。
【0059】
前述のように、状態機械145は推測検出器140の出力を測定して、フィールド・ユニット42aと基地局25の間の逆方向リンク・トラフィック・チャネルの状態である、通信システムの状態を変更するか否か判断する。例えば、「アクティブへの切換リクエスト」(すなわち、逆方向リンク上でデータを送信する)がフィールド・ユニット42aによって生成されていると推測検出器140が判断すると、状態機械145は、携帯型コンピュータ12にトラフィック・チャネル55Tを提供する機能を果たすBTS内のプロセッサ(図示せず)に信号を出力する。ある特定の実施形態では、連続するリクエスト信号の数が2つ以上連続することと判断されると、BTS25はトラフィック・チャネル55Tを割り当てる。別の基準は前に説明した。
【0060】
図3Cを参照して説明したように、ハートビート・チャネル・プロセッサ112、リクエスト・チャネル・プロセッサ114、および推測検出器140は、通信状態を変更するリクエストを表示するのに使用されるタイム・スロットの占有状態を監視する方式で構成または設計される。一実施形態において、検出は、図3Bおよび図3Cに示したような相互に排他的なコード・チャネルの占有状態の監視を含む。
【0061】
フィードバック・ループ(図示せず)を利用して、ハートビート・チャネル・プロセッサ112およびリクエスト・チャネル・プロセッサ114を「適応可能」にすることができる。例えば、ハートビート・チャネル55Hの受信エネルギ・レベルに基づき、積分器125,135の積分時間を調整でき、ハートビート信号およびリクエスト信号のエネルギ・レベルの比較のために推測検出器140によって使用されるエネルギ・レベルのしきい値も、また、フィードバックのループによって調整できる。別のフィードバックにより、(i)検出に必要な連続するパルス数を増加または減少でき、または(ii)伝送されるリクエスト信号の数を増加または減少できる。このようなフィードバック・ループがコマンドまたはメッセージを使用して、BTSとフィールド・ユニットの間で、フィールド・ユニットによって伝送されるハートビート信号またはリクエスト付きハートビート信号の電力レベルに関する情報を含む情報を転送できる。
【0062】
前述のように、第1通信状態はスタンバイ通信状態であり、第2通信状態はペイロード通信状態である。他のシステムまたは同一システムでさえも、通信状態には、基地局の変更のリクエスト、および電力制御信号伝送などのような、他の通信状態を適用できる。本明細書に述べる信号伝送における異なる信号繰り返しの使用または異なるエネルギ・レベルの使用は、無線、有線または光通信システムに適用可能である。いずれにせよ、通信状態は音声またはデータ通信システムで使用できる。
【0063】
また前述のように、第2エネルギ・レベルは、図4を参照して説明したとおり、検出、誤り検出、または両方の組み合わせの目標確率に基づいている。言い換えると、フィールド・ユニットは、所定の電力レベルまたは所定の時間期間当たりの所定のパルス数でリクエスト信号を伝送して、図4を参照して説明したように検出、誤り検出、または両方の所定の目標確率に対して該当する信号対雑音比を達成できる。
【0064】
システム分析により、伝送電力または伝送される表示の数を設定でき、または、通信システムに前述のフィードバック機構を用いることにより、フィールド・ユニットの動作を切り換えて、表示の受信エネルギ・レベルが所定の信号対雑音比を達成するようにし、これにより検出および誤り検出パラメータの所望の確率を実現する。
【0065】
シミュレーション:
逆方向リンクのシミュレーションは、逆方向リンクが、電力制御、および図3A〜図3Cに示す例示のタイプまたは通信リンク信号伝送の他のタイプのいずれかのハートビート・チャネルを有すると仮定して実行した。
【0066】
最初に、このシミュレーションに対して2つの仮定をした。第1に、電力制御は検出されるパスの組合せまたは単一パス上でなされる。電力制御は、明確な検出が達成されないときにも実行される。第2に、検出の確率を設定して、電力制御が正しい信号上で実行されることを保証するのに十分な高レートでの検出を達成した。明確化のために、検出には受信信号の追跡を必要とする。
【0067】
表1は、基地局から60mph(約96km/h)の速度で遠ざかる車からの単一パス・チャネルに必要な検出レートを示す。この表は、移動によるチップの変化(slew)当たり、少なくとも1つの検出を必要とする。
【0068】
表 1
1チップの変化距離 814 ft(約248m)
携帯端末速度 60 mph(約96km/s)
携帯端末速度 88 ft/s(約27m/s)
チップのスルー・レート 9.2 chip/s
ハートビート・レート 50 HB/s
ハートビート/Td 462
【0069】
表1では、時間期間Tdは、単一のハートビート・パルスが検出される期間と定義され、これにより、車の移動によって信号の到達時間がずれるときにも、信号を確実に追跡する。表1は、各462パルスの内の1パルスを極めて高い確率で受信すること、すなわち信号の追跡ができなくなる危険があることを示す。
【0070】
この計算を基にして、検出のしきい値を検出/誤り検出の確率のグラフ(例えば、図4)から設定した。表1は加法性白色ガウス雑音(AWGN)について定義されているが、検出確率が相対的に短い時間期間にわたって大きく影響されないと予測される。これは、ハートビート・パルスからハートビート・パルスへのフェーディングが統計的に独立であることに起因する。
【0071】
個々のパルスの検出確率は大幅に変化したが、全体の結果は検出待ち時間の約50%の割合以上の大幅な変化は見られなかった。特に、AWGNのリクエスト・メッセージの平均検出待ち時間は、30km/hrにおいて約15msに比較して11msであった。先にも述べたが、この結果は、複雑な復調処理ではない検出処理を必要とすることに起因する。
【0072】
この分析に基づいて、20%の検出確率および1%の誤り確率を選択した。これは、平均3dBのEb/Noを必要とする。これは、図4により図示し、説明される。
【0073】
表2は、先に定義した時間Tdの間の検出および誤り検出の確率を示す。
【0074】
表 2
目標E/Io(全体エネルギ/干渉密度) 3dB
検出の確率 0.2
誤り検出の確率 0.01
3つの連続するHBの検出確率 8.00E−3
Td中のトライアル回数 462
Td中の非検出確率 2.44E−2
3つの連続するHBの誤り検出確率 1.00E−6
誤りのない検出に必要なトライアル 462
Td中の誤り検出確率 4.62E−4
【0075】
誤り検出の確率を低減するために、単一の検出を有効にするのに3つの連続する検出が必要であった。この例では誤り検出確率は乗算されるので、単一の誤り検出確率は3乗される。
【0076】
以下の表3は、必要とされる平均Ec/Io(チップ当たりのエネルギ/干渉密度(全チップの総和のSNR))を計算して、表2の統計値を得た。
【0077】
表 3
目標E/Io 3 dB
処理利得 256
バーストEc/Io −21.08 dB
平均Ec/Io −40.9 dB
【0078】
ハートビート・チャネルは時分割多重化(TDM)構造であるため、ハートビート・ユーザによる他のすべてのユーザへの干渉は、次の式のように増加する。
実効平均Ec/Io(全HBユーザ)=10*log10(N)−40.9
ここで、Nはユーザ数である。
【0079】
したがって、所定の基地局の96ユーザに対しては、平均全体干渉はバーストEc/Io、すなわち−21.08dBに等しくなる。
【0080】
本発明を好ましい実施形態により図示し、詳細に説明してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、形態または細部に各種の変更を加えるのが可能であることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0081】
35 受信機
145 論理ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ユーザデバイスであって、
時間期間において異なるフォーマットを有する信号を基地局に送信するように構成された回路であって、前記送信される信号は、前記無線ユーザデバイスがユーザデータを送信していない前記時間期間において送信される、回路を備え、
各時間期間は、少なくとも1つのスロットを含み、前記異なるフォーマットの1つは、前記無線ユーザデバイスがユーザデータを送信するためにリソースをリクエストしているとの表示を含むように構成され、前記異なるフォーマットの2つは、異なる電力オフセットと関連付けられ、前記異なる電力オフセットを用いて、前記基地局において前記異なるフォーマットを識別し、前記回路は、リソースをリクエストしている前記表示を送信することに応答してユーザデータを送信するためにリソースを示す情報を受信するように構成され、
前記信号は、アクセス手順において送信されないことを特徴とする無線ユーザデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の無線ユーザデバイスであって、前記無線ユーザデバイスは、直交シーケンスを割り当てられ、前記送信される信号は、少なくとも前記直交シーケンスから導出されることを特徴とする無線ユーザデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の無線ユーザデバイスであって、他のユーザデバイスは、他の直交シーケンスを割り当てられることを特徴とする無線ユーザデバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−9380(P2013−9380A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165134(P2012−165134)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【分割の表示】特願2007−270641(P2007−270641)の分割
【原出願日】平成14年6月13日(2002.6.13)
【出願人】(504407103)アイピーアール ライセンシング インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】