エリスロポエチンに基づく剤の経皮送達のための装置および方法
角質層を通り下の表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通するよう適合されている複数の微小突起(若しくはそれらの列)を包含する微小突起部材(若しくは系)を有する送達系を含んでなる、生物学的有効成分を経皮送達するための装置および方法。一態様において、エポエチンに基づく剤は微小突起部材に塗布される生体適合性コーティング中に含有される。さらなる一態様において、該送達系は、患者の皮膚への適用後に微小突起部材上に配置される、エポエチンに基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックを包含する。代替の一態様において、エポエチンに基づく剤はコーティングおよびヒドロゲル双方の製剤に含有される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般として経皮剤送達の系および方法に関する。より具体的には、本発明は、エポエチンに基づく剤の経皮送達のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有効成分(すなわち薬物)は、最も典型的には経口で若しくは注入によりのいずれかで投与される。不幸なことに、多くの有効成分は、吸収されないか若しくは血流に進入する前に悪影響を及ぼされるかのいずれかであり、そして従って所望の活性を有しないため、それらは経口で投与される場合に完全に無効であるか、若しくは根本的に低下された有効性を有する。他方、投与の間の剤の改変なしを保証しつつの血流中への剤の直接注入は、困難、不便、痛みを伴いかつ不快な処置であり、ときに乏しい患者コンプライアンスをもたらす。
【0003】
これゆえに、原則として、経皮送達は、そうでなければ皮下注入若しくは静脈内注入を介して送達されることを必要とするとみられる有効成分の投与方法を提供する。本明細書で使用されるところの「経皮」という語は、外科刀で切断すること若しくは皮下注射針で皮膚を貫通することのような皮膚の実質的切断若しくは浸透を伴わない、皮膚を通り局所組織若しくは全身循環系への有効成分(例えば、薬物のような治療薬若しくはワクチンのような免疫学的有効成分)の送達を指す包括的用語である。経皮剤送達は、受動拡散を介する送達、ならびに電気(例えばイオントフォレーシス)および超音波(例えばフォノフォレーシス)のような外的エネルギー源に基づく送達を包含する。
【0004】
より一般的である受動経皮剤送達系は、典型的には、高濃度の有効成分を含有する薬物リザーバを包含する。該リザーバは皮膚に接触するよう適合され、それは該剤が皮膚を通りかつ患者の身体組織若しくは血流中に拡散することを可能にする。
【0005】
当該技術分野で公知であるとおり、経皮薬物流入は、皮膚の状態、薬物分子の大きさおよび物理/化学特性、ならびに皮膚を横断する濃度勾配に依存する。多くの薬物に対する皮膚の低浸透性により、経皮送達は制限された応用を有していた。この低浸透性は、主として角質層、すなわち脂質二重層により囲まれたケラチン線維で満たされた扁平な死細胞(すなわちケラチノサイト)よりなる最外皮膚層に帰される。脂質二重層のこの高度に規則正しい構造は、比較的不浸透性の特徴を角質層に賦与する。
【0006】
受動経皮拡散の剤流入の1つの普遍的増大方法は、皮膚浸透増強剤で皮膚を前処置すること、若しくはそれを剤と共投与することを必要とする。浸透増強剤は、剤が送達される体表面に適用される場合に、それを通る剤の流入を高める。しかしながら、経皮タンパク質流入を高めることにおけるこれらの方法の有効性は、それらの大きさにより、少なくともより大型のタンパク質について制限されていた。
【0007】
経皮送達されている剤の量を高めるために、最外の皮膚層を機械的に浸透若しくは破壊してそれにより皮膚中への経路を創製するための多くの技術および装置もまた開発されている。特許文献1に開示される薬物送達装置が具体的に説明する。
【0008】
経皮剤送達を高めるために小型の皮膚貫通要素を使用する他の系および装置が、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、ならびに特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19およ
び特許文献20(全部はそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0009】
開示される系および装置は、皮膚の最外層(すなわち角質層)を貫通するために多様な形状および大きさの貫通要素を使用する。これらの参考文献に開示される貫通要素は、一般に、パッド若しくはシートのような薄い平坦な部材から垂直に伸長する。これらの装置のいくつかにおける貫通要素は極めて小さく、いくつかはわずか約25〜400ミクロンの微小突起長さおよびわずか約5〜50ミクロンの微小突起厚を有する。これらの小型貫通/切断要素は、それらを通る経皮剤送達を高めるために角質層中に相応して小さい微小スリット/微小切創を作成する。
【0010】
開示される系は、さらに、典型的には、剤を保持するためのリザーバ、および装置それ自身の中空の歯によるような剤をリザーバから角質層を通って移動するための送達系もまた包含する。こうした装置の一例は、液体剤リザーバを有する特許文献21に開示されている。リザーバは、しかしながら、小型管状要素を通りかつ皮膚中に液体剤を押し込むために加圧されなければならない。こうした装置の欠点は、加圧可能な液体リザーバを付加するための追加される複雑さおよび費用、ならびに圧に駆動される送達系の存在による複雑さを包含する。
【0011】
本明細書に引用することにより完全に組み込まれる特許文献22に開示されるとおり、物理的リザーバ中に含有される代わりに微小突起上に被覆されて送達されるべきである有効成分を有することが可能である。これは、別個の物理的リザーバ、およびとりわけ該リザーバのための剤の製剤若しくは組成物を開発することの必要性を排除する。
【0012】
エポエチンおよびその塩(すなわちエポエチンに基づく剤)は、典型的に、十分なエリスロポエチン(EPO)(赤血球産生を刺激するホルモン)を産生することの腎の機能不全により引き起こされる貧血を処置するため投与される。エポエチンに基づく剤は、癌およびHIV/AIDSのような状態と関連する、または外科手術若しくは化学療法後の貧血を処置するためにもまた投与される。加えて、EPOは、腫瘍関連貧血の、および腫瘍低酸素状態の是正のための処置において活性を示した。最近の研究は、EPO処置が(慢性の)感染症(HIV、炎症性腸疾患、敗血症エピソード)を伴う患者、および癌化学療法後の疲労症候群の処置に有益でありうることを示唆している。加えて、EPOは高用量化学療法後の幹細胞生着もまた改善することができ、かつ、再生不良性貧血および骨髄異形成症候群を伴う患者の生存率を増大し得る。
【0013】
EPOは、推定では多様な受容体との相互作用により、造血性かつ組織保護性の双方である。カルバミル化EPO(CEPO)若しくはある種のEPO変異体は古典的EPO受容体に結合せず、そしていかなる造血活性も示さない。にもかかわらず、CEPOおよび多様な非造血性変異体はin vitroで細胞保護性であり、そして、卒中、脊髄圧迫、糖尿病性ニューロパシー、および実験的自己免疫性脳脊髄炎に対し、EPOに匹敵する効力および有効性で神経保護を賦与する。
【0014】
EPOは腎で産生され、そして骨髄中で方向付けされた(committed)赤血球前駆細胞の分割および分化を刺激する。典型的な治療的形態のエポエチンはエポエチンα、すなわち組換えDNA技術により製造された165アミノ酸の糖タンパク質である。エポエチンαは内因性EPOと同一の生物学的効果を表す。
【0015】
現在、エポエチンαは注入によってのみ投与される。述べられたとおり、血流中への剤の直接注入はしばしば不便かつ痛みを伴い、それはしばしば乏しい患者コンプライアンスをもたらす。エポエチンに基づく剤の皮内投与は、従って、典型的には連日投与されなけ
ればならない該剤の患者コンプライアンスを増大させかつ患者受容性を向上させることがありそうである。
【0016】
従って、エポエチンに基づく剤の皮内投与を容易にする剤送達系を提供することが望ましいとみられる。
【0017】
従って、エポエチンに基づく剤の患者への皮内送達を提供する経皮剤送達の装置および方法を提供することが、本発明の一目的である。
【0018】
患者への皮内送達のためのエポエチンに基づく剤の製剤を提供することが、本発明の別の目的である。
【0019】
最低1種の生物学的有効成分、好ましくはエポエチンに基づく剤、より好ましくはエポエチンαに基づく剤を包含する生体適合性コーティングで被覆された微小突起を包含する経皮剤送達の装置および方法を提供することが、本発明の別の目的である。
【0020】
エポエチンに基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を受領するよう適合されたゲルパックを包含する経皮剤送達の装置および方法を提供することが、本発明のなお別の目的である。
【0021】
【特許文献1】米国特許第3,964,482号
【特許文献2】米国特許第5,879,326号
【特許文献3】米国特許第3,814,097号
【特許文献4】米国特許第5,250,023号
【特許文献5】米国特許第3,964,482号
【特許文献6】再交付第25,637号
【特許文献7】PCT公開第WO 96/37155号
【特許文献8】PCT公開第WO 96/37256号
【特許文献9】PCT公開第WO 96/17648号
【特許文献10】PCT公開第WO 97/03718号
【特許文献11】PCT公開第WO 98/11937号
【特許文献12】PCT公開第WO 98/00193号
【特許文献13】PCT公開第WO 97/48440号
【特許文献14】PCT公開第WO 97/48441号
【特許文献15】PCT公開第WO 97/48442号
【特許文献16】PCT公開第WO 98/00193号
【特許文献17】PCT公開第WO 99/64580号
【特許文献18】PCT公開第WO 98/28037号
【特許文献19】PCT公開第WO 98/29298号
【特許文献20】PCT公開第WO 98/29365号
【特許文献21】第WO 93/17754号
【特許文献22】米国特許出願第10/045,842号
【発明の開示】
【0022】
[発明の要約]
上の目的、および下で挙げられることができかつ明らかになるであろうものに従って、本発明のエポエチンに基づく剤を経皮送達するための装置および方法は、一般に、角質層を通り下の表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通するよう適合されている複数の微小突起(若しくはそれらの列)を包含する微小突起部材(若しくは系)を有する送達系を含んでなる。一態様において、微小突起部材は、最低1種のエポエチンに基づく剤をその中
に配置している生体適合性コーティングを包含する。
【0023】
本発明の一態様において、微小突起部材は、最低およそ100個の微小突起/cm2の微小突起密度、より好ましくは最低およそ200〜3000個の微小突起/cm2の範囲の密度を有する微小突起列を包含する。
【0024】
好ましくは、各微小突起の長さは1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満である。本発明の好ましい一態様において、各微小突起の長さはおよそ50〜145ミクロンの範囲にある。
【0025】
一態様において、微小突起部材は、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、若しくはポリマー物質のような類似の生体適合性素材から構築される。
【0026】
別の態様において、微小突起部材はポリマーのような非導電素材から構築される。あるいは、微小突起部材はParylene(R)のような非導電素材、若しくはTeflon(R)、シリコンのような疎水性素材、または他の低エネルギー素材で被覆し得る。
【0027】
固体の生体適合性コーティングを形成するために微小突起部材に適用されるコーティング製剤は、生体適合性担体内に溶解し得るか若しくは該担体内に懸濁し得る最低1種のエポエチンに基づく剤を有する水性および非水性製剤を含み得る。
【0028】
好ましい一態様において、エポエチンに基づく剤は、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、それらの製薬学的に許容できる塩、アナログ、および単純な誘導体、緊密に関係した分子、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される。最も好ましいエポエチンに基づく剤はエポエチンαを含んでなる。
【0029】
適するエポエチンに基づく塩は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼン、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩を制限なしに包含する。
【0030】
適する単純なエポエチンに基づく誘導体および緊密に関係する分子は、ペグ化誘導体、カルバミル化誘導体、グリコシル化誘導体、融合誘導体、EPOムテイン、非造血性変異体およびトロンボポエチンを制限なしに包含する。
【0031】
本発明の一態様において、エポエチンに基づく剤は、コーティング製剤のおよそ1〜30重量%の範囲で含んでなる。
【0032】
好ましくは、微小突起部材上のコーティングは、15〜200μgの範囲のエポエチンに基づく剤の総用量を包含する。
【0033】
好ましくは、コーティング製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、コーティング製剤のpHは、およそpH2ないし4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、コーティング製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0034】
対イオンが、製剤のpHでエポエチンに基づく剤上に存在する電荷を中和するために必
要な量でコーティング製剤中に存在し得る。約4.8のpHより下で、エポエチンに基づく剤は正の電荷を担持することができる。従って酸性の対イオンを利用する。(遊離の酸若しくは塩としての)過剰の対イオンを、pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために添加し得る。
【0035】
約4.8より上のpHで、エポエチンαは負の電荷を担持することができる。従って塩基性対イオンを利用する。(遊離の塩基若しくは塩としての)過剰の対イオンを、pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために同様に添加し得る。
【0036】
本発明の一態様において、酸性の対イオンは非揮発性弱酸を含んでなる。非揮発性弱酸の対イオンは、最低1個の酸性のpKaおよびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱酸と定義する。こうした酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を包含する。
【0037】
本発明の別の態様において、対イオンは強酸を含んでなる。強酸は約2より低い最低1個のpKaを提示することと定義する。こうした酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を包含する。
【0038】
本発明の別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が非揮発性弱酸を含んでなる対イオンの混合物を含んでなる。
【0039】
本発明のなお別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱酸を含んでなる対イオンの混合物を含んでなる。高度に揮発性の弱酸の対イオンは、約2より高い最低1個のpKaを提示しかつPatmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を有する弱酸と定義する。こうした酸の例は、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸などを包含する。
【0040】
本発明の別の態様において、塩基性対イオンは低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる。低揮発性弱塩基の対イオンは、最低1個の塩基性のpKa、およびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例は、モノエタノロミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンを包含する。
【0041】
本発明の別の態様において、対イオンは約12より高い最低1個のpKaを提示する強塩基を含んでなる。こうした塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを包含する。
【0042】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。
【0043】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。高度に揮発性の弱塩基は、約12より低い最低1個のpKa、およびPatmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例はアンモニアおよびモルホリンを包含する。
【0044】
本発明の一態様において、コーティング製剤は最低1種の緩衝剤を包含する。適する緩衝剤の例は、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、
リン酸、トリカルバル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸(glutaratic acid)、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロルプロピオン酸(dimethylolpropionic acid)、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン若しくはそれらの混合物を包含する。
【0045】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ラウリン酸ソルビタンのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを制限なしに包含する、両性イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る最低1種の界面活性剤を包含する。
【0046】
本発明の一態様において、界面活性剤の濃度は、コーティング製剤のおよそ0.001〜2重量%の範囲にある。
【0047】
本発明のさらなる一態様において、コーティング製剤は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、若しくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニック(pluronic)を制限なしに含み得る、両親媒性の特性を有する最低1種のポリマー物質若しくはポリマーを包含する。
【0048】
本発明の一態様において、コーティング製剤中の両親媒性の特性を提示するポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。
【0049】
別の態様において、コーティング製剤は、以下の群、すなわちヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、ならびに類似のポリマーから選択される親水ポリマーを包含する。
【0050】
好ましい一態様において、コーティング製剤中の親水ポリマーの濃度は、コーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。
【0051】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、ヒトアルブミン、生物工学により作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを制限なしに含み得る生体適合性担体を包含する。
【0052】
好ましくは、コーティング製剤中の生体適合性担体の濃度は、コーティング製剤のおよそ2〜70重量%の範囲、より好ましくはおよそ5〜50重量%の範囲にある。
【0053】
別の態様において、コーティング製剤は、非還元糖、多糖若しくは還元糖を制限なしに含み得る安定剤を包含する。適する非還元糖は例えばショ糖、トレハロース、スタキオース若しくはラフィノースを包含する。適する多糖は、例えばデキストラン、可溶性デンプ
ン、デキストリンおよびイヌリンを包含する。適する還元糖は、例えば、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、果糖、ガラクトース、ブドウ糖、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなどのような単糖;ならびに例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、乳糖、ラクツロース、麦芽糖、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどのような二糖を包含する。
【0054】
別の態様において、コーティング製剤は、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を制限なしに含み得る血管収縮剤を包含する。最も好ましい血管収縮剤は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0055】
血管収縮剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.1重量%ないし10重量%の範囲にある。
【0056】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、浸透物質(例えば塩化ナトリウム)、両性イオン化合物(例えばアミノ酸)、および、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウムおよびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような抗炎症薬、ならびにクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような抗凝固薬を制限なしに含み得る、最低1種の「経路開存性調節剤」を包含する。
【0057】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレンジニトリロ四酢酸)のような金属イオン封鎖剤、若しくはアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウムなどのようなフリーラジカルスカベンジャーを制限なしに含み得る抗酸化剤を包含する。
【0058】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを制限なしに含み得る可溶化剤/複合体形成剤(complexing agent)を包含する。最も好ましい可溶化剤/複合体形成剤は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7β−シクロデキストリンである。
【0059】
可溶化剤/複合体形成剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のお
よそ1重量%ないし20重量%の範囲にある。
【0060】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、コーティング製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲でコーティング製剤中に存在する。
【0061】
好ましくは、コーティング製剤はおよそ500センチポアズ未満かつおよそ3センチポアズ以上の粘度を有する。
【0062】
本発明の一態様において、生体適合性コーティングの厚さは、微小突起表面から測定される際に25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
【0063】
本発明のさらなる一態様において、送達系はゲルパックを包含し、該ゲルパックはヒドロゲル製剤を受領するように適合されている。
【0064】
本発明の最低一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する。
【0065】
好ましくは、エポエチンに基づく剤は、ヒドロゲル製剤のおよそ0.1〜2重量%の範囲の濃度でヒドロゲル製剤中に存在する。
【0066】
好ましくは、ヒドロゲル製剤のpHは、およそpH4.5より下、若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、ヒドロゲル製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、ヒドロゲル製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0067】
対イオンが、同様に、ヒドロゲル製剤のpHでエポエチンに基づく剤上に存在する電荷を中和するために必要な量でヒドロゲル製剤中に存在し得る。上で述べられたとおり、約4.8のpHより下で、エポエチンに基づく剤は正の電荷を担持することができる。従って酸性の対イオンを利用する。
【0068】
4.8のpHより上で、エポエチンαは負の電荷を担持することができる。従って塩基性対イオンを利用する。
【0069】
(遊離塩基若しくは塩としての)過剰の対イオンを、同様に、pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために、ヒドロゲル製剤に添加し得る。
【0070】
ゲルパック中に含有されるヒドロゲル製剤(1種若しくは複数)は、好ましくは、巨大分子ポリマー網状構造を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる。
【0071】
本発明の好ましい一態様において、ポリマー網状構造は、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、およびプルロニック(pluronic)を制限なしに含んでな
る。
【0072】
ヒドロゲル製剤は、好ましくは前述の界面活性剤の最低1種を包含する。
【0073】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0074】
別の態様において、ヒドロゲル製剤は、両親媒性の特性を有する前述のポリマー物質若しくはポリマーの最低1種を包含する。
【0075】
本発明のさらなる一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0076】
本発明のさらなる一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の経路開存性調節剤の最低1種を包含する。
【0077】
本発明のなお別の態様において、ヒドロゲル製剤は前述の血管収縮剤の最低1種を包含する。
【0078】
別の態様において、ヒドロゲル製剤は前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0079】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の抗酸化剤の最低1種を包含する。
【0080】
本発明の別の態様において、ヒドロゲル製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、ヒドロゲル製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲で存在する。
【0081】
本発明のなお別の態様によれば、送達系は、(i)ヒドロゲル製剤を含有するゲルパック、ならびに(ii)上および底面、微小部材を通って伸長する複数の開口部、ならびに微小部材の底面から突出する複数の角質層を貫通する微小突起を有する微小突起部材を包含し、該微小突起部材は最低1種のエポエチンに基づく剤を有する固体薄膜を包含する。一態様において、固体薄膜は微小突起部材の上面に近接して配置される。別の態様において、固体薄膜は微小突起部材の底面に近接して配置される。
【0082】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する。
【0083】
別の態様において、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠く。
【0084】
一態様において、固体薄膜は、エポエチンに基づく剤、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)若しくはプルロニック(pluronic)のようなポリマー物質、グリセロール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールのような可塑剤、Tween 20若しくはTween 80のような界面活性剤、および水、イソプロパノール、メタノール若しくはエタノールのような揮発性溶媒よりなる液体製剤を流延することにより作成される。
【0085】
一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、0.1〜20重量%のエポエチンに基づく剤、5〜40重量%のポリマー、5〜40重量%の可塑剤、0〜2重量%の界面活性剤、および残りの揮発性溶媒を含んでなる。流延することおよび溶媒のその後の蒸発後に、固体薄膜が生じられる。
【0086】
好ましくは、エポエチンに基づく剤は、およそ0.1ないし20重量%の範囲の濃度で、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤中に存在する。
【0087】
好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0088】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の対イオンの最低1種若しくはそれらの混合物を包含する。
【0089】
別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0090】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0091】
本発明の別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0092】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の血管収縮剤の最低1種を包含する。
【0093】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用中される液体製剤は、前述の経路開存性調節剤の最低1種を包含する。
【0094】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の抗酸化剤の最低1種を包含する。
【0095】
本発明の一態様によれば、患者へのエポエチンに基づく剤の送達方法は、以下の段階、すなわち(i)最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する生体適合性コーティングを有する微小突起部材を提供すること、および(ii)被覆された微小突起部材を患者の皮膚に適用すること(該微小突起が角質層を貫通する)を包含する。被覆された微小突起部材は、好ましくは5秒から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0096】
本発明のさらなる一態様によれば、患者へのエポエチンに基づく剤の送達方法は、以下の段階、すなわち(i)固体薄膜が部材に近接して(若しくはその上に)配置されている微小突起部材を提供すること(該薄膜は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する)、および(ii)微小突起部材を患者の皮膚に適用すること(該微小突起は角質層を貫通する)を包含する。微小突起部材は、好ましくは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0097】
本発明のさらなる一態様において、微小突起部材は、エポエチンに基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックを包含し、そして、微小突起部材を患者の皮膚に適用した後に、ゲルパックを適用された部材の上に置き、ここでヒドロゲル製剤は、微小突起により生じられた角質層中の微小スリット中にかつそれらを通り移動する。微小突起部材−ゲルパックアセンブリは、好ましくは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材およびゲルパックを除去する。
【0098】
ゲルパックの態様のさらなる一局面において、エポエチンに基づく剤は固体薄膜中に含有され、また、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠き、そして、これゆえに単に水和機構である。
【0099】
本発明の別の態様において、微小突起装置を患者の皮膚適用しかつ即座に除去する。エポエチンに基づく基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックをその後、浸透された皮膚の上に置き、ここでヒドロゲル製剤は微小突起により生じられた角質層中の微小スリット中にかつそれらを通り移動する。好ましくは、ゲルパックは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、ゲルパックを除去する。
【0100】
本発明のなお別の態様において、エポエチンに基づく剤を含有する生体適合性コーティングを有する微小突起部材を患者の皮膚に適用し、エポエチンに基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックをその後、適用された微小突起部材の上に置き、ここでヒドロゲル製剤が微小突起により生じられた角質層中の微小スリット中にかつそれらを通り移動する。微小突起部材−ゲルパックアセンブリは、好ましくは5分ないし24時間の範囲で持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材およびゲルパックを除去する。
【0101】
[発明の詳細な記述]
本発明を詳細に記述する前に、本発明は、具体的に例示される物質、方法若しくは構造に制限されないことが理解されるべきである。こうしたものはもちろん変動しうるからである。従って、本明細書に記述されるものに類似若しくは同等の多数の物質および方法を本発明の実務で使用し得るとは言え、好ましい物質および方法を本明細書に記述する。
【0102】
本明細書で使用される専門用語は本発明の特定の態様を記述するという目的上のみであり、そして制限することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0103】
別の方法で定義されない限り、本明細書で使用される全部の技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者により一般に理解されると同一の意味を有する。
【0104】
さらに、上であろうと下であろうと本明細書で引用される全部の刊行物、特許および特許出願は、ここにそっくりそのまま引用することにより組み込まれる。
【0105】
最後に、本明細および付随する請求の範囲で使用されるところの単数形「ある(a、an)」および「該(the)」は、内容が別の方法で明瞭に指図しない限り複数の指示物を包含する。従って、例えば「ある有効成分(an active agent)」への言及は2種若しくはそれ以上のこうした剤を包含し;「1個の微小突起(a microprojection)」への言及は2個若しくはそれ以上のこうした微小突起を包含し、などである。
【0106】
定義
本明細書で使用されるところの「経皮」という用語は、局所若しくは全身治療のため皮
膚中へのおよび/若しくはそれを通る剤の送達を意味している。
【0107】
本明細書で使用されるところの「経皮流入」という用語は、経皮送達の速度を意味している。
【0108】
本明細書で使用されるところの「共送達すること」という用語は、エポエチンに基づく剤を送達する前、エポエチンに基づく剤の経皮流入の前および間、エポエチンに基づく剤の経皮流入の間、エポエチンに基づく剤の経皮流入の間および後、ならびに/若しくはエポエチンに基づく剤の経皮流入の後のいずれかに、補助的剤(1種若しくは複数)を経皮投与することを意味している。加えて、2種若しくはそれ以上のエポエチンに基づく剤をコーティングおよび/若しくはヒドロゲル製剤に処方して、エポエチンに基づく剤の共送達をもたらし得る。
【0109】
本明細書で使用されるところの「エポエチンに基づく剤」という用語は、組換えエポエチンα、合成エポエチンα、エポエチンαの塩、エポエチンαのアナログおよび単純な誘導体、組換えエポエチンβ、合成エポエチンβ、エポエチンβの塩、エポエチンβの単純な誘導体およびアナログ、ダルベポエチンα、組換えダルベポエチンα、合成ダルベポエチンα、ダルベポエチンαの塩、ダルベポエチンαの単純な誘導体およびアナログ、ならびに前述のいずれかに緊密に関係する分子を制限なしに包含する。
【0110】
製薬学的に許容できるエポエチンに基づく塩の例は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩 グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、トリカルバリル酸塩(tricarballylicate)、マロン酸塩、アジピン酸塩、シトラコン酸塩、グルタル酸塩、イタコン酸塩、メサコン酸塩、シトラマル酸塩、ジメチロルプロピオン酸塩、チグリン酸塩、グリセリン酸塩、メタクリル酸塩、イソクロトン酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、クロトン酸塩、アンゲリカ酸塩、ヒドロアクリル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩を制限なしに包含する。
【0111】
単純なエポエチンに基づく誘導体および緊密に関係する分子の例は、ペグ化誘導体、カルバミル化誘導体、グリコシル化誘導体、融合誘導体、EPOムテイン、非造血性変異体およびトロンボポエチンを制限なしに包含する。
【0112】
示されるエポエチンに基づく剤は、遊離塩基若しくは酸、荷電した若しくは荷電していない分子、分子複合体の成分、または非刺激性の薬理学的に許容できる塩のような多様な形態にもまたあり得る。
【0113】
1種以上のエポエチンに基づく剤を本発明の剤供給源、リザーバおよび/若しくはコーティングに組み込み得ること、ならびに、「エポエチンに基づく剤」という用語の使用は、2種若しくはそれ以上のこうした有効成分すなわち薬物の使用を全く排除しないことが理解されるべきである。
【0114】
本明細書で使用されるところの「微小突起」という用語は、生存動物、とりわけ哺乳動物、およびより具体的にはヒトの皮膚の角質層を通り下の表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通若しくは切断するよう適合されている貫通要素を指す。
【0115】
本発明の一態様において、微小突起は約1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満の突起長さを有する。好ましい一態様において、微小突起は約145ミクロ
ン未満の長さを有し、より好ましくは、該長さは約50〜145ミクロンの範囲、なおより好ましくは約70〜140ミクロンの範囲にある。
【0116】
微小突起は、好ましくはおよそ5〜50ミクロンの範囲の幅(図1において「W」と明示される)およびおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0117】
本発明の微小突起は、針、刃、ピン、パンチ、およびそれらの組合せのような多様な形状に成形し得る。
【0118】
本明細書で使用されるところの「微小突起部材」という用語は、一般に、複数の微小突起が一列に配置されている基礎部材を意味している。微小突起部材は、図1に示されるもののような形状を形成するように、薄いシートから複数の微小突起を蝕刻若しくは押抜すること、およびシートの面から微小突起を折る若しくは曲げることにより成形し得る。
【0119】
微小突起部材は、ここにそっくりそのまま引用することにより組み込まれる米国特許第6,050,988号明細書に開示されるところの細片(1個若しくは複数)のそれぞれの縁に沿って微小突起を有する1本若しくはそれ以上の細片を形成することによるような他の既知の様式でもまた成形し得る。
【0120】
本明細書で使用されるところの「コーティング製剤」という用語は、微小突起および/若しくはそれらの列を被覆するのに使用される、最低1種のエポエチンに基づく剤を有する自由に流動する組成物若しくは混合物を意味しかつ包含することを意味している。エポエチンに基づく剤は製剤中で溶液若しくは懸濁液中にあり得る。
【0121】
本明細書で使用されるところの「生体適合性コーティング」および「固体コーティング」という用語は、実質的に固体状態の「コーティング製剤」を意味しかつ包含することを意味している。
【0122】
上で示されたとおり、本発明は、全般として、角質層を通り下の表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通するよう適合されている複数の微小突起(若しくはそれらの列)を有する微小突起部材(若しくは系)を包含する送達系を含んでなる。
【0123】
一態様において、微小突起は、最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する生体適合性コーティングをその上に有する。皮膚の角質層の貫通に際して、剤を含有するコーティングが体液(細胞内液、および間質液のような細胞外液)により溶解され、そして全身治療のため皮膚中に放出される(すなわちボーラス送達)。好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量はおよそ10〜200μgの範囲にある。より好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、2週ごとに1回および1日1回まで送達される約15〜150μgの範囲にある。
【0124】
本発明により、本発明の送達系は、そうでなければ皮下注入若しくは静脈内注入を介して送達されることを必要とするとみられる治療薬の投与にとりわけ適する。本発明の送達系は比較的単純、便利かつ事実上無痛である。該送達系の使用は、従って患者コンプライアンスを増大させることがありそうである。
【0125】
今や図1を参照すれば、本発明での使用のための微小突起部材30の一態様が示される。図1に具体的に説明されるとおり、微小突起部材30は、複数の微小突起34を有する微小突起列32を包含する。微小突起34は、好ましくは、示される態様において開口部38を包含するシート36から実質的に90°の角度で伸長する。
【0126】
本発明により、シート36はシート36の裏地40を包含する送達貼付剤に組み込み得、また、皮膚に該貼付剤を付着させるための接着剤16を付加的に包含し得る(図3を参照されたい)。本態様において、微小突起34は、薄い金属シート36から複数の微小突起34を蝕刻若しくは押抜すること、および微小突起34をシ―ト36の面から曲げることにより成形される。
【0127】
本発明の一態様において、微小突起部材30は、最低およそ100個の微小突起/cm2の微小突起密度を有し、より好ましくは該密度はおよそ200〜3000個の微小突起/cm2の範囲にある。好ましくは、剤が通過する単位面積あたりの開口部の数は、最低およそ10〜2000個の開口部/cm2の範囲にある。
【0128】
示されるとおり、微小突起34は、好ましくは1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満の長さを有する。一態様において、微小突起はおよそ50〜145ミクロンの範囲、より好ましくはおよそ70〜140ミクロンの範囲の長さを有する。微小突起34は、好ましくは、およそ5〜50ミクロンの範囲の幅および厚さもまた有する。
【0129】
微小突起列の好ましい一態様は、2005年2月16日出願の米国特許出願第60/653,675号明細書(その開示は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0130】
微小突起部材30は、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金のような多様な金属、若しくはポリマー物質のような類似の生体適合性素材から製造し得る。
【0131】
本発明により、微小突起部材30はポリマーのような非導電素材からもまた構築し得る。あるいは、微小突起部材は、Parylene(R)のような非導電素材、若しくはTeflon(R)、シリコンのような疎水性素材、または他の低エネルギー素材で被覆し得る。示される疎水性素材および関連基材(例えばフォトレジスト)層は、米国特許出願第10/880,701号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)に示されている。
【0132】
本発明で使用し得る微小突起部材は、限定されるものでないが、米国特許第6,083,196号、同第6,050,988号および同第6,091,975号明細書、ならびに2005年1月31日出願の同時係属出願第60/649,888号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示される部材を挙げることができる。
【0133】
本発明で使用し得る他の微小突起部材は、米国特許第5,879,326号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示される部材のような、シリコンチップ蝕刻技術を使用してシリコンを蝕刻すること、若しくは蝕刻された微小金型を使用してプラスチックを成形することにより形成される部材を包含する。
【0134】
本発明により、送達されるべきエポエチンに基づく塩基剤は、ゲルパックリザーバ(下でより詳細に論考される)中に配置されるヒドロゲル製剤に含有され得るか、微小突起部材30上に配置される生体適合性コーティングに含有され得るか、若しくはヒドロゲル製剤および生体適合性コーティング双方に含有され得る。
【0135】
今や図2を参照すれば、生体適合性コーティング35を包含する微小突起34を有する微小突起部材30が示される。本発明により、コーティング35は各微小突起34を部分的若しくは完全に被覆し得る。例えば、コーティング35は微小突起34上の乾燥模様塗中にあり得る。コーティング35は、微小突起34が形成される前若しくは後にもまた塗
布し得る。
【0136】
本発明により、コーティング35は多様な既知の方法により微小突起34に塗布し得る。好ましくは、該コーティングは、皮膚を貫通する微小突起部材30若しくは微小突起34の部分(例えば先端39)にのみ塗布される。好ましい一態様において、コーティング35は、同時係属出願第60/649,888号明細書(そっくりそのまま本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、先端から伸長する全体長さのおよそ75〜90%の範囲で各微小突起34を被覆する。
【0137】
1種のこうした被覆方法は浸積被覆を含んでなる。浸積被覆は、微小突起34をコーティング溶液に部分的に若しくは完全に浸積することにより微小突起を被覆するための手段として記述し得る。部分的浸積技術の使用により、コーティング35を微小突起34の先端にのみ制限することが可能である。
【0138】
さらなるコーティング方法は、コーティング35を微小突起34の先端39に同様に制限するローラー塗機構を使用するローラー塗を含んでなる。ロ―ラー塗の方法は米国特許出願第10/099,604号(公開第2002/0132054号)明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されている。示される出願で詳細に論考されるとおり、開示されるローラー塗の方法は、皮膚貫通の間に微小突起34から容易に除去されない滑らかなコーティングを提供する。
【0139】
本発明により、微小突起34は、開口(示されない)、溝(示されない)、表面の不規則性(示されない)若しくは類似の改変のような、コーティング35の容量を受領しかつ/若しくは高めるよう適合された手段をさらに包含し得、該手段は、より多量のコーティングを堆積し得る増大された表面積を提供する。
【0140】
本発明の範囲内で使用し得るさらなる一被覆方法は吹付塗を含んでなる。本発明によれば、吹付塗はコーティング組成物のエアゾル懸濁液の形成を包含する。一態様において、約10ないし200ピコリットルの液滴径を有するエアゾル懸濁液を微小突起10に噴霧し、そしてその後乾燥する。
【0141】
模様塗もまた微小突起34を被覆するのに使用し得る。模様塗は、微小突起表面上の堆積される液体の位置を決めるための分注系を使用して塗布し得る。堆積される液体の量は、好ましくは微小突起あたり0.1ないし20ナノリットルの範囲にある。適する精密計量液体分注装置の例は、米国特許第5,916,524号;同第5,743,960号;同第5,741,554号;および同第5,738,728号明細書(本明細書に引用することにより完全に組み込まれる)に開示されている。
【0142】
微小突起コーティング製剤若しくは溶液は、既知のソレノイドバルブ分注装置を使用するインクジェット技術、任意の流体を動かす(fluid motive)手段、および電場の使用により一般に制御される位置決め手段を使用してもまた塗布し得る。印刷工業からの他の液体分注技術、若しくは当該技術分野で既知の類似の液体分注技術を、本発明の模様塗を塗布するために使用し得る。
【0143】
保管および適用についての図7および8を今や参照すれば、微小突起部材30は、好ましくは、米国特許出願第09/976,762号(公開第2002/0091357号)明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に詳細に記述されるところの付着性タブ6により保持装置リング40中に懸垂される。
【0144】
保持装置リング40中への微小突起部材30の設置後に、微小突起部材30を患者の皮
膚に適用する。好ましくは、微小突起部材30は、図9に示されかつ同時係属中の米国特許出願第09/976,978号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に記述されるような衝撃アプリケーター45を使用して患者の皮膚に適用する。
【0145】
示されるとおり、本発明の一態様により、固体の生体適合性コーティングを形成するために微小突起部材30に塗布されるコーティング製剤は、最低1種のエポエチンに基づく剤を有する水性および非水性製剤を含み得る。本発明により、エポエチンに基づく剤は生体適合性担体内に溶解し得るか、若しくは該担体内に懸濁し得る。
【0146】
好ましい一態様において、エポエチンに基づく剤は、組換えエポエチンα、合成エポエチンα、エポエチンαの塩、エポエチンαの単純な誘導体およびアナログ、組換えエポエチンβ、合成エポエチンβ、エポエチンβの塩、エポエチンβの単純な誘導体およびアナログ、ダルベポエチンα、組換えダルベポエチンα、合成ダルベポエチンα、ダルベポエチンαの塩、ダルベポエチンαの単純な誘導体およびアナログ、ならびに前述のいずれかの緊密に関係する分子よりなる群から選択される。
【0147】
適するエポエチンに基づく塩は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩 グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、トリカルバル酸塩、マロン酸塩、アジピン酸塩、シトラコン酸塩、グルタル酸塩、イタコン酸塩、メサコン酸塩、シトラマル酸塩、ジメチロルプロピオン酸塩、チグリン酸塩、グリセリン酸塩、メタクリル酸塩、イソクロトン酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、クロトン酸塩、アンゲリカ酸塩、ヒドロアクリル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩を制限なしに包含する。
【0148】
適する単純なエポエチンに基づく誘導体および緊密に関係する分子は、ペグ化誘導体、カルバミル化誘導体、グリコシル化誘導体、融合誘導体、EPOムテイン、非造血性変異体およびトロンボポエチンを制限なしに包含する。
【0149】
好ましくは、エポエチンに基づく剤は、コーティング製剤のおよそ15〜30重量%の範囲でコーティング製剤中に存在する。
【0150】
本発明の一態様において、微小突起列は、およそ15〜120μgの範囲のエポエチンに基づく剤の総用量で被覆される。
【0151】
今や図10を参照すれば、エポエチンに基づく剤の予測される電荷プロファイルが示される。当該技術分野で既知であるとおり、エポエチンαすなわち組換えDNA技術により製造される165アミノ酸の糖タンパク質は、内因性EPOと同一の生物学的効果を有し、また、単離された天然のEPOの同一のアミノ酸配列を含有する。エポエチンαは、30,400ダルトンの分子量を有し、そしてヒトEPO遺伝子が導入された哺乳動物細胞により産生される。エポエチンαは38種の塩基性pKaおよび24種の酸性pKaを提示する。pH4.8でエポエチンαはゼロの正味電荷を提示する。この点は等電点すなわちpIともまた呼ばれる。
【0152】
今や図11を参照すれば、エポエチンに基づく剤の正味の荷電した種の予測されるモル比が示される。図11に示されるとおり、中性の種はpH範囲pH4.5ないしpH5.0で有意の量で存在するのみである。このpH範囲で、該ペプチドは溶液から沈殿するこ
とが期待される。従って、本発明の送達系に適する製剤と適合性のエポエチン剤の溶解性は、約pH4.5より下若しくは約pH5.0より上;より好ましくは約pH4.0より下若しくは約pH5.5より上で達成されることが期待される。
【0153】
従って、好ましい一態様において、生体適合性コーティングを生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0154】
本発明の一態様において、コーティング製剤は最低1種の緩衝剤を包含する。適する緩衝剤は、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロルプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、若しくはそれらの混合物を包含する。
【0155】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレンジニトリロ四酢酸)のような金属イオン封鎖剤、若しくはアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウムなどのようなフリーラジカルスカベンジャーを制限なしに含み得る抗酸化剤を包含する。
【0156】
本発明の一態様において、コーティング製剤は最低1種の界面活性剤を包含する。本発明により、界面活性剤(1種若しくは複数)は両性イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る。界面活性剤の例は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ラウリン酸ソルビタンのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを包含する。最も好ましい界面活性剤はTween 20、Tween 80およびSDSを包含する。
【0157】
本発明の一態様において、界面活性剤の濃度は、コーティング溶液製剤のおよそ0.001〜2重量%の範囲にある。
【0158】
本発明のさらなる一態様において、コーティング製剤は両親媒性の特性を有する最低1種のポリマー物質若しくはポリマーを包含する。示されるポリマーの例は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、若しくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニック(pluronic)を制限なしに包含する。
【0159】
本発明の一態様において、両親媒性の特性を提示するポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。なおより好ましくは、ポリマーの濃度は、コーティング製剤のおよそ0.1〜5重量%の範囲にある。
【0160】
本発明により、コーティング製剤は親水ポリマーをさらに包含し得る。好ましくは、親水ポリマーは、以下の群、すなわち、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、ならびに類似のポリマーから選択される。当該技術分野で公知であるとおり、示されるポリマーは粘度を増大させる。
【0161】
コーティング製剤中の親水ポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。なおより好ましくは、親水ポリマーの濃度はコーティング製剤のおよそ0.1〜5重量%の範囲にある。
【0162】
本発明により、コーティング製剤は、同時係属中の米国特許出願第10/127,108号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるもののような生体適合性担体をさらに包含し得る。生体適合性担体の例は、ヒトアルブミン、生物工学により作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを包含する。
【0163】
コーティング製剤中の生体適合性担体の濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ2〜70重量%の範囲、より好ましくはおよそ5〜50重量%の範囲にある。
【0164】
さらなる一態様において、コーティング製剤は、非還元糖、多糖若しくは還元等を制限なしに含み得る最低1種の安定剤を包含する。本発明の方法および組成物での使用のための適する非還元等は、例えば、ショ糖、トレハロース、スタキオース若しくはラフィノースを包含する。本発明の方法および組成物での使用のための適する多糖は、例えば、デキストラン、可溶性デンプン、デキストリンおよびインスリンを包含する。本発明の方法および組成物での使用のための適する還元糖は、例えば、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、果糖、ガラクトース、ブドウ糖、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなどのような単糖;ならびに例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、乳糖、ラクツロース、麦芽糖、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどのような二糖を包含する。
【0165】
本発明のコーティング製剤、およびこれゆえに生体適合性コーティングは、同時係属中の米国特許公開第2004/0115167号(第10/674,626号)明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるもののような血管収縮剤をさらに包含し得る。示される同時係属出願で示されるとおり、血管収縮剤は、微小突起部材での適用の間および後の出血を制御するために使用する。好ましい血管収縮剤は、限定されるものでないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリン、およびそれらの混合物を挙げることができる。最も好ましい血管収縮剤は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0166】
当業者により認識されるであろうとおり、本発明のコーティング製剤、およびこれゆえに生体適合性コーティング(または下で論考されるヒドロゲル製剤若しくは固体薄膜)への血管収縮剤の添加は、微小突起部材若しくは列の適用後に発生し得る出血を予防するため、ならびに、適用部位での血流の低下および皮膚部位から全身循環への吸収速度の低下によりエポエチンに基づく剤の薬物動態を延長するためにとりわけ有用である。
【0167】
血管収縮剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.1重量%ないし10重量%の範囲にある。
【0168】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるもののような最低1種の「経路開存性調節剤」を包含する。示される同時係属出願に示されるとおり、経路開存性調節剤は、皮膚の自然な治癒過程を予防若しくは減少させてそれにより微小突起部材列により角質層に形成された経路すなわち微小スリットの閉鎖を予防する。経路開存性調節剤の例は、浸透物質(例えば塩化ナトリウム)および両性イオン化合物(例えばアミノ酸)を制限なしに包含する。
【0169】
該同時係属出願で定義されるところの「経路開存性調節剤」という用語は、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウムおよびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような抗炎症薬、ならびにクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような抗凝固薬をさらに包含する。
【0170】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを含み得る可溶化剤/複合体形成剤を包含する。最も好ましい可溶化剤/複合体形成剤は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7β−シクロデキストリンである。
【0171】
可溶化剤/複合体形成剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のおよそ1重量%ないし20重量%の範囲にある。
【0172】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、コーティング製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲で存在する。
【0173】
他の既知の製剤補助物質もまたコーティング製剤に添加し得るが、但し、それらはコーティング製剤の必要な溶解性および粘度の特徴ならびに乾燥されたコーティングの物理的完全性に悪影響を及ぼさない。
【0174】
好ましくは、コーティング製剤はおよそ500センチポアズ未満かつおよそ3センチポアズ以上の粘度を有する。
【0175】
本発明の一態様において、コーティング厚は、微小突起表面から測定される際におよそ25ミクロン未満、より好ましくはおよそ10ミクロン未満である。
【0176】
所望のコーティング厚は、必要とされる投薬量、およびこれゆえに該投薬量を送達するのに必要なコーティング厚、シートの単位面積あたりの微小突起の密度、コーティング組成物の粘度および濃度、ならびに選ばれるコーティング方法を包含するいくつかの因子に依存する。
【0177】
全部の場合で、コーティングを塗布した後に、コーティング製剤を多様な手段により微小突起34上で乾燥する。本発明の好ましい一態様において、被覆された微小突起部材30を周囲室条件で乾燥する。しかしながら、多様な温度および湿度レベルを使用して微小突起上のコーティング製剤を乾燥し得る。加えて、被覆された部材は、加熱、凍結乾燥(lyophilized)、凍結乾燥(freeze dried)若しくはコーティングから水を除去するのに使用される類似の技術し得る。
【0178】
今や図6を参照すれば、本発明の範囲内で使用し得るさらなる微小突起(すなわち送達)系(一般に「80」と明示される)が示される。図6に具体的に説明されるとおり、系60は、ゲルパック62、および図1に示される微小突起部材30のような微小突起部材を有する微小突起アセンブリ70を包含する。
【0179】
今や図4を参照すれば、ゲルパック62は、予め決められた量のヒドロゲル製剤68をその中に受領するよう適合されている中央に配置されたリザーバすなわち開口部66を有するハウジングすなわちリング64を包含する。図4に具体的に説明されるとおり、リング64は、リング64の外平坦表面に配置されている裏地部材65をさらに包含する。好ましくは、裏地部材65はヒドロゲル製剤に対し不浸透性である。
【0180】
好ましい一態様において、ゲルパック60は、慣習的接着剤を介してゲルパックリング64の外表面に接着されている除去可能な剥離裏紙69をさらに包含する。下に詳細に記述されるとおり、剥離裏紙69は、適用(若しくは嵌合)される微小突起アセンブリ70へのゲルパック60の適用前に除去される。
【0181】
今や図5を参照すれば、微小突起アセンブリ70は裏地部材リング72および類似の微小突起列32を包含する。微小突起アセンブリは皮膚付着リング74をさらに包含する。
【0182】
具体的に説明されるゲルパック60および微小突起アセンブリ70のさらなる詳細、ならびに、本発明の範囲内で使用し得るそれらの付加的な態様は、同時係属出願第10/971,430号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に示されている。
【0183】
上に示されたとおり、本発明の少なくとも一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する。本発明の代替の一態様において、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠き、そしてこれゆえに単に水和機構である。
【0184】
本発明により、ヒドロゲル製剤がエポエチンに基づく剤を欠く場合、エポエチンに基づく剤は、上述されたところの微小突起列32上に被覆されるか、または示される同時係属出願第10/971,430号明細書に開示されるような微小突起列32の皮膚側若しく
は列32の上面上の、PCT公開第WO 98/28037号明細書(同様にそっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるような固体薄膜に含有されるかのいずれかである。
【0185】
好ましくは、本発明のヒドロゲル製剤は水に基づくヒドロゲルを含んでなる。ヒドロゲルは、それらの高水分含量および生体適合性により好ましい製剤である。
【0186】
当該技術分野で公知であるとおり、ヒドロゲルは水中で膨潤される巨大分子ポリマー網状構造である。適するポリマー網状構造の例は、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、デキストランおよびプルロニック(pluronic)を制限なしに包含する。最も好ましいポリマー物質はセルロース誘導体である。これらのポリマーは多様な平均分子量を提示する多様な等級で得ることができ、そして従って多様な流動学的特性を表す。
【0187】
好ましくは、ポリマー物質の濃度はヒドロゲル製剤のおよそ0.5〜40重量%の範囲にある。
【0188】
本発明のヒドロゲル製剤は、好ましくは、製剤および微小突起列ならびに皮膚、ならびに場合によっては固体薄膜の間の至適の接触を確立するために重要である、十分な湿潤特性を該製剤が表すことを保証するのに十分な表面活性を有する。
【0189】
本発明により、十分な湿潤特性は、両親媒性の特性を有する界面活性剤若しくはポリマー物質のような湿潤剤をヒドロゲル製剤中に組み込むことにより達成される。場合によっては、湿潤剤は固体薄膜にもまた組み込み得る。
【0190】
本発明により、界面活性剤(1種若しくは複数)は、両性イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る。適する界面活性剤の例は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ラウリン酸ソルビタンのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを制限なしに包含する。最も好ましい界面活性剤は、Tween 20、Tween 80およびSDSを包含する。
【0191】
好ましくは、界面活性剤の濃度は、ヒドロゲル製剤のおよそ0.001〜2重量%の範囲にある。両親媒性の特性を表すポリマーの濃度は、好ましくはヒドロゲル製剤のおよそ0.5〜40重量%の範囲にある。
【0192】
当業者により認識されるであろうとおり、示される湿潤剤、界面活性剤若しくはポリマー物質は別個に若しくは組合せで使用し得る。
【0193】
本発明のさらなる一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0194】
本発明により、ヒドロゲル製剤は、同様に、同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書に開示される経路開存性調節剤の最低1種を包含し得る。
【0195】
ヒドロゲル製剤は、前述の血管収縮剤の最低1種をさらに包含し得る。
【0196】
別の態様において、ヒドロゲル製剤は、同様に非還元糖、多糖若しくは還元糖を含み得る前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0197】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の抗酸化剤の1種を包含する。
【0198】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0199】
本発明の別の態様において、ヒドロゲル製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、ヒドロゲル製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲で存在する。
【0200】
本発明のヒドロゲル製剤は、該製剤がゲルパック60中に含有され得、適用過程の間その完全性を保ち、そしてそれが微小突起アセンブリの開口部を通りかつ皮膚経路中に流動し得るように十分に流動性であるように、適切な粘度を表す。
【0201】
ニュートンの特性を表すヒドロゲル製剤について、ヒドロゲル製剤の粘度は、好ましくは、25℃で測定される際におよそ2〜300ポアズ(P)の範囲にある。剪断減粘性ヒドロゲル製剤について、25℃で測定される際の粘度は、好ましくは、それぞれ667/sおよび2667/sの剪断速度で1.5〜30P若しくは0.5および10Pの範囲にある。ダイラタント製剤については、25℃で測定される際の粘度は、好ましくは667/sの剪断速度でおよそ1.5〜30Pの範囲にある。
【0202】
示されるとおり、本発明の少なくとも一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する。本発明によれば、ヒドロゲル製剤が前述のエポエチンに基づく剤の1種を含有する場合、該エポエチンに基づく剤は飽和を越えた若しくは飽和の下の濃度で存在し得る。該微小突起系で使用されるエポエチンに基づく剤の量は、所望の結果を達成するために治療上有効な量のエポエチンに基づく剤を送達するのに必要な量であることができる。実務において、これは、特定のエポエチンに基づく剤、送達の部位、状態の重症度および所望の治療効果に依存して広範に変動することができる。
【0203】
本発明の一態様において、エポエチンに基づく剤の濃度は、ヒドロゲル製剤の最低0.1〜2重量%の範囲にある。
【0204】
好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、およそ10〜200μgの範囲にある。より好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、2週ごとに1回および1日1回まで送達される、約15〜150μgの範囲にある。
【0205】
本発明のなお別の態様によれば、エポエチンに基づく剤を送達するための微小突起系は、(i)ヒドロゲル製剤を含有するゲルパック、ならびに(ii)上および底面、微小突起部材を通り伸長する複数の開口部、ならびに微小突起部材の底面から突出する複数の角質層を貫通する微小突起を有する微小突起部材を含んでなり、該微小突起部材は最低1種のエポエチンに基づく剤を有する固体薄膜を包含する。示される系の詳細は、同時係属出願第10/971,430号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に示される。
【0206】
本発明の一態様によれば、固体薄膜は微小突起部材の上面に近接して配置される。別の態様において、固体薄膜は微小突起部材の底面に近接して配置される。
【0207】
一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する。
【0208】
別の態様において、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠く。
【0209】
一態様において、固体薄膜は、エポエチンに基づく剤、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)若しくはプルロニック(pluronic)のようなポリマー物質、グリセロール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールのような可塑剤、Tween 20若しくはTween 80のような界面活性剤、および水、イソプロパノール、メタノール若しくはエタノールのような揮発性溶媒よりなる液体製剤を流延することにより作成される。
【0210】
一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、0.1〜20重量%のエポエチンに基づく剤、5〜40重量%のポリマー、5〜40重量%の可塑剤、0〜2重量%の界面活性剤、および残りの揮発性溶媒を含んでなる。流延することおよび溶媒のその後の蒸発後に、固体薄膜が生じられる。
【0211】
好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0212】
別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0213】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0214】
本発明の別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0215】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の抗酸化剤の最低1種を包含する。
【0216】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の血管収縮剤の最低1種を包含する。
【0217】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の経路開存性調節剤の最低1種を包含する。
【0218】
上に述べられたとおり、本発明の送達系に適する製剤と適合性のエポエチン剤の溶解性
は、約pH4.5より下若しくは約pH5.0より上で達成されることが期待される。従って、本明細書に詳述されるコーティング、ヒドロゲルおよび固体薄膜製剤の態様のそれぞれは、エポエチン剤および所望の製剤pH範囲に適切な対イオン若しくは対イオン混合物を包含し得る。
【0219】
本発明の一態様において、酸性対イオンは非揮発性弱酸を含んでなる。非揮発性弱酸の対イオンは、最低1個の酸性のpKa、およびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱酸と定義する。こうした酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を包含する。
【0220】
本発明の別の態様において、対イオンは強酸を含んでなる。強酸は約2より低い最低1個のpKaを提示することと定義する。こうした酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を包含する。
【0221】
本発明の別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が非揮発性弱酸を含んでなる対イオンの混合物を含んでなる。
【0222】
本発明のなお別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱酸を含んでなる、対イオンの混合物を含んでなる。高度に揮発性の弱酸の対イオンは、約2より高い最低1個のpKaを提示し、かつ、Patmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を有する弱酸と定義する。こうした酸の例は、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸などを包含する。
【0223】
本発明の別の態様において、塩基性対イオンは低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる。低揮発性弱塩基の対イオンは、最低1個の塩基性pKa、およびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例は、モノエタノロミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミン、グルコサミンを包含する。
【0224】
本発明の別の態様において、対イオンは約12より高い最低1個のpKaを提示する強塩基を含んでなる。こうした塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを包含する。
【0225】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。
【0226】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。高揮発性弱塩基の対イオンは、約12より低い最低1個のpKa、およびPatmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例はアンモニアおよびモルホリンを包含する。
【0227】
本発明の一態様によれば、エポエチンに基づく剤の患者への送達方法は、以下の段階、すなわち(i)最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する生体適合性コーティングを有する微小突起部材(例えば30)を提供する段階、および(ii)該被覆された微小突起部材を患者の皮膚に適用し、該微小突起が角質層を貫通する段階を包含する。被覆された微小突起部材は、好ましくは5秒から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0228】
本発明のさらなる一態様によれば、エポエチンに基づく剤の患者への送達方法は、以下の段階、すなわち(i)固体薄膜が部材に近接して(若しくはその上に)配置されている微小突起部材(例えば30)を提供する段階(該薄膜は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する)、および(ii)該微小突起部材を患者の皮膚に適用し、該微小突起が角質層を貫通する段階を包含する。微小突起部材は、好ましくは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0229】
本発明の別の態様において、微小突起アセンブリ70を患者の皮膚に適用する。微小突起アセンブリ70の適用後に、剥離裏紙69をゲルパック60から除去する。ゲルパック60をその後微小突起アセンブリ70上に置き、それによりヒドロゲル製剤68が微小突起列32中の開口部38を通ってゲルパック60から放出され、微小突起34により形成された角質層中の微小スリットを通過し、微小突起34の外表面から下にかつ角質層を通り移動して局所若しくは全身治療を達成する。
【0230】
好ましくは、ゲルパック60はおよそ5分ないし24時間の範囲の時間、患者の皮膚上に残される。所望の装用時間後に、ゲルパック60および微小突起アセンブリ70を皮膚から除去する。
【0231】
本発明の一態様において、微小突起アセンブリ70は、図2に具体的に説明されるとおり、最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する生体適合性コーティングをその上に配置されている微小突起列34を包含する。
【0232】
別の態様において、エポエチンに基づく剤はゲルパック60中のヒドロゲル製剤に含有される。
【0233】
さらなる一態様において、エポエチンに基づく剤は、ゲルパック60中のヒドロゲル製剤、および微小突起アセンブリ70に塗布された生体適合性コーティング中に含有される。
【0234】
本発明のさらなる一態様によれば、微小突起アセンブリ70を患者の皮膚に適用しそして即座に除去する。剥離裏紙69をその後ゲルパック60から除去し、そしてゲルパック60を前処理した皮膚上に置き、それによりヒドロゲル製剤68がゲルパック60から放出され、そして微小突起34により形成された角質層中の微小スリットを通過する。
【0235】
好ましくは、ゲルパック60は、およそ5分ないし24時間の範囲の時間、患者の皮膚上に残される。所望の装用時間後に、ゲルパック60を皮膚から除去する。
【0236】
示される態様において、エポエチンに基づく剤はゲルパック60中のヒドロゲル製剤中に含有される。
【0237】
前述の態様のいずれにおいても、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量はおよそ10〜200μgの範囲である。より好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、2週ごとに1回および1日1回まで送達される約15〜150μgの範囲にある。
【0238】
皮膚障壁を横断する薬物輸送を助長するために、本発明はまた、多様なイオントフォレーシス若しくは電気輸送系とともにも使用し得ることが当業者により認識されるであろう。本発明はこの点については決して制限されないからである。具体的に説明する電気輸送薬物送達系は、米国特許第5,147,296号、同第5,080,646号、同第5,169,382号および同第5,169383号明細書(それらの開示はそっくりそのま
ま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されている。
【0239】
「電気輸送」という用語は、一般に、皮膚、粘膜、爪などのような体表面を通る有益な剤、例えば薬物若しくは薬物前駆体の通過を指す。剤の輸送は、剤若しくは「逆」電気輸送についてはサンプルを送達するか若しくはその送達を高めるかまたは剤のサンプリングを高める電流の適用をもたらす電位の適用により誘導されるか若しくは高められる。人体への若しくは人体からの剤の電気輸送は多様な様式で達成し得る。
【0240】
1種の広範に使用される電気輸送過程、イオントフォレーシスは、荷電したイオンの電気で誘導される輸送を必要とする。荷電していないすなわち中性に荷電した分子の経皮輸送(例えばブドウ糖の経皮サンプリング)に関与する別の型の電気輸送過程、電気浸透は、電場の影響下での剤を含む溶媒の膜を通る移動を必要とする。なお別の型の電気輸送、電気穿孔は、膜に電気パルス(高電圧パルス)を適用することにより形成される孔を通る剤の通過を必要とする。
【0241】
多くの場合、示される過程の1種以上が異なる程度まで同時に発生しているとみられる。従って、「電気輸送」という用語は、剤が実際に輸送されている特定の機構(1種若しくは複数)に関係なく、最低1種の荷電した若しくは荷電していない剤またはそれらの混合物の電気で誘導された若しくは高められた輸送を包含するように、その最も広範な可能な解釈を本明細書で与えられる。加えて、ソノフォレーシス若しくは圧電素子のような他の輸送増強方法を本発明とともに使用し得る。
【0242】
本発明を電気輸送、ソノフォレーシス若しくは圧電系とともに使用する場合、微小突起アセンブリ70をまず、上に説明されたとおり皮膚に適用する。剥離裏紙69を、電気輸送、ソノフォレーシス若しくは圧電系の一部であるゲルパック60から除去する。このアセンブリをその後皮膚デンプレート上に置き、それによりヒドロゲル製剤68がゲルパック60から放出され、そして微小突起34により形成された角質層中の微小スリットを通過して、電気輸送、ソノフォレーシス若しくは圧電過程を介する薬物輸送の付加的な促進を伴う局所若しくは全身治療を達成する。示される系の1種とともに本発明を使用する場合、総皮膚接触面積はおよそ2〜120cm2の範囲にあり得る。
【0243】
実施例
以下の実施例は、当業者が本発明をより明瞭に理解しかつ実施することを可能にするために示される。それらは本発明の範囲を制限するとみなされるべきでなく、しかし単にその代表として具体的に説明されるとみなされるべきである。
【実施例1】
【0244】
送達効力:およそpH7.0のpHを有する2.5重量%のエポエチンα溶液を調製する。0.1重量%のヒドロキシエチルセルロースおよび0.2重量%の界面活性剤Tween 20をその後添加する。コーティング溶液をその後、米国特許公開第2002/0132054号明細書に記述されるコーティング方法を使用して微小突起に塗布する。コーティングを評価し、そして突起全体に良好に分布されていることが見出される。2cm2の装置の被覆しかつ乾燥した突起は、60μgのエポエチンに基づく剤を含有することが見出される。該装置を被験体の皮膚に適用しかつ5分の持続時間それに接触させて維持する場合、突起上に含有されるエポエチンに基づく剤の80%以上の送達が達成される。
【実施例2】
【0245】
薬物動態評価:pH7の水中に1重量%のEPO、2重量%のヒドロキシエチルセルロースおよび0.2重量%の界面活性剤Tween 20を含んでなるヒドロゲル製剤を調製する。経路開存性調節剤もまた該製剤中に存在する。微小突起部材をその後、(同時係
属出願第10/971,430号明細書に記述されるとおり)被験体の皮膚に24時間適用する。適用後、血液サンプルを多様な時点で採取し、そしてエポエチンに基づく含量について評価する。薬物動態評価は、24時間の適用時間にわたる約150μgの送達を示す。
【0246】
本発明の技術思想および範囲から離れることなく、当業者は、本発明を多様な使用および条件に適合させるように、本発明に対する多様な変更および改変を行い得る。であるから、これらの変更および改変は、適正に、公正に、かつ、以下の請求の範囲の同等物の完全な範囲内にあることを意図している。
【0247】
さらなる特徴および利点は、付随する図面に具体的に説明されるところの本発明の好ましい態様の以下のかつより具体的な記述から明らかになることができ、そして、ここで、類似の参照される文字は一般に図面を通じて同一の部分若しくは要素を指し、ここで:
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】微小突起部材の一例の一部分の透視図である。
【図2】本発明の微小突起上にコーティングが堆積されている、図1に示される微小突起部材の透視図である。
【図3】接着性の裏地を有する微小突起部材の側断面図である。
【図4】微小突起系のゲルパックの一態様の拡大透視図である。
【図5】微小突起系の微小突起部材の一態様の拡大透視図である。
【図6】図4に示されるゲルパックおよび図5に示される微小突起部材を含んでなる微小突起アセンブリの一態様の透視図である。
【図7】微小突起部材がその中に配置されている保持装置の側断面図である。
【図8】図7に示される保持装置の透視図である。
【図9】アプリケーターおよび保持装置の拡大透視図である。
【図10】エポエチンに基づく剤の予測される電荷プロファイルを具体的に説明するグラフである。
【図11】エポエチンに基づく剤の正味の電荷種の予測されるモル比を具体的に説明するグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般として経皮剤送達の系および方法に関する。より具体的には、本発明は、エポエチンに基づく剤の経皮送達のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有効成分(すなわち薬物)は、最も典型的には経口で若しくは注入によりのいずれかで投与される。不幸なことに、多くの有効成分は、吸収されないか若しくは血流に進入する前に悪影響を及ぼされるかのいずれかであり、そして従って所望の活性を有しないため、それらは経口で投与される場合に完全に無効であるか、若しくは根本的に低下された有効性を有する。他方、投与の間の剤の改変なしを保証しつつの血流中への剤の直接注入は、困難、不便、痛みを伴いかつ不快な処置であり、ときに乏しい患者コンプライアンスをもたらす。
【0003】
これゆえに、原則として、経皮送達は、そうでなければ皮下注入若しくは静脈内注入を介して送達されることを必要とするとみられる有効成分の投与方法を提供する。本明細書で使用されるところの「経皮」という語は、外科刀で切断すること若しくは皮下注射針で皮膚を貫通することのような皮膚の実質的切断若しくは浸透を伴わない、皮膚を通り局所組織若しくは全身循環系への有効成分(例えば、薬物のような治療薬若しくはワクチンのような免疫学的有効成分)の送達を指す包括的用語である。経皮剤送達は、受動拡散を介する送達、ならびに電気(例えばイオントフォレーシス)および超音波(例えばフォノフォレーシス)のような外的エネルギー源に基づく送達を包含する。
【0004】
より一般的である受動経皮剤送達系は、典型的には、高濃度の有効成分を含有する薬物リザーバを包含する。該リザーバは皮膚に接触するよう適合され、それは該剤が皮膚を通りかつ患者の身体組織若しくは血流中に拡散することを可能にする。
【0005】
当該技術分野で公知であるとおり、経皮薬物流入は、皮膚の状態、薬物分子の大きさおよび物理/化学特性、ならびに皮膚を横断する濃度勾配に依存する。多くの薬物に対する皮膚の低浸透性により、経皮送達は制限された応用を有していた。この低浸透性は、主として角質層、すなわち脂質二重層により囲まれたケラチン線維で満たされた扁平な死細胞(すなわちケラチノサイト)よりなる最外皮膚層に帰される。脂質二重層のこの高度に規則正しい構造は、比較的不浸透性の特徴を角質層に賦与する。
【0006】
受動経皮拡散の剤流入の1つの普遍的増大方法は、皮膚浸透増強剤で皮膚を前処置すること、若しくはそれを剤と共投与することを必要とする。浸透増強剤は、剤が送達される体表面に適用される場合に、それを通る剤の流入を高める。しかしながら、経皮タンパク質流入を高めることにおけるこれらの方法の有効性は、それらの大きさにより、少なくともより大型のタンパク質について制限されていた。
【0007】
経皮送達されている剤の量を高めるために、最外の皮膚層を機械的に浸透若しくは破壊してそれにより皮膚中への経路を創製するための多くの技術および装置もまた開発されている。特許文献1に開示される薬物送達装置が具体的に説明する。
【0008】
経皮剤送達を高めるために小型の皮膚貫通要素を使用する他の系および装置が、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、ならびに特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19およ
び特許文献20(全部はそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0009】
開示される系および装置は、皮膚の最外層(すなわち角質層)を貫通するために多様な形状および大きさの貫通要素を使用する。これらの参考文献に開示される貫通要素は、一般に、パッド若しくはシートのような薄い平坦な部材から垂直に伸長する。これらの装置のいくつかにおける貫通要素は極めて小さく、いくつかはわずか約25〜400ミクロンの微小突起長さおよびわずか約5〜50ミクロンの微小突起厚を有する。これらの小型貫通/切断要素は、それらを通る経皮剤送達を高めるために角質層中に相応して小さい微小スリット/微小切創を作成する。
【0010】
開示される系は、さらに、典型的には、剤を保持するためのリザーバ、および装置それ自身の中空の歯によるような剤をリザーバから角質層を通って移動するための送達系もまた包含する。こうした装置の一例は、液体剤リザーバを有する特許文献21に開示されている。リザーバは、しかしながら、小型管状要素を通りかつ皮膚中に液体剤を押し込むために加圧されなければならない。こうした装置の欠点は、加圧可能な液体リザーバを付加するための追加される複雑さおよび費用、ならびに圧に駆動される送達系の存在による複雑さを包含する。
【0011】
本明細書に引用することにより完全に組み込まれる特許文献22に開示されるとおり、物理的リザーバ中に含有される代わりに微小突起上に被覆されて送達されるべきである有効成分を有することが可能である。これは、別個の物理的リザーバ、およびとりわけ該リザーバのための剤の製剤若しくは組成物を開発することの必要性を排除する。
【0012】
エポエチンおよびその塩(すなわちエポエチンに基づく剤)は、典型的に、十分なエリスロポエチン(EPO)(赤血球産生を刺激するホルモン)を産生することの腎の機能不全により引き起こされる貧血を処置するため投与される。エポエチンに基づく剤は、癌およびHIV/AIDSのような状態と関連する、または外科手術若しくは化学療法後の貧血を処置するためにもまた投与される。加えて、EPOは、腫瘍関連貧血の、および腫瘍低酸素状態の是正のための処置において活性を示した。最近の研究は、EPO処置が(慢性の)感染症(HIV、炎症性腸疾患、敗血症エピソード)を伴う患者、および癌化学療法後の疲労症候群の処置に有益でありうることを示唆している。加えて、EPOは高用量化学療法後の幹細胞生着もまた改善することができ、かつ、再生不良性貧血および骨髄異形成症候群を伴う患者の生存率を増大し得る。
【0013】
EPOは、推定では多様な受容体との相互作用により、造血性かつ組織保護性の双方である。カルバミル化EPO(CEPO)若しくはある種のEPO変異体は古典的EPO受容体に結合せず、そしていかなる造血活性も示さない。にもかかわらず、CEPOおよび多様な非造血性変異体はin vitroで細胞保護性であり、そして、卒中、脊髄圧迫、糖尿病性ニューロパシー、および実験的自己免疫性脳脊髄炎に対し、EPOに匹敵する効力および有効性で神経保護を賦与する。
【0014】
EPOは腎で産生され、そして骨髄中で方向付けされた(committed)赤血球前駆細胞の分割および分化を刺激する。典型的な治療的形態のエポエチンはエポエチンα、すなわち組換えDNA技術により製造された165アミノ酸の糖タンパク質である。エポエチンαは内因性EPOと同一の生物学的効果を表す。
【0015】
現在、エポエチンαは注入によってのみ投与される。述べられたとおり、血流中への剤の直接注入はしばしば不便かつ痛みを伴い、それはしばしば乏しい患者コンプライアンスをもたらす。エポエチンに基づく剤の皮内投与は、従って、典型的には連日投与されなけ
ればならない該剤の患者コンプライアンスを増大させかつ患者受容性を向上させることがありそうである。
【0016】
従って、エポエチンに基づく剤の皮内投与を容易にする剤送達系を提供することが望ましいとみられる。
【0017】
従って、エポエチンに基づく剤の患者への皮内送達を提供する経皮剤送達の装置および方法を提供することが、本発明の一目的である。
【0018】
患者への皮内送達のためのエポエチンに基づく剤の製剤を提供することが、本発明の別の目的である。
【0019】
最低1種の生物学的有効成分、好ましくはエポエチンに基づく剤、より好ましくはエポエチンαに基づく剤を包含する生体適合性コーティングで被覆された微小突起を包含する経皮剤送達の装置および方法を提供することが、本発明の別の目的である。
【0020】
エポエチンに基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を受領するよう適合されたゲルパックを包含する経皮剤送達の装置および方法を提供することが、本発明のなお別の目的である。
【0021】
【特許文献1】米国特許第3,964,482号
【特許文献2】米国特許第5,879,326号
【特許文献3】米国特許第3,814,097号
【特許文献4】米国特許第5,250,023号
【特許文献5】米国特許第3,964,482号
【特許文献6】再交付第25,637号
【特許文献7】PCT公開第WO 96/37155号
【特許文献8】PCT公開第WO 96/37256号
【特許文献9】PCT公開第WO 96/17648号
【特許文献10】PCT公開第WO 97/03718号
【特許文献11】PCT公開第WO 98/11937号
【特許文献12】PCT公開第WO 98/00193号
【特許文献13】PCT公開第WO 97/48440号
【特許文献14】PCT公開第WO 97/48441号
【特許文献15】PCT公開第WO 97/48442号
【特許文献16】PCT公開第WO 98/00193号
【特許文献17】PCT公開第WO 99/64580号
【特許文献18】PCT公開第WO 98/28037号
【特許文献19】PCT公開第WO 98/29298号
【特許文献20】PCT公開第WO 98/29365号
【特許文献21】第WO 93/17754号
【特許文献22】米国特許出願第10/045,842号
【発明の開示】
【0022】
[発明の要約]
上の目的、および下で挙げられることができかつ明らかになるであろうものに従って、本発明のエポエチンに基づく剤を経皮送達するための装置および方法は、一般に、角質層を通り下の表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通するよう適合されている複数の微小突起(若しくはそれらの列)を包含する微小突起部材(若しくは系)を有する送達系を含んでなる。一態様において、微小突起部材は、最低1種のエポエチンに基づく剤をその中
に配置している生体適合性コーティングを包含する。
【0023】
本発明の一態様において、微小突起部材は、最低およそ100個の微小突起/cm2の微小突起密度、より好ましくは最低およそ200〜3000個の微小突起/cm2の範囲の密度を有する微小突起列を包含する。
【0024】
好ましくは、各微小突起の長さは1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満である。本発明の好ましい一態様において、各微小突起の長さはおよそ50〜145ミクロンの範囲にある。
【0025】
一態様において、微小突起部材は、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、若しくはポリマー物質のような類似の生体適合性素材から構築される。
【0026】
別の態様において、微小突起部材はポリマーのような非導電素材から構築される。あるいは、微小突起部材はParylene(R)のような非導電素材、若しくはTeflon(R)、シリコンのような疎水性素材、または他の低エネルギー素材で被覆し得る。
【0027】
固体の生体適合性コーティングを形成するために微小突起部材に適用されるコーティング製剤は、生体適合性担体内に溶解し得るか若しくは該担体内に懸濁し得る最低1種のエポエチンに基づく剤を有する水性および非水性製剤を含み得る。
【0028】
好ましい一態様において、エポエチンに基づく剤は、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、それらの製薬学的に許容できる塩、アナログ、および単純な誘導体、緊密に関係した分子、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される。最も好ましいエポエチンに基づく剤はエポエチンαを含んでなる。
【0029】
適するエポエチンに基づく塩は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼン、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩を制限なしに包含する。
【0030】
適する単純なエポエチンに基づく誘導体および緊密に関係する分子は、ペグ化誘導体、カルバミル化誘導体、グリコシル化誘導体、融合誘導体、EPOムテイン、非造血性変異体およびトロンボポエチンを制限なしに包含する。
【0031】
本発明の一態様において、エポエチンに基づく剤は、コーティング製剤のおよそ1〜30重量%の範囲で含んでなる。
【0032】
好ましくは、微小突起部材上のコーティングは、15〜200μgの範囲のエポエチンに基づく剤の総用量を包含する。
【0033】
好ましくは、コーティング製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、コーティング製剤のpHは、およそpH2ないし4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、コーティング製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0034】
対イオンが、製剤のpHでエポエチンに基づく剤上に存在する電荷を中和するために必
要な量でコーティング製剤中に存在し得る。約4.8のpHより下で、エポエチンに基づく剤は正の電荷を担持することができる。従って酸性の対イオンを利用する。(遊離の酸若しくは塩としての)過剰の対イオンを、pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために添加し得る。
【0035】
約4.8より上のpHで、エポエチンαは負の電荷を担持することができる。従って塩基性対イオンを利用する。(遊離の塩基若しくは塩としての)過剰の対イオンを、pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために同様に添加し得る。
【0036】
本発明の一態様において、酸性の対イオンは非揮発性弱酸を含んでなる。非揮発性弱酸の対イオンは、最低1個の酸性のpKaおよびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱酸と定義する。こうした酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を包含する。
【0037】
本発明の別の態様において、対イオンは強酸を含んでなる。強酸は約2より低い最低1個のpKaを提示することと定義する。こうした酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を包含する。
【0038】
本発明の別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が非揮発性弱酸を含んでなる対イオンの混合物を含んでなる。
【0039】
本発明のなお別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱酸を含んでなる対イオンの混合物を含んでなる。高度に揮発性の弱酸の対イオンは、約2より高い最低1個のpKaを提示しかつPatmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を有する弱酸と定義する。こうした酸の例は、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸などを包含する。
【0040】
本発明の別の態様において、塩基性対イオンは低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる。低揮発性弱塩基の対イオンは、最低1個の塩基性のpKa、およびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例は、モノエタノロミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンを包含する。
【0041】
本発明の別の態様において、対イオンは約12より高い最低1個のpKaを提示する強塩基を含んでなる。こうした塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを包含する。
【0042】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。
【0043】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。高度に揮発性の弱塩基は、約12より低い最低1個のpKa、およびPatmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例はアンモニアおよびモルホリンを包含する。
【0044】
本発明の一態様において、コーティング製剤は最低1種の緩衝剤を包含する。適する緩衝剤の例は、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、
リン酸、トリカルバル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸(glutaratic acid)、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロルプロピオン酸(dimethylolpropionic acid)、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン若しくはそれらの混合物を包含する。
【0045】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ラウリン酸ソルビタンのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを制限なしに包含する、両性イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る最低1種の界面活性剤を包含する。
【0046】
本発明の一態様において、界面活性剤の濃度は、コーティング製剤のおよそ0.001〜2重量%の範囲にある。
【0047】
本発明のさらなる一態様において、コーティング製剤は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、若しくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニック(pluronic)を制限なしに含み得る、両親媒性の特性を有する最低1種のポリマー物質若しくはポリマーを包含する。
【0048】
本発明の一態様において、コーティング製剤中の両親媒性の特性を提示するポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。
【0049】
別の態様において、コーティング製剤は、以下の群、すなわちヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、ならびに類似のポリマーから選択される親水ポリマーを包含する。
【0050】
好ましい一態様において、コーティング製剤中の親水ポリマーの濃度は、コーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。
【0051】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、ヒトアルブミン、生物工学により作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを制限なしに含み得る生体適合性担体を包含する。
【0052】
好ましくは、コーティング製剤中の生体適合性担体の濃度は、コーティング製剤のおよそ2〜70重量%の範囲、より好ましくはおよそ5〜50重量%の範囲にある。
【0053】
別の態様において、コーティング製剤は、非還元糖、多糖若しくは還元糖を制限なしに含み得る安定剤を包含する。適する非還元糖は例えばショ糖、トレハロース、スタキオース若しくはラフィノースを包含する。適する多糖は、例えばデキストラン、可溶性デンプ
ン、デキストリンおよびイヌリンを包含する。適する還元糖は、例えば、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、果糖、ガラクトース、ブドウ糖、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなどのような単糖;ならびに例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、乳糖、ラクツロース、麦芽糖、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどのような二糖を包含する。
【0054】
別の態様において、コーティング製剤は、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を制限なしに含み得る血管収縮剤を包含する。最も好ましい血管収縮剤は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0055】
血管収縮剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.1重量%ないし10重量%の範囲にある。
【0056】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、浸透物質(例えば塩化ナトリウム)、両性イオン化合物(例えばアミノ酸)、および、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウムおよびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような抗炎症薬、ならびにクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような抗凝固薬を制限なしに含み得る、最低1種の「経路開存性調節剤」を包含する。
【0057】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレンジニトリロ四酢酸)のような金属イオン封鎖剤、若しくはアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウムなどのようなフリーラジカルスカベンジャーを制限なしに含み得る抗酸化剤を包含する。
【0058】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを制限なしに含み得る可溶化剤/複合体形成剤(complexing agent)を包含する。最も好ましい可溶化剤/複合体形成剤は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7β−シクロデキストリンである。
【0059】
可溶化剤/複合体形成剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のお
よそ1重量%ないし20重量%の範囲にある。
【0060】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、コーティング製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲でコーティング製剤中に存在する。
【0061】
好ましくは、コーティング製剤はおよそ500センチポアズ未満かつおよそ3センチポアズ以上の粘度を有する。
【0062】
本発明の一態様において、生体適合性コーティングの厚さは、微小突起表面から測定される際に25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
【0063】
本発明のさらなる一態様において、送達系はゲルパックを包含し、該ゲルパックはヒドロゲル製剤を受領するように適合されている。
【0064】
本発明の最低一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する。
【0065】
好ましくは、エポエチンに基づく剤は、ヒドロゲル製剤のおよそ0.1〜2重量%の範囲の濃度でヒドロゲル製剤中に存在する。
【0066】
好ましくは、ヒドロゲル製剤のpHは、およそpH4.5より下、若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、ヒドロゲル製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、ヒドロゲル製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0067】
対イオンが、同様に、ヒドロゲル製剤のpHでエポエチンに基づく剤上に存在する電荷を中和するために必要な量でヒドロゲル製剤中に存在し得る。上で述べられたとおり、約4.8のpHより下で、エポエチンに基づく剤は正の電荷を担持することができる。従って酸性の対イオンを利用する。
【0068】
4.8のpHより上で、エポエチンαは負の電荷を担持することができる。従って塩基性対イオンを利用する。
【0069】
(遊離塩基若しくは塩としての)過剰の対イオンを、同様に、pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために、ヒドロゲル製剤に添加し得る。
【0070】
ゲルパック中に含有されるヒドロゲル製剤(1種若しくは複数)は、好ましくは、巨大分子ポリマー網状構造を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる。
【0071】
本発明の好ましい一態様において、ポリマー網状構造は、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、およびプルロニック(pluronic)を制限なしに含んでな
る。
【0072】
ヒドロゲル製剤は、好ましくは前述の界面活性剤の最低1種を包含する。
【0073】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0074】
別の態様において、ヒドロゲル製剤は、両親媒性の特性を有する前述のポリマー物質若しくはポリマーの最低1種を包含する。
【0075】
本発明のさらなる一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0076】
本発明のさらなる一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の経路開存性調節剤の最低1種を包含する。
【0077】
本発明のなお別の態様において、ヒドロゲル製剤は前述の血管収縮剤の最低1種を包含する。
【0078】
別の態様において、ヒドロゲル製剤は前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0079】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の抗酸化剤の最低1種を包含する。
【0080】
本発明の別の態様において、ヒドロゲル製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、ヒドロゲル製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲で存在する。
【0081】
本発明のなお別の態様によれば、送達系は、(i)ヒドロゲル製剤を含有するゲルパック、ならびに(ii)上および底面、微小部材を通って伸長する複数の開口部、ならびに微小部材の底面から突出する複数の角質層を貫通する微小突起を有する微小突起部材を包含し、該微小突起部材は最低1種のエポエチンに基づく剤を有する固体薄膜を包含する。一態様において、固体薄膜は微小突起部材の上面に近接して配置される。別の態様において、固体薄膜は微小突起部材の底面に近接して配置される。
【0082】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する。
【0083】
別の態様において、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠く。
【0084】
一態様において、固体薄膜は、エポエチンに基づく剤、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)若しくはプルロニック(pluronic)のようなポリマー物質、グリセロール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールのような可塑剤、Tween 20若しくはTween 80のような界面活性剤、および水、イソプロパノール、メタノール若しくはエタノールのような揮発性溶媒よりなる液体製剤を流延することにより作成される。
【0085】
一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、0.1〜20重量%のエポエチンに基づく剤、5〜40重量%のポリマー、5〜40重量%の可塑剤、0〜2重量%の界面活性剤、および残りの揮発性溶媒を含んでなる。流延することおよび溶媒のその後の蒸発後に、固体薄膜が生じられる。
【0086】
好ましくは、エポエチンに基づく剤は、およそ0.1ないし20重量%の範囲の濃度で、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤中に存在する。
【0087】
好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0088】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の対イオンの最低1種若しくはそれらの混合物を包含する。
【0089】
別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0090】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0091】
本発明の別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0092】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の血管収縮剤の最低1種を包含する。
【0093】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用中される液体製剤は、前述の経路開存性調節剤の最低1種を包含する。
【0094】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の抗酸化剤の最低1種を包含する。
【0095】
本発明の一態様によれば、患者へのエポエチンに基づく剤の送達方法は、以下の段階、すなわち(i)最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する生体適合性コーティングを有する微小突起部材を提供すること、および(ii)被覆された微小突起部材を患者の皮膚に適用すること(該微小突起が角質層を貫通する)を包含する。被覆された微小突起部材は、好ましくは5秒から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0096】
本発明のさらなる一態様によれば、患者へのエポエチンに基づく剤の送達方法は、以下の段階、すなわち(i)固体薄膜が部材に近接して(若しくはその上に)配置されている微小突起部材を提供すること(該薄膜は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する)、および(ii)微小突起部材を患者の皮膚に適用すること(該微小突起は角質層を貫通する)を包含する。微小突起部材は、好ましくは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0097】
本発明のさらなる一態様において、微小突起部材は、エポエチンに基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックを包含し、そして、微小突起部材を患者の皮膚に適用した後に、ゲルパックを適用された部材の上に置き、ここでヒドロゲル製剤は、微小突起により生じられた角質層中の微小スリット中にかつそれらを通り移動する。微小突起部材−ゲルパックアセンブリは、好ましくは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材およびゲルパックを除去する。
【0098】
ゲルパックの態様のさらなる一局面において、エポエチンに基づく剤は固体薄膜中に含有され、また、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠き、そして、これゆえに単に水和機構である。
【0099】
本発明の別の態様において、微小突起装置を患者の皮膚適用しかつ即座に除去する。エポエチンに基づく基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックをその後、浸透された皮膚の上に置き、ここでヒドロゲル製剤は微小突起により生じられた角質層中の微小スリット中にかつそれらを通り移動する。好ましくは、ゲルパックは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、ゲルパックを除去する。
【0100】
本発明のなお別の態様において、エポエチンに基づく剤を含有する生体適合性コーティングを有する微小突起部材を患者の皮膚に適用し、エポエチンに基づく剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックをその後、適用された微小突起部材の上に置き、ここでヒドロゲル製剤が微小突起により生じられた角質層中の微小スリット中にかつそれらを通り移動する。微小突起部材−ゲルパックアセンブリは、好ましくは5分ないし24時間の範囲で持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材およびゲルパックを除去する。
【0101】
[発明の詳細な記述]
本発明を詳細に記述する前に、本発明は、具体的に例示される物質、方法若しくは構造に制限されないことが理解されるべきである。こうしたものはもちろん変動しうるからである。従って、本明細書に記述されるものに類似若しくは同等の多数の物質および方法を本発明の実務で使用し得るとは言え、好ましい物質および方法を本明細書に記述する。
【0102】
本明細書で使用される専門用語は本発明の特定の態様を記述するという目的上のみであり、そして制限することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0103】
別の方法で定義されない限り、本明細書で使用される全部の技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者により一般に理解されると同一の意味を有する。
【0104】
さらに、上であろうと下であろうと本明細書で引用される全部の刊行物、特許および特許出願は、ここにそっくりそのまま引用することにより組み込まれる。
【0105】
最後に、本明細および付随する請求の範囲で使用されるところの単数形「ある(a、an)」および「該(the)」は、内容が別の方法で明瞭に指図しない限り複数の指示物を包含する。従って、例えば「ある有効成分(an active agent)」への言及は2種若しくはそれ以上のこうした剤を包含し;「1個の微小突起(a microprojection)」への言及は2個若しくはそれ以上のこうした微小突起を包含し、などである。
【0106】
定義
本明細書で使用されるところの「経皮」という用語は、局所若しくは全身治療のため皮
膚中へのおよび/若しくはそれを通る剤の送達を意味している。
【0107】
本明細書で使用されるところの「経皮流入」という用語は、経皮送達の速度を意味している。
【0108】
本明細書で使用されるところの「共送達すること」という用語は、エポエチンに基づく剤を送達する前、エポエチンに基づく剤の経皮流入の前および間、エポエチンに基づく剤の経皮流入の間、エポエチンに基づく剤の経皮流入の間および後、ならびに/若しくはエポエチンに基づく剤の経皮流入の後のいずれかに、補助的剤(1種若しくは複数)を経皮投与することを意味している。加えて、2種若しくはそれ以上のエポエチンに基づく剤をコーティングおよび/若しくはヒドロゲル製剤に処方して、エポエチンに基づく剤の共送達をもたらし得る。
【0109】
本明細書で使用されるところの「エポエチンに基づく剤」という用語は、組換えエポエチンα、合成エポエチンα、エポエチンαの塩、エポエチンαのアナログおよび単純な誘導体、組換えエポエチンβ、合成エポエチンβ、エポエチンβの塩、エポエチンβの単純な誘導体およびアナログ、ダルベポエチンα、組換えダルベポエチンα、合成ダルベポエチンα、ダルベポエチンαの塩、ダルベポエチンαの単純な誘導体およびアナログ、ならびに前述のいずれかに緊密に関係する分子を制限なしに包含する。
【0110】
製薬学的に許容できるエポエチンに基づく塩の例は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩 グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、トリカルバリル酸塩(tricarballylicate)、マロン酸塩、アジピン酸塩、シトラコン酸塩、グルタル酸塩、イタコン酸塩、メサコン酸塩、シトラマル酸塩、ジメチロルプロピオン酸塩、チグリン酸塩、グリセリン酸塩、メタクリル酸塩、イソクロトン酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、クロトン酸塩、アンゲリカ酸塩、ヒドロアクリル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩を制限なしに包含する。
【0111】
単純なエポエチンに基づく誘導体および緊密に関係する分子の例は、ペグ化誘導体、カルバミル化誘導体、グリコシル化誘導体、融合誘導体、EPOムテイン、非造血性変異体およびトロンボポエチンを制限なしに包含する。
【0112】
示されるエポエチンに基づく剤は、遊離塩基若しくは酸、荷電した若しくは荷電していない分子、分子複合体の成分、または非刺激性の薬理学的に許容できる塩のような多様な形態にもまたあり得る。
【0113】
1種以上のエポエチンに基づく剤を本発明の剤供給源、リザーバおよび/若しくはコーティングに組み込み得ること、ならびに、「エポエチンに基づく剤」という用語の使用は、2種若しくはそれ以上のこうした有効成分すなわち薬物の使用を全く排除しないことが理解されるべきである。
【0114】
本明細書で使用されるところの「微小突起」という用語は、生存動物、とりわけ哺乳動物、およびより具体的にはヒトの皮膚の角質層を通り下の表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通若しくは切断するよう適合されている貫通要素を指す。
【0115】
本発明の一態様において、微小突起は約1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満の突起長さを有する。好ましい一態様において、微小突起は約145ミクロ
ン未満の長さを有し、より好ましくは、該長さは約50〜145ミクロンの範囲、なおより好ましくは約70〜140ミクロンの範囲にある。
【0116】
微小突起は、好ましくはおよそ5〜50ミクロンの範囲の幅(図1において「W」と明示される)およびおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0117】
本発明の微小突起は、針、刃、ピン、パンチ、およびそれらの組合せのような多様な形状に成形し得る。
【0118】
本明細書で使用されるところの「微小突起部材」という用語は、一般に、複数の微小突起が一列に配置されている基礎部材を意味している。微小突起部材は、図1に示されるもののような形状を形成するように、薄いシートから複数の微小突起を蝕刻若しくは押抜すること、およびシートの面から微小突起を折る若しくは曲げることにより成形し得る。
【0119】
微小突起部材は、ここにそっくりそのまま引用することにより組み込まれる米国特許第6,050,988号明細書に開示されるところの細片(1個若しくは複数)のそれぞれの縁に沿って微小突起を有する1本若しくはそれ以上の細片を形成することによるような他の既知の様式でもまた成形し得る。
【0120】
本明細書で使用されるところの「コーティング製剤」という用語は、微小突起および/若しくはそれらの列を被覆するのに使用される、最低1種のエポエチンに基づく剤を有する自由に流動する組成物若しくは混合物を意味しかつ包含することを意味している。エポエチンに基づく剤は製剤中で溶液若しくは懸濁液中にあり得る。
【0121】
本明細書で使用されるところの「生体適合性コーティング」および「固体コーティング」という用語は、実質的に固体状態の「コーティング製剤」を意味しかつ包含することを意味している。
【0122】
上で示されたとおり、本発明は、全般として、角質層を通り下の表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通するよう適合されている複数の微小突起(若しくはそれらの列)を有する微小突起部材(若しくは系)を包含する送達系を含んでなる。
【0123】
一態様において、微小突起は、最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する生体適合性コーティングをその上に有する。皮膚の角質層の貫通に際して、剤を含有するコーティングが体液(細胞内液、および間質液のような細胞外液)により溶解され、そして全身治療のため皮膚中に放出される(すなわちボーラス送達)。好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量はおよそ10〜200μgの範囲にある。より好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、2週ごとに1回および1日1回まで送達される約15〜150μgの範囲にある。
【0124】
本発明により、本発明の送達系は、そうでなければ皮下注入若しくは静脈内注入を介して送達されることを必要とするとみられる治療薬の投与にとりわけ適する。本発明の送達系は比較的単純、便利かつ事実上無痛である。該送達系の使用は、従って患者コンプライアンスを増大させることがありそうである。
【0125】
今や図1を参照すれば、本発明での使用のための微小突起部材30の一態様が示される。図1に具体的に説明されるとおり、微小突起部材30は、複数の微小突起34を有する微小突起列32を包含する。微小突起34は、好ましくは、示される態様において開口部38を包含するシート36から実質的に90°の角度で伸長する。
【0126】
本発明により、シート36はシート36の裏地40を包含する送達貼付剤に組み込み得、また、皮膚に該貼付剤を付着させるための接着剤16を付加的に包含し得る(図3を参照されたい)。本態様において、微小突起34は、薄い金属シート36から複数の微小突起34を蝕刻若しくは押抜すること、および微小突起34をシ―ト36の面から曲げることにより成形される。
【0127】
本発明の一態様において、微小突起部材30は、最低およそ100個の微小突起/cm2の微小突起密度を有し、より好ましくは該密度はおよそ200〜3000個の微小突起/cm2の範囲にある。好ましくは、剤が通過する単位面積あたりの開口部の数は、最低およそ10〜2000個の開口部/cm2の範囲にある。
【0128】
示されるとおり、微小突起34は、好ましくは1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満の長さを有する。一態様において、微小突起はおよそ50〜145ミクロンの範囲、より好ましくはおよそ70〜140ミクロンの範囲の長さを有する。微小突起34は、好ましくは、およそ5〜50ミクロンの範囲の幅および厚さもまた有する。
【0129】
微小突起列の好ましい一態様は、2005年2月16日出願の米国特許出願第60/653,675号明細書(その開示は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0130】
微小突起部材30は、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金のような多様な金属、若しくはポリマー物質のような類似の生体適合性素材から製造し得る。
【0131】
本発明により、微小突起部材30はポリマーのような非導電素材からもまた構築し得る。あるいは、微小突起部材は、Parylene(R)のような非導電素材、若しくはTeflon(R)、シリコンのような疎水性素材、または他の低エネルギー素材で被覆し得る。示される疎水性素材および関連基材(例えばフォトレジスト)層は、米国特許出願第10/880,701号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)に示されている。
【0132】
本発明で使用し得る微小突起部材は、限定されるものでないが、米国特許第6,083,196号、同第6,050,988号および同第6,091,975号明細書、ならびに2005年1月31日出願の同時係属出願第60/649,888号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示される部材を挙げることができる。
【0133】
本発明で使用し得る他の微小突起部材は、米国特許第5,879,326号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示される部材のような、シリコンチップ蝕刻技術を使用してシリコンを蝕刻すること、若しくは蝕刻された微小金型を使用してプラスチックを成形することにより形成される部材を包含する。
【0134】
本発明により、送達されるべきエポエチンに基づく塩基剤は、ゲルパックリザーバ(下でより詳細に論考される)中に配置されるヒドロゲル製剤に含有され得るか、微小突起部材30上に配置される生体適合性コーティングに含有され得るか、若しくはヒドロゲル製剤および生体適合性コーティング双方に含有され得る。
【0135】
今や図2を参照すれば、生体適合性コーティング35を包含する微小突起34を有する微小突起部材30が示される。本発明により、コーティング35は各微小突起34を部分的若しくは完全に被覆し得る。例えば、コーティング35は微小突起34上の乾燥模様塗中にあり得る。コーティング35は、微小突起34が形成される前若しくは後にもまた塗
布し得る。
【0136】
本発明により、コーティング35は多様な既知の方法により微小突起34に塗布し得る。好ましくは、該コーティングは、皮膚を貫通する微小突起部材30若しくは微小突起34の部分(例えば先端39)にのみ塗布される。好ましい一態様において、コーティング35は、同時係属出願第60/649,888号明細書(そっくりそのまま本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、先端から伸長する全体長さのおよそ75〜90%の範囲で各微小突起34を被覆する。
【0137】
1種のこうした被覆方法は浸積被覆を含んでなる。浸積被覆は、微小突起34をコーティング溶液に部分的に若しくは完全に浸積することにより微小突起を被覆するための手段として記述し得る。部分的浸積技術の使用により、コーティング35を微小突起34の先端にのみ制限することが可能である。
【0138】
さらなるコーティング方法は、コーティング35を微小突起34の先端39に同様に制限するローラー塗機構を使用するローラー塗を含んでなる。ロ―ラー塗の方法は米国特許出願第10/099,604号(公開第2002/0132054号)明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されている。示される出願で詳細に論考されるとおり、開示されるローラー塗の方法は、皮膚貫通の間に微小突起34から容易に除去されない滑らかなコーティングを提供する。
【0139】
本発明により、微小突起34は、開口(示されない)、溝(示されない)、表面の不規則性(示されない)若しくは類似の改変のような、コーティング35の容量を受領しかつ/若しくは高めるよう適合された手段をさらに包含し得、該手段は、より多量のコーティングを堆積し得る増大された表面積を提供する。
【0140】
本発明の範囲内で使用し得るさらなる一被覆方法は吹付塗を含んでなる。本発明によれば、吹付塗はコーティング組成物のエアゾル懸濁液の形成を包含する。一態様において、約10ないし200ピコリットルの液滴径を有するエアゾル懸濁液を微小突起10に噴霧し、そしてその後乾燥する。
【0141】
模様塗もまた微小突起34を被覆するのに使用し得る。模様塗は、微小突起表面上の堆積される液体の位置を決めるための分注系を使用して塗布し得る。堆積される液体の量は、好ましくは微小突起あたり0.1ないし20ナノリットルの範囲にある。適する精密計量液体分注装置の例は、米国特許第5,916,524号;同第5,743,960号;同第5,741,554号;および同第5,738,728号明細書(本明細書に引用することにより完全に組み込まれる)に開示されている。
【0142】
微小突起コーティング製剤若しくは溶液は、既知のソレノイドバルブ分注装置を使用するインクジェット技術、任意の流体を動かす(fluid motive)手段、および電場の使用により一般に制御される位置決め手段を使用してもまた塗布し得る。印刷工業からの他の液体分注技術、若しくは当該技術分野で既知の類似の液体分注技術を、本発明の模様塗を塗布するために使用し得る。
【0143】
保管および適用についての図7および8を今や参照すれば、微小突起部材30は、好ましくは、米国特許出願第09/976,762号(公開第2002/0091357号)明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に詳細に記述されるところの付着性タブ6により保持装置リング40中に懸垂される。
【0144】
保持装置リング40中への微小突起部材30の設置後に、微小突起部材30を患者の皮
膚に適用する。好ましくは、微小突起部材30は、図9に示されかつ同時係属中の米国特許出願第09/976,978号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に記述されるような衝撃アプリケーター45を使用して患者の皮膚に適用する。
【0145】
示されるとおり、本発明の一態様により、固体の生体適合性コーティングを形成するために微小突起部材30に塗布されるコーティング製剤は、最低1種のエポエチンに基づく剤を有する水性および非水性製剤を含み得る。本発明により、エポエチンに基づく剤は生体適合性担体内に溶解し得るか、若しくは該担体内に懸濁し得る。
【0146】
好ましい一態様において、エポエチンに基づく剤は、組換えエポエチンα、合成エポエチンα、エポエチンαの塩、エポエチンαの単純な誘導体およびアナログ、組換えエポエチンβ、合成エポエチンβ、エポエチンβの塩、エポエチンβの単純な誘導体およびアナログ、ダルベポエチンα、組換えダルベポエチンα、合成ダルベポエチンα、ダルベポエチンαの塩、ダルベポエチンαの単純な誘導体およびアナログ、ならびに前述のいずれかの緊密に関係する分子よりなる群から選択される。
【0147】
適するエポエチンに基づく塩は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩 グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、トリカルバル酸塩、マロン酸塩、アジピン酸塩、シトラコン酸塩、グルタル酸塩、イタコン酸塩、メサコン酸塩、シトラマル酸塩、ジメチロルプロピオン酸塩、チグリン酸塩、グリセリン酸塩、メタクリル酸塩、イソクロトン酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、クロトン酸塩、アンゲリカ酸塩、ヒドロアクリル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩を制限なしに包含する。
【0148】
適する単純なエポエチンに基づく誘導体および緊密に関係する分子は、ペグ化誘導体、カルバミル化誘導体、グリコシル化誘導体、融合誘導体、EPOムテイン、非造血性変異体およびトロンボポエチンを制限なしに包含する。
【0149】
好ましくは、エポエチンに基づく剤は、コーティング製剤のおよそ15〜30重量%の範囲でコーティング製剤中に存在する。
【0150】
本発明の一態様において、微小突起列は、およそ15〜120μgの範囲のエポエチンに基づく剤の総用量で被覆される。
【0151】
今や図10を参照すれば、エポエチンに基づく剤の予測される電荷プロファイルが示される。当該技術分野で既知であるとおり、エポエチンαすなわち組換えDNA技術により製造される165アミノ酸の糖タンパク質は、内因性EPOと同一の生物学的効果を有し、また、単離された天然のEPOの同一のアミノ酸配列を含有する。エポエチンαは、30,400ダルトンの分子量を有し、そしてヒトEPO遺伝子が導入された哺乳動物細胞により産生される。エポエチンαは38種の塩基性pKaおよび24種の酸性pKaを提示する。pH4.8でエポエチンαはゼロの正味電荷を提示する。この点は等電点すなわちpIともまた呼ばれる。
【0152】
今や図11を参照すれば、エポエチンに基づく剤の正味の荷電した種の予測されるモル比が示される。図11に示されるとおり、中性の種はpH範囲pH4.5ないしpH5.0で有意の量で存在するのみである。このpH範囲で、該ペプチドは溶液から沈殿するこ
とが期待される。従って、本発明の送達系に適する製剤と適合性のエポエチン剤の溶解性は、約pH4.5より下若しくは約pH5.0より上;より好ましくは約pH4.0より下若しくは約pH5.5より上で達成されることが期待される。
【0153】
従って、好ましい一態様において、生体適合性コーティングを生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0154】
本発明の一態様において、コーティング製剤は最低1種の緩衝剤を包含する。適する緩衝剤は、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロルプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、若しくはそれらの混合物を包含する。
【0155】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレンジニトリロ四酢酸)のような金属イオン封鎖剤、若しくはアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウムなどのようなフリーラジカルスカベンジャーを制限なしに含み得る抗酸化剤を包含する。
【0156】
本発明の一態様において、コーティング製剤は最低1種の界面活性剤を包含する。本発明により、界面活性剤(1種若しくは複数)は両性イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る。界面活性剤の例は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ラウリン酸ソルビタンのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを包含する。最も好ましい界面活性剤はTween 20、Tween 80およびSDSを包含する。
【0157】
本発明の一態様において、界面活性剤の濃度は、コーティング溶液製剤のおよそ0.001〜2重量%の範囲にある。
【0158】
本発明のさらなる一態様において、コーティング製剤は両親媒性の特性を有する最低1種のポリマー物質若しくはポリマーを包含する。示されるポリマーの例は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、若しくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニック(pluronic)を制限なしに包含する。
【0159】
本発明の一態様において、両親媒性の特性を提示するポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。なおより好ましくは、ポリマーの濃度は、コーティング製剤のおよそ0.1〜5重量%の範囲にある。
【0160】
本発明により、コーティング製剤は親水ポリマーをさらに包含し得る。好ましくは、親水ポリマーは、以下の群、すなわち、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、ならびに類似のポリマーから選択される。当該技術分野で公知であるとおり、示されるポリマーは粘度を増大させる。
【0161】
コーティング製剤中の親水ポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.01〜20重量%の範囲、より好ましくはおよそ0.03〜10重量%の範囲にある。なおより好ましくは、親水ポリマーの濃度はコーティング製剤のおよそ0.1〜5重量%の範囲にある。
【0162】
本発明により、コーティング製剤は、同時係属中の米国特許出願第10/127,108号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるもののような生体適合性担体をさらに包含し得る。生体適合性担体の例は、ヒトアルブミン、生物工学により作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを包含する。
【0163】
コーティング製剤中の生体適合性担体の濃度は、好ましくはコーティング製剤のおよそ2〜70重量%の範囲、より好ましくはおよそ5〜50重量%の範囲にある。
【0164】
さらなる一態様において、コーティング製剤は、非還元糖、多糖若しくは還元等を制限なしに含み得る最低1種の安定剤を包含する。本発明の方法および組成物での使用のための適する非還元等は、例えば、ショ糖、トレハロース、スタキオース若しくはラフィノースを包含する。本発明の方法および組成物での使用のための適する多糖は、例えば、デキストラン、可溶性デンプン、デキストリンおよびインスリンを包含する。本発明の方法および組成物での使用のための適する還元糖は、例えば、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、果糖、ガラクトース、ブドウ糖、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなどのような単糖;ならびに例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、乳糖、ラクツロース、麦芽糖、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどのような二糖を包含する。
【0165】
本発明のコーティング製剤、およびこれゆえに生体適合性コーティングは、同時係属中の米国特許公開第2004/0115167号(第10/674,626号)明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるもののような血管収縮剤をさらに包含し得る。示される同時係属出願で示されるとおり、血管収縮剤は、微小突起部材での適用の間および後の出血を制御するために使用する。好ましい血管収縮剤は、限定されるものでないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリン、およびそれらの混合物を挙げることができる。最も好ましい血管収縮剤は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0166】
当業者により認識されるであろうとおり、本発明のコーティング製剤、およびこれゆえに生体適合性コーティング(または下で論考されるヒドロゲル製剤若しくは固体薄膜)への血管収縮剤の添加は、微小突起部材若しくは列の適用後に発生し得る出血を予防するため、ならびに、適用部位での血流の低下および皮膚部位から全身循環への吸収速度の低下によりエポエチンに基づく剤の薬物動態を延長するためにとりわけ有用である。
【0167】
血管収縮剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のおよそ0.1重量%ないし10重量%の範囲にある。
【0168】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるもののような最低1種の「経路開存性調節剤」を包含する。示される同時係属出願に示されるとおり、経路開存性調節剤は、皮膚の自然な治癒過程を予防若しくは減少させてそれにより微小突起部材列により角質層に形成された経路すなわち微小スリットの閉鎖を予防する。経路開存性調節剤の例は、浸透物質(例えば塩化ナトリウム)および両性イオン化合物(例えばアミノ酸)を制限なしに包含する。
【0169】
該同時係属出願で定義されるところの「経路開存性調節剤」という用語は、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウムおよびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような抗炎症薬、ならびにクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような抗凝固薬をさらに包含する。
【0170】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを含み得る可溶化剤/複合体形成剤を包含する。最も好ましい可溶化剤/複合体形成剤は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7β−シクロデキストリンである。
【0171】
可溶化剤/複合体形成剤の濃度は、使用される場合、好ましくはコーティング製剤のおよそ1重量%ないし20重量%の範囲にある。
【0172】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、コーティング製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲で存在する。
【0173】
他の既知の製剤補助物質もまたコーティング製剤に添加し得るが、但し、それらはコーティング製剤の必要な溶解性および粘度の特徴ならびに乾燥されたコーティングの物理的完全性に悪影響を及ぼさない。
【0174】
好ましくは、コーティング製剤はおよそ500センチポアズ未満かつおよそ3センチポアズ以上の粘度を有する。
【0175】
本発明の一態様において、コーティング厚は、微小突起表面から測定される際におよそ25ミクロン未満、より好ましくはおよそ10ミクロン未満である。
【0176】
所望のコーティング厚は、必要とされる投薬量、およびこれゆえに該投薬量を送達するのに必要なコーティング厚、シートの単位面積あたりの微小突起の密度、コーティング組成物の粘度および濃度、ならびに選ばれるコーティング方法を包含するいくつかの因子に依存する。
【0177】
全部の場合で、コーティングを塗布した後に、コーティング製剤を多様な手段により微小突起34上で乾燥する。本発明の好ましい一態様において、被覆された微小突起部材30を周囲室条件で乾燥する。しかしながら、多様な温度および湿度レベルを使用して微小突起上のコーティング製剤を乾燥し得る。加えて、被覆された部材は、加熱、凍結乾燥(lyophilized)、凍結乾燥(freeze dried)若しくはコーティングから水を除去するのに使用される類似の技術し得る。
【0178】
今や図6を参照すれば、本発明の範囲内で使用し得るさらなる微小突起(すなわち送達)系(一般に「80」と明示される)が示される。図6に具体的に説明されるとおり、系60は、ゲルパック62、および図1に示される微小突起部材30のような微小突起部材を有する微小突起アセンブリ70を包含する。
【0179】
今や図4を参照すれば、ゲルパック62は、予め決められた量のヒドロゲル製剤68をその中に受領するよう適合されている中央に配置されたリザーバすなわち開口部66を有するハウジングすなわちリング64を包含する。図4に具体的に説明されるとおり、リング64は、リング64の外平坦表面に配置されている裏地部材65をさらに包含する。好ましくは、裏地部材65はヒドロゲル製剤に対し不浸透性である。
【0180】
好ましい一態様において、ゲルパック60は、慣習的接着剤を介してゲルパックリング64の外表面に接着されている除去可能な剥離裏紙69をさらに包含する。下に詳細に記述されるとおり、剥離裏紙69は、適用(若しくは嵌合)される微小突起アセンブリ70へのゲルパック60の適用前に除去される。
【0181】
今や図5を参照すれば、微小突起アセンブリ70は裏地部材リング72および類似の微小突起列32を包含する。微小突起アセンブリは皮膚付着リング74をさらに包含する。
【0182】
具体的に説明されるゲルパック60および微小突起アセンブリ70のさらなる詳細、ならびに、本発明の範囲内で使用し得るそれらの付加的な態様は、同時係属出願第10/971,430号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に示されている。
【0183】
上に示されたとおり、本発明の少なくとも一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する。本発明の代替の一態様において、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠き、そしてこれゆえに単に水和機構である。
【0184】
本発明により、ヒドロゲル製剤がエポエチンに基づく剤を欠く場合、エポエチンに基づく剤は、上述されたところの微小突起列32上に被覆されるか、または示される同時係属出願第10/971,430号明細書に開示されるような微小突起列32の皮膚側若しく
は列32の上面上の、PCT公開第WO 98/28037号明細書(同様にそっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されるような固体薄膜に含有されるかのいずれかである。
【0185】
好ましくは、本発明のヒドロゲル製剤は水に基づくヒドロゲルを含んでなる。ヒドロゲルは、それらの高水分含量および生体適合性により好ましい製剤である。
【0186】
当該技術分野で公知であるとおり、ヒドロゲルは水中で膨潤される巨大分子ポリマー網状構造である。適するポリマー網状構造の例は、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、デキストランおよびプルロニック(pluronic)を制限なしに包含する。最も好ましいポリマー物質はセルロース誘導体である。これらのポリマーは多様な平均分子量を提示する多様な等級で得ることができ、そして従って多様な流動学的特性を表す。
【0187】
好ましくは、ポリマー物質の濃度はヒドロゲル製剤のおよそ0.5〜40重量%の範囲にある。
【0188】
本発明のヒドロゲル製剤は、好ましくは、製剤および微小突起列ならびに皮膚、ならびに場合によっては固体薄膜の間の至適の接触を確立するために重要である、十分な湿潤特性を該製剤が表すことを保証するのに十分な表面活性を有する。
【0189】
本発明により、十分な湿潤特性は、両親媒性の特性を有する界面活性剤若しくはポリマー物質のような湿潤剤をヒドロゲル製剤中に組み込むことにより達成される。場合によっては、湿潤剤は固体薄膜にもまた組み込み得る。
【0190】
本発明により、界面活性剤(1種若しくは複数)は、両性イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る。適する界面活性剤の例は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ラウリン酸ソルビタンのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを制限なしに包含する。最も好ましい界面活性剤は、Tween 20、Tween 80およびSDSを包含する。
【0191】
好ましくは、界面活性剤の濃度は、ヒドロゲル製剤のおよそ0.001〜2重量%の範囲にある。両親媒性の特性を表すポリマーの濃度は、好ましくはヒドロゲル製剤のおよそ0.5〜40重量%の範囲にある。
【0192】
当業者により認識されるであろうとおり、示される湿潤剤、界面活性剤若しくはポリマー物質は別個に若しくは組合せで使用し得る。
【0193】
本発明のさらなる一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0194】
本発明により、ヒドロゲル製剤は、同様に、同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書に開示される経路開存性調節剤の最低1種を包含し得る。
【0195】
ヒドロゲル製剤は、前述の血管収縮剤の最低1種をさらに包含し得る。
【0196】
別の態様において、ヒドロゲル製剤は、同様に非還元糖、多糖若しくは還元糖を含み得る前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0197】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の抗酸化剤の1種を包含する。
【0198】
本発明の一態様において、ヒドロゲル製剤は前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0199】
本発明の別の態様において、ヒドロゲル製剤は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。好ましくは、非水性溶媒は、ヒドロゲル製剤のおよそ1重量%ないし50重量%の範囲で存在する。
【0200】
本発明のヒドロゲル製剤は、該製剤がゲルパック60中に含有され得、適用過程の間その完全性を保ち、そしてそれが微小突起アセンブリの開口部を通りかつ皮膚経路中に流動し得るように十分に流動性であるように、適切な粘度を表す。
【0201】
ニュートンの特性を表すヒドロゲル製剤について、ヒドロゲル製剤の粘度は、好ましくは、25℃で測定される際におよそ2〜300ポアズ(P)の範囲にある。剪断減粘性ヒドロゲル製剤について、25℃で測定される際の粘度は、好ましくは、それぞれ667/sおよび2667/sの剪断速度で1.5〜30P若しくは0.5および10Pの範囲にある。ダイラタント製剤については、25℃で測定される際の粘度は、好ましくは667/sの剪断速度でおよそ1.5〜30Pの範囲にある。
【0202】
示されるとおり、本発明の少なくとも一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を含有する。本発明によれば、ヒドロゲル製剤が前述のエポエチンに基づく剤の1種を含有する場合、該エポエチンに基づく剤は飽和を越えた若しくは飽和の下の濃度で存在し得る。該微小突起系で使用されるエポエチンに基づく剤の量は、所望の結果を達成するために治療上有効な量のエポエチンに基づく剤を送達するのに必要な量であることができる。実務において、これは、特定のエポエチンに基づく剤、送達の部位、状態の重症度および所望の治療効果に依存して広範に変動することができる。
【0203】
本発明の一態様において、エポエチンに基づく剤の濃度は、ヒドロゲル製剤の最低0.1〜2重量%の範囲にある。
【0204】
好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、およそ10〜200μgの範囲にある。より好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、2週ごとに1回および1日1回まで送達される、約15〜150μgの範囲にある。
【0205】
本発明のなお別の態様によれば、エポエチンに基づく剤を送達するための微小突起系は、(i)ヒドロゲル製剤を含有するゲルパック、ならびに(ii)上および底面、微小突起部材を通り伸長する複数の開口部、ならびに微小突起部材の底面から突出する複数の角質層を貫通する微小突起を有する微小突起部材を含んでなり、該微小突起部材は最低1種のエポエチンに基づく剤を有する固体薄膜を包含する。示される系の詳細は、同時係属出願第10/971,430号明細書(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に示される。
【0206】
本発明の一態様によれば、固体薄膜は微小突起部材の上面に近接して配置される。別の態様において、固体薄膜は微小突起部材の底面に近接して配置される。
【0207】
一態様において、ヒドロゲル製剤は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する。
【0208】
別の態様において、ヒドロゲル製剤はエポエチンに基づく剤を欠く。
【0209】
一態様において、固体薄膜は、エポエチンに基づく剤、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)若しくはプルロニック(pluronic)のようなポリマー物質、グリセロール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールのような可塑剤、Tween 20若しくはTween 80のような界面活性剤、および水、イソプロパノール、メタノール若しくはエタノールのような揮発性溶媒よりなる液体製剤を流延することにより作成される。
【0210】
一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、0.1〜20重量%のエポエチンに基づく剤、5〜40重量%のポリマー、5〜40重量%の可塑剤、0〜2重量%の界面活性剤、および残りの揮発性溶媒を含んでなる。流延することおよび溶媒のその後の蒸発後に、固体薄膜が生じられる。
【0211】
好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH4.5より下若しくはおよそpH5.0より上である。より好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される製剤のpHは、およそpH2ないしpH4.5の範囲、若しくはおよそpH5.0ないしpH11の範囲にある。なおより好ましくは、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤のpHは、およそpH2ないしpH4の範囲、若しくはおよそpH5.5ないしpH9.5の範囲にある。
【0212】
別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の安定剤の最低1種を包含する。
【0213】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の緩衝剤の最低1種を包含する。
【0214】
本発明の別の態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の可溶化剤/複合体形成剤の最低1種を包含する。
【0215】
本発明の一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の抗酸化剤の最低1種を包含する。
【0216】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の血管収縮剤の最低1種を包含する。
【0217】
本発明のさらなる一態様において、固体薄膜を生じるのに使用される液体製剤は、前述の経路開存性調節剤の最低1種を包含する。
【0218】
上に述べられたとおり、本発明の送達系に適する製剤と適合性のエポエチン剤の溶解性
は、約pH4.5より下若しくは約pH5.0より上で達成されることが期待される。従って、本明細書に詳述されるコーティング、ヒドロゲルおよび固体薄膜製剤の態様のそれぞれは、エポエチン剤および所望の製剤pH範囲に適切な対イオン若しくは対イオン混合物を包含し得る。
【0219】
本発明の一態様において、酸性対イオンは非揮発性弱酸を含んでなる。非揮発性弱酸の対イオンは、最低1個の酸性のpKa、およびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱酸と定義する。こうした酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を包含する。
【0220】
本発明の別の態様において、対イオンは強酸を含んでなる。強酸は約2より低い最低1個のpKaを提示することと定義する。こうした酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を包含する。
【0221】
本発明の別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が非揮発性弱酸を含んでなる対イオンの混合物を含んでなる。
【0222】
本発明のなお別の態様において、対イオンは、対イオンの最低1種が強酸を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱酸を含んでなる、対イオンの混合物を含んでなる。高度に揮発性の弱酸の対イオンは、約2より高い最低1個のpKaを提示し、かつ、Patmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を有する弱酸と定義する。こうした酸の例は、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸などを包含する。
【0223】
本発明の別の態様において、塩基性対イオンは低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる。低揮発性弱塩基の対イオンは、最低1個の塩基性pKa、およびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例は、モノエタノロミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミン、グルコサミンを包含する。
【0224】
本発明の別の態様において、対イオンは約12より高い最低1個のpKaを提示する強塩基を含んでなる。こうした塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを包含する。
【0225】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が低揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。
【0226】
本発明の別の態様は、対イオンの最低1種が強塩基を含んでなりかつ対イオンの最低1種が高揮発性をもつ弱塩基を含んでなる対イオンの混合物に向けられる。高揮発性弱塩基の対イオンは、約12より低い最低1個のpKa、およびPatmで約50℃より低い融点若しくは約170℃より低い沸点を提示する弱塩基と定義する。こうした塩基の例はアンモニアおよびモルホリンを包含する。
【0227】
本発明の一態様によれば、エポエチンに基づく剤の患者への送達方法は、以下の段階、すなわち(i)最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する生体適合性コーティングを有する微小突起部材(例えば30)を提供する段階、および(ii)該被覆された微小突起部材を患者の皮膚に適用し、該微小突起が角質層を貫通する段階を包含する。被覆された微小突起部材は、好ましくは5秒から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0228】
本発明のさらなる一態様によれば、エポエチンに基づく剤の患者への送達方法は、以下の段階、すなわち(i)固体薄膜が部材に近接して(若しくはその上に)配置されている微小突起部材(例えば30)を提供する段階(該薄膜は最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する)、および(ii)該微小突起部材を患者の皮膚に適用し、該微小突起が角質層を貫通する段階を包含する。微小突起部材は、好ましくは5分から24時間まで持続する期間、皮膚上に残される。所望の装用時間後に、微小突起部材を除去する。
【0229】
本発明の別の態様において、微小突起アセンブリ70を患者の皮膚に適用する。微小突起アセンブリ70の適用後に、剥離裏紙69をゲルパック60から除去する。ゲルパック60をその後微小突起アセンブリ70上に置き、それによりヒドロゲル製剤68が微小突起列32中の開口部38を通ってゲルパック60から放出され、微小突起34により形成された角質層中の微小スリットを通過し、微小突起34の外表面から下にかつ角質層を通り移動して局所若しくは全身治療を達成する。
【0230】
好ましくは、ゲルパック60はおよそ5分ないし24時間の範囲の時間、患者の皮膚上に残される。所望の装用時間後に、ゲルパック60および微小突起アセンブリ70を皮膚から除去する。
【0231】
本発明の一態様において、微小突起アセンブリ70は、図2に具体的に説明されるとおり、最低1種のエポエチンに基づく剤を包含する生体適合性コーティングをその上に配置されている微小突起列34を包含する。
【0232】
別の態様において、エポエチンに基づく剤はゲルパック60中のヒドロゲル製剤に含有される。
【0233】
さらなる一態様において、エポエチンに基づく剤は、ゲルパック60中のヒドロゲル製剤、および微小突起アセンブリ70に塗布された生体適合性コーティング中に含有される。
【0234】
本発明のさらなる一態様によれば、微小突起アセンブリ70を患者の皮膚に適用しそして即座に除去する。剥離裏紙69をその後ゲルパック60から除去し、そしてゲルパック60を前処理した皮膚上に置き、それによりヒドロゲル製剤68がゲルパック60から放出され、そして微小突起34により形成された角質層中の微小スリットを通過する。
【0235】
好ましくは、ゲルパック60は、およそ5分ないし24時間の範囲の時間、患者の皮膚上に残される。所望の装用時間後に、ゲルパック60を皮膚から除去する。
【0236】
示される態様において、エポエチンに基づく剤はゲルパック60中のヒドロゲル製剤中に含有される。
【0237】
前述の態様のいずれにおいても、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量はおよそ10〜200μgの範囲である。より好ましくは、投与あたりに皮内に送達されるエポエチンに基づく剤の総用量は、2週ごとに1回および1日1回まで送達される約15〜150μgの範囲にある。
【0238】
皮膚障壁を横断する薬物輸送を助長するために、本発明はまた、多様なイオントフォレーシス若しくは電気輸送系とともにも使用し得ることが当業者により認識されるであろう。本発明はこの点については決して制限されないからである。具体的に説明する電気輸送薬物送達系は、米国特許第5,147,296号、同第5,080,646号、同第5,169,382号および同第5,169383号明細書(それらの開示はそっくりそのま
ま本明細書に引用することにより組み込まれる)に開示されている。
【0239】
「電気輸送」という用語は、一般に、皮膚、粘膜、爪などのような体表面を通る有益な剤、例えば薬物若しくは薬物前駆体の通過を指す。剤の輸送は、剤若しくは「逆」電気輸送についてはサンプルを送達するか若しくはその送達を高めるかまたは剤のサンプリングを高める電流の適用をもたらす電位の適用により誘導されるか若しくは高められる。人体への若しくは人体からの剤の電気輸送は多様な様式で達成し得る。
【0240】
1種の広範に使用される電気輸送過程、イオントフォレーシスは、荷電したイオンの電気で誘導される輸送を必要とする。荷電していないすなわち中性に荷電した分子の経皮輸送(例えばブドウ糖の経皮サンプリング)に関与する別の型の電気輸送過程、電気浸透は、電場の影響下での剤を含む溶媒の膜を通る移動を必要とする。なお別の型の電気輸送、電気穿孔は、膜に電気パルス(高電圧パルス)を適用することにより形成される孔を通る剤の通過を必要とする。
【0241】
多くの場合、示される過程の1種以上が異なる程度まで同時に発生しているとみられる。従って、「電気輸送」という用語は、剤が実際に輸送されている特定の機構(1種若しくは複数)に関係なく、最低1種の荷電した若しくは荷電していない剤またはそれらの混合物の電気で誘導された若しくは高められた輸送を包含するように、その最も広範な可能な解釈を本明細書で与えられる。加えて、ソノフォレーシス若しくは圧電素子のような他の輸送増強方法を本発明とともに使用し得る。
【0242】
本発明を電気輸送、ソノフォレーシス若しくは圧電系とともに使用する場合、微小突起アセンブリ70をまず、上に説明されたとおり皮膚に適用する。剥離裏紙69を、電気輸送、ソノフォレーシス若しくは圧電系の一部であるゲルパック60から除去する。このアセンブリをその後皮膚デンプレート上に置き、それによりヒドロゲル製剤68がゲルパック60から放出され、そして微小突起34により形成された角質層中の微小スリットを通過して、電気輸送、ソノフォレーシス若しくは圧電過程を介する薬物輸送の付加的な促進を伴う局所若しくは全身治療を達成する。示される系の1種とともに本発明を使用する場合、総皮膚接触面積はおよそ2〜120cm2の範囲にあり得る。
【0243】
実施例
以下の実施例は、当業者が本発明をより明瞭に理解しかつ実施することを可能にするために示される。それらは本発明の範囲を制限するとみなされるべきでなく、しかし単にその代表として具体的に説明されるとみなされるべきである。
【実施例1】
【0244】
送達効力:およそpH7.0のpHを有する2.5重量%のエポエチンα溶液を調製する。0.1重量%のヒドロキシエチルセルロースおよび0.2重量%の界面活性剤Tween 20をその後添加する。コーティング溶液をその後、米国特許公開第2002/0132054号明細書に記述されるコーティング方法を使用して微小突起に塗布する。コーティングを評価し、そして突起全体に良好に分布されていることが見出される。2cm2の装置の被覆しかつ乾燥した突起は、60μgのエポエチンに基づく剤を含有することが見出される。該装置を被験体の皮膚に適用しかつ5分の持続時間それに接触させて維持する場合、突起上に含有されるエポエチンに基づく剤の80%以上の送達が達成される。
【実施例2】
【0245】
薬物動態評価:pH7の水中に1重量%のEPO、2重量%のヒドロキシエチルセルロースおよび0.2重量%の界面活性剤Tween 20を含んでなるヒドロゲル製剤を調製する。経路開存性調節剤もまた該製剤中に存在する。微小突起部材をその後、(同時係
属出願第10/971,430号明細書に記述されるとおり)被験体の皮膚に24時間適用する。適用後、血液サンプルを多様な時点で採取し、そしてエポエチンに基づく含量について評価する。薬物動態評価は、24時間の適用時間にわたる約150μgの送達を示す。
【0246】
本発明の技術思想および範囲から離れることなく、当業者は、本発明を多様な使用および条件に適合させるように、本発明に対する多様な変更および改変を行い得る。であるから、これらの変更および改変は、適正に、公正に、かつ、以下の請求の範囲の同等物の完全な範囲内にあることを意図している。
【0247】
さらなる特徴および利点は、付随する図面に具体的に説明されるところの本発明の好ましい態様の以下のかつより具体的な記述から明らかになることができ、そして、ここで、類似の参照される文字は一般に図面を通じて同一の部分若しくは要素を指し、ここで:
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】微小突起部材の一例の一部分の透視図である。
【図2】本発明の微小突起上にコーティングが堆積されている、図1に示される微小突起部材の透視図である。
【図3】接着性の裏地を有する微小突起部材の側断面図である。
【図4】微小突起系のゲルパックの一態様の拡大透視図である。
【図5】微小突起系の微小突起部材の一態様の拡大透視図である。
【図6】図4に示されるゲルパックおよび図5に示される微小突起部材を含んでなる微小突起アセンブリの一態様の透視図である。
【図7】微小突起部材がその中に配置されている保持装置の側断面図である。
【図8】図7に示される保持装置の透視図である。
【図9】アプリケーターおよび保持装置の拡大透視図である。
【図10】エポエチンに基づく剤の予測される電荷プロファイルを具体的に説明するグラフである。
【図11】エポエチンに基づく剤の正味の電荷種の予測されるモル比を具体的に説明するグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の角質層を貫通するよう適合されている複数の微小突起を有する微小突起部材;および
前記微小突起部材上に配置された生体適合性コーティングであって、最低1種のエポエチンに基づく剤を配置させているコーティング製剤から形成される前記コーティング、
を含んでなる、エポエチンに基づく剤を患者に経皮送達するための送達系。
【請求項2】
前記コーティングが、前記複数の微小突起の最低1個上に配置されている、請求項1に記載の送達系。
【請求項3】
前記コーティング製剤が水性製剤を含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項4】
前記コーティング製剤が非水性製剤を含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項5】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項1に記載の送達系。
【請求項6】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項5に記載の送達系。
【請求項7】
前記エポエチンに基づく剤が、前記コーティング製剤のおよそ1〜30重量%の範囲で含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項8】
微小突起部材上のコーティングが、約15ないし200μgの範囲のエポエチンに基づく剤の用量を含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項9】
前記コーティング製剤のpHがおよそpH4.5より下若しくはおよそpH5より上である、請求項1に記載の送達系。
【請求項10】
前記コーティング製剤が、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される最低1種の緩衝剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項11】
前記コーティング製剤が、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、ポリソルベート、ソルビタン誘導体、アルコキシル化アルコールおよびそれらの混合物よりなる群から選択される最低1種の界面活性剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項12】
前記コーティング製剤が、エポエチンに基づく剤の電荷を中和するための最低1種の対イオンを包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項13】
前記コーティング製剤が、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物よ
りなる以下の群から選択される1種の親水ポリマーを包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項14】
前記コーティング製剤が、ヒトアルブミン、生物工学により作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノース、スタキオース、マンニトールおよび類似の糖アルコールよりなる群から選択される1種の生体適合性担体を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項15】
前記コーティング製剤が、非還元糖、多糖および還元糖よりなる群から選択される1種の安定剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項16】
前記コーティング製剤が、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタイミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダンゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される最低1種の血管収縮剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項17】
前記コーティング製剤が、浸透物質、両性イオン化合物、抗炎症薬および抗凝固薬よりなる群から選択される最低1種の経路開存性調節物質を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項18】
前記コーティング製剤が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンよりなる群から選択される1種の可溶化剤/複合体形成剤(complexing agent)を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項19】
患者の角質層を貫通するよう適合されている複数の微小突起を有する微小突起部材;および
最低1種のエポエチンに基づく剤を有するヒドロゲル製剤であって、前記微小突起部材と連絡している前記ヒドロゲル製剤、
を含んでなる、エポエチンに基づく剤を患者に経皮送達するための送達系。
【請求項20】
前記エポエチンに基づく剤が、ヒドロゲル製剤のおよそ1ないし30重量%の範囲で含んでなる、請求項19に記載の送達系。
【請求項21】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項19に記載の送達系。
【請求項22】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項19に記載の送達系。
【請求項23】
前記ヒドロゲル製剤のpHがおよそpH4.5より下若しくはおよそpH5より上である、請求項19に記載の送達系。
【請求項24】
前記ヒドロゲル製剤が、巨大分子ポリマー網状構造を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる、請求項19に記載の送達系。
【請求項25】
前記ヒドロゲル製剤が、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、ポリソルベート、ソルビタン誘導体およびアルコキシル化アルコールよりなる群から選択される最低1種の界面活性剤を包含する、請求項19に記載の送達系。
【請求項26】
患者の角質層を貫通するように適合されている複数の微小突起を有する微小突起部材;前記微小突起部材に近接して配置された固体状態の製剤;および
前記固体状態の製剤と連絡するよう適合されているヒドロゲル製剤、
を含んでなる、エポエチンに基づく剤を患者に経皮送達するための送達系。
【請求項27】
前記固体状態の製剤が、最低1種のエポエチンに基づく剤、ポリマー物質、可塑剤、界面活性剤および揮発性溶媒を含んでなる液体製剤を流延することにより作成される固体薄膜である、請求項26に記載の送達系。
【請求項28】
前記液体製剤が、1〜30重量%のエポエチンに基づく剤、5〜40重量%のポリマー、5〜40重量%の可塑剤、0〜2重量%の界面活性剤、および揮発性溶媒を含んでなる残りを含んでなる、請求項27に記載の送達系。
【請求項29】
前記液体製剤のpHがおよそpH4.5より下若しくはおよそpH5より上である、請求項26に記載の送達系。
【請求項30】
複数の微小突起を有する微小突起部材を提供する段階であって、前記微小突起部材はその上にコーティングを配置され、前記コーティングは最低1種のエポエチンに基づく剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより前記複数の微小突起が角質層を貫通しかつ前記エポエチンに基づく剤を前記患者に送達する段階;および
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項31】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5秒ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記エポエチンに基づく剤が、前記生体適合性コーティングのおよそ15〜200μgの範囲で含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
微小突起部材およびゲルパックを有する微小突起アセンブリを提供する段階であって、前記微小突起部材は複数の微小突起を包含し、前記ゲルパックは最低1種のエポエチンに
基づく剤を有するヒドロゲル製剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより複数の微小スリットが患者の角質層に形成される段階;
前記ゲルパックを前記微小突起部材上に置いて、それにより前記ヒドロゲル製剤が前記ゲルパックから放出されかつ前記微小突起により形成された前記微小スリット中にかつそれらを通り移動する段階;ならびに
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項37】
前記ゲルパックが剥離裏紙を包含し、かつ、前記方法が、前記微小突起部材上に前記ゲルパックを置く前に前記剥離裏紙を除去する段階を包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記微小突起部材が、最低1種のエポエチンに基づく剤を有する生体適合性コーティングを包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5分ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記エポエチンに基づく剤が、前記ヒドロゲル製剤のおよそ1〜30重量%の範囲で含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
微小突起部材およびゲルパックを有する微小突起アセンブリを提供する段階であって、前記微小突起部材は複数の微小突起を包含し、前記微小突起部材は最低1種のエポエチンに基づく剤を有する生体適合性コーティングをさらに包含し、前記ゲルパックはヒドロゲル製剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより複数の微小スリットが患者の角質層に形成される段階;
前記ゲルパックを前記微小突起部材上に置いて、それにより前記ヒドロゲル製剤が前記ゲルパックから放出されかつ前記微小突起により形成された前記微小スリット中にかつそれらを通り移動する段階;ならびに
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項45】
前記ゲルパックが剥離裏紙を包含し、かつ、前記方法が、前記微小突起部材上に前記ゲルパックを置く前に前記剥離裏紙を除去する段階を包含する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5分ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれ
らの組合せよりなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記エポエチンに基づく剤が、前記生体適合性コーティングのおよそ15μg〜200μgの範囲で含んでなる、請求項44に記載の送達系。
【請求項49】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
微小突起部材、ゲルパックおよび固体状態の製剤を有する微小突起アセンブリを提供する段階であって、前記微小突起部材は複数の微小突起を包含し、前記ゲルパックはヒドロゲル製剤を包含し、前記固体状態の製剤は前記微小突起部材に近接して配置されかつ最低1種のエポエチンに基づく剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより複数の微小スリットが患者の角質層に形成される段階;
前記ゲルパックを前記微小突起部材上に置いて、それにより前記ヒドロゲル製剤が前記ゲルパックから放出され、かつ、前記微小突起により形成された前記微小スリット中にかつそれらを通り移動する段階;ならびに
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項52】
前記ゲルパックが剥離裏紙を包含し、かつ、前記方法が、前記微小突起部材上に前記ゲルパックを置く前に前記剥離裏紙を除去する段階を包含する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5分ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記固体状態の製剤が、およそ1〜30重量%の範囲の前記エポエチンに基づく剤を有する液体製剤から形成される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項51に記載の方法。
【請求項1】
患者の角質層を貫通するよう適合されている複数の微小突起を有する微小突起部材;および
前記微小突起部材上に配置された生体適合性コーティングであって、最低1種のエポエチンに基づく剤を配置させているコーティング製剤から形成される前記コーティング、
を含んでなる、エポエチンに基づく剤を患者に経皮送達するための送達系。
【請求項2】
前記コーティングが、前記複数の微小突起の最低1個上に配置されている、請求項1に記載の送達系。
【請求項3】
前記コーティング製剤が水性製剤を含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項4】
前記コーティング製剤が非水性製剤を含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項5】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項1に記載の送達系。
【請求項6】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項5に記載の送達系。
【請求項7】
前記エポエチンに基づく剤が、前記コーティング製剤のおよそ1〜30重量%の範囲で含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項8】
微小突起部材上のコーティングが、約15ないし200μgの範囲のエポエチンに基づく剤の用量を含んでなる、請求項1に記載の送達系。
【請求項9】
前記コーティング製剤のpHがおよそpH4.5より下若しくはおよそpH5より上である、請求項1に記載の送達系。
【請求項10】
前記コーティング製剤が、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される最低1種の緩衝剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項11】
前記コーティング製剤が、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、ポリソルベート、ソルビタン誘導体、アルコキシル化アルコールおよびそれらの混合物よりなる群から選択される最低1種の界面活性剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項12】
前記コーティング製剤が、エポエチンに基づく剤の電荷を中和するための最低1種の対イオンを包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項13】
前記コーティング製剤が、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物よ
りなる以下の群から選択される1種の親水ポリマーを包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項14】
前記コーティング製剤が、ヒトアルブミン、生物工学により作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノース、スタキオース、マンニトールおよび類似の糖アルコールよりなる群から選択される1種の生体適合性担体を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項15】
前記コーティング製剤が、非還元糖、多糖および還元糖よりなる群から選択される1種の安定剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項16】
前記コーティング製剤が、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタイミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダンゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される最低1種の血管収縮剤を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項17】
前記コーティング製剤が、浸透物質、両性イオン化合物、抗炎症薬および抗凝固薬よりなる群から選択される最低1種の経路開存性調節物質を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項18】
前記コーティング製剤が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンよりなる群から選択される1種の可溶化剤/複合体形成剤(complexing agent)を包含する、請求項1に記載の送達系。
【請求項19】
患者の角質層を貫通するよう適合されている複数の微小突起を有する微小突起部材;および
最低1種のエポエチンに基づく剤を有するヒドロゲル製剤であって、前記微小突起部材と連絡している前記ヒドロゲル製剤、
を含んでなる、エポエチンに基づく剤を患者に経皮送達するための送達系。
【請求項20】
前記エポエチンに基づく剤が、ヒドロゲル製剤のおよそ1ないし30重量%の範囲で含んでなる、請求項19に記載の送達系。
【請求項21】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項19に記載の送達系。
【請求項22】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項19に記載の送達系。
【請求項23】
前記ヒドロゲル製剤のpHがおよそpH4.5より下若しくはおよそpH5より上である、請求項19に記載の送達系。
【請求項24】
前記ヒドロゲル製剤が、巨大分子ポリマー網状構造を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる、請求項19に記載の送達系。
【請求項25】
前記ヒドロゲル製剤が、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、ポリソルベート、ソルビタン誘導体およびアルコキシル化アルコールよりなる群から選択される最低1種の界面活性剤を包含する、請求項19に記載の送達系。
【請求項26】
患者の角質層を貫通するように適合されている複数の微小突起を有する微小突起部材;前記微小突起部材に近接して配置された固体状態の製剤;および
前記固体状態の製剤と連絡するよう適合されているヒドロゲル製剤、
を含んでなる、エポエチンに基づく剤を患者に経皮送達するための送達系。
【請求項27】
前記固体状態の製剤が、最低1種のエポエチンに基づく剤、ポリマー物質、可塑剤、界面活性剤および揮発性溶媒を含んでなる液体製剤を流延することにより作成される固体薄膜である、請求項26に記載の送達系。
【請求項28】
前記液体製剤が、1〜30重量%のエポエチンに基づく剤、5〜40重量%のポリマー、5〜40重量%の可塑剤、0〜2重量%の界面活性剤、および揮発性溶媒を含んでなる残りを含んでなる、請求項27に記載の送達系。
【請求項29】
前記液体製剤のpHがおよそpH4.5より下若しくはおよそpH5より上である、請求項26に記載の送達系。
【請求項30】
複数の微小突起を有する微小突起部材を提供する段階であって、前記微小突起部材はその上にコーティングを配置され、前記コーティングは最低1種のエポエチンに基づく剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより前記複数の微小突起が角質層を貫通しかつ前記エポエチンに基づく剤を前記患者に送達する段階;および
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項31】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5秒ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記エポエチンに基づく剤が、前記生体適合性コーティングのおよそ15〜200μgの範囲で含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
微小突起部材およびゲルパックを有する微小突起アセンブリを提供する段階であって、前記微小突起部材は複数の微小突起を包含し、前記ゲルパックは最低1種のエポエチンに
基づく剤を有するヒドロゲル製剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより複数の微小スリットが患者の角質層に形成される段階;
前記ゲルパックを前記微小突起部材上に置いて、それにより前記ヒドロゲル製剤が前記ゲルパックから放出されかつ前記微小突起により形成された前記微小スリット中にかつそれらを通り移動する段階;ならびに
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項37】
前記ゲルパックが剥離裏紙を包含し、かつ、前記方法が、前記微小突起部材上に前記ゲルパックを置く前に前記剥離裏紙を除去する段階を包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記微小突起部材が、最低1種のエポエチンに基づく剤を有する生体適合性コーティングを包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5分ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記エポエチンに基づく剤が、前記ヒドロゲル製剤のおよそ1〜30重量%の範囲で含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
微小突起部材およびゲルパックを有する微小突起アセンブリを提供する段階であって、前記微小突起部材は複数の微小突起を包含し、前記微小突起部材は最低1種のエポエチンに基づく剤を有する生体適合性コーティングをさらに包含し、前記ゲルパックはヒドロゲル製剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより複数の微小スリットが患者の角質層に形成される段階;
前記ゲルパックを前記微小突起部材上に置いて、それにより前記ヒドロゲル製剤が前記ゲルパックから放出されかつ前記微小突起により形成された前記微小スリット中にかつそれらを通り移動する段階;ならびに
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項45】
前記ゲルパックが剥離裏紙を包含し、かつ、前記方法が、前記微小突起部材上に前記ゲルパックを置く前に前記剥離裏紙を除去する段階を包含する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5分ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれ
らの組合せよりなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記エポエチンに基づく剤が、前記生体適合性コーティングのおよそ15μg〜200μgの範囲で含んでなる、請求項44に記載の送達系。
【請求項49】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
微小突起部材、ゲルパックおよび固体状態の製剤を有する微小突起アセンブリを提供する段階であって、前記微小突起部材は複数の微小突起を包含し、前記ゲルパックはヒドロゲル製剤を包含し、前記固体状態の製剤は前記微小突起部材に近接して配置されかつ最低1種のエポエチンに基づく剤を包含し;
前記微小突起部材を患者の皮膚部位に適用して、それにより複数の微小スリットが患者の角質層に形成される段階;
前記ゲルパックを前記微小突起部材上に置いて、それにより前記ヒドロゲル製剤が前記ゲルパックから放出され、かつ、前記微小突起により形成された前記微小スリット中にかつそれらを通り移動する段階;ならびに
前記微小突起部材を前記皮膚部位から除去する段階
を含んでなる、エポエチンに基づく剤の患者への経皮送達方法。
【請求項52】
前記ゲルパックが剥離裏紙を包含し、かつ、前記方法が、前記微小突起部材上に前記ゲルパックを置く前に前記剥離裏紙を除去する段階を包含する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記微小突起部材が、前記皮膚部位に5分ないし24時間の範囲の時間適用されたまま留まる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記エポエチンに基づく剤が、エポエチンα、エポエチンβ、ダルベポエチンα、ならびに製薬学的に許容できる塩、アナログ、単純な誘導体、緊密に関係した分子およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記固体状態の製剤が、およそ1〜30重量%の範囲の前記エポエチンに基づく剤を有する液体製剤から形成される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記エポエチンに基づく剤がエポエチンαを含んでなる、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記エポエチンに基づく剤の前記送達が、皮下送達の薬物動態の特徴に比較して改良された薬物動態を表す、請求項51に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−530230(P2008−530230A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556298(P2007−556298)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/005524
【国際公開番号】WO2006/089056
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/005524
【国際公開番号】WO2006/089056
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
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