説明

エレクトロルミネセンス物質およびデバイス

エレクトロルミネセンス組成物は、ホスト物質に混合した芳香族置換アントラセン化合物であるドーパントを含む。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネセンス組成物(electroluminescent compositions)と、エレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流を通したときに発光する物質は、よく知られており、ディスプレイ用途に広く用いられている。液晶デバイスおよび無機半導体系(inorganic semiconductor system)に基づいたデバイスが広く用いられている。しかしながら、これらはエネルギー消費が高いこと、生産コストが高いこと、量子効率が低いこと、および、フラットパネルディスプレイを生産することができないこと、という欠点を持っている。
【0003】
有機ポリマーは、エレクトロルミネセンスデバイスに用いるのに有用であると提案されているが、純色を得ることができず、生産コストが高い上に効率が比較的低い。
他に提案されている化合物は、アルミニウムキノラート(aluminium quinolate)であるが、色の範囲を得るために使用するにはドーパント(dopant)が必要である上、比較的効率が低い。
【0004】
特許出願「WO98/58037」には、改善された特質を有し、より優れた実験結果を与えるエレクトロルミネセンスデバイスとして使用することが可能な、ランタニド錯体の範囲が記載されている。特許出願「PCT/GB98/01773」、「PCT/GB99/0367」、「PCT/GB99/04030」、「PCT/GB99/04024」、「PCT/GB99/04028」、「PCT/GB00/00268」には、希土類キレートを用いたエレクトロルミネセンス錯体、構造、およびデバイスが記載されている。
【0005】
「US Patent 5128587」には、仕事関数が高い透明電極と仕事関数が低い第二電極との間に挟まれたランタニド系列の希土類元素の有機金属錯体、エレクトロルミネセンス層と透明高仕事関数電極(transparent high work function electrode)との間に入れられた正孔伝導層(hole conducting layer)、および、エレクトロルミネセンス層と低仕事関数電子注入アノード(electron injecting low work function anode)との間に入れられた電子伝導層(electron conducting layer)とから成る、エレクトロルミネセンスデバイスが開示されている。正孔伝導層と電子伝導層はデバイスの仕事と効率を向上させるために必要である。正孔輸送層(hole transporting layer)は、正孔を輸送して電子を遮断する役割を果たす。その結果、電子が正孔と再結合(recombining)しないで電極中に移動するのを防ぐ。このキャリアーの再結合は主に発光層(emitter layer)で起こる。
【0006】
アントラセンはエレクトロルミネセンス組成物であり、スペクトルの青色領域で発光させることができることが知られているが、その性能はエレクトロルミネセンスデバイスとして使用可能とするのに十分なものではない。
【発明の開示】
【0007】
現在、我々は、芳香族置換アントラセン化合物(aromatic substituted anthracene compound)をドープしたホスト物質(host material)を含むエレクトロルミネセンス組成物では特性が改善されていることを発見した。
【0008】
本発明に従って、ホスト物質と混合された、芳香族置換アントラセン化合物であるドーパント(dopant)を含むエレクトロルミネセンス組成物を提供する。
本発明は、(i) 第一電極、(ii) ホスト物質と混合された、芳香族置換アントラセン化合物であるドーパントを含むエレクトロルミネセンス組成物の層、および(iii) 第二電極を含む、エレクトロルミネセンスデバイスも提供する。
【0009】
好ましくは、芳香族置換アントラセン化合物は、以下の構造を有する。
【0010】
【化4】

【0011】
ここで、Arは芳香族基もしくは置換された芳香族基、アントラセンもしくはナフタレンのような置換または非置換ポリ芳香族基(polyaromatic group)であり、R1およびR2は同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基(aliphatic group)のような置換および非置換のヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基(trifruoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基(fluorocarbon group)、フッ素原子などのハロゲン類あるいはチオフェニル基から選択される。
【0012】
Arの例は以下のものである。
【0013】
【化5】

【0014】
ホスト物質は、芳香族置換芳香族化合物(aromatic substituted aromatic compound)のバンドギャップ(bandgap)よりも広いバンドギャップを有さなければならず、上のバンドレベル(the upper band level)は芳香族置換芳香族化合物の上のバンドレベルよりも高くなければならず、さらに、下のバンドレベル(the lower band level)は芳香族置換芳香族化合物の下のバンドレベルよりも低くなければならない。
【0015】
好ましくは、ホスト物質はエレクトロルミネセンス化合物である。
「US 4769292」で考察しているように、理論的には、もし、正孔-電子再結合(hole-electron recombination)への親和性が正確に同じである混合用のホスト物質と芳香族置換アントラセンを発見することができれば、それぞれの物質がルミネセンス領域(luminescent zone)へと正孔注入および電子注入をすると発光すると考えられる。認められる発光の色調は、両方の発光を視覚的に重ね合わせたものであろう。
【0016】
ホスト物質と芳香族置換アントラセン化合物とのバランスが非常に限定されているため、有利な発光サイト(the favoured sites for light emission)を提供する、芳香族置換アントラセン化合物を選択するのが好ましい。有利な発光サイトを提供する芳香族置換アントラセン化合物が少ない割合だけ存在する場合でも、芳香族置換アントラセン化合物に起因する新たなピーク発光波長強度(peak intensity wavelength emissions)の方が優勢になり、ホスト物質の典型的なピーク発光波長強度を完全に排除することができる。この効果をもたらすのに十分な芳香族置換アントラセン化合物の最小限の割合は、ホスト物質と芳香族置換アントラセン化合物の具体的な選択によって様々ではあるが、どのような場合であっても、ホスト物質のモル数に対して芳香族置換アントラセン化合物を約10モルパーセント以上用いる必要は無く、1モルパーセント以上の芳香族置換アントラセン化合物を用いる必要があることもほとんどない。一方、芳香族置換アントラセン化合物が存在しないでも発光可能な任意のホスト物質では、芳香族置換アントラセン化合物の存在を非常に少量(典型的にはホスト物質に対して約10-3モルパーセント未満)に限定して、そのホスト物質に特有の波長での発光を維持させることができる。従って、有利な発光サイトを提供する芳香族置換アントラセン化合物の割合を選択することによって、全体的な発光波長のシフトか部分的な発光波長のシフトを実現できる。このことから、用いようとする用途に適用する本発明に係るELデバイスの発光スペクトルを選択し、調整することができる。
【0017】
有利な発光サイトを提供する芳香族置換アントラセン化合物の選択をするには、芳香族置換アントラセン化合物の特性と、ホスト物質の特性とを関連付ける必要がある。ホスト物質は、発光用の分子サイトを提供する芳香族置換アントラセン化合物によって注入された正孔および電子を集めるものであるとみなすことができる。ホスト物質中に存在させて発光する色調を変更することができる芳香族置換アントラセン化合物を選択するために重要な関係の一つは、その二つの物質の還元電位を比較することである。発光波長のシフトを示す芳香族置換アントラセン化合物は、ホスト物質の還元電位に比べて負ではない還元電位を示す。エレクトロンボルト単位で計測した還元電位は、様々な測定方法とともに文献で広く報告されている。還元電位の絶対値よりもむしろ還元電位の比較が要求されるため、蛍光物質の還元電位とホスト物質の還元電位の両方を同様に測定できる、許容しうる任意の還元電位の測定法を用いることができることは明らかである。好ましい酸化還元電位の測定方法は「R. J. Cox, Photographic Sensitivity, Academic Press, 773, Chapter 15」に報告されているものである。
【0018】
ホスト物質中に存在させて発光する色調を変更することができる芳香族置換アントラセン化合物を選択するために二番目に重要な関係は、その二つの物質のバンドギャップポテンシャル(bandgap potential)の比較である。発光波長のシフトを示す芳香族置換アントラセン化合物は、ホスト物質のバンドギャップポテンシャルに比べて、低いバンドギャップポテンシャルを示す。分子のバンドギャップポテンシャルは、分子の基底状態(ground state)から最初の一重項状態まで(first singlet state)の電位差をエレクトロンボルト(eV)で表したものである。バンドギャップポテンシャルと様々な測定方法は文献で広く報告されている。本明細書で報告しているバンドギャップポテンシャルは、吸収ピークに深色移動(bathochromic)した吸収波長においてエレクトロンボルト単位で計測したもので、吸収ピークの強度をエレクトロンボルト単位にしたものの10分の1の強度である。バンドギャップポテンシャルの絶対値よりもむしろバンドギャップポテンシャルの比較が要求されるため、蛍光物質のバンドギャップポテンシャルとホスト物質のバンドギャップポテンシャルの両方を同様に測定できる、許容しうる任意のバンドギャップポテンシャルの測定法を用いることができることは明らかである。バンドギャップポテンシャルの測定方法の実例は、「F. Gutman and L. E. Lyons, Organic Semiconductors, Wiley, 767, Chapter 5」に開示されている。
【0019】
芳香族置換アントラセン化合物が存在しないでも発光可能な任意のホスト物質をホスト物質として選択した場合には、ホスト物質と芳香族置換アントラセン化合物とのスペクトルカップリング(spectral coupling)が起こると、ホスト物質のみに帰属する波長での発光が抑制されて、芳香族置換アントラセン化合物に帰属する波長の発光が増大した。スペクトルカップリングは、ホスト物質のみに帰属する発光波長と、ホスト物質が存在しないときの芳香族置換アントラセン化合物の光吸収波長(the wavelengths of light absorption)との間で、重なりがあることを意味している。前記置換アントラセン化合物が存在しないときの前記ホスト物質の最大発光波長が、前記置換アントラセン化合物のみの最大吸収波長から25nm以内であるときに、最適なスペクトルカップリングが起こる。実際には、発光波長のピークと吸収波長のピークの違いが100nm以上であっても、ピーク幅やピークの浅色曲線(hypsochromic slopes)および深色曲線(bathochromic slopes)に従って、有利なスペクトルカップリングが起こる可能性がある。ホスト物質と芳香族置換アントラセン化合物との間のスペクトルカップリングが最適ではないと予測される場合には、芳香族置換アントラセン化合物を深色置換(bathochromic displacement)すると、浅色置換(hypsochromic displacement)するのに比べて良い結果が得られる。
【0020】
上記の考察は正孔注入および電子注入に応答して発光することが知られているホスト物質を参照して行ったものであるが、芳香族置換アントラセン化合物の発光が、上記の任意の一つの条件もしくは様々な組み合わせによって、有利になる場合には、実際はホスト物質自身による発光を完全に止めることができる。発光の役割が芳香族置換アントラセン化合物に転換されたことによって、ホスト物質はさらに広い範囲から選択することができるということが理解できる。例えば、発光のために選択する物質への基本的要求は、内部吸収(internal absorption)を避けるために、発光波長における吸光係数が小さいもので無ければならないということである。本発明では、正孔注入および電子注入を継続することができるが、効率的に発光できないホスト物質を使用することを認めている。
【0021】
有用な芳香族置換アントラセン化合物はホスト物質と混合でき、本発明に係るエレクトロルミネセンスデバイスのルミネセンス領域を構成する前述の厚みの範囲を満たす薄膜中に加工することができる化合物である。結晶ホスト物質(crystalline host materials)が薄膜形成(thin film formation)に有用なものでなくても、ホスト物質中に制限された量の芳香族置換アントラセン化合物を存在させて、単独では薄膜形成できない芳香族置換アントラセン化合物を使用することができる。好ましい芳香族置換アントラセン化合物は、ホスト物質と共通相(common phase)を形成する化合物である。
【0022】
好ましいホスト物質は以下の構造式のような、共役芳香族化合物である。
【0023】
【化6】

【0024】
ここでR1およびR2は前述のとおりであるか、
あるいは以下の構造の化合物で、
【0025】
【化7】

【0026】
ここで、Mは金属であり、nはMの価数で、R1、R2、およびR3は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)、置換および非置換の脂肪族基(aliphatic group)、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基(trifluoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基(fluorocarbon group)、フッ素原子などのハロゲン類、もしくはチオフェニル基、または、ニトリル基から選択される基であり、R1、およびR3は、環構造を構成すること可能性もあり、R1、R2、およびR3は、例えばスチレンなどのモノマーと共重合する可能性があり、
あるいは以下の構造の化合物
【0027】
【化8】

【0028】
式中で、Phは非置換もしくは置換フェニル基であり、ここで前記置換基は同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類、あるいはチオフェニル基で、R、R1、およびR2は、水素、あるいは、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造のような置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類、もしくはチオフェニル基、または、ニトリル基である可能性がある。
【0029】
Rおよび/もしくはR1および/もしくはR2および/もしくはR3の例には、脂肪族基、芳香族アルコキシ基および複素環アルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換ならびに非置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基(phenanthrene)、アントラセン基(anthracene)、ナフチル基、およびフルオレン基(fluorene group)、t-ブチル基のようなアルキル基、ならびにカルバゾール基のような複素環基が含まれる。
【0030】
好ましくは、エレクトロルミネセンス組成物の層は、厚さが1μm以下の薄膜である。
本発明にかかるエレクトロルミネセンスデバイスでは、第一電極はカソードとして機能する可能性があり、第二電極はアノードとして機能する可能性があり、好ましくは正孔輸送物質(hole transporting material)の層が、アノードとエレクトロルミネセンス化合物の層の間に存在する。
【0031】
正孔輸送物質は、エレクトロルミネセンスデバイスに用いられる任意の正孔輸送物質とすることができる。
正孔輸送物質は、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、非置換もしくは置換のアミノ置換芳香族化合物のポリマー、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類などのような、アミン錯体(amine complex)とすることができる。ポリアニリン類の例としては以下のポリマーがあり、
【0032】
【化9】

【0033】
ここでRはオルト位、もしくはメタ位にあり、水素、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシル基もしくは以下に示す基である。
【0034】
【化10】

【0035】
ここでRはアルキル基もしくはアリール基で、R'は水素、少なくとも一つの上述の構造式(I)に示した他のモノマーを含むC1-6アルキル基もしくはC1-6アリール基である。
またあるいは、正孔輸送物質は、ポリアニリンとすることができる。本発明で用いることができるポリアニリン類は、以下の一般的構造を有している。
【0036】
【化11】

【0037】
ここでpは1〜10、nは1〜20、Rは先に定義したとおりであり、かつXがアニオンであり、好ましくは、Cl、Br、SO4、BF4、PF6、H2PO3、H2PO4、アリールスルホン酸イオン(arylsulphonate)、アレーンジカルボン酸イオン(arenedicarboxylate)、ポリスチレンスルホン酸イオン(polystyrenesulphonate)、ポリアクリル酸イオン(polyacrylate)、アルキルスルホン酸イオン(alkylsulphonate)、ビニルスルホン酸イオン(vinylsulphonate)、ビニルベンゼンスルホン酸イオン(vinylbenzene sulphonate)、セルローススルホン酸イオン(cellulose sulphonate)、ショウノウスルホン酸イオン(camphor sulphonate)、セルロース硫酸イオン(cellulose sulphate)、もしくは、全フッ素置換ポリアニオン(perfluorinated polyanion)から選択される。
【0038】
アリールスルホン酸イオン類の例としては、p-トルエンスルホン酸イオン(p-toluenesulphonate)、ベンゼンスルホン酸イオン(benzenesulphonate)、9,10-アントラキノン-スルホン酸イオン(9,10-anthraquinone-sulphonate)およびアントラセンスルホン酸イオン(anthracenesulphonate)がある。アレーンジカルボン酸イオンの例としてフタル酸イオン(phthalate)があり、アレーンカルボン酸の例として、安息香酸イオン(benzoate)がある。
【0039】
我々は、ポリアニリンなどの、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの、プロトン化されたポリマーは、蒸発(evaporate)しにくいか、または蒸発しないが、驚くべきことに、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーが脱プロトン化されると、簡単に蒸発できるようになること、すなわちポリマーが蒸発可能(evaporable)であることを、我々は見出した。
【0040】
好ましくは、蒸発可能な、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの脱プロトン化されたポリマーが用いられる。そのアミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換の脱プロトン化されたポリマーは、水酸化アンモニウムのようなアルカリ、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物で処理して、ポリマーの脱プロトン化をすることにより生成できる。
【0041】
プロトン化の程度は、プロトン化したポリアニリンの形成と脱プロトン化で調節することができる。ポリアニリン類の調製方法は、「A. G. MacDiarmid and A. F. Epstein, Faraday Discussions, Chem Soc.88 P319, 1989」の文献に記載されている。
【0042】
ポリアニリンの伝導率はプロトン化の程度に依存し、伝導率が最大となるのは、例えば約50%のように、プロトン化の程度が40%と60%の間であるときである。
好ましくは、ポリマーは実質的に完全に脱プロトン化されている。
【0043】
ポリアニリンは、例えば以下のようなオクタマー単位(octamer unit)、すなわちpが4であるようなもの、を形成する可能性がある。
【0044】
【化12】

【0045】
ポリアニリン類は1 x 10-1 Siemen cm-1 の桁以上の導電率を有する可能性がある。
芳香族環は非置換であるか、もしくは例えばエチル基のようなC1から20のアルキル基などで置換されている可能性がある。
【0046】
ポリアニリンはアニリンの共重合体である可能性があり、好ましい共重合体は、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸もしくはo-アミノフェノールとの共重合体、またはo-トルイジン(o-toluidine)とo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミン、もしくはアミノアントラセン類との共重合体である。
【0047】
使用することができるその他のアミノ置換芳香族化合物のポリマーには、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類、ポリアミノアントラセン類、ポリアミノフェナントレン類など、さらには、任意の他の縮合ポリ芳香族化合物のポリマーが含まれる。ポリアミノアントラセン類、および、それらを作る方法は「US Patent 6153726」に開示されている。芳香族環は非置換であっても良いし、例えば先に定義したR基で置換されているものでも良い。
【0048】
その他の正孔輸送物質は共役高分子(conjugated polymer)で、用いることができる共役高分子は、「US 5807627」、「PCT/WO90/13148」、および「PCT/WO92/03490」に開示もしくは参照されている、任意の共役高分子とすることができる。
【0049】
好ましい共役高分子は、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)および、PPVを含む共重合体である。その他の好ましい高分子は、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) などのポリ(2,5-ジアルコシキフェニレンビニレン)、ならびに、長鎖可溶化性アルコキシ基(long chain solubilising alkoxy group)であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類のうちの少なくとも一つを含む、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン類) である。
【0050】
PPVのフェニレン環は、任意に1箇所以上置換することができ、例えば個々に、アルキル基(好ましくはメチル基)、またはアルコキシ基(好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基)から独立に選択することができる。
【0051】
任意のポリ(アリーレンビニレン)(poly(arylenevinylene))には、用いることができるその置換誘導体も含まれ、ポリ(p-フェニレンビニレン) のフェニレン環は、アントラセン環もしくはナフタレン環のような縮合環系に置き換えることができ、それぞれのポリ(フェニレンビニレン)部分のビニレン基の数は例えば7つ以上のように増やすこともできる。
【0052】
共役高分子は「US 5807627」、「PCT/WO90/13148」、および「PCT/WO92/03490」に開示された方法で作ることができる。
正孔輸送層(hole transporting layer)の厚さは20nm〜200nmが好ましい。
【0053】
前述のポリアニリン類などのアミノ置換芳香族化合物のポリマーは、他の正孔輸送物質とともに、もしくは組み合わせて、バッファー層としても用いることができる。
その他のいくつかの正孔輸送物質の構造式を図4、5、6、7および8の図に示した。ここで、R1、R2、およびR3は同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類あるいはチオフェニル基から選択されるものであり、R1、R2、およびR3は置換および非置換の縮合芳香族環、複素環、および多環の環構造を形成する可能性もあり、スチレンなどのモノマーと共重合体を作る可能性がある。XはSe、SもしくはOであり、Yは水素、置換および非置換の芳香族基、複素環基、ならびに多環の環状構造のような、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン類、チオフェニル基もしくはニトリル基である可能性がある。
【0054】
R1および/もしくはR2および/もしくはR3の例には、脂肪族基、芳香族アルコキシ基および複素環アルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換ならびに非置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基(phenanthrene)、アントラセン基(anthracene)、ナフチル基、および、フルオレン基(fluorene group)、t-ブチル基のようなアルキル基、カルバゾール基のような複素環基が含まれる。
【0055】
オプションとして、電子注入物質(electron injecting material)の層が、カソードとエレクトロルミネセンス物質の層との間に存在する。電子注入物質は、電子注入物質中を電流が通ったときに電子を輸送する物質で、例えばアルミニウムキノラート、リチウムキノラート、ジルコニウムキノラートなどの金属キノラート(metal quinolate)のような金属錯体、構造式がMx(DBM)nである化合物(ここで式中のMxは金属であり、DBMはジベンゾイルメタンで、nはMxの価数)を含む。ここでMxは例えばクロムである。電子注入物質は、9,10-ジシアノアントラセンのようなシアノアントラセン、シアノ置換芳香族化合物、テトラシアノキニドジメタン(tetracyanoquinidodimethane)、ポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulphonate)、または、フェニル環が前述の置換基Rで置換される可能性がある図2もしくは3の図に示した構造式の化合物、あるいは、以下の構造式の金属チオキシナート(metal thioxinate)が含まれる。
【0056】
【化13】

【0057】
ここで、Mは金属で、好ましくは亜鉛、カドミウム、ガリウム、およびインジウムで、nはMの価数であり、R、およびR1は同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基(trifruoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類、チオフェニル基、シアノ基、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、特許出願書類「PCT/GB2005/002579」に記載された置換および非置換の脂肪族基、から選択されるものである。
【0058】
電子注入物質層は、アノードからの正孔とカソードからの電子がエレクトロルミネセンス層で結合することができるような厚さでなければならない。
別々の層とする代わりに、電子注入物質をエレクトロルミネセンス組成物と混合して共蒸着(co-deposited)させることもできる。
【0059】
オプションとして、正孔輸送物質をエレクトロルミネセンス組成物と混合して共蒸着させることもできる。
正孔輸送物質、エレクトロルミネセンス組成物、および電子注入物質を一緒に混ぜて一つの層を形成することもでき、これによって構成を単純化することができる。
【0060】
アノードは、好ましくはアノードとして作用する導電ガラス(conductive glass)もしくは導電性のプラスチック物質などの透明基板(transparent substrate)である。好ましい基板は、インジウム-スズ酸化物被覆ガラス(indium tin oxide coated glass)などの導電ガラスであるが、任意の導電性を有するガラス、または、金属もしくは導電性ポリマーなどの導電層を有するガラスを用いることができる。導電性ポリマー類、ならびに、導電性ポリマーで被覆されたガラスもしくはプラスチック物質も、基板として用いることができる。
【0061】
カソードは好ましくは、仕事関数の低い金属、好ましくはアルカリ金属以外の仕事関数が4eV未満の、例えばアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、および、銀/マグネシウム合金、希土類金属合金などのような、それらの合金などが含まれ、アルミニウムが好ましい金属である。フッ化リチウムなどのアルカリ金属のフッ化物、または希土類金属のフッ化物、もしくはそれらの合金などの、金属フッ化物(metal fluoride)を第二電極として用いることができ、例えば金属フッ化物の層をその表面に有する金属を用いることができる。
【0062】
実施例1から9で芳香族置換アントラセン化合物の合成を示した実施例中で、本発明が、説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
〔実施例〕
〈 9,10-ジベンジルアントラセン化合物の合成 〉
これは、これらの化合物を合成する一般的な合成法である。それぞれの個々の実施例では、異なるハロゲン化ベンジル化合物(benzyl halide compound)を用いているが、合成方法は同じである。
【0064】
アントラセン(8.0g, 44.9mmol)、粉末亜鉛(Zinc dust)(2.35g, 35.9mmol)および塩化ベンジル(94mmol)を二硫化炭素中(150ml)で撹拌し、30時間還流した。反応物を室温まで冷まし、蒸留によって溶媒を除去した。残留物を熱トルエン中(hot toluene)(200ml)に抽出し、減圧濾過して過剰の亜鉛を除去した。冷却すると、そのトルエン溶液から淡黄色の結晶生成物が得られ、それを熱トルエンから再結晶し、濾過し、真空オーブン(vacuum oven)中で乾燥した。
【0065】
{ 実施例1 }
9,10-ビス(4-メチル-ベンジル)-アントラセン(A)
【0066】
【化14】

【0067】
出発物質として、4-メチルベンジル=クロリド(4-Methylbenzylchloride)を用いた。
【0068】
{ 実施例2 }
9,10-ビス-(2,4-ジメチル-ベンジル)-アントラセン(B)
【0069】
【化15】

【0070】
出発物質として、2,4-ジメチルベンジル=クロリド(2,4-Dimethylbenzyl chloride)を用いた。
【0071】
{ 実施例3 }
9,10-ビス-(2,5-ジメチル-ベンジル)-アントラセン(C)
【0072】
【化16】

【0073】
出発物質として、2,5-ジメチルベンジル=クロリド(2,5-Dimethylbenzyl chloride)を用いた。
【0074】
{ 実施例4 }
1,4-ビス-(2,3,5,6-テトラメチル-ベンジル)-アントラセン(D)
【0075】
【化17】

【0076】
出発物質として、2,3,5,6-テトラメチルベンジル=クロリド(2,3,5,6-tetrameyhylbenzyl chloride)を用いた。
【0077】
{ 実施例5 }
9,10-ビス-(4-メトキシ-ベンジル)-アントラセン(E)
【0078】
【化18】

【0079】
出発物質として、4-メトキシベンジル=クロリド(4-Methoxybenzyl chloride)を用いた。
【0080】
{ 実施例6 }
9,10-ビス-(9H-フルオレン-9-イル)-アントラセン(F)
【0081】
【化19】

【0082】
出発物質として、9-ブロモフルオレン(9-Bromofluorene)を用いた。
【0083】
{ 実施例7 }
2,6-ジ-tert-ブチル-アントラセンの調製
【0084】
【化20】

【0085】
アントラセン(7.13g、40mmol)とtert-ブタノール(10.8g, 120mmol)をトリフルオロ酢酸中(40ml)で15時間還流した。混合物を冷却し、水(250ml)の中へ注いだ。生成した固体を減圧濾過して水で洗浄し、乾燥させた。その固体は熱ヘキサンから再結晶して、無色の固形結晶が得られた。融点は249〜253℃であった。
【0086】
{ 実施例8 }
2,6-ジ-tert-ブチル-9,10-ビス-(2,5-ジメチル-ベンジル)-アントラセン(G)の調製
【0087】
【化21】

【0088】
2,6-ジ-tert-ブチル-アントラセン(3.0g, 10.3mmol)、粉末亜鉛(0.54g, 8.3mmol)および2,5-ジメチルベンジル=クロリド(3.35g, 21.7mmol)を二硫化炭素中(50ml)で撹拌し、30時間還流した。反応物を室温まで冷まし、蒸留によって溶媒を除去した。残留物を熱トルエン中(50ml)に抽出し、減圧濾過して過剰の亜鉛を除去した。冷却すると、そのトルエン溶液から無色の結晶生成物が得られ、それを熱トルエンから再結晶し、濾過し、真空オーブン(vacuum oven)中で乾燥した。融点は273〜275℃であった。
【0089】
{ 実施例9 }
2,6-ジ-tert-ブチル-9,10-ビス-ナフタレン-I-イルメチル-アントラセン(H)の調製
【0090】
【化22】

【0091】
2,6-ジ-tert-ブチル-アントラセン(2.9g, 10mmol)、粉末亜鉛(0.52g, 8mmol)、および1-(クロロメチル)ナフタレン(3.7g, 20.9mmol)を二硫化炭素中(50ml)で撹拌し、30時間還流した。反応物を室温まで冷まし、蒸留によって溶媒を除去した。残留物を熱トルエン中(50ml)に抽出し、減圧濾過して過剰の亜鉛を除去した。冷却すると、そのトルエン溶液から無色の結晶生成物が得られ、それを熱トルエンから再結晶し、濾過し、真空オーブン(vacuum oven)中で乾燥した。融点は285℃であった。
【0092】
〈エレクトロルミネセンスデバイス〉
{ 実施例10 }
あらかじめエッチングしたITO被覆ガラス片(pre-etched ITO coated glass piece)(10 x 10cm2)を用いた。デバイスはエレクトロルミネセンスデバイスを構成する層を形成する組成物の真空蒸発により、逐次的にITO上に構成して加工された。その層は、Solciet Machine(株式会社アルバック、茅ヶ崎、日本)を用いて、蒸着した。個々のピクセルの活性領域(active area)は3mm x 3mmで、デバイスは図1に示し、以下の層を含む。
(1) ITO/ (2) α-NPB (42 nm)/ (3) K:H (20 : 1) (26 nm)/ (4) Zrq4(17 nm)/ (5) LiF (0.3 nm)/ (6) Al。
【0093】
ここで、ITOはインジウム-スズ酸化物被覆ガラス、α-NPBは図8の図に描かれたもので、Zrq4はジルコニウムキノラートで、KおよびHは以下に定義するとおりのものである。
被覆電極は、真空塗工機(vacuum coater)(Edwards社, 10-6 torr)に入れられてアルミニウムトップコンタクト(aluminium top contacts)が形成されるまでの間、減圧デシケーター(vacuum desiccator)中で、モレキュラーシーブと五酸化二リンの上で保管された。デバイスはその後、エレクトロルミネセンスの研究に用いられるまでは減圧デシケーターの中に保管した。
【0094】
ITO電極は常に正極(positive terminal)に接続された。電流と電圧の関係についての研究はKeithly 2400 source meterで制御されたコンピュータ上で行われた。
電流は、デバイスの全域に加えられ、性能は図9および10に示したようであった。
【0095】
{ 実施例11 }
デバイスは実施例10と同様に形成され、その構成は以下のとおりである。
(1) ITO/α-NPB (40 nm)/(2) L : H (20 : 2) (27 nm)/(3) Zrq4(17 nm)/(4) LiF (0.3 nm)/ (5) Al。
【0096】
ここで、HおよびLは以下に示すとおりである。
性能は図11および12に示している。
デバイス中で用いられた化合物は以下のとおりである。
【0097】
【化23】

【図面の簡単な説明】
【0098】
原文に記載なし。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト物質と混合した芳香族置換アントラセン化合物であるドーパントを含むことを特徴とする、エレクトロルミネセンス組成物。
【請求項2】
前記芳香族置換アントラセン化合物が、本明細書の(VI)から(XIX)の構造を有することを特徴とする、請求項1記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項3】
ホスト物質のモル数に基づいて、芳香族置換アントラセン化合物が最大で10モルパーセントまで存在することを特徴とする、請求項1または2記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項4】
ホスト物質のモル数に基づいて、芳香族置換アントラセン化合物が最大で1モルパーセントまで存在することを特徴とする、請求項1または2記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項5】
ホスト物質のモル数に基づいて、芳香族置換アントラセン化合物が10-3モルパーセント未満存在することを特徴とする、請求項1または2記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項6】
ホスト物質のモル数に基づいて、芳香族置換アントラセン化合物が10-3から10モルパーセント存在することを特徴とする、請求項1または2記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項7】
前記芳香族置換アントラセン化合物のバンドギャップが前記ホスト物質よりも大きくなく、かつ、還元電位が前記ホスト物質の還元電位よりも負ではないことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項8】
前記ホスト物質が、前記芳香族置換アントラセン化合物が存在しなくても第一波長の光を発光することができ、しかも前記芳香族置換アントラセン化合物は前記第一波長の光を吸収することができることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項9】
前記置換アントラセン化合物が存在しないときの前記ホスト物質による発光が最大である波長が、前記置換アントラセン化合物の最大吸収波長から25nm以内に存在することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項10】
ホスト物質が以下の構造式の芳香族化合物から選択されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【化1】

式中で、R1およびR2は前述のとおりであるか、もしくは以下の構造の化合物であり、
【化2】

ただし、Mは金属で、nはMの価数で、R1、R2、およびR3は同じ基であっても異なる基であってもよく、水素、ヒドロカルビル基、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基(trifruoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類、もしくはチオフェニル基、または、ニトリル基から選択され、R1、およびR3は、環構造を構成する可能性もあり、R1、R2、およびR3は、例えばスチレンなどのモノマーと共重合する可能性があり、あるいは以下の構造の化合物
【化3】

式中で、Phは非置換もしくは置換フェニル基であり、ここで前記置換基が同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類、あるいはチオフェニル基で、R、R1、およびR2は、水素、あるいは、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造のような置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類、もしくはチオフェニル基、または、ニトリル基である可能性がある。
【請求項11】
(i) 第一電極、(ii) 請求項1から10のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物の層、および(iii) 第二電極を含むことを特徴とする、エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項12】
前記エレクトロルミネセンス組成物の層が1μm未満の厚さの薄膜であることを特徴とする、請求項11記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項13】
前記第一電極と前記エレクトロルミネセンス層の間に正孔輸送物質の層があることを特徴とする、請求項11もしくは12記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項14】
前記正孔輸送物質が芳香族アミン錯体(aromatic amine complex)であることを特徴とする、請求項13記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項15】
前記正孔輸送物質がポリ芳香族アミン錯体(polyaromatic amine complex)であることを特徴とする、請求項13記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項16】
前記正孔輸送物質が、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類および置換ポリシラン類から選択された、ポリマーの膜であることを特徴とする、請求項13記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項17】
前記正孔輸送物質が、本明細書の構造式(I)もしくは(II)の化合物、または図4から8の図のような化合物の膜であることを特徴とする、請求項13記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項18】
前記正孔輸送物質が、アニリンの共重合体、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸、もしくはo-アミノフェノールとの共重合体、またはo-トルイジンとo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミンもしくはアミノアントラセンとの共重合体であることを特徴とする、請求項13記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項19】
前記正孔輸送物質が、共役高分子であることを特徴とする、請求項13記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項20】
前記共役高分子がポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)、ならびに、PPV、ポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) および、長鎖可溶化性アルコキシ基であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類(ploythiophenes)およびオリゴチオフェン類のうちの少なくとも一つを含む、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン類) を含む共重合体から選択された共役高分子であることを特徴とする、請求項19記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項21】
前記エレクトロルミネセンス化合物が前記正孔輸送物質に混合されていることを特徴とする、請求項13から20のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項22】
前記カソードと前記エレクトロルミネセンス化合物の層との間に、電子輸送物質の層があることを特徴とする、請求項11から21のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項23】
前記電子輸送物質が、金属キノラートもしくは金属チオキシナート(metal thioxinate)であることを特徴とする、請求項22記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項24】
前記金属キノラートが、アルミニウムキノラート、ジルコニウムキノラート、もしくはリチウムキノラートで、前記金属チオキシナートが、亜鉛チオキシナート、カドミウムチオキシナート、ガリウムチオキシナートもしくはインジウムチオキシナートであることを特徴とする、請求項23記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項25】
前記電子輸送物質がMx(DBM)nの構造であることを特徴とし、
ここでMxは金属で、DBMはジベンゾイルメタンであり、nはMxの価数である、
請求項22記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項26】
前記電子輸送物質が9,10-ジシアノアントラセンのようなシアノアントラセン、ポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulphonate)、もしくは図2もしくは3の図で示された構造式の化合物であることを特徴とする、請求項22記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項27】
前記電子輸送物質が前記エレクトロルミネセンス化合物と混合されていることを特徴とする、請求項22から26のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項28】
前記第一電極が透明電気伝導ガラス電極であることを特徴とする、請求項11から27のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項29】
前記第二電極が、4eV未満の仕事関数を持つアルカリ金属以外の金属を含むことを特徴とする、請求項11から28のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項30】
前記第二電極が、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、および、それらの合金、ならびに銀/マグネシウム合金から選択されたものであることを特徴とする、請求項11から28のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。

【公表番号】特表2008−510026(P2008−510026A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525360(P2007−525360)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003173
【国際公開番号】WO2006/016176
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(505347488)オーエルイーディー−ティー リミテッド (12)
【Fターム(参考)】