説明

エレクトロルミネッセンス物質およびデバイス

エレクトロルミネッセンスデバイスは、2-ベンゾ[b]チオフェニルリガンドおよびベンゾイミダゾールリガンドを具えたイリジウム錯体、例えばビス[チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N']-2-(2-ピリジル)-ベンゾイミダゾール=イリジウムを含んだエレクトロルミネッセンス層を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス物質と、エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流を通したときに発光する物質は公知であり、ディスプレイ用途として広汎に使われている。無機半導体系に基づくデバイスは、広汎に使用されているものではあるが、エネルギー消費の大きさ、製造時のコストの高さ、量子効率の低さ、および、フラットパネルディスプレイを製造することが不可能であること、といった欠点がある。また、有機ポリマーは、エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて有用であるとして提案されているものではあるが、有機ポリマーからは純色を得ることができず、また、製造が高価につくものであって且つ比較的低い効率でもある。提案されている別のエレクトロルミネッセンス化合物としては、アルミニウムキノラート(aluminium quinolate)があるが、これは色の範囲を得るために添加共存物質(ドーパント)の使用を必要とし、また、比較的低い効率でもある。
【0003】
特許出願WO98/58037は、改良された特性を有し良好な成績を示すエレクトロルミネッセンスデバイスに用いることができるような遷移金属錯体およびランタノイド錯体の範囲を記載している。特許出願PCT/GB98/01773、PCT/GB99/03619、PCT/GB99/04030、PCT/GB99/04024、PCT/GB99/04028、PCT/GB00/00268は、希土類キレートを用いたエレクトロルミネッセンス錯体、構造、およびデバイスについて記載している。US Patent 5128587は、高い仕事関数を有する透明電極と低い仕事関数を有する第二電極との間に挟まれたランタノイド系列の希土類元素の有機金属錯体、および、エレクトロルミネッセンス層と透明高仕事関数電極との間に置かれた正孔伝導層、および、エレクトロルミネッセンス層と電子注入低仕事関数アノードとの間に置かれた電子伝導層、から成るエレクトロルミネッセンスデバイスを開示している。正孔伝導層および電子伝導層は、デバイスの仕事と効率を改良するために必要である。正孔伝導層は、正孔を搬送して電子を阻止するように働き、これによって電子が正孔と再結合すること無く電極内に移動することを防ぐ。その結果、キャリアの再結合が主に発光層において起こる。
【発明の開示】
【0004】
事ここに至りわれわれは、さらなるエレクトロルミネッセンス有機金属錯体を発見した。
【0005】
本発明では、下記の構造式の錯体が提供され、
【0006】
【化3】

ここで式中の、
Mは、ルテニウム、ロジウム、もしくはイリジウムであり、
tは3であって、nは1もしくは2であるか、
Mは、パラジウムもしくは白金であり、
tは2であって、nは1であるか、あるいは、
Mはオスミウムであり、
tは3であって、nは1もしくは2であるか、または
tは4であって、nは1、2、もしくは3であって、また、;
R1、R2、R3、およびR4は、同一であるかもしくは異なっていて、以下の
置換および非置換のヒドロカルビル基、
置換および非置換の単環ならびに多環の複素環基、
置換および非置換のヒドロカルビルオキシ基またはカルボキシ基、
フルオロカルビル基、
ハロゲン基、
ニトリル(nitrile)、
アミノ基、
アルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基、
アリールアミノ基、
ジアリールアミノ基、ならびに
チオフェニル基、
から選択されるものであって、また、
p、q、r、およびsは、独立に、0、1、2、もしくは3であるが、
ただし、p、q、r、およびsのうちのいずれかが2もしくは3である場合には、これらのうちのひとつだけを飽和ヒドロカルビル基もしくはハロゲン基以外とすることができる。
【0007】
上述した種の好ましい化合物は、Mがイリジウムの化合物である。好ましいnの値は1である。
【0008】
本発明では、下記の別の構造式を有する錯体も提供され、
【0009】
【化4】

ここで式中の
Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは白金であり、
nは、1もしくは2であり、
R1、R2、R3、およびR4は、同一であるかもしくは異なっていて、以下の
置換および非置換のヒドロカルビル基、
置換および非置換の単環ならびに多環の複素環基、
置換および非置換のヒドロカルビルオキシ基またはカルボキシ基、
フルオロカルビル基、
ハロゲン基、
ニトリル(nitrile)、
アミノ基、
アルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基、
アリールアミノ基、
ジアリールアミノ基、ならびに
チオフェニル基、
から選択されるものであって、また、
p、q、r、およびsは、独立に、0、1、2、もしくは3であるが、
ただし、p、q、r、およびsのうちのいずれかが2もしくは3である場合には、これらのうちのひとつだけを飽和ヒドロカルビル基もしくはハロゲン基以外のものとすることができる。
【0010】
上述した種の好ましい化合物は、Mがイリジウムの化合物である。好ましいnの値は1である。
【0011】
これらの化合物のうち、環が置換されたものについては、R1、R2、R3、およびR4が、置換もしくは非置換の脂肪族基またはシクロ脂肪族基(典型的にはC1-C12)とすることができ、ここでのシクロ脂肪族基はシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基に基づくものであるのが好ましい。R1、R2、R3、およびR4がアルキル基である場合には、好ましくはC1-C4(特にメチル基もしくはエチル基)とする。また、R1、R2、R3、およびR4は、アルキル基もしくはアルコキシ基とすることもでき、ここでアルキル基は好ましくはC1-C12であり、より好ましくはC1-C4である。したがって、R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつにとっての好ましい値は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、もしくはエトキシ基である。さらなる可能性としては、R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、置換もしくは非置換の単環または多環の芳香族基、アリールオキシ基、あるいは複素環構造である。例えば、R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、もしくはカルバゾリル基である。他の可能性としては、R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、フルオロ基、クロロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、もしくはジベンジルアミノ基である。
【0012】
上述の構造式(I)の特定の化合物は、MがIrであって、nが1であり、また、p、q、r、およびsが0であるような化合物である。
【0013】
本発明のさらなる特徴として、上記で定義した構造式(I)の化合物を製造するための方法も提供される。
【0014】
リガンド(配位子)のうちのひとつの合成を、2-ブロモピリジンと、ベンゾ[b]チオフェン-2-ボロン酸もしくはその置換誘導体(アリールリチウム類もしくはグリニャール試薬と、硼酸トリアルキル類とから、アリールボロン酸は容易に調製できる)との、パラジウム(0)触媒(例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)を用いた鈴木カップリング反応によって行うことができ、例えば、下記のスキームに従って行うことができる。
【0015】
【化5】

【0016】
ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジンもしくはその置換誘導体を、三塩化イリジウムと共に加熱することによって、例えば下記の構造式の錯体を得る。
【0017】
【化6】

上記の錯体を強塩基でさらに処理し、(2-ピリジル)ベンゾイミダゾールもしくはその置換誘導体を加えることによって、構造式(I)の化合物が生成される。ここで、置換基は構造式(I)の化合物のそれと同義である。
【0018】
第一のステップでは、ベンゾ[b]チオフェンの代わりに、例えば4-メチルベンゾチオフェン、5-メチルベンゾチオフェン、6-メチルベンゾチオフェン、7-メチルベンゾチオフェン、5,7-ジメチルベンゾチオフェン、5-クロロベンゾチオフェン、もしくは5-ニトロベンゾチオフェンを使うことができる。2-ブロモピリジンの代わりに、例えば2-クロロ-5-ヨードピリジン、2-ブロモ-5-ヨードピリジン、もしくは2-アミノ-5-ヨードピリジンを使うことができる。
【0019】
また、本発明は、(i) 第一電極と、(ii) 上述の構造式(I)のエレクトロルミネッセンス物質の層と、(iii) 第二電極とを含むエレクトロルミネッセンスデバイスも提供する。
【0020】
エレクトロルミネッセンス物質の層の厚みは、好ましくは10〜250nm、より好ましくは20〜75nmとする。
【0021】
第一電極はアノードとして機能することができ、且つ第二電極はカソードとして機能することができ、さらに好ましくは、アノードとエレクトロルミネッセンス化合物の層との間に、正孔伝導物質の層が存在する。
【0022】
正孔伝導物質は、エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて用いられる正孔伝導物質のうちの任意のものとすることができる。
【0023】
正孔伝導物質は、α-NBP、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン (TPD)といったアミン錯体、ならびに、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換のポリマー、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、非置換および置換のポリシラン類などとすることができる。ポリアニリン類の例としては、下記の構造式のポリマーがあり、
【0024】
【化7】

ここで式中のRは、オルト位もしくはメタ位に在る、水素原子、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシ基、または下記の構造式の基であって、
【0025】
【化8】

ここで式中のRがアルキル基もしくはアリール基である場合には、R'は水素原子、C1-6アルキル基、もしくはアリール基(上述の構造式IIの他のモノマーを少なくともひとつ含む)である。
【0026】
または、正孔伝導物質をポリアニリンとすることができる。本発明で用いることができるポリアニリン類は、下記の一般的な構造式を有し、
【0027】
【化9】

ここで式中のpは1から10の数であり、nは1から20の数であり、Rは上記で定義したものであり、また、Xはアニオンであって、好ましくはCl、Br、SO4、BF4、PF6、H2PO3、H2PO4、アリールスルホン酸イオン、アレーンジカルボン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリアクリルアルキルスルホン酸イオン、ビニルスルホン酸イオン、ビニルベンゼンスルホン酸イオン、セルローススルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン、セルロース硫酸イオン、もしくは過弗化ポリアニオン、から選択されるものである。
【0028】
アリールスルホン酸イオンの例としては、 p-トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、9,10-アントラキノン-スルホン酸イオン、およびアントラセンスルホン酸イオンがある。また、アレーンジカルボン酸イオンの例としては、フタル酸イオンがあり、また、アレーンカルボン酸イオンの例としては、安息香酸イオンがある。
【0029】
われわれは、ポリアニリンのようなアミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーのプロトン化したポリマーは、濃縮が困難または不可能であるということを発見していた。しかしながら驚くべきことに、われわれは、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーを脱プロトン化すると、容易に濃縮することができるようになり、則ちポリマーが濃縮可能になる、ということを発見した。
【0030】
好ましくは、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの、濃縮可能な脱プロトン化されたポリマーを使用する。アミノ置換芳香族化合物の脱プロトン化された非置換もしくは置換ポリマーは、水酸化アンモニウムのようなアルカリ、または、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物によってポリマーを処理することによって脱プロトン化し、形成することができる。
【0031】
プロトン化の程度は、プロトン化ポリアニリンの形成と脱プロトン化によって制御することができる。ポリアニリン類の調製方法は、文献A. G. MacDiarmid and A. F. Epstein, Faraday Discussions, Chem Soc., 88, P319, 1989に開示されている。
【0032】
ポリアニリンの導電率はプロトン化の程度に依存し、導電率が最大になるのはプロトン化が40〜60%のとき(例えば約50%のとき)である。
【0033】
ポリマーは実質的に完全に脱プロトン化されることが好ましい。
【0034】
ポリアニリンはオクタマー単位(即ち、pが4)として形成することができ、例えば下記の構造式のものとなる。
【0035】
【化10】

ポリアニリン類は、 1 x 10-1 Siemen cm-1 の桁以上の導電率を有することができる。
【0036】
芳香環は非置換であっても置換されていてもよく、例えば、エチル基などのC1-20アルキル基で置換することができる。
【0037】
ポリアニリンはアニリンのコポリマーとすることができ、好ましいコポリマーとしては、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸、もしくはo-アミノフェノールとのコポリマー、または、o-トルイジンとo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミン、もしくはアミノアントラセン類とのコポリマーがある。
【0038】
使用することができるアミノ置換芳香族化合物の他のポリマーとしては、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類、ポリアミノアントラセン類、ポリアミノフェナントレン類などが含まれ、さらには、任意の他の縮合ポリ芳香族化合物のポリマーも含まれる。ポリアミノアントラセン類およびそれらを作成する方法については、US Patent 6,153,726に開示されている。その芳香環は非置換であっても置換されたものであってもよく、例えば、上記で定義した基Rで置換してもよい。
【0039】
他の正孔伝導物質としては共役ポリマーがあり、使用できる共役ポリマーは、US 5807627、WO90/13148、およびWO92/03490において開示または参照されているうちの任意の共役ポリマーとすることができる。
【0040】
好ましい共役ポリマーは、ポリ(p-フェニレンビニレン) (PPV)、およびPPVを含んだコポリマーである。その他の好ましいポリマーは、ポリ[2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)]、ポリ[(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)]といったポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)、ならびに、長鎖可溶性アルコキシ基(long chain solubilising alkoxy group) であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類のうちの少なくともひとつを有する他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)類、である。
【0041】
PPVのフェニレン環には、ひとつもしくは複数の置換基を任意に持たせることができ、例えばそれぞれの置換基を、アルキル基(好ましくはメチル基)、アルコキシ基(好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基)から独立に選択する。
【0042】
ポリフルオレンのフルオレン環には、ひとつもしくは複数の置換基を任意に持たせることができ、例えばそれぞれをアルキル基(好ましくはメチル基)、アルコキシ基(好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基)から独立に選択することができる。
【0043】
任意のポリ(アリーレンビニレン)は、使用することができるそれらの置換誘導体を含み、また、ポリ(p-フェニレンビニレン)中のフェニレン環は、アントラセン環もしくはナフタレン環などの縮合環系と置換することもでき、また、それぞれのポリ(フェニレンビニレン)部分の中のビニレン基の数を増やすことができ、例えば七個以上に増やすこともできる。
【0044】
この共役ポリマー類は、US 5807627、WO90/13148、およびWO92/03490に開示されている方法によって製造することができる。
【0045】
正孔伝導層の厚さは、好ましくは20nm〜200nmとする。
【0046】
上述したポリアニリン類などのアミノ置換芳香族化合物のポリマーは、(例えばアノードと正孔伝導層との間に挟んだ)他の正孔伝導物質と組み合わせてバッファ層として使用することもできる。他のバッファ層は、フタロシアニン類(フタロシアニン銅など)から形成することができる。
【0047】
他のいくつかの正孔伝導物質の構造式を、図4、図5、図6、図7、および図8に示した。ここで、式中のR、R1、R2、R3、およびR4は、同一のものであっても異なるものであってもよく、水素原子、置換および非置換の脂肪族基などの置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香環、複素環、ならびに多環の環式構造、トリフルオロメチル基といったフルオロカーボン基、弗素原子といったハロゲン類、あるいはチオフェニル基、から選択されるものであり、;さらに、R、R1、R2、R3、およびR4が、置換および非置換の縮合芳香環、複素環、ならびに多環の環式構造を形成することもでき、例えばスチレンであるモノマーと共にコポリマーとすることができる。Xは、Se、S、もしくはOであり、また、Yは、水素原子、または、置換および非置換の芳香族、複素環、ならびに多環の環式構造などといった置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、または、トリフルオロメチル基といったフルオロカーボン基、弗素原子といったハロゲン類、チオフェニル基、またはニトリル基(nitrile groups)とすることができる。
【0048】
Rおよび/もしくはR1および/もしくはR2および/もしくはR3および/もしくはR4の例としては、脂肪族基、芳香族基、および複素環基、ならびに、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびカルボキシ基、ならびに、置換および非置換の、フェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、およびフェナントレニル基、ならびに、t-ブチル基といったアルキル基、ならびに、カルバゾールといった複素環基、が含まれる。
【0049】
オプションとして、電子注入物質の層を、カソードとエレクトロルミネッセンス物質層との間に置くことができる。電子注入物質とは、その中を電流が通過した際に電子を搬送する物質のことである。電子注入物質には、金属キノラート(例えば、アルミニウムキノラート、リチウムキノラート、ジルコニウムキノラート)といった金属錯体、9,10-ジシアノアントラセンといったシアノアントラセン、シアノ置換芳香族化合物、テトラシアノキノジメタン、スルホン酸ポリスチレン、または、図2もしくは図3に示した構造式の化合物、あるいは、Mx(DBM)n(ここで式中のMxは金属であり、DBMはジベンゾイルメタンであり、nはMxの価数であって、例えばMxはアルミニウム、クロム、もしくはスカンジウムである)、が含まれる。また、シッフ塩基をDBM部分の代わりに用いることもできる。
【0050】
別々の層とする代わりに、電子注入物質をエレクトロルミネッセンス物質と混合して共析出させることもできる。
【0051】
オプションとして、正孔伝導物質をエレクトロルミネッセンス物質と混合して共析出させ、且つ、電子注入物質とエレクトロルミネッセンス物質とを混合することができる。正孔伝導物質と、エレクトロルミネッセンス物質と、電子注入物質とを共に混合してひとつの層にすることもでき、こうすることで構造を単純化することもできる。
【0052】
第一電極は、好ましくは、アノードとして機能する導電性ガラスもしくは導電性プラスチック物質といった透明な基層である。また、好ましい基層は錫ドープ酸化インジウム被覆ガラス(indium tin oxide coated glass)などの導電性ガラスであるが、導電性である任意のガラスを使用することもでき、あるいは、金属もしくは導電性ポリマーといった導電層を有する任意のガラスを使用することも可能である。また、導電性ポリマー、ならびに、導電性ポリマーで被覆されたガラスもしくはプラスチック物質を、基層として使用することも可能である。
【0053】
カソードは、好ましくは低い仕事関数の金属(例えば、アルミニウム、バリウム、カルシウム、リチウム、希土類金属、遷移金属、マグネシウム、およびそれらの合金(例えば銀/マグネシウム合金、希土類金属合金など)など)であり、好ましい金属はアルミニウムである。アルカリ金属(例えば、弗化リチウム、弗化カリウム、弗化セシウム)、もしくは希土類金属などの金属弗化物、またはそれらの合金を第二電極として使用することができ、例えば、金属上に金属弗化物の層を形成させて用いることができる。
【0054】
イリジウム錯体はホスト物質と混合することができる。
【0055】
本発明に係るデバイスは、ビデオディスプレイ、携帯電話、携帯型コンピュータ、および電気的に制御された視覚的イメージを使う他の任意の用途、において用いられるディスプレイとして使用することができる。本発明に係るデバイスは、こうしたディスプレイの能動的な用途と受動的な用途との双方において使用することができる。
【0056】
公知のエレクトロルミネッセンスデバイスにおいては、一方もしくは双方の電極を、珪素(シリコン)およびエレクトロルミネッセンス物質から作成することができ、また、正孔伝導物質と電子伝導物質の中間層が、シリコン基層上にピクセルとして形成される。各ピクセルは、有機層の基層から離れた方の側に接触するような、エレクトロルミネッセンス物質の少なくともひとつの層と、(少なくとも半透明である)透明電極とを含むことが好ましい。
【0057】
基層は、結晶性シリコン、多結晶性シリコン、非晶質シリコン、もしくは連続粒界結晶シリコンから製造するのが好ましく、また、基層の表面は、電極もしくはエレクトロルミネッセンス化合物を析出させる前に、研磨もしくは平滑化して平坦な表面にすることができる。あるいは、平坦化していないシリコン基層(non-planarised silicon substrate)を、さらなる物質を析出させる前に導電性ポリマーの層で被覆して、平滑な表面にすることもできる。
【0058】
或る実施形態においては、各ピクセルが、基層に接触する金属電極を含む。金属電極と透明電極との相対的な仕事関数に依って、そのいずれか一方がアノードを務め、他方がカソードとなることが可能である。
【0059】
シリコン基層をカソードとする場合には、錫ドープ酸化インジウム被覆ガラスもしくは半透明金箔をアノードとして機能させることができ、このようにすると光がアノードを透過して照射される。シリコン基層がアノードとして機能する場合には、カソードを適切な仕事関数を有する透明電極から形成することができる。例えば、酸化インジウム-酸化亜鉛被覆ガラス(indium zinc oxide coated glass)は、酸化インジウム-酸化亜鉛が低い仕事関数を持つため、このカソードの形成に用いることができる。アノードの上に金属の透明な被覆物を形成して、適切な仕事関数を与えることも可能である。これらのデバイスのことを、トップエミッティングデバイス(top emitting devices)もしくはバックエミッティングデバイス(back emitting devices)と呼ぶことがある。
【0060】
金属電極は複数の金属層から成るように構成できる。例えば、高めの仕事関数を持つ金属(アルミニウムなど)を基層の上に析出させて、低めの仕事関数を持つ金属(カルシウムなど)を高めの仕事関数を持つ金属の上に析出させることができる。別の例として、導電性ポリマーのさらなる層を安定な金属(アルミニウムなど)の上部に置くことができる。
【0061】
好ましくは、電極は各ピクセルの背後の鏡(ミラー)としても機能し、これを基層の平坦化した表面の上に析出させるか、または中に沈潜させることができる。しかしながらその代わりとして、吸光黒色層(light absorbing black layer)を基層に隣接させて置くこともできる。
【0062】
なおも別の実施形態においては、底部の導電性ポリマーの層の特定の領域を適切な水溶液に曝して非導電性とすることにより、ピクセル電極の底側接触部(bottom contacts)を務める導電性ピクセルパッド(pixel pads)のアレイの形成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明を以降の実施例によって説明する。
〔実施例1〕
〔2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジン〕
【0064】
【化11】

250mL二口丸底フラスコを、(ガス注入口を具えた)還流濃縮器およびゴム隔膜に合わせて取付けてからアルゴンを流し、その後に2-ブロモピリジン(2.57mL, 27mmol)およびエチレングリコール=ジメチルエーテル(80mL, 脱水・脱気したもの)を導入した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.0g, 0.87mmol)を加えて、溶液を室温で10分間攪拌した。その後、ベンゾチオフェン-2-ボロン酸(5.0g, 28.1mmol)を加えてから、無水炭酸水素ナトリウム(8.4g, 100mmol)と水(50mL, 脱気したもの)を加えた。隔膜をガラス栓に交換し、反応混合液を80℃で16時間に亘り加熱した後、室温まで冷却してから、減圧して揮発性成分を除去した。有機物を酢酸エチル(3 x 100mL)で抽出して、塩水で洗って硫酸マグネシウムで脱水した。有機物を除去し、淡黄色固体を得た。エタノールから再結晶して無色固体を得た(3.9g, 68%, 二度分の収量)。融点124〜126℃。
【0065】
〔テトラキス[2-ベンゾ][b]チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N'](μ-クロロ)ジイリジウム〕
【0066】
【化12】

三塩化イリジウム水和物(0.97g, 3.24mmol)を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジン(2.05g, 9.7mmol)と併せて、2-エトキシエタノール(70mL, MgSO4で脱水して蒸留し、脱気したもの)および水(20mL, 脱気したもの)の混合液に溶かし、24時間還流した。水溶液を室温まで冷却してから、橙色の沈澱物を焼結ガラス上に回収した。沈澱物をエタノール(60mL, 95%)、アセトン(60mL)、およびヘキサンで洗った。これを脱水して、さらなる精製は行わずに用いた。収量:1.5g, 71%
【0067】
〔ビス[チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N']-2-(2-ピリジル)ベンゾイミダゾール=イリジウム〕
【0068】
【化13】

カリウム=tert-ブトキシド(1.12g, 10mmol)および2-(2-ピリジル)ベンゾイミダゾール(1.95g, 10mmol)を、不活性雰囲気下で20OmLシュレンク管に入れた。2-エトキシエタノール(硫酸マグネシウムで脱水して蒸留したもの、100mL)を加えて、得られた溶液を外気温で10分間に亘り攪拌した。テトラキス[2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N'](μ-クロロ)ジイリジウム(6.0g, 4.62mmol)を加え、混合液を不活性雰囲気下で16時間に亘り還流した。室温まで冷却する過程で、橙色/赤色固体が分離した。この固体を濾別し、エタノール(3 x 100mL)とジエチルエーテル(100mL)で洗った。この物質を減圧乾燥した後に、酢酸エチルを用いたソックスレー抽出法で24時間に亘り精製した。高真空下での昇華(3 x 10-7 Torr, 400℃)によりさらなる精製を行った。収量:6.6g, 89%(昇華前)
元素分析:
計算値: C, 56.56; H, 3.00, N, 8.68
実測値: C, 56.41; H, 2.91; N, 8.64
【0069】
〔実施例2: デバイス1〕
予めエッチングしたITO被覆ガラス片(10 x 10cm2)を使用した。デバイスは、Solciet Machine, ULVAC Ltd.(茅ヶ崎、日本)を用いた真空蒸着法によって、連続的にこのITO上に組み上げられた。各ピクセルの活性領域は3mm x 3mmであり、また、層には以下を含めた。
(1) ITO(100nm)/(2) CuPc(10nm)/(3) α-NPB(60nm)/(4) Liq:化合物X(30:2nm)/(5) BCP(6nm)/(6) Zrq4(30nm)/(7) LiF(0.5nm)/ Al
デバイスの構造は、図1に示した。ここで、化合物Xとは、上述したように合成したビス[チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N']-2-(2-ピリジル)-ベンゾイミダゾール=イリジウムであり、また、CuPcとは銅-フタロシアニンのバッファ層のことであり、また、α-NPBについては図8に示した。また、Liqとはリチウムキノラートであり、BCPとはバソクプロン(bathocupron)であり、Zrq4については図15に示した。また、LiFは弗化リチウムである。
【0070】
ITO 電極はつねに陽極と接触させた。電流対電圧についての研究は、Keithly 2400 source meterで制御したコンピュータ上で実行した。
【0071】
エレクトロルミネッセンス特性を測定し、その結果を図11および図12に示した。
【0072】
〔実施例3:デバイス2〕
デバイスを実施例2と同様に、但し以下の構造となるようにして作成した。
(1) ITO(100nm)/(2) CuPc(10nm)/(3) α-NPB(60nm)/(4) CBP:化合物X(30:2nm)/(5) BCP(6nm)/(6) Zrq4(30nm)/(7) LiF(0.5nm)/ Al
ここでCBPは図15に示したものである。エレクトロルミネッセンス特性を測定し、その結果を図9および図10に示した。
【0073】
〔実施例4:デバイス3〕
デバイスを実施例2と同様に、但し以下の構造となるようにして作成した。
(1) ITO(100nm)/(2) CuPc(10nm)/(3) α-NPB(60nm)/(4) Al(dbm)3:化合物X(30:2nm)/(5) BCP(6nm)/(6) Zrq4(30nm)/(7) LiF(0.5nm)/ Al
ここでAl(dbm)3はアルミニウムジベンゾイルメタン(aluminium dibenzoyl methane)である。エレクトロルミネッセンス特性を測定し、その結果を図13および図14に示した。
【0074】
〔実施例5:デバイス4〕
デバイスを実施例2と同様に、但し以下の構造となるようにして作成した。
(1) ITO(110nm)/(2) 錯体A(10nm)/(3) α-NPB(60nm)/(4) CBP:化合物X(30:2nm)/(5) Zrq4(30nm)/(6) LiF(0.5nm)/ Al
ここで錯体Aは図15に示したものである。エレクトロルミネッセンス特性を測定し、その結果を図16および図17に示した。
【0075】
〔実施例6:デバイス5〕
デバイスを実施例2と同様に、但し以下の構造となるようにして作成した。
(1) ITO(110nm)/(2) 錯体A(10nm)/(3) α-NPB(60nm)/(4) BAlq2:化合物X(30:2nm)/(5) Zrq4(30nm)/(6) LiF(0.5nm)/ Al
ここでBAlq2は図15に示したものである。エレクトロルミネッセンス特性を測定し、その結果を図18および図19に示した。
【0076】
〔実施例7:デバイス6〕
デバイスを実施例2と同様に、但し以下の構造となるようにして作成した。
(1) ITO(110nm)/(2) 錯体A(10nm)/(3) α-NPB(60nm)/(4) 錯体B:化合物X(30:2nm)/(5) Zrq4(30nm)/(6) LiF(0.5nm)/ Al
ここで錯体Bは図15に示したものである。エレクトロルミネッセンス特性を測定し、その結果を図20および図21に示した。
【図面の簡単な説明】
【0077】
原文に記載なし。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明では、下記の構造式の錯体が提供され、
【化1】

ここで式中の
Mは、ルテニウム、ロジウム、もしくはイリジウムであり、
tは3であって、nは1もしくは2であるか、
Mは、パラジウムもしくは白金であり、
tは2であって、nは1であるか、あるいは、
Mは、オスミウムであり、
tは3であって、nは1もしくは2であるか、または
tは4であって、nは1、2、もしくは3であって、また、
R1、R2、R3、およびR4は、同一であるかもしくは異なっていて、以下の
置換および非置換のヒドロカルビル基、
置換および非置換の単環ならびに多環の複素環基、
置換および非置換のヒドロカルビルオキシ基またはカルボキシ基、
フルオロカルビル基、
ハロゲン基、
ニトリル、
アミノ基、
アルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基、
アリールアミノ基、
ジアリールアミノ基、ならびに
チオフェニル基、
から選択されるものであって、また、
p、q、r、およびsは、独立に、0、1、2、もしくは3であるが、
ただし、p、q、r、およびsのうちのいずれかが2もしくは3である場合には、これらのうちのひとつだけを、飽和ヒドロカルビル基もしくはハロゲン基以外とすることができる。
【請求項2】
Mがイリジウムであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが1であって、tが3であることを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の化合物。
【請求項4】
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、置換もしくは非置換の脂肪族基またはシクロ脂肪族基であることを特徴とする、上述の請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、アルキル基もしくはアルコキシ基であることを特徴とする、上述の請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、もしくはエトキシ基であることを特徴とする、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、置換もしくは非置換の、単環または多環の芳香族基、アリールオキシ基、あるいは複素環構造であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基(anthracenyl)、フェナントレニル基(phenanthrenyl)、もしくはカルバゾリル基であることを特徴とする、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくともひとつが、フルオロ基、クロロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
MがIrであり、nが1であり、tが3であって、また、p、q、r、およびsが0であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
(i) 第一電極と、
(ii) 上述の請求項のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス物質の層と、
(iii) 第二電極と
を含むことを特徴とする、エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
前記第一電極と前記エレクトロルミネッセンス層との間に、正孔伝導物質の層が存在することを特徴とする、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
前記正孔伝導物質が、芳香族アミン錯体であることを特徴とする、請求項12記載のデバイス。
【請求項14】
前記正孔伝導物質が、ポリ芳香族アミン錯体であることを特徴とする、請求項12記載のデバイス。
【請求項15】
前記正孔伝導物質が、α-NBP、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類、および置換ポリシラン類から選択されるポリマーの膜であることを特徴とする、請求項12記載のデバイス。
【請求項16】
前記正孔伝導物質が、本明細書中に記載された構造式(II)もしくは(III)の化合物の膜であるか、あるいは、本図面中の図4〜8に示されるような化合物の膜であることを特徴とする、請求項12記載のデバイス。
【請求項17】
前記正孔伝導物質が、アニリンのコポリマー、または、アニリンとo-アニシジンもしくはm-スルファニル酸もしくはo-アミノフェノールとのコポリマー、または、o-トルイジンとo-アミノフェノールもしくはo-エチルアニリンもしくはo-フェニレンジアミンもしくはアミノアントラセンとのコポリマー、であることを特徴とする、請求項12記載のデバイス。
【請求項18】
前記正孔伝導物質が、共役ポリマーであることを特徴とする、請求項12記載のデバイス。
【請求項19】
前記共役ポリマーが、ポリ(p-フェニレンビニレン) (PPV)、ならびに、PPV、ポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン))、ポリ((2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン))を含み、さらに、長鎖可溶性アルコキシ基であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類のうちの少なくともひとつを有する他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)類を含むようなコポリマー、から選択されることを特徴とする、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
前記エレクトロルミネッセンス化合物が、前記正孔伝導物質と混合されていることを特徴とする、請求項12〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記カソードと前記エレクトロルミネッセンス化合物の層との間に、電子伝導物質の層が存在していることを特徴とする、請求項11〜20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記電子伝導物質が、金属キノラートであることを特徴とする、請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
前記金属キノラートが、アルミニウムキノラート、ジルコニウムキノラート、もしくはリチウムキノラートであることを特徴とする、請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
前記電子伝導物質が、構造式Mx(DBM)nの化合物であって、ここでMxは金属であり、また、DBMはジベンゾイルメタンであり、また、nはMxの価数であることを特徴とする、請求項21記載のデバイス。
【請求項25】
前記電子伝導物質が、9,10-ジシアノアントラセンといったシアノアントラセン、ポリスチレンスルホナート、または、本図面の図2もしくは図3に示した構造式の化合物、であることを特徴とする、請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
前記電子伝導物質が、前記エレクトロルミネッセンス化合物と混合されていることを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第一電極が、透明導電性ガラス電極であることを特徴とする、請求項11〜26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第二電極が、アルミニウム、バリウム、希土類金属、遷移金属、カルシウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの合金、ならびに、銀/マグネシウム合金、から選択されることを特徴とする、請求項11〜27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第二電極が、金属弗化物の層をその上に有する金属から選択されることを特徴とする、請求項11〜28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記金属弗化物が、弗化リチウム、弗化カリウム、弗化セシウム、もしくは希土類金属弗化物であることを特徴とする、請求項29記載のデバイス。
【請求項31】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物と、電子伝導性もしくは正孔伝導性のホストとを含むことを特徴とする、エレクトロルミネッセンス組成物。
【請求項32】
前記ホストが、本明細書中に記載された構造式(II)もしくは(III)の化合物か、あるいは、本図面中の図4〜8もしくは図15に示されるような化合物から選択されることを特徴とする、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
前記ホストが、0.1〜20%の量で存在していることを特徴とする、請求項31もしくは32に記載の組成物。
【請求項34】
下記の構造式のエレクトロルミネッセンス化合物であって、
【化2】

ここで式中の
Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは白金であり、
nは、1もしくは2であり、
R1、R2、R3、およびR4は、同一であるかもしくは異なっていて、以下の
置換および非置換のヒドロカルビル基、
置換および非置換の単環ならびに多環の複素環基、
置換および非置換のヒドロカルビルオキシ基またはカルボキシ基、
フルオロカルビル基、
ハロゲン基、
ニトリル、
アミノ基、
アルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基、
アリールアミノ基、
ジアリールアミノ基、ならびに
チオフェニル基、
から選択されるものであって、また、
p、q、r、およびsは、独立に、0、1、2、もしくは3であるが、
ただし、p、q、r、およびsのうちのいずれかが2もしくは3である場合には、これらのうちのひとつだけを飽和ヒドロカルビル基もしくはハロゲン基以外のものとすることができる
ことを特徴とする、エレクトロルミネッセンス化合物。

【公表番号】特表2008−504357(P2008−504357A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518696(P2007−518696)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002584
【国際公開番号】WO2006/003408
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(505347488)オーエルイーディー−ティー リミテッド (12)
【Fターム(参考)】