説明

エレクトロルミネッセントデバイス

本発明は、基板(40)を備えた積層構造系を有するエレクトロルミネッセントデバイス(10)に関する。当該積層構造系は、基板電極(20)、対向電極(30)、及び、前記基板電極(20)と対向電極(30)との間に配置された少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層(50)を基板(40)上に有する。当該エレクトロルミネッセントデバイス(10)は、少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合体(71)が前記基板電極(20)の上部に供されることで、前記射出光結合体(71)を少なくとも部分的に覆う前記少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層(50)によって発生する射出光の結合が増大する。本発明は、当該デバイスの作製方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、並びに、基板上部に、基板電極、対抗電極、及び、前記基板電極と対抗電極との間に配置された少なくとも1層のエレクトロルミネッセント層を有するエレクトロルミネッセント積層体を備えた積層構造系を有して、射出光の結合を増大させるエレクトロルミネッセントデバイスに関する。さらに本発明は、射出光の結合を増大させるエレクトロルミネッセントデバイスの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な有機発光デバイス(OLED)は、ガラス基板、透明基板電極―たとえばインジウム−スズ酸化物(ITO)−、エレクトロルミネッセント層積層体、及び反射性対抗電極を有する。当該デバイスから発生する光は、ガラス基板を介して放出される。基板電極の屈折率、エレクトロルミネッセント層の屈折率、及びガラスの屈折率は典型的には、それぞれ1.9〜2.0、1.7〜1.9、及び約1.5である。
【0003】
基板の屈折率、層の屈折率、及び環境−通常は空気−の屈折率の間には差異があるので、OLED内で発生する光のほとんどは、基板から外部へ飛び出すことができない。典型的には、発生した光は以下のような割合で分類される。30%の光は、有機層及びITOによって形成される光ガイド内で捕獲され、約20%の光は、金属電極との相互作用で失われ、約50%の光はガラス基板へ入射し、そのうちの20%しか外部に飛び出すことができない。従来技術によると、射出光の結合を改善する様々な手段−たとえば光散乱特性を有する層−が既に知られている。しかし残念なことに、そのような手段は様々な欠点を引き起こしている。
【0004】
例として特許文献1は、光散乱特性及び光反射特性を有する反射性電極を備えるエレクトロルミネッセントデバイスについて開示している。残念なことに、前記基板電極の構造は、nm範囲内に制限され、かつ前記結合光の射出の改善はほんのわずかなものに制限される。
【0005】
特許文献2は、多数の凹部を有する基板を備えるOLEDについて開示している。前記凹部内では、基板内部で捕らえられた光を、別な伝播方向を有する基板表面へ反射することで、環境へ放出される射出光を結合するため、非透明反射性材料が埋め込まれている。残念なことに、前記非透明反射性材料を埋め込むための凹部を有する基板を作製する方法は複雑かつコストがかかる。しかも、基板上の層内で捕らえられた放出光のすべてが、射出される際に結合する訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1734792号明細書
【特許文献2】欧州特許第1763081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明は、上述の欠点を排除することをその目的として有する。具体的には、本発明の目的は、射出光の結合を改善するエレクトロルミネッセントデバイスを開示することである。しかも本発明の目的は、射出光の結合手段の単純化された構成を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、基板、並びに、基板上部に、基板電極、対抗電極、及び、前記基板電極と対抗電極との間に配置された少なくとも1層のエレクトロルミネッセント層を有するエレクトロルミネッセント積層体を備えた積層構造系を有して、射出光の結合を増大させるエレクトロルミネッセントデバイスであって、少なくとも1層の光学的に透明な射出光結合部材が前記基板電極上部に供されることで、前記少なくとも1層の光学的に透明な射出光結合部材を少なくとも部分的に覆う有機エレクトロルミネッセント層によって発生する射出光の結合が増大する、エレクトロルミネッセントデバイスによって解決される。上記目的はまた、本発明によるエレクトロルミネッセントデバイスの作製方法によっても解決される。当該エレクトロルミネッセントデバイス及び当該エレクトロルミネッセントデバイスの作製方法の好適実施例は、従属請求項で明らかにされている。当該エレクトロルミネッセントデバイスに関する特徴及び詳細は当該方法にも当てはまり、かつ逆も真なりである。
【0009】
本発明は、前記基板電極上部に供される少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材(outcoupling body)であって、該少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材によって少なくとも部分的に覆う少なくとも1層の前記有機エレクトロルミネッセント層によって発生する射出光の結合が増大する、少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材について開示している。前記少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材は、該少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材と基板電極の光学特性を妨害しない接合手段−たとえば接着剤−によって前記基板電極に取り付けられる。前記少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材は、巨視的に剛体であって良い。前記少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材は、透明材料−たとえばガラス又はプラスチック−を有する前記基板電極に、前記少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材を堆積する前に、堆積されて良い。
【0010】
本発明の主たる考え方は、前記基板電極の上部に供される少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材を用いることである。よって前記光学的に透明な射出光結合部材は、前記基板電極と、前記の少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層を有するエレクトロルミネッセント積層体との間に配置される。この配置により、ITOでコーティングされた基板を単純に利用することが可能となる一方で、前記のITOコーティングは、前記基板電極を形成する。前記基板電極は基板上に堆積されることで、キャリア材料を形成する。前記ITOでコーティングされた基板は、エレクトロルミネッセントデバイス用の標準基板として供され、かつ高い利用可能性と低コストを示す。
【0011】
続いて、前記の少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層を有するエレクトロルミネッセント積層体及び前記対抗電極は、前記光学的に透明な射出光結合部材上及び前記基板電極表面の一部にも堆積される。前記基板電極表面の一部は前記光学的に透明な射出光結合部材によっては覆われていない。
【0012】
前記基板電極と前記対抗電極との間に電圧が印加されるとき、前記電極から電流が注入され、かつ前記エレクトロルミネッセント積層体は、前記領域内で発光するように励起される。ここで前記エレクトロルミネッセント積層体は、前記基板電極表面上に直接堆積される。その結果、前記光学的に透明な射出光結合部材は孤立した部材を構成することで、前記エレクトロルミネッセント積層体内での電流注入を防止する。
【0013】
前記少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材を容易に設けることができるという利点に加えて、前記の配置された光学的に透明な射出光結合部材の鋭い端部領域内での電場の局所的な増大が回避される。前記光学的に透明な射出光結合部材が非導電性の挙動を示すため、前記基板電極と前記対抗電極との間に電圧が印加されるとき、前記電場の局所的な増大は回避される。
【0014】
一の実施例では、結合した射出光の損失となる前記光学的に透明な射出光結合部材と前記基板との間での屈折率の遷移を回避するため、前記光学的に透明な射出光結合部材は、高い−少なくとも前記基板の屈折率と一致する程度が好ましい−屈折率を有することを特徴とする。屈折率の典型的な値は、ガラス基板では1.51〜1.54、基板電極では1.9〜2.0で、射出光結合部材では1.5〜1.6である。
【0015】
本発明の他の好適実施例によると、前記光学的に透明な射出光結合部材は前記基板電極上部に接着される。前記基板電極上部に前記光学的に透明な射出光結合部材を設けるために接着剤を用いることによって、単純で容易な製造プロセスが供される。
【0016】
本発明のさらに他の実施例は、高い屈折率を有することを特徴とする前記基板電極上部に前記光学的に透明な射出光結合部材を設けるための接着剤を供する。よって前記基板電極上部に前記光学的に透明な射出光結合部材を接着する接着剤は、高い屈折率を有することを特徴とする光学的に透明な接着剤を構成する。他方、前記屈折率は、少なくとも前記基板材料の屈折率とは等しいが、前記光学的に透明な結合部材の屈折率以下である。よって、前記光学的に透明な接着剤と光学的に透明な射出光結合部材との間の光学的遷移は最適化され、かつ、前記基板材料内での光は、前記光学的に透明な接着剤を透過して前記光学的に透明な射出光結合部材へ入り込むことができる。
【0017】
前記対抗電極に対向する前記光学的に透明な射出光結合部材の表面に関する2つの実施例が存在する。一の実施例では、前記表面は透明であることで、前記基板電極の面から前記光学的に透明な射出光結合部材へ入射する光は、前記対抗電極へ向かって飛び出すことが可能で、前記対抗電極では前記光は反射される。この実施例では、前記光は、前記対抗電極の前方に設けられた前記有機エレクトロルミネッセント積層体を2度通過しなければならない。この場合、反射率は、前記有機層及び対抗電極での吸収によって決定される。
【0018】
他の実施例では、前記エレクトロルミネッセント積層体及び/又は対抗電極に対向する前記光学的に透明な射出光結合部材の面は、反射手段−好適には銀、アルミニウム、誘電ミラー、又はこれらの組み合わせ−によって覆われている。当業者は、本発明の技術的範囲内で、他の適切な反射材料を考えることが可能である。前記光が基板を通過するようにするため、及び/又は、前記光が基板を介して結合して環境へ向かって飛び出すため、前記の覆われた表面は、前記基板へ向かうように前記光を反射するミラーとして機能する。この実施例では、前記光は、前記対抗電極の前方に設けられた有機エレクトロルミネッセント積層体を通過することなく、前記光学的に透明な射出光結合部材の背面で直接反射される。これは、吸収による損失を抑制することができるという利点を有する。
【0019】
前記射出光結合部材が3次元形状を有するので、反射原理は適している。前記基板材料内部で導波される射出光の結合の改善は、前記対抗電極に対向する射出光結合部材の背面での反射、及び前記対抗電極自体での反射によって光線の方向が変化することに基づく。プリズム状の射出光結合部材の上部角の選択は、最初に前記基板/空気界面で全反射する光線が、空気へ飛び出すことの可能な角度未満で、この基板/空気界面へ向かうように再導光されるように選ばれなければならない。
【0020】
本発明においては、エレクトロルミネッセント(EL)積層体という語は、前記基板と対抗電極との間に準備された全ての層を指称する。EL積層体の一の実施例では、当該EL積層体は、前記基板と対抗電極との間に配置された少なくとも1層の発光有機エレクトロルミネッセント層を有する。他の実施例では、当該積層体は、前記基板と対抗電極との間に配置された複数の層を有して良い。前記複数の層は、有機層−たとえば1層以上の正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子阻止層、エミッタ層−又は有機層と無機層の結合であって良い。前記無機層は、当該積層体内部に2層以上の発光層が存在する場合、及び/又は電荷注入層が存在する場合には、追加の電極であって良い。好適実施例では、前記基板電極及び/又は対抗電極は、ITO、アルミニウム、ドーピングされたZnO、又は酸化物層のうちの少なくとも1つを有する。
【0021】
本明細書においては、基板という語は、エレクトロルミネッセントデバイスの様々な層が上に堆積される基礎となる材料を指称する。通常、前記基板は、透明でかつガラスで作られている。さらに、前記基板は透明で、銀、金、ガラス、又はセラミックスのうちの少なくとも1つを有することが好ましい。前記基板は、湿気及び/又は酸素が前記EL積層体へ入り込むことを本質的に防止する適切な湿気及び/若しくは酸素バリアを有する透明ポリマーシート又はホイルであって良い。金属ホイルのような非透明材料を基板として用いることも可能である。前記基板は、さらに他の層−たとえば射出光の結合の改善といった光学目的の層−を有しても良い。前記基板は、通常は平坦だが、所望の3次元形状が採られても良い。
【0022】
本明細書においては、基板電極という語は、前記基板上部に堆積された電極を指称する。通常、前記基板電極は、前記ガラスから電気電極への原子又はイオンの拡散を抑制するSiO2又はSiOからなるアンダーコーティングを任意で備える透明ITOで構成される。ITO電極を有するガラス基板では、ITOは通常はアノードだが、特殊な場合では、薄いAg又はAu層−典型的には厚さ約8nm〜15nm−は、前記基板電極として、単独又はITOと組み合わせて用いられる。金属ホイルが前記基板として用いられる場合、前記基板ホイルは、前記基板電極−陽極又は陰極のいずれか−の役割をも果たす。「〜の上部」という語は、列挙された複数の層の順序を指称する。この表記は、互いの上部と表記された層間に別な層を存在する可能性を明示的に含む。たとえば、基板電極と基板との間に配置された、射出光の結合を改善するための追加の光学層が存在しても良い。
【0023】
本発明においては、対抗電極という語は、基板から離れた電極を指称する。前記対抗電極は、通常は非透明で、かつ十分な厚さのAl又はAg層で作られる。それにより前記対抗電極は反射性となり、かつ前記厚さは典型的には、Alでは100nmで、Agでは200nmとなる。前記対抗電極は、通常はカソードだが、アノードとしてバイアス印加されても良い。上部発光型又は透明型のエレクトロルミネッセントデバイスについては、前記対抗電極は透明でなければならない。透明な対抗電極は、厚さが約5nm〜15nmのAg若しくはAl層、又はこれまでに堆積された他の層の上部に堆積されたITO層で作られる。
【0024】
本発明においては、透明基板、透明基板電極、及び非透明の対抗電極−通常は反射性である−の組み合わせを有するエレクトロルミネッセントデバイスによる、前記基板を介した光の放出は「底面発光」と呼ばれる。さらに別の電極を有するエレクトロルミネッセントデバイスの場合における他の実施例では、内部電極がカソード又はアノードとして駆動されるときには、基板と対抗電極の両方とも、アノード又はカソードであって良い。さらに本発明においては、非透明の基板電極と透明な対抗電極との組み合わせを有するエレクトロルミネッセントデバイスによる、前記対抗電極を介した発光は「上面発光」と呼ばれる。
【0025】
本発明においては、透明なエレクトロルミネッセントデバイスという語は、前記基板、前記基板電極、前記対抗電極、及び前記封止手段が透明なエレクトロルミネッセントデバイスを指称する。ここで当該エレクトロルミネッセントデバイスは、底面発光と上面発光の両方である。本発明においては、可視範囲の光の透過率が50%を超える場合、層、基板、又は電極は透明であると呼び、それ以外の場合では、吸収性又は反射性と呼ぶことにする。さらに本発明においては、可視範囲の光の透過率が10%〜50%である場合、層、基板、又は電極は半透明であると呼び、それ以外の場合では、吸収性又は反射性と呼ぶことにする。それに加えて本発明においては、光が450nm〜650nmの波長を有するとき、その光は可視光と呼ばれる。本発明においては、当該エレクトロルミネッセントデバイスの有機エレクトロルミネッセント層によって光が放出されるとき、その光は人工光と呼ばれる。
【0026】
さらに本発明においては、エレクトロルミネッセントデバイスの層、コネクタ、又は構成素子の電気抵抗が100000Ω未満である場合、そのエレクトロルミネッセントデバイスの層、コネクタ、又は構成素子は電気伝導性(導電性)と呼ばれる。本発明においては、受動素子は、レジスタ、キャパシタ、及びインダクタを有する。さらに本発明においては、能動素子は、ダイオード、トランジスタ、及び全ての種類の集積回路を有する。
【0027】
本発明においては、エレクトロルミネッセントデバイスの層、基板、電極、又は構成素子の界面に入射する光が、反射の法則に従って戻される場合、その層、基板、電極、又は構成素子は反射性と呼ばれる。このとき巨視的な入射角は巨視的な反射角に等しい。またこのような場合では鏡面反射という語も用いられる。さらに本発明においては、エレクトロルミネッセントデバイスの層、基板、電極、又は構成素子に入射する光が、反射の法則に従って戻されない場合、その層、基板、電極、又は構成素子は散乱性と呼ばれる。このとき巨視的な入射角と巨視的な反射角とは等しくない。また戻り光には角度分布が存在する。散乱の代わりに、拡散反射という語も用いられる。
【0028】
好適実施例では、前記接着剤は無水物である。本発明においては、無水物という語は、エレクトロルミネッセントデバイスの平均寿命中に水の含有による劣化が裸眼で観測できないことを表す。前記積層体への水の拡散による当該有機エレクトロルミネッセント層の視認可能な劣化は、黒点の成長又は端部から発光領域への収縮という事態となって現れる恐れがある。無水物という語は、導電性接着剤自体に依存するだけではなく、水の量にも依存する。水は、当該有機エレクトロルミネッセント層によって、当該有機エレクトロルミネッセント層を損傷することなく吸収されうる。
【0029】
さらなる好適実施例では、当該エレクトロルミネッセントデバイスは、湿気及び/又は酸素バリアを有して良い。本発明においては、前記積層体への湿気及び/又は酸素の有害な拡散を防止する層は、湿気及び/又は酸素バリアと呼ばれる。顕著な発光寿命の減少が観測される場合には、拡散は有害であるとされる。従来技術に係る標準的なOLEDは、100000時間以上のオーダーの有効寿命を実現している。顕著な減少とは、約2倍以上の寿命の減少を指称する。
【0030】
当該光学的に透明な射出光結合部材は、ガラス、プラスチック、又は他の光学的に透明な材料で作られ、かつ、ある断面を有した状態で長手方向に延在することを特徴とする。ある断面とはたとえば、三角形、プリズム形状、放物形状、半円形状、又は楕円形状であって良い。他方当該光学的に透明な射出光結合部材は、注入成型法によって作製されることが好ましい。当該光学的に透明な射出光結合部材では、前記基板電極から、当該光学的に透明な射出光結合部材の上面までの遷移は滑らかで均一である。このような滑らかで均一な遷移は、射出光結合素子を前記基板電極へ取り付けるのに用いられる接着剤の助力による。
【0031】
好適実施例では、複数の光学的に透明な射出光結合部材が前記基板電極上に配置され、その際前記複数の光学的に透明な射出光結合部材の間には空間が設けられることで、グリッド構造が形成される。前記グリッド構造は、長方形グリッド、六角形グリッド、又は不規則なグリッドとして実行されることが好ましい。好適実施例では、当該射出光結合部材は対称なアレイを形成する一方で、前記アレイは六角形アレイであることが好ましい。当該射出光結合部材の構成は、当該エレクトロルミネッセントデバイスの全発光領域にわたって延在して良い。
【0032】
有利となるように、前記基板電極の表面上に射出光結合部材を接着するための接着剤と一つになった射出光結合部材−具体的には複数の射出光結合部材によって構成されるグリッド−は、保護手段を構成する。他の好適実施例では、前記接着剤は非導電性接着剤であることを特徴とする。
【0033】
好適実施例では、前記接着剤は、前記エレクトロルミネッセント積層体に対向する前記光学的に透明な射出光結合部材の表面を少なくとも部分的に覆うことで、前記基板電極上での陰影端(shadowing edge)の発生を防止する。これにより、前記光学的に透明な射出光結合部材の上部に連続的な層が供されることで、前記光学的に透明な射出光結合部材周辺の層の欠陥に起因した短絡の危険性が回避される。さらに前記2つの電極間に電圧が印加されるとき、滑らかな構造は、電場の増大を防止することができる。
【0034】
他の実施例によると、当該エレクトロルミネッセントデバイスは、前記対抗電極と電源とを電気的に接触させる少なくとも1つの電気的接触手段を少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材上部に有する。他方、非導電性の保護手段は、前記接触手段の下方の領域を少なくとも十分に覆うように配置される。前記接触手段は、導電性接着剤を有することが好ましい。このことは、短絡の危険性が最小限の3次元コンタクトが供されるという利点となる。前記接触手段は、前記対抗電極と基板電極との間での短絡の危険性を回避するため、前記光学的に透明な射出光結合部材上方に完全に設けられなければならない。
【0035】
通常は、導電性接着剤は、導電性薄片又は粒子の状態をとる導電性充填剤を有する有機接着剤で構成される。前記接着剤の設定中、前記接着剤は、ある程度の収縮を示す恐れがある。この収縮は、充填粒子を下地の層へ入り込ませることで、前記基板電極と対抗電極との間での短絡が生じる。これを防止するため、非導電性で、かつ前記基板電極と対抗電極との間に設けられた保護層を用いることが有利である。
【0036】
従って、全ての既知の導電性接着剤は、前記対抗電極と電源とを接触させるのに用いられて良い。前記保護手段は、前記接触手段が前記対抗電極に設けられる全領域を覆わなければならない。なぜならこの領域が短絡の原因となりうるからである。しかし前記保護手段は、前記接触手段の面積よりも大きくても良い。前記対抗電極と基板電極との直接接触を防止するため、前記保護手段は、前記接触手段が前記基板電極と電気的に接触できないことを保証する厚さ及び/又は硬度を有することが好ましい。この目的を実現するため、好適実施例では、前記保護手段は、非導電性接着剤及び非導電性の光学的に透明な射出光結合部材を有して良い。通常、前記光学的に透明な射出光結合部材は、所望の保護を実現するのに十分な厚さ及び硬度を有する。当業者は、本発明の技術的範囲内で他の非導電性材料を選択することができる。
【0037】
導電性接着剤を接触手段として用いることにより実現される他の利点は、当該エレクトロルミネッセントデバイス用の基板電極として機能する、1つしか連続的な電極を備えていない基板を用いることができることである。既知のOLEDでは、前記基板上の電極は、少なくとも2つの電気的に分離した領域有するような構造がとられた。一つは基板電極として機能し、他は対抗電極と接続する。よって基板と対抗電極のいずれも、一の面内で基板の縁にまで伸びていて、両者は標準的な手段によって接触することができる。この二次元接触法の欠点は、接触のため、OLEDの周辺を共有しなければならないことで、当該デバイスの短絡を回避するため、前記基板上の電極は少なくとも2つの分離した領域−具体的には前記対抗電極と接触する前記基板電極と第2電極−に分割される必要があることである。開示された三次元接触は、二次元接触の深刻な欠点を解消する。
【0038】
前記対抗電極と基板電極との間の直接的な接触を回避するため、前記保護手段は、前記接触手段が前記基板電極と電気的に接触できないことを保証する厚さ及び/又は硬度を有することが好ましい。この目的を実現するため、好適実施例では、前記保護手段は、非導電性接着剤及び非導電性の光学的に透明な射出光結合部材を有して良い。通常、前記光学的に透明な射出光結合部材は、所望の保護を実現するのに十分な厚さ及び硬度を有する。当業者は、本発明の技術的範囲内で他の非導電性材料を選択することができる。
【0039】
当該エレクトロルミネッセントデバイスは封止手段を有する。前記封止手段は、少なくとも前記積層体を封止するように構成される。他方、前記接触手段は、前記対抗電極と前記封止手段とを電気的に接触させるため、前記封止手段と前記対抗電極との間に配置されることが好ましい。前記封止手段はまた、当該エレクトロルミネッセントデバイスの積層体全体又は単に複数の層をも封止することで、前記積層体全体の一部を形成して良い。好適には前記封止手段は、少なくとも前記有機エレクトロルミネッセント層と前記対抗電極を覆う気密性素子として供される。気密性封止手段を用いることによって、水又は酸素のような環境因子が前記封止層に損傷を及ぼすことが防止される。前記封止手段は気密性縁を構成して良い。この縁はガラス又は金属で形成されて良い。当該エレクトロルミネッセントデバイス又は該デバイスの一部に供給される1層以上の層によって前記封止手段を形成することも可能である。前記層は、シリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物、アルミニウム酸化物、又はシリコン酸窒化物を有して良い。全ての命名された封止手段は、機械的因子及び/又は環境因子が、当該エレクトロルミネッセントデバイスの積層体に悪影響を及ぼすことを防止する。例として、前記封止手段は、金属、ガラス、又はこれらの混合物で作られて良い。前記封止手段は、導電性若しくは非導電性接着剤、溶融ガラスフリット、又は金属はんだによって、前記基板に取り付けられる。従って前記封止手段は、当該エレクトロルミネッセントデバイスに機械的安定性をも供することができる。前記層と封止手段との間に設けられた接着剤の少なくとも一部は、前記対抗電極と接触するように導電性である。
【0040】
さらに他の実施例によると、本発明は少なくとも1つの分流手段を有する。前記分流手段は、前記基板電極に設けられることで、前記基板電極の横方向の延在範囲内での電圧降下を抑制することが可能である。前記分流手段は前記基板電極の表面上に配置される。前記分流手段が前記基板電極と射出光結合部材との間に配置されるように、前記射出光結合部材は前記分流手段を覆う。よって、前記射出光結合部材は、上述したように高い屈折率を有することを特徴とする光学的に透明な接着剤によって前記基板電極に接着されて良い。前記分流手段は、ワイヤ、金属細片、又は金属ホイルからなる群のうちの少なくとも1つの素子であって良い。さらに前記分流手段は、導電性接着剤によって前記基板電極に固定される。このとき前記基板電極への固定は、前記分流手段の領域の一部に限定される。
【0041】
好適には、前記分流手段は、少なくとも端点及び中間領域の一部の点で電気的に接続されて良い。その結果、導電性接着剤を用いて前記分流手段と前記基板電極とを電気的に接触させるため、接着剤の中に接着剤を用いる構成(glue-in-glue arrangement)が用いられて良い。しかし前記射出光結合部材と基板電極との間の残りの領域は、高い屈折率と透過性を有することを特徴とする非導電性接着剤で充填される。前記分流手段を、前記射出光結合部材と基板電極表面との間にサンドイッチ状に配置するため、前記射出光結合部材は、前記ワイヤ、金属細片、又は金属ホイルを受けるためのある種の凹部を底面に有して良い。
【0042】
本発明はまた、射出光の結合が増大したエレクトロルミネッセントデバイスの作製方法にも関する。他方当該方法は、前記基板電極の上部に少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材を供する工程、及び、前記光学的に透明な射出光結合部材上と基板電極の表面上の両方に前記エレクトロルミネッセント積層体と対抗電極を設ける工程を有する。しかも当該方法は、透明な接着剤によって前記基板電極の上部に接着される少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材内で実施される。有利となるように、前記接着剤は、前記エレクトロルミネッセント積層体に対向する光学的に透明な射出光結合部材の表面上の少なくとも一部に設けられることで、前記基板電極上の陰影端の出現を防止する。
【0043】
好適実施例では、前記接着剤は、前記エレクトロルミネッセント積層体に対向する光学的に透明な射出光結合部材の表面上の少なくとも一部に設けられることで、前記基板電極上の陰影端の出現を防止する。前記接着剤−好適には非導電性接着剤−を用いることで、前記基板電極の表面と前記射出光結合部材の上面との間が滑らかで平坦に遷移する。前記接着剤を用いることで、前記射出光結合部材の表面への遷移が滑らかとなるように、前記基板電極上での層の堆積プロセスが改善される。ここで前記エレクトロルミネッセント積層体の連続する層及び前記対抗電極が準備されて良い。対照的に、陰影端が存在することで、該陰影端周辺に堆積される材料の量は減少する。非導電性接着剤を用いる本発明を適用することによって、前記射出光結合部材の領域内の電場の局所的な増大を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1反射原理に従って基板電極上に設けられた射出光結合部材を有する本発明によるエレクトロルミネッセントデバイスの実施例を図示している。
【図2】第2反射原理に従って基板電極上に設けられた射出光結合部材を有する本発明によるエレクトロルミネッセントデバイスの実施例を図示している。
【図3】射出光結合部材と電気分流手段を有するエレクトロルミネッセントデバイスの実施例を図示している。
【図4】射出光結合部材と、対抗電極と電気的に接触する電気接触手段を有するエレクトロルミネッセントデバイスの実施例の詳細な断面を図示している。
【図5】射出光結合部材と分流手段を有するエレクトロルミネッセントデバイスの実施例の側面と断面を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1では、本発明の実施例によるエレクトロルミネッセントデバイス10が図示されている。エレクトロルミネッセントデバイス10は、基板電極20、対抗電極30、及び、本実施例及び以降の実施例におけるエレクトロルミネッセント層を表す有機エレクトロルミネッセント層50を有する。有機エレクトロルミネッセント層50が基板電極20と対抗電極30との間に配置されることで、前記積層体が形成される。これらの層は基板40上に配置されることで、エレクトロルミネッセントデバイス10のキャリア材料を構成する。図示された実施例では、基板電極20は、透明な導電性材料である約100nmの厚さのITO層によって形成される。この基板電極20上には、有機エレクトロルミネッセント層50が堆積される。基板電極20と対抗電極30との間に電圧が印加される場合、有機エレクトロルミネッセント層50内の有機分子の一部が励起することで、エレクトロルミネッセント層50によって人工光が放出される。対抗電極30はアルミニウム層によって形成されることで、基板電極20及び基板40を通り抜けるように人工光を反射するミラーとして機能する。周囲へ向かうように光を放出するため、この実施例では、基板40はガラスで作られる。よってエレクトロルミネッセントデバイス10は底面発光OLEDである。以降の図で示されるエレクトロルミネッセントデバイス10及びその部材のみならず、本発明に従って用いられる部材も、正しい縮尺で描かれていない。特に、電極20と30、有機エレクトロルミネッセント層50、及び基板40は、正しい縮尺を表していない。全ての図は、本発明を明確にする役割を果たしているに過ぎない。
【0046】
詳細に図示されているように、エレクトロルミネッセントデバイス10は、光学的に透明な射出光結合部材71を有する。光学的に透明な射出光結合部材71は、特定の空間的幾何学構造、三角形又はプリズム形状−これは複数の考えられうる形状のうちのただ1つの実施例を表しているに過ぎない−を有する。光学的に透明な射出光結合部材71は、有機エレクトロルミネッセント層50−典型的には有機エレクトロルミネッセント層中の地点50’−によって発生する射出光の結合を改善する。光学的に透明な射出光結合部材71は、エレクトロルミネッセントデバイス10の基板40の屈折率以上の屈折率を有する光学的に透明な材料で作られる。有機エレクトロルミネッセント層中の地点50’で放出されて光学的に透明な射出光結合部材71へ入射する光は、光学的に透明な射出光結合部材71の上面で反射されて、サイド基板電極20へ向かう。ここで反射光は、その光が基板40の底面を通過することが可能な方法を有する。よってエレクトロルミネッセントデバイス10によって放出される光の割合は増大する。光学的に透明な射出光結合部材71の上面での光の反射を保証するため、光学的に透明な射出光結合部材71は反射手段72を備える。
【0047】
図示されているように、エレクトロルミネッセント積層体を表す有機エレクトロルミネッセント層50及び対抗電極30が、基板電極20の表面だけではなく光学的に透明な射出光結合部材71上にも設けられる。前記表面上への有機エレクトロルミネッセント層50及び対抗電極30の堆積は、当業者に知られた真空堆積プロセスに基づく。接着剤70は、基板電極20と反射手段72との間で電流が流れるのを防止する。反射手段72は、金属カバー素子又は表面層によって形成されて良く、各々は電気伝導性を備える。
【0048】
図2は、光学的に透明な射出光結合部材へ入射する光の反射が、光学的に透明な射出光結合部材71の後方に設けられた対抗電極30で起こる実施例を図示している。光は、光学的に透明な射出光結合部材71へ入射して、光学的に透明な射出光結合部材71の上面で再び射出し、対抗電極30へ向かって伝播して、対抗電極30の内部反射面73で反射される。図示されているように、光学的に透明な射出光結合部材71は、透明な接着剤70を用いることによって、基板電極20に取り付けられる。接着剤70は、射出光結合部材71の配置の下で基板電極表面を覆い、かつ、射出光結合部材71隣接する領域へ入り込むように延在する。基板表面と射出光結合部材71の上面との間の遷移領域内に接着剤70が存在することで、射出光結合部材71と基板電極との間が平坦かつ滑らかに遷移する。前記接着剤が存在することで、陰影効果が回避され、かつ、信頼性が改善された状態で、少なくとも有機エレクトロルミネッセント層50を有する積層構造系と対抗電極30の堆積を行うことができる。
【0049】
図3は、光学的に透明な射出光結合部材71を表す、本発明によるエレクトロルミネッセントデバイス10の別な実施例を図示している。他方光学的に透明な射出光結合部材71は、基板電極20の表面上に設けられた電気分流手段122を覆う。よって電気分流手段122のこのような構成は、基板電極20と光学的に透明な射出光結合部材71との間でサンドイッチ状に配置することによって実現される。しかも電気伝導性を有していない接着剤70と組み合わせられた光学的に透明な射出光結合部材71は保護手段70を構成することで、電気的分流手段122と対抗電極30との間での短絡を防止する。
【0050】
図4は、接触手段60を有するエレクトロルミネッセントデバイス10の構成を図示している。エレクトロルミネッセントデバイス10は、対抗電極30と電源とを電気的に接触させるように構成された少なくとも1つの図示された接触手段60を有して良い。従って接触手段60は、対抗電極30から電源まで続く電流経路の一部である。従来技術においては、接触用の柱が接触手段60として用いられる。接触用の柱は対抗電極30に設けられる。接触用の柱の欠点は、対抗電極30に対して機械的に設けられること、及び、通常は対抗電極30と基板電極20との間での短絡を起こすとことである。この欠点を解決するため、本発明は、接触手段60が、対抗電極30に設けられた導電性の接着剤であることを開示している。
【0051】
接触手段60は、導電性接着剤によって生成され、かつ図示された封止手段90だけではなく対抗電極30とも電気的に直接接触するように配置されて良い。従って、前記封止手段90を介して対抗電極30を電源と電気的に接続することは容易である。使用者はただ、導電性手段を封止手段90に設けるだけである。よって封止手段90と対抗電極30との間に設けられた導電性接着剤は、対抗電極30へ電流を流す。
【0052】
導電性接着剤が、電気的接触手段60を形成するのに用いられるとき、開示されたエレクトロルミネッセントデバイス10の好適実施例は、接着剤70と光学的に透明な射出光結合部材71によって形成される保護層70を有する。図示されているように、電気伝導性を有していない保護手段70は、接触手段60の下方の領域を少なくとも十分に覆うように配置される。保護手段70は基板電極20上に配置される。基板電極20に電流の分路を設けるため、電気分流手段122は、光学的に透明な射出光結合部材71として実装される保護手段70と、基板電極20の表面との間でサンドイッチ状に配置される。この構成は、接触手段60の下方の領域を保護し、かつ分流系だけではなく射出光結合系をも形成しうる。よってこのような保護手段を用いた構成は3つの目的を満たす。3つの目的とは具体的には、分流手段122を十分に覆うこと、電気的接触手段60下方の領域を十分に覆うこと、及び、保護手段70を形成する非電気伝導性の接着剤を必要とすることである。さらに、有機エレクトロルミネッセント層50によって放出される光の結合が改善される。
【0053】
図5は、エレクトロルミネッセントデバイス10の別な実施例の断面及び側面を図示している。図示されているように、電気分流手段122は、光学的に透明な射出光結合部材71と、有機エレクトロルミネッセント層50及び対抗電極30を有する積層構造系とを有する構成から外に飛び出して良い。電気分流手段122は、基板電極20の表面に設けられ、かつ、前記層の配置−具体的には光学的に透明な射出光結合部材71の配置−に沿って横方向に延在する。単なる典型例として図示されているように、対抗電極30は接続手段93によって接触する。有機エレクトロルミネッセントデバイス10の発光領域全体にわたって電圧を等しくするため、電気分流手段122は、接触手段74を介して、その両端と長さ方向に沿った数点で、基板電極20と接触する。具体的には、電気分流手段122を設けることによって、エレクトロルミネッセントデバイス10中心での電圧は、動作中でのエレクトロルミネッセントデバイス10の発光領域の外部領域での電圧と一致する。
【0054】
記載された実施例は、例として、積層体内部に有機エレクトロルミネッセント層50を有する。本発明の技術的範囲内の代替実施例では、エレクトロルミネッセント積層体は、有機エレクトロルミネッセント層50に加えて別な層を有しても良い。その別な層とは、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子阻止層、電荷注入層、別な導電層等である。
【符号の説明】
【0055】
10 エレクトロルミネッセントデバイス
20 基板電極
30 対抗電極
40 基板
50 有機エレクトロルミネッセント層
50’ 有機エレクトロルミネッセント層内の地点
60 接触手段
70 接着剤、保護層
71 光学的に透明な射出光結合部材
72 反射手段
73 反射面
74 接触手段
90 封止手段
93 接続手段
93’ 接続手段
122 分流手段
170 ゲッター
180 散乱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を備えた積層構造系を有するエレクトロルミネッセントデバイスであって、
当該積層構造系は、基板電極、対向電極、及び、前記基板電極と対向電極との間に配置された少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層を前記基板上に有し、
少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合体が前記基板電極の上部に供されることで、前記射出光結合体を少なくとも部分的に覆う前記少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層によって発生する射出光の結合が増大することを特徴とする、
エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項2】
前記光学的に透明な射出光結合部材は、高い屈折率を有することを特徴とし、好適には前記基板の屈折率と一致する屈折率を有することを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項3】
前記光学的に透明な射出光結合部材は、三角形、プリズム形状、放物形状、半円形状、又は楕円形状に形成された断面を有した状態で長手方向に延在することを特徴とし、かつ好適には注入成型法によって作製されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項4】
前記エレクトロルミネッセント積層体及び/又は対抗電極に対向する前記光学的に透明な射出光結合部材の面は、好適には銀、アルミニウム、誘電ミラー、又はこれらの組み合わせを有する反射手段によって覆われることを特徴とする、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合体が、接着剤によって前記基板電極の上部にせっちゃく戯れることを特徴とする、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項6】
前記基板電極に前記光学的に透明な射出光結合部材を接着するための接着剤が、光学的に透明な接着剤を構成し、
前記光学的に透明な接着剤は、高い屈折率を有することを特徴とし、好適には前記基板の屈折率と一致する屈折率を有することを特徴とする、
請求項5に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項7】
前記接着剤が非導電性で、前記基板電極と対抗電極との間の電気的接触を防止するのに適した保護手段を構成する、請求項5又は6に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項8】
前記接着剤が、前記エレクトロルミネッセント積層体に対向する前記光学的に透明な射出光結合部材の表面を少なくとも部分的に覆うことで、前記基板電極上での陰影端の出現を防止することを特徴とする、請求項5乃至7のうちいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項9】
前記対抗電極と電源とを電気的に接触させる少なくとも1つの電気的接触手段を少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合体上部に有する、請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセントデバイスであって、
前記電気的接触手段は導電性接着剤を有することを特徴とする、
エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項10】
封止手段を有する請求項9に記載のエレクトロルミネッセントデバイスであって、
前記封止手段は、少なくとも前記積層体を封止するように構成され、
前記電気的接触手段は、前記対抗電極と前記封止手段とを電気的に接触させるため、前記封止手段と前記対抗電極との間に配置されることが好ましい、
ことを特徴とするエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの分流手段が、前記基板電極の横方向の延在範囲内での電圧を揃えるため、前記基板電極に設けられ、
前記分流手段は前記基板電極の表面上に配置され、
前記分流手段が前記基板電極と射出光結合部材との間に配置されるように、前記射出光結合部材は前記分流手段を覆う、
ことを特徴とする、請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項12】
複数の光学的に透明な射出光結合部材が前記基板電極上に配置され、
その際前記複数の光学的に透明な射出光結合部材の間には空間が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項13】
前記複数の光学的に透明な射出光結合部材がグリッド構造を構成し、
前記グリッド構造は、長方形グリッド、六角形グリッド、又は不規則なグリッドとして実行されることが好ましい、
請求項12に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項14】
基板を備え、該基板上に基板電極、対向電極、及び、前記基板電極と対向電極との間に配置された少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層を有する積層構造系を有する、射出光の結合が増大したエレクトロルミネッセントデバイスの作製方法であって:
前記基板電極の上部に少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材を供する工程;
及び、
前記光学的に透明な射出光結合部材上と基板電極の表面上の両方に前記エレクトロルミネッセント積層体と対抗電極を設ける工程;
を有する方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光学的に透明な射出光結合部材が、接着剤によって前記基板電極上部に接着されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記接着剤が、前記エレクトロルミネッセント積層体に対向する光学的に透明な射出光結合部材の表面上の少なくとも一部に設けられることで、前記基板電極上の陰影端の出現を防止することを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−526348(P2012−526348A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509133(P2012−509133)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051896
【国際公開番号】WO2010/128439
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】