エレベータのドアシステム
【課題】乗籠がいない状態でホールドアが開いたとき、昇降路内への転落防止を図ることができるエレベータのドアシステムを提供する。
【解決手段】エレベータのドアシステム1は、かごドア19に設けられた係合装置37に係合するようにホールドア17に設けられ、係合装置37に係合したときにホールドア17のロックを解除するドア開閉用インターロックと、安全用部材52を収納する収納装置53と、安全用部材52に連結された状態でホールドア17が戸開したとき、安全用部材52を収納装置53からホール出入口16へ引き出す作動用部材54と、ホールドア17に設けられ、乗籠4がフロアレベルにあるときに係合装置37に係合するとともに、係合装置37に係合したときに安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する安全装置用インターロック55とを具備する。
【解決手段】エレベータのドアシステム1は、かごドア19に設けられた係合装置37に係合するようにホールドア17に設けられ、係合装置37に係合したときにホールドア17のロックを解除するドア開閉用インターロックと、安全用部材52を収納する収納装置53と、安全用部材52に連結された状態でホールドア17が戸開したとき、安全用部材52を収納装置53からホール出入口16へ引き出す作動用部材54と、ホールドア17に設けられ、乗籠4がフロアレベルにあるときに係合装置37に係合するとともに、係合装置37に係合したときに安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する安全装置用インターロック55とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの昇降路内を点検するとき、乗籠がいない階床のホールドアを開けることになる。このとき作業者は、昇降路内に落下するおそれのある危険な体勢で、ホールドアに鍵をかけなければならない。また、何らかの事情で乗籠がいない階床のホールドアが開いてしまった場合、エレベータホールから昇降路内に乗客等が転落するおそれが生じる。
【0003】
特許文献1には、予定外の階のホールドアが開いてしまったときに、乗客等が昇降路内に落下する事故を防止するエレベータが開示されている。このエレベータは、昇降路の最上部と最下部とにそれぞれ配設されたガイドホイールと、このガイドホイールに掛け渡され、乗籠の上面前端と下面善端とを介して無端に連結されたガードネットとを有する。このガードネットは、乗籠の昇降動作に連動して昇降路内を循環走行し、乗籠の停止階以外の階の出入口を全て遮断する。
【特許文献1】特開平5−246668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗籠がいない状態でホールドアが開いた場合に、昇降路内への転落を防止する何らかの安全装置が設けられることが望まれる。上記特許文献1に記載のエレベータは、上記安全装置として乗籠の停止階以外の階の出入口を全て覆うガードネットを備える。しかしながら特許文献1の安全装置は、非常に大掛かりな構造を必要とし、その設置コストもかなり大きなものになるため、改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、乗籠がいない状態でホールドアが開いたとき、昇降路内への転落防止を図ることができるエレベータのドアシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一つの形態に係るエレベータのドアシステムは、エレベータホールのホール出入口に設けられたホールドアと、乗籠に設けられたかごドアと、上記かごドアに設けられ、上記ホールドアを上記かごドアに連動させる係合装置と、上記係合装置に係合するように上記ホールドアに設けられ、上記係合装置に係合していないときに上記ホールドアの戸開をロックするとともに、上記係合装置に係合したときに上記ロックを解除するドア開閉用インターロックと、安全用部材を収納する収納装置と、上記安全用部材に着脱可能に連結されるとともに、上記安全用部材に連結された状態で上記ホールドアが戸開したとき、上記安全用部材を上記収納装置から上記ホール出入口へ引き出す作動用部材と、上記ホールドアに設けられ、上記乗籠が上記エレベータホールのフロアレベルにあるときに上記係合装置に係合するとともに、上記係合装置に係合したときに上記安全用部材に対する上記作動用部材の連結を解除する安全装置用インターロックとを具備する。
【0007】
(2)上記(1)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記係合装置は、鉛直方向に延びた長手部材を有し、上記安全装置用インターロックは、上記ドア開閉用インターロックと鉛直方向に並んで設けられている。
【0008】
(3)上記(2)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記作動用部材と上記安全装置用インターロックとの間に設けられるとともに、上記作動用部材を上記安全装置用インターロックに連動させる連結部材を備える。
【0009】
(4)上記(3)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材は、上記ホール出入口を横切るように現れるロープ部材である。
【0010】
(5)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられている。
【0011】
(6)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられている。
【0012】
(7)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材が経由するシーブを備え、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠と、ホールシルとを備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記シーブは、上記三方枠に設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられている。
【0013】
(8)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材が経由するシーブを備え、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、ホールシルを備え、上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記シーブは、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられている。
【0014】
(9)上記(3)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材は、上記ホール出入口に向かい合うように広がるネット部材である。
【0015】
(10)上記(9)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられている。
【0016】
(11)上記(9)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられている。
【0017】
(12)上記(2)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材は、ロープ部材と、このロープ部材に設けられた安全札とを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、乗籠がいない状態でホールドアが開いたとき、昇降路内への転落防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図21を参照して説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図1ないし図9を参照して説明する。図1は、本実施形態および以下の実施形態に係るエレベータのドアシステム1が設けられるエレベータ2の全体を概略的に示す。
【0020】
図1に示すように、エレベータ2は、それぞれ昇降路3内に配置された乗籠4と釣合いおもり5とを備える。昇降路3内には、乗籠4を案内するガイドレール(図示しない)と、釣合いおもり5を案内するガイドレール(図示しない)とが、それぞれ鉛直方向に延設されている。
【0021】
昇降路3の上方には機械室7が設けられている。この機械室7には、巻上機8が設置されるとともに、例えばエレベータ2の全体を制御する制御装置9が設けられている。巻上機8は、メインシーブ11と、このメインシーブ11を回転駆動するモータ12とを備える。メインシーブ11には、メインロープ13が巻き掛けられている。このメインロープ13の一端には、乗籠4が懸吊されている。また、メインロープ13の他端には、釣合いおもり5が懸吊されている。これにより巻上機8を駆動することで、乗籠4および釣合いおもり5が互いに反対方向に昇降動作する。
【0022】
図1に示すように、エレベータのドアシステム1は、エレベータホール15のホール出入口16に設けられたホールドア17と、乗籠4の乗籠出入口18に設けられたかごドア19と、ホールドア17をかごドア19に連動させる係合機構20とを有する。
【0023】
図2および図3に示すように、ホールドア17は、複数のドアパネル22,23を有する。本実施形態に係るホールドア17は、この複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式(すなわち片開き形式)のドアである。ドアパネル22,23は、係合機構20を介してかごドア19に連動して動く駆動ドアパネル22と、この駆動ドアパネル22に従って動く従動ドアパネル23とを含む。
【0024】
なおここでは図示しないが、かごドア19も同様に、サイドオープン形式を構成する複数のドアパネルを有する。また乗籠4には、かごドア19を開閉する駆動装置(図示しない)が設けられている。
【0025】
一方、図2に示すように、エレベータホール15には、ホールドア17の下方に位置するホールシル25と、このホールシル25と協働してホール出入口16を規定する三方枠26とが設けられている。三方枠26は、ホール出入口16の左右の両側方、および上方を規定する。
【0026】
図1および図2に示すように、ホールドア17には、第1のインターロックであるドア開閉用インターロック31が設けられている。ドア開閉用インターロック31は、ホールドア17の背面側、すなわち乗籠4に臨む側に設けられている。図2に示すように、ドア開閉用インターロック31は、例えば駆動ドアパネル22に設けられ、上述の係合機構20の一部を構成している。
【0027】
詳しく述べると、ドア開閉用インターロック31は、腕部32、第1および第2のローラー33,34、並びにフック部35を有する。腕部32は、ホール出入口16の間口方向(図2中左右方向)に延びており、例えば三方枠26の近傍まで達する先端部33aと、この先端部33aとは反対側の端部である基端部33bとを有する。腕部32の基端部33bは、ホールドア17に回動自在に取り付けられている。腕部32の先端部32aは、基端部33bを支点として上下方向に揺動可能である。
【0028】
図2に示すように、第1および第2のローラー33,34は、腕部32の基端部32bに設けられている。第1および第2のローラー33,34は、後述する乗籠4の係合装置37に係合する係合部分であり、ホールドア17から昇降路3内に突出している。
【0029】
第1および第2のローラー33,34は、互いに上下方向に並んで配置されている。ここで、上側に位置する第1のローラー33は、下側に位置する第2のローラー34に対して、腕部32の先端部32a側(図2中右側)にずれて配置されている。フック部35は、腕部32の先端部32aに設けられている。
【0030】
図2に示すように、三方枠26には、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、インターロックキャッチ38が設けられている。インターロックキャッチ38は、例えば上方が開放された凹部形状に形成されている。ドア開閉用インターロック31は、腕部32がインターロックキャッチ38に達するように延びており、フック部35がインターロックキャッチ38に上方から係合可能である。フック部35がインターロックキャッチ38に係合すると、ホールドア17の戸開がロックされる。
【0031】
一方、乗籠4のかごドア19には、図4に示すような例えばカミソリと呼ばれる係合装置37が設けられている。係合装置37は、上記係合機構20の一部を構成する。係合装置37は、第1および第2の係合片41,42、第1および第2のリンク機構43,44、並びにガイドローラー45を備える。
【0032】
図4に示すように、第1および第2の係合片41,42は、それぞれ鉛直方向に比較的大きく延びた長手部材である。第1および第2の係合片41,42は、ドア開閉用インターロック31の第1および第2のローラー33,34をその間に挟みこむように、第1および第2のローラー33,34の両側に分かれるように配置されている。ここで、第1および第2の係合片41,42は、乗籠4には直接固定されておらず、第1および第2のリンク機構43,44を介してかごドア19に支持されている。
【0033】
第1および第2のリンク機構43,44は、第1および第2の係合片41,42の間に掛け渡されている。第1および第2の係合片41,42は、それぞれ中心部分46と、第1および第2の端部47,48とを有する。第1および第2のリンク機構43,44の中心部分46は、それぞれかごドア19に回動可能に支持されている。第1および第2のリンク機構43,44の第1の端部47は、それぞれ第1の係合片41に回動可能に取り付けられている。第1および第2のリンク機構43,44の第2の端部48は、それぞれ第2の係合片42に回動可能に取り付けられている。
【0034】
図4に示すように、ガイドローラー45は、例えば第2の係合片42の上端部に設けられている。また、乗籠4には、ガイドローラー45を案内するレール49が設けられている。レール49は、戸開に伴いガイドローラー45が移動するときに(すなわちガイドローラー45が図4中左方向に進むときに)、ガイドローラー45を戸開前に比べて下方に沈み込むように案内する。
【0035】
次に、係合機構20の作用について説明する。乗籠4がいない階床においては、ドア開閉用インターロック31のフック部35がインターロックキャッチ38に係合しており、その階床のホールドア17は戸開ができないようにロックされている。
【0036】
乗籠4が利用階の階床に到着すると、かごドア19に設けられた係合装置37がホールドア17に設けられたドア開閉用インターロック31に係合可能な状態になる。すなわち図4に示すように、第1および第2の係合片41,42が第1および第2のローラー33,34の両側に位置するようになる。
【0037】
この状態で乗籠4に設けられた駆動装置がかごドア19を戸開しようとすると、係合装置37がかごドア19に伴って図4中左方向に移動し、ドア開閉用インターロック31に係合する。このとき、図5に示すように、ドア開閉用インターロック31の第1のローラー33が係合装置37の第1の係合片41に押されて図中左方向に移動し、その結果、フック部35が上方に持ち上がる。これにより、インターロックキャッチ38に対するドア開閉用インターロック31の係合が解除される。つまり、ホールドア17の戸開が可能になる。
【0038】
そして、ガイドローラー45がレール49に沿って下方に沈むことで、第2の係合片42が下方に移動(図4中矢印Aの動き)するとともに、リンク機構43,44を介して第1の係合片41が上方に移動(図4中矢印Bの動き)する。これにより、図5に示すように、第1および第2の係合片41,42が、第1および第2のローラー33,34を両側から挟みこむ。これにより、係合装置37がホールドア17をかごドア19に連動させ、かごドア19の戸開に伴ってホールドア17が戸開される。
【0039】
戸閉の場合も同様に、係合装置37がホールドア17をかごドア19に連動させ、かごドア19が戸閉されると、かごドア19の戸閉に伴ってホールドア17が戸閉される。ホールドア17が閉まりきるとき、ドア開閉用インターロック31のフック部35がインターロックキャッチ38に再び係合し、ホールドア17の戸開がロックされた状態に戻る。
【0040】
すなわち、ドア開閉用インターロック31は、係合装置37に係合するようにホールドア17に設けられ、係合装置37に係合していないときにはホールドア17の戸開をロックするとともに、係合装置37に係合したときに上記ロックを解除する。
【0041】
図2および図3に示すように、エレベータのドアシステム1は、昇降路3への転落を防止する安全装置51を備える。この安全装置51は、安全用部材52、収納装置53、作動用部材54、安全装置用インターロック55、および連結部材56を含む。
【0042】
図3に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように現れるロープ部材(すなわち安全ロープ)である。収納装置53は、例えば自動巻取り機能を有するとともに、安全用部材52を収納する。これにより、安全用部材52は、その大部分が収納装置53に収納された第1の状態(図2参照)と、ホール出入口16を水平方向に横切るように延びる第2の状態(図3参照)との間で変形可能である。
【0043】
図2に示すように、本実施形態に係る収納装置53は、エレベータホール15の三方枠26に設けられている。収納装置53の外部に出た安全用部材52の端部には、例えば上方に向いて起立した係合部58が設けられている。
【0044】
作動用部材54は、ホールドア17に設けられるとともに、収納装置53と略同じ高さに配置されている。作動用部材54は、ホール出入口16の間口方向(図2中左右方向)に延びるとともに、収納装置53に臨む先端部54aと、この先端部54aとは反対側の端部である基端部54bとを有する。
【0045】
作動用部材54の基端部54bは、ホールドア17に回動自在に取り付けられている。作動用部材54の先端部54aは、基端部54bを支点として上下方向に揺動可能である。この作動用部材54の先端部54aには、下方に向いて鉤となるフック部54cが設けられている。フック部54cは、安全用部材52の係合部58に着脱可能に係合する。これにより、作動用部材54が安全用部材52に着脱可能に連結される。
【0046】
図2および図3に示すように、作動用部材54が安全用部材52に連結された状態でホールドア17が戸開されると、作動用部材54は安全用部材52を収納装置53からホール出入口16へ引き出す。一方、安全用部材52に対する作動用部材54の連結が解除されていると、ホールドア17が戸開されても、安全用部材52は収納装置53に収納された状態で待機する。
【0047】
図2に示すように、第2のインターロックである安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と並列に並んで、ホールドア17の背面側に設けられている。詳しくは、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31の下方に設けられ、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並んでいる。
【0048】
安全装置用インターロック55は、ホールドア17のなかで上記ドア開閉用インターロック31に比較的近い領域に設けられ、乗籠4がエレベータホール15のフロアレベルにあるときに上記ドア開閉用インターロック31と共に上記係合装置37に係合する。なお「乗籠がエレベータホールのフロアレベルにあるとき」とは、乗籠が正常運転で利用階の階床に到着した状態を指し、例えば乗籠の敷居とエレベータホールの敷居とが略同じ高さにある状態をいう。
【0049】
安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と類似した構成を有する。すなわち、安全装置用インターロック55は、腕部61と、第1および第2のローラー62,63とを有する。腕部61は、ホール出入口16の間口方向に延びるとともに、先端部61aと、基端部61bとを有する。腕部61の基端部61bは、ホールドア17に回動自在に取り付けられている。腕部61の先端部61aは、基端部61bを支点として上下方向に揺動可能である。
【0050】
図2に示すように、第1および第2のローラー62,63は、腕部61の基端部61bに設けられている。第1および第2のローラー62,63は、上述した乗籠4の係合装置37に係合する係合部分であり、ホールドア17から昇降路3内に突出している。
【0051】
第1および第2のローラー62,63は、互いに上下方向に並んで配置されている。ここで、上側に位置する第1のローラー62は、下側に位置する第2のローラー63に対して、腕部61の先端部61a側(図2中右側)にずれて配置されている。
【0052】
図2に示すように、連結部材56は、作動用部材54の先端部54aと安全装置用インターロック55の腕部61の先端部61aとの間に設けられ、作動用部材54を安全装置用インターロック55に連動させる。連結部材56の具体例としては、例えばワイヤーやロープ部材、または紐部材などが挙げられる。なお連結部材56は、上記例に限らず、種々の部材が広く該当する。
【0053】
次に、安全装置用インターロック55の作用を説明する。安全装置用インターロック55が係合装置37に係合していないとき、すなわち乗籠4が利用階のフロアレベルにいないときは、安全装置用インターロック55は作動しておらず、作動用部材54のフック部54cが安全用部材52の係合部58に係合し、作動用部材54が安全用部材52に連結された状態にある。
【0054】
一方、乗籠4が利用階のフロアレベルにあるとき、図4に示すように、第1および第2の係合片41,42が第1および第2のローラー62,63の両側に位置する。この状態でかごドア19の戸開が行われると、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と同様に係合装置37に係合する。
【0055】
このとき、図5に示すように、安全装置用インターロック55の第1のローラー62が係合装置37の第1の係合片41に押されて図中左方向に移動し、その結果、腕部61の先端部61aが上方に持ち上がる。これにより、安全装置用インターロック55は、連結部材56を上方に引き上げ、この連結部材56を介して作動用部材54のフック部54cを上方に持ち上げる。作動用部材54のフック部54cが安全装置51の係合部58から上方に持ち上げられると、安全用部材52に対する作動用部材54の連結が解除される。
【0056】
次に、エレベータのドアシステム1の全体の作用について説明する。
エレベータ2の昇降路3内を点検するとき、乗籠4がいない階床のホールドア17を開けることになる。詳しくは図8および図9に示すように、アンロックキー65を使用して、エレベータホール15からドア開閉用インターロック31のフック部35を持ち上げて、インターロックキャッチ38に対するドア開閉用インターロック31の係合を解除する。これにより、ホールドア17が戸開可能な状態になり、作業員はホールドア17を開けることができる。
【0057】
このとき、図9に示すように、安全装置用インターロック55は、操作されることがなく、作動用部材54が安全用部材52に連結された状態にある。したがってこの状態でホールドア17を開けると、図3に示すように、作動用部材54に連結された安全用部材52がホールドア17の戸開に連動してホール出入口16に現れる。これにより、作業員は、安全用部材52に保護された状態でホールドア17に鍵をかける作業を行うことができる。
【0058】
ホールドア17に鍵をかけた作業員は、作動用部材54のフック部54cを手で持ち上げることで、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除することができる。作動用部材54との連結が解除された安全用部材52は、収納装置53の自動巻取り機能によって、収納装置53に収納された初期状態まで復帰する。これにより、ホール出入口16には安全用部材52が存在しない状態になり、作業員は、ホール出入口16から昇降路3内に入り、昇降路3内を点検することができる。
【0059】
一方、点検作業が終了し、ホールドア17を閉めると、作動用部材54のフック部54cが安全用部材52の係合部58に再び係合し、安全用部材52が作動可能な状態になる。
【0060】
また、点検作業時以外に何らかの事情で乗籠4がいない階床のホールドア17が開いてしまった場合も同様に、ホールドア17が戸開されると、ホールドア17に連動して作動用部材54に連結された安全用部材52がホール出入口16に現れる。これによりエレベータホール15にいる乗客の保護が図られる。またその状態からホールドア17を閉じるときは、ホールドア17の戸閉に連動して収納装置53が安全用部材52を自動巻取りするため、ホールドア17を簡単に閉じることができる。
【0061】
図6および図7は、エレベータホール15のフロアレベルよりも高い位置で乗籠4が停止してしまった場合の戸開の様子を示す。このようなフロアレベルよりもある程度高い位置で乗籠4が停止してしまった場合、ドア開閉用インターロック31が解除されてホールドア17の戸開は可能になるが、安全装置用インターロック55は起動しないため、作動用部材に引っ掛った安全用部材52がホールドア17の戸開に連動してホール出入口16に現れる。これにより乗籠4内にいる乗客の保護が図られる。
【0062】
一方、通常運転時において乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、上述したように安全装置用インターロック55が係合装置37に係合し、安全用部材52に対する作動用部材54の連結が解除される。これにより、ホールドア17の戸開が行われても、安全用部材52は収納装置53に待機した状態になり、ホール出入口16には現れない。これにより乗客は、安全用部材52に邪魔されることなく乗降することができる。
【0063】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。すなわち、安全用部材52を収納する収納装置53と、安全用部材52に着脱可能に連結されるとともに、安全用部材52に連結された状態でホールドア17が戸開したとき、安全用部材52を収納装置53からホール出入口16へ引き出す作動用部材54と、乗籠4がエレベータホール15のフロアレベルにあるときに安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する安全装置用インターロック55とを備えると、乗籠4がフロアレベルにいるときには、安全用部材52を作動させずに待機させるとともに、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたとき、ホール出入口16に安全用部材52を展開することができる。
【0064】
これにより、ホールドア17の開閉は従来の動作と同じながら、乗籠4がその階床にいない状態でホールドア17が開いたとき、エレベータホール15にいる乗客や作業員は、安全用部材52によって保護され、昇降路3内への転落する危険性を小さくすることができる。また、上記構成によれば、フロアレベルよりもある程度高い位置で乗籠4が停止し、ホールドア17が開いてしまった場合、乗籠4内からエレベータホール15へ乗客が転落する危険性も小さくすることができる。
【0065】
この安全装置用インターロック55をかごドア19に設けられた係合装置37によって作動する構成とすることで、安全装置用インターロック55を起動および解除させる特殊な治具や機構を別に設ける必要がなく、上記安全装置51を比較的簡単な構成で実現することができる。これは、エレベータのドアシステム1の省スペース化、および低コスト化などに大きく寄与する。
【0066】
特に安全装置用インターロック55がドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並んで設けられていると、従来用いられている係合装置37によって作動する安全装置51を実現することができる。
【0067】
作動用部材54と安全装置用インターロック55との間に設けられた連結部材56を備えると、安全装置用インターロック55および作動用部材54の設置位置の自由度が高まる。すなわち乗客等の安全を最も図れる任意の高さに安全用部材52を設置することができる。これにより、乗客等の保護をより一層図ることができる。
【0068】
安全用部材52が、ホール出入口16を横切るように延びるロープ部材であると、この安全用部材52や収納装置53を比較的小型に収めることができる。昇降路3内は、一般にスペースにあまり余裕がないので、安全装置51を小さく収めることができると好ましい。作動用部材54がホールドア17に設けられ、収納装置53が三方枠26に設けられていると、サイドオープン形式のホールドア17において安全装置51を確実に作動させることができる。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図10および図11を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0070】
図10および図11に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル71,72を備える。ホールドア17は、この複数のドアパネル71,72が互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアである。ドアパネル71,72は、係合機構20を介してかごドア19に連動して動く駆動ドアパネル71と、この駆動ドアパネル71に従って動く従動ドアパネル72とを含む。
【0071】
ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル71に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、駆動ドアパネル71とは反対方向に退避する従動ドアパネル72に設けられている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0072】
図11に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように現れるロープ部材である。本実施形態に係る収納装置53は、従動ドアパネル72に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル71に設けられるとともに、収納装置53と略同じ高さに配置されている。
【0073】
図10に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル71に設けられている。乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0074】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0075】
作動用部材54がホールドア17の一つのドアパネル71に設けられ、収納装置53がドアパネル71とは反対方向に退避する他のドアパネル72に設けられていると、センターオープン形式のホールドア17において、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図12および図13を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0077】
図12および図13に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアである。ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル22に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、三方枠26に設けられえている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0078】
本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、安全用部材52に代えて、安全用部材81を備える。図13に示すように、安全用部材81は、ホール出入口16に向かい合うように広がるネット部材(すなわち安全ネット)である。収納装置82は、例えば自動巻取り機能を有するとともに、安全用部材81を収納する。これにより、安全用部材81は、その大部分が収納装置82に収納された第1の状態(図12参照)と、作動部材54に引き出されてホール出入口16の例えば大部分を覆う第2の状態(図13参照)との間で変形可能である。
【0079】
本実施形態に係る収納装置82は、三方枠26に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル22に設けられている。図12に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル22に設けられている。
【0080】
乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材81に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0081】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0082】
安全用部材81がホール出入口16に向かい合うように広がるネット部材であると、ロープ部材に比べてホール出入口16が大きく覆われ、より高い安全性を実現することができる。作動用部材54がホールドア17に設けられ、収納装置82が三方枠26に設けられていると、サイドオープン形式のホールドア17において安全装置51を確実に作動させることができる。
【0083】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図14および図15を参照して説明する。なお上記第1ないし第3の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0084】
図14および図15に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル71,72が互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアである。ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル71に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、従動ドアパネル72に設けられている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0085】
図15に示すように、本実施形態に係る安全用部材81は、ホール出入口16に向かい合うように広がるネット部材である。本実施形態に係る収納装置82は、従動ドアパネル72に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル71に設けられている。図14に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル71に設けられている。
【0086】
乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材81に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第3の実施形態と同じである。
【0087】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0088】
作動用部材54がホールドア17の一つのドアパネル71に設けられ、収納装置82がドアパネル71とは反対方向に退避する他のドアパネル72に設けられていると、センターオープン形式のホールドア17において、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図16および図17を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0090】
図16および図17に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアである。ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル22に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、三方枠26に設けられえている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0091】
図17に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように延びるロープ部材である。三方枠26には、安全用部材52が掛けられるシーブ91が設けられている。シーブ91は、例えば作動用部材54と略同じ高さに配置されている。本実施形態に係る収納装置53は、ホールシル25の下部92(すなわち床下部分)に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル22に設けられている。安全用部材52は、収納装置53からシーブ91を経由して作動用部材54に連結されている。
【0092】
図16に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル22に設けられている。乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0093】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0094】
作動用部材54がホールドア17に設けられ、シーブ91が三方枠26に設けられると、収納装置53の設置位置の自由度が高まる。ホールシル25の下部92は、例えばホールドア17の背面側領域に比べてスペースの余裕がある。したがって、収納装置53をホールシル25の下部92に設けると、収納装置53の大きさの制限を緩和することができる。
【0095】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図18および図19を参照して説明する。なお上記第1および第5の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0096】
図18および図19に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル71,72が互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアである。
【0097】
ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル71に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、従動ドアパネル72に設けられえている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0098】
図19に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように延びるロープ部材である。従動ドアパネル72には、安全用部材52が掛けられるシーブ91が設けられている。シーブ91は、例えば作動用部材54と略同じ高さに配置されている。本実施形態に係る収納装置53は、ホールシル25の下部92(すなわち床下部分)に設けられている。
【0099】
図19に示すように、収納装置53は、例えばホールドア17が全開されたときにシーブ91と鉛直方向に重なる領域に設けられている。なお収納装置53の設置位置はこれに限られない。作動用部材54は、駆動ドアパネル71に設けられている。安全用部材52は、収納装置53からシーブ91を経由して作動用部材54に連結されている。
【0100】
図18に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル71に設けられている。乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第2の実施形態と同じである。
【0101】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0102】
作動用部材54が駆動ドアパネル71に設けられ、シーブ91が従動ドアパネル72に設けられると、収納装置53の設置位置の自由度が高まる。収納装置53をホールシル25の下部92に設けると、収納装置53の大きさの制限を緩和することができる。
【0103】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図20および図21を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0104】
図20および図21に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアである。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、安全用部材52に代えて、安全用部材101を備える。
【0105】
図20に示すように、安全用部材101は、ホール出入口16の間口方向に延びるロープ部材102と、このロープ部材102に設けられた安全札103とを有する。安全札03には、例えば「点検中」や「危ない!」、または「危険!!」などの注意を喚起する表示がされている。
【0106】
安全用部材101は、安全札103が三方枠26の背面側に隠れた第1の状態(図20参照)と、作動用部材54に引き出されて安全札103がホール出入口16に現れる第2の状態(図21参照)との間で変形可能である。
【0107】
図20に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル22に設けられている。安全装置用インターロック55は、例えばドア開閉用インターロック31よりも上方に設けられている。なお安全装置用インターロック55は、例えばドア開閉用インターロック31よりも下方に設けてもよい。
【0108】
本実施形態に係る安全装置用インターロック55の腕部61の先端部61aには、作動用部材54が一体に設けられている。作動用部材54は、安全装置用インターロック55の回動に伴い、上下方向に揺動可能である。作動用部材54は、ロープ部材102の端部に設けられた係合部に着脱可能に係合するフック部54cを備える。
【0109】
乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、安全用部材101に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0110】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0111】
安全用部材101が、ロープ部材102に設けられた安全札103を有すると、乗客に対して注意を喚起することができる。例えば安全装置用インターロック55がドア開閉用インターロック31よりも上方に設けられていると、図20および図21中に二点差線で示すように、第1の実施形態に係る安全装置51を併設することができる。
【0112】
なお、例えば上記第2の実施形態で説明したセンターオープン形式のエレベータのドアシステム1において、本実施形態のような安全用部材101を用いてもよい。
【0113】
以上、本発明の第1ないし第7の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば第1ないし第7の実施形態に係る各構成要素は適宜組み合わせて用いてもよい。
【0114】
また本発明は、上記第1ないし第7の実施形態で説明した構造および形状に限定されるものではない。例えば上記説明した安全装置用インターロックは、2つの係合片を有する係合装置37に係合するものであるが、安全装置用インターロックは、係合片が一つからなる係合装置によって作動するものでもよい。本発明に係るエレベータのドアシステムは、一つの乗籠出入口を有する乗籠に限定されることなく、例えば直行する方向に沿って設けられた2つの乗籠出入口、または隣接する側板に分かれて設けられた2つの乗籠出入口を有するエレベータにおいても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータの全体を概略的に示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図3】図2中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るドア開閉インターロックの通常の開閉時の動作前の状態を示す背面図。
【図5】図4中に示されたドア開閉インターロックの通常の開閉時の動作後の状態を示す背面図。
【図6】図4中に示されたドア開閉インターロックのフロアレベルよりも高い位置での開閉時の動作前の状態を示す背面図。
【図7】図4中に示されたドア開閉インターロックのフロアレベルよりも高い位置での開閉時の動作後の状態を示す背面図。
【図8】図4中に示されたドア開閉インターロックの点検時の動作前の状態を示す背面図。
【図9】図4中に示されたドア開閉インターロックの点検時の動作後の状態を示す背面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図11】図10中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図13】図12中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図15】図14中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図16】本発明の第5の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図17】図16中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図18】本発明の第6の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図19】図18中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図20】本発明の第7の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図21】図20中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【符号の説明】
【0116】
1…エレベータのドアシステム、4…乗籠、15…エレベータホール、16…ホール出入口、17…ホールドア、19…かごドア、22,23,71,72…ドアパネル、25…ホールシル、26…三方枠、31…ドア開閉用インターロック、37…係合装置、52,81,101…安全用部材、53,82…収納装置、54…作動用部材、55…安全装置用インターロック、56…連結部材、91…シーブ、102…ロープ部材、103…安全札。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの昇降路内を点検するとき、乗籠がいない階床のホールドアを開けることになる。このとき作業者は、昇降路内に落下するおそれのある危険な体勢で、ホールドアに鍵をかけなければならない。また、何らかの事情で乗籠がいない階床のホールドアが開いてしまった場合、エレベータホールから昇降路内に乗客等が転落するおそれが生じる。
【0003】
特許文献1には、予定外の階のホールドアが開いてしまったときに、乗客等が昇降路内に落下する事故を防止するエレベータが開示されている。このエレベータは、昇降路の最上部と最下部とにそれぞれ配設されたガイドホイールと、このガイドホイールに掛け渡され、乗籠の上面前端と下面善端とを介して無端に連結されたガードネットとを有する。このガードネットは、乗籠の昇降動作に連動して昇降路内を循環走行し、乗籠の停止階以外の階の出入口を全て遮断する。
【特許文献1】特開平5−246668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗籠がいない状態でホールドアが開いた場合に、昇降路内への転落を防止する何らかの安全装置が設けられることが望まれる。上記特許文献1に記載のエレベータは、上記安全装置として乗籠の停止階以外の階の出入口を全て覆うガードネットを備える。しかしながら特許文献1の安全装置は、非常に大掛かりな構造を必要とし、その設置コストもかなり大きなものになるため、改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、乗籠がいない状態でホールドアが開いたとき、昇降路内への転落防止を図ることができるエレベータのドアシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一つの形態に係るエレベータのドアシステムは、エレベータホールのホール出入口に設けられたホールドアと、乗籠に設けられたかごドアと、上記かごドアに設けられ、上記ホールドアを上記かごドアに連動させる係合装置と、上記係合装置に係合するように上記ホールドアに設けられ、上記係合装置に係合していないときに上記ホールドアの戸開をロックするとともに、上記係合装置に係合したときに上記ロックを解除するドア開閉用インターロックと、安全用部材を収納する収納装置と、上記安全用部材に着脱可能に連結されるとともに、上記安全用部材に連結された状態で上記ホールドアが戸開したとき、上記安全用部材を上記収納装置から上記ホール出入口へ引き出す作動用部材と、上記ホールドアに設けられ、上記乗籠が上記エレベータホールのフロアレベルにあるときに上記係合装置に係合するとともに、上記係合装置に係合したときに上記安全用部材に対する上記作動用部材の連結を解除する安全装置用インターロックとを具備する。
【0007】
(2)上記(1)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記係合装置は、鉛直方向に延びた長手部材を有し、上記安全装置用インターロックは、上記ドア開閉用インターロックと鉛直方向に並んで設けられている。
【0008】
(3)上記(2)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記作動用部材と上記安全装置用インターロックとの間に設けられるとともに、上記作動用部材を上記安全装置用インターロックに連動させる連結部材を備える。
【0009】
(4)上記(3)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材は、上記ホール出入口を横切るように現れるロープ部材である。
【0010】
(5)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられている。
【0011】
(6)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられている。
【0012】
(7)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材が経由するシーブを備え、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠と、ホールシルとを備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記シーブは、上記三方枠に設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられている。
【0013】
(8)上記(4)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材が経由するシーブを備え、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、ホールシルを備え、上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記シーブは、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられている。
【0014】
(9)上記(3)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材は、上記ホール出入口に向かい合うように広がるネット部材である。
【0015】
(10)上記(9)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられている。
【0016】
(11)上記(9)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられている。
【0017】
(12)上記(2)に記載のエレベータのドアシステムの一つの形態によれば、上記安全用部材は、ロープ部材と、このロープ部材に設けられた安全札とを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、乗籠がいない状態でホールドアが開いたとき、昇降路内への転落防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図21を参照して説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図1ないし図9を参照して説明する。図1は、本実施形態および以下の実施形態に係るエレベータのドアシステム1が設けられるエレベータ2の全体を概略的に示す。
【0020】
図1に示すように、エレベータ2は、それぞれ昇降路3内に配置された乗籠4と釣合いおもり5とを備える。昇降路3内には、乗籠4を案内するガイドレール(図示しない)と、釣合いおもり5を案内するガイドレール(図示しない)とが、それぞれ鉛直方向に延設されている。
【0021】
昇降路3の上方には機械室7が設けられている。この機械室7には、巻上機8が設置されるとともに、例えばエレベータ2の全体を制御する制御装置9が設けられている。巻上機8は、メインシーブ11と、このメインシーブ11を回転駆動するモータ12とを備える。メインシーブ11には、メインロープ13が巻き掛けられている。このメインロープ13の一端には、乗籠4が懸吊されている。また、メインロープ13の他端には、釣合いおもり5が懸吊されている。これにより巻上機8を駆動することで、乗籠4および釣合いおもり5が互いに反対方向に昇降動作する。
【0022】
図1に示すように、エレベータのドアシステム1は、エレベータホール15のホール出入口16に設けられたホールドア17と、乗籠4の乗籠出入口18に設けられたかごドア19と、ホールドア17をかごドア19に連動させる係合機構20とを有する。
【0023】
図2および図3に示すように、ホールドア17は、複数のドアパネル22,23を有する。本実施形態に係るホールドア17は、この複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式(すなわち片開き形式)のドアである。ドアパネル22,23は、係合機構20を介してかごドア19に連動して動く駆動ドアパネル22と、この駆動ドアパネル22に従って動く従動ドアパネル23とを含む。
【0024】
なおここでは図示しないが、かごドア19も同様に、サイドオープン形式を構成する複数のドアパネルを有する。また乗籠4には、かごドア19を開閉する駆動装置(図示しない)が設けられている。
【0025】
一方、図2に示すように、エレベータホール15には、ホールドア17の下方に位置するホールシル25と、このホールシル25と協働してホール出入口16を規定する三方枠26とが設けられている。三方枠26は、ホール出入口16の左右の両側方、および上方を規定する。
【0026】
図1および図2に示すように、ホールドア17には、第1のインターロックであるドア開閉用インターロック31が設けられている。ドア開閉用インターロック31は、ホールドア17の背面側、すなわち乗籠4に臨む側に設けられている。図2に示すように、ドア開閉用インターロック31は、例えば駆動ドアパネル22に設けられ、上述の係合機構20の一部を構成している。
【0027】
詳しく述べると、ドア開閉用インターロック31は、腕部32、第1および第2のローラー33,34、並びにフック部35を有する。腕部32は、ホール出入口16の間口方向(図2中左右方向)に延びており、例えば三方枠26の近傍まで達する先端部33aと、この先端部33aとは反対側の端部である基端部33bとを有する。腕部32の基端部33bは、ホールドア17に回動自在に取り付けられている。腕部32の先端部32aは、基端部33bを支点として上下方向に揺動可能である。
【0028】
図2に示すように、第1および第2のローラー33,34は、腕部32の基端部32bに設けられている。第1および第2のローラー33,34は、後述する乗籠4の係合装置37に係合する係合部分であり、ホールドア17から昇降路3内に突出している。
【0029】
第1および第2のローラー33,34は、互いに上下方向に並んで配置されている。ここで、上側に位置する第1のローラー33は、下側に位置する第2のローラー34に対して、腕部32の先端部32a側(図2中右側)にずれて配置されている。フック部35は、腕部32の先端部32aに設けられている。
【0030】
図2に示すように、三方枠26には、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、インターロックキャッチ38が設けられている。インターロックキャッチ38は、例えば上方が開放された凹部形状に形成されている。ドア開閉用インターロック31は、腕部32がインターロックキャッチ38に達するように延びており、フック部35がインターロックキャッチ38に上方から係合可能である。フック部35がインターロックキャッチ38に係合すると、ホールドア17の戸開がロックされる。
【0031】
一方、乗籠4のかごドア19には、図4に示すような例えばカミソリと呼ばれる係合装置37が設けられている。係合装置37は、上記係合機構20の一部を構成する。係合装置37は、第1および第2の係合片41,42、第1および第2のリンク機構43,44、並びにガイドローラー45を備える。
【0032】
図4に示すように、第1および第2の係合片41,42は、それぞれ鉛直方向に比較的大きく延びた長手部材である。第1および第2の係合片41,42は、ドア開閉用インターロック31の第1および第2のローラー33,34をその間に挟みこむように、第1および第2のローラー33,34の両側に分かれるように配置されている。ここで、第1および第2の係合片41,42は、乗籠4には直接固定されておらず、第1および第2のリンク機構43,44を介してかごドア19に支持されている。
【0033】
第1および第2のリンク機構43,44は、第1および第2の係合片41,42の間に掛け渡されている。第1および第2の係合片41,42は、それぞれ中心部分46と、第1および第2の端部47,48とを有する。第1および第2のリンク機構43,44の中心部分46は、それぞれかごドア19に回動可能に支持されている。第1および第2のリンク機構43,44の第1の端部47は、それぞれ第1の係合片41に回動可能に取り付けられている。第1および第2のリンク機構43,44の第2の端部48は、それぞれ第2の係合片42に回動可能に取り付けられている。
【0034】
図4に示すように、ガイドローラー45は、例えば第2の係合片42の上端部に設けられている。また、乗籠4には、ガイドローラー45を案内するレール49が設けられている。レール49は、戸開に伴いガイドローラー45が移動するときに(すなわちガイドローラー45が図4中左方向に進むときに)、ガイドローラー45を戸開前に比べて下方に沈み込むように案内する。
【0035】
次に、係合機構20の作用について説明する。乗籠4がいない階床においては、ドア開閉用インターロック31のフック部35がインターロックキャッチ38に係合しており、その階床のホールドア17は戸開ができないようにロックされている。
【0036】
乗籠4が利用階の階床に到着すると、かごドア19に設けられた係合装置37がホールドア17に設けられたドア開閉用インターロック31に係合可能な状態になる。すなわち図4に示すように、第1および第2の係合片41,42が第1および第2のローラー33,34の両側に位置するようになる。
【0037】
この状態で乗籠4に設けられた駆動装置がかごドア19を戸開しようとすると、係合装置37がかごドア19に伴って図4中左方向に移動し、ドア開閉用インターロック31に係合する。このとき、図5に示すように、ドア開閉用インターロック31の第1のローラー33が係合装置37の第1の係合片41に押されて図中左方向に移動し、その結果、フック部35が上方に持ち上がる。これにより、インターロックキャッチ38に対するドア開閉用インターロック31の係合が解除される。つまり、ホールドア17の戸開が可能になる。
【0038】
そして、ガイドローラー45がレール49に沿って下方に沈むことで、第2の係合片42が下方に移動(図4中矢印Aの動き)するとともに、リンク機構43,44を介して第1の係合片41が上方に移動(図4中矢印Bの動き)する。これにより、図5に示すように、第1および第2の係合片41,42が、第1および第2のローラー33,34を両側から挟みこむ。これにより、係合装置37がホールドア17をかごドア19に連動させ、かごドア19の戸開に伴ってホールドア17が戸開される。
【0039】
戸閉の場合も同様に、係合装置37がホールドア17をかごドア19に連動させ、かごドア19が戸閉されると、かごドア19の戸閉に伴ってホールドア17が戸閉される。ホールドア17が閉まりきるとき、ドア開閉用インターロック31のフック部35がインターロックキャッチ38に再び係合し、ホールドア17の戸開がロックされた状態に戻る。
【0040】
すなわち、ドア開閉用インターロック31は、係合装置37に係合するようにホールドア17に設けられ、係合装置37に係合していないときにはホールドア17の戸開をロックするとともに、係合装置37に係合したときに上記ロックを解除する。
【0041】
図2および図3に示すように、エレベータのドアシステム1は、昇降路3への転落を防止する安全装置51を備える。この安全装置51は、安全用部材52、収納装置53、作動用部材54、安全装置用インターロック55、および連結部材56を含む。
【0042】
図3に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように現れるロープ部材(すなわち安全ロープ)である。収納装置53は、例えば自動巻取り機能を有するとともに、安全用部材52を収納する。これにより、安全用部材52は、その大部分が収納装置53に収納された第1の状態(図2参照)と、ホール出入口16を水平方向に横切るように延びる第2の状態(図3参照)との間で変形可能である。
【0043】
図2に示すように、本実施形態に係る収納装置53は、エレベータホール15の三方枠26に設けられている。収納装置53の外部に出た安全用部材52の端部には、例えば上方に向いて起立した係合部58が設けられている。
【0044】
作動用部材54は、ホールドア17に設けられるとともに、収納装置53と略同じ高さに配置されている。作動用部材54は、ホール出入口16の間口方向(図2中左右方向)に延びるとともに、収納装置53に臨む先端部54aと、この先端部54aとは反対側の端部である基端部54bとを有する。
【0045】
作動用部材54の基端部54bは、ホールドア17に回動自在に取り付けられている。作動用部材54の先端部54aは、基端部54bを支点として上下方向に揺動可能である。この作動用部材54の先端部54aには、下方に向いて鉤となるフック部54cが設けられている。フック部54cは、安全用部材52の係合部58に着脱可能に係合する。これにより、作動用部材54が安全用部材52に着脱可能に連結される。
【0046】
図2および図3に示すように、作動用部材54が安全用部材52に連結された状態でホールドア17が戸開されると、作動用部材54は安全用部材52を収納装置53からホール出入口16へ引き出す。一方、安全用部材52に対する作動用部材54の連結が解除されていると、ホールドア17が戸開されても、安全用部材52は収納装置53に収納された状態で待機する。
【0047】
図2に示すように、第2のインターロックである安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と並列に並んで、ホールドア17の背面側に設けられている。詳しくは、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31の下方に設けられ、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並んでいる。
【0048】
安全装置用インターロック55は、ホールドア17のなかで上記ドア開閉用インターロック31に比較的近い領域に設けられ、乗籠4がエレベータホール15のフロアレベルにあるときに上記ドア開閉用インターロック31と共に上記係合装置37に係合する。なお「乗籠がエレベータホールのフロアレベルにあるとき」とは、乗籠が正常運転で利用階の階床に到着した状態を指し、例えば乗籠の敷居とエレベータホールの敷居とが略同じ高さにある状態をいう。
【0049】
安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と類似した構成を有する。すなわち、安全装置用インターロック55は、腕部61と、第1および第2のローラー62,63とを有する。腕部61は、ホール出入口16の間口方向に延びるとともに、先端部61aと、基端部61bとを有する。腕部61の基端部61bは、ホールドア17に回動自在に取り付けられている。腕部61の先端部61aは、基端部61bを支点として上下方向に揺動可能である。
【0050】
図2に示すように、第1および第2のローラー62,63は、腕部61の基端部61bに設けられている。第1および第2のローラー62,63は、上述した乗籠4の係合装置37に係合する係合部分であり、ホールドア17から昇降路3内に突出している。
【0051】
第1および第2のローラー62,63は、互いに上下方向に並んで配置されている。ここで、上側に位置する第1のローラー62は、下側に位置する第2のローラー63に対して、腕部61の先端部61a側(図2中右側)にずれて配置されている。
【0052】
図2に示すように、連結部材56は、作動用部材54の先端部54aと安全装置用インターロック55の腕部61の先端部61aとの間に設けられ、作動用部材54を安全装置用インターロック55に連動させる。連結部材56の具体例としては、例えばワイヤーやロープ部材、または紐部材などが挙げられる。なお連結部材56は、上記例に限らず、種々の部材が広く該当する。
【0053】
次に、安全装置用インターロック55の作用を説明する。安全装置用インターロック55が係合装置37に係合していないとき、すなわち乗籠4が利用階のフロアレベルにいないときは、安全装置用インターロック55は作動しておらず、作動用部材54のフック部54cが安全用部材52の係合部58に係合し、作動用部材54が安全用部材52に連結された状態にある。
【0054】
一方、乗籠4が利用階のフロアレベルにあるとき、図4に示すように、第1および第2の係合片41,42が第1および第2のローラー62,63の両側に位置する。この状態でかごドア19の戸開が行われると、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と同様に係合装置37に係合する。
【0055】
このとき、図5に示すように、安全装置用インターロック55の第1のローラー62が係合装置37の第1の係合片41に押されて図中左方向に移動し、その結果、腕部61の先端部61aが上方に持ち上がる。これにより、安全装置用インターロック55は、連結部材56を上方に引き上げ、この連結部材56を介して作動用部材54のフック部54cを上方に持ち上げる。作動用部材54のフック部54cが安全装置51の係合部58から上方に持ち上げられると、安全用部材52に対する作動用部材54の連結が解除される。
【0056】
次に、エレベータのドアシステム1の全体の作用について説明する。
エレベータ2の昇降路3内を点検するとき、乗籠4がいない階床のホールドア17を開けることになる。詳しくは図8および図9に示すように、アンロックキー65を使用して、エレベータホール15からドア開閉用インターロック31のフック部35を持ち上げて、インターロックキャッチ38に対するドア開閉用インターロック31の係合を解除する。これにより、ホールドア17が戸開可能な状態になり、作業員はホールドア17を開けることができる。
【0057】
このとき、図9に示すように、安全装置用インターロック55は、操作されることがなく、作動用部材54が安全用部材52に連結された状態にある。したがってこの状態でホールドア17を開けると、図3に示すように、作動用部材54に連結された安全用部材52がホールドア17の戸開に連動してホール出入口16に現れる。これにより、作業員は、安全用部材52に保護された状態でホールドア17に鍵をかける作業を行うことができる。
【0058】
ホールドア17に鍵をかけた作業員は、作動用部材54のフック部54cを手で持ち上げることで、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除することができる。作動用部材54との連結が解除された安全用部材52は、収納装置53の自動巻取り機能によって、収納装置53に収納された初期状態まで復帰する。これにより、ホール出入口16には安全用部材52が存在しない状態になり、作業員は、ホール出入口16から昇降路3内に入り、昇降路3内を点検することができる。
【0059】
一方、点検作業が終了し、ホールドア17を閉めると、作動用部材54のフック部54cが安全用部材52の係合部58に再び係合し、安全用部材52が作動可能な状態になる。
【0060】
また、点検作業時以外に何らかの事情で乗籠4がいない階床のホールドア17が開いてしまった場合も同様に、ホールドア17が戸開されると、ホールドア17に連動して作動用部材54に連結された安全用部材52がホール出入口16に現れる。これによりエレベータホール15にいる乗客の保護が図られる。またその状態からホールドア17を閉じるときは、ホールドア17の戸閉に連動して収納装置53が安全用部材52を自動巻取りするため、ホールドア17を簡単に閉じることができる。
【0061】
図6および図7は、エレベータホール15のフロアレベルよりも高い位置で乗籠4が停止してしまった場合の戸開の様子を示す。このようなフロアレベルよりもある程度高い位置で乗籠4が停止してしまった場合、ドア開閉用インターロック31が解除されてホールドア17の戸開は可能になるが、安全装置用インターロック55は起動しないため、作動用部材に引っ掛った安全用部材52がホールドア17の戸開に連動してホール出入口16に現れる。これにより乗籠4内にいる乗客の保護が図られる。
【0062】
一方、通常運転時において乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、上述したように安全装置用インターロック55が係合装置37に係合し、安全用部材52に対する作動用部材54の連結が解除される。これにより、ホールドア17の戸開が行われても、安全用部材52は収納装置53に待機した状態になり、ホール出入口16には現れない。これにより乗客は、安全用部材52に邪魔されることなく乗降することができる。
【0063】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。すなわち、安全用部材52を収納する収納装置53と、安全用部材52に着脱可能に連結されるとともに、安全用部材52に連結された状態でホールドア17が戸開したとき、安全用部材52を収納装置53からホール出入口16へ引き出す作動用部材54と、乗籠4がエレベータホール15のフロアレベルにあるときに安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する安全装置用インターロック55とを備えると、乗籠4がフロアレベルにいるときには、安全用部材52を作動させずに待機させるとともに、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたとき、ホール出入口16に安全用部材52を展開することができる。
【0064】
これにより、ホールドア17の開閉は従来の動作と同じながら、乗籠4がその階床にいない状態でホールドア17が開いたとき、エレベータホール15にいる乗客や作業員は、安全用部材52によって保護され、昇降路3内への転落する危険性を小さくすることができる。また、上記構成によれば、フロアレベルよりもある程度高い位置で乗籠4が停止し、ホールドア17が開いてしまった場合、乗籠4内からエレベータホール15へ乗客が転落する危険性も小さくすることができる。
【0065】
この安全装置用インターロック55をかごドア19に設けられた係合装置37によって作動する構成とすることで、安全装置用インターロック55を起動および解除させる特殊な治具や機構を別に設ける必要がなく、上記安全装置51を比較的簡単な構成で実現することができる。これは、エレベータのドアシステム1の省スペース化、および低コスト化などに大きく寄与する。
【0066】
特に安全装置用インターロック55がドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並んで設けられていると、従来用いられている係合装置37によって作動する安全装置51を実現することができる。
【0067】
作動用部材54と安全装置用インターロック55との間に設けられた連結部材56を備えると、安全装置用インターロック55および作動用部材54の設置位置の自由度が高まる。すなわち乗客等の安全を最も図れる任意の高さに安全用部材52を設置することができる。これにより、乗客等の保護をより一層図ることができる。
【0068】
安全用部材52が、ホール出入口16を横切るように延びるロープ部材であると、この安全用部材52や収納装置53を比較的小型に収めることができる。昇降路3内は、一般にスペースにあまり余裕がないので、安全装置51を小さく収めることができると好ましい。作動用部材54がホールドア17に設けられ、収納装置53が三方枠26に設けられていると、サイドオープン形式のホールドア17において安全装置51を確実に作動させることができる。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図10および図11を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0070】
図10および図11に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル71,72を備える。ホールドア17は、この複数のドアパネル71,72が互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアである。ドアパネル71,72は、係合機構20を介してかごドア19に連動して動く駆動ドアパネル71と、この駆動ドアパネル71に従って動く従動ドアパネル72とを含む。
【0071】
ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル71に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、駆動ドアパネル71とは反対方向に退避する従動ドアパネル72に設けられている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0072】
図11に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように現れるロープ部材である。本実施形態に係る収納装置53は、従動ドアパネル72に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル71に設けられるとともに、収納装置53と略同じ高さに配置されている。
【0073】
図10に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル71に設けられている。乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0074】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0075】
作動用部材54がホールドア17の一つのドアパネル71に設けられ、収納装置53がドアパネル71とは反対方向に退避する他のドアパネル72に設けられていると、センターオープン形式のホールドア17において、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図12および図13を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0077】
図12および図13に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアである。ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル22に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、三方枠26に設けられえている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0078】
本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、安全用部材52に代えて、安全用部材81を備える。図13に示すように、安全用部材81は、ホール出入口16に向かい合うように広がるネット部材(すなわち安全ネット)である。収納装置82は、例えば自動巻取り機能を有するとともに、安全用部材81を収納する。これにより、安全用部材81は、その大部分が収納装置82に収納された第1の状態(図12参照)と、作動部材54に引き出されてホール出入口16の例えば大部分を覆う第2の状態(図13参照)との間で変形可能である。
【0079】
本実施形態に係る収納装置82は、三方枠26に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル22に設けられている。図12に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル22に設けられている。
【0080】
乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材81に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0081】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0082】
安全用部材81がホール出入口16に向かい合うように広がるネット部材であると、ロープ部材に比べてホール出入口16が大きく覆われ、より高い安全性を実現することができる。作動用部材54がホールドア17に設けられ、収納装置82が三方枠26に設けられていると、サイドオープン形式のホールドア17において安全装置51を確実に作動させることができる。
【0083】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図14および図15を参照して説明する。なお上記第1ないし第3の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0084】
図14および図15に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル71,72が互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアである。ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル71に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、従動ドアパネル72に設けられている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0085】
図15に示すように、本実施形態に係る安全用部材81は、ホール出入口16に向かい合うように広がるネット部材である。本実施形態に係る収納装置82は、従動ドアパネル72に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル71に設けられている。図14に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル71に設けられている。
【0086】
乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材81に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第3の実施形態と同じである。
【0087】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0088】
作動用部材54がホールドア17の一つのドアパネル71に設けられ、収納装置82がドアパネル71とは反対方向に退避する他のドアパネル72に設けられていると、センターオープン形式のホールドア17において、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図16および図17を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0090】
図16および図17に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアである。ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル22に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、三方枠26に設けられえている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0091】
図17に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように延びるロープ部材である。三方枠26には、安全用部材52が掛けられるシーブ91が設けられている。シーブ91は、例えば作動用部材54と略同じ高さに配置されている。本実施形態に係る収納装置53は、ホールシル25の下部92(すなわち床下部分)に設けられている。作動用部材54は、駆動ドアパネル22に設けられている。安全用部材52は、収納装置53からシーブ91を経由して作動用部材54に連結されている。
【0092】
図16に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル22に設けられている。乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0093】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0094】
作動用部材54がホールドア17に設けられ、シーブ91が三方枠26に設けられると、収納装置53の設置位置の自由度が高まる。ホールシル25の下部92は、例えばホールドア17の背面側領域に比べてスペースの余裕がある。したがって、収納装置53をホールシル25の下部92に設けると、収納装置53の大きさの制限を緩和することができる。
【0095】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図18および図19を参照して説明する。なお上記第1および第5の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0096】
図18および図19に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル71,72が互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアである。
【0097】
ドア開閉用インターロック31は、駆動ドアパネル71に設けられている。インターロックキャッチ38は、ドア開閉用インターロック31に対向するようにして、従動ドアパネル72に設けられえている。また乗籠4のかごドア19には、ドア開閉用インターロック31に係合する係合装置37が設けられている。
【0098】
図19に示すように、本実施形態に係る安全用部材52は、ホール出入口16を横切るように延びるロープ部材である。従動ドアパネル72には、安全用部材52が掛けられるシーブ91が設けられている。シーブ91は、例えば作動用部材54と略同じ高さに配置されている。本実施形態に係る収納装置53は、ホールシル25の下部92(すなわち床下部分)に設けられている。
【0099】
図19に示すように、収納装置53は、例えばホールドア17が全開されたときにシーブ91と鉛直方向に重なる領域に設けられている。なお収納装置53の設置位置はこれに限られない。作動用部材54は、駆動ドアパネル71に設けられている。安全用部材52は、収納装置53からシーブ91を経由して作動用部材54に連結されている。
【0100】
図18に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル71に設けられている。乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、連結部材56を介して、安全用部材52に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第2の実施形態と同じである。
【0101】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0102】
作動用部材54が駆動ドアパネル71に設けられ、シーブ91が従動ドアパネル72に設けられると、収納装置53の設置位置の自由度が高まる。収納装置53をホールシル25の下部92に設けると、収納装置53の大きさの制限を緩和することができる。
【0103】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について、図20および図21を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、例えば第1の実施形態と同様のエレベータ2に設けられる。
【0104】
図20および図21に示すように、本実施形態に係るホールドア17は、複数のドアパネル22,23が互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアである。本実施形態に係るエレベータのドアシステム1は、安全用部材52に代えて、安全用部材101を備える。
【0105】
図20に示すように、安全用部材101は、ホール出入口16の間口方向に延びるロープ部材102と、このロープ部材102に設けられた安全札103とを有する。安全札03には、例えば「点検中」や「危ない!」、または「危険!!」などの注意を喚起する表示がされている。
【0106】
安全用部材101は、安全札103が三方枠26の背面側に隠れた第1の状態(図20参照)と、作動用部材54に引き出されて安全札103がホール出入口16に現れる第2の状態(図21参照)との間で変形可能である。
【0107】
図20に示すように、安全装置用インターロック55は、ドア開閉用インターロック31と鉛直方向に並ぶようにして駆動ドアパネル22に設けられている。安全装置用インターロック55は、例えばドア開閉用インターロック31よりも上方に設けられている。なお安全装置用インターロック55は、例えばドア開閉用インターロック31よりも下方に設けてもよい。
【0108】
本実施形態に係る安全装置用インターロック55の腕部61の先端部61aには、作動用部材54が一体に設けられている。作動用部材54は、安全装置用インターロック55の回動に伴い、上下方向に揺動可能である。作動用部材54は、ロープ部材102の端部に設けられた係合部に着脱可能に係合するフック部54cを備える。
【0109】
乗籠4が利用階のフロアレベルに位置するとき、安全装置用インターロック55は、係合装置37に係合し、安全用部材101に対する作動用部材54の連結を解除する。上記説明した以外のエレベータのドアシステム1およびエレベータ2の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0110】
このような構成のエレベータのドアシステム1によれば、上記第1の実施形態と同様に、乗籠4がいない状態でホールドア17が開いたときの昇降路3内への転落防止を、比較的簡単かつ安価な方法で図ることができる。
【0111】
安全用部材101が、ロープ部材102に設けられた安全札103を有すると、乗客に対して注意を喚起することができる。例えば安全装置用インターロック55がドア開閉用インターロック31よりも上方に設けられていると、図20および図21中に二点差線で示すように、第1の実施形態に係る安全装置51を併設することができる。
【0112】
なお、例えば上記第2の実施形態で説明したセンターオープン形式のエレベータのドアシステム1において、本実施形態のような安全用部材101を用いてもよい。
【0113】
以上、本発明の第1ないし第7の実施形態に係るエレベータのドアシステム1について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば第1ないし第7の実施形態に係る各構成要素は適宜組み合わせて用いてもよい。
【0114】
また本発明は、上記第1ないし第7の実施形態で説明した構造および形状に限定されるものではない。例えば上記説明した安全装置用インターロックは、2つの係合片を有する係合装置37に係合するものであるが、安全装置用インターロックは、係合片が一つからなる係合装置によって作動するものでもよい。本発明に係るエレベータのドアシステムは、一つの乗籠出入口を有する乗籠に限定されることなく、例えば直行する方向に沿って設けられた2つの乗籠出入口、または隣接する側板に分かれて設けられた2つの乗籠出入口を有するエレベータにおいても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータの全体を概略的に示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図3】図2中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るドア開閉インターロックの通常の開閉時の動作前の状態を示す背面図。
【図5】図4中に示されたドア開閉インターロックの通常の開閉時の動作後の状態を示す背面図。
【図6】図4中に示されたドア開閉インターロックのフロアレベルよりも高い位置での開閉時の動作前の状態を示す背面図。
【図7】図4中に示されたドア開閉インターロックのフロアレベルよりも高い位置での開閉時の動作後の状態を示す背面図。
【図8】図4中に示されたドア開閉インターロックの点検時の動作前の状態を示す背面図。
【図9】図4中に示されたドア開閉インターロックの点検時の動作後の状態を示す背面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図11】図10中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図13】図12中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図15】図14中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図16】本発明の第5の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図17】図16中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図18】本発明の第6の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図19】図18中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【図20】本発明の第7の実施形態に係るホールドアの閉じた状態を示す背面図。
【図21】図20中に示されたホールドアの開かれた状態を示す背面図。
【符号の説明】
【0116】
1…エレベータのドアシステム、4…乗籠、15…エレベータホール、16…ホール出入口、17…ホールドア、19…かごドア、22,23,71,72…ドアパネル、25…ホールシル、26…三方枠、31…ドア開閉用インターロック、37…係合装置、52,81,101…安全用部材、53,82…収納装置、54…作動用部材、55…安全装置用インターロック、56…連結部材、91…シーブ、102…ロープ部材、103…安全札。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータホールのホール出入口に設けられたホールドアと、
乗籠に設けられたかごドアと、
上記かごドアに設けられ、上記ホールドアを上記かごドアに連動させる係合装置と、
上記係合装置に係合するように上記ホールドアに設けられ、上記係合装置に係合していないときに上記ホールドアの戸開をロックするとともに、上記係合装置に係合したときに上記ロックを解除するドア開閉用インターロックと、
安全用部材を収納する収納装置と、
上記安全用部材に着脱可能に連結されるとともに、上記安全用部材に連結された状態で上記ホールドアが戸開したとき、上記安全用部材を上記収納装置から上記ホール出入口へ引き出す作動用部材と、
上記ホールドアに設けられ、上記乗籠が上記エレベータホールのフロアレベルにあるときに上記係合装置に係合するとともに、上記係合装置に係合したときに上記安全用部材に対する上記作動用部材の連結を解除する安全装置用インターロックと、
を具備することを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項2】
請求項1の記載において、
上記係合装置は、鉛直方向に延びた長手部材を有し、
上記安全装置用インターロックは、上記ドア開閉用インターロックと鉛直方向に並んで設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項3】
請求項2の記載において、
上記作動用部材と上記安全装置用インターロックとの間に設けられるとともに、上記作動用部材を上記安全装置用インターロックに連動させる連結部材を備えることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項4】
請求項3の記載において、
上記安全用部材は、上記ホール出入口を横切るように現れるロープ部材であることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項5】
請求項4の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項6】
請求項4の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、
上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項7】
請求項4の記載において、
上記安全用部材が経由するシーブを備え、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠と、ホールシルとを備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記シーブは、上記三方枠に設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項8】
請求項4の記載において、
上記安全用部材が経由するシーブを備え、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、ホールシルを備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記シーブは、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項9】
請求項3の記載において、
上記安全用部材は、上記ホール出入口に向かい合うように広がるネット部材であることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項10】
請求項9の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項11】
請求項9の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、
上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項12】
請求項2の記載において、
上記安全用部材は、ロープ部材と、このロープ部材に設けられた安全札とを有することを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項1】
エレベータホールのホール出入口に設けられたホールドアと、
乗籠に設けられたかごドアと、
上記かごドアに設けられ、上記ホールドアを上記かごドアに連動させる係合装置と、
上記係合装置に係合するように上記ホールドアに設けられ、上記係合装置に係合していないときに上記ホールドアの戸開をロックするとともに、上記係合装置に係合したときに上記ロックを解除するドア開閉用インターロックと、
安全用部材を収納する収納装置と、
上記安全用部材に着脱可能に連結されるとともに、上記安全用部材に連結された状態で上記ホールドアが戸開したとき、上記安全用部材を上記収納装置から上記ホール出入口へ引き出す作動用部材と、
上記ホールドアに設けられ、上記乗籠が上記エレベータホールのフロアレベルにあるときに上記係合装置に係合するとともに、上記係合装置に係合したときに上記安全用部材に対する上記作動用部材の連結を解除する安全装置用インターロックと、
を具備することを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項2】
請求項1の記載において、
上記係合装置は、鉛直方向に延びた長手部材を有し、
上記安全装置用インターロックは、上記ドア開閉用インターロックと鉛直方向に並んで設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項3】
請求項2の記載において、
上記作動用部材と上記安全装置用インターロックとの間に設けられるとともに、上記作動用部材を上記安全装置用インターロックに連動させる連結部材を備えることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項4】
請求項3の記載において、
上記安全用部材は、上記ホール出入口を横切るように現れるロープ部材であることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項5】
請求項4の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項6】
請求項4の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、
上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項7】
請求項4の記載において、
上記安全用部材が経由するシーブを備え、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠と、ホールシルとを備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記シーブは、上記三方枠に設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項8】
請求項4の記載において、
上記安全用部材が経由するシーブを備え、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、ホールシルを備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記シーブは、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記ホールシルの下部に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項9】
請求項3の記載において、
上記安全用部材は、上記ホール出入口に向かい合うように広がるネット部材であることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項10】
請求項9の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに同じ方向に退避するサイドオープン形式のドアであり、上記エレベータホールは、上記ホール出入口を規定する三方枠を備え、
上記作動用部材は、上記ホールドアに設けられ、上記収納装置は、上記三方枠に設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項11】
請求項9の記載において、
上記ホールドアは、複数のドアパネルを有するとともに、この複数のドアパネルが互いに反対方向に退避するセンターオープン形式のドアであり、
上記作動用部材は、上記ホールドアの一つのドアパネルに設けられ、上記収納装置は、上記作動用部材が設けられたドアパネルとは反対方向に退避する他のドアパネルに設けられていることを特徴とするエレベータのドアシステム。
【請求項12】
請求項2の記載において、
上記安全用部材は、ロープ部材と、このロープ部材に設けられた安全札とを有することを特徴とするエレベータのドアシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−155094(P2009−155094A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338293(P2007−338293)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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