説明

エレベータの乗かご内照明装置

【課題】天井に照明装置を備えず側板間の目地部にLEDを備えたものにあって、乗かご内が満員に近い状態であっても乗客に乗かご内が明るいと感じさせることができる。
【解決手段】本発明は、側板5a,5b間に設けられる目地部6に、乗かご1内を照らすLED8を配置したものにおいて、目地部6に配置され、幅寸法が目地部6の幅寸法と同等の寸法から成り、LED8が縦方向に複数個配設された基板9と、この基板9が装着されるとともに、目地部6に配置され、側板5に着脱自在に係止される固定部材10と、目地部6に配置され、基板9に配置されたLED8を覆うカバー体11とを備え、乗かご1の天井3の近傍に位置する目地部6の部分に、他の部分に比べて照度を高くする基板9に配設されたLED8によって形成した、すなわちLED8の配設個数を多くした高照度発光部6aを設けた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗かごを形成する側板間に設けられた目地部に、乗かご内を照らすLEDを配置したエレベータの乗かご内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、エレベータの乗かご内の天井に照明装置を設けず、乗かごを形成する複数枚の側板のうちの隣接する側板間に設けられる目地部に、乗かご内を照らす複数個のLEDを設けた構成にしてある。複数個のLEDは、目地部の縦方向に沿って等間隔に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−203611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術は、乗かごの天井に照明装置を設けずに、目地部の縦方向に沿って等間隔に配設されたLEDによって乗かご内を照らすようにしてあるので、乗かごの天井付近の照度が低くなりやすい。このために、乗かごに乗客が満員に近く乗り込んだ際に、乗かご内が暗いと乗客に感じさせる虞があり、乗客に対するサービス性に問題がある。
【0005】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、天井に照明装置を備えず、側板間の目地部に複数のLEDを備えたものにあって、乗かご内が満員に近い状態であっても、乗客に乗かご内が明るいと感じさせることができるエレベータの乗かご内照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係るエレベータの乗かご内照明装置は、エレベータの乗かごを形成する複数枚の側板のうちの隣接する側板間に設けられる目地部に、前記乗かご内を照らすLEDを配置したエレベータの乗かご内照明装置において、前記目地部に配置され、幅寸法が前記目地部の幅寸法と同等の寸法から成り、前記LEDが縦方向に複数個配設される基板と、前記目地部に配置され、前記基板が装着されるとともに、前記側板に着脱自在に係止される固定部材と、前記目地部に配置され、前記基板に配設された前記LEDを覆うカバー体とを備え、前記乗かごの天井近傍に位置する前記目地部の部分に、他の部分に比べて照度を高くする前記基板に配設された前記LEDによって形成される高照度発光部を設けたことを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明は、乗かごの天井付近をカバー体を介して、高照度発光部に含まれる照度を高くするLEDによって明るく照らすことができる。すなわち、天井に照明装置を備えず、側板間の目地部に複数のLEDを備えたものにあって、乗かご内が満員に近い状態であっても、乗客に乗かご内が明るいと感じさせることができる。
【0008】
また本発明は、前記発明において、前記カバー体を、前記目地部を形成する隣接する前記側板のそれぞれと略面一に形成し、前記天井近傍に位置する前記目地部の部分と、前記乗かごの床の近傍に位置する前記目地部の部分との間の前記目地部の部分に、前記高照度発光部に比べて照度を低くする前記基板に配設された前記LEDによって形成される低照度発光部を設け、前記床の近傍に位置する前記目地部の部分に、前記低照度発光部に比べて照度を高くする前記基板に配設された前記LEDによって形成される高照度発光部を設けたことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、乗かごの床付近もカバー体を介して、高照度発光部に含まれる照度を高くするLEDによって照らすことができる。また、カバー体は側板と略同一面を形成するので、乗客に対する安全性を確保できるとともに、優れた意匠性を確保することができる。
【0010】
また本発明は、前記発明において、前記高照度発光部は、所定長さ当りの前記LEDの個数を前記低照度発光部の前記LEDの個数に比べて多くした発光部、または、前記LED1個に流れる電流を前記低照度発光部の前記LED1個に流れる電流に比べて高くした発光部、または、前記LEDの輝度を前記低照度発光部の前記LEDの輝度に比べて高くした発光部から成ることを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、高照度発光部を比較的容易に実現させることができ、実用性に富む。
【0012】
また本発明は、前記発明において、前記目地部の反前記カバー体側に設けられ、隣接する前記側板の少なくとも一方に形成され、径寸法の大きい上部穴と、この上部穴に連通し、前記上部穴に比べて径寸法の小さい下部穴とから成る達磨穴と、前記固定部材の反前記LED側に取り付けられ、前記達磨穴の前記上部穴に挿入されるつば部と、このつば部に接続され、前記達磨穴の前記下部穴に係止される軸部とを有する装着体とを備えたことを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、乗かご内から、LEDを設けた基板、及びこの基板が装着される固定部材から成る一体構成物を目地部に挿入した状態で、固定部材に取り付けられた装着体のつば部を側板の達磨穴の上部穴に挿入し、前述の一体構成物を押し下げればよい。これにより、装着体の軸部が達磨穴の下部穴に係止され、この一体構成物を側板に容易に取り付けることができる。また逆に、この一体構成物を側板から取り外す際には、装着体のつば部が達磨穴の上部穴に適合するまで一体構成物を押し上げ、その状態で一体構成物を目地部から取り出せばよい。すなわち、LEDを設けた基板、及びこの基板が装着される固定部材から成る一体構成物を、側板に対して乗かご内から容易に着脱させることができる。
【0014】
また本発明は、前記発明において、前記基板は、高照度を供給する前記LEDが設けられる高照度基板と、この高照度基板の前記LEDの照度に比べて低い照度を供給する前記LEDが設けられる低照度基板とから成り、前記固定部材は、前記高照度基板が装着され、この高照度基板と同等の長さ寸法を有する高照度固定部材と、前記低照度基板が装着され、この低照度基板と同等の長さ寸法を有する低照度固定部材とから成り、前記高照度基板と、この高照度基板に設けた前記LEDと、前記高照度固定部材とによって、前記側板に対して着脱自在な一体構成物である高照度LEDユニットを形成し、前記低照度基板と、この低照度基板に設けた前記LEDと、前記低照度固定部材とによって、前記側板に対して着脱自在な一体構成物である低照度LEDユニットを形成し、前記高照度LEDユニット、及び前記低照度LEDユニットのそれぞれ毎に前記装着体を取り付け、前記側板に、前記高照度LEDユニットに取り付けられた装着体を係止する前記達磨穴と、前記低照度LEDユニットに取り付けられた装着体を係止する前記達磨穴とを形成し、前記カバー体は、前記高照度LEDユニットに含まれる前記LEDと、前記低照度LEDユニットに含まれる前記LEDの双方を覆う1個のカバー体から成ることを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、LEDユニットが、高照度LEDユニットと低照度LEDユニットとに分割形成されているので、運搬作業及び取り付け作業の作業性を向上させることができる。また、LEDユニットの保管スペースが比較的小スペースで済む。さらに、高照度LEDユニット及び低照度LEDユニットのうちの一方に照明不良を生じた場合には、該当するLEDユニットのみを交換すればよく、このように照明不良を生じた場合のLEDユニットの交換作業が簡単である。
【発明の効果】
【0016】
前述したように本発明は、目地部に配置され、幅寸法が目地部の幅寸法と同等の寸法から成り、LEDが縦方向に複数個配設される基板と、目地部に配置され、基板が装着されるとともに、側板に着脱自在に係止される固定部材と、目地部に配置され、基板に配設されたLEDを覆うカバー体とを備え、乗かごの天井近傍に位置する目地部の部分に、他の部分に比べて照度を高くする基板に配設されたLEDによって形成される高照度発光部を設けた構成にしてある。この構成により、天井に照明装置を備えず、側板間の目地部に複数のLEDを備えたものにあって、天井付近をカバー体を介して高照度発光部に含まれる照度を高くするLEDによって照らすことができる。したがって、乗かご内が満員に近い状態であっても、乗かご内が明るいと乗客に感じさせることができ、従来に比べて乗客に対するサービス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るエレベータの乗かご内照明装置の第1実施形態に備えられる乗かごを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面拡大図である。
【図3】図2のB−B断面に相応する縦断面図である。
【図4】図3のC矢視拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態の要部を示す横断面図で、図2に対応する図である。
【図6】本発明の第3実施形態の要部を示す縦断面図で、図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエレベータの乗かご内照明装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係るエレベータの乗かご内照明装置の第1実施形態に備えられる乗かごを示す斜視図である。
【0020】
この図1に示すように、エレベータの乗かご1は、床2と天井3と、床2の隅部に設けた幅木4上に立設される複数枚の側板5とによって形成されている。また、隣接する側板5間には、隣接する側板5を所定間隔で離隔させることによって形成される目地部6が設けられている。本発明に係る乗かご内照明装置にあっては、天井3には照明装置が備えられていない。
【0021】
図2は図1のA−A断面拡大図、図3は図2のB−B断面に相応する縦断面図、図4は図3のC矢視拡大図である。
【0022】
図2に示すように、隣接する側板5a,5bの間に形成される目地部6は、側板5a,5bそれぞれの端部付近が直角に折り曲げられ、曲げられた部分が互いに対向するように配置されることによって凹部空間を有するものとなっている。また、側板5aと側板5bとは取付ボルト7によって一体に締結されている。
【0023】
第1実施形態に係る乗かご内照明装置は、図2,3に示すように、幅寸法が目地部6の幅寸法と同等の寸法から成り、乗かご1内を照らすLED8が縦方向に例えば1列に複数個配設され、目地部6の凹部空間に配置される1枚の基板9を備えている。また、この1枚の基板9が装着されるとともに、目地部6の凹部空間内に配置され、例えば側板5bに着脱自在に係止される1本の角筒状の固定部材10を備えている。この固定部材10の内部には、LED8のそれぞれに接続される電源線12が収納されている。また、目地部6に配置され、LED8のそれぞれを覆うカバー体11を備えている。このカバー体11は、例えば図2に示すように、目地部6を形成する隣接する側板5a,5bのそれぞれと略面一に形成してあり、乳白色の半透明材から成っている。
【0024】
前述した基板9と、LED8と、固定部材10と、電源線12とによって一体構成物であるLEDユニット6Aが形成されている。
【0025】
また、この第1実施形態は、乗かご1の天井3の近傍に位置する目地部6の部分に、他の部分に比べて照度を高くする基板9に配設されたLED8によって形成される高照度発光部を設けた構成にしてある。すなわち図3に示すように、天井3の近傍に、所定長当りのLED8の配設個数を多くし、LED8の配設密度を高めた高照度発光部6aを設けてある。また、この第1実施形態は、天井3の近傍に位置する目地部6の部分すなわち高照度発光部6aの部分と、乗かご1の床2の近傍に位置する目地部6の部分との間の目地部6の部分に、高照度発光部6aに比べて照度を低くする基板9に配設されたLED8によって形成される低照度発光部6bを設けた構成にしてある。この低照度発光部6bは、所定長当りのLED8の配設個数を少なくし、LED8の配設密度を粗くすることによって形成してある。さらに、この第1実施形態は、乗かご1の床2の近傍に位置する目地部6の部分に、低照度発光部6bに比べて照度を高くする基板9に配設されたLED8によって形成される高照度発生部6cを設けてある。この高照度発生部6cは、前述した天井3の近傍に設けられる高照度発生部6aと同様に、所定長当りのLED8の配設個数を多くし、LED8の配設密度を高めることによって形成してある。
【0026】
また、この第1実施形態は、図4に示すように、目地部6の反カバー体11側に設けられ、隣接する側板5a,5bの少なくとも一方、例えば側板5bに形成され、径寸法の大きい上部穴14aと、この上部穴14aに連通し、上部穴14aに比べて径寸法の小さい下部穴14bとから成る達磨穴14を備えている。この達磨穴14は側板5bの縦方向に沿って複数形成されている。また、これらの達磨穴14のそれぞれに対応させて、固定部材10の反LED8側に取り付けられ、達磨穴14の上部穴14aに挿入される径寸法に設定したつば部13aと、このつば部13aに接続され、達磨穴14の下部穴14bに係止される軸部13aとを有する複数の装着体13を備えている。
【0027】
なお、前述したLEDユニット6Aは複数設けられ、例えば乗かご1内の隣接される側板5(5a,5b)間に形成される目地部6の全てにおいて設けてある。
【0028】
基板9、LED8、固定部材10、及び電源線12を含むLEDユニット6Aを側板5bに取り付けるに際しては、乗かご1内からLEDユニット6Aを目地部6の凹部空間に挿入した状態で、固定部材10に設けられた装着体13のつば部13bを側板5bの達磨穴14の上部穴14aに挿入し、この状態からLEDユニット6Aを押し下げればよい。これにより、装着体13の軸部13bが達磨穴14の下部穴14bに係止され、このLEDユニット6Aを側板5bに容易に取り付けることができる。また逆に、LED8の照明不良等によりLEDユニット6Aを側板5bから取り外す際には、装着体13のつば部13bが達磨穴14の上部穴14aに適合するまでLEDユニット6Aを押し上げ、その状態でLEDユニット6Aを目地部6の凹部空間から引き抜けばよい。これにより、目地部6からLEDユニット6Aを容易に取り出すことができる。
【0029】
また、電源線12に電力を供給することにより、LEDユニット6Aの高照度発光部6a,6c、及び低照度発光部6bに含まれるLED8のそれぞれが点灯し、これらのLED8によって乗かご1内を明るく照らすことができる。この際に、高照度発光部6a,6cそれぞれのLED8の配設個数を多くしたことから低照度発光部6bによる明るさに比べて、高照度発光部6a,6cによる明るさを明るくすることができる。すなわち、乗かご1の天井3付近と床2の付近とをより明るく照らすことができる。
【0030】
このように構成した第1実施形態によれば、乗かご1の天井3付近をカバー体11を介して、前述したように高照度発光部6aに含まれる照度を高くするLED8、すなわち配設個数を多くしたLED8によって明るく照らすことができる。したがって、天井3に照明装置を備えず、側板5a,5b間の目地部6に複数のLED8を備えたものにあって、乗かご1内が満員に近い状態でも乗客に乗かご1内が明るいと感じさせることができ、乗かご1の乗客に対するサービス性を向上させることができる。
【0031】
また、乗かご1の床2付近もカバー体11を介して、前述したように高照度発光部6cに含まれる照度を高くするLED8、すなわち配設個数を多くしたLED8によって明るく照らすことができる。これにより乗かご1に乗り込む際の乗客の足元を明るくし、乗客の安全を確保することができる。
【0032】
また、照明を控え気味にしても済む乗かご1内の床2と天井3との間の高さ位置に、低照度発光部6bを設けたことから、全体の照明に要する電力の消費を抑えることができ、この点で経済的である。
【0033】
また、乗かご1内の形状寸法に応じて、あるいは乗かご1内の側板5(5a,5b)の色や模様等に応じて、高照度発光部6a,6c、及び低照度発光部6bを形成するLED8の個数を適宜選択することにより、乗かご1内の形状寸法に相応する望ましい明るさを、あるいは側板5(5a,5b)の色や模様等を損なわない明るさを、乗かご1内に供給することができる。また、乗かご1内の明るさを、当該エレベータの所有者の要望に応じた明るさに容易に設定することができる。
【0034】
また、カバー体11は、側板5(5a,5b)と略同一面を形成するので、乗かご1内の側壁面に凹凸部を有さず、乗客に対する安全性を確保できるとともに、優れた意匠性を確保できる。また、カバー体11は乳白色の半透明体から成っているので、LED8からの光が面発光となり、この点でも優れた意匠性を確保できる。
【0035】
また、高照度発光部6a,6cは、LED8の配設個数を多くするだけであるので、比較的容易に実現させることができ、実用性に富む。
【0036】
また、固定部材10に設けた装着体13と、側板5bに形成した達磨穴14とを介してLEDユニット6Aを側板5bに対して着脱させる構成にしてあることから、このLEDユニット6Aを側板5bに対して乗かご1内から容易に着脱させることができ、LEDユニット6Aの側板5bに対する取り付け、取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0037】
図5は本発明の第2実施形態の要部を示す横断面図で、図2に対応する図である。
【0038】
この図5に示す第2実施形態は、第1実施形態における高照度発光部6a,6cに相当する高照度発光部を、横2列にLED8を設けることによって形成したものである。縦方向に対しては、図示しないが高照度発光部、及び第1実施形態における低照度発光部6bに相当する低照度発光部も含めて、LED8を等間隔に配置してある。その他の構成は前述した第1実施形態と同等である。
【0039】
このように構成した本発明は、前述した第1実施形態と同等の作用効果が得られる他、縦方向に対してはLED8が等間隔で配置されるので、LEDユニット6Aの製作が比較的簡単である。
【0040】
なお、縦方向に対するLED8の配設の粗密(LED8の個数の多少)と、横方向に対するLED8の複数の配設とを組み合わせた構成とすることもできる。このように構成したものでは、エレベータの所有者の要望に応じた精度の高い照明を実現させることができる。
【0041】
図6は本発明の第3実施形態の要部を示す縦断面図で、図3に対応する図である。
【0042】
この第3実施形態は、LED8が配設される基板が、高照度を供給するLED8が設けられる高照度基板9aと、この高照度基板9aのLED8の照度に比べて低い照度を供給するLED8が設けられる低照度基板9bとから成っている。高照度基板9aは天井3の近傍と床2の近傍にそれぞれ1枚ずつ配置してあり、低照度基板9bは、両高照度基板9aの間に複数枚配置してある。これらの高照度基板9a及び低照度基板9bは、例えばプリント基板によって構成してある。したがって、電源線12は、高照度基板9a、及び低照度基板9b毎に設けてある。第1実施形態におけるのと同様に、高照度基板9aに配設するLED8の個数を多くし、縦方向におけるLED8の配設密度を高くしてある。
【0043】
また、この第3実施形態における固定部材、すなわち基板が装着される固定部材は、高照度基板9aが装着され、この高照度基板9aと同等の長さ寸法を有する高照度固定部材10aと、低照度基板9bが装着され、この低照度基板9bと同等の長さ寸法を有する低照度固定部材10bとから成っている。
【0044】
前述した高照度基板9a、この高照度基板9aに設けたLED8、高照度固定部材10a、及び対応する電源線12によって、側板5(5a,5b)に対して着脱自在な一体構成物である高照度LEDユニット6Aaが形成されている。また前述した低照度基板9b、この低照度基板9bに設けたLED8、低照度固定部材10b、及び対応する電源線12によって、側板5(5a,5b)に対して着脱自在な一体構成物である低照度LEDユニット6Abが形成されている。
【0045】
高照度LEDユニット6Aa、低照度LEDユニット6Abのそれぞれ毎に装着体13を設けてあり、側板5bに、高照度LEDユニット6Aaに取り付けられた装着体13を係止する達磨穴14と、低照度LEDユニット6Abに取り付けられた装着体13を係止する達磨穴14とを形成してある。
【0046】
なお、各LED8を覆うカバー体11は、高照度LEDユニット6Aaに含まれるLED8と、低照度LEDユニット6Abに含まれるLED8の双方を覆う1個のカバー体から成っている。その他の構成は前述した第1実施形態と同等である。
【0047】
このように構成した第3実施形態は、第1実施形態と同等の作用効果が得られる他、LEDユニットが高照度LEDユニット6Aaと低照度LEDユニット6Abに分割形成されているので、運搬作業、及び取り付け、取り外し作業の作業性を向上させることができる。また、LEDユニット6Aa,6Abの保存のためのスペースが比較的小スペースで済む。さらに高照度LEDユニット6Aa及び低照度LEDユニット6Abのいずれかに照明不良を生じた場合には、該当するLEDユニットのみを交換すればよく、このように照明不良を生じた場合のLEDユニットの交換作業が簡単である。
【0048】
なお、前述した第1実施形態、及び第3実施形態にあっては、高照度発光部6aは、所定長当りのLED8の個数を低照度発光部6bのLED8の個数に比べて多くした発光部となっているが、本発明は、高照度発光部6aをこのように構成することには限られない。例えば、高照度発光部6aと低照度発光部6bそれぞれにおけるLED8の個数を同じに設けたものにあって、LED8の1個に流れる電流を低照度発光部6bのLED8の1個に流れる電流に比べて高くした発光部から成る高照度発光部を設けた構成にしてもよい。また、高照度発光部6aと低照度発光部6bそれぞれにおけるLED8の個数を同じに設けたものにあって、LED8の輝度を低照度発光部6bのLEd8の輝度に比べて高くした発光部から成る高照度発光部を設けた構成にしてもよい。これら構成も比較的容易に実現させることができ、実用性に富む。
【符号の説明】
【0049】
1 乗かご
2 床
3 天井
4 幅木
5 側板
5a 側板
5b 側板
6 目地部
6A LEDユニット
6a 高照度発光部
6b 低照度発光部
6c 高照度発光部
6Aa 高照度LEDユニット
6Ab 低照度LEDユニット
7 取付ボルト
8 LED
9 基板
9a 高照度基板
9b 低照度基板
10 固定部材
10a 高照度固定部材
10b 低照度固定部材
11 カバー体
12 電源線
13 装着体
13a つば部
13b 軸部
14 達磨穴
14a 上部穴
14b 下部穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗かごを形成する複数枚の側板のうちの隣接する側板間に設けられる目地部に、前記乗かご内を照らすLEDを配置したエレベータの乗かご内照明装置において、
前記目地部に配置され、幅寸法が前記目地部の幅寸法と同等の寸法から成り、前記LEDが縦方向に複数個配設される基板と、
前記目地部に配置され、前記基板が装着されるとともに、前記側板に着脱自在に係止される固定部材と、
前記目地部に配置され、前記基板に配設された前記LEDを覆うカバー体とを備え、
前記乗かごの天井近傍に位置する前記目地部の部分に、他の部分に比べて照度を高くする前記基板に配設された前記LEDによって形成される高照度発光部を設けたことを特徴とするエレベータの乗かご内照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータの乗かご内照明装置において、
前記カバー体を、前記目地部を形成する隣接する前記側板のそれぞれと略面一に形成し、
前記天井近傍に位置する前記目地部の部分と、前記乗かごの床の近傍に位置する前記目地部の部分との間の前記目地部の部分に、前記高照度発光部に比べて照度を低くする前記基板に配設された前記LEDによって形成される低照度発光部を設け、
前記床の近傍に位置する前記目地部の部分に、前記低照度発光部に比べて照度を高くする前記基板に配設された前記LEDによって形成される高照度発光部を設けたことを特徴とするエレベータの乗かご内照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベータの乗かご内照明装置において、
前記高照度発光部は、所定長さ当りの前記LEDの個数を前記低照度発光部の前記LEDの個数に比べて多くした発光部、または、前記LED1個に流れる電流を前記低照度発光部の前記LED1個に流れる電流に比べて高くした発光部、または、前記LEDの輝度を前記低照度発光部の前記LEDの輝度に比べて高くした発光部から成ることを特徴とするエレベータの乗かご内照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベータの乗かご内照明装置において、
前記目地部の反前記カバー体側に設けられ、隣接する前記側板の少なくとも一方に形成され、径寸法の大きい上部穴と、この上部穴に連通し、前記上部穴に比べて径寸法の小さい下部穴とから成る達磨穴と、
前記固定部材の反前記LED側に取り付けられ、前記達磨穴の前記上部穴に挿入されるつば部と、このつば部に接続され、前記達磨穴の前記下部穴に係止される軸部とを有する装着体とを備えたことを特徴とするエレベータの乗かご内照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエレベータの乗かご内照明装置において、
前記基板は、高照度を供給する前記LEDが設けられる高照度基板と、この高照度基板の前記LEDの照度に比べて低い照度を供給する前記LEDが設けられる低照度基板とから成り、
前記固定部材は、前記高照度基板が装着され、この高照度基板と同等の長さ寸法を有する高照度固定部材と、前記低照度基板が装着され、この低照度基板と同等の長さ寸法を有する低照度固定部材とから成り、
前記高照度基板と、この高照度基板に設けた前記LEDと、前記高照度固定部材とによって、前記側板に対して着脱自在な一体構成物である高照度LEDユニットを形成し、
前記低照度基板と、この低照度基板に設けた前記LEDと、前記低照度固定部材とによって、前記側板に対して着脱自在な一体構成物である低照度LEDユニットを形成し、
前記高照度LEDユニット、及び前記低照度LEDユニットのそれぞれ毎に前記装着体を取り付け、
前記側板に、前記高照度LEDユニットに取り付けられた装着体を係止する前記達磨穴と、前記低照度LEDユニットに取り付けられた装着体を係止する前記達磨穴とを形成し、
前記カバー体は、前記高照度LEDユニットに含まれる前記LEDと、前記低照度LEDユニットに含まれる前記LEDの双方を覆う1個のカバー体から成ることを特徴とするエレベータの乗かご内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−82044(P2012−82044A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228786(P2010−228786)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】