エレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置
【課題】この発明は、熟練を要する溶接作業をなくして、三方枠を乗り場出入り口の壁躯体に安価に、かつ簡易に固定できるエレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置を得る。
【解決手段】三方枠固定装置10は、長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部12、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴13を有する本体部11と、基部21および基部21の他端から背面側に延出する固定腕22からなるL字状に作製され、固定腕22が壁躯体3を挟んで引っ掛け部12と相対するようにガイド穴に挿入されて本体部11に取り付けられる固定金20と、基部21を本体部11に締着固定する固定部材と、引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締する緊締部材と、本体部11の表面に立設された取付金15と、三方枠6の背面に取り付けられた固定金9を取付金15に締着固定する締着部材と、を備える。
【解決手段】三方枠固定装置10は、長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部12、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴13を有する本体部11と、基部21および基部21の他端から背面側に延出する固定腕22からなるL字状に作製され、固定腕22が壁躯体3を挟んで引っ掛け部12と相対するようにガイド穴に挿入されて本体部11に取り付けられる固定金20と、基部21を本体部11に締着固定する固定部材と、引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締する緊締部材と、本体部11の表面に立設された取付金15と、三方枠6の背面に取り付けられた固定金9を取付金15に締着固定する締着部材と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの乗り場出入り口に三方枠を取り付けて構成されたエレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの三方枠は、左右の縦枠の上端に上部横枠を載架して連結されて門型状とされ、左右の縦枠の内部裏面側に取り付けた補強梁を建物の壁躯体の鉄筋から突設された固定金具に溶接されて取り付け固定され、縦枠の裏面側の空間にコンクリートなどの充填物を充填し、壁躯体の乗り場側壁面に壁仕上げを施工して組み付け完了としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−205986号公報(第7図乃至第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータの三方枠は、建物の壁躯体を剥がして鉄筋を露出させ、縦枠の裏面側に取り付けた補強梁を鉄筋に溶接して固定されている。そこで、三方枠の据え付け作業に溶接作業の熟練者が必要となるので、作業員の人数が増え、作業コストが高騰するという問題があった。また、露出した鉄筋の高さ位置と補強梁の高さ位置とがずれると、溶接できなくなるので、三方枠の据え付け作業が煩雑となるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、熟練を要する溶接作業をなくして、三方枠を乗り場出入り口の壁躯体に安価に、かつ簡易に固定できるエレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベータの三方枠固定装置は、エレベータの乗り場の壁躯体にあけられた開口部に取り付けられて三方枠を該壁躯体に固定するエレベータの三方枠固定装置であって、長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴を有し、上記壁躯体の上記開口部を構成する壁面に背面を向け、かつ該引っ掛け部を該壁躯体の乗り場側に延出させて設置される本体部と、基部および該基部の他端から背面側に延出する固定腕からなるL字状に作製され、該固定腕が上記壁躯体を挟んで上記引っ掛け部と相対するように該基部の一端側から上記ガイド穴に挿入し、該ガイド穴の穴方向に移動可能に上記本体部に取り付けられる固定金と、上記基部を上記本体部に締着固定する固定部材と、上記引っ掛け部と上記固定腕とを上記壁躯体に緊締する緊締部材と、上記本体部の表面に立設された取付金と、上記三方枠の背面に取り付けられた固定金を上記取付金に締着固定する締着部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基部の延出長さを調整した後、固定部材により基部を本体部に締着固定し、引っ掛け部と固定腕との間に壁躯体を挟み込むように本体部を配置し、緊締部材により引っ掛け部と固定腕とを壁躯体に緊締することにより、三方枠固定装置が壁躯体に取り付けられるので、溶接などの熟練を要する作業者が不要となり、三方枠固定装置を壁躯体に安価に、かつ簡易に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータの乗り場出入り口を昇降路側から見た斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た斜視図である。
【図3】図1のIII−III矢視断面図である。
【図4】図1のIV−IV矢視断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す正面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する上面図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た要部斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のエレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの乗り場出入り口を昇降路側から見た斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た斜視図、図3は図1のIII−III矢視断面図、図4は図1のIV−IV矢視断面図、図5はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図、図6はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す正面図、図7はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する斜視図、図8はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する上面図である。
【0011】
図1乃至図4において、三方枠6は、左右の縦枠7の上端に上部横枠8を載架して連結されて門型状とされ、エレベータの乗り場1の出入り口を構成する開口部4に設置される。乗り場敷居5が、乗り場1の床面と面一となり、昇降路2側に延出するように壁躯体3、すなわち昇降路2の内壁面に取り付けられている。三方枠固定装置10が、壁躯体3の開口部4を構成する一対の側壁に上下方向に離間して、また上壁に間口方向に離間して、2つずつ取り付けられている。そして、左右の縦枠7および上部横枠8が、それぞれ取付ボルト26により三方枠固定装置10に締着固定され、開口部4に設置されている。
【0012】
つぎに、三方枠固定装置10の構造について図5を参照しつつ説明する。
本体部11は、鋼材を用いて作製され、長さ方向の一端から背面側に延設された引っ掛け部12と、断面長方形の穴形状とし、かつ穴方向を長さ方向として、本体部11を貫通するように形成されたガイド穴13と、を有する。そして、第1雌ねじ部としての雌ねじ部14が、ガイド穴13の穴方向中央位置で、断面長方形の穴形状の両短辺で構成されるガイド穴13の両側部に開口するように、本体部11に形成されている。取付金15は、平板状の鋼材をL字状に折り曲げて作製され、細長穴16が穴の長軸方向を取付金15の折り曲げ部と直交する方向としてL字状の基部15aに形成され、雌ねじ部17が起立片15bに形成されている。そして、一対の取付金15が、起立片15bを本体部11の長さ方向の他側に向けて、長さ方向に離間して、かつガイド穴13の断面長方形の穴形状の長辺の長さ方向に離間して、本体部11の表面に取り付けられている。取付金15のそれぞれは、取付ボルト18を基部15aにあけられた細長穴16に通して本体部11に締着固定されており、取付ボルト18の締着を緩めることで、本体部11の長さ方向における取付位置が調節可能となっている。
【0013】
ここで、ガイド穴13の断面長方形の穴形状の長辺の長さ方向および短辺の長さ方向を、それぞれ本体部11の幅方向および厚み方向とする。また、本体部11の長さ方向は、壁躯体3の厚み方向に一致する。
【0014】
固定金20は、例えば、断面長方形の平板状の鋼材を折り曲げてL字状に作製され、基部21と、基部21の他端から背面側に延設された固定腕22と、を備える。そして、凹凸を繰り返して形成して構成される係止部23が、基部21の断面長方形の短辺で構成される両側面に長さ方向に延設されている。さらに、第4雌ねじ部としての雌ねじ部24が、固定腕22を貫通するように形成されている。
【0015】
固定金20は、固定腕22が引っ掛け部12と相対するように、基部21をその一端側からガイド穴13に挿入して、本体部11に取り付けられる。そして、基部21が、ガイド穴13により本体部11の幅方向および厚み方向に移動を規制されて、ガイド穴13の穴方向に移動可能となっており、固定腕22と引っ掛け部12との間の距離が調整可能となっている。さらに、各雌ねじ部14に螺着された第1位置決めボルト19を締め付けて、第1位置決めボルト19の先端を係止部23の凹部に係合させ、固定金20の本体部11の長手方向の移動が規制される。また、押さえボルト25が雌ねじ部24に螺着され、三方枠固定装置10が組み立てられる。
【0016】
ここで、雌ねじ部14、第1位置決めボルト19および係止部23が固定部材を構成し、雌ねじ部24および押さえボルト25が緊締部材を構成している。また、取付ボルト26が締着部材を構成している。
【0017】
つぎに、三方枠6の据え付け方法について説明する。
縦枠7は、ステンレスなどの鋼板を屈曲成形して作製され、図3に示されるように、壁躯体3の乗り場側壁面の開口部4の縁部と開口部4を構成する側壁に取り付けられた三方枠固定装置10とを覆う形状に成形された縦枠主枠部7aと、縦枠主枠部7aの昇降路側端部にねじ27により締着固定され、縦枠主枠部7aと壁躯体3との隙間および固定腕22を覆う縦枠カバー部7bと、を有する。また、縦枠主枠部7aの背面には、2対のL字状の固定金具9が三方枠固定装置10の取付金15のそれぞれに対応するように取り付けられている。
【0018】
上部横枠8は、ステンレスなどの鋼板を屈曲成形して作製され、図4に示されるように、壁躯体3の乗り場側壁面の開口部4の縁部と開口部4を構成する上壁に取り付けられた三方枠固定装置10とを覆う形状に成形された横枠主枠部8aと、横枠主枠部8aの昇降路側端部にねじ27により締着固定され、横枠主枠部8aと壁躯体3との隙間および固定腕22を覆う横枠カバー部8bと、を有する。また、横枠主枠部8aの背面には、2対のL字状の固定金具9が三方枠固定装置10の取付金15のそれぞれに対応するように取り付けられている。
【0019】
まず、引っ掛け部12と固定腕22との間の距離が壁躯体3の厚みより僅かに大きくなるように、固定金20の延出長さを調整した後、第1位置決めボルト19を締着し、本体部11に固定金20を固定する。
【0020】
ついで、引っ掛け部12と固定腕22とで壁躯体3を挟み込むように、本体部11の背面を開口部4の一方の側壁に宛がい、押さえボルト25を締め付ける方向に回す。そこで、押さえボルト25が壁躯体3の昇降路側壁面側に延出し、壁躯体3の壁面に当接し、固定腕22が壁躯体3から離反する方向に変位する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、押さえボルト25をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22とが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10が、図6に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0021】
三方枠固定装置10は、縦枠主枠部7aの固定金具9の高さ位置にあわせて、開口部4の一方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられる。また、取付ボルト18を緩めて、固定金具9にあわせて本体部11の長さ方向における取付金15の位置を調節した後、取付ボルト18を締着する。
【0022】
ついで、図7に示されるように、固定金具9が取付金15に重なるように縦枠主枠部7aを配置する。そして、図8に示されるように、六角アーレン工具28を用いて昇降路側から取付ボルト26を固定金具9の切り欠きに通して取付金15の起立片15bの雌ねじ部17に螺着する。そして、取付ボルト26を締着して固定金具9と取付金15とを固定する。さらに、縦枠カバー部7bを縦枠主枠部7aの昇降路側端部にねじ27により締着固定して、図3に示されるように、縦枠7が開口部4の側壁に取り付けられる。
【0023】
また、三方枠固定装置10は、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられる。そして、縦枠7が、同様に、開口部4の他方の側壁に取り付けられる。さらに、三方枠固定装置10は、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0024】
この実施の形態1によれば、三方枠固定装置10が、長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部12、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴13を有する本体部11と、基部21および固定腕22からなるL字状に作製され、固定腕22が壁躯体3を挟んで引っ掛け部12と相対するように基部21の一端側からガイド穴13に挿入されて、ガイド穴13の穴方向に移動可能に本体部11に取り付けられる固定金20と、基部21を本体部11に締着固定する固定部材と、引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締する緊締部材と、を備えている。そこで、基部21の延出長さを調整した後、固定部材により基部21を本体部11に固定し、引っ掛け部12と固定腕22との間に壁躯体3を挟み込むように本体部11を配置し、緊締部材により引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締することにより、三方枠固定装置10が壁躯体3に取り付けられる。
【0025】
そこで、三方枠固定装置10の取り付けに、溶接などの熟練を要する作業がないので、溶接などの熟練者を作業者に加える必要がなく、三方枠固定装置10を壁躯体3に簡易に、かつ安価に取り付けることができる。
【0026】
三方枠固定装置10を開口部4を構成する一対の側壁に上下方向に離間して取り付け、取付ボルト18により縦枠主枠部7aの裏面に取り付けた固定金具9を三方枠固定装置10の取付金15の起立片15bに形成された雌ねじ部17に締着し、さらにねじ27により縦枠カバー部7bを縦枠主枠部7aに締着して、縦枠7を開口部4を構成する一対の側壁に取り付ける。さらに、三方枠固定装置10を開口部4を構成する上壁に間口方向に離間して取り付け、取付ボルト18により横枠主枠部8aの裏面に取り付けた固定金具9を三方枠固定装置10の取付金15の起立片15bに形成された雌ねじ部17に締着し、さらにねじ27により横枠カバー部8bを横枠主枠部8aに締着して、上部横枠8を開口部4を構成する上壁に取り付ける。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けを行っている。
【0027】
そこで、三方枠固定装置10の壁躯体3への取り付け、さらには三方枠6の三方枠固定装置10への取り付けに溶接などの熟練を要する作業が不要となり、乗り場装置の据え付けが安価、かつ簡易となる。
【0028】
固定部材が、凹凸を繰り返して形成して構成される係止部23と、雌ねじ部14に螺着された第1位置決めボルト19とにより構成されている。そこで、第1位置決めボルト19を締着して第1位置決めボルト19の先端を係止部23の凹部に係合させることで、緊締部材により引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締する際に、固定金20のガイド穴13の穴方向の移動が確実に阻止されるので、三方枠固定装置10の壁躯体3への取付強度が高められる。
【0029】
緊締部材が、固定腕22に形成された雌ねじ部24および押さえボルト25により構成されている。そこで、雌ねじ部24に螺着された押さえボルト25を締着するだけで、引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締できるので、三方枠固定装置10を壁躯体3に簡易に取り付けることができる。また、雌ねじ部24に締着された押さえボルト25を緩めることで、開口部4の側壁の上下方向および上壁の間口方向の三方枠固定装置10の取付位置を調整できるので、三方枠6を構成する縦枠主枠部7aや横枠主枠部8aの裏面に取り付けられた固定金具9に対する三方枠固定装置10の位置合わせが容易となる。
【0030】
取付金15が取付ボルト18を細長穴16に通して本体部11に締着固定されている。そこで、取付ボルト18の締着を緩めることで、取付金15の本体部11の長さ方向に対する取付位置を調整できるので、縦枠主枠部7aや横枠主枠部8aの裏面に取り付けられた固定金具9に対する取付金15の位置合わせが容易となる。
【0031】
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図、図10はこの発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図10は図3に相当する断面図である。
【0032】
図9において、固定金20Aは、所定厚みの長方形平板状の鋼材を折り曲げて、基部21Aと固定腕22とからなるL字状に作製されている。第2雌ねじ部としての雌ねじ部30が、基部21Aに、L字状の折り曲げ部と平行な方向に2列となって、かつ互いに半ピッチずらして、該折り曲げ部と直交する方向に所定のピッチで複数形成され、雌ねじ部24が、固定腕22を貫通するように形成されている。一対の第1貫通穴31が、雄ねじ部30の各列に対応するように、本体部11Aの幅方向に離間して、本体部11Aの表面に形成されている。
【0033】
なお、本体部11Aは、雌ねじ部14が省略され、第1貫通穴31が形成されている点を除いて、実施の形態1による本体部11と同様に構成されている。この実施の形態2による三方枠固定装置10Aでは、雄ねじ部30、第1貫通穴31および第2位置決めボルト32が固定部材を構成している。
【0034】
このように構成された三方枠固定装置10Aは、まず、引っ掛け部12と固定腕22との間の距離が壁躯体3の厚みより僅かに大きくなるように、固定金20Aの延出長さを調整した後、第2位置決めボルト32を第1貫通穴31に通して雄ねじ部30に締着し、本体部11Aに固定金20Aを固定する。このとき、一対の第1貫通穴31が本体部11Aの幅方向に配列されているので、第2位置決めボルト32は雌ねじ部30の穴位置に一致する第1貫通穴31に通して雌ねじ部30に螺着される。
【0035】
ついで、引っ掛け部12と固定腕22とで壁躯体3を挟み込むように、本体部11Aの背面を開口部4の一方の側壁に宛がい、押さえボルト25を締め付ける方向に回す。そこで、押さえボルト25が壁躯体3の昇降路側壁面側に延出し、壁躯体3の壁面に当接し、固定腕22が壁躯体3から離反する方向に変位する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、押さえボルト25をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22とが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10Aが、図10に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0036】
ついで、上記実施の形態1と同様に、固定金具9と取付金15とが取付ボルト26により締着固定されて縦枠主枠部7aが三方枠固定装置10Aを介して開口部4の一方の側壁に取り付けられ、さらに縦枠カバー部7bが縦枠主枠部7aにねじ27により締着固定される。
また、三方枠固定装置10Aが、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、縦枠7が、同様に、三方枠固定装置10Aを介して開口部4の他方の側壁に取り付けられる。また、三方枠固定装置10Aが、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、三方枠固定装置10Aを介して開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0037】
したがって、この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
この実施の形態2によれば、第2位置決めボルト32を雄ねじ部30に締着しているので、固定金20Aと本体部11Aとの固定が強固となり、三方枠固定装置10Aの壁躯体3への取付強度が高められる。
また、雄ねじ部30が互いに半ピッチずらして2列に配列されているので、固定金20Aの延出長さを細かく調整できる。
【0038】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図、図12はこの発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図12は図3に相当する断面図である。
【0039】
図11において、固定金20Bは、所定厚みの長方形平板状の鋼材を折り曲げて、基部21Bと固定腕22とからなるL字状に作製されている。基台33が、基部21Bの表面の他端側に直角に立設され、第2貫通穴34が穴方向を長さ方向として基台33にあけられている。受け台35が、本体部11Bの表面の中央に直角に立設され、第3雌ねじ部としての雌ねじ部36が穴方向を長さ方向として受け台35に形成されている。そして、固定金20Bは、その基部21Bをガイド穴13に挿入されて本体部11Bに装着され、第2貫通穴34と雌ねじ部36とが同軸になっている。そして、通しボルト37が、第2貫通穴34に通されて雄ねじ部36に螺着されている。
【0040】
なお、本体部11Bは、雌ねじ部14が省略され、受け台35が立設されている点を除いて、実施の形態1による本体部11と同様に構成されている。この実施の形態4による三方枠固定装置10Bでは、基台33、受け台35、雌ねじ部36および通しボルト37が固定部材を構成している。
【0041】
このように構成された三方枠固定装置10Bは、まず、引っ掛け部12と固定腕22との間の距離が壁躯体3の厚みより僅かに大きくなるように、固定金20Aの延出長さを調整した後、通しボルト37を第2貫通穴34に通して雄ねじ部36に螺着し、通しボルト37の頭部が基台33に接するまで通しボルト37を回し、本体部11Bに固定金20Aを固定する。
【0042】
ついで、引っ掛け部12と固定腕22とで壁躯体3を挟み込むように、本体部11Bの背面を開口部4の一方の側壁に宛がい、押さえボルト25を締め付ける方向に回す。そこで、押さえボルト25が壁躯体3の昇降路側壁面側に延出し、壁躯体3の壁面に当接し、固定腕22が壁躯体3から離反する方向に変位する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、押さえボルト25をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22とが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10Bが、図12に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0043】
ついで、上記実施の形態1と同様に、固定金具9と取付金15とが取付ボルト26により締着固定されて縦枠主枠部7aが三方枠固定装置10Bを介して開口部4の一方の側壁に取り付けられ、さらに縦枠カバー部7bが縦枠主枠部7aにねじ27により締着固定される。
また、三方枠固定装置10Bが、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、縦枠7が、同様に、三方枠固定装置10Bを介して開口部4の他方の側壁に取り付けられる。また、三方枠固定装置10Bが、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、三方枠固定装置10Bを介して開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0044】
したがって、この実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
この実施の形態3によれば、通しボルト37と受け台35に形成された雄ねじ部36との締着により固定金20Bと本体部11Bとが固定されているので、固定金20Bの延出長さをさらに細かく調整できる。
【0045】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た要部斜視図、図14はこの発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図14は図3に相当する断面図である。
【0046】
図13において、固定金20Cは、所定厚みの長方形平板状の鋼材を折り曲げて、基部21Bと固定腕22CとからなるL字状に作製されている。貫通穴38が固定腕22Cを貫通するように形成されている。そして、固定腕22Cは、壁躯体3の昇降路側壁面に打ち込まれたアンカーボルト39を貫通穴38に通して配設され、アンカーボルト39に螺着されたナット40を締着して壁躯体3に固定される。
【0047】
なお、固定金20Cは、雌ねじ部24に代えて貫通穴38が形成されている点を除いて、実施の形態3による固定金20Bと同様に構成されている。この実施の形態4による三方枠固定装置10Cでは、基台33、受け台35、雌ねじ部36および通しボルト37が固定部材および緊締部材を構成している。
【0048】
このように構成された三方枠固定装置10Cは、まず、引っ掛け部12と固定腕22Cとの間の距離が壁躯体3の厚みより大きくなるように、固定金20Aの延出長さを調整した後、通しボルト37を第2貫通穴34に通して雄ねじ部36に螺着し、通しボルト37を回して通しボルト37の頭部を基台33に接するようにする。
【0049】
ついで、アンカーボルト39を壁躯体3の昇降路側壁面の所定位置に打ち込む。そして、アンカーボルト39が貫通穴38を挿通するように引っ掛け部12と固定腕22Cとで壁躯体3を挟み込み、本体部11Bの背面を開口部4の一方の側壁に宛がう。そして、貫通穴38から延出するアンカーボルト39にナット40を螺着し、ナット40を締着して固定腕22Cを壁躯体3に固定する。ついで、通しボルト37を締め付ける方向に回し、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、通しボルト37をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22Cとが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10Cが、図14に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0050】
ついで、上記実施の形態3と同様に、固定金具9と取付金15とが取付ボルト26により締着固定されて縦枠主枠部7aが三方枠固定装置10Cを介して開口部4の一方の側壁に取り付けられ、さらに縦枠カバー部7bが縦枠主枠部7aにねじ27により締着固定される。
また、三方枠固定装置10Cが、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、縦枠7が、同様に、三方枠固定装置10Cを介して開口部4の他方の側壁に取り付けられる。また、三方枠固定装置10Cが、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、三方枠固定装置10Cを介して開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0051】
したがって、この実施の形態4においても、上記実施の形態3と同様の効果を奏する。
この実施の形態4によれば、アンカーボルト39とナット40との締着により固定金20Cが壁躯体3に固定されているので、三方枠固定装置10Cと壁躯体3との取付強度が大きくなる。
【0052】
なお、上記各実施の形態では、固定装置が乗り場の出入り口を構成する開口部の側壁および上壁のそれぞれに互いに離反して2つずつ取り付けられるものとしているが、開口部の側壁および上壁に取り付けられる固定装置の個数は2つに限定されるものではなく、複数であればよく、例えば3つでもよい。この場合、固定金の取付金と同数対の固定金具が、縦枠主枠部および上枠主枠部の背面に取り付けられる。
【符号の説明】
【0053】
1 乗り場、3 壁躯体、4 開口部、6 三方枠、7 縦枠、7a 縦枠主枠部、7b 縦枠カバー部、8 上部横枠、8a 横枠主枠部、8b 横枠カバー部、10,10A,10B,10C 三方枠固定装置、11,11A,11B 本体部、12 引っ掛け部、13 ガイド穴、14 雌ねじ部(第1雌ねじ部)、15 取付金、19 第1位置決めボルト、20,20A,20B,20C 固定金、21,21A,21B 基部、22,22C 固定腕、23 係止部、24 雌ねじ部(第4雌ねじ部)、25 押さえボルト、30 雌ねじ部(第2雌ねじ部)、31 第1貫通穴、32 第2位置決めボルト、33 基台、34 第2貫通穴、35 受け台、36 雌ねじ部(第3雌ねじ部)、37 通しボルト、39 アンカーボルト。
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの乗り場出入り口に三方枠を取り付けて構成されたエレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの三方枠は、左右の縦枠の上端に上部横枠を載架して連結されて門型状とされ、左右の縦枠の内部裏面側に取り付けた補強梁を建物の壁躯体の鉄筋から突設された固定金具に溶接されて取り付け固定され、縦枠の裏面側の空間にコンクリートなどの充填物を充填し、壁躯体の乗り場側壁面に壁仕上げを施工して組み付け完了としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−205986号公報(第7図乃至第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータの三方枠は、建物の壁躯体を剥がして鉄筋を露出させ、縦枠の裏面側に取り付けた補強梁を鉄筋に溶接して固定されている。そこで、三方枠の据え付け作業に溶接作業の熟練者が必要となるので、作業員の人数が増え、作業コストが高騰するという問題があった。また、露出した鉄筋の高さ位置と補強梁の高さ位置とがずれると、溶接できなくなるので、三方枠の据え付け作業が煩雑となるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、熟練を要する溶接作業をなくして、三方枠を乗り場出入り口の壁躯体に安価に、かつ簡易に固定できるエレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベータの三方枠固定装置は、エレベータの乗り場の壁躯体にあけられた開口部に取り付けられて三方枠を該壁躯体に固定するエレベータの三方枠固定装置であって、長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴を有し、上記壁躯体の上記開口部を構成する壁面に背面を向け、かつ該引っ掛け部を該壁躯体の乗り場側に延出させて設置される本体部と、基部および該基部の他端から背面側に延出する固定腕からなるL字状に作製され、該固定腕が上記壁躯体を挟んで上記引っ掛け部と相対するように該基部の一端側から上記ガイド穴に挿入し、該ガイド穴の穴方向に移動可能に上記本体部に取り付けられる固定金と、上記基部を上記本体部に締着固定する固定部材と、上記引っ掛け部と上記固定腕とを上記壁躯体に緊締する緊締部材と、上記本体部の表面に立設された取付金と、上記三方枠の背面に取り付けられた固定金を上記取付金に締着固定する締着部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基部の延出長さを調整した後、固定部材により基部を本体部に締着固定し、引っ掛け部と固定腕との間に壁躯体を挟み込むように本体部を配置し、緊締部材により引っ掛け部と固定腕とを壁躯体に緊締することにより、三方枠固定装置が壁躯体に取り付けられるので、溶接などの熟練を要する作業者が不要となり、三方枠固定装置を壁躯体に安価に、かつ簡易に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータの乗り場出入り口を昇降路側から見た斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た斜視図である。
【図3】図1のIII−III矢視断面図である。
【図4】図1のIV−IV矢視断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す正面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する上面図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た要部斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のエレベータの出入り口装置およびその三方枠固定装置の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの乗り場出入り口を昇降路側から見た斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た斜視図、図3は図1のIII−III矢視断面図、図4は図1のIV−IV矢視断面図、図5はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図、図6はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す正面図、図7はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する斜視図、図8はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの三方枠固定装置を用いた三方枠の据え付け方法を説明する上面図である。
【0011】
図1乃至図4において、三方枠6は、左右の縦枠7の上端に上部横枠8を載架して連結されて門型状とされ、エレベータの乗り場1の出入り口を構成する開口部4に設置される。乗り場敷居5が、乗り場1の床面と面一となり、昇降路2側に延出するように壁躯体3、すなわち昇降路2の内壁面に取り付けられている。三方枠固定装置10が、壁躯体3の開口部4を構成する一対の側壁に上下方向に離間して、また上壁に間口方向に離間して、2つずつ取り付けられている。そして、左右の縦枠7および上部横枠8が、それぞれ取付ボルト26により三方枠固定装置10に締着固定され、開口部4に設置されている。
【0012】
つぎに、三方枠固定装置10の構造について図5を参照しつつ説明する。
本体部11は、鋼材を用いて作製され、長さ方向の一端から背面側に延設された引っ掛け部12と、断面長方形の穴形状とし、かつ穴方向を長さ方向として、本体部11を貫通するように形成されたガイド穴13と、を有する。そして、第1雌ねじ部としての雌ねじ部14が、ガイド穴13の穴方向中央位置で、断面長方形の穴形状の両短辺で構成されるガイド穴13の両側部に開口するように、本体部11に形成されている。取付金15は、平板状の鋼材をL字状に折り曲げて作製され、細長穴16が穴の長軸方向を取付金15の折り曲げ部と直交する方向としてL字状の基部15aに形成され、雌ねじ部17が起立片15bに形成されている。そして、一対の取付金15が、起立片15bを本体部11の長さ方向の他側に向けて、長さ方向に離間して、かつガイド穴13の断面長方形の穴形状の長辺の長さ方向に離間して、本体部11の表面に取り付けられている。取付金15のそれぞれは、取付ボルト18を基部15aにあけられた細長穴16に通して本体部11に締着固定されており、取付ボルト18の締着を緩めることで、本体部11の長さ方向における取付位置が調節可能となっている。
【0013】
ここで、ガイド穴13の断面長方形の穴形状の長辺の長さ方向および短辺の長さ方向を、それぞれ本体部11の幅方向および厚み方向とする。また、本体部11の長さ方向は、壁躯体3の厚み方向に一致する。
【0014】
固定金20は、例えば、断面長方形の平板状の鋼材を折り曲げてL字状に作製され、基部21と、基部21の他端から背面側に延設された固定腕22と、を備える。そして、凹凸を繰り返して形成して構成される係止部23が、基部21の断面長方形の短辺で構成される両側面に長さ方向に延設されている。さらに、第4雌ねじ部としての雌ねじ部24が、固定腕22を貫通するように形成されている。
【0015】
固定金20は、固定腕22が引っ掛け部12と相対するように、基部21をその一端側からガイド穴13に挿入して、本体部11に取り付けられる。そして、基部21が、ガイド穴13により本体部11の幅方向および厚み方向に移動を規制されて、ガイド穴13の穴方向に移動可能となっており、固定腕22と引っ掛け部12との間の距離が調整可能となっている。さらに、各雌ねじ部14に螺着された第1位置決めボルト19を締め付けて、第1位置決めボルト19の先端を係止部23の凹部に係合させ、固定金20の本体部11の長手方向の移動が規制される。また、押さえボルト25が雌ねじ部24に螺着され、三方枠固定装置10が組み立てられる。
【0016】
ここで、雌ねじ部14、第1位置決めボルト19および係止部23が固定部材を構成し、雌ねじ部24および押さえボルト25が緊締部材を構成している。また、取付ボルト26が締着部材を構成している。
【0017】
つぎに、三方枠6の据え付け方法について説明する。
縦枠7は、ステンレスなどの鋼板を屈曲成形して作製され、図3に示されるように、壁躯体3の乗り場側壁面の開口部4の縁部と開口部4を構成する側壁に取り付けられた三方枠固定装置10とを覆う形状に成形された縦枠主枠部7aと、縦枠主枠部7aの昇降路側端部にねじ27により締着固定され、縦枠主枠部7aと壁躯体3との隙間および固定腕22を覆う縦枠カバー部7bと、を有する。また、縦枠主枠部7aの背面には、2対のL字状の固定金具9が三方枠固定装置10の取付金15のそれぞれに対応するように取り付けられている。
【0018】
上部横枠8は、ステンレスなどの鋼板を屈曲成形して作製され、図4に示されるように、壁躯体3の乗り場側壁面の開口部4の縁部と開口部4を構成する上壁に取り付けられた三方枠固定装置10とを覆う形状に成形された横枠主枠部8aと、横枠主枠部8aの昇降路側端部にねじ27により締着固定され、横枠主枠部8aと壁躯体3との隙間および固定腕22を覆う横枠カバー部8bと、を有する。また、横枠主枠部8aの背面には、2対のL字状の固定金具9が三方枠固定装置10の取付金15のそれぞれに対応するように取り付けられている。
【0019】
まず、引っ掛け部12と固定腕22との間の距離が壁躯体3の厚みより僅かに大きくなるように、固定金20の延出長さを調整した後、第1位置決めボルト19を締着し、本体部11に固定金20を固定する。
【0020】
ついで、引っ掛け部12と固定腕22とで壁躯体3を挟み込むように、本体部11の背面を開口部4の一方の側壁に宛がい、押さえボルト25を締め付ける方向に回す。そこで、押さえボルト25が壁躯体3の昇降路側壁面側に延出し、壁躯体3の壁面に当接し、固定腕22が壁躯体3から離反する方向に変位する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、押さえボルト25をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22とが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10が、図6に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0021】
三方枠固定装置10は、縦枠主枠部7aの固定金具9の高さ位置にあわせて、開口部4の一方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられる。また、取付ボルト18を緩めて、固定金具9にあわせて本体部11の長さ方向における取付金15の位置を調節した後、取付ボルト18を締着する。
【0022】
ついで、図7に示されるように、固定金具9が取付金15に重なるように縦枠主枠部7aを配置する。そして、図8に示されるように、六角アーレン工具28を用いて昇降路側から取付ボルト26を固定金具9の切り欠きに通して取付金15の起立片15bの雌ねじ部17に螺着する。そして、取付ボルト26を締着して固定金具9と取付金15とを固定する。さらに、縦枠カバー部7bを縦枠主枠部7aの昇降路側端部にねじ27により締着固定して、図3に示されるように、縦枠7が開口部4の側壁に取り付けられる。
【0023】
また、三方枠固定装置10は、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられる。そして、縦枠7が、同様に、開口部4の他方の側壁に取り付けられる。さらに、三方枠固定装置10は、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0024】
この実施の形態1によれば、三方枠固定装置10が、長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部12、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴13を有する本体部11と、基部21および固定腕22からなるL字状に作製され、固定腕22が壁躯体3を挟んで引っ掛け部12と相対するように基部21の一端側からガイド穴13に挿入されて、ガイド穴13の穴方向に移動可能に本体部11に取り付けられる固定金20と、基部21を本体部11に締着固定する固定部材と、引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締する緊締部材と、を備えている。そこで、基部21の延出長さを調整した後、固定部材により基部21を本体部11に固定し、引っ掛け部12と固定腕22との間に壁躯体3を挟み込むように本体部11を配置し、緊締部材により引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締することにより、三方枠固定装置10が壁躯体3に取り付けられる。
【0025】
そこで、三方枠固定装置10の取り付けに、溶接などの熟練を要する作業がないので、溶接などの熟練者を作業者に加える必要がなく、三方枠固定装置10を壁躯体3に簡易に、かつ安価に取り付けることができる。
【0026】
三方枠固定装置10を開口部4を構成する一対の側壁に上下方向に離間して取り付け、取付ボルト18により縦枠主枠部7aの裏面に取り付けた固定金具9を三方枠固定装置10の取付金15の起立片15bに形成された雌ねじ部17に締着し、さらにねじ27により縦枠カバー部7bを縦枠主枠部7aに締着して、縦枠7を開口部4を構成する一対の側壁に取り付ける。さらに、三方枠固定装置10を開口部4を構成する上壁に間口方向に離間して取り付け、取付ボルト18により横枠主枠部8aの裏面に取り付けた固定金具9を三方枠固定装置10の取付金15の起立片15bに形成された雌ねじ部17に締着し、さらにねじ27により横枠カバー部8bを横枠主枠部8aに締着して、上部横枠8を開口部4を構成する上壁に取り付ける。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けを行っている。
【0027】
そこで、三方枠固定装置10の壁躯体3への取り付け、さらには三方枠6の三方枠固定装置10への取り付けに溶接などの熟練を要する作業が不要となり、乗り場装置の据え付けが安価、かつ簡易となる。
【0028】
固定部材が、凹凸を繰り返して形成して構成される係止部23と、雌ねじ部14に螺着された第1位置決めボルト19とにより構成されている。そこで、第1位置決めボルト19を締着して第1位置決めボルト19の先端を係止部23の凹部に係合させることで、緊締部材により引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締する際に、固定金20のガイド穴13の穴方向の移動が確実に阻止されるので、三方枠固定装置10の壁躯体3への取付強度が高められる。
【0029】
緊締部材が、固定腕22に形成された雌ねじ部24および押さえボルト25により構成されている。そこで、雌ねじ部24に螺着された押さえボルト25を締着するだけで、引っ掛け部12と固定腕22とを壁躯体3に緊締できるので、三方枠固定装置10を壁躯体3に簡易に取り付けることができる。また、雌ねじ部24に締着された押さえボルト25を緩めることで、開口部4の側壁の上下方向および上壁の間口方向の三方枠固定装置10の取付位置を調整できるので、三方枠6を構成する縦枠主枠部7aや横枠主枠部8aの裏面に取り付けられた固定金具9に対する三方枠固定装置10の位置合わせが容易となる。
【0030】
取付金15が取付ボルト18を細長穴16に通して本体部11に締着固定されている。そこで、取付ボルト18の締着を緩めることで、取付金15の本体部11の長さ方向に対する取付位置を調整できるので、縦枠主枠部7aや横枠主枠部8aの裏面に取り付けられた固定金具9に対する取付金15の位置合わせが容易となる。
【0031】
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図、図10はこの発明の実施の形態2に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図10は図3に相当する断面図である。
【0032】
図9において、固定金20Aは、所定厚みの長方形平板状の鋼材を折り曲げて、基部21Aと固定腕22とからなるL字状に作製されている。第2雌ねじ部としての雌ねじ部30が、基部21Aに、L字状の折り曲げ部と平行な方向に2列となって、かつ互いに半ピッチずらして、該折り曲げ部と直交する方向に所定のピッチで複数形成され、雌ねじ部24が、固定腕22を貫通するように形成されている。一対の第1貫通穴31が、雄ねじ部30の各列に対応するように、本体部11Aの幅方向に離間して、本体部11Aの表面に形成されている。
【0033】
なお、本体部11Aは、雌ねじ部14が省略され、第1貫通穴31が形成されている点を除いて、実施の形態1による本体部11と同様に構成されている。この実施の形態2による三方枠固定装置10Aでは、雄ねじ部30、第1貫通穴31および第2位置決めボルト32が固定部材を構成している。
【0034】
このように構成された三方枠固定装置10Aは、まず、引っ掛け部12と固定腕22との間の距離が壁躯体3の厚みより僅かに大きくなるように、固定金20Aの延出長さを調整した後、第2位置決めボルト32を第1貫通穴31に通して雄ねじ部30に締着し、本体部11Aに固定金20Aを固定する。このとき、一対の第1貫通穴31が本体部11Aの幅方向に配列されているので、第2位置決めボルト32は雌ねじ部30の穴位置に一致する第1貫通穴31に通して雌ねじ部30に螺着される。
【0035】
ついで、引っ掛け部12と固定腕22とで壁躯体3を挟み込むように、本体部11Aの背面を開口部4の一方の側壁に宛がい、押さえボルト25を締め付ける方向に回す。そこで、押さえボルト25が壁躯体3の昇降路側壁面側に延出し、壁躯体3の壁面に当接し、固定腕22が壁躯体3から離反する方向に変位する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、押さえボルト25をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22とが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10Aが、図10に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0036】
ついで、上記実施の形態1と同様に、固定金具9と取付金15とが取付ボルト26により締着固定されて縦枠主枠部7aが三方枠固定装置10Aを介して開口部4の一方の側壁に取り付けられ、さらに縦枠カバー部7bが縦枠主枠部7aにねじ27により締着固定される。
また、三方枠固定装置10Aが、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、縦枠7が、同様に、三方枠固定装置10Aを介して開口部4の他方の側壁に取り付けられる。また、三方枠固定装置10Aが、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、三方枠固定装置10Aを介して開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0037】
したがって、この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
この実施の形態2によれば、第2位置決めボルト32を雄ねじ部30に締着しているので、固定金20Aと本体部11Aとの固定が強固となり、三方枠固定装置10Aの壁躯体3への取付強度が高められる。
また、雄ねじ部30が互いに半ピッチずらして2列に配列されているので、固定金20Aの延出長さを細かく調整できる。
【0038】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置の構成を説明する斜視図、図12はこの発明の実施の形態3に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図12は図3に相当する断面図である。
【0039】
図11において、固定金20Bは、所定厚みの長方形平板状の鋼材を折り曲げて、基部21Bと固定腕22とからなるL字状に作製されている。基台33が、基部21Bの表面の他端側に直角に立設され、第2貫通穴34が穴方向を長さ方向として基台33にあけられている。受け台35が、本体部11Bの表面の中央に直角に立設され、第3雌ねじ部としての雌ねじ部36が穴方向を長さ方向として受け台35に形成されている。そして、固定金20Bは、その基部21Bをガイド穴13に挿入されて本体部11Bに装着され、第2貫通穴34と雌ねじ部36とが同軸になっている。そして、通しボルト37が、第2貫通穴34に通されて雄ねじ部36に螺着されている。
【0040】
なお、本体部11Bは、雌ねじ部14が省略され、受け台35が立設されている点を除いて、実施の形態1による本体部11と同様に構成されている。この実施の形態4による三方枠固定装置10Bでは、基台33、受け台35、雌ねじ部36および通しボルト37が固定部材を構成している。
【0041】
このように構成された三方枠固定装置10Bは、まず、引っ掛け部12と固定腕22との間の距離が壁躯体3の厚みより僅かに大きくなるように、固定金20Aの延出長さを調整した後、通しボルト37を第2貫通穴34に通して雄ねじ部36に螺着し、通しボルト37の頭部が基台33に接するまで通しボルト37を回し、本体部11Bに固定金20Aを固定する。
【0042】
ついで、引っ掛け部12と固定腕22とで壁躯体3を挟み込むように、本体部11Bの背面を開口部4の一方の側壁に宛がい、押さえボルト25を締め付ける方向に回す。そこで、押さえボルト25が壁躯体3の昇降路側壁面側に延出し、壁躯体3の壁面に当接し、固定腕22が壁躯体3から離反する方向に変位する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、押さえボルト25をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22とが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10Bが、図12に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0043】
ついで、上記実施の形態1と同様に、固定金具9と取付金15とが取付ボルト26により締着固定されて縦枠主枠部7aが三方枠固定装置10Bを介して開口部4の一方の側壁に取り付けられ、さらに縦枠カバー部7bが縦枠主枠部7aにねじ27により締着固定される。
また、三方枠固定装置10Bが、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、縦枠7が、同様に、三方枠固定装置10Bを介して開口部4の他方の側壁に取り付けられる。また、三方枠固定装置10Bが、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、三方枠固定装置10Bを介して開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0044】
したがって、この実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
この実施の形態3によれば、通しボルト37と受け台35に形成された雄ねじ部36との締着により固定金20Bと本体部11Bとが固定されているので、固定金20Bの延出長さをさらに細かく調整できる。
【0045】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を昇降路側から見た要部斜視図、図14はこの発明の実施の形態4に係るエレベータの三方枠固定装置を乗り場出入り口の壁躯体に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図14は図3に相当する断面図である。
【0046】
図13において、固定金20Cは、所定厚みの長方形平板状の鋼材を折り曲げて、基部21Bと固定腕22CとからなるL字状に作製されている。貫通穴38が固定腕22Cを貫通するように形成されている。そして、固定腕22Cは、壁躯体3の昇降路側壁面に打ち込まれたアンカーボルト39を貫通穴38に通して配設され、アンカーボルト39に螺着されたナット40を締着して壁躯体3に固定される。
【0047】
なお、固定金20Cは、雌ねじ部24に代えて貫通穴38が形成されている点を除いて、実施の形態3による固定金20Bと同様に構成されている。この実施の形態4による三方枠固定装置10Cでは、基台33、受け台35、雌ねじ部36および通しボルト37が固定部材および緊締部材を構成している。
【0048】
このように構成された三方枠固定装置10Cは、まず、引っ掛け部12と固定腕22Cとの間の距離が壁躯体3の厚みより大きくなるように、固定金20Aの延出長さを調整した後、通しボルト37を第2貫通穴34に通して雄ねじ部36に螺着し、通しボルト37を回して通しボルト37の頭部を基台33に接するようにする。
【0049】
ついで、アンカーボルト39を壁躯体3の昇降路側壁面の所定位置に打ち込む。そして、アンカーボルト39が貫通穴38を挿通するように引っ掛け部12と固定腕22Cとで壁躯体3を挟み込み、本体部11Bの背面を開口部4の一方の側壁に宛がう。そして、貫通穴38から延出するアンカーボルト39にナット40を螺着し、ナット40を締着して固定腕22Cを壁躯体3に固定する。ついで、通しボルト37を締め付ける方向に回し、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接する。そして、引っ掛け部12が壁躯体3の乗り場側壁面に当接した後、通しボルト37をさらに締め付ける。これにより、引っ掛け部12と固定腕22Cとが壁躯体3に緊締され、三方枠固定装置10Cが、図14に示されるように、開口部4の側壁に取り付けられる。
【0050】
ついで、上記実施の形態3と同様に、固定金具9と取付金15とが取付ボルト26により締着固定されて縦枠主枠部7aが三方枠固定装置10Cを介して開口部4の一方の側壁に取り付けられ、さらに縦枠カバー部7bが縦枠主枠部7aにねじ27により締着固定される。
また、三方枠固定装置10Cが、開口部4の他方の側壁に上下方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、縦枠7が、同様に、三方枠固定装置10Cを介して開口部4の他方の側壁に取り付けられる。また、三方枠固定装置10Cが、開口部4の上壁に間口方向に所定距離離反して2つ取り付けられ、上部横枠8が、同様に、三方枠固定装置10Cを介して開口部4の上壁に取り付けられる。これにより、一対の縦枠7と上部横枠8とが門型状となって開口部4に設置される。その後、壁躯体3の乗り場側壁面にモルタル29の吹き付け仕上げを施して、出入り口装置の据え付けが完了する。
【0051】
したがって、この実施の形態4においても、上記実施の形態3と同様の効果を奏する。
この実施の形態4によれば、アンカーボルト39とナット40との締着により固定金20Cが壁躯体3に固定されているので、三方枠固定装置10Cと壁躯体3との取付強度が大きくなる。
【0052】
なお、上記各実施の形態では、固定装置が乗り場の出入り口を構成する開口部の側壁および上壁のそれぞれに互いに離反して2つずつ取り付けられるものとしているが、開口部の側壁および上壁に取り付けられる固定装置の個数は2つに限定されるものではなく、複数であればよく、例えば3つでもよい。この場合、固定金の取付金と同数対の固定金具が、縦枠主枠部および上枠主枠部の背面に取り付けられる。
【符号の説明】
【0053】
1 乗り場、3 壁躯体、4 開口部、6 三方枠、7 縦枠、7a 縦枠主枠部、7b 縦枠カバー部、8 上部横枠、8a 横枠主枠部、8b 横枠カバー部、10,10A,10B,10C 三方枠固定装置、11,11A,11B 本体部、12 引っ掛け部、13 ガイド穴、14 雌ねじ部(第1雌ねじ部)、15 取付金、19 第1位置決めボルト、20,20A,20B,20C 固定金、21,21A,21B 基部、22,22C 固定腕、23 係止部、24 雌ねじ部(第4雌ねじ部)、25 押さえボルト、30 雌ねじ部(第2雌ねじ部)、31 第1貫通穴、32 第2位置決めボルト、33 基台、34 第2貫通穴、35 受け台、36 雌ねじ部(第3雌ねじ部)、37 通しボルト、39 アンカーボルト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗り場の壁躯体にあけられた開口部に取り付けられて三方枠を該壁躯体に固定するエレベータの三方枠固定装置であって、
長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴を有し、上記壁躯体の上記開口部を構成する壁面に背面を向け、かつ該引っ掛け部を該壁躯体の乗り場側に延出させて設置される本体部と、
基部および該基部の他端から背面側に延出する固定腕からなるL字状に作製され、該固定腕が上記壁躯体を挟んで上記引っ掛け部と相対するように該基部の一端側から上記ガイド穴に挿入し、該ガイド穴の穴方向に移動可能に上記本体部に取り付けられる固定金と、
上記基部を上記本体部に締着固定する固定部材と、
上記引っ掛け部と上記固定腕とを上記壁躯体に緊締する緊締部材と、
上記本体部の表面に立設された取付金と、
上記三方枠の背面に取り付けられた固定金を上記取付金に締着固定する締着部材と、を備えたことを特徴とするエレベータの三方枠固定装置。
【請求項2】
上記固定部材は、上記基部の壁面に上記ガイド穴の穴方向に凹凸を繰り返して形成された係止部と、上記ガイド穴に挿入された上記基部の係止部に臨むように上記本体部に形成された第1雌ねじ部と、上記第1雌ねじ部に螺着されて上記係止部の凹部に係合して上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する第1位置決めボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項3】
上記固定部材は、上記基部に上記ガイド穴の穴方向に少なくとも1列に並んで形成された複数の第2雌ねじ部と、上記第2雌ねじ部の各列に対応するように上記本体部に形成された第1貫通穴と、上記第1貫通穴に挿通されて上記第2雌ねじ部に螺着され、上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する第2位置決めボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項4】
上記固定部材は、上記基部の他端側の表面に立設され、第2貫通穴が形成された基台と、上記本体部の表面に上記基台と相対するように立設され、第3雌ねじ部が上記第2貫通穴と同軸に形成された受け台と、上記第2貫通穴に遊嵌状態に挿通されて上記第3雌ねじ部に螺着され、上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する通しボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項5】
上記緊締部材は、上記固定腕に形成された第4雌ねじ部と、上記第4雌ねじ部に螺着されて上記引っ掛け部との間に上記壁躯体を締着する押さえボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項6】
上記固定腕を上記壁躯体に固定するアンカーボルトを備え、
上記固定部材と上記緊締部材が、上記基部の他端側の表面に立設され、第2貫通穴が形成された基台と、上記本体部の表面に上記基台と相対するように立設され、第3雌ねじ部が上記第2貫通穴と同軸に形成された受け台と、上記第2貫通穴に遊嵌状態に挿通されて上記第3雌ねじ部に螺着され、上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する通しボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項7】
一対の縦枠、および上部横枠からなる三方枠が、エレベータの乗り場の壁躯体にあけられた開口部に取り付けられてなるエレベータの出入り口装置において、
上記縦枠および上部横枠が、それぞれ、上記固定金が背面に取り付けられ、上記壁躯体の乗り場側壁面の上記開口部の縁部と該壁躯体の該開口部を構成する側壁又は上壁を覆う主枠部と、該主枠部と該壁躯体との昇降路側隙間を塞ぐカバー部と、を備え、
上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のエレベータの三方枠固定装置が、上記壁躯体にあけられた上記開口部を構成する一対の側壁および上壁のそれぞれに、該側壁の上下方向および該上壁の間口方向に離間して、取り付けられ、
それぞれの上記主枠部が、上記締着部材により上記固定金を上記エレベータの三方枠固定装置の上記取付金のそれぞれに締着固定されて、上記開口部に門型状に配設され、
上記カバー部が、上記主枠部のそれぞれの昇降路側端部に締着固定されて、該主枠部と該壁躯体との昇降路側隙間を塞いでいることを特徴とするエレベータの出入り口装置。
【請求項1】
エレベータの乗り場の壁躯体にあけられた開口部に取り付けられて三方枠を該壁躯体に固定するエレベータの三方枠固定装置であって、
長さ方向の一端から背面側に延出する引っ掛け部、および穴方向を長さ方向とし、他端に開口するガイド穴を有し、上記壁躯体の上記開口部を構成する壁面に背面を向け、かつ該引っ掛け部を該壁躯体の乗り場側に延出させて設置される本体部と、
基部および該基部の他端から背面側に延出する固定腕からなるL字状に作製され、該固定腕が上記壁躯体を挟んで上記引っ掛け部と相対するように該基部の一端側から上記ガイド穴に挿入し、該ガイド穴の穴方向に移動可能に上記本体部に取り付けられる固定金と、
上記基部を上記本体部に締着固定する固定部材と、
上記引っ掛け部と上記固定腕とを上記壁躯体に緊締する緊締部材と、
上記本体部の表面に立設された取付金と、
上記三方枠の背面に取り付けられた固定金を上記取付金に締着固定する締着部材と、を備えたことを特徴とするエレベータの三方枠固定装置。
【請求項2】
上記固定部材は、上記基部の壁面に上記ガイド穴の穴方向に凹凸を繰り返して形成された係止部と、上記ガイド穴に挿入された上記基部の係止部に臨むように上記本体部に形成された第1雌ねじ部と、上記第1雌ねじ部に螺着されて上記係止部の凹部に係合して上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する第1位置決めボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項3】
上記固定部材は、上記基部に上記ガイド穴の穴方向に少なくとも1列に並んで形成された複数の第2雌ねじ部と、上記第2雌ねじ部の各列に対応するように上記本体部に形成された第1貫通穴と、上記第1貫通穴に挿通されて上記第2雌ねじ部に螺着され、上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する第2位置決めボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項4】
上記固定部材は、上記基部の他端側の表面に立設され、第2貫通穴が形成された基台と、上記本体部の表面に上記基台と相対するように立設され、第3雌ねじ部が上記第2貫通穴と同軸に形成された受け台と、上記第2貫通穴に遊嵌状態に挿通されて上記第3雌ねじ部に螺着され、上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する通しボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項5】
上記緊締部材は、上記固定腕に形成された第4雌ねじ部と、上記第4雌ねじ部に螺着されて上記引っ掛け部との間に上記壁躯体を締着する押さえボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項6】
上記固定腕を上記壁躯体に固定するアンカーボルトを備え、
上記固定部材と上記緊締部材が、上記基部の他端側の表面に立設され、第2貫通穴が形成された基台と、上記本体部の表面に上記基台と相対するように立設され、第3雌ねじ部が上記第2貫通穴と同軸に形成された受け台と、上記第2貫通穴に遊嵌状態に挿通されて上記第3雌ねじ部に螺着され、上記基部の上記ガイド穴の穴方向の移動を規制する通しボルトと、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの三方枠固定装置。
【請求項7】
一対の縦枠、および上部横枠からなる三方枠が、エレベータの乗り場の壁躯体にあけられた開口部に取り付けられてなるエレベータの出入り口装置において、
上記縦枠および上部横枠が、それぞれ、上記固定金が背面に取り付けられ、上記壁躯体の乗り場側壁面の上記開口部の縁部と該壁躯体の該開口部を構成する側壁又は上壁を覆う主枠部と、該主枠部と該壁躯体との昇降路側隙間を塞ぐカバー部と、を備え、
上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のエレベータの三方枠固定装置が、上記壁躯体にあけられた上記開口部を構成する一対の側壁および上壁のそれぞれに、該側壁の上下方向および該上壁の間口方向に離間して、取り付けられ、
それぞれの上記主枠部が、上記締着部材により上記固定金を上記エレベータの三方枠固定装置の上記取付金のそれぞれに締着固定されて、上記開口部に門型状に配設され、
上記カバー部が、上記主枠部のそれぞれの昇降路側端部に締着固定されて、該主枠部と該壁躯体との昇降路側隙間を塞いでいることを特徴とするエレベータの出入り口装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−32205(P2013−32205A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169264(P2011−169264)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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