説明

エレベータの制御盤の交換方法

【課題】仮設ケーブルを用いたエレベータの制御盤の交換作業において、床上の作業スペースを狭めることなく、かつ異なるエレベータ毎に制御盤を交換するのに、共通の仮設ケーブルを用いることができるエレベータの制御盤の交換方法を得る。
【解決手段】機械室3に新規制御盤15Bを仮設する工程と、制御対象機器と通信可能に設けられた中継機器と新規制御盤15Bとの間を通信可能に仮設ケーブル25により接続する工程と、機械室3の床3aの上方で、仮設ケーブル25を保持する工程と、既設制御盤15Aを撤去する工程と、仮設ケーブル25を取り外す工程と、新規制御盤15Bを本設位置に配置して、新規制御盤15Bと中継機器19との間を通信可能に接続ケーブル27により接続する工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、機械室に設けられる既設制御盤を新規制御盤に交換するためのエレベータの制御盤の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータは、機械室に設けられた制御盤の近傍に、制御盤に接続された第1ケーブルと昇降路内の制御対象機器に接続された第2ケーブルとを連結する中継ボックスとを有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−96482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータにおいて、既設制御盤を新規制御盤に交換する際、例えば、新規制御盤を既設制御盤に併設し、新規制御盤が、エレベータの制御対象機器の全制御を行える状態となるまで、制御の一部を既設制御盤に行わせる場合がある。
【0005】
このとき、既設制御盤に併設する新規制御盤は、機械室内の仮設位置に設けられ、仮設ケーブルを介して中継ボックスに接続される。つまり、新規制御盤は、仮設ケーブル、中継ボックス、及び第2ケーブルを介して通信可能に接続された制御対象機器の制御を行うことになる。
仮設ケーブルは、例えば、新規制御盤が、エレベータの制御対象機器の全制御を行える状態となった後の適切な時期に取り外される。さらに、既設制御盤を第1ケーブルとともに撤去し、さらに、新規制御盤を本来の設置位置に移動した後、本設ケーブルを新規制御盤及び中継ボックスの間を接続するように取り付ける。
以上により既設制御盤から新規制御盤への交換作業が完了する。
【0006】
ここで、仮設ケーブルは、異なるエレベータの既設制御盤を新規制御盤に交換するのに共通のものを利用可能である。新規制御盤の仮設位置と中継ボックスとの間の距離は、エレベータ毎に異なるので、新規制御盤の仮設位置と中継ボックスとの間の距離が長くなっても対応可能なように、仮設ケーブルは、予め長く作製したものを用いる必要がある。
【0007】
既設制御盤から新規制御盤への交換作業では、仮設位置に設置した新規制御盤及び中継ボックスの間を仮設ケーブルにより接続したときに、仮設ケーブルの余剰部分は、機械室の床面に載置されることになる。この場合、機械室の床上の作業スペースが十分に確保されなくなり、既設制御盤を新規制御盤に交換する際の作業効率が低下するという問題がある。
【0008】
また、既設制御盤から新規制御盤への交換作業時に、機械室の床面に載置される仮設ケーブルの余剰分を必要最小限にして、作業スペースを確保するため、適切な長さに製作された仮設ケーブルを用意する場合、エレベータ毎に専用の長さの仮設ケーブルを用意する必要があり、費用がかさむ。
【0009】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、仮設ケーブルを用いたエレベータの制御盤の交換作業を、機械室の床上の作業スペースを狭めることなく、かつ異なるエレベータの制御盤を交換する場合でも、共通の仮設ケーブルを用いることができるエレベータの制御盤の交換方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のエレベータの制御盤の交換方法は、機械室に設けられる既設制御盤と、機械室の外部に配設される制御対象機器と、既設制御盤と制御対象機器との間の通信経路に組み込まれ、既設制御盤に一端を接続されたケーブルとを備えるエレベータの既設制御盤を交換するためのエレベータの制御盤の交換方法であって、機械室に新規制御盤を仮設する工程と、制御対象機器と通信可能に設けられた中継機器と新規制御盤との間を通信可能に仮設ケーブルにより接続する工程と、機械室の床の上方で、仮設ケーブルを保持する工程と、既設制御盤を撤去する工程と、仮設ケーブルを取り外す工程と、新規制御盤を本設位置に配置して、新規制御盤と中継機器との間を通信可能に本設ケーブルにより接続する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るエレベータの制御盤の交換方法によれば、機械室の床の上方で、仮設ケーブルを保持する工程を有するので、仮設ケーブルを利用した作業中、仮設ケーブルを機械室の床面に載置することを回避して、機械室の床上の作業スペースを確保することができる。また、仮設ケーブルが長くても、仮設ケーブルの一部を周回させるなどの工夫をすれば、仮設ケーブルは、問題なく機械室の床の上方の空間に配置可能である。仮設ケーブルを予め長くしておくことで、例えば、新規制御盤の仮設位置と中継機器との間が長くなる場合でも対応できる。即ち、共通の仮設ケーブルを異なるエレベータの既設制御盤の交換作業に用いることができるので、複数のエレベータに対して、既設制御盤を交換する際の費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータの制御盤の交換方法によって交換される既設制御盤を有するエレベータの模式図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】この発明の一実施の形態に係るエレベータの制御盤の交換方法について説明する図であり、既設制御盤の撤去前に機械室の仮設位置に新規制御盤を設け、中継機器及び新規制御盤の間を仮設ケーブルにより接続した状態を示している。
【図4】この発明の一実施の形態に係るエレベータの制御盤の交換方法について説明する図であり、既設制御盤の撤去後に新規制御盤を本設位置に移動した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
まず、エレベータの制御盤の交換方法の説明に先立って、エレベータの主な構成について説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの制御盤の交換方法によって交換される既設制御盤を有するエレベータの模式図、図2は図1のA部拡大図である。
【0015】
図1及び図2において、エレベータ1は、昇降路2の上部に設けられる機械室3と、駆動綱車4a、及び駆動綱車4aに回転トルクを付与する電動機4bを有し、機械室3に設けられる巻上機4と、機械室3に設けられるそらせ車5と、駆動綱車4a及びそらせ車5に巻きかけられて、一端側及び他端側が昇降路2内に垂下されたロープ9と、ロープ9の一端に連結されるかご10と、各階床に設けられる乗場14とを備えている。なお、乗場14には、乗場呼びボタン(図示せず)が設けられている。
【0016】
また、エレベータ1は、ロープ9の他端に連結されるつり合いおもり8と、機械室3に設けられる既設制御盤15Aと、昇降路2などの機械室3の外部に配設される制御対象機器と、既設制御盤15Aに一端を接続され、既設制御盤15Aと制御対象機器との間の通信経路に組み込まれる第1ケーブル22とを備えている。なお、電動機4b、及び既設制御盤15Aは、機械室3の床3aに設けられている。
【0017】
制御対象機器は、第1ケーブル22を含む部材により構成される通信経路を介して既設制御盤15Aと通信可能に設けられる機器である。例えば、制御対象機器は、かご10を構成するかご室の内部に設けられるかご操作盤11及びインターホン12や、かご室の上部に設けられ、図示しないかごドア及び乗場ドアを開閉させるドア制御装置13などである。かご操作盤11は、図示しない行き先階ボタン、戸開ボタン、及び戸閉ボタン等を含む複数の操作ボタンを有している。
【0018】
第1ケーブル22は、一端を既設制御盤15Aに接続されて、既設制御盤15Aから床3aに形成された溝部に配置されるように延在したのち、昇降路2内に垂れ下げられ、他端側をかご10に連結されている。このとき、第1ケーブル22の下端側がU字状に湾曲されている。
第1ケーブル22は、各制御対象機器に対応する図示しない複数の信号線を有する。
【0019】
以上のように、かご10と既設制御盤15Aとは、第1ケーブル22を介して接続されている。また、かご操作盤11、インターホン12、及びドア制御装置13とこれらに対応する第1ケーブル22の信号線とが、かご側信号線(図示せず)により接続されている。以上により、各制御対象機器と既設制御盤15Aとが、第1ケーブル22を含む部材により構成される通信経路を介して通信可能に接続される。
【0020】
かご10は、電動機4bのトルクにより回転駆動される駆動綱車4aとロープ9との間に発生する摩擦力を利用して昇降路2内を昇降移動される。
電動機4bは、既設制御盤15Aと通信可能に接続されており、既設制御盤15Aは、かご操作盤11や乗場呼びボタンの操作に応じて電動機4bの駆動を制御する制御指令を送信し、かご10の昇降移動を制御する。
【0021】
また、既設制御盤15Aは、かご操作盤11や乗場呼びボタンの操作に応じてドア制御装置13の制御指令を送信する。そして、ドア制御装置13が、受信した制御指令に基づいて、図示しないかごドア及び乗場ドアを開閉させるようになっている。
【0022】
次いで、既設制御盤15Aを新規制御盤に交換する交換方法について説明する。
図3はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの制御盤の交換方法について説明する図であり、既設制御盤の撤去前に機械室の仮設位置に新規制御盤を設け、中継機器及び新規制御盤の間を仮設ケーブルにより接続した状態を示している。図4はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの制御盤の交換方法について説明する図であり、既設制御盤の撤去後に新規制御盤を本設位置に移動した状態を示している。
【0023】
作業者は、図3に示されるように、既設制御盤15Aをそのままに、新規制御盤15Bを、機械室3の仮設位置に設ける。
次いで、作業者は、以下に説明する中継機器19を、例えば、第1ケーブル22の昇降路2内への垂れ下げ箇所となる機械室3内の位置に設ける。
【0024】
また、予め、例えば、第1ケーブル22を切断し、切断した第1ケーブル22の部位を、中継機器19を介して接続する。分離した第1ケーブル22のうち、昇降路2内側に配置されて、中継機器19とかご10とを接続するものを、昇降路内ケーブル23とし、機械室3内に配置されるものを機械室内ケーブル24とする。
中継機器19は、仮設ケーブル25と昇降路内ケーブルの間を通信可能に接続するとともに、機械室内ケーブル24と昇降路内ケーブル23とを通信可能に接続する機能を有している。
【0025】
なお、第1ケーブル22を切断して得られる2つのケーブル間を、中継機器19を介して接続するものとして説明したが、例えば、昇降路内ケーブル、及び中継機器19と既設制御盤15Aとを接続する機械室内ケーブルのそれぞれを新規に用意し、第1ケーブル22を撤去した後、新規の機械室内ケーブルと昇降路内ケーブルとを中継機器19を介して接続してもよい。
【0026】
次いで、作業者は、新規制御盤15Bと中継機器19を、仮設ケーブル25により接続する。なお、仮設ケーブル25は、第1ケーブル22と同様、複数の信号線を有している。
【0027】
さらに、仮設ケーブル25を、以下に説明する保持手段30により機械室3の床3aの上方に保持させる。
【0028】
ここで、仮設ケーブル25の長さは、異なるエレベータの既設制御盤の交換を、共通の仮設ケーブル25を用いて行うことができるように長めに設定してある。つまり、仮設ケーブル25の長さは、新規制御盤15Bと中継機器19の間の距離が長くなるような場合でも対応できるように、長めに設定してある。
【0029】
保持手段30は、ケーブル支持部材31と、ケーブル支持部材31に仮設ケーブル25を固定する固定部材としてのクリップ34を備えている。
ケーブル支持部材31は、一対の支持柱32、及び支持柱32の間を連結するワイヤ33を備えている。
【0030】
作業者は、一方の支持柱32を、中継機器19に対応する機械室3の床3aの位置に、長さ方向を高さ方向に一致させて立設する。また、作業者は、他方の支持柱32を、新規制御盤15Bに対応する機械室3の床の位置に、長さ方向を高さ方向に一致させて立設する。
【0031】
次いで、作業者は、一対の支持柱32の上端間を接続するように、ワイヤ33の一端及び他端を、一方の支持柱32の上端及び他方の支持柱32の上端に連結固定する。このとき、ワイヤ33は、例えば、床3aに対して、作業者より高い位置にあり、また、水平面に平行に張られている。
【0032】
次いで、作業者は、仮設ケーブル25の一端を、新規制御盤15Bに設けられる入出力端子に接続し、仮設ケーブル25の他端を、中継機器19に設けられた入出力用端子に接続して、中継機器19及び新規制御盤15Bの間を仮設ケーブル25により接続する。
なお、新規制御盤15Bと制御対象機器の間の通信経路の一部を構成するように仮設ケーブル25を設けるのはいうまでもない。
【0033】
次いで、作業者は、支持柱32及びワイヤ33に対して、仮設ケーブル25が、機械室3の床3aの上方に保持されるように、仮設ケーブル25の複数の部位をクリップ34で支持柱32及びワイヤ33に連結固定する。
クリップ34は、支持柱32及びワイヤ33のそれぞれに対し、支持柱32及びワイヤ33のそれぞれの長手方向に互いに間隔をあけて設けられている。
【0034】
例えば、仮設ケーブル25の余剰分は、例えば支持柱32に沿って上下方向の所定の区間を周回するように延在した後、床3aの上方で、支持柱32にクリップ34により固定されている。
以上により、機械室3の床3aの上方で、仮設ケーブル25が保持される。
この状態では、新規制御盤15B及び既設制御盤15Aが共同で、エレベータ1のシステム制御を行うことが可能になっている。
また、かご操作盤等の制御対象機器を新規のものに交換する場合には、既設のものから新規のものに適宜交換する。
【0035】
次いで、作業者は、新規制御盤15Bのみでエレベータのシステム制御をできる状態になるまで作業を進めたところで、機械室内ケーブル24を中継機器19から切り離し、既設制御盤15A及び機械室内ケーブル24を撤去する。
【0036】
次いで、作業者は、第1ケーブル22と同様に複数の信号線を有し、予め用意しておいた本設ケーブルとしての接続ケーブル27を機械室内ケーブル24の代わりに配置しておく。
【0037】
また、作業者は、仮設ケーブル25を取り外し、新規制御盤15Bを、仮設位置から既設制御盤15Aが設置されていた本来の位置(本設位置)に移動する。
次いで、作業者は、中継機器19及び新規制御盤15Bの間を接続ケーブル27により接続する。なお、新規制御盤15Bと制御対象機器の間の通信経路の一部を構成するように接続ケーブル27を設けるのはいうまでもない。
以上により既設制御盤15Aを新規制御盤15Bに交換する作業が終了する。
【0038】
この発明のエレベータの制御盤の交換方法によれば、機械室3に、新規制御盤15Bを設ける工程と、新規制御盤15B及び中継機器19の間を仮設ケーブル25により接続する工程と、機械室3の床3aの上方に仮設ケーブル25を保持する工程と、既設制御盤15Aを撤去する工程と、仮設ケーブル25を取り外す工程と、新規制御盤15Bを本設位置に配置して、新規制御盤15B及び中継機器19の間を接続ケーブル27により接続する工程とを備えている。
【0039】
機械室3の床3aの上方で、仮設ケーブル25を保持する工程を有するので、仮設ケーブル25を利用した作業中、仮設ケーブル25を機械室3の床3a上に載置することを回避して、機械室3の床3a上の作業スペースを確保することができる。また、仮設ケーブル25が長くても、仮設ケーブル25の一部を周回させるなどの工夫をすれば、仮設ケーブル25は、問題なく機械室3の床3aの上方の空間に配置可能である。仮設ケーブルを予め長くしておくことで、例えば、新規制御盤15Bの仮設位置と中継機器19との間が長くなる場合でも対応できる。即ち、共通の仮設ケーブル25を、異なるエレベータの既設制御盤15Aの交換作業に用いることができるので、複数のエレベータに対して、既設制御盤15Aを交換する際の費用を削減できる。
【0040】
また、従来のように仮設ケーブルを床3a上に載置する場合には、作業者や作業者が運ぶ用具が、仮設ケーブルにぶつかって仮設ケーブルに損傷を負わせないようにしたり、仮設ケーブルの凸部に作業者が引っかかったりすることを回避したりするための保護部材を用意する必要がある。
この発明では、機械室3の床3aの上方に仮設ケーブル25を保持するので、保護部材を用意することを省略でき、既設制御盤15Aを新規制御盤15Bに交換するのに要する費用を削減できる。
【0041】
また、従来のように、仮設ケーブルを機械室3の床3a上に載置する場合、作業スペースを確保するためには、エレベータ1毎に、適切な長さに作製された専用の仮設ケーブルを用意する必要がある。この場合、仮設ケーブルの作製時に、各エレベータ1の機械室3の形状を鑑みて、新規制御盤15Bの仮設位置と中継機器19の設置位置との間の距離から仮設ケーブルの適切な長さを求める作業を行わなければならない。本発明では、この作業も必要がなくなるので、仮設ケーブル25の設計に関する面からもコストが削減される。また、仮設ケーブル25の納期を待つ必要なく、予め作製しておいた仮設ケーブル25を用いることで、エレベータ1の既設制御盤15Aの交換作業をすぐに開始できる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、保持手段30は、ケーブル支持部材31及び固定部材としてのクリップ34により構成されるものとして説明したが、保持手段30の構成はこのものによらず、例えば、ケーブル支持部材31は、機械室3の壁を利用して床3aの上方で、水平面に平行に延在するように固定された棒状部材やワイヤなどでもよい。
また、固定部材はクリップ34であるものとして説明したが、例えば、ケーブル支持部材31やワイヤ33に対して仮設ケーブル25を縛り付けて固定する紐などでもよい。
【0043】
また、本設ケーブルは、既設制御盤15Aから新規制御盤15Bへの交換作業時に、新たに用意する接続ケーブル27であるものとして説明したが、新規制御盤15B及び中継機器19の間を接続するのに、機械室内ケーブル24をそのまま利用できるのであれば、本設ケーブルとして、機械室内ケーブル24を撤去せずに利用してもよい。つまり、本設ケーブルとしての接続ケーブル27を新たに用意しなくてもよい。
【0044】
また、新規制御盤15Bは、仮設位置から既設制御盤15Aが置いてあった本設位置に移動するものとして説明したが、例えば、新規制御盤15Bを移動させず、仮設位置を本設位置としたり、既設制御盤15Aが設けられていた位置とは異なる位置を本設位置としたりするものでよい。
【0045】
また、改修前のエレベータ1には、中継機器19は、設けられていないものとして説明したが、改修前のエレベータ1において、既設制御盤とかごとが、中継機器19を利用して接続されていてもよい。即ち、既設制御盤15Aと中継機器19を第1ケーブル(機械室内ケーブル)により接続し、中継機器19とかご10とを昇降路内ケーブルにより接続しておいてもよい。この場合、第1ケーブル(機械室内ケーブル)、中継機器19、及び昇降路内ケーブルが、既設制御盤15Aとかご10との間の通信経路を構成する。
この場合、エレベータ1の改修する際には、昇降路内ケーブルを新規のものに交換しなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 エレベータ、3 機械室、3a 床、11 かご操作盤(制御対象機器)、12 インターホン(制御対象機器)、13 ドア制御装置(制御対象機器)、15A 既設制御盤、15B 新規制御盤、19 中継機器、22 第1ケーブル、25 仮設ケーブル、27 接続ケーブル(本設ケーブル)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室に設けられる既設制御盤と、上記機械室の外部に配設される制御対象機器と、上記既設制御盤と上記制御対象機器との間の通信経路に組み込まれ、上記既設制御盤に一端を接続されたケーブルとを備えるエレベータの上記既設制御盤を交換するためのエレベータの制御盤の交換方法であって、
上記機械室に新規制御盤を仮設する工程と、
上記制御対象機器と通信可能に設けられた中継機器と上記新規制御盤との間を通信可能に仮設ケーブルにより接続する工程と、
上記機械室の床の上方で、上記仮設ケーブルを保持する工程と、
上記既設制御盤を撤去する工程と、
上記仮設ケーブルを取り外す工程と、
上記新規制御盤を本設位置に配置して、上記新規制御盤と上記中継機器との間を通信可能に本設ケーブルにより接続する工程と
を備えることを特徴とするエレベータの制御盤の交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−201417(P2012−201417A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64276(P2011−64276)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】