説明

エレベーターのドア制御装置

【課題】 投光器又は受光器の故障を特定できるドア制御装置を得ること。
【解決手段】 戸開閉信号に基づいて出入り口近傍の障害物を検出するための光ビームを発生する発光ダイオード35を有する投光器30と、光ビームを受光によりオンするフォトトランジスタ51を有すると共に、光ビームの遮断によりフォトトランジスタ51をオフする受光器50と、戸開閉信号が生じている時に、フォトトランジスタ51をオフしていると障害物を有すると判断する障害物判断部90と、発光ダイオード35に流れる電流にオン・オフするトランジスタ31と、トランジスタ31と発光ダイオード35との間の第1電圧値に基づいて投光器30のオン・オフ故障を判断する投光器故障判定部112と、該フォトトランジスタ51間の第2電圧値に基づいて受光器50のオン・オフの故障を判断する受光器故障判定部114とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターのドア制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーターのドア制御装置は、下記特許文献1に記載のように、一対の縦枠と、上記縦枠間に設けられている上枠とを有する出入口枠が、かご出入口に設けられているエレベーター装置に用いられ、かご出入口を開閉するかごの戸の開閉動作を制御するエレベーターのドア制御装置であって、縦枠近傍の障害物を検出する障害物センサ、障害物センサからの情報に応じて開閉動作を制御するドア制御部、及び上記障害物センサの動作を検査することにより障害物センサの故障を検出する故障検出部を備えている。
【0003】
かかるドア制御装置によれば、障害物センサの動作を検査することにより障害物センサの故障を検出する故障検出部を用いたので、出入口枠と戸との間に障害物が引き込まれるのをより確実に防止することができ、かつ信頼性を向上させることができる。つまり、障害物センサの故障を検出できる。
【特許文献1】特開2004−137004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ドア制御装置では、障害物センサを構成する電子ビームを発生する投光器、該電子ビームを受光する受光器のいずれかが故障しているか否かを特定できないため、投光器、受光器一式を交換するか、投光器又は受光器のいずれが故障しているかを検査しなければならない。このため、投光器、受光器一式を交換する場合には、交換作業が煩雑であるという課題があった。
また、投光器又は受光器のいずれが故障しているかを検査する場合には、該検査作業が煩雑であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、投光器又は受光器のいずれが故障したかを特定できるエレベーターのドア制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るエレベーターのドア制御装置は、戸開閉信号に基づいてエレベーターの出入り口近傍の障害物を検出するための光ビームを発生する第1半導体素子を有する第1投光手段と、前記光ビームを受光によりオンする第2半導体素子を有すると共に、前記光ビームの遮断により該第2半導体素子をオフする受光手段と、前記戸開閉信号が生じている時に、該第2半導体素子をオフしていると障害物を有すると判断する障害物判断手段と、前記第1半導体素子に流れる電流にオン・オフする半導体スイッチ手段と、該半導体スイッチ手段と前記第1半導体素子との間の第1電圧値に基づいて前記第1投光手段のオン・オフ故障を判断する第1故障判断手段と、前記第2半導体素子間の第2電圧値に基づいて前記受光手段のオン・オフの故障を判断する第2故障判断手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
第2の発明に係るエレベーターのドア制御装置は、受光手段の近傍に設けられ、補助光ビームを受光手段に照射する第2投光手段と、第2投光手段から前記補助光ビームを前記受光手段に照射すると共に、第2半導体素子間の第2電圧値に基づいて前記受光手段のオフの故障を判断するオフ故障確認手段とを備え、前記第2故障判断手段がオフ故障と判断した場合、戸開閉信号を遮断すると共に、前記第2投光手段から前記補助光ビームを前記受光手段に照射するものである。
かかるドア制御装置によれば、第2故障判断手段がオフ故障と判断した場合、戸開閉信号を遮断すると共に、第2投光手段から補助光ビームを受光手段に照射し、オフ故障確認手段は、第2半導体素子間の第2電圧値V2に基づいて受光手段のオン・オフの故障を判断する。これにより、投光手段と受光手段との間に障害物があって、受光手段がオフした場合とか故障によりオフしたかを容易に識別できる。したがって、受光手段のオフ故障の検出精度が向上する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1半導体素子に流れる電流にオン・オフする半導体スイッチ手段と、該半導体スイッチ手段と第1半導体素子との間の第1電圧値に基づいて第1投光手段のオン・オフ故障を判断する第1故障判断手段と、第2半導体スイッチ素子間の第2電圧値に基づいて受光手段のオン・オフの故障を判断する第2故障判断手段とを備えたので、第1投光手段、受光手段のオン・オフ故障を検出できると共に、第1投光手段、受光手段のいずれが故障しているか特定できる。このため、第1投光手段、受光手段一式を必ずしも交換する必要がないばかりか、交換作業も簡易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1及び図2によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示すエレベーターのドア制御装置の全体構成図、図2は図1に示すドア制御装置のブロック図を含む回路図である。
図1において、エレベーターは、かごの戸10を開閉するドアモータ200と、該ドアモータ200を駆動・制御するドア制御装置100と、ドア制御装置100からの異常信号を受けると共に、戸開閉信号を発生するエレベーター制御盤300とを有している。
図1において、かご(かご室)には、かご出入口3が設けられており、かご出入口3は、一対のかごの戸10により開閉される。かご出入口3の縁部には、出入口枠12が固定されている。出入口枠12は、上下方向へ延びる一対の縦枠5と、縦枠5の上端部間に設けられ、水平に延びる上枠7とを有している。
【0010】
縦枠5の互いに対向する側面の下端部近傍には、ほぼ縦枠5に沿って検出光(図中矢印)を出射する第1投光手段としての投光器30が一対埋設されている。上枠7の下面には、投光器30からの検出光(ビーム光)を受光する一対の受光手段としての受光器50が埋設されている。受光器50は、かご出入口3の幅方向両端部近傍に配置されている。障害物センサは、投光器30及び受光器50を有し、図2に示すように、縦枠5の近傍の障害物(図示せず)を検出し障害物検出信号を出力する障害物判断器90を有するように形成されている。第2投光手段としての補助投光器70が受光器50の近傍に一対設けられている。
【0011】
図2において、ドア制御装置100は、戸開信号又は戸閉信号により方形波のパルス信号を一定周期で発生する発信部101を有している。投光器30は、パルス信号により半周期遅れたパルス状の集光ビームを発生し、受光器50は、該集光ビームを受光して該集光ビームよりも半周期遅れたパルス状の方形波出力を発生するように形成されている。
投光器30は、制御電源Eに接続された抵抗33を有し、半導体スイッチ手段としてトランジスタ31と発光ダイオード35と抵抗33とが直列に接続されており、発信部101からのパルス信号によりトランジスタ31がオン・オフして第1半導体素子としての発光ダイオード35に流れる電流をオン・オフすることによりパルス状の方形波光が発生するように形成されている。
受光器50は、制御電源Eに接続された抵抗53を有し、投光器30からの光を受光してオン・オフする第2半導体素子としてのフォトトランジスタ51と抵抗53とが直列に接続されており、発光ダイオード35に流れる電流によりフォトトランジスタ51がオン・オフし、フォトトランジスタ51のコレクタがパルス状の方形波電圧を得るように形成されている。
【0012】
故障判定器110は、トランジスタ31と発光ダイオード35との間の第1電圧値を検出すると共に、第1電圧検出信号を発生する第1電圧検出器103と、フォトトランジスタ51の第2電圧値としてのコレクタ電圧を検出する共に、第2電圧検出信号を発生する第2電圧検出器105とを備え、第1及び第2電圧検出信号と戸開閉信号とにより投光器30、受光器50の故障を判断する判断手段として形成され、戸開閉信号の発生により閉成すると共に、該故障と判断することにより開放する常開接点110aを有している。
故障判定器110には、トランジスタ31と発光ダイオード35との間の第1電圧値に基づいて投光器30のオン・オフ故障を判断する第1故障判断部としての投光器故障判定部112と、フォトトランジスタ51のコレクタとエミッタ間の第2電圧値に基づいて受光器50のオン・オフの故障を判断する第2故障判断部としての受光器故障判定部114とを備えている。
【0013】
故障判定器110が受光器50のオフ故障と一次判断した場合、補助投光器70からの補助光を受光器50のフォトトランジスタ51に照射し、受光器50がオフ故障か否かを再度判定して該判定を確定するオフ故障確認部120を有している。
補助投光器70は、制御電源Eに接続された抵抗73を有し、トランジスタ71と発光ダイオード75と抵抗73とが直列に接続されており、オフ故障確認部120からのパルス信号によりトランジスタ71がオン・オフして発光ダイオード75に流れる電流をオン・オフすることによりパルス状の方形波光が発生するように形成されている。
【0014】
上記のように構成されたドアの安全装置の動作を図1から図4によって説明する。図3は図2に示すドア制御装置の動作を示すタイムチャート、図4は図2に示すドア制御装置の動作を示すフローチャートである。
いま、時間t0で、エレベーター制御盤300から戸開信号が発生すると、常開接点110aが閉成し(ステップS101)、ドア制御装置100の発信部101は、方形波のパルス信号を投光器30のトランジスタ31のベースに入力して、トランジスタ31をオン・オフする(ステップS103)。発光ダイオード35に方形波電流が流れ、発光ダイオード35から方形波状に光が発生して受光器50のフォトトランジスタ51に照射する。時間t1で、第1電圧検出器103は、トランジスタ31と発光ダイオード35との間の第1電圧値を判定器110に入力すると共に(ステップS105)、第2電圧検出器105は、フォトトランジスタ51のコレクタとエミッタ間の第2電圧値を故障判定器110に入力する(ステップS107)。
【0015】
時間t2で、故障判定器110の投光器判定部112は、第1電圧値が方形波状に変換しないと共に、一定の制御電源Eであれば、投光器30のオフ故障と判断し、第1電圧値が方形波状に変換しないと共に、トランジスタ31と発光ダイオード35とのオン電圧の和であれば、投光器30のオン故障と判断する。さらに、故障判定器110の受光器判定部114は、第2電圧値が方形波状に変化しないと共に、一定の制御電源Eであれば、受光器50のオフ故障と判断し、トランジスタ51のオン電圧であれば、受光器50のオン故障と判断する(ステップS109)。
なお、第1及び第2電圧値が方形波状に変化している場合は、正常と判断する。
【0016】
時間t3で故障判定器110は、受光器50のオフ故障と判断し(ステップS111)、該オフ故障と判断すると、時間t4でオフ故障確認部110は、常開接点110aを開放して開閉信号を遮断すると共に、オン信号を受光器70のフォトトランジスタ51に入力する(ステップS113)。第2電圧検出器105は、フォトトランジスタ51のコレクタとエミッタ間の第2電圧値を故障判定器110に入力し、故障判定器110は、第2電圧値が一定の制御電源Eであれば、受光器50のオフ故障と判断し、トランジスタ51のオン電圧であれば、受光器50が正常と判断する(ステップS115)。
【0017】
上記実施形態のエレベーターのドア制御装置は、戸開閉信号に基づいてエレベーターの出入り口近傍の障害物を検出するための光ビームを発生する発光ダイオード35を有する第1投光器30と、光ビームを受光によりオンするフォトトランジスタ51を有すると共に、光ビームの遮断により該フォトトランジスタ51をオフする受光器50と、戸開閉信号が生じている時に、該フォトトランジスタ51をオフしていると障害物を有すると判断する障害物判断部90と、発光ダイオード35に流れる電流にオン・オフするトランジスタ31と、該トランジスタ31と発光ダイオード35との間の第1電圧値V1に基づいて投光器30のオン・オフ故障を判断する投光器故障判定部112と、該フォトトランジスタ51間の第2電圧値V2に基づいて受光器50のオン・オフの故障を判断する受光器故障判定部114と、を備えたものである。
かかるドア制御装置によれば、投光器故障判定部112は発光ダイオード35に流れる電流にオン・オフするトランジスタ31と、該トランジスタ31と発光ダイオード35との間の第1電圧値に基づいて投光器30のオン・オフ故障を判断する。受光器故障判定部114は、該フォトトランジスタ51間の第2電圧値V2に基づいて受光器50のオン・オフの故障を判断する。これにより、投光器30、受光器50いずれかがオン・オフ故障をしているかを特定できるので、故障による投光器30等の交換作業が軽減される。
【0018】
さらに、ドア制御装置は、受光器50の近傍に設けられ、補助光ビームを受光器50に照射する補助投光器70と、補助投光器70から補助光ビームを受光器30に照射すると共に、フォトトランジスタ間の第2電圧値V2に基づいて受光器50のオン・オフの故障を判断するオフ故障確認部120とを備え、受光器故障判定部114がオフ故障と判断した場合、戸開閉信号を遮断すると共に、補助投光器70から補助光ビームを受光器50に照射する、ものである。
かかるドア制御装置によれば、受光器故障判定部114がオフ故障と判断した場合、戸開閉信号を遮断すると共に、補助投光器70から補助光ビームを受光器50に照射し、オフ故障確認部120は、フォトトランジスタ51間の第2電圧値V2に基づいて受光器50のオン・オフの故障を判断する。これにより、投光器30と受光器50との間に障害物があって、受光器50がオフした場合とか故障によりオフしたかを容易に識別できる。したがって、受光器50のオフ故障の検出精度が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、エレベーターのドア制御装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態を示すエレベーターのドア制御装置の全体構成図である。
【図2】図1に示すドア制御装置のブロック図を含む回路図である。
【図3】図2に示すドア制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図4】図2に示すドア制御装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0021】
30 投光器、31 トランジスタ31、35 発光ダイオード35、50 受光器、51 フォトトランジスタ、70 補助投光器、90 障害物判断部、110 故障判定器110、112 投光器故障判定部112、114 受光器故障判定部、120 オフ故障確認部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸開閉信号に基づいてエレベーターの出入り口近傍の障害物を検出するための光ビームを発生する第1半導体素子を有する第1投光手段と、
前記光ビームを受光によりオンする第2半導体素子を有すると共に、前記光ビームの遮断により該第2半導体素子をオフする受光手段と、
前記戸開閉信号が生じている時に、該第2半導体素子をオフしていると障害物を有すると判断する障害物判断手段と、
前記第1半導体素子に流れる電流にオン・オフする半導体スイッチ手段と、
該半導体スイッチ手段と前記第1半導体素子との間の第1電圧値に基づいて前記第1投光手段のオン・オフ故障を判断する第1故障判断手段と、
前記第2半導体素子間の第2電圧値に基づいて前記受光手段のオン・オフの故障を判断する第2故障判断手段と、
を備えたことを特徴とするエレベーターのドア制御装置。
【請求項2】
前記受光手段の近傍に設けられ、補助光ビームを前記受光手段に照射する第2投光手段と、
前記第2投光手段から前記補助光ビームを前記受光手段に照射すると共に、前記第2半導体素子間の第2電圧値に基づいて前記受光手段のオフの故障を判断するオフ故障確認手段とを備え、
前記第2故障判断手段がオフ故障と判断した場合、前記戸開閉信号を遮断すると共に、前記第2投光手段から前記補助光ビームを前記受光手段に照射する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターのドア制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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