説明

エレベーター制御装置

【課題】停電発生後のエレベーター走行に対し、蓄電池の電力容量を有効利用するとともに、乗客の利便性を極端に落とすことのないエレベーター制御装置を提供する。
【解決手段】停電発生時にエレベーターを駆動する蓄電池13と、停電を検出するとエレベーター駆動用電源を蓄電池13に切替える電源切替手段15と、エレベーターの異常発生を監視し、乗りかごや乗場に設けた表示装置8に異常発生を報知する監視装置16とを備えたエレベーターの制御装置において、電源切替手段15が蓄電池13による電源供給へ切替えると、エレベーターの呼び登録に対する応答が完了した後、所定時間呼び登録を禁止するエレベーター休止間隔を複数記憶するスケジュールパターン記憶部21Aと、停電発生時刻を含む時刻データより、スケジュールパターン記憶部21Aに記憶される該エレベーター休止間隔を選択するエレベーター運行計算部24とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター制御装置に係り、特に、停電時のエレベーター運行に好適なエレベーター制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターが設置される建物に停電が発生すると、エレベーターの駆動用電源を建物の敷地内に設置される蓄電池に切替えるとともに、エレベーターの運転を通常の速度より遅くした低速にて運行させ、蓄電池の電力消費量を軽減して蓄電池による長時間の運転を可能とすることが開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、蓄電池の残存容量に応じ、かご呼びや乗場呼びの登録を禁止することで、エレベーターの運転を制限させて蓄電池を有効に利用することが開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−238316号公報
【特許文献2】特許第4062595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術は、停電発生に伴う蓄電池による電力供給時に、エレベーターを低速走行に切替えるため、乗りかごの呼び寄せや目的階への到着に時間が掛かり、運行効率が低下するため、エレベーターの利用者に不便を掛けるという問題があった。
【0006】
また、エレベーターは、乗りかごと釣合い錘が主ロープを介して綱車に釣瓶式に巻き掛けられており、乗りかごに乗客がいない場合、上昇のときには釣合い錘に引っ張られ、下降のときは釣合い錘を引き上げるように電動機を回転させる必要があり、乗りかごに乗客がいない上昇のときには電力をほとんど消費しないものであり、特許文献1のようにエレベーターの速度を低速に切替えても、電動機の駆動時間が増加するため、電力の消耗を大幅に抑えることはできない。
【0007】
また、特許文献2の技術は、蓄電池の残存容量に応じてエレベーターの呼びを制限するため、電力の消耗を抑えることができるが、利用者に不便を掛けるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、停電発生後のエレベーター走行に対し、蓄電池の電力容量を有効利用するとともに、乗客の利便性を極端に落とすことのないエレベーター制御装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、停電発生時にエレベーターを駆動する蓄電池と、停電を検出するとエレベーター駆動用電源を前記蓄電池に切替える電源切替手段と、停電を含みエレベーターの異常発生を監視するとともに、少なくとも乗りかごや乗場に設けた表示装置に当該異常発生を報知する監視装置と、を備えたエレベーターの制御装置において、前記電源切替手段が前記蓄電池による電源供給へ切替えると、エレベーターの呼び登録に対する応答が完了した後、所定時間呼び登録を禁止するエレベーター休止間隔を複数記憶するスケジュールパターン記憶部と、停電発生時刻を含む時刻データより、前記スケジュールパターン記憶部に記憶される該エレベーター休止間隔を選択するエレベーター運行計算部とを備え、前記時刻データは、停電発生時間帯、出勤時間帯、昼食時間帯、退勤時間帯、深夜時間帯、その他の時間帯を有するとともに、これらの時間帯を計数する内部時計を有し、前記スケジュールパターン記憶部に記憶される前記エレベーター休止間隔は、停電発生時間帯、出勤時間帯と昼食時間帯と退勤時間帯、その他の時間帯、深夜時間帯の順で長く設定し、停電発生によりエレベーターが休止状態にあるとき、前記呼び登録を受付け可能となる時刻を、前記表示装置へ表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エレベーター運行計算部は、停電発生時刻及びエレベーターの稼働頻度である利用時間帯に応じ、スケジュールパターン記憶部に記憶されている休止間隔を選定してエレベーターを走行させるようにしたので、蓄電池によるエレベーターへの電源供給を長時間行えるとともに、停電時のエレベーターの不便な運行に対しても利用者へ理解が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の休止間隔を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の時刻に基づく運行例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るエレベーター制御装置の一実施形態を、図に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の構成を示すブロック図で、図2,図3は本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の動作を説明するフローチャートで、図4は本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の運行間隔を示すタイムチャートで、図5は本発明の一実施形態に係るエレベーター制御装置の実際の運行例を示すタイムチャートである。
【0014】
図1において、一般的にエレベーターは、商用電源である三相交流商用電源6から電源を受電する受電盤1と、電動機3の制御を含むエレベーター制御を行う図示しないエレベーター制御装置を少なくとも設置するエレベーター制御盤2と、図示しない建物に設けられる昇降路30に配置される乗りかご4と釣合い錘5とで構成される。ここで、乗りかご4と釣合い錘5は、電動機3と同期して回転する図示しない綱車に巻き掛けられる複数本のワイヤーロープ10の両端に、釣瓶式に取付けられている。
【0015】
また、エレベーター制御盤2は、受電盤1と電源切替手段である電源切替盤15を介して三相交流商用電源6が供給され、電動機3を正転及び逆転の制御を行い、ワイヤーロープ10を介して乗りかご4と釣合い錘5を昇降させ、乗りかご4に乗込んだ図示しない乗客を輸送する。
【0016】
また、図示しない建物の最上階の乗り場には下降用の乗り場釦7A、中間階の乗り場には上昇用の乗り場釦7Bと下降用の乗り場釦7C、最下階乗り場には上昇用の乗り場釦7Dが、それぞれ設けられており、図示しない乗客が乗り場釦7A〜7Dのいずれかを押圧することで、乗りかご4を呼び寄せて乗込むことができる。
【0017】
また、各乗り場の乗り場釦7A〜7Dの近傍には、例えば液晶ディスプレイで形成される表示装置8が設けられており、乗りかご4が位置している階床を表示する等の運行情報等を表示する。
【0018】
また、停電が発生して三相交流商用電源6から受電盤1へ電源供給が途絶えると、走行していて停止したエレベーターの乗りかご4を、最寄階で停止させ図示しないドアを開放し、乗りかご4内に閉じ込められた図示しない乗客を救出する停電時自動着床装置9が、エレベーター制御盤2へ接続されている。ここで、停電時自動着床装置9は図示しない蓄電池を有しており、三相交流商用電源6の停電検出は、受電盤1に接続される後述する監視装置16の停電検出部19で検出し、監視装置16からの信号で、エレベーター制御盤2が停電時自動着床装置9の起動を指令する。
【0019】
次に、図示しない建物の共用部に設けられるエレベーター、水道設備、廊下や階段照明、及び、共用部や専有部に設けられる入退室管理装置、防犯装置等の設備機器を、停電時にも稼働させるため、図示しない建物の敷地内に蓄電池13を設けている。
【0020】
蓄電池13は、三相交流商用電源6から充電する充電器12と、蓄電池13から出力される直流電源を三相交流電源に変換するインバーター14と、蓄電池13の残存容量を検出して信号を出力する蓄電池残量計25とが接続されている。ここで、蓄電池残量計25は監視装置16の入出力装置17に接続される。
【0021】
また、インバーター14は、停電となると電源供給元を三相交流商用電源6から蓄電池13へ切替える電源切替盤15を介し、設備機器である例えば、エレベーターのエレベーター制御盤2へ電源を供給する。
【0022】
次に、監視装置16は、設備機器の異常状況を検出し、通信回線を介して遠隔的に接続される図示しない監視センタへ当該異常を通報するもので、設備機器との信号の入出力を行う入出力装置17と、入出力装置17の入力信号の変化を検出し、組み込まれた所定のプログラムで監視装置16の制御を行う制御装置18と、制御装置18が受電盤1の停電情報や復電情報を、入出力装置17を介して取得すると、電源切換盤15に対して電源供給先を三相交流商用電源6や蓄電池13への切替えを選択的に行う電源切替指令信号を出力する停電検出部19と、制御装置18に接続されて時刻を計時する内部時計20と、制御装置18に接続される記憶装置21に設けられ、曜日や時間等によって、設備機器である例えばエレベーターの休止間隔(複数有する)を予め記憶するスケジュールパターン記憶部21Aと、記憶装置21に設けられ、表示装置8へ表示する複数の表示画面を格納する表示装置画面記憶部21Bと、エレベーター制御盤2から入出力装置17を介してエレベーターの状態を示す複数の信号を取得し、休止中、待機中、走行中、故障中等のエレベーター状況を判断するエレベーター運行確認部22と、エレベーター制御盤2から入出力装置17を介してエレベーター乗り場釦7A〜7Dの呼び登録情報を取得する乗り場登録情報取得部23と、停電検出部19、内部時計20、エレベーター運行確認部22、乗り場登録情報取得部23等の各情報に基づき、スケジュールパターン記憶部21Aに記憶される複数のエレベーターの休止間隔を選択し、制御装置18及び入出力装置17を介してエレベーター制御盤2へ指令信号を出力するエレベーター運行計算部24と、入出力装置17を介し、電源蓄電池残量計25から蓄電池13の残存量情報を取得し、表示装置画面記憶部21Bから残存量に見合った表示画面選択し、表示装置8への表示を指令する蓄電池残量確認部26とで構成される。
【0023】
次に、本発明の一実施形態の動作の説明を、図2〜図4を用いて説明する。
【0024】
図2〜図4において、停電が発生して三相交流商用電源6から受電盤1へ電源供給が途絶えると、受電盤1から停電情報が監視装置16の入出力装置17、制御装置18を介して停電検出部19に送信され、停電を検出すると(ステップS1)、エレベーター運行確認部22は、エレベーター制御盤2、入出力装置17、制御装置18を介してエレベーターの乗りかご4の昇降路30内の停止位置情報を受信し、乗りかご4が階床レベル内に停止しているかを判定する(ステップS2)。
【0025】
階床レベル内に停止していない場合、制御装置18は、エレベーター運行確認部22の判定情報により、入出力装置17を介してエレベーター制御盤2に対し停電時自動着床装置9を起動するように指令を出し、起動した停電時自動着床装置9は、エレベーターの乗りかご4を最寄階の階床レベル内へ着床するようにエレベーター制御盤2に指令を出し、階床レベルへの着床を試み(ステップS3)、階床レベル内に着床できない場合は、エレベーター制御盤2及び停電時自動着床装置9によりステップS3を繰り返し実行し、階床レベル内への着床を行う。
【0026】
ステップS2とステップS3で乗りかご4が階床レベル内に着床できた場合、この時点で途絶えている三相交流商用電源6が復電していないかを、受電盤1からの情報により停電検出部19が判断する(ステップS4)。
【0027】
三相交流商用電源6から受電盤1への電源供給が復旧し、停電検出部19により復電信号が受信できたときは、瞬時停電であるため蓄電池への電源切替を行わずに、制御装置18は、記憶装置21の表示装置画面記憶部21Bに格納してある停電復旧を知らせる画面を選択し、入出力装置17及びエレベーター制御盤2を介して表示装置8に表示させ(ステップS5)、監視装置16によるエレベーターの制御を終了する。
【0028】
一方、ステップS4において、三相交流商用電源6から受電盤1への電源供給が途絶えたままで、停電検出部19により復電が確認できない場合、制御装置18は、入出力装置17を介して電源切換盤15に対して電源供給先を三相交流商用電源6から蓄電池13に切替える指令を出力する(ステップS6)。
【0029】
次に、電源供給先を蓄電池13に切替えてインバーター14から電源が供給され、エレベーターの運行が可能になったら、制御装置18は、入出力装置17、エレベーター制御盤2を介して記憶装置21の表示装置画面記憶部21Bに格納してあるエレベーターが運行可能であることを示す表示画面を、表示装置8に表示する(ステップS7)。
【0030】
次に、この時点で途絶えている三相交流商用電源6が復電していないかを、受電盤1からの情報により停電検出部19が再度判断し(ステップS8)、三相交流商用電源6から受電盤1への電源供給が復旧し、停電検出部19により復電信号が受信できた場合、制御装置18は、入出力装置17を介してエレベーター制御盤2に対し、一旦エレベーターを休止する指令を出力する(ステップS9)。
【0031】
エレベーターの休止が、エレベーター制御盤2、入出力装置17、制御装置18を介してエレベーター運行確認部22で確認されると、制御装置18は、入出力装置17を介して電源切換盤15に対し、電源供給先を蓄電池13から三相交流商用電源6に切替える指令を出力する(ステップS10)。
【0032】
次に、電源供給先が三相交流商用電源6へ切替わったら、制御装置18は、入出力装置17を介してエレベーター制御盤2に対し、休止状態から復帰するよう指令を出力し(ステップS11)、ステップS5に進み、制御装置18は、記憶装置21の表示装置画面記憶部21Bに格納してある停電復旧の画面を、入出力装置17及びエレベーター制御盤2を介して表示装置8に表示させ、監視装置16によるエレベーターの制御を終了する。
【0033】
一方、ステップS8において、三相交流商用電源6から受電盤1への電源供給が途絶えたままで、停電検出部19により復電が確認できない場合は、蓄電池13からエレベーターへの電源供給を継続し、乗り場釦7A〜7Dのいずれかが押圧されエレベーター制御盤2、入出力装置17、制御装置18を介して乗り場登録情報取得部23で乗り場呼びの登録が確認されるまで、制御装置18はエレベーター制御盤2を介してエレベーターに待機するよう指令を出力する(ステップS12)。
【0034】
乗り場釦7A〜7Dのいずれも押圧されない場合は、ステップS8に戻り復電を確認し、以降、乗り場釦7A〜7Dのいずれかが押圧されるか、復電が確認されるまで、ステップS8とステップS12を繰り返す。
【0035】
一方、ステップS12において、乗り場釦7A〜7Dのいずれかが押圧され、エレベーター制御盤2、入出力装置17、制御装置18を介して乗り場登録情報取得部23で乗り場呼びの登録が確認されたら、制御装置18は、乗りかご4を乗り場登録情報取得部23で取得した乗り場呼び登録階へ移動させ、図示しない乗客を乗りかご4へ乗込ませ、乗客により押圧された乗りかご4の図示しない行き先階釦の登録階へ乗客を輸送するよう、エレベーター制御盤2に指令を出力する(ステップS13)。
【0036】
次に、エレベーターの運行が終了し、乗り場釦7A〜7Dのいずれも押圧されずエレベーターが停止し待機状態となったことが、エレベーター制御盤2、入出力装置17、制御装置18を介して乗り場登録情報取得部23及びエレベーター運行確認部22により確認されたら、前記乗り場登録情報取得部23、エレベーター運行確認部22の情報に基づいて、制御装置18は入出力装置17を介してエレベーター制御盤2に対し、エレベーターの休止を指示する(ステップS14)。ここで、ステップS13とステップS14で、図示しない行き先階釦及び乗り場釦7A〜7Dが頻繁に押されると、エレベーターの走行が増え、蓄電池13の消耗が大となるので、所定時間である例えば3分間だけ、図示しない行き先階釦及び乗り場釦7A〜7Dの登録を可能としても良い。
【0037】
次に、ステップS14でエレベーターを休止した時に、エレベーター運行計算部24は、休止した時間が停電検出部19で停電を検出してから、例えば15分以内かを、制御装置18を介して内部時計20の時間情報、停電検出部19の停電情報、エレベーター運行確認部22のエレベーター休止情報を用いて判断する(ステップS15)。ここで、ステップS15において、停電を検出してから15分以内としたが、任意に最適な時限に設定しても良い。
【0038】
また、ステップS15において停電検出部19で停電を検出してから15分以内であった場合、エレベーター運行計算部24は、記憶装置21のスケジュールパターン記憶部21Aに格納してあるエレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報により、後述するパターンWである例えば2分間休止を選択する(ステップS16)。
【0039】
また、ステップS15において停電検出部19で停電を検出してから15分を超えた場合、エレベーター運行計算部24は、ステップS14でエレベーターの休止した時間が、エレベーターの利用頻度の高い混雑する時間帯であるかを、スケジュールパターン記憶部21Aに格納してあるエレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報(後述する)により判断する(ステップS17)。
【0040】
次に、ステップS17で、エレベーターの休止した時間がエレベーターの混雑する時間帯であった場合、エレベーター運行計算部24は、記憶装置21のスケジュールパターン記憶部21Aに格納してあるエレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報(後述する)により、後述するパターンXである例えば5分間休止を選択する(ステップS18)。
【0041】
また、ステップS17で、エレベーターの休止した時間がエレベーターの混雑する時間帯でなかった場合、エレベーター運行計算部24は、ステップS14でエレベーターの休止した時間が、エレベーターを適度に利用する時間帯であるかを、スケジュールパターン記憶部21Aに格納してあるエレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報(後述する)を参照して判断する(ステップS19)。
【0042】
次に、ステップS19で、エレベーターの休止した時間がエレベーターを適度に利用する時間帯であった場合、エレベーター運行計算部24は、記憶装置21のスケジュールパターン記憶部21Aに格納してあるエレベーターの休止間隔のタイムチャート情報(後述する)により、後述するパターンYである例えば10分間休止を選択する(ステップS20)。
【0043】
また、エレベーターの休止した時間がエレベーターを適度に利用する時間帯でなかった場合、エレベーター運行計算部24は、エレベーター利用が少ない閑散時間帯であると判断し、スケジュールパターン記憶部21Aに格納してあるエレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報(後述する)より、パターンZである例えば15分間休止を選択する(ステップS21)。
【0044】
ここで、パターンW、パターンX、パターンY、パターンZは、スケジュールパターン記憶部21Aに格納されている情報であり、乗りかご呼びに対してエレベーターの応答完了後、次の呼びに応答するまでのエレベーターの休止間隔を示すものである。
【0045】
パターンWは、停電発生直後の急激なエレベーター利用に対応すべく、運行頻度を抑えつつ、エレベーターが蓄電池で稼動していることを乗客に認知さるため、休止時間を最短に設定したパターンで、停電発生後15分間の休止時間を2分間に設定している。
【0046】
パターンXは、出勤時、昼食時、退勤時等、従来からエレベーターの利用が混雑する時間帯で、エレベーターの停止による利便性の極端な低下を防止するため、パターンWより休止時間を長く設定したパターンで、休止時間は5分間に設定している。
【0047】
パターンYは、エレベーターの利用が混雑する時間帯以外の日中に、エレベーターが適度に利用される時間帯に設けたパターンで、パターンXより休止時間を長く10分間に設定している。
【0048】
パターンZは、夜間、深夜等のエレベーターの利用が少ない閑散時間帯に設定したパターンで、エレベーターの休止時間を長くしても乗客への影響が少ないので、休止時間を一番長く15分間設定している。
【0049】
ここで、パターンW、パターンX、パターンY、パターンZの時間帯は、エレベーター毎の利用頻度に合わせて自由に変更しても良く、曜日等を考慮して時間帯を変えて設定しても良い。
【0050】
次に、ステップS14のエレベーターの休止時間と、ステップS16、ステップS18、ステップS20、ステップ21におけるパターンW、パターンX、パターンY、パターンZの抽出結果で、エレベーター運行計算部24は、内部時計20より現在の時刻を入手して、エレベーターの運行開始可能時刻を算出する(ステップS22)。
【0051】
次に、制御装置18は、ステップS22で算出した運行開始可能時刻を、表示装置画面記憶部21Bに格納してある図示しない表示画面に貼り付け、入出力装置17及びエレベーター制御盤2を介して表示装置8に運行開始可能時刻を表示する(ステップS23)。
【0052】
次に、三相交流商用電源6が復電していないかを、受電盤1からの情報により停電検出部19が再度判断し(ステップS24)、三相交流商用電源6から受電盤1への電源供給が復旧し、停電検出部19により復電信号が受信できた場合は、ステップS10に移行する。
【0053】
また、ステップS24で、三相交流商用電源6から受電盤1への電源供給が途絶えたままで、停電検出部19により復電が確認できない場合、エレベーター運行計算部24は、ステップS22で算出したエレベーターの運行開始可能時刻を経過していないかを、内部時計20の時間情報により判断する(ステップS25)。
【0054】
ステップS25で、エレベーターの運行開始可能時刻になっていない場合、ステップS24に戻り復電を確認する。ここで、エレベーターの運行開始可能時刻になるか復電が確認されるまで、ステップS24とステップS25を繰り返す。
【0055】
また、ステップS25で、エレベーターの運行開始可能時刻になると、制御装置18は、エレベーター運行計算部24の情報により、入出力装置17を介してエレベーター制御盤2に対し、ステップS14で休止したエレベーターを通常運行に戻す指令を出力し(ステップS26)、エレベーターが通常運行に戻り待機状態となったら、ステップS7に戻る。以降、停電検出部19により復電が確認できるまでフローチャートを継続する。
【0056】
次に、時刻に基づく転電時のエレベーター運行例を、図5に基づいて説明する。
【0057】
まず、10:00に停電が発生すると、蓄電池13に電源を切替え、エレベーターは乗り場釦7A〜7Dのいずれかが押圧されるまで待機する。
【0058】
10:10に乗り場釦7A〜7Dのいずれかが押圧され、乗り場呼び登録が発生すると、停電発生後15分以内であるので、エレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報より、パターンWの運行間隔となり、乗り場呼び登録にてエレベーターを稼動させ停止した後、エレベーターは2分間休止となる。
【0059】
次に、11:07に乗り場釦7A〜7Dのいずれかが押圧され、乗り場呼び登録が発生すると、エレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報より、パターンYの運行間隔となり、乗り場呼び登録にてエレベーターを稼動させた停止した後、エレベーターは10分間休止となる。
【0060】
次に、12:13に乗り場呼び登録が発生すると、エレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報より混雑する時間帯なのでパターンXの運行間隔となり、乗り場呼び登録にてエレベーターを稼動させ停止した後、エレベーターは5分間休止となる。
【0061】
次に、エレベーターが休止している12:13〜12:18分の5分間の間に乗り場呼び登録が発生しても呼び登録を受け入れず、休止時間が終了する12:18以降にエレベーターの稼動を可能とする。ここで、12:18はエレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報より、まだ混雑する時間帯なのでパターンXの運行間隔となり、乗り場呼び登録にてエレベーターを稼動させ停止した後、エレベーターは5分間休止となる。
【0062】
次に、16:20に乗り場呼び登録が発生すると、エレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報より、適度に利用される時間帯なので、パターンYの運行間隔となり、乗り場呼び登録にてエレベーターを稼動させ停止した後、エレベーターは10分間休止となる。
【0063】
次に、22:07に乗り場呼び登録が発生すると、エレベーターに対する休止間隔のタイムチャート情報より、閑散時間帯なので、パターンZの運行間隔となり、乗り場呼び登録にてエレベーターを稼動させ停止した後、エレベーターは15分間休止となる。
【0064】
そして、24:00に復電すると、蓄電池13から三相交流商用電源6に電源を切替え、エレベーターは通常運行に戻る。
【0065】
本実施形態によれば、停電発生時、蓄電池13でのエレベーター運行に対し、呼び応答後に休止時間を設けることで、蓄電池の電力容量を有効利用できる。
【0066】
また、エレベーターの利用頻度に応じて、休止時間を変更できるようにしたので、乗客に対して不便を比較的掛けない。
【0067】
本実施形態では、ステップS15にて、停電後15分以内かの判定の説明をしたが、停電後にエレベーターが蓄電池13の電力にて走行した累計時間を判定しても良い。
【0068】
また、ステップS15の判定を、蓄電池残量計25や蓄電池残量確認部26の情報を活用し、蓄電池13の残りの電力量の割合としても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 受電盤
2 エレベーター制御盤
3 電動機
4 乗りかご
6 三相交流商用電源
7A〜7D 乗り場釦
8 表示装置
9 停電時自動着床装置
12 充電器
13 蓄電池
14 インバーター
15 電源切換盤
16 監視装置
17 入出力装置
18 制御装置
19 停電検出部
20 内部時計
21 記憶装置
21A スケジュールパターン記憶部
21B 表示装置画面記憶部
22 エレベーター運行確認部
23 乗り場登録情報取得部
24 エレベーター運行計算部
25 蓄電池残量計
26 蓄電池残量確認部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電発生時にエレベーターを駆動する蓄電池と、停電を検出するとエレベーター駆動用電源を前記蓄電池に切替える電源切替手段と、停電を含みエレベーターの異常発生を監視するとともに、少なくとも乗りかごや乗場に設けた表示装置に当該異常発生を報知する監視装置と、を備えたエレベーターの制御装置において、
前記電源切替手段が前記蓄電池による電源供給へ切替えると、エレベーターの呼び登録に対する応答が完了した後、所定時間呼び登録を禁止するエレベーター休止間隔を複数記憶するスケジュールパターン記憶部と、
停電発生時刻を含む時刻データより、前記スケジュールパターン記憶部に記憶される該エレベーター休止間隔を選択するエレベーター運行計算部と、を備えたことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のエレベーターの制御装置において、
前記時刻データは、
停電発生時間帯、出勤時間帯、昼食時間帯、退勤時間帯、深夜時間帯、その他の時間帯を有するとともに、これらの時間帯を計数する内部時計を有したことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2記載のエレベーターの制御装置において、
前記スケジュールパターン記憶部に記憶される前記エレベーター休止間隔は、
停電発生時間帯、出勤時間帯と昼食時間帯と退勤時間帯、その他の時間帯、深夜時間帯の順で長く設定することを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3記載のエレベーターの制御装置において、
停電発生によりエレベーターが休止状態にあるとき、前記呼び登録を受付け可能となる時刻を、前記表示装置へ表示するようにしたことを特徴とするエレベーターの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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