説明

エレベータ出入口の安全装置

【課題】 安価で、かつ短時間で衝突による破損を防止することができるようにしたエレベータ出入口の安全装置を提供する。
【解決手段】 かごドア1および乗り場ドア側に受光器2を配置し、かご柱3側に投光器15を対向して配置し、かご柱3側に設けた投光器15のケース17内に、かご内への侵入方向に受ける補強体16を設けてケース17の剛性を高め、かごドア1および乗場ドア5が開扉しているときに、乗場6側からかご7側に向かって進入しようとしている物体が誤って衝突しても、投光器15の破損を防止するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、かごドアおよび乗場ドアに設けられるエレベータ出入口の安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエレベータ出入口の安全装置は、特開平8−198556号に記載されたものが知られ、これを乗り場側から見た正面図である図3と、図3に示した乗り場ドアの断面図である図4と、要部断面図である図5を用いて説明する。かごドア1の戸当り側の端部に設置した受光器2と、かご柱のかごドアと相対する位置に設置した投光器4とから成る赤外線検知装置を有し、これらの投光器4および受光器2は、図3に示すようにエレベータ出入口のほぼ全域の高さにわたって形成され、かごドア1とかご柱3間に介在する図示しない障害物を検知するように構成している。投光器4は、図4に示すようにかごドア1と対向した開口9を有する断面略U字状のケース10と、開口9に装着したアクリル板等の透光板11と、ケース10に内臓したプリント基板12と、このプリント基板12上に等間隔で配列したダイオード等の複数の投光体13と、この投光体13にプリント基板12を介して一端が接続された配線14とを備えている。
【0003】ところで、図5に示すようにかごドア1および乗り場ドア5が開扉しているときに、乗り場6側からかご7側に向かって台車8が進入し誤ってかご柱3に衝突した場合、このかご柱3の乗り場側側面のほぼ出入口高さ全域にわたって取付けた投光器4に直接衝突することになり、投光器4のケース10が屈損し、プリント基板12および投光体13を破損してしまうことになる。そこで、特開平8−245147号公報に記載されたエレベータ出入口の安全装置では、図6に示すように乗り場6側からかご7側に向かって進入しようとしている台車8等が誤ってかご柱3に衝突しても投光器4が破損しないようにするため、投光器4と乗り場との間にガード体3bを介設している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のエレベータ出入口の安全装置は、図6に示すようにかご柱3を二分割し、乗り場側に設けたかご柱3bを衝突の衝撃を防止するためのガード体とし、この分割したかご柱3a,3b間に投光器4を挟むような形で配置していたため、かご柱3a,3bを新設する必要があり、かご柱3a,3bを新設するための部品製作費用、また既設かご柱3と新設かご柱3a,3bを交換するための費用がかかり高価なものになってしまう。
【0005】本発明の目的は、安価に、かつ短時間で衝突による破損を防止することができるようにしたエレベータ出入口の安全装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明は、かごドアおよび乗場ドアと、これに対向するかご柱側とに、障害物を検知する投光器および受光器をそれぞれ設けたエレベータ出入口の安全装置において、上記かご柱側に設けた上記投光器および上記受光器の少なくとも一方のケースに、かご内への侵入方向に受ける補強体を設けたことを特徴とする。
【0007】本発明によるエレベータ出入口の安全装置は、上述のようにかご柱側に設けた投光器もしくは受光器のケースに、かご内への侵入方向に受ける補強体を設けたため、従来のようにかご柱を二分割して付け替えることなく、かご内への侵入時の衝突に対して補強体で受けてケースおよびその内部を保護することができるので、安価に、かつ短時間で衝突による破損を防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態によるエレベータ出入口の安全装置を備えたエレベータの要部横断面図である。
【0009】かごドア1の戸当り側の端部にセフティシュー18とかごドア1間に位置するように所定の高さを有する受光器2を設置し、かご柱3の受光器2と対向した位置に所定の高さを有する投光器15を設置し、かごドア1および乗り場ドアの開いている状態で、投光器15から受光器2に照射した光が遮光されることによって、かごドア1とかご柱3間に図示しない障害物が存在することを検知する検知装置を構成している。
【0010】ここで投光器15は、その拡大図を図2に示すようにかごドア1と対向した側に開口9を有する断面略コ字状のケース17と、開口9に装着したアクリル板等の透光板11と、ケース10に内臓したプリント基板12と、このプリント基板12上に高さ方向に等間隔で配列した発光ダイオード等の複数の投光体13と、この投光体13にプリント基板12を介して接続した図示しない配線等を備えて構成されている。ケース17は、かごドア1および乗り場ドアの開閉方向にほぼ平行な並行部17a,17bと、これら並行部17a,17bの反受光器2側を封じた端部17cとから断面略コ字状に成され、また、ケース17の内側にはかごドア1および乗り場ドアの開閉方向に対して、またかご7への侵入方向に対してほぼ鉛直に設けた補強体16を有している。この補強体16は、ケース17内のプリント基板12の近傍に設ければ良く、プリント基板12の反受光器2側に限らず、プリント基板12の受光器2側に投光体13からの照射光を遮光しない位置、例えば、高さ方向に配置した複数の投光体13間に離散的に設けるようにしても良い。
【0011】このようにかご柱3の乗場側側面におけるほぼ出入口高さ全域にわたって取付けられた投光器15は、この台車等の衝突方向に対してほぼ直交する方向に補強体16を設けているため、かごドア1および乗り場ドアが開扉しているときに、乗り場側からかご7側に向かって進入しようとしている台車等が誤ってかご柱3に衝突しても、この侵入方向のケース17の剛性が高められており、直接衝突しても投光器15、特にケース17内に配置したプリント基板12や発光体13の破損を防止することができる。しかも、図6に示した従来のように二分割したかご柱3a,3bを製作して付け替えを行なう必要がないので、既設かご柱3に補強体16を有する投光器15を付けるだけで済み、安価に、かつ短時間で施工することができる。
【0012】尚、上述した実施の形態では、かご柱3側に取付けた投光器15のケース17に補強体16を設けたが、この補強したケース17を受光器2のケースとして共用してもよい。また、投光器15をかご柱3側に設け、受光器2をかごドア1および乗り場ドア側に設けたが、逆の配置でも良く、いずれにしても衝突しやすいかご柱3側に設けた投光器15および受光器2の少なくとも一方のケースに補強体16を設ければよい。
【0013】
【発明の効果】以上のように本発明によるエレベータ出入口の安全装置は、かご柱側に配置した投光器および受光器の少なくとも一方のケースに、かご内への侵入方向に対して受ける補強体を設けたため、従来のように既設かご柱を二分割したかご柱に交換しなくてもよいので、安価で、かつ短時間で台車等の物体が衝突して破損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるエレベータ出入口の安全装置を備えたエレベータの要部横断面図である。
【図2】図1に示したエレベータ出入口の安全装置の要部拡大図である。
【図3】従来のエレベータ出入口の安全装置を備えたエレベータの乗場側から見た正面図である。
【図4】図3に示したエレベータの要部横断面図である。
【図5】図4に示したエレベータの要部拡大図である。
【図6】図3に示した他のエレベータの要部横断面図である。
【符号の説明】
1 かごドア
2 受光器
3 かご柱
6 乗り場
7 かご
8 台車
9 開口
10 ケース
12 プリント基板
13 ダイオード
15 投光器
16 補強体
17 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】 かごドアおよび乗場ドアと、これに対向するかご柱側とに、障害物を検知する投光器および受光器をそれぞれ設けたエレベータ出入口の安全装置において、上記かご柱側に設けた上記投光器および上記受光器の少なくとも一方のケースに、かご内への侵入方向に受ける補強体を設けたことを特徴とするエレベータ出入口の安全装置。
【請求項2】 請求項1記載のものにおいて、上記ケースは断面略コ字形に形成し、上記補強体は、上記コ字形ケースの内側で上記投光器および上記受光器間の照射光を遮光しない位置に設けたことを特徴とするエレベータ出入口の安全装置。
【請求項3】 請求項1記載のものにおいて、上記かご柱側に設けた上記投光器および上記受光器の少なくとも一方は、その上記ケース内に設置したプリント基板と、このプリント基板上に配列した複数の発光体を有し、上記補強体は、上記ケース内の上記プリント基板近傍に設けたことを特徴とするエレベータ出入口の安全装置。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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