説明

エレベータ制御装置

【課題】エレベータシステムの運転効率の向上を図ることができるエレベータ制御装置を提供すること。
【解決手段】画像処理装置12は、撮像装置11が撮像した画像である撮像画像に対応する撮像画像データを生成するものである。制御装置14は、生成された撮像画像データに基づいて、撮像画像の中から利用者に対応する領域である人物領域を抽出する機能を有する。制御装置14は、利用者が乗りかご2に向かって一定速度以上で移動していると判断したときには、かごドア2aを基本戸閉速度よりも遅い戸閉速度である低速戸閉速度で戸閉する。制御装置14は、利用者が乗りかご2に向かって一定速度未満で移動している、あるいは、乗りかご2に向かって移動していないと判断したときには、かごドア2aを基本戸閉速度で戸閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、乗りかごに乗り込もうとしている利用者が乗りかごから離れた位置にいる場合には、利用者が乗りかごに向かって移動している際に、乗りかごに設けられているかごドアが戸閉してしまうことがある。この場合、利用者は、例えば、乗り場に設けられている乗り場操作盤を操作し、かごドアを再び戸開させてから乗りかごに乗り込むこととなる。つまり、乗りかごがエレベータ停止階に着床している間にかごドアの戸開および戸閉がそれぞれ複数回行われることとなる。このため、乗りかごがエレベータ停止階に着床してかごドアが最初に戸開した時から、乗り場にいる利用者が乗りかごに乗り込んでかごドアが戸閉する時までの時間である乗降時間が長くなる。
【0003】
そこで、かごドアの不要な戸開および戸閉を抑制することで乗降時間を短縮し、エレベータシステムの運転効率を向上させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−120548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エレベータシステムの運転効率の向上を図ることができるエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータ制御装置は、ドア開閉装置と、撮像装置と、画像処理装置と、制御装置と、を備える。ドア開閉装置は、乗りかごに設けられたかごドアを開閉制御するものである。撮像装置は、少なくとも利用者が乗りかごに対して乗降するための乗り場を撮像するものである。画像処理装置は、撮像装置が撮像した画像である撮像画像に対応する撮像画像データを生成するものである。制御装置は、ドア開閉装置を制御するものである。制御装置は、ドア開閉装置によりかごドアを戸閉する場合には、かごドアを予め設定されている戸閉速度である基本戸閉速度で戸閉させる。制御装置は、生成された撮像画像データに基づいて、撮像画像の中から利用者に対応する領域である人物領域を抽出する機能を有する。また、制御装置は、連続する撮像画像の中から人物領域を連続して抽出した場合に、撮像画像のフレーム内における連続して抽出した人物領域の変化に基づいて、連続する撮像画像内に写っている利用者の移動速度および移動方向を算出する機能を有する。また、制御装置は、算出した移動速度が一定速度以上であるか否かを判断する機能を有する。また、制御装置は、算出した移動方向が乗りかごに向かう方向であるか否かを判断する機能を有する。制御装置は、利用者が乗りかごに向かって一定速度以上で移動していると判断したときには、かごドアを基本戸閉速度よりも遅い戸閉速度である低速戸閉速度で戸閉する。制御装置は、利用者が乗りかごに向かって一定速度未満で移動している、あるいは、乗りかごに向かって移動していないと判断したときには、かごドアを基本戸閉速度で戸閉する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態1に係るエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、乗り場カメラによる撮像画像の例を示す図である。
【図3】図3は、エレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。
【図4】図4は、実施形態2に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。
【図5】図5は、実施形態3に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。
【図6】図6は、実施形態4に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。
【図7】図7は、実施形態5に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明に係るエレベータ制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
〔実施形態1〕
実施形態1に係るエレベータ制御装置について説明する。図1は、実施形態1に係るエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、乗り場カメラによる撮像画像の例を示す図である。実施形態1では、エレベータ制御装置1は、乗りかご2に設けられたかごドア2aの開閉動作を、利用者の有無や動きに応じて制御するものである。エレベータ制御装置1は、ドア開閉装置10と、撮像装置11と、画像処理装置12と、スピーカ13と、制御装置14と、を備える。
【0010】
ドア開閉装置10は、乗りかご2のかごドア2aを開閉制御するものである。ドア開閉装置10は、例えば、乗りかご2の上部に設置されている。ドア開閉装置10は、ドアモータ10aと、ドアモータ制御部10bとを備えている。ドアモータ10aは、かごドア2aに連結されている。ドアモータ制御部10bは、ドアモータ10aを駆動制御するものであり、制御装置14から出力された戸開信号または戸閉信号に応じてドアモータ10aを駆動することで、かごドア2aを開閉させる。かごドア2aは、乗りかご2がエレベータ停止階に位置すると、エレベータ停止階の乗り場ドア3aと連結する。このため、ドア開閉装置10は、かごドア2aの戸開に伴い、乗り場ドア3aを戸開させる。これにより、乗りかご2の内部とエレベータ停止階の乗り場3との間で利用者が乗降可能となる。
【0011】
撮像装置11は、少なくとも乗り場3を撮像するものである。撮像装置11は、乗り場カメラ11aと、乗りかごカメラ11bと、を有している。乗り場カメラ11aは、乗り場3に設置されたカメラである。乗りかごカメラ11bは、乗りかご2の内部、例えば乗りかご2の天井部分に設けられたカメラである。実施形態1では、乗り場カメラ11aは、乗り場3と乗りかご2内のうち少なくとも乗り場3を撮像するものである。また、実施形態1では、乗りかごカメラ11bは、乗り場3と乗りかご2内のうち少なくとも乗りかご2内を撮像するものである。すなわち、実施形態1では、撮像装置11は、乗り場カメラ11aおよび乗りかごカメラ11bにより、乗り場3および乗りかご2内を撮像するものである。さらに言えば、実施形態1では、撮像装置11は、乗り場3や乗りかご2内にいる利用者を鉛直方向と交差する方向に撮像するものである。すなわち、実施形態1では、撮像装置11は、例えば、乗り場3において乗り場ドア3a付近にいる利用者や、乗りかご2内においてかごドア2a付近にいる利用者を斜め上方から撮像するものである。実施形態1では、乗り場カメラ11aや乗りかごカメラ11bは、乗り場3や乗りかご2内にいる利用者を鉛直方向と交差する方向に撮像するために、例えば、魚眼レンズを介して乗り場3や乗りかご2内を撮像するものとされている。なお、実施形態1では、乗り場カメラ11aや乗りかごカメラ11bは、設置位置や設置角度を調節することにより、乗り場3や乗りかご2内にいる利用者を鉛直方向と交差する方向に撮像できるものであってもよい。
【0012】
画像処理装置12は、撮像装置11が撮像した画像である撮像画像に対応する撮像画像データを生成するものである。実施形態1では、画像処理装置12は、乗り場カメラ11aから出力された撮像画像信号である第1撮像画像信号に基づいて、乗り場カメラ11aが撮像した画像である第1撮像画像に対応する第1撮像画像データを生成するとともに、乗りかごカメラ11bから出力された撮像画像信号である第2撮像画像信号に基づいて、乗りかごカメラ11bが撮像した画像である第2撮像画像に対応する第2撮像画像データを生成する。
【0013】
スピーカ13は、乗りかご2に乗っている利用者に対して、各種の連絡内容を報知するものである。スピーカ13は、制御装置14からの報知信号を入力すると、この報知信号に対応したアナウンスを行うものである。
【0014】
制御装置14は、ドア開閉装置10を制御するものである。制御装置14は、ドア開閉装置10により乗りかご2を戸開する場合には、基本戸開速度で戸開させる。制御装置14は、ドア開閉装置10により乗りかご2を戸閉する場合には、かごドア2aを基本戸閉速度で戸閉させる。ここでいう基本戸開速度とは、予め設定されている戸開速度である。また、基本戸閉速度とは、予め設定されている戸閉速度である。実施形態1では、制御装置14は、抽出部14aと、算出部14bと、判断部14cとを機能として備えている。
【0015】
抽出部14aは、抽出機能を担うものである。抽出機能とは、画像処理装置12により生成された撮像画像データに基づいて、撮像装置11が撮像した撮像画像の中から人物領域を抽出する機能である。ここでいう人物領域とは、撮像画像内の利用者に対応する領域である。人物領域には、撮像画像の中の利用者が所持している荷物の領域が含まれる。すなわち、撮像画像において、利用者と、利用者が所持している荷物との双方をまとめた領域が人物領域となる。抽出部14aは、例えば、背景差分法やフレーム間差分法などにより人物領域の抽出を行う。実施形態1では、抽出部14aは、背景差分法により人物領域の抽出を行う。
【0016】
算出部14bは、算出機能を担うものである。算出機能とは、連続する撮像画像内に写っている利用者の移動速度および移動方向を算出する機能である。具体的には、算出部14bは、撮像装置11が撮像した連続する撮像画像の中から人物領域を連続して抽出した場合に、撮像画像のフレーム内における連続して抽出した人物領域の変化に基づいて、連続する撮像画像内に写っている利用者の移動速度および移動方向、すなわち、移動ベクトルを算出する。より詳しく述べると、算出部14bは、最新の撮像画像における人物領域の位置と、その1つ前に撮像された撮像画像における人物領域の位置とに基づいて、撮像装置11による撮像間隔、すなわち撮像タイミングどうしの時間幅に対する人物領域の変位量および移動方向を求め、これらを利用者の移動速度および移動方向とする。
【0017】
判断部14cは、第1判断機能、第2判断機能、第3判断機能、第4判断機能、および、第5判断機能を担うものである。第1判断機能とは、算出部14bが算出した移動速度が一定速度以上であるか否かを判断する機能である。また、第2判断機能とは、算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2に向かう方向であるか否かを判断する機能である。また、第3判断機能とは、算出部14bが算出した移動速度が略0であるか否かを判断する機能である。また、第4判断機能とは、算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2内から乗り場3に向かう方向であるか否かを判断する機能である。また、第5判断機能とは、乗りかご2に向かって移動していた利用者が乗りかご2の前で立ち止まったか否かを判断する機能である。
【0018】
ここで、上記の一定速度は、例えば、一般的な成人の標準的な歩行速度である標準歩行速度とすればよい。実施形態1では、判断部14cは、算出部14bが算出した移動速度が標準歩行速度以上であるか否かを判断する。また、上記の乗りかご2に向かう方向とは、第1撮像画像において、乗り場3における利用者の初期位置を基準として、利用者の移動ベクトルの延長線上に乗り場ドア3aが位置する方向である。乗り場3における利用者の初期位置とは、撮像画像において人物領域を連続して抽出した際の人物領域の初期位置である。言い換えれば、利用者の移動ベクトルが乗込領域A内に収まっているとき、この利用者の移動方向は、乗りかご2に向かう方向であるといえる。ここでいう乗込領域Aとは、例えば、乗り場3における利用者の初期位置と、乗り場ドア3aの幅方向両端部とを直線で結んだ略三角形状の領域である。実施形態1では、判断部14cは、第1撮像画像において、乗り場3における利用者の初期位置を基準として、利用者の移動ベクトルの延長線上に乗り場ドア3aが位置するか否かを判断することで、算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2に向かう方向であるか否かを判断する。また、乗りかご2内から乗り場3に向かう方向とは、第2撮像画像において、乗りかご2内における利用者の初期位置を基準として、利用者の移動ベクトルの延長線上にかごドア2aが位置する方向である。また、実施形態1では、判断部14cは、算出部14bが算出した移動速度が一定速度以上であり、なおかつ、算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2に向かう方向であると判断していた場合であって、その後に算出部14bが算出した移動速度が連続して略0となったときに、乗りかご2に向かって移動していた利用者が乗りかご2の前で立ち止まったと判断する。
【0019】
すなわち、実施形態1では、制御装置14は、抽出部14aと、算出部14bと、判断部14cとを機能として備えることで、抽出機能と、算出機能と、第1判断機能と、第2判断機能と、第3判断機能と、第4判断機能と、第5判断機能と、を有している。
【0020】
なお、図2において、符号3bで示す装置は、乗り場操作盤である。
【0021】
次に、実施形態1に係るエレベータ制御装置1の動作について説明する。
【0022】
図3は、エレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。
【0023】
乗りかご2がエレベータ停止階に着床し、ドア開閉装置10によりかごドア2aが戸開されると、図3に示す処理ルーチンが呼び出される(スタート)。
【0024】
まず、制御装置14は、人物領域を抽出できたか否かを判断する(ステップS1)。ここでは、制御装置14は、抽出部14aにより背景差分法を用いて人物領域の抽出を行う。具体的には、撮像装置11により利用者がいない場合の乗りかご2および乗り場3を予め撮像しておき、このときの第1撮像画像および第2撮像画像を基本画像として抽出部14aに記憶しておく。そして、抽出部14aは、図3に示すサブルーチンが実行された際の第1撮像画像および第2撮像画像と、第1基本画像および第2基本画像との各画素の輝度値を比較し、輝度値に差異が生じている箇所を抽出する。ここでいう第1基本画像および第2基本画像とは、基本画像としての撮像画像であり、それぞれ撮像装置11により撮像された、利用者がいない場合の乗り場3および乗りかご2の撮像画像である。つまり、抽出部14aは、第1撮像画像および第2撮像画像の中から輝度値に差異が生じている箇所を抽出し、人物領域とする。
【0025】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できなかった場合(ステップS1否定)、かごドア2aの戸開を保持する(ステップS2、リターン)。例えば、乗り場3にいた利用者が乗り場操作盤3bを操作して乗り場呼びを行ったものの、その乗り場3があるエレベータ停止階に乗りかご2が着床する前に利用者がその場を立ち去ってしまった場合、制御装置14は、ドア開閉装置10により、乗りかご2の着床後、一定時間である戸開保持時間だけかごドア2aの戸開を保持する。
【0026】
また、制御装置14は、人物領域を抽出できたか否かを判断し(ステップS1)、人物領域を抽出できたと判断すると(ステップS1肯定)、乗りかご2内の利用者が乗り場3に向かって移動しているか否か(ステップS3)を判断する。制御装置14は、乗りかご2内の利用者が乗り場3に向かって移動していると判断した場合(ステップS3肯定)、かごドア2aの戸開を保持する(ステップS2、リターン)。ここでは、制御装置14は、抽出部14aにより連続する第2撮像画像の中から連続して人物領域を抽出できた場合には、判断部14cにより、算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2内から乗り場3に向かう方向であるか否かを判断する。制御装置14は、判断部14cにより算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2内から乗り場3に向かう方向であると判断した場合には、乗りかご2内から乗り場3に移動しようとしている利用者がいると推定されるため、ドア開閉装置10によりかごドア2aの戸開を戸開保持時間だけ保持する。
【0027】
また、制御装置14は、乗りかご2内の利用者が乗り場3に向かって移動していないと判断した場合(ステップS3否定)、乗り場3で待機している利用者がいるか否かを判断する(ステップS4)。制御装置14は、乗り場3で待機している利用者がいると判断した場合(ステップS4肯定)、かごドア2aの戸開を保持する(ステップS2、リターン)。ここでは、制御装置14は、抽出部14aにより連続する第1撮像画像の中から連続して人物領域を抽出できた場合には、判断部14cにより、算出部14bが算出した移動速度が略0であるか否かを判断する。制御装置14は、判断部14cにより算出部14bが算出した移動速度が略0であると判断した場合に、乗り場3で待機している利用者がいると判断し、ドア開閉装置10によりかごドア2aの戸開を戸開保持時間だけ保持する。つまり、制御装置14は、抽出部14aにより人物領域を乗り場3における利用者の初期位置付近で連続して抽出している場合には、乗りかご2に乗り込もうとして乗り場3で待機している利用者がいると推定されるため、ドア開閉装置10によりかごドア2aの戸開を戸開保持時間だけ保持する。
【0028】
すなわち、判断部14cにより乗りかご2内の利用者が乗り場3に向かって移動していると判断したり、乗り場3で待機している利用者がいると判断したりした場合には、利用者が乗りかご2に対して乗降すると推定される。このため、制御装置14は、かごドア2aの戸開を戸開保持時間だけ保持する。
【0029】
また、制御装置14は、乗りかご2内の利用者が乗り場3に向かって移動していないと判断し、なおかつ、乗り場3で待機している利用者がいないと判断した場合には(ステップS3否定、ステップS4否定)、乗り場3において、乗りかご2に向かって移動している利用者がいるか否かを判断する(ステップS5)。ここでは、制御装置14は、判断部14cにより、算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2に向かう方向であるか否かを判断する。
【0030】
次に、制御装置14は、乗りかご2に向かって移動している利用者がいないと判断した場合(ステップS5否定)、基本戸閉速度で戸閉する(ステップS6、リターン)。判断部14cにより算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2に向かう方向ではないと判断した場合には、乗り場3にいる利用者は乗りかご2には乗り込まないと推定される。このため、制御装置14は、ドア開閉装置10によりかごドア2aを比較的短時間で戸閉できる基本戸閉速度で直ちに戸閉する。つまり、乗りかご2が着床しているエレベータ停止階では、利用者の乗りかご2に対する乗降がないと推定されるため、制御装置14は、かごドア2aを基本戸閉速度で直ちに戸閉し、かごドア2aの戸閉に要する時間を短時間に抑制する。
【0031】
また、制御装置14は、乗りかご2に向かって移動している利用者がいると判断した場合(ステップS5肯定)、戸開保持時間が経過したか否かを判断する(ステップS7)。制御装置14は、戸開保持時間が経過していないと判断した場合には(ステップS7否定)、戸開保持時間が経過するまで戸開する(ステップS2、リターン)。ここでは、判断部14cにより算出部14bが算出した移動方向が乗りかご2に向かう方向であると判断した場合には、乗り場3にいる利用者は乗りかご2に乗り込もうとしていると推定される。このため、制御装置14は、ドア開閉装置10によりかごドア2aを戸開時間が経過するまで戸開し、乗り場3にいる利用者が乗りかご2に乗り込むのに要する時間を確保する。
【0032】
次に、制御装置14は、戸開保持時間が経過したと判断すると(ステップS1肯定、ステップS3否定、ステップS4否定、ステップS5肯定、ステップS7肯定)、利用者が乗りかご2に向かって一定速度以上で移動しているか否かを判断する(ステップS8)。具体的には、制御装置14は、判断部14cにより、算出部14bが算出した移動速度が一定速度以上、実施形態1では標準歩行速度であるか否かを判断する。つまり、制御装置14は、算出部14bが算出した移動速度が一定速度以上であるか否かを判断することにより、乗りかご2に向かって移動している利用者が乗りかご2に乗り込もうとしているのか否かを判断する。
【0033】
次に、制御装置14は、利用者が乗りかご2に向かって一定速度以上で移動していないと判断した場合(ステップS8否定)、基本戸閉速度で戸閉する(ステップS8)。判断部14cにより利用者が乗りかご2に向かって一定速度未満で移動している、あるいは、乗りかご2に向かって移動していないと判断した場合には、利用者は乗りかご2に乗り込もうとしていないと推定される。このため、制御装置14は、ドア開閉装置10によりかごドア2aを基本戸閉速度で直ちに戸閉する。
【0034】
また、制御装置14は、利用者が乗りかご2に向かって一定速度以上で移動していると判断した場合(ステップS8肯定)、低速戸閉速度で戸閉し(ステップS9)、スピーカ13によるアナウンスを行う(ステップS10)。ここでいう低速戸閉速度とは、基本戸閉速度よりも遅い戸閉速度である。判断部14cにより利用者が乗りかご2に向かって一定速度以上で移動している場合には、かごドア2aから離れたところにいる利用者は乗りかご2に乗り込もうとしていると推定される。このため、制御装置14は、ドア開閉装置10によりかごドア2aを低速戸閉速度で戸閉し、かごドア2aが戸閉するまでの時間を延ばし、利用者に対して乗りかご2に乗り込む猶予を与える。またこの際、制御装置14は、スピーカ13に対して報知信号を出力し、スピーカ13に報知信号に対応したアナウンスを行わせる。制御装置14は、スピーカ13に例えば「お乗りになるお客様がいらっしゃいます。もうしばらくお待ちください。」とアナウンスさせ、利用者の乗りかご2内への乗込み待ちであることを報知する。
【0035】
次に、制御装置14は、利用者が乗りかご2の前で停止したか否かを判断する(ステップS11)。乗りかご2に向かって移動してきた利用者は、乗りかご2に乗り込むならば、乗りかご2の前で一旦立ち止まると推定される。つまり、利用者は、乗りかご2内へ乗り込む意志があると推定される。このため、制御装置14は、利用者が乗りかご2の前で立ち止まったか否かを判断することで、利用者が乗りかご2に乗り込むか否かの最終的な判断を行う。
【0036】
次に、制御装置14は、利用者が乗りかご2の前で停止しなかったと判断した場合(ステップS11否定)、基本戸閉速度で戸閉する(ステップS6、リターン)。判断部14cにより利用者が乗りかご2の前で立ち止まらなかったと判断した場合には、例えば、利用者が乗りかご2に乗り込まないで乗りかご2の前を通過したと推定される。つまり、利用者は、乗りかご2内へ乗り込む意志がなかったと推定される。このため、制御装置14は、ドア開閉装置10によりかごドア2aを比較的短時間で戸閉できる基本戸閉速度で直ちに戸閉する。
【0037】
また、制御装置14は、利用者が乗りかご2の前で停止したと判断した場合(ステップS11肯定)、かごドア2aを再戸開する(ステップS12、リターン)。判断部14cにより利用者が乗りかご2の前で立ち止まったと判断した場合には、利用者が乗りかご2に乗り込む意志があったと推定される。このため、制御装置14は、ドア開閉装置10により、かごドア2aの戸閉を停止し、比較的短時間で戸開できる基本戸開速度で戸開する。
【0038】
以上説明した実施形態1のエレベータ制御装置1は、利用者の動向に応じてかごドア2aの戸閉速度を変更するので、例えば、かごドア2aの戸閉後に再度かごドア2aを戸開しなければならないといったことが抑制される。つまり、エレベータ制御装置1は、かごドア2aの不要な戸開および戸閉を抑制することができる。このため、エレベータ制御装置1は、利用者の乗りかご2に対する乗降時間を短縮することができ、エレベータシステムの運転効率の向上を図ることができる。
【0039】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係るエレベータ制御装置1について説明する。実施形態2に係るエレベータ制御装置1は、かごドア2aを開閉動作させた場合であって、かごドア2aの開閉動作が完了できなかったときに、シルのゴミ詰まり等を解消するために、ドアモータ10aの出力トルクを増大させる点に特徴がある。実施形態2の制御装置14は、判断部14cが実施形態1で説明した第1〜第5判断機能に加えて、第6判断機能を担う。第6判断機能とは、乗りかご2に設けられている図示しない複数のドア位置検出スイッチの出力結果に基づいて、かごドア2aが閉まったか否かを判断する機能である。すなわち、実施形態2の制御装置14は、第1〜第5判断機能の他に、第6判断機能も有するものである。この他、実施形態2に係るエレベータ制御装置1は、実施形態1に係るエレベータ制御装置1と基本的構成が同一であるので、その説明を省略する。
【0040】
図4は、実施形態2に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。実施形態2のエレベータ制御装置1では、乗りかご2がエレベータ停止階に着床し、ドア開閉装置10によりかごドア2aが戸開される際、あるいは、その後に戸閉する際に、ドアモータ10aの過負荷検出用のパラメータが過負荷検出用のしきい値を越えると、図3に示す処理ルーチンが呼び出される(スタート)。
【0041】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できたか否かを判断する(ステップS20)。ここでは、前述の実施形態1で説明したステップS1と同様の処理を行う。
【0042】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できた場合(ステップS20肯定)、スピーカ13によるドア再戸開の注意アナウンスを行い(ステップS21)、かごドア2aを再戸開する(ステップS22)。すなわち、かごドア2aの開閉動作時において、かごドア2aが閉まりきらない、あるいは、開ききらない場合であって、抽出部14aが乗り場カメラ11aによる第1撮像画像あるいは乗りかごカメラ11bによる第2撮像画像の少なくともいずれか一方から人物領域を抽出できたときには、利用者が乗りかご2に対して乗降しようとしてかごドア2aあるいは乗り場ドア3aに接触したと推定される。このため、例えば、かごドア2aが閉まりきらない場合、制御装置14は、スピーカ13に対して報知信号を出力し、スピーカ13に報知信号に対応したアナウンスを行わせるとともに、ドア開閉装置10によりかごドア2aを再戸開させる。スピーカ13によるアナウンスは、例えば、「お乗りになるお客様がいらっしゃいます。ドアを開きます。」等とする。
【0043】
また、制御装置14は、人物領域を抽出できなかった場合(ステップS20否定)、ドアモータ10aの出力トルクを増大させる(ステップS23)。かごドア2aの開閉動作時において、かごドア2aが閉まりきらない、あるいは、開ききらない場合であって、抽出部14aが乗り場カメラ11aによる第1撮像画像あるいは乗りかごカメラ11bによる第2撮像画像のいずれからも人物領域を抽出できないときには、シルのゴミ詰まり等によりかごドア2aの開閉が不完全になったと推定される。このため、制御装置14は、シルのゴミ詰まり等を解消させるために、ドア開閉装置10のドアモータ10aの出力トルクを増大させることで、かごドア2aを戸開閉させる力である戸開閉力を増大させる。
【0044】
次に、制御装置14は、ドアが閉まったか否かを判断する(ステップS24)。ここでは、制御装置14は、判断部14cにより、図示しない複数のドア位置検出スイッチの出力結果に基づいて、かごドア2aが閉まったか否かを判断する。
【0045】
次に、制御装置14は、ドアが閉まったと判断した場合(ステップS24肯定)、ドアモータ10aの出力トルクを元の値に戻し(ステップS25)、エレベータシステムの運転を再開させる(エンド)。
【0046】
また、制御装置14は、ドアが閉まっていないと判断した場合(ステップS24否定)、エラー発報を行う(ステップS26)。すなわち、制御装置14は、ドアモータ10aの出力トルクを増大させても、シルのゴミ詰まり等を解消することができなかった場合には、管理センターに対してエラー発報を行い、かごドア2aの開閉動作の異常が解消しないことを通知する。
【0047】
実施形態2のエレベータ制御装置1では、シルにゴミ詰まり等が生じているか否かを自動で判断することができる。またさらに、エレベータ制御装置1は、シルにゴミ詰まり等が生じていると判断した場合には、乗り場3および乗りかご2内に利用者がいない状態でドアモータ10aの出力トルクを増大させるので、安全な状態で、なおかつ、自動でシルのゴミ詰まり等に対処することができる。したがって、エレベータ制御装置1は、シルのゴミ詰まり等に対する保守の手間を低減することができる。
【0048】
〔実施形態3〕
次に、実施形態3に係るエレベータ制御装置1について説明する。実施形態3に係るエレベータ制御装置1は、例えば子供などの身長が比較的低い人物が利用者である場合に、かごドア2aに関する過負荷検出用のしきい値を小さくする点に特徴がある。実施形態3の制御装置14は、利用者の移動速度および移動方向を算出する機能に加えて、身長算出機能を担う。身長算出機能とは、抽出部14aにより抽出した人物領域に基づいて、撮像画像内に写っている利用者の身長を算出する機能である。また、実施形態3の制御装置14は、判断部14cが実施形態1で説明した第1〜第5判断機能に加えて、第7〜第9判断機能を担う。第7判断機能とは、算出部14bが算出した身長が所定値、実施形態3では、子供などの小柄な人物の身長であると想定できる高さよりも低いか否かを判断する機能である。第8判断機能とは、抽出部14aが抽出した第1撮像画像および第2撮像画像における人物領域の位置に基づいて、利用者がかごドア2aあるいは乗り場ドア3a付近にいるか否かを判断する機能である。第9判断機能とは、ドアモータ10aの過負荷検出用パラメータの値である電流値あるいは電圧値が過負荷検出用のしきい値を越えたか否かを判断する機能である。ここでいうドアモータ10aに対する過負荷検出用のしきい値とは、ドアモータ10aの過負荷検出用のパラメータの値に対して用いられる値であり、ドアモータ10aにおける過負荷の有無を検出するためのものである。過負荷検出用のしきい値は、ドアモータ10aの過負荷検出用パラメータの値が電流値である場合には電流しきい値となり、ドアモータ10aの過負荷検出用パラメータの値が電圧値である場合には電圧しきい値となる。実施形態3の制御装置14は、第1〜第5判断機能の他に、身長算出機能および第7〜第9判断機能も有するものである。この他、実施形態3に係るエレベータ制御装置1は、実施形態1に係るエレベータ制御装置1と基本的構成が同一であるので、その説明を省略する。
【0049】
図5は、実施形態3に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。実施形態3のエレベータ制御装置1では、乗りかご2がエレベータ停止階に着床すると、図5に示す処理ルーチンが呼び出される(スタート)。
【0050】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できたか否かを判断する(ステップS30)。ここでは、前述の実施形態1で説明したステップS1と同様の処理を行う。
【0051】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できた場合(ステップS30肯定)、ドア付近に利用者がいるか否かを判断する(ステップS31)。具体的には、制御装置14は、判断部14cにより、抽出部14aが抽出した第1撮像画像および第2撮像画像における人物領域の位置に基づいて、利用者がかごドア2aあるいは乗り場ドア3a付近にいるか否かを判断する。
【0052】
次に、制御装置14は、ドア付近に利用者がいると判断した場合(ステップS31肯定)、利用者の身長が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS32)。具体的には、制御装置14は、判断部14cにより、算出部14bが算出した身長が子供などの小柄な人物の身長であると想定できる高さ以下であるか否かを判断することで、かごドア2aあるいは乗り場ドア3a付近にいる利用者が小柄な人物であるか否かを判断する。
【0053】
次に、制御装置14は、利用者の身長が所定値以下であると判断した場合(ステップS32肯定)、過負荷検出用のしきい値を小さくする(ステップS33)。すなわち、制御装置14は、判断部14cにより、算出部14bが算出した身長が所定値よりも低いと判断したときには、ドア開閉装置10のドアモータ10aに対する過負荷検出用のしきい値を小さくする。
【0054】
次に、制御装置14は、過負荷検出用パラメータの値がしきい値を越えたか否かを判断する(ステップS34)。実施形態3では、制御装置14は、判断部14cにより、ドアモータ10aを流れる電流の値が過負荷検出用のしきい値である電流しきい値を越えたか否かを判断する。なお、制御装置14は、判断部14cにより、ドアモータ10aに印加される電圧の値が過負荷検出用のしきい値である電圧しきい値を越えたか否かを判断してもよい。
【0055】
次に、制御装置14は、ドアモータ10aの過負荷検出用パラメータの値が過負荷検出用のしきい値を越えた場合に(ステップS34肯定)、実行していたかごドア2aの開閉動作を少なくとも停止する(ステップS35)。実施形態3では、制御装置14は、過負荷検出用パラメータの値がしきい値を越えたと判断すると(ステップS34肯定)、かごドア2aの開閉動作を一旦停止し(ステップS35)、かごドア2aの開閉動作を反転する(ステップS36)。ドアモータ10aの過負荷検出用パラメータの値が過負荷検出用のしきい値を越えた場合には、小柄な利用者がかごドア2aの開閉動作時に、かごドア2aあるいは乗り場ドア3aに手を触れていると推定される。このため、制御装置14は、利用者の安全性を確保するために、かごドア2aの開閉動作を一旦停止した後、かごドア2aの開閉動作を反転する。
【0056】
また、制御装置14は、人物領域を抽出できなかった場合(ステップS30否定)、ドア付近に利用者がいないと判断したとき(ステップS31否定)、利用者の身長が所定値以下ではないと判断した場合(ステップS32否定)、あるいは、過負荷検出用パラメータの値がしきい値を越えていないと判断した場合(ステップS34否定)には、かごドア2aを基本戸開速度および基本戸閉速度で開閉させるエレベータシステムの運転を継続する(エンド)。
【0057】
実施形態3のエレベータ制御装置1では、ドアモータ10aが過負荷状態であるか否かを、過負荷検出用のしきい値と過負荷検出用のパラメータの値との比較により推定する。エレベータ制御装置1は、ドア付近に利用者がいると判断した場合であって、この利用者の身長が所定値以下であると判断したときに、過負荷検出用のしきい値を通常運転時よりも小さくする。このため、エレベータ制御装置1は、子供などの小柄な人物がかごドア2aあるいは乗り場ドア3aに手を着いたりして接触している場合に、ドアモータ10aの過負荷状態を検出することができる。つまり、エレベータ制御装置1は、利用者が小柄な人物であり、弱い力でかごドア2aあるいは乗り場ドア3aに接触している場合でも、ドアモータ10aの過負荷状態を検出することができる。したがって、例えば、エレベータ制御装置1は、利用者が小柄な人物であり、弱い力でかごドア2aあるいは乗り場ドア3aに接触している場合でも、この利用者の手がドアポケットに引き込まれることを防止することができる。つまり、エレベータ制御装置1は、エレベータシステムの安全性を向上させることができる。
【0058】
〔実施形態4〕
次に、実施形態4に係るエレベータ制御装置1について説明する。実施形態4に係るエレベータ制御装置1は、利用者の体格幅と利用者が所持している荷物の幅との総和を推定して、かごドア2aの戸開幅を変更する点に特徴がある。実施形態4の制御装置14は、算出部14bが利用者の移動速度および移動方向を算出する機能に加えて、必要幅算出機能を担う。必要幅算出機能とは、抽出部14aにより抽出した人物領域に基づいて、利用者必要幅を算出する機能である。利用者必要幅とは、抽出部14aが抽出した人物領域に基づいて算出部14bにより算出される、利用者が所持している荷物を含めた利用者の幅である。また、実施形態4の制御装置14は、判断部14cが実施形態1で説明した第1〜第5判断機能に加えて、第10判断機能および第11判断機能を担う。第10判断機能とは、抽出部14aが第1撮像画像の中から抽出した人物領域の数を、乗り場3で乗りかご2を待っている利用者の人数であると判断する機能である。第11判断機能とは、算出部14bが算出した利用者必要幅が所定値、実施形態4では、標準体型の大人の肩幅と標準体型の大人が携帯可能な鞄などの荷物の厚さと想定できる幅との総和以下であるか否かを判断する機能である。すなわち、実施形態4の制御装置14は、第1〜第5判断機能の他に、第10〜第11判断機能も有するものである。この他、実施形態4に係るエレベータ制御装置1は、実施形態1に係るエレベータ制御装置1と基本的構成が同一であるので、その説明を省略する。
【0059】
図6は、実施形態4に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。実施形態4のエレベータ制御装置1では、乗り場3にいる利用者が乗り場操作盤3bを操作し、乗りかご2の乗り場呼びが行われ、乗りかご2がエレベータ停止階に着床すると、図6に示す処理ルーチンが呼び出される(スタート)。
【0060】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できたか否かを判断する(ステップS40)。ここでは、前述の実施形態1で説明したステップS1と同様の処理を行う。
【0061】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できた場合(ステップS40肯定)、乗り場3で待っている利用者が1人であるか否かを判断する(ステップS41)。具体的には、制御装置14は、第1撮像画像の中から抽出された人物領域の数を、乗り場3で乗りかご2を待っている利用者の人数であると判断する。
【0062】
次に、制御装置14は、乗り場3で待っている利用者が1人であると判断した場合に(ステップS41肯定)、利用者必要幅が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS42)。具体的には、制御装置14は、判断部14cにより、算出部14bが算出した利用者必要幅が標準体型の大人の肩幅と標準体型の大人が携帯可能な鞄などの荷物の厚さと想定できる幅との総和以下であるか否かを判断する。
【0063】
次に、制御装置14は、利用者必要幅が所定値以下であると判断した場合(ステップS42肯定)、所定値に応じたドアの開き幅で戸開し(ステップS43)、戸開保持時間が経過した後に戸閉する(エンド)。すなわち、判断部14cにより利用者必要幅が標準体型の大人の肩幅と標準体型の大人が携帯可能な鞄などの荷物の厚さと想定できる幅との総和以下であると判断した場合、利用者は標準体型の大人よりも小柄な人物であると推定される。このため、制御装置14は、かごドア2aの開き幅を全開時の開き幅よりも狭くして、かごドア2aを戸開する。
【0064】
また、制御装置14は、人物領域を抽出できなかった場合(ステップS40否定)、乗り場3で待っている利用者が1人でなかった場合(ステップS41否定)、あるいは、利用者必要幅が所定値以下でなかった場合(ステップS42否定)には、かごドア2aを通常の開き幅、実施形態4では全開時の開き幅で戸開し(ステップS44)、戸開保持時間が経過した後に戸閉する(エンド)。
【0065】
実施形態4のエレベータ制御装置1では、制御装置14により、かごドア2aの戸開幅を、算出部14bが算出した利用者必要幅に応じて変更する。すなわち、エレベータ制御装置1は、例えば、乗りかご2に対して乗降する利用者の人数が比較的少なく、かごドア2aを全開にする必要がない場合には、利用者の体型や荷物の幅に基づいて、必要な開き幅でかごドア2aを戸開する。このため、エレベータ制御装置1は、かごドア2aの開閉時に生じる不要な時間を抑制することができ、エレベータシステムの運転効率の向上を図ることができる。
【0066】
〔実施形態5〕
次に、実施形態5に係るエレベータ制御装置1について説明する。実施形態5に係るエレベータ制御装置1は、乗りかご2がエレベータ停止階に着床し、乗りかご2内から乗り場3に移動して乗り場3で待機している利用者がいた場合に、かごドア2aの戸開時間を延長する点に特徴がある。実施形態5の制御装置14は、判断部14cが実施形態1で説明した第1〜第5判断機能に加えて、第12〜第15判断機能を担う。第12判断機能とは、利用者が乗りかご2に乗っていた場合に、乗りかごカメラ11bによる第2撮像画像の中から連続して抽出した人物領域に基づいて、乗りかご2から乗り場3に移動する利用者を特定する機能である。第13判断機能とは、乗り場カメラ11aによる第1撮像画像の中から連続して抽出した人物領域に基づいて、乗り場3において第12判断機能により特定した利用者である特定利用者を追跡し、この特定利用者が乗り場3で所定時間以上移動していないか否かを判断する機能である。第14判断機能とは、第13判断機能により追跡した特定利用者が乗りかご2に再び乗り込んだか否かを判断する機能である。第15機能とは、乗り場カメラ11aによる第1撮像画像の中から連続して抽出した人物領域に基づいて、第13判断機能により追跡した特定利用者の位置が一定時間以上ほぼ同位置にあるか否かを判断する機能である。すなわち、実施形態5の制御装置14は、第1〜第5判断機能の他に、第12〜第15判断機能も有するものである。この他、実施形態5に係るエレベータ制御装置1は、実施形態1に係るエレベータ制御装置1と基本的構成が同一であるので、その説明を省略する。
【0067】
図7は、実施形態5に係るエレベータ制御装置の動作のフローチャートを示す図である。乗りかご2がエレベータ停止階に着床し、ドア開閉装置10によりかごドア2aが戸開されると、図7に示す処理ルーチンが呼び出される(スタート)。
【0068】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できたか否かを判断する(ステップS50)。ここでは、前述の実施形態1で説明したステップS1と同様の処理を行う。
【0069】
次に、制御装置14は、人物領域を抽出できた場合(ステップS50肯定)、乗りかご2から乗り場3に移動した利用者がいるか否かを判断する(ステップS51)。具体的には、制御装置14は、判断部14cが乗りかごカメラ11bによる第2撮像画像の中から連続して抽出した人物領域に基づいて、乗りかご2から乗り場3に移動する利用者を特定する。
【0070】
次に、制御装置14は、乗りかご2から乗り場3に移動した利用者がいると判断した場合(ステップS51肯定)、この利用者、すなわち、特定利用者が乗り場3で所定時間待機したか否かを判断する(ステップS52)。具体的には、制御装置14は、判断部14cにより、乗り場カメラ11aによる第1撮像画像の中から連続して抽出した人物領域に基づいて、ステップS51で特定利用者を追跡する。さらに、制御装置14は、判断部14cにより特定利用者が乗り場3で所定時間以上移動していないか否かを判断する。実施形態5では、制御装置14は、判断部14cにより、抽出部14aが連続する第1撮像画像の中から連続して抽出した人物領域の位置が、所定時間以上乗り場ドア3a付近に位置しているか否かを判断する。
【0071】
次に、制御装置14は、特定利用者が乗り場3で所定時間待機したと判断した場合(ステップS52肯定)、戸開時間を延長する(ステップS53)。具体的には、制御装置14は、ドア開閉装置10により、かごドア2aの戸開時間を予め定められる戸開保持時間よりも所定時間長くする。つまり、制御装置14は、特定利用者が再び乗りかご2内に乗り込む可能性があるため、ドア開閉装置10により、かごドア2aの戸開時間を予め定められる戸開保持時間よりも所定時間長く保持する。
【0072】
次に、制御装置14は、乗り場3に移動した利用者が乗りかご2に再び乗り込んだか否かを判断する(ステップS54)。具体的には、制御装置14は、判断部14cにより、乗り場カメラ11aによる第1撮像画像の中から連続して抽出した人物領域に基づいて、ステップS52で追跡した特定利用者が乗りかご2に再び乗り込んだか否かを判断する。
【0073】
次に、制御装置14は、乗り場3に移動した利用者が乗りかご2に再び乗り込んでいないと判断した場合(ステップS54否定)、利用者の動きが無くなってから一定時間経過したか否かを判断する(ステップS55)。具体的には、制御装置14は、判断部14cにより、乗り場カメラ11aによる第1撮像画像の中から連続して抽出した人物領域に基づいて、ステップS52で追跡した特定利用者の位置が一定時間以上ほぼ同じ場所に位置しているか否かを判断する。
【0074】
次に、制御装置14は、利用者の動きが無くなってから一定時間経過していないと判断した場合(ステップS55否定)、継続して戸開時間を延長する(ステップS53)。そして乗り場3に移動した利用者が乗りかご2に再び乗り込まない間は(ステップS54否定)、利用者の動きが無くなってから一定時間経過するのを待ち(ステップS55肯定)、戸閉し(ステップS56)、エレベータシステムの運転を継続する(エンド)。具体的には、制御装置14は、戸開時間を延長し、乗り場3に移動して動きの無くなった特定利用者が乗りかご2に乗り込まない状態が一定時間以上継続した場合には、特定利用者が乗りかご2に乗り込まないと推定されるので、ドア開閉装置10によりかごドア2aを基本戸閉速度で直ちに戸閉し、エレベータシステムの運転を継続する。
【0075】
また、制御装置14は、戸開時間を延長した時から利用者の動きが無くなって一定時間経過する時までの間に、乗り場3に移動した利用者が乗りかご2に再び乗り込んだ場合は(ステップ54肯定)、直ちに戸閉し(ステップS56)、エレベータシステムの運転を継続する(エンド)。
【0076】
また、制御装置14は、人物領域を抽出できなかった場合(ステップS50否定)、乗りかご2から乗り場3に移動した利用者がいない場合(ステップS51否定)、あるいは、特定利用者が乗り場3で所定時間待機しなかったと判断した場合(ステップS52否定)には、基本戸閉時間で戸閉する(ステップS57)。ここでいう基本戸閉時間とは、例えば、かごドア2aが全開している時から基本戸閉速度で完全に戸閉する時までの時間である。乗りかご2内から乗り場3に移動して所定時間待機後に乗りかご2に再び乗り込む利用者はいないと推定されるため、制御装置14は、ドア開閉装置10によりかごドア2aを、戸開時間の延長をせずに比較的短時間で戸閉できる基本戸閉速度で直ちに戸閉する。
【0077】
実施形態5のエレベータ制御装置1では、制御装置14により、かごドア2aの戸開時に、利用者が乗りかご2に乗っていた場合、かごドア2aから乗り場3に移動する利用者を特定し、この特定した利用者が乗り場3に移動して乗り場3で所定時間以上移動していないと判断したときに、ドア開閉装置10によるかごドア2aの戸開時間を延長する。つまり、エレベータ制御装置1は、一時的に乗りかご2内から乗り場3に降りた利用者が再び乗りかご2内に乗り込むために乗り場3で待機している間に、かごドア2aを戸閉してしまうことがない。このため、エレベータ制御装置1は、乗り場ドア3aや乗りかご2内にいる利用者がかごドア2aや乗り場ドア3aなどのドアを手で押えていたり、あるいは、乗りかご2内に設けられているかご内操作盤や乗り場操作盤3bを操作してかごドア2aを戸開しておく必要をなくすことができる。したがって、エレベータ制御装置1は、利用者の乗りかご2に対する乗降の利便性を増すことができる。また、エレベータ制御装置1は、利用者がかごドア2aや乗り場ドア3aなどのドアに挟まれてしまうことを回避することができ、エレベータシステムの安全性を向上させることができる。
【0078】
なお、以上説明したエレベータ制御装置1は、乗り場カメラ11aがかごドア2aの戸開状態で乗りかご2内を撮像することができれば、必要に応じて、乗りかごカメラ11bを省略し、乗り場カメラ11aを乗りかごカメラ11bの代用としてもよい。また、以上説明したエレベータ制御装置1は、乗りかごカメラ11bがかごドア2aの戸開状態で乗り場3を撮像することができれば、必要に応じて、乗り場カメラ11aを省略し、乗りかごカメラ11bを乗り場カメラ11aの代用としてもよい。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 エレベータ制御装置
10 ドア開閉装置
11 撮像装置
11a 乗り場カメラ
11b 乗りかごカメラ
12 画像処理装置
14 制御装置
14a 抽出部
14b 算出部
14c 判断部
2 乗りかご
2a かごドア
3 乗り場
3a 乗り場ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごに設けられたかごドアを開閉制御するドア開閉装置と、
少なくとも利用者が前記乗りかごに対して乗降するための乗り場を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した画像である撮像画像に対応する撮像画像データを生成する画像処理装置と、
前記ドア開閉装置を制御し、前記ドア開閉装置により前記かごドアを戸閉する場合には、前記かごドアを予め設定されている戸閉速度である基本戸閉速度で戸閉させる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記生成された撮像画像データに基づいて、前記撮像画像の中から前記利用者に対応する領域である人物領域を抽出する機能と、
連続する前記撮像画像の中から前記人物領域を連続して抽出した場合に、前記撮像画像のフレーム内における前記連続して抽出した前記人物領域の変化に基づいて、前記連続する撮像画像内に写っている前記利用者の移動速度および移動方向を算出する機能と、
前記算出した移動速度が一定速度以上であるか否かを判断する機能と、
前記算出した移動方向が前記乗りかごに向かう方向であるか否かを判断する機能と、
を有しており、
前記利用者が前記乗りかごに向かって前記一定速度以上で移動していると判断したときには、前記かごドアを前記基本戸閉速度よりも遅い戸閉速度である低速戸閉速度で戸閉し、
前記利用者が前記乗りかごに向かって前記一定速度未満で移動している、あるいは、前記乗りかごに向かって移動していないと判断したときには、前記かごドアを前記基本戸閉速度で戸閉する
ことを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記利用者を鉛直方向と交差する方向に撮像するものであり、
前記制御装置は、
前記抽出した人物領域に基づいて、前記撮像画像内に写っている前記利用者の身長を算出する機能と、
前記算出した身長が所定値よりも低いか否かを判断する機能と、
をさらに有しており、
前記算出した身長が前記所定値よりも低いと判断したときには、前記ドア開閉装置のドアモータに対する過負荷検出用のしきい値を小さくし、前記ドアモータの過負荷検出用パラメータの値が前記しきい値を越えた場合に、実行していた前記かごドアの開閉動作を少なくとも停止する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記人物領域には、前記撮像画像の中の前記利用者が所持している荷物の領域が含まれており、
前記制御装置は、
前記抽出した人物領域に基づいて、前記荷物を含めた前記利用者の幅である利用者必要幅を算出する機能をさらに有し、
前記かごドアの戸開幅を前記算出した利用者必要幅に応じて変更する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記撮像装置は、
前記乗り場に設置されたカメラである乗り場カメラと、
前記乗りかごの内部に設けられたカメラである乗りかごカメラと、
を有し、
前記制御装置は、前記かごドアの開閉動作時において、前記かごドアが閉まりきらない、あるいは、開ききらない場合であって、前記乗り場カメラによる前記撮像画像あるいは前記乗りかごカメラによる前記撮像画像のいずれからも前記人物領域を抽出できないときには、前記ドア開閉装置のドアモータの出力トルクを増大させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、
前記乗り場に設置されたカメラである乗り場カメラと、
前記乗りかごの内部に設けられたカメラである乗りかごカメラと、
を有し、
前記制御装置は、
前記利用者が前記乗りかごに乗っていた場合に、前記乗りかごカメラによる前記撮像画像の中から前記連続して抽出した前記人物領域に基づいて、前記乗りかごから前記乗り場に移動する前記利用者を特定する機能と、
前記乗り場カメラによる前記撮像画像の中から前記連続して抽出した前記人物領域に基づいて、前記乗り場において前記特定した利用者を追跡し、前記特定した利用者が前記乗り場で所定時間以上移動していないか否かを判断する機能と、
を有し、
前記制御装置は、前記かごドアの戸開時に、前記利用者が前記乗りかごに乗っていた場合、前記乗りかごから前記乗り場に移動する前記利用者を特定し、前記特定した利用者が前記乗り場に移動して前記乗り場で前記所定時間以上移動していないと判断したときに、前記ドア開閉装置による前記かごドアの戸開時間を延長する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレベータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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