説明

エレベータ用位置検出装置

【課題】省スペース化を図ることができる位置検出装置を提供する。
【解決手段】エレベータ用位置検出装置1は、第1の位置検出装置16と、第2の位置検出装置17とを具備する。第1の位置検出装置16は、乗籠4に固定された第1の検出用部材21と、昇降路3内に設置された第2の検出用部材22とを有し、乗籠4の位置を検出する。第2の位置検出装置17は、乗籠4に固定された第3の検出用部材25と、昇降路3内に設置された第4の検出用部材26とを有し、第1の位置検出装置16とは独立して乗籠4の位置を検出する。第2の検出用部材22は、ガイドレール6または昇降路3の内壁3aに固定されている。第4の検出用部材26は、第2の検出用部材22に固定されて昇降路3内で支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗籠の位置を検出する位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータには、乗籠の位置を検出する位置検出装置が設置されている。
特許文献1には、乗場の敷居部と乗籠の敷居部とが互いに同じになる位置に乗籠を停止させるエレベータの着床装置が開示されている。この着床装置は、乗場の敷居部に設けられた被検出体と、乗籠の敷居部に設けられた検出部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−143109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の位置検出装置が昇降路内に設置されることがある。このとき、例えば各位置検出装置を固定するためのブラケットが互いに干渉してしまうため、複数の位置検出装置を互いに近付けて設置し、省スペース化を図ることが困難な場合がある。
【0005】
本発明の目的は、省スペース化を図ることができる位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの形態に係るエレベータ用位置検出装置は、第1の位置検出装置と、第2の位置検出装置とを具備する。前記第1の位置検出装置は、乗籠に固定された第1の検出用部材と、昇降路内に設置され、前記第1の検出用部材に対向する第2の検出用部材とを有し、乗籠の位置を検出する。前記第2の位置検出装置は、乗籠に固定された第3の検出用部材と、昇降路内に設置され、前記第3の検出用部材に対向する第4の検出用部材とを有し、前記第1の位置検出装置とは独立して乗籠の位置を検出する。前記第2の検出用部材は、ガイドレールまたは昇降路の内壁に固定されている。前記第4の検出用部材は、前記第2の検出用部材に固定されて昇降路内で支持されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、位置検出装置の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータの断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る位置検出装置を示す平面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る位置検出装置を示す正面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る位置検出装置を示す平面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る位置検出装置を示す正面図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る位置検出装置を示す平面図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る位置検出装置を示す正面図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る位置検出装置を示す正面図。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る位置検出装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図9を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照し、本発明の第1の実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1が設置されるエレベータ2の一例について説明する。エレベータ2は、昇降路3、乗籠4、釣合いおもり5、乗籠用のガイドレール6、釣合いおもり用のガイドレール7、巻上機8、および制御装置9を備える。ガイドレール6,7は、昇降路3に設置され、それぞれ鉛直方向に延びている。
【0011】
巻上機8および制御装置9は、例えば昇降路3の上部に設置されている。巻上機8には、メインロープ10が巻き掛けられている。このメインロープ10の一端には、乗籠4が懸吊されている。またメインロープ10の他端には、釣合いおもり5が懸吊されている。これにより巻上機8を駆動することで、乗籠4および釣合いおもり5が互いに反対方向に昇降動作する。制御装置9は、エレベータ用位置検出装置1の検出結果に基づいて乗籠4を運転制御する。各利用階には、乗場11が設けられている。
【0012】
図1に示すように、昇降路3内には、複数のエレベータ用位置検出装置1が設置されている。複数のエレベータ用位置検出装置1は、複数の高さに分かれて配置されており、それぞれ乗籠4の位置(高さ位置)を検出する。このエレベータ用位置検出装置1としては、例えば、停止する階の床レベルを検出するものや、安全装置として終端階からの位置を検出するものなどがある。また、エレベータ用位置検出装置1としては、他の安全装置として、機器の故障によって乗籠4や乗場11の戸が閉まっていない状態で乗籠4が動き出す異常状態(いわゆる開門発車)を検出するものや、通常の運転制御状態において乗籠4や乗場11の戸が閉まっていない状態で乗籠4が昇降しても良い位置を検出するものなどであってもよい。
【0013】
図2は、本実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1の上面図を示す。図3は、図2で示されたエレベータ用位置検出装置1の正面図であり、乗籠および検出スイッチ(後述)は省略している。
【0014】
図2に示すように、エレベータ用位置検出装置1は、例えば信頼性を高めるために位置検出装置を2重化したものであり、それぞれ独立して乗籠4の位置を検出する2つの位置検出装置16,17(第1および第2の位置検出装置16,17)を有する。つまり、第1および第2の位置検出装置16,17は、互いに乗籠4の同じ位置(同じ高さ位置)を検出する。つまり、第1および第2の位置検出装置16,17は、乗籠4が特定の位置に到達したときに、それぞれ独立して同時に作動する。なお、第1および第2の位置検出装置16,17は、一つの位置検出装置が2重化されたものに限らず、互いに異なる目的(機能)を有するとともに、隣接して設置されたものでもよい。
【0015】
第1の位置検出装置16は、第1の検出部21と、第1の被検出部22とを有する。第1の検出部21は、本発明でいう「第1の検出用部材」の一例である。第1の被検出部22は、本発明でいう「第2の検出用部材」の一例である。
【0016】
第1の検出部21は、例えば乗籠4に固定され、乗籠4と共に昇降路3内を上下に移動する。第1の検出部21は、例えば検出スイッチである。図2には、検出スイッチの一例として、例えば発光部23と受光部24とを備えた光式スイッチを示す。なお第1の検出部21は、磁気式スイッチや誘導式スイッチ等、他の非接触型のスイッチでもよい。
【0017】
第1の被検出部22は、例えば昇降路3内で目的の位置が検出できる高さに設置され、位置が固定されている。第1の被検出部22は、特定位置に乗籠4が到達したときに第1の検出部21に対向するように配置されている。第1の被検出部22は、第1の検出部21をON−OFFさせる検出体により形成されている。第1の被検出部22は、例えば検出板である。例えば光式スイッチに対応した検出板は、第1の検出部21に対向した時に、発光部23と受光部24との間の光を遮断する。第1の位置検出装置16は、第1の検出部21が第1の被検出部22に対向した時(すなわち接近した時)に乗籠4の位置を検出する。
【0018】
図2に示すように、第2の位置検出装置17は、第2の検出部25と、第2の被検出部26とを有する。第2の検出部25は、本発明でいう「第3の検出用部材」の一例である。第2の被検出部26は、本発明でいう「第4の検出用部材」の一例である。
【0019】
第2の検出部25は、例えば乗籠4に固定され、乗籠4と共に昇降路3内を上下に移動する。第2の検出部25は、第1の検出部21と略同様であり、例えば検出スイッチである。第2の被検出部26は、例えば昇降路3内に設置され、位置が固定されている。第2の被検出部26は、特定位置に乗籠4が到達したときに第2の検出部25に対向するように配置されている。第2の被検出部26は、第1の被検出部22と略同様であり、例えば検出板である。第2の位置検出装置17は、第2の検出部25が第2の被検出部26に対向した時(すなわち接近した時)に乗籠4の位置を検出する。
【0020】
図2に示すように、第1の被検出部22は、例えばL字形に折り曲げられた板状部材であり、鉛直方向に延びている。第1の被検出部22は、第1の部分22aと、この第1の部分22aに対して折り曲げられた第2の部分22bとを有する。第1の部分22aは、乗籠4と平行に広がり、乗籠4に向かい合う。第2の部分22bは、第1の部分22aの端部から乗籠4に向いて突出し、第1の検出部21の内側に入り込み、第1の検出部21を作動させる。
【0021】
図2および図3に示すように、ガイドレール6には、ブラケット31(いわゆる取付け腕)が取り付けられている。ブラケット31は、水平方向に延びるとともに、ガイドレール6に例えばレールクリップ32で固定されている。
【0022】
第1の被検出部22は、ブラケット31の先端部に取り付けられている。つまり、第1の被検出部22は、ブラケット31を介してガイドレール6に固定されており、これにより昇降路3内で支持されている。具体的には、第1の被検出部22の第1の部分22aの中央部がブラケット31に固定されている。なお、第1の被検出部22は、例えばブラケットを介して昇降路3の内壁3a(例えば建屋の梁)に固定されてもよい。
【0023】
図2に示すように、第2の被検出部26は、例えばL字形に折り曲げられた板状部材であり、鉛直方向に延びている。第2の被検出部26は、第1の部分26aと、この第1の部分26aに対して折り曲げられた第2の部分26bとを有する。第1の部分26aは、乗籠4と平行に広がり、乗籠4に向かい合う。第2の部分26bは、第1の部分26aの端部から乗籠4に向いて突出し、第2の検出部25の内側に入り込み、第2の検出部25を作動させる。
【0024】
図2および図3に示すように、第2の被検出部26は、第1の被検出部22に例えば直接に固定され、これにより昇降路3内で支持されている。つまり、第2の被検出部26は、ブラケットを用いずに昇降路3内で支持されている。具体的には、第2の被検出部26の第1の部分26aが第1の被検出部22の第1の部分22aに重ねられ、例えばボルトとナットのような締結部品28によって固定されている。本実施形態では、第2の被検出部26は、第1の被検出部22と同じ高さに設置されている。なお、第2の被検出部26は、第1の被検出部22に対して高さ方向にずれた位置に配置されてもよい。
【0025】
このような構成のエレベータ用位置検出装置1によれば、省スペース化、作業負荷の低減、および用品コストの削減を図ることができる。
【0026】
例えば、複数の位置検出装置16,17を取り付けるために、各位置検出装置16,17を支持するブラケット31がそれぞれ必要であれば、エレベータ用位置検出装置1の省スペース化を図ることが困難である。つまり、複数の位置検出装置16,17を互いに近付けて配置しようとすると、各位置検出装置16,17を支持するブラケット31が互いに干渉し、所要の位置に位置検出装置16,17を設置することが困難になる場合がある。そのため、複数の位置検出装置16,17を互いにある程度離して配置する必要がある。このためエレベータ用位置検出装置1の設置スペースが比較的大きくなってしまう。
【0027】
また、各位置検出装置16,17を支持するブラケット31がそれぞれ必要であれば、各ブラケット31を取り付ける作業負荷や、各ブラケット31の用品コストがかかり、生産性が低くなる。
【0028】
また、例えば検出板をコの字形にすることで、第1および第2の位置検出装置16,17の検出板を一体化することも考えられる。しかしながら、コの字曲げの曲げ加工には寸法制約があり、そのため第1および第2の位置検出装置16,17を互いに近付けることが難しく、省スペース化を図ることが困難な場合がある。
【0029】
一方、本実施形態の構造によれば、第1の位置検出装置16の第1の被検出部22を利用して第2の位置検出装置17の第2の被検出部26が設置されている。これにより、第2の被検出部26を支持するため専用のブラケットを省略することが可能になる。そのため、ブラケット同士の干渉が生じる可能性が小さくなる。
【0030】
これにより、検出板などの形状に因らず、第1の位置検出装置16の近傍に第2の位置検出装置17を設置することができる。その結果、エレベータ用位置検出装置1の全体を省スペース化、小型化することができる。エレベータ用位置検出装置1の省スペース化を図ることができると、例えば省スペース化の要求の高い比較的小型のエレベータや、スペース制約が大きな改修工事等において有利である。
【0031】
さらに、エレベータ用位置検出装置1に必要なブラケット31の数を減らすことができると、据付調整の作業負荷を軽減することができるとともに、用品コストも削減できるため、生産性が向上する。
【0032】
なお、第1および第2の位置検出装置16,17の構造は、上記に限定されるものではない。例えば、第1および第2の被検出部22,26を乗籠4に設置するとともに、第1および第2の検出部21,25を昇降路3内に設置してもよい。この場合、第1の被検出部22が本発明でいう「第1の検出用部材」、第1の検出部21が本発明でいう「第2の検出用部材」、第2の被検出部が本発明でいう「第3の検出用部材」、第2の検出部が本発明でいう「第4の検出用部材」のそれぞれ一例になる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1について、図4および図5を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。なお、図5では、乗籠および検出スイッチは省略している。
【0034】
本実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1では、第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の取付け位置が調整可能になっている。図4に示すように、第1の被検出部22は、鉛直方向に延びた長穴41を有する。第2の被検出部26は、第1の被検出部22の長穴41に通された締結部品28により第1の被検出部22に固定されている。これにより、締結部品28を緩めた状態であれば、第2の被検出部26を第1の被検出部22に対して移動させることができる。そして締結部品28を締めることで、第2の被検出部26の取付け位置を固定することができる。
【0035】
図4および図5に示すように、本実施形態では、第2の被検出部26がガイド機構42を有している。ガイド機構42は、例えば第2の被検出部26の第1の部分26aの端部から、乗籠4に向いて突出している。ガイド機構42は、鉛直方向に延びるとともに、第1の被検出部22の側面22sに側方から対向する。
【0036】
ガイド機構42は、第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の移動を案内する。第2の被検出部26は、ガイド機構42を第1の被検出部22の側面22sに沿わせることで、第1の被検出部22に対して上下方向に平行移動が可能になっている。なお、本実施形態の構造に代えて、または本実施形態の構造に加えて、第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の移動を案内するガイド機構42を第1の被検出部22に設けてもよい。
【0037】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、省スペース化、作業負荷の低減、および用品コストの削減を図ることができる。さらに、第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の移動を案内するガイド機構42が設けられていると、第2の被検出部26の取付け位置の調整作業がさらに容易になり、作業性が向上する。特に、本実施形態のようにガイド機構42が第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の平行移動を案内するものであれば、第1および第2の被検出部22,26の平行度が自動的に確保されるため、平行度を容易に調整することが可能になる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1について、図6および図7を参照して説明する。なお上記第1および第2の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。なお図7では、乗籠および検出スイッチは省略している。
【0039】
図6および図7に示すように、本実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1は、第2の被検出部26を第1の被検出部22に固定する取付部材51を備える。取付部材51の一例は、取付け金具である。第1の被検出部22は、鉛直方向に延びた長穴41を有する。
【0040】
取付部材51は、第1の被検出部22の長穴41に通された締結部品28により第1の被検出部22に固定されている。これにより、締結部品28を緩めた状態であれば、取付部材51を第1の被検出部22に対して移動させることができる。そして締結部品28を締めることで、取付部材51の取付け位置を固定することができる。第2の被検出部26は、取付部材51に固定されている。つまり、第2の被検出部26は、取付部材51を介して第1の被検出部22に固定されている。
【0041】
図6および図7に示すように、取付部材51は、第1および第2のガイド機構52,53を有する。第1および第2のガイド機構52,53は、取付部材51の両端部に分かれて設けられ、それぞれ乗籠4に向いて突出している。
【0042】
第1のガイド機構52は、鉛直方向に延びるとともに、第1の被検出部22の側面22sに側方から対向する。第1のガイド機構52は、第1の被検出部22に対する取付部材51の移動を案内する。取付部材51は、第1のガイド機構52を第1の被検出部22の側面22sに沿わせることで、第1の被検出部22に対して上下方向に平行移動が可能になっている。
【0043】
第2のガイド機構53は、鉛直方向に延びるとともに、第2の被検出部26の側面26sに側方から対向する。取付部材51は、第2のガイド機構53を第2の被検出部26の側面26sに沿わせることで、第2の被検出部26に対する平行な位置出しが可能になっている。
【0044】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、省スペース化、作業負荷の低減、および用品コストの削減を図ることができる。さらに、第1の被検出部22に対する取付部材51の移動を案内するガイド機構52が設けられていると、第2の被検出部26の取付け位置の調整作業がさらに容易になり、作業性が向上する。特に、本実施形態のようにガイド機構52が第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の平行移動を案内するものであれば、第1および第2の被検出部22,26の平行度が自動的に確保されるため、平行度を容易に調整することが可能になる。
【0045】
さらに、取付部材51を介して第2の被検出部26を第1の被検出部22に取り付けることで、第2の被検出部26の取付け位置が第1および第2の被検出部22,26の形状などに影響されにくくなるため、第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の取付け位置の自由度を大きくすることができる。第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の取付け位置の自由度を大きくすることができると、より多くのレイアウトに対応可能になる。例えば改修のために既設品を取り付ける場合など、現地での位置調整が必要になる場合に、第2の被検出部26の取付け位置の調整の自由度が大きいと有利である。
【0046】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1について、図8を参照して説明する。なお上記第1乃至第3の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。なお図8では、乗籠および検出スイッチは省略している。
【0047】
図8に示すように、本実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1は、第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の位置を、目視可能に示す表示61を備えている。表示61は、例えば第1の被検出部22に設けられている。表示61の一例は、目盛りである。なお、表示61は、第2の被検出部26に設けられてもよい。また表示61は、第1および第2の被検出部26の両方に設けてもよい。この表示61は、上記第1乃至第3の実施形態のいずれのエレベータ用位置検出装置1にも適用可能である。
【0048】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、省スペース化、作業負荷の低減、および用品コストの削減を図ることができる。さらに上記のような表示61が設けられていると、第1の被検出部22に対する第2の被検出部26の位置を容易に確認、調整することができるため、取付け位置の調整作業および確認作業が容易になり、作業性がより向上する。
【0049】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1について、図9を参照して説明する。なお上記第1乃至第4の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。なお図9では、乗籠は省略している。
【0050】
本実施形態に係る第1および第2の位置検出装置16,17は、互いに乗籠4の同一の位置を検出するものである。つまり第1および第2の位置検出装置16,17は、乗籠4が特定の位置に到達したことを検出するための位置検出装置を、信頼性向上のために2重化したものである。
【0051】
図9に示すように、本実施形態では、第2の位置検出装置17の取付け位置が、第1の位置検出装置16の取付け位置に対して高さ方向にずらされている。つまり、第2の検出部25および第2の被検出部26の取付け位置が、第1の検出部21および第1の被検出部22の取付け位置に対して高さ方向にずられている。第2の位置検出装置17は、例えば第1の位置検出装置16に対して下方にずらされているが、これに代えて上方にずらされてもよい。なお本実施形態に係る構造は、上記第1乃至第4の実施形態のいずれのエレベータ用位置検出装置1にも適用可能である。
【0052】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、省スペース化、作業負荷の低減、および用品コストの削減を図ることができる。第1および第2の位置検出装置16,17により、乗籠4の同一の位置を検出する検出手段が2重化されているので、故障などに対する信頼性が向上する。特に、第1および第2の位置検出装置16,17を高さ方向に互いにずらして設置することで、異物などによる誤動作が生じたときでも、少なくとも一方の位置検出装置の正常な動作が期待でき、エレベータ用位置検出装置1の信頼性をより向上させることができる。
【0053】
以上、本発明の第1乃至第5の実施形態に係るエレベータ用位置検出装置1について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。第1乃至第5の実施形態に係る各構成要素は、適宜組み合わせて用いることができる。また、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【符号の説明】
【0054】
1…エレベータ用位置検出装置、3…昇降路、3a…昇降路の内壁、4…乗籠、6…ガイドレール、16…第1の位置検出装置、17…第2の位置検出装置、21…第1の検出部、22…第1の被検出部、25…第2の検出部、26…第2の被検出部、42,52,53…ガイド機構、51…取付部材、61…表示。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗籠に固定された第1の検出用部材と、昇降路内に設置され、前記第1の検出用部材に対向する第2の検出用部材とを有し、乗籠の位置を検出する第1の位置検出装置と、
乗籠に固定された第3の検出用部材と、昇降路内に設置され、前記第3の検出用部材に対向する第4の検出用部材とを有し、前記第1の位置検出装置とは独立して乗籠の位置を検出する第2の位置検出装置と、を具備し、
前記第2の検出用部材は、ガイドレールまたは昇降路の内壁に固定され、前記第4の検出用部材は、前記第2の検出用部材に固定されて昇降路内で支持されたことを特徴とするエレベータ用位置検出装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記第4の検出用部材は、前記第2の検出用部材に対する取付け位置が調整可能であり、前記第2の検出用部材および前記第4の検出用部材の少なくとも一方は、前記第2の検出用部材に対する前記第4の検出用部材の移動を案内するガイド機構を備えたことを特徴とするエレベータ用位置検出装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、
前記第4の検出用部材を前記第2の検出用部材に固定する取付部材を備え、この取付部材は、前記第2の検出用部材に対する前記第4の検出用部材の移動を案内するガイド機構を備えたことを特徴とするエレベータ用位置検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの記載において、
前記第2の検出用部材および前記第4の検出用部材の少なくとも一方は、前記第2の検出用部材に対する前記第4の検出用部材の位置を示す表示を備えたことを特徴とするエレベータ用位置検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの記載において、
前記第1の位置検出装置および前記第2の位置検出装置は、互いに乗籠の同一の位置を検出するものであるとともに、前記第2の位置検出装置の取付け位置が前記第1の位置検出装置の取付け位置に対して高さ方向にずらされていることを特徴とするエレベータ用位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−63435(P2011−63435A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218076(P2009−218076)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】