説明

エレベータ用照明装置およびエレベータの制御方法

【課題】発光素子が実装された光源ユニットが不用意に取り外されたことを検知できるエレベータ用照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置4は、乗籠2に設けられ、乗籠2の天板13に吊り下げられた照明ボックス15と、照明ボックス15の内部に設けられた取付部151に着脱可能に取り付けられ、発光素子212が実装された光源ユニット21と、取付部151に光源ユニット21が取り付けられた場合に導通される配線と、配線の導通状態を監視し、配線の導通が切れた場合に光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知する検知回路24とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子が実装された光源ユニットが不用意に取り外されたことを検知するエレベータ用照明装置およびエレベータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗籠は昇降中に密室状態となるため、内装部品が取り外されるようないたずらも報告されている。メンテナンスのために乗籠の内部から取り外せるように設置されている部品は、いたずらの対象になりやすい。例えば、いたずらによる取り外しを検知するエレベータの表示装置として、特許文献1に開示されているものがある。
【0003】
特許文献1に記載された表示装置は、フェースプレートの裏面によって押された状態に配置された検出スイッチを備えている。この表示装置は、フェースプレートが配置された位置から外されると、検出スイッチがオフとなってフェースプレートが取り外されたことを検知する。フェースプレートが取り外された場合、検出スイッチに接続された制御盤が、乗場のブザーを鳴らしたり、監視室の監視員に通報したりする。
【0004】
一方、近年ではエレベータの乗籠の照明装置として、白熱電球や蛍光灯に代わってLEDが採用される。例えば、光源にLEDを採用したエレベータの天井照明装置として、特許文献2に開示されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−1267号公報
【特許文献2】特開2009−113981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LEDが実装された光源ユニットは、白熱電球や蛍光灯に比べて小さいため、いたずらによって取り外されることが懸念される。しかし、特許文献1に開示された構造の検出スイッチを光源ユニットの一つ一つに取り付けると、照明装置の配線が煩雑になりメンテナンス上好ましくない。
【0007】
本発明は、発光素子が実装された光源ユニットが不用意に取り外されたことを検知できるエレベータ用照明装置およびエレベータの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータ用照明装置は、乗籠に設けられ、乗籠の天板に吊り下げられた照明ボックスと、照明ボックスの内部に設けられた取付部に着脱可能に取り付けられ、発光素子が実装された光源ユニットと、取付部に光源ユニットが取り付けられた場合に導通される配線と、配線の導通状態を監視し、配線の導通が切れた場合に光源ユニットが取付部から外れたことを検知する検知回路とを具備している。
このエレベータ用照明装置は、電源回路に接続され、取付部に設けられたソケットと、発光素子に接続され、光源ユニットに実装されたプラグと、電源回路とソケットとを接続して光源ユニットに電力を供給する第1の配線とをさらに具備する。配線は、第1の配線とは別に設けられ、検知回路とソケットとに接続された第2の配線である。エレベータ用照明装置は、検知回路に接続された制御部をさらに具備する。制御部は、検知回路によって光源ユニットが取付部から外れたことが検知された場合、乗籠の内部に設けられたブザーを鳴らす。または、乗籠の内部を撮影するカメラの映像を記録する。または、管理センターに通報する。あるいは、これらを同時に行なう
またこの場合、制御部は、乗籠が走行中であるかを判定する。乗籠が走行中である場合、制御部は、乗籠が着床した後も籠ドアを閉じたまま保持させる信号を乗籠の制御を行なう制御装置に出力する。一方、制御部は、乗籠が着床中である場合、籠ドアを閉じさせる信号を制御装置に出力する。
エレベータ用照明装置は、検知回路に接続されたスイッチをさらに備えてもよい。この場合、スイッチによって、前記検知回路が機能する通常運転モードと、前記検知回路が機能しない保守運転モードとに切り替えられる。
本発明に係るエレベータの制御方法は、前記乗籠の天板に吊り下げられた照明ボックスと、前記照明ボックスの内部に設けられた前記取付部に着脱可能に取り付けられ、発光素子が実装された光源ユニットと、前記取付部に前記光源ユニットが取り付けられた場合に導通する配線と、前記配線の導通状態を監視する検知回路とを備えるエレベータ用照明装置を具備していることを前提とする。この制御方法は、前記検知回路が前記配線の導通状態を監視し、前記配線の導通が切れた場合に前記検知回路によって前記光源ユニットが前記取付部から外れたことを検知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエレベータ用照明装置およびエレベータの制御方法によれば、検知回路が、電源供給用とは別個に光源ユニットに接続される配線を監視する。検知回路は、この配線の導通が切れると、光源ユニットが取付部から外れたことを検知する。これにより、光源ユニットが不用意に取り外されたことを検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータシステムを示す概略図。
【図2】第1の実施形態のエレベータ用照明装置のブロック図。
【図3】第1の実施形態のエレベータ用照明装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るエレベータ用照明装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。
図1に示すように、エレベータシステム1は、乗籠2と、制御装置3と、照明装置4とを備えている。制御装置3は、乗籠2の運行や乗り場のドア開閉を制御している。
【0012】
乗籠2は、籠ドア10と、籠ドア10に隣接するリターンパネル11と、床板12と、天板13とを有している。リターンパネル11には、籠ドア10の開閉や行き先登録を行なう操作盤14が設けられている。
【0013】
操作盤14には、複数のボタンと、スイッチ141と、スピーカ142が設けられている。スイッチ141はいわゆるキースイッチであって、作業員が鍵を差し込んで回すことによってオンまたはオフに切り替えられる。スピーカ142はブザーの一例であり、音声アナウンスやブザー音を鳴らす。
【0014】
照明装置4は、乗籠2の天井に設けられている。図1に示すように、照明装置4は、照明ボックス15と、複数の光源ユニット21と、電源回路22と、制御部23と、検知回路24と、図2に示すグランド25とを有している。
【0015】
照明ボックス15は、天板13から吊り下げられている。照明ボックス15は、照明ボックス15の内部に設けられた複数の取付部151と、取付部151をそれぞれ塞ぐ複数の透光板152とを有している。複数の取付部151には、それぞれソケット154が設けられている。
【0016】
照明ボックス15の外面に、カメラ153が取り付けられている。カメラ153は、制御部23に接続されている。カメラ153は、乗籠2の内部を撮影しており、常に数分間前の映像を記憶装置のバッファに保存している。さらにカメラ153は、人間の顔を自動認識するとともに、顔を認識した人物を追尾することができると良い。
【0017】
複数の光源ユニット21は、複数の取付部151にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。光源ユニット21は、基板211と、LED212と、プラグ213と、図2に示すグランド214とを有している。LED212は、発光素子の一例である。なお、発光素子はLED212に限らず、例えばエレクトロルミネセンスのような他の発光素子でも良い。
【0018】
LED212およびプラグ213は、基板211に実装されている。LED212は、乗籠2の内部に向いている。プラグ213は、取付部151に設けられたソケット154に接続されている。
【0019】
図2に示すように、電源回路22は、第1の配線221によってソケット154に接続されている。電源回路22は、ソケット154およびプラグ213を介して、光源ユニット21のLED212に導通して電力を供給する。
【0020】
図1に示すように、制御部23は、検知回路24と、スピーカ142と、カメラ153と、制御装置3とに接続されている。さらに、制御部23は、一般の通信回線30を介して監視員が常駐する遠隔地の管理センター31との間で通信が可能である。管理センター31は、通信回線30を介して複数の建物のエレベータを監視している。
【0021】
図2に示すように、検知回路24は、第1の配線221とは別に設けられた第2の配線241を介してソケット154に接続されている。検知回路24は、ソケット154およびプラグ213を介して光源ユニット21のグランド214に接続され、LED212とは絶縁している。
【0022】
さらに、検知回路24は、第1及び第2の配線221,241とは別に設けられた第3の配線242を介してグランド25に接続されている。第3の配線242とグランド25との間には、スイッチ141が介在している。検知回路24は、スイッチ141によって、第3の配線242を介してグランド25に導通された状態と、グランド25との間の導通が切れた状態とに切り替えられる。
【0023】
以下、検知回路24が第3の配線242を介してグランド25に導通された状態を保守運転モード、検知回路24とグランド25との導通が切れた状態を通常運転モードと定義する。スイッチ141がオンになると保守運転モードとなり、スイッチ141がオフになると通常運転モードとなる。
【0024】
通常運転モードは、乗客の操作により乗籠2が運転し、光源ユニット21の取り外しが想定されていない状態である。保守運転モードは、作業員が光源ユニット21を取り外して交換等の作業を行うための状態である。
【0025】
検知回路24は、検知回路24にかかる電圧を検知することにより、第2の配線241の導通状態を監視している。検知回路24には、常に5Vの電圧がかかっている。検知回路24に接続されている第2の配線241および第3の配線242にも、5Vの電圧がかかる。
【0026】
プラグ213がソケット154に接続されている場合、検知回路24とグランド214との間は導通している。このため、検知回路24にかかる電圧は、第2の配線241を介してグランド214によってアースされる。
【0027】
また、保守運転モードである場合、検知回路24とグランド25との間は導通している。このため、検知回路24にかかる電圧は、第3の配線242を介してグランド25によってアースされる。
【0028】
次に、光源ユニット21が不用意に外れたことを検知するエレベータシステム1の処理の流れを、図3に示すフローチャートに従って説明する。
まず、制御部23は、検知回路24が、プラグ213がソケット154から外れたことを検知したか否かの判定を行う(S11)。
【0029】
光源ユニット21が取付部151から外されると、光源ユニット21のプラグ213がソケット154から外れる。これにより、第2の配線241とグランド214との間の導通が切れる。第2の配線241にかかる電圧は、グランド214によってアースされずに5Vのまま保たれる。
【0030】
さらに、スイッチ141がオフである通常運転モードである場合、第3の配線242とグランド25との間の導通が切れている。第3の配線242にかかる電圧は、グランド25によってアースされずに5Vのまま保たれる。
【0031】
第2の配線241および第3の配線242にかかる電圧がアースされずに5Vのまま保たれるため、検知回路24にかかる電圧もアースされずに5Vのまま保たれる。検知回路24は、検知回路24にかかる電圧が5Vである場合、光源ユニット21が取り付け部131から外れたことを検知する。
【0032】
このように検知回路24は、通常運転モードであって、プラグ213がソケット154から外れて第2の配線241とグランド214との間の導通が切れた場合に、光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知する。検知回路24は、光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知すると、制御部23に信号を送る。
【0033】
なお、光源ユニット21が取付部151に取り付けられている場合、第2の配線241がグランド214に導通されている。第2の配線241にかかる電圧は、グランド214からアースされる。このため、検知回路24にかかる電圧はグランド214からアースされて0Vになる。
【0034】
さらに、スイッチ141がオンである保守運転モードである場合、第3の配線242はグランド25に導通されている。第3の配線242にかかる電圧は、グランド25からアースされる。このため、第2の配線241とグランド214との間の導通が切れたとしても、検知回路24にかかる電圧はグランド25からアースされて0Vになる。一方、第2の配線241がグランド214に導通されている場合も、検知回路24にかかる電圧はグランド214およびグランド25からアースされて0Vになる。このように、保守運転モードである場合、検知回路24は第2の配線241の導通状態を監視する機能を果たさなくなる。
【0035】
このように、通常運転モードにおいて光源ユニット21が取付部151に取り付けられている場合と、保守運転モードである場合とでは、検知回路24にかかる電圧は0Vになる。従って、検知回路24が、光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知するのは、通常運転モードであって第2の配線241とグランド214との間の導通が切れた場合のみである。すなわち、検知回路24は、通常運転モードにおいて機能し、保守運転モードにおいては機能しない。
【0036】
制御部23は、検知回路24から信号を受け取ると、スピーカ142からブザー音を鳴らし(S12)、カメラ153が撮影した映像の記録を開始する(S13)。カメラ153は、制御部23が信号を受け取った時点で、バッファに保存してある過去の映像をメモリに記録する。カメラ153は、記録開始時に取付部151に最も近い位置に居た乗客の顔を自動認識して追尾すると良い。
【0037】
制御部23は、ブザー音を鳴らしてカメラ153の映像の記録を開始すると同時に、管理センター31に対して、光源ユニット21が取付部151から外れた旨の通報(S14)を行なう。さらに、制御部23は、カメラ153で撮影した映像を管理センター31に送信する。これにより、管理センター31に常駐する監視員は、光源ユニット21が取付部151から外れたことを知る。
【0038】
管理センター31に常駐する監視員は、制御部23から受信したカメラ153の映像を見て、光源ユニット21が取付部151から外れた際に不審な行動を取った乗客が居なかったかを確認(S15)する。
【0039】
監視員は、不審な乗客を発見しなかった場合、遠隔操作によりスピーカ142のブザー音およびカメラ153の映像の記録を解除(S16)する。一方、監視員は、不審な乗客を発見した場合、スピーカ142によって不審な乗客に対し呼びかけや警告を行う。監視員は、呼びかけや警告により状況を確認し、もしいたずらや窃盗であった場合は、警察等へ通報を行う。
【0040】
監視員が不審な乗客を発見してブザー音およびカメラ153の撮影を解除しなかった場合、制御部23は、乗籠2が走行中であるか否かの判定(S17)を行なう。乗籠2が走行中である場合、制御部23は、制御装置3に信号を出力し、行き先登録された階床で停止(S18)しても籠ドア10を閉じたまま保持させる(S19)。なお、制御部23は、制御装置3に信号を出力し、乗籠2を最寄階や玄関階に移動させても良い。
【0041】
籠ドア10の戸閉保持(S19)の後であっても、監視員は遠隔操作により、スピーカ142のブザー音、カメラ153の映像の記録、および籠ドア10の戸閉保持を解除できる。監視員は、不審な乗客が居ないことを確認した時点で、スピーカ142のブザー音、カメラ153の撮影、および籠ドア10の戸閉保持を解除する。
【0042】
なお、スピーカ142のブザー音、カメラ153の映像の記録、および籠ドア10の戸閉保持は、管理センター31に限らず、乗籠2の内部や着床階の乗場から解除できるようにしても良い。この場合、監視員や作業員が持つ鍵によってのみ解除可能である。
【0043】
乗籠2が走行中であるか否かの判定(S17)において、乗籠2が着床中である場合、制御部23は籠ドア10が閉じているか否かの判定(S20)を行なう。籠ドア10が閉じている場合、制御部23は制御装置3に信号を出力し、籠ドア10を閉じたまま保持させる(S19)。
【0044】
籠ドア10が開いている場合、制御部23は制御装置3に信号を出力し、籠ドア10を閉じて(S21)そのまま保持させる(S19)。籠ドア10を閉じる(S21)際に、操作盤14に設けられた籠ドア10を開かせるボタンは無効化される。なお、強制戸閉(S21)に限らず、着床階に設けたランプを点灯させるなど、種々の対応を行なってもよい。
【0045】
籠ドア10が閉じたまま保持(S19)されると、光源ユニット21が取付部151から外れたときに乗っていた乗客は、乗籠2の内部に閉じ込められる。光源ユニット21が外れた旨の通報(S14)を受けた管理センター31の監視員は、乗籠2が着床した階床に急行し、不審な乗客を確保する。
【0046】
前記構成のエレベータシステム1によれば、光源ユニット21が取付部151から外れると、検知回路24は、第2の配線241とグランド214との間の導通が切れたことにより、光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知する。これにより、光源ユニット21が取付部151から不用意に取り外されたことを検知できる。
【0047】
光源ユニット21が取付部151から外れると、制御部23が管理センター31へ通報するので、管理センター31に常駐する監視員は光源ユニット21が外れたことを直ちに知ることができる。このため、いたずらや窃盗で光源ユニット21が取付部151から外されても、監視員はすぐに状況を確認して対応を開始できる。
【0048】
光源ユニット21に電力を供給するためのプラグ213とソケット154との接続が切れた場合、光源ユニット21が取付部151から取り外されたことが検知される。このように、検出スイッチのような検出器を必要とせずに光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知できる。
【0049】
検知回路24は、電源回路22に接続された第1の配線221とは別に設けられた第2の配線241によって光源ユニット21に導通されている。つまり、電力供給の有無によらず、光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知できる。
【0050】
このため、LED212が故障しても、検知回路24は光源ユニット21が取付部151から外れたと検知しない。したがって、光源ユニット21が取付部151に取り付けられているにもかかわらず、LED212の故障のために管理センター31に通報が行なわれるような誤作動を防ぐことができる。さらに、光源ユニット21が外れると、制御部23は制御装置3に信号を出力して籠ドア10を閉じたまま保持させる。これにより、不審な乗客を乗籠2の内部に閉じ込めて確保できる。
【0051】
スイッチ141をオンにして保守運転モードにしてあれば、光源ユニット21が取付部151から取り外されても、検知回路24が機能せず、制御部23は管理センター31への通報などの対応を行なわない。保守員は、スイッチ141をオンにして保守運転モードにすることにより、安心して光源ユニット21の修理や交換を行なうことができる。
【0052】
次に、図4を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記実施形態のエレベータシステム1と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図4に示すように、第4の配線243は、プラグ213とグランド25との間を接続している。第4の配線243は、プラグ213がソケット154に接続されていると、光源ユニット21に設けられた第5の配線215を介して第2の配線241に導通される。
【0054】
検知回路24は、プラグ213がソケット154に接続されていると、第5の配線215を経由してグランド25に導通される。
【0055】
スイッチ141は、第5の配線215とは異なる経路で第2の配線241と第4の配線243との間を導通する。スイッチ141をオンにして保守運転モードにしてあれば、検知回路24は、スイッチ141を経由してグランド25に導通される。スイッチ141をオフにして通常運転モードにしてあれば、スイッチ141を経由する検知回路24とグランド25との間の導通は切れる。
【0056】
検知回路24は、次のように光源ユニット21が取付部151から外されたことを検知する。
光源ユニット21が取付部151から外されると、光源ユニット21のプラグ213がソケット154から外れる。これにより、第5の配線215を経由する第2の配線241とグランド25との間の導通が切れる。さらに、スイッチ141がオフである通常運転モードである場合、スイッチ141を経由する第2の配線241とグランド25との間の導通は切れている。
【0057】
上記のように、第2の配線241とグランド25との間の導通が切れるため、第2の配線241にかかる電圧はアースされずに5Vのまま保たれる。このため、検知回路24にかかる電圧も5Vのまま保たれる。検知回路24は、検知回路24にかかる電圧が5Vである場合、光源ユニット21が取り付け部131から外れたことを検知する。
【0058】
このように、検知回路24は、通常運転モードであって、第2の配線241とグランド25との間の導通が切れた場合に、光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知する。
【0059】
なお、光源ユニット21が取付部151に取り付けられている場合、第5の配線215を経由して第2の配線241がグランド25に導通されている。このため、検知回路24にかかる電圧はグランド25からアースされて0Vになる。
【0060】
さらに、スイッチ141がオンである保守運転モードである場合、第2の配線241はスイッチ141を経由してグランド25に導通されている。このため、第5の配線215を経由する第2の配線241とグランド25との間の導通が切れたとしても、検知回路24にかかる電圧はグランド25からアースされて0Vになる。一方、第5の配線215を経由して第2の配線241がグランド25に導通されている場合も、検知回路24にかかる電圧はグランド25からアースされて0Vになる。
【0061】
このように、通常運転モードにおいて光源ユニット21が取付部151に取り付けられている場合と、保守運転モードである場合とでは、検知回路24にかかる電圧は0Vである。従って、検知回路24が、光源ユニット21が取付部151から外れたことを検知するのは、通常運転モードであって第2の配線241とグランド25との間の導通が切れた場合のみである。このように、前記構成のエレベータシステム1は、第1の実施形態と同一の機能を有する。
【0062】
なお、上記実施形態において、検知回路24は、検知回路24にかかる電圧を検知することにより第2の配線241の導通状態を監視していたが、本発明はこれに限らない。例えば検知回路24は、第2の配線241の電流を検知するなど、他の方法で第2の配線241の導通状態を監視しても良い。さらに、検知回路24は、第2の配線241の代わりに、第1の配線221の導通状態を監視していても良い。
【0063】
さらに、上記実施形態では、スイッチ141をオフにすることで通常運転モードになり、スイッチ141をオンにすることで保守運転モードになるが、本発明はこれに限らない。例えば、スイッチ141をオンにすることで通常運転モードになり、スイッチ141をオフにすることで保守運転モードになるような構成としても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…エレベータシステム,2…乗籠,3…制御装置,4…照明装置,10…籠ドア,13…天板,141…スイッチ,142…スピーカ,15…照明ボックス,151…取付部,153…カメラ,154…ソケット,21…光源ユニット,212…LED,213…プラグ,22…電源回路,221…第1の配線,23…制御部,24…検知回路,241…第2の配線,31…管理センター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗籠に設けられるエレベータ用照明装置であって、
前記乗籠の天板に吊り下げられた照明ボックスと、
前記照明ボックスの内部に設けられる取付部に着脱可能に取り付けられ、発光素子が実装された光源ユニットと、
前記取付部に前記光源ユニットが取り付けられた場合に導通される配線と、
前記配線の導通状態を監視し、前記配線の導通が切れた場合に前記光源ユニットが前記取付部から外れたことを検知する検知回路と、
を具備するエレベータ用照明装置。
【請求項2】
前記電源回路に接続され、前記取付部に設けられたソケットと、前記発光素子に接続され、前記光源ユニットに実装されたプラグと、前記電源回路と前記ソケットとを接続して前記光源ユニットに電力を供給する第1の配線と、をさらに具備し、
前記配線は、前記第1の配線とは別に設けられ、前記検知回路と前記ソケットとに接続された第2の配線であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項3】
前記検知回路に接続された制御部をさらに具備し、
前記制御部は、前記検知回路によって前記光源ユニットが前記取付部から外れたことが検知された場合、前記乗籠の内部に設けられたブザーを鳴らすことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項4】
前記検知回路に接続された制御部と、
前記乗籠の内部に設けられ、前記乗籠の内部を撮影するカメラとをさらに具備し、
前記制御部は、前記検知回路によって前記光源ユニットが前記取付部から外れたことが検知された場合、前記カメラが撮影した映像を記録することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項5】
前記検知回路に接続された制御部をさらに具備し、
前記制御部は、前記検知回路によって前記光源ユニットが前記取付部から外れたことが検知された場合、管理センターに通報することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項6】
前記検知回路に接続された制御部をさらに具備し、
前記制御部は、前記検知回路によって前記光源ユニットが前記取付部から外れたことが検知された場合、前記乗籠が走行中であるかを判定し、
前記制御部は、前記乗籠が走行中である場合、前記乗籠が着床した後も籠ドアを閉じたまま保持させる信号を前記乗籠の制御を行なう制御装置に出力し、
前記制御部は、前記乗籠が着床中である場合、前記籠ドアを閉じさせる信号を前記制御装置に出力することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項7】
前記検知回路に接続されたスイッチをさらに備え、前記スイッチによって、前記検知回路が機能する通常運転モードと、前記検知回路が機能しない保守運転モードとに切り替えられることを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項8】
前記乗籠の天板に吊り下げられた照明ボックスと、前記照明ボックスの内部に設けられた前記取付部に着脱可能に取り付けられ、発光素子が実装された光源ユニットと、前記取付部に前記光源ユニットが取り付けられた場合に導通する配線と、前記配線の導通状態を監視する検知回路とを備えるエレベータ用照明装置を具備するエレベータの制御方法であって、
前記検知回路が前記配線の導通状態を監視し、
前記配線の導通が切れた場合に前記検知回路によって前記光源ユニットが前記取付部から外れたことを検知する
ことを特徴とするエレベータの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate