説明

エレベータ装置の乗場操作装置

【課題】カバープレートの裏面に配設したコネクタと携帯端末装置等との接続に用いられる接続用ケーブルに負荷をかけることなく、コネクタと携帯端末等との間の接続作業の作業効率を向上させることができるエレベータ装置の乗場操作装置を得る。
【解決手段】乗場1の壁5に設けられた配設穴5aの開口を覆って配設されたカバープレート12と、カバープレート12の裏面から配設穴5a内に水平にそれぞれが延設され、カバープレート12の動きに連動し、所定の間隔をあけて設けられた少なくとも一対のスライド棒17と、配設穴5aの内壁に配設されて挿通穴を有し、挿通穴に挿通されたスライド棒17をスライド自在に支持するスライド棒挿通部材21と、カバープレート12の裏面に配設され、エレベータ制御装置及びかごに配設された機器の少なくとも一方に接続された第1及び第2のコネクタ31A,31Bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータ装置の乗場操作装置に係り、特に、カバープレートの裏面に配設したコネクタに携帯端末等を接続させてエレベータ装置のメンテナンスを行うのに適したエレベータ装置の乗場操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ装置は、呼び釦が取付けられたカバープレート、このカバープレートが取付けられるボックスを有する乗場操作装置を備え、ボックス内にはエレベータ制御装置に接続されたコネクタが収納され、必要時、カバープレートはボックスから外されてコネクタは乗場に用意された携帯端末装置に接続可能な状態とされ、ボックスとカバープレートとは所定の長さの紐体で連結されていた(例えば、特許文献1参照)。
これにより、外されたカバープレートが紐体を介してボックスに保持されるので、カバープレートが、呼び釦などに接続される配線用ケーブルに宙吊り状態となることが回避されていた。従って、配線用ケーブルに負荷を掛けずに携帯端末装置とコネクタとを接続し、エレベータ制御装置のデータ書き換えなどのメンテナンス作業を実施することが可能になっていた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−308540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータ装置において、コネクタはボックス内の底部(反乗場側)に取付けられている。そして、ボックス内のコネクタと携帯端末装置との接続は、一端が携帯端末装置に接続され、他端にボックス内のコネクタと嵌合可能なコネクタを有するケーブルを介して行われている。
【0005】
しかしながら、携帯端末装置をエレベータ制御装置と接続するために、ボックス内のコネクタとケーブルのコネクタを嵌合させる作業においては、ボックス内のコネクタが乗場側に露出していないので、上述の配線用ケーブル等が邪魔になったりして作業効率が悪くなるという問題があった。
また、カバープレートは、紐体によってボックスに吊り下げられただけの不安定な状態にあり、乗場側からボックス内に引き回されたケーブルがカバープレートとボックスとの間に挟まれ、ケーブルに負荷がかかる場合もあった。
【0006】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、カバープレートの裏面に配設したコネクタと携帯端末装置等との接続に用いられる接続用ケーブルに負荷をかけることなく、コネクタと携帯端末等との間の接続作業の作業効率を向上させることができるエレベータ装置の乗場操作装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるエレベータ装置の乗場操作装置は、三方枠が配設された乗場の壁に設けられた配設穴の開口を覆うように配設され、乗場呼び釦及び表示部の少なくとも一方が配設されたカバープレートと、カバープレートの裏面から配設穴内に水平にそれぞれが延設され、カバープレートの動きに連動し、所定の間隔をあけて設けられた少なくとも一対のスライド棒と、配設穴の内壁に配設されて挿通穴を有し、挿通穴に挿通されたスライド棒をスライド自在に支持するスライド棒挿通部材と、配設穴内でカバープレートの裏面に配設され、エレベータ制御装置及びかごに配設された機器の少なくとも一方に電気的に接続されたコネクタと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、コネクタをカバープレートの裏面に配設したので、カバープレートを乗場側にスライドさせたときには、コネクタが乗場側に露出され、コネクタと乗場に用意した携帯端末等とを接続する際の作業効率を向上させることができる。
また、カバープレートは、安定した状態に保持されているので、乗場から配設穴内に引き回された接続用ケーブルがカバープレートと配設穴との間に挟まれるようなことが未然に防止され、接続用ケーブルに負荷をかけたり傷を負わせたりすることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1はこの発明に係る乗場操作装置がエレベータの最下階の乗場の壁に設けられた状態を示す正面図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4はこの発明に係る乗場操作装置のスライド棒支持部の構成を示す斜視図、図5はこの発明に係る乗場操作装置のカバープレートが乗場の壁から乗場側に引き出された状態を示す正面図、図6は図5のVI−VI矢視断面図、図7は図6のVII−VII矢視断面図である。
【0010】
図1において、エレベータ装置が設置される建物の各階床の乗場1の壁5には、昇降路(図示せず)に開口する出入り口2を備える三方枠3が間口方向に離間して備えられ、さらに、それぞれの出入り口2を開閉する乗場ドア4が配設されている。そして、図示しないが、2台のかごが、各階床に配設された両三方枠3の出入り口2に対応する昇降路内を昇降運転している。
【0011】
そして、矩形形状の開口を有する配設穴5aが、離間して配置された両三方枠3の間の壁5の部位に形成されている。さらに、矩形形状のカバープレート12が、長辺の長さ方向を鉛直方向に合わせ、配設穴5aの開口を覆うように配設されている。カバープレート12には、乗場呼び釦12a、及び昇降路内を昇降するかごが上昇または下降のどちらの方向に走行しているかを表示したり、かごが建物の階床のどの位置にいるのかなどを表示したりするための表示部12bが取り付けられている。
そして、ノートパソコンなどの携帯端末装置26が、エレベータ制御装置のデータ書き換えなどのメンテナンス作業を行うために乗場1に持ち込まれている。また、接続用ケーブル9の一端が携帯端末装置26に接続され、接続用ケーブル9の他端には接続用コネクタ33が設けられている。
【0012】
なお、2台のかごを有するエレベータ装置のうち、一側の三方枠3(図1における左側の三方枠)の出入り口2を介して乗客が乗降するかごに関わる部分をエレベータ装置のA号機、他側の三方枠3(図1における右側の三方枠)の出入り口2を介して乗客が乗降するかごに関わる部分をエレベータ装置のB号機と記載する。
【0013】
図2及び図3において、配設穴5aの底部5b(反乗場側の壁)には通線穴5cが形成されている。
また、一端がかごの昇降を制御するエレベータ制御装置(図示せず)に接続された配線用ケーブル10aの他端が通線穴5cを介して配設穴5a内に引き込まれ、さらにカバープレート12の裏面側から乗場呼び釦12a及び表示部12bに接続されている。
そして、乗場操作装置11が、最下階の配設穴5aに固定されている。乗場操作装置11は、上述のカバープレート12、カバープレート可動部13、コネクタセット30a,30b、及び4つのスライド棒支持部20を有している。
【0014】
カバープレート可動部13は、軸回動部14及びスライド棒17を有している。
そして、軸回動部14は、円筒部15および鉛直回動軸16で構成されている。そして、棒状の鉛直回動軸16が円筒部15の穴(図示せず)に遊嵌状態に挿通されている。さらに、鉛直回動軸16は、円筒部15の両端面から突出された両端が垂直に同方向に折り曲げられている。即ち、鉛直回動軸16は、図3に示されるように、基部16aと基部16aの両端から基部16aに対して垂直に延出される延出部16bからなるコの字状に加工されている。
また、スライド棒17は、断面円の柱状のものが用いられ、円筒部15の外周面における軸方向の中間の部位に、円筒部15の軸方向に対して垂直に延出するように固着されている。
【0015】
そして、4つのカバープレート可動部13のそれぞれが、カバープレート12の裏面の角部近傍のそれぞれに鉛直回動軸16の両延出部16bの先端を固着することにより取り付けられ、スライド棒17は、配設穴5a内に配置されている。このとき、鉛直回動軸16のコの字状の開口がカバープレート12の裏面に向けられ、さらに、基部16aの長さ方向が鉛直方向に合わせられている。
これにより、円筒部15および円筒部15の外周面から垂直に突出するスライド棒17が、鉛直回動軸16の基部16aを軸とした鉛直軸周りに回動自在となっている。
即ち、スライド棒17は、カバープレート12の裏面側の先端を支点とする鉛直軸周りに回動自在となる。
【0016】
また、スライド棒支持部20は、図4に示されるように、両端間を貫通する挿通穴21aが形成された円筒状のスライド棒挿通部材21、及びスライド棒挿通部材21の外周面からスライド棒挿通部材21の軸方向に対して垂直に突出される円柱状の調整回動部22を有している。さらに、調整回動部22には、後述の支持凸部23が嵌合される凸部嵌合穴22aが所定の深さに同軸に形成されている。
【0017】
ここで、凸部嵌合穴22aの穴に遊嵌状態に嵌合可能な4つの支持凸部23が、配設穴5aの上部及び下部内壁のそれぞれにおいて、配設穴5aの両側壁近傍、かつ、配設穴5aの開口部から奥行き方向に所定の距離の位置に、鉛直方向に突出して設けられている。
そして、各支持凸部23のそれぞれに、調整回動部22の凸部嵌合穴22aがそれぞれ嵌合されている。さらに、スライド棒支持部20のスライド棒挿通部材21における挿通穴21aのそれぞれに、カバープレート12の裏面の各角部近傍に取り付けた円筒部15から延出されるスライド棒17のそれぞれが挿通されている。
【0018】
つまり、スライド棒支持部20のそれぞれは、支持凸部23を軸として、鉛直軸周りに回動自在となり、スライド棒挿通部材21の挿通穴21aに挿通されたスライド棒17が水平面内で回動したときには連動して回動するようになっている。
【0019】
これにより、カバープレート12は、スライド棒17が挿通されたスライド棒支持部20により支持され、さらに、カバープレート12の両長辺側のそれぞれを独立して任意の距離だけ乗場1側に引き出すことが可能となる。
例えば、カバープレート12のA号機側の長辺側が乗場1に引き出されると、B号機側の鉛直回動軸16の基部16aを軸とした鉛直軸周りに回動するようにカバープレート12が移動する。
【0020】
このとき、A号機側のスライド棒挿通部材21に挿通された2つのスライド棒17は、カバープレート12の動きに連動するため、B号機側の鉛直回動軸16の基部16aを軸として回動するように、スライド棒挿通部材21に支持された状態でスライド移動する。スライド棒17の移動につれて、A号機側のスライド棒17の長さ方向が、初期状態からずれるが、スライド棒支持部20は、鉛直軸周りに回動自在となっているので、A号機側のスライド棒支持部20は、その軸方向が、A号機側のスライド棒17の長さ方向に一致したまま回動する。
これにより、カバープレート12のA号機側のみを引き出した場合でも、A号機側のスライド棒17のスライド動作はカバープレート12の引き出し動作を制限することなく行われる。
【0021】
なお、カバープレート12のB号機側の長辺側を引き出した場合には、上述の説明において、A号機側とB号機側の構成を入れ替えるだけで説明され、カバープレート12のB号機側のみを引き出した場合、B号機側のスライド棒17のスライド動作はカバープレート12の引き出し動作を制限することなく行われる。
【0022】
従って、カバープレート12は、その主面を乗場1の壁5に対して、鉛直方向と平行な状態で任意の角度に傾斜させることができる。
【0023】
また、コネクタセット30a,30bのそれぞれは同じ機能を有し、コネクタセット30aはコネクタとしての第1のコネクタ31A及びコネクタ取付板32を、コネクタセット30bは、コネクタとしての第2のコネクタ31B及びコネクタ取付板32を有している。
【0024】
コネクタセット30a,30bそれぞれのコネクタ取付板32は、矩形平板状に形成されている。そして、コネクタセット30aのコネクタ取付板32が、長辺の長さ方向を鉛直方向に合わせて配置され、カバープレート12の裏面から垂直に突出するようにカバープレート12の裏面におけるA号機側の三方枠3側の長辺の近傍に沿ってそれぞれ固着されている。コネクタセット30bのコネクタ取付板32が、長辺の長さ方向を鉛直方向に合わせて配置され、カバープレート12の裏面から垂直に突出するようにカバープレート12の裏面におけるB号機側の三方枠3側の長辺の近傍に沿ってそれぞれ固着されている。
【0025】
また、第1のコネクタ31A及び第2のコネクタ31Bは、それぞれ単コネクタ31a〜31cを有している。そして、第1のコネクタ31Aの単コネクタ31a〜31cは、カバープレート12裏面におけるA号機の三方枠3側の長辺の縁部に沿って、かつ嵌合部をA号機側の三方枠3側に向けてコネクタ取付板32に固定されている。また、第2のコネクタ31Bの単コネクタ31a〜31は、カバープレート12裏面におけるB号機の三方枠3側の長辺の縁部に沿って、かつ嵌合部をB号機の三方枠3側に向けてコネクタ取付板32に取り付けられている。
【0026】
なお、単コネクタ31a及び単コネクタ31bは、一端がエレベータ制御装置に電気的に接続された配線用ケーブル10aの他端がそれぞれ接続され、単コネクタ31cは一端がかご内に設けられたスピーカ(図示せず)などの報知手段に電気的に接続された配線用ケーブル10bが接続されている。
【0027】
上記のように2組のコネクタセット30a,30bを配設することにより、カバープレート12のA号機側が引き出されると、A号機側のコネクタセット30aの単コネクタ31a〜31cの嵌合部が乗場1側に露出され、カバープレート12のB号機側が引き出されると、B号機側のコネクタセット30bの単コネクタ31a〜31cの嵌合部が乗場1側に露出される。
【0028】
次いで、エレベータ装置のメンテナンス作業要領を図5〜図7を参照しつつ説明する。
エレベータ装置のメンテナンスは、エレベータ装置のA号機またはB号機毎に行われる。ここでは、エレベータ装置のうちA号機のメンテナンス作業について説明する。
【0029】
作業者は、カバープレート12のA号機側の長辺側を引っ張りだし、第1のコネクタ30Aの単コネクタ31a〜31cの嵌合部を乗場1側に露出させる。このとき、カバープレート12のB号機側は、引き出されていないので、カバープレート12の他方の長辺は乗場1の壁5の近傍に隣接したままである。
これにより、通常通りの昇降運転が行われているB号機のかご内に乗り込もうとする乗客には、配設穴5aの内部がカバープレート12によって遮られて見えないようになっている。
【0030】
そして、一端が携帯端末装置26などに接続された接続用ケーブル9の他端に取り付けられた接続用コネクタ33を単コネクタ31bに嵌合させる。
【0031】
これにより、携帯端末装置26が、エレベータ制御装置と接続される。そして、かごの走行を制御する際のかご走行速度など、エレベータ制御装置内に書き込まれたデータの書き換えや、かごがどれだけの距離を走行したかなどの運転情報をエレベー制御盤から取り出しなどのメンテナンス作業を行う。
また、図示しないが、単コネクタ31a及び単コネクタ31cのそれぞれに、一端がポータブルコントローラまたはかご内報知手段コントローラに接続された接続用ケーブルの他端に設けられた接続用コネクタを必要に応じてそれぞれ嵌合する。
【0032】
これにより、ポータブルコントローラは、エレベータ制御装置に接続され、ポータブルコントローラの操作に連動した任意のかごの移動をエレベータ制御装置に行わせることができるようになる。そして、かごを昇降路内の所望の位置に動かし、出入り口2からかご上を点検するなどのメンテナンス作業を行う。
また、かご内報知手段コントローラは、かご内に配設されたスピーカに接続される。そして、乗場1から、かご内への音声報知が正常に行えるか否かを点検するなどのメンテナンス作業を行う。
【0033】
メンテナンス作業が終了したら、接続用コネクタ33を単コネクタ31a〜31cから取り外し、カバープレート12を乗場1の壁5側に押し込んで配設穴5aをカバープレート12で塞口する。
【0034】
なお、エレベータ装置のB号機のメンテナンス作業を行う場合には、カバープレートの12のB号機側の長辺側を乗場1の壁5から引き出し、エレベータ装置のA号機と同様にメンテナンス作業を行う。
【0035】
この発明によれば、カバープレート12の裏面の角部近傍に取り付けられた鉛直回動軸16を軸とした鉛直軸周りに回動可能な円筒部15の外周面から、スライド棒17が配設穴5a内に延出され、さらにスライド棒17は、配設穴5aの内壁に配設されたスライド棒支持部20のそれぞれのスライド棒挿通部材21に挿通されて支持されている。従って、エレベータ装置のメンテナンスを行う際、カバープレート12を乗場1から引き出したときにも、カバープレート12が安定した状態に保持される。
【0036】
また、2組のコネクタセット30a,30bが、カバープレート12の裏面にコネクタ取付板32がカバープレート12の裏面から配設穴5aに垂直に突出するように配設され、さらに、第1のコネクタ31A及び第2のコネクタ31Bのそれぞれの単コネクタ31a〜31cの嵌合部がカバープレート12を乗場1側に引き出したときに乗場1側に露出されるようにコネクタ取付板32に配設されている。
【0037】
従って、エレベータ装置のメンテナンス作業を行う際、乗場1側に露出された第1のコネクタ31A及び第2のコネクタ31Bのいずれかの単コネクタ31a〜31cに、接続用ケーブル9の先端に設けられた単コネクタ31a〜31cに対応する接続用コネクタ33を嵌合させるので、配設穴5a内に引き回された配線用ケーブル10a,10bが邪魔をすることがなくなる。従って、単コネクタ31a〜31cと携帯端末装置26、ポータブルスイッチ、及びかご内報知手段コントローラとの間の接続作業の作業効率を向上させることができる。
【0038】
さらに、第1のコネクタ31A及び第2のコネクタ31Bの単コネクタ31a〜31cの少なくとも一方を乗場1側に露出させるのには、カバープレート12を単コネクタ31a〜31cの寸法程度引き出すだけであり、単コネクタ31a〜31cと携帯端末装置26、ポータブルスイッチ、及びかご内報知手段コントローラとの間の接続作業の作業効率を一層向上させることができる。
同時に、カバープレート12は、従来のエレベータ装置のように宙吊りになることなく、安定した状態に保持されているので、乗場1側から配設穴5a(従来のエレベータ装置のボックスに相当)内に引き回された接続用ケーブル9がカバープレート12と配設穴5aとの間に挟まれるようなことが未然に防止され、接続用ケーブル9に負荷をかけたり傷を負わせたりすることがなくなる。
【0039】
また、カバープレート12のA号機側を引き出したときには、第1のコネクタ31Aの単コネクタ31a〜31cの嵌合部がそれぞれ、A号機側の三方枠3に向けて露出され、カバープレート12のB号機側を引き出したときには、第2のコネクタ31Bの単コネクタ31a〜31cの嵌合部がB号機側の三方枠3に向けて露出されるようになっている。
従って、本実施の形態のようにA号機及びB号機を有するエレベータ装置のメンテナンス作業を行う場合、例えば、第1のコネクタ31A及び第2のコネクタ31Bのうち、A号機及びB号機のうちメンテナンスを行う側を乗場1側に露出させるようにカバープレート12を引き出すことなどを、予め、取り決めしておけば、A号機またはB号機のどちらをメンテナンスしているかを誤認することがなくなる。
【0040】
また、例えば、A号機がメンテナンス対象であり、B号機が通常運転している場合には、通常通りの昇降運転が行われているB号機のかご内に乗り込もうとする乗客からは、配設穴5aの内部が見えないようにカバープレート12を乗場1の壁5に対して傾けた状態でメンテナンスを行えば、B号機の乗客に対して、エレベータ装置の意匠性が保たれる。さらに、カバープレート12が安定して支持されているので、B号機を利用する乗客により乗場呼び釦12aが押されても大きく動いたりすることがない。また、B号機がメンテナンス対象である場合には、カバープレート12を乗場1の壁5に対して逆に傾ければ同様の効果が得られる。
【0041】
なお、この実施の形態では、2台のかごのそれぞれを昇降させるA号機及びB号機を有するエレベータ装置を対象に、2組のコネクタセット30a,30bを設けるものとして説明したが、コネクタセット30a,30bのそれぞれは同様の機能を有するものであり、一組のコネクタセットだけを配設し、エレベータ装置のA号機及びB号機のメンテナンスを行ってもよい。
【0042】
また、4つのカバープレート可動部13のそれぞれが、カバープレート12の裏面の角部近傍のそれぞれから、スライド棒17が、配設穴5a内に延設されるようにカバープレート12の裏面に配設されるものとして説明したが、4つのカバープレート可動部13を配設するものに限定されず、カバープレート回動部13は、少なくとも一対のスライド棒17が、所定の間隔をあけ、カバープレート12の裏面から配設穴5a内に水平に延設されるように配設されていれば、カバープレート可動部13の配設数は、カバープレート12の大きさなどに応じて適宜決定すればよい。
【0043】
また、コネクタセット30a,30bのコネクタ取付板32のそれぞれに、3つの単コネクタ31a〜31cを、携帯端末装置26、ポータブルコントローラ及び報知手段コントローラのそれぞれとエレベータ装置とを接続するために設けるものとして説明したが、コネクタ取付板32には、3つの単コネクタ31a〜31cを配設するものに限定されず、単コネクタの配設数は、必要とされるエレベータ装置と乗場1に用意された携帯端末装置26等の装置との接続数に応じて適宜設計すればよい。
また、単コネクタ31a〜31cは、直接カバープレート12の裏面に取り付けてもよい。
【0044】
また、乗場操作装置11は、最下階の乗場1の壁5に配設するものとして説明したが、最下階の乗場1の壁5に配設するものに限定されず、エレベータ装置の仕様にあわせ、他の階床の乗場1の壁5に配設してもよい。
【0045】
また、単コネクタ31cが、かご内に配設された報知手段としてのスピーカに配線用ケーブル10bを介して接続されているものとして説明したが、かごに配設され、乗場1から遠隔操作による操作の必要性が生じる機器(ディスプレイなど)の配設数に応じて、各機器を配線用ケーブルを介して電気的に単コネクタに接続しておいてもよい。
【0046】
また、乗場操作装置11のコネクタセット30a,30bは、乗場1の壁5に設けられた配設穴5aを覆うカバープレート12の裏面に配設され、スライド棒挿通部材21は、配設穴5aの内壁に配設されるものとして説明したが、配設穴5aは、上述の従来のエレベータ装置における乗場1に開口するボックス内部の空間も含まれるものとする。即ち、例えば、従来のエレベータ装置のボックス内部の空間を覆うカバープレートの裏面にコネクタセット30a,30bを配設し、ボックスの内壁にスライド棒挿通部材21を配設してスライド棒17をスライド棒挿通部材21に挿通させれば、乗場操作装置11を従来のエレベータ装置のボックス内部の空間に対して配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明に係る乗場操作装置がエレベータの最下階の乗場の壁に設けられた状態を示す正面図である。
【図2】図1のII−II矢視断面である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】この発明に係る乗場操作装置のスライド棒支持部の構成を示す斜視図である。
【図5】この発明に係る乗場操作装置のカバープレートが乗場の壁から乗場側に引き出された状態を示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視断面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 乗場、3 三方枠、5 壁、5a 配設穴、12 カバープレート、12a 乗場呼び釦、12b 表示部、17 スライド棒、21 スライド棒挿通部材、21a 挿通穴、31A 第1のコネクタ(コネクタ)、31B 第2のコネクタ(コネクタ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三方枠が配設された乗場の壁に設けられた配設穴の開口を覆うように配設され、乗場呼び釦及び表示部の少なくとも一方が配設されたカバープレートと、
上記カバープレートの裏面から上記配設穴内に水平にそれぞれが延設され、上記カバープレートの動きに連動し、所定の間隔をあけて設けられた少なくとも一対のスライド棒と、
上記配設穴の内壁に配設されて挿通穴を有し、該挿通穴に挿通された上記スライド棒をスライド自在に支持するスライド棒挿通部材と、
上記配設穴内で上記カバープレートの裏面に配設され、エレベータ制御装置及びかごに配設された機器の少なくとも一方に電気的に接続されたコネクタと、
を備えていることを特徴とするエレベータ装置の乗場操作装置。
【請求項2】
上記スライド棒は上記カバープレートの裏面側の先端を支点とする鉛直軸周りに回動自在に配設され、
上記スライド棒挿通部材は鉛直軸周りに回動自在に配設されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置の乗場操作装置。
【請求項3】
上記三方枠が隣接して配設され、
上記配設穴が上記三方枠の間の上記壁に設けられ、
上記コネクタは、同一機能を有する第1のコネクタ及び第2のコネクタで構成され、上記第1のコネクタがカバープレートの裏面における一方の上記三方枠側の縁部に沿って、かつ嵌合部を一方の上記三方枠側に向けて配設され、上記第2のコネクタが上記カバープレートの裏面における他方の上記三方枠側の縁部に沿って、かつ嵌合部を他方の上記三方枠側に向けて配設されていることを特徴とする請求項2記載のエレベータ装置の乗場操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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