説明

エレベータ装置

【課題】 本発明は、安全性を確保しつつ効率よく被搬送物を搬送できるエレベータ装置を提供する。
【解決手段】 エレベータ装置10は、レール28と、レール28に沿って互いに独立して移動可能な上側搬器50と下側搬器51と、下側搬器51の少なくとも一部をレール28が延びる方向に覆う仕切装置60とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建造物を建造する工事現場に用いられるエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルなどの建造物を建造する工事現場では、建造物の各階に荷物などの被搬送物を搬送するためのエレベータ装置が設けられていている。エレベータ装置は、被搬送物がのる搬器を備えている。
【0003】
一方、搬送可能な被搬送物の量を増やすために、ダブルデッキ型搬器を備えるエレベータ装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−313578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるエレベータ装置では、ダブルデッキ型搬器は、建造物において1つのフロアに着床できるか、または、1つのフロアとこのフロアの上下方向一方のフロアを含めた2つのフロアに着床できる。このように、特許文献1に開示されるエレベータ装置では、間に1つ以上のフロアを挟んで隣り合う別々の階に同時に被搬送物を搬送することはできない。間に1つ以上の階を挟んで隣り合う階に被搬送物を搬送する際は、搬器は、一方の階に着床して被搬送物を下ろした後、他方の階に移動して被搬送物を下ろす。
【0006】
一方、間に1つ以上の階を挟んだ階に、被搬送物をより効率よく搬送することが求められている。また、エレベータ装置では、安全性を確保することが求められている。
【0007】
本発明は、安全性を確保しつつ効率よく被搬送物を搬送できるエレベータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のエレベータ装置は、重力の作用する方向に延びるガイド部と、前記ガイド部に沿って互いに独立して移動可能な複数の搬器と、前記複数の搬器のうち前記ガイド部に沿って隣り合う一対の搬器間に配置されて前記一対の搬器のうち重力の作用する方向下方に位置する搬器の少なくとも一部を前記ガイド部が延びる方向に覆う仕切装置と
を備える。
【0009】
請求項2に記載のエレベータ装置では、請求項1の記載において、前記仕切装置は、前記一対の搬器間に配置されて前記一対の搬器のうち重力の作用する方向下方に位置する搬器の少なくとも一部を前記ガイド部が延びる方向に覆う仕切部と、前記仕切部を前記ガイド部が延びる方向に移動する仕切部用駆動部とを備える。
【0010】
請求項3に記載のエレベータ装置では、請求項2に記載において、前記仕切装置は、所定階に固定される固定部と、前記固定部において前記一対の搬器のうち一方の搬器が前記所定階に着床できる位置に設けられて、前記一方の搬器から前記仕切部に向かう方向に前記仕切部が当接する第1の当接部と、前記固定部において前記一対の搬器のうちの他方の搬器が前記所定階に着床できる位置に設けられて、前記他方の搬器から前記仕切部に向かう方向に前記仕切板が当接する第2の当接部とを備える。
【0011】
請求項4に記載のエレベータ装置は、請求項3の記載において、さらにクライミング装置を備える。前記クライミング装置は、前記固定部に対して前記ガイド部が延びる方向に移動可能な移動部と、前記移動部を前記固定部に対して前記ガイド部が延びる方向に移動可能とする移動部用駆動部と、前記フレームを前記レールに解除可能に連結する第1の連結手段と、前記移動部を前記ガイド部に解除可能に連結する第2の連結手段とを備える。
【0012】
請求項5に記載のエレベータ装置では、請求項2〜4のうちのいずれかの記載において、前記仕切装置は、制御手段を備える。前記制御手段は、前記一対の搬器のうち一方の搬器が所定階に着床するときに、前記仕切部駆動部を制御して前記仕切部を前記仕切部が前記一方の搬器に接触しない位置に移動するとともに前記一対の搬器のうち他方の搬器の移動範囲を前記他方の搬器が前記仕切部に接触しない範囲に制限する。また、前記制御手段は、前記一対の搬器のうち他方の搬器が前記所定階に着床するときに、前記仕切部用駆動部を制御して前記仕切部を前記仕切部が前記他方の搬器に接触しない位置に移動するとともに前記一方の搬器の移動範囲を前記一方の搬器が前記仕切部に接触しない範囲に制限する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安全性を確保しつつ効率よく被搬送物を搬送できるエレベータ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータ装置を示す正面図。
【図2】図1に示された一対のポストを示す斜視図。
【図3】図1に示すF3−F3線に沿って示すエレベータ装置の断面図。
【図4】図1中に示されるF4の範囲の拡大図。
【図5】図1に示される仕切装置を示す斜視図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るエレベータ装置を示す正面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るエレベータ装置を示す斜視図。
【図8】図6に示される仕切装置を第1の方向に沿って上方から見た状態を示す平面図。
【図9】図6に示すF9−F9線に沿って示すエレベータ装置の断面図。
【図10】図6に示される仕切板が、下側搬器が基準階に着床する場合に下側搬器が緩衝器に接触しない位置にある状態のエレベータ装置を示す正面図。
【図11】図6に示される仕切板が、上側搬器が基準階に着床する場合に緩衝器が上側搬器に接触しない位置にある状態のエレベータ装置を示す正面図。
【図12】図6に示される一方のフレームを示す斜視図。
【図13】図6に示されるポストがベースによって第1の方向に支持されており、第1,2の連結装置のピンが、ポストとフレーム、および、ポストとスライド部とを第1の方向に連結していない状態での第1の部分を示す正面図。
【図14】図7に示される、ポスト側ピン孔とスライド部側ピン孔とフレーム側ピン孔とを示す概略図。
【図15】図7に示すスライド部が下降している状態を示す第1の部分の正面図。
【図16】図14(f)に対応する第1の部分を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態に係るエレベータ装置を、図1〜6を用いて説明する。図1は、エレベータ装置10を示す正面図である。図1に示すように、エレベータ装置10は、建造物の一例としての建物の建設現場に設けられている。この建築中、言い換えると建造中の建物5は、複数階を有している。建物5において各階を形成する床部6は、開口7が形成されている。開口7は、上下方向に対向している。
【0016】
図1中、開口7は、平面形状を範囲F1内に示す。範囲F1に示すように、開口7の平面形状は、一例として、四角形である。各床部6において開口7の縁部に、第1〜4の縁部7a,7b,7c,7dの符号を付す。第1,2の縁部7a,7bは、開口7が形成する四角形のうち、長手方向に沿う縁部である。第3,4の縁部7c,7dは、第1,2の縁部7a,7bの両端を結んでいる。なお、ここで言う上下方向とは、各階が重なる方向であり、重力が作用する方向に平行である。重力が作用する方向を下方向とし、下方向の反対方向を上方向とする。
【0017】
エレベータ装置10は、一対のポスト20と、ポストサポート40と、複数の搬器と、仕切装置60とを備えている。
【0018】
図2は、一対のポスト20を示している。図1に示すように、一対のポスト20は、建物5の開口7内に収容されている。図2に示すように、一対のポスト20は、互いに同じ構造である。ポスト20は、複数のポストユニット21が連結されることによって構成されるポスト本体22と、ベース23と、ラックギヤ24とを備えている。
【0019】
ポストユニット21は、4本のレール部材25と、枠部材26と、補強部材27とを備えている。4本のレール部材25は、各々が、仮想矩形の角部となる位置に互いに平行な姿勢で配置されている。枠部材26は、4本のレール部材25の内側に収容されて4本のレール部材25に固定されている。補強部材27は、隣り合う一対の枠部材26に連結されており、レール部材25の延びる方向に交差する方向に延びている。
【0020】
上記のように構成されるポストユニット21が、レール部材25が延びる方向に連結されて互いに固定されることによって、ポスト本体22が構成される。ポスト本体22が延びる方向は、直線方向である。レール部材25どうしが連結されて、直線状に延びる一本のレール28を構成する。レール28は、本発明で言うガイド部の一例である。
【0021】
ポスト本体22が延びる方向と、レール28が延びる方向とは、平行である。ポスト20が延びる方向とレール28が延びる方向とを、第1の方向Aとする。ポスト20は、第1の方向Aが、上記上下方向に平行になるように、開口7内に設置される。
【0022】
ベース23は、ベース本体29と、ベース用連結部材30と、ベース用柱部31とを備えている。ベース本体29は、各ポスト本体22の一端に固定される。ベース用連結部材30は、ベース本体29どうしを連結している。このことによって、ベース本体29とベース用連結部材30とを介して、一方のポスト20と他方のポスト20とが連結される。
【0023】
ベース用柱部31は、ポスト本体22において他方のポスト20に対向する側とは反対側に固定されており、第1の方向Aに延びている。ここで、一対のポスト20が並ぶ方向を第2の方向Bとする。第2の方向Bは、第1の方向Aに対して垂直な方向である。
【0024】
図1に示すように、ラックギヤ24は、ポスト本体22において他方のポスト20に対向する側に固定されている。ラックギヤ24は、第1の方向Aに延びている。
【0025】
上記のように構成される一対のポスト20は、本実施形態では、図1に示されるように、ベース本体29が地面1に当接する。このことによって、ポスト20は、第1の方向Aに地面1によって支持される。開口7内では、一方のポスト20が第1,2の縁部7a,7bの一端に配置され、他方のポスト20が第2,3の縁部7a,7bの他端に配置される。
【0026】
ポストサポート40は、ポスト20を第1の方向Aに垂直な方向に支持する。ポストサポート40は、各階の床部6において開口7の第3,4の縁部7c,7dに設けられている。本実施形態では、ポスト20は、2つ用いられているため、ポストサポート40は、各階に2つ設けられている。各ポストサポート40の構造は、互いに同じである。図3は、図1に示すF3−F3線に沿って示すエレベータ装置10の断面図である。図3は、ポスト20の断面と、ポストサポート40とを上方から見た状態を示している。
【0027】
図3に示すように、ポストサポート40は、一例として、ポスト20に向かって開口する平面形状がC形状のサポート用フレーム41と、ポスト20のレール28を支持するサポート用ガイドローラ42とを備えている。
【0028】
サポート用フレーム41は、各階の床部6に固定されるとともに、内側にポスト20の一部が収容される大きさを有している。サポート用フレーム41は、開口7の内側に突出する一対のアーム部43を備えている。アーム部43間には、ポスト20が収容されている。各アーム部43の先端部44は、ポスト20のレール28に対向する。
【0029】
ガイドローラ42は、各アーム部43の先端部44に3つ設けられている。図4は、図1中に示されるF4の範囲を拡大して示している。図4は、ポストサポート40を側方から見た状態を示している。図3,4に示すように、3つのガイドローラ42は、第1の方向Aに対して垂直な方向に平行な3方向からレール28を挟み込んでいる。より具体的には、2つのガイドローラ42は、第2の方向にレール28を挟持している。残る1つのガイドローラ42は、第2の方向Bに垂直な方向にそって、開口7の外側からレール28を支持している。
【0030】
各ガイドローラ42は、第1の方向Aに対して垂直な回転軸回りに回転可能である。また、各ガイドローラ42は、内側がレール28に合わせて凹む形状である。このことによって、ポストサポート40は、レール28を第1の方向Aに垂直な方向に支持している。また、凹みによって3つのガイドローラ42間からレール28がはずれにくくなる。
【0031】
複数の搬器は、ポスト20に沿って互いに独立して移動可能であって、人や荷物などが収容される。各搬器は、互いに同じ構造である。または、各搬器は、後述されるケージの構造が互いに異なってもよい。要するに、搬器は、ポスト20に沿って移動可能であり、人や荷物を搬送する機能を有していればよい。本実施形態では、一例として、上側搬器50と、下側搬器51とが用いられている。上側搬器50と下側搬器51とは、同じ構造であるので、上側搬器50を代表して説明する。なお、下側搬器51は、本発明で言う重力の作用する方向下方に位置する搬器の一例である。
【0032】
図1に示すように、上側搬器50は、連結フレーム52と、連結フレーム52上に設けられるケージ53と、搬器用操作装置54と、搬器用制御部55とを備えている。連結フレーム52は、連結フレーム本体56と、連結フレーム本体56をレール28に沿って昇降する駆動部としての一対の搬器用電動機57とを備えている。
【0033】
連結フレーム本体56の両端部は、ポスト20の4つのレール28のうち、開口7の内側に配置される2本のレール28に対向している。連結フレーム本体56の両端部には、レール28に対する連結フレーム52の移動をガイドするガイドローラ58が設けられている。ガイドローラ58は、一例として、1つのレール28に対して2つ設けられている。この2つのガイドローラ58は、第1の方向Aに対して垂直な方向に平行な回転軸回りに回転可能であり、本実施形態では、2つのガイドローラ58は、第2の方向Bにレール28を挟みこんで挟持している。図3は、1つのレール28に対する2つのガイドローラ58の構造を2点鎖線で示している。他のレール28に対しても、上記同様に2つのガイドローラ58が設けられる。各ガイドローラ58は、レール28に合わせて内側が凹む形状である。このことによって、2つのガイドローラ58間からレール28が外れることが抑制される。
【0034】
搬器用電動機57は、連結フレーム本体56においてポスト20の近傍の位置に1つずつ固定されている。搬器用電動機57の図示しない回転軸には、ピニオンギヤ59が設けられている。ピニオンギヤ59は、ポスト20のラックギヤ24に噛み合っている。図3では、ピニオンギヤ59がラックギヤ24に噛み合っている状態が2点鎖線で示されている。搬器用電動機57が回転することによって、つまり回転軸が回転することによって、ラックギヤ24上をピニオンギヤ59が昇降し、それゆえ、連結フレーム52が昇降する。搬器用電動機57の回転方向、つまりピニオンギヤ59の回転方向は、上側搬器50の昇降に合わせて制御される。
【0035】
搬器用操作装置54は、連結フレーム本体56上に設けられるケージ53内に設けられている。搬器用操作装置54は、上側搬器50を昇降する際に作業員などによって操作される。
【0036】
搬器用制御部55は、搬器用電動機57の動作を制御する。搬器用制御部55は、搬器用操作装置54に接続されており、搬器用操作装置54に入力される操作に合わせて搬器用電動機57を駆動する。例えば、作業員が、上側搬器50を上昇運転する操作をした場合は、搬器用制御部55は、搬器用電動機57を、上側搬器50が上昇するように回転制御する。
【0037】
搬器用制御部55は、センサ200をかいしてラックギヤ24の歯数を検出し、この検出結果に基づいて上側搬器50の移動速度を検出する。搬器用制御部55は、上側搬器50の移動速度が予め設定されている安全速度を越えていると判定すると、搬器用電動機57の動作を止める。
【0038】
具体的には、搬器用電動機57への電力の供給を停止する。そして、搬器用制御部55は、上側搬器50の移動を停止するための自動落下防止装置201を動作させる。自動落下防止装置201は、一例として、両搬器用電動機57の回転軸を互いに連結してこの回転軸と一体に回転する連結シャフト202と、ブレーキ部203とを備えている。ブレーキ部203は、作動されると、連結シャフト202を挟み込んで摩擦で連結シャフト202の回転を止める。連結シャフト202の回転が止まることによって、搬器用電動機57の回転軸の回転が止まるので、上側搬器50の移動が止まる。搬器用制御部55は、ブレーキ部203を動作させることによって、上側搬器50の移動を止める。
【0039】
なお、自動落下防止装置201は、上記の構造以外の構造であってもよい。自動落下防止装置201は、上側搬器50の移動を停止する機能を有すればよい。
【0040】
また、搬器用制御部55は、ラックギヤ24の歯数を検出することによってレール28に対する上側搬器50の位置を検出する。そして、搬器用制御部55は、レール28に対する上側搬器50の位置に基づいて、上側搬器50が建物5のどの階に位置しているかを検出する。
【0041】
下側搬器51の構造は、上側搬器50と同じ構造であるので、同じ構成要素に対しては、同一の符号を付している。そして、上側搬器50を基準に説明された内容は、下側搬器51を基準にしたものに置き換えられる。なお、上側搬器50の搬器用制御部55と、下側搬器51の搬器用制御部55とは、互いに通信することができる。そして、搬器用制御部55は、搬器の位置情報を、相手側の搬器用制御部55に送信する。下側搬器51の搬器用制御部55は、上側搬器50と同様に、下側搬器51が建物5のどの階に位置しているかを検出することができる。
【0042】
図1に示すように、仕切装置60は、複数の搬器のうち、レール28に沿って隣接する一対の搬器間に設けられている。本実施形態では、一例として上、下側搬器50,51が用いられているため、仕切装置60は、上、下側搬器50,51間に1つ設けられている。
【0043】
図5は、仕切装置60を示す斜視図である。図1,5に示すように、仕切装置60は、仕切板61と、仕切装置用ガイド部62と、仕切装置60をレール28に沿って昇降可能とする駆動部としての一対の仕切装置用電動機63と、緩衝器64と、仕切装置用制御部65とを備えている。
【0044】
図1に示すように、仕切板61は、第1の方向Aに下側搬器51の全体を覆う大きさを有している。仕切板61の表面は、上側搬器50からの落下物を受ける防護面となっている。仕切板61は、本発明で言う仕切部の一例である。仕切板61において第2の方向Bの両端部は、開口7の内側に位置する2つのレール28に対向する。
【0045】
仕切装置用ガイド部62は、仕切板61の両端部に1つずつ設けられている。仕切装置用ガイド部62の構造は、同じである。仕切装置用ガイド部62は、ガイドローラ支持ブラケット66と、ガイドローラ67とを備えている。
【0046】
ガイドローラ支持ブラケット66は、仕切板61を挟んで第1の方向Aに両側に延びている。ガイドローラ支持ブラケット66は、1つのレール28に対して第1の方向Aに離間する2つのアーム部68を備えている。ガイドローラ支持ブラケット66は、2つのレール28に対向しているので、合計4つのアーム部68を備えている。アーム部68は、第2の方向Bに延びており、内側にレール28を収容している。なお、図5中、レール28は、2点鎖線で示されている。
【0047】
各アーム部68には、2つのガイドローラ67が設けられている。この2つのガイドローラ67は、第2の方向Bにレール28を挟みこんでいる。各ガイドローラ67の回転軸は、第1,2の方向A,Bに垂直な方向に延びている。各ガイドローラ67は、レール28に合わせて内側が凹んでいる。
【0048】
図3では、レール28を挟むガイドローラ67が2点鎖線で示されている。なお、仕切装置用ガイド部62のガイドローラ67によるレール28の挟み構造と、上、下側搬器50,51の連結フレーム52に設けられるガイドローラ58によるレール28の挟み構造とは、同じである。このため、図3に示されるガイドローラは、上記2つのガイドローラ58,57を示しており、それゆえ、2つの符号を付している。
【0049】
仕切装置用電動機63は、仕切板61においてポスト20に対向する端部に1つずつ固定されている。仕切装置用電動機63の回転軸には、ポスト20のラックギヤ24に噛み合うピニオンギヤ69が設けられている。図3では、ピニオンギヤ69がラックギヤ24に噛み合う様子が示されている。
【0050】
なお、搬器用電動機57に設けられるピニオンギヤ59とラックギヤ24との噛み合い構造は、仕切装置用電動機63に設けられるピニオンギヤ69とラックギヤ24との噛み合い構造と同じである。このため、図3中に示されるピニオンギヤには、上記2つの符号59,69を付している。搬器用電動機57の回転軸が回転することによってピニオンギヤ69がラックギヤ24上を移動する。このことによって、仕切装置60がレール28に沿って昇降する。仕切装置用電動機63は、本発明で言う仕切部用駆動部の一例である。
【0051】
図5に示すように、緩衝器64は、ガイドローラ支持ブラケット66において、仕切板61を挟んだ両端に設けられている。緩衝器64は、例えば、ばねなどから構成されており、レール28の延びる第1の方向Aに沿って衝撃が入力された場合に、縮むことによってこの衝撃を吸収する。
【0052】
仕切装置用制御部65は、仕切装置用電動機63の動作を制御する。仕切装置用制御部65は、センサ300をかいしてラックギヤ24の歯数を検出し、この検出結果に基づいて仕切板61の移動速度を検出する。仕切装置用制御部65は、仕切板61の移動速度が、予め設定されている安全速度をこえていると判定すると、仕切装置用電動機63の動作を停止する。
【0053】
具体的には、仕切装置用電動機63への電力の供給を停止する。そして、仕切装置用制御部65は、仕切板61の移動を止める自動落下防止装置301を動作させる。自動落下防止装置301は、一例として、両仕切装置用電動機63の回転軸を互いに連結してこの回転軸と一体に回転する連結シャフト302と、ブレーキ部303とを備えている。ブレーキ部303は、作動されると、連結シャフト302を挟み込んで摩擦で連結シャフト302の回転を止める。連結シャフト302の回転が止まることによって、仕切装置用電動機65の回転軸の回転が止まるので、仕切板61の移動が止まる。仕切装置用制御部65は、ブレーキ部303を動作させることによって、仕切板61の移動を止める。
【0054】
なお、自動落下防止装置301は、上記の構造以外の構造であってもよい。自動落下防止装置301は、仕切板61の移動を停止する機能を有すればよい。
【0055】
また、仕切装置用制御部65は、ラックギヤ24の歯数の検出結果に基づいてレール28に対する仕切板61の位置を検出する。また、仕切装置用制御部65は、レール28に対する仕切板61の位置に基づいて、仕切板61が、建物5のどの階に位置しているかを検出する。
【0056】
仕切装置用制御部65は、各搬器用制御部55と通信することができる。このため、仕切装置用制御部65は、上,下側搬器50,51の位置を検出することができる。上側搬器50の搬器用制御部55は、仕切板61の位置と下側搬器51の位置とを検出することができる。下側搬器51の搬器用制御部55は、仕切板61の位置と上側搬器50の位置とを検出することができる。
【0057】
つぎに、エレベータ装置10の動作を、搬器用制御部55の動作と仕切装置用制御部65の動作とを合わせて説明する。本実施形態では、上側搬器50は、基準階nとその上方階を昇降する。下側搬器51は、基準階nとその下方階とを昇降する。本実施形態では、基準階nを1階とする。上、下側搬器50,51は、基準階nに着床することができる。
【0058】
搬器用操作装置54は、例えば、上昇運転釦と、下降運転釦とを備えている。上昇運転釦が押されると、搬器は、上昇運転する。下降運転釦が押されると、搬器は、下降運転する。
【0059】
上側搬器50と下側搬器51とは、搬器用操作装置54に入力される操作に基づいて、基準階nの1つ手前の階まで単独で昇降可能である。基準階nに近づく運転状態で基準階nの1つ手前の階に到達すると、具体的には、上側搬器50では下降運転中に基準階nの1つ手前の階に到達すると、下側搬器51では上昇運転中に基準階nの1つ手前の階に到達すると、搬器用制御部55によって昇降運転が停止される。停止された後、基準階nから離れる方向に運転するべく搬器用操作装置54が操作されると、搬器用制御部55は、搬器用電動機57を駆動する。
【0060】
基準階nに着床したい場合は、基準階nの1つ手前の階で停止した後に、搬器用操作装置54を操作して目標着床階を基準階nに設定する。本実施形態では、搬器用操作装置54は、基準階着床釦を備えており、この基準階着床釦が押されることによって、基準階nが目標着床階に設定される。
【0061】
上側搬器50または下側搬器51において、搬器用操作装置54によって移動先の階として基準階nが設定されると、その情報は、他の搬器の搬器用制御部55と、仕切装置用制御部65に送信される。
【0062】
仕切装置用制御部65は、仕切装置用電動機63を制御して、仕切板61を目標階として基準階nが設定された搬器が基準階nに着床できる位置に移動する。目標階として基準階が設定された搬器に対して他方の搬器の搬器用制御部55は、相手側の搬器が基準階nを離れるまで基準階nに着床しないように、かつ、仕切装置60の緩衝器64に接触しないように、搬器用電動機57の動作を制御する。また、相手側の搬器が基準階nに着床している状態および着床動作中では、基準階nに着床していない方の搬器の搬器用操作装置54が操作されて目標階として基準階nが設定されても、この動作は実行されない。相手側の搬器が基準階nを離れてから、実行される。
【0063】
この動作の一例として、上側搬器50が基準階nに着床する場合の動作を説明する。まず、上側搬器50に搭乗する作業員が搬器用操作装置54を操作して、基準階nを目標着床階に設定する。
【0064】
上側搬器50の搬器用制御部55は、下側搬器51の搬器用制御部55と仕切装置60の仕切装置用制御部65とに、上側搬器50の目標着床階として基準階nが設定されたことを送信する。
【0065】
まず、仕切板61は、上側搬器50が基準階nに着床しても、仕切装置60の緩衝器64が上側搬器50に接触しない位置P1に移動する。位置P1は、予め決定されている。仕切装置用制御部65と、上,下側搬器50,51の搬器用制御部55は、位置P1の情報を備えている。
【0066】
また、下側搬器51は、仕切装置60の緩衝器64と接触しない位置をこえないように移動範囲が制限される。本実施形態では、基準階nの1つ手前の階である地下1階と、とこの階より下方階での移動のみに制限される。
【0067】
仕切板61が位置P1に移動すると、仕切装置用制御部65は、仕切板61が位置P1へ移動したことを上側搬器50の搬器用制御部55に送信する。上側搬器50の搬器用制御部55は、仕切装置60が位置P1に移動したことを確認すると、つまり上記信号を受信すると、搬器用電動機57を制御して、上側搬器50を基準階nに着床する。
【0068】
上側搬器50への荷物の搬入または搬出などの作業が完了し、上側搬器50の搬器用操作装置54が操作されて上側搬器50基準階nを離れると、上側搬器50の搬器用制御部55は、仕切装置用制御部65と、下側搬器51の搬器用制御部55とに、上側搬器50が基準階nを離れることを送信する。上側搬器50が基準階nから離れると、下側搬器51が基準階nに着床することができる。
【0069】
下側搬器51が基準階nに着床する場合も同様である。この場合では、仕切装置60は、図1中2点鎖線で示す位置P2に移動する。位置P2は、下側搬器51が基準階nに着床する場合に、下側搬器51が仕切装置60の緩衝器64に接触しない位置である。そして、上側搬器50の移動は、基準階nの1つ手前の階である2階と階よりも上方の階のみに制限される。このように、仕切板61は、第1,2の位置P1,P2間を移動する。仕切装置用制御部65と、上,下側搬器50,51の搬器用制御部55とは、位置P2の情報を備えている。
【0070】
仕切装置60の仕切装置用制御部65と、上側搬器50の搬器用制御部55と、下側搬器51の搬器用制御部55とは、お互いの位置の情報を交換している。このため、各々の位置を把握している。具体的には、仕切装置用制御部65は、上側搬器50の位置と下側搬器51の位置を把握している。上側搬器50の搬器用制御部55は、仕切装置60の位置と下側搬器51の位置とを把握している。下側搬器51の搬器用制御部55は、仕切装置60の位置と上側搬器50の位置とを把握している。
【0071】
仕切装置用制御部65と、上、下側搬器50,51の搬器用制御部55とは、お互いの位置情報から、お互いが接触している状態であるので、または、接触していない状態であるのかを検出することができる。
【0072】
万が一、上側搬器50または下側搬器51が仕切装置60に接触すると、仕切装置用制御部65は、仕切装置用電動機63への電力の供給を停止する。上,下側搬器50,51の搬器用制御部55は、上,下側搬器50,51の搬器電動機57への電力の供給を停止する。
【0073】
仕切装置用制御部65と、上側搬器50の搬器用制御部55と、下側搬器51の搬器用制御部55とは、各制御部が設けられる搬器50,51または仕切板61の移動速度が予め設定されている安全速度をこえていると判定すると、当該制御部が設けられる搬器50,51または仕切装置60の電動機への電力の供給を停止するとともに自動落下防止装置を動作する。そして、残りの制御部に、この情報を送信する。この情報とは、移動速度が安全速度をこえているという情報である。上記情報を受けた制御部は、当該制御部が設けられる仕切装置60または搬器50,51が備える電動機への電力の供給を停止する。つまり、仕切板61と上側搬器50と下側搬器51とのうちいずれか1つでも移動速度が予め設定されている安全速度を超えると、仕切装置60と上側搬器50と下側搬器51との全ての移動が停止される。そして、各制御部は、自動落下防止装置を動作する。
【0074】
この点について、具体的に説明する。仕切装置60の仕切板61の移動速度が安全速度をこえた場合を一例として説明する。仕切装置用制御部65は、仕切板61の移動速度が安全速度をこえたと判定すると、仕切装置用電動機63への電力の供給を停止する。そして、自動落下防止装置301を動作する。
【0075】
仕切装置用制御部65は、ついで、上側搬器50の搬器用制御部55と、下側搬器51の搬器用制御部55とに、仕切装置60の移動速度が安全速度をこえたという情報を送信する。
【0076】
上側搬器50の搬器用制御部55と、下側搬器51の搬器用制御部55とは、仕切装置用制御部65から上記情報を受信すると、各々、搬器用電動機57への電力の供給を停止する。そして、各々、自動落下防止装置201を動作する。
【0077】
上、下側搬器50,51の制御部55と、仕切装置60の制御部65とは、本発明で言う制御手段の一例である。
【0078】
このように構成されエレベータ装置10では、レール28に沿って移動する複数の搬器を備えることによって、作業員や荷物などの被搬送物を効率よく搬送することができる。さらに、レール28に沿って隣り合う一対の搬器間に仕切装置60が配置されることによって、これら搬器どうしが互いに接触することが抑制される。また、一対の搬器のうち上方に配置される搬器から万が一荷物などが落下しても、この荷物は仕切板61にぶつかることによって仕切装置60よりさらに下方に落下することが抑制されるので、落下した荷物が下側搬器51に接触することが抑制される。言い換えると、エレベータ装置10の安全性が向上する。
【0079】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るエレベータ装置を、図6〜16を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
本実施形態では、ポスト20がさらにポスト側ピン受け部を備える点と、ベース23がベース用アウトリガー32を備える点と、仕切装置60に代えて仕切装置80を備える点と、さらに、クライミング装置100を備える点とが第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。本実施形態のエレベータ装置は、符号10aを付す。上記異なる構造について、具体的に説明する。
【0081】
図6は、エレベータ装置10aが建設中の建物5に設置されている状態を示す正面図である。図6に示すように、かつ、上記したように、エレベータ装置10aは、第1の実施形態で説明されたエレベータ装置10に対して、ポスト20がさらにポスト側ピン受け部を備える。さらに、仕切装置60に代えて仕切装置80を備える。さらに、クライミング装置100を備える。他の構造は、第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0082】
ベース用アウトリガー32は、ベース用柱部31から進退可能に突出する。ベース用アウトリガー32の突出する方向は、第2の方向Bのうち他方のベース用柱部31から離れる方向である。本実施形態では、図6に示すように、ポスト20は、ベース23のベース本体29が地面1から浮いている状態でベース用アウトリガー32が床部6上にのっている。このことによって、ベース23が建物5に対して固定される。ベース23が建物5に固定されることによって、ベース23は、ポスト20に対して第1の方向Aに作用する荷重を受ける。
【0083】
図7は、エレベータ装置10aと、エレベータ装置10aが設置される建物5の一部を示す斜視図である。図6,7に示すように、仕切装置80は、一対のフレーム81と、仕切板82と、仕切板82をレール28に沿って昇降する駆動部としての仕切装置用電動機と、仕切装置電動機を制御する仕切装置用制御部と、第1の当接部83と、第2の当接部84とを備えている。
【0084】
一対のフレーム81は、互いに同じ構造であって、基準階nの床部6に固定されている。一方のフレーム81は、開口7の縁部において一方のポスト20と対向する位置に配置されている。他方のフレーム81は、他方のポスト20に対向する位置に配置されている。一方のフレーム81と他方のフレーム81とは、第2の方向Bに並んでいる。フレーム81は、本発明で言う固定部の一例である。
【0085】
フレーム81は、基準階nの床部6に固定されるフレーム用基部85と、フレーム用本体縦壁部86と、フレーム用側壁部87とを備えている。フレーム用基部85は、開口7に向かって開口する平面形状がC字形状をしており、ポスト20の周囲を囲うように、開口7の第3の縁部7cまたは第4の縁部7dと、第1,2の縁部7a,7bの一部とに固定されている。
【0086】
フレーム用本体縦壁部86は、第1〜4の柱部91〜94を備えている。第1〜4の柱部91〜94は、第3の縁部7cに沿ってまたは第4の縁部7dに沿って並んでいる。第1,4の柱部91,94が外側に配置され、第2,3の柱部92,93が内側に配置される。
【0087】
第1〜4の柱部91〜94は、フレーム用基部85に固定されており、ポスト20との間に所定の間隔をあけて、第1の方向Aに延びている。第1,2の柱部91,92の上端間は、連結部95によって連結されている。第3,4の柱部93,94の上端間は、連結部95によって連結されている。
【0088】
第2,3の柱部92,93は、ポスト20のレール28に対向している。このため、第2,3の柱部92,93間に形成される隙間は、ポスト20に対向する。第2,3の柱部92,93の上端部には、フレーム81に対するポスト20の第1の方向Aの移動をガイドするとともに、ポスト20に対して作用する第1の方向Aに垂直な方向の荷重を受けるポストガイド部96が設けられている。第2,3の柱部92,93に設けられるポストガイド部96の構造は互いに同じである。
【0089】
ポストガイド部96は、3つのガイドローラ97を備えている。ガイドローラ97は、第1の方向Aに対して垂直な方向に平行な回転軸回りに回転可能である。第2の柱部92に設けられる一対のガイドローラ97は、第2の柱部92に対向するレール28を第2の方向Bに挟みこんで挟持している。残りの1つのガイドローラ97は、第1,2の方向A,Bに垂直な方向にレール28に当接してレール28を支持している。
【0090】
第3の柱部93に設けられる一対のガイドローラ97は、第3の柱部93に対向するレール28を第2の方向Bに挟みこんで挟持している。残りの1つのガイドローラ97は、第1,2の方向A,Bに垂直な方向にレール28に当接してレール28を支持している。各ガイドローラ97は、レール28に合わせて内側が凹んでおり、ガイド部96を構成する3つのガイドローラ97間からレール28が外れることを抑制している。
【0091】
フレーム81に対して、ポスト20が第1の方向Aに移動する際では、ガイドローラ97が回転することによって、フレーム81に対するポスト20の移動がガイドされる。また、ポスト20が第1の方向Aに移動する際にポスト20に作用する、第1の方向Aに垂直な方向の荷重は、ガイドローラ97が受ける。
【0092】
フレーム用側壁部87は、一対形成されている。一方の側壁部87は、フレーム用基部85と第1の柱部91とに固定されており、第1の柱部91に対して、開口7の内側に向かって突出している。他方のフレーム用側壁部87は、フレーム用基部85と第4の柱部94とに固定されており、第4の柱部94に対して開口7の内側に向かって突出している。
【0093】
フレーム81は、上記のようにフレーム用基部85とフレーム用本体縦壁部86と一対のフレーム用側壁部87とを備えることによって、ポスト20に向かって開口する形状となり、内側にポスト20を収容している。なお、一方のフレーム81と他方のフレーム81との間は、上,下側搬器50,51が通れる大きさを有している。
【0094】
図8は、仕切装置80を、第1の方向Aに沿って上方から見た状態を示す平面図である。図7,8に示すように、仕切板82は、仕切板本体82aと、複数のアーム部82bと、ガイドローラ82dと、緩衝器82eとを備えている。仕切板82は、本発明で言う仕切部の一例である。
【0095】
仕切板本体82aは、平面形状が四角形である。そして、仕切板本体82aは、第1の方向Aに下側搬器50の全体を覆う大きさを有している。仕切板本体82aは、一例として、金網で形成されている。仕切板本体82aの表面は、上方の搬器から万が一荷物などが落下した場合、この荷物を受ける防護面となっている。
【0096】
図9は、図6に示すF9−F9線に沿って示すエレベータ装置10aの断面図である。図9は、仕切装置80の第2の方向Bに沿って中央を第1の方向Aに切断した状態を、第2の方向Bに見た図である。図7,9に示すように、アーム部82bは、仕切板本体82aの各角部に1つずつ設けられている。アーム部82bは、互いに第1の方向Aに延びている。
【0097】
仕切板82には、ガイドローラ82dが設けられている。図8に示すように、ガイドローラ82dは、第1の方向Aに垂直な方向に平行な回転軸回りに回転可能である。ガイドローラ82dは、1つのレール28に対して2つ設けられている。
【0098】
図8中、1つのレール28とこのレール28に対して設けられるガイドローラ82dとを、範囲F8内に拡大して示している。範囲F8内に示すうように、2つのガイドローラ82dは、第2の方向Bにレール28を挟持している。ガイドローラ82dは、レール28に合わせて凹んでおり、ガイドローラ82d間からレール28が外れることを抑制している。ガイドローラ82dは、仕切板82の移動に伴って回転することによって、仕切板82の移動をガイドしている。なお、ガイドローラ82dの構造は、他のレール28においても同じである。
【0099】
図9に示すように、緩衝器82eは、仕切板本体82aにおいて第2の方向Bの両端部に3つ設けられている。緩衝器82eは、本実施形態では、一例としてコイルばねで形成されている。緩衝器82eは、万が一、上側搬器50と近づいたときに上側搬器50と接触することによって衝撃を吸収する。
【0100】
図6に示すように、仕切装置用電動機は、一対設けられている。仕切装置用電動機は、第1の実施形態の仕切装置用電動機63と同じである。このため、本実施形態の仕切装置用電動機は、第1の実施形態の仕切装置用電動機63と同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態の仕切装置用電動機63には、第1の実施形態と同様にピニオンギヤ69が設けられている。ピニオンギヤ69は、図3に示すように、ポスト20のラックギヤ24に噛み合っている。このため、第1の実施形態と同様に仕切装置用電動機63の回転軸が回転することによって、仕切板82がレール28に沿って昇降する。
【0101】
仕切装置用制御部は、第1の実施形態で説明された仕切装置用制御部65と同じである。このため、本実施形態の仕切装置用制御部は、第1の実施形態の仕切装置用制御部65と同じ符号を付して説明を省略する。
【0102】
本実施形態であっても、仕切装置用制御部65は、仕切板82の移動速度が予め設定されている安全速度をこえていると判定すると、第1の実施形態と同様に仕切装置用電動機63への電力の供給を停止して、自動落下防止装置301を動作して仕切板82の移動を止める。自動落下防止装置301は、第1の実施形態と同様である。また、第1の実施形態と同様に、仕切装置用制御部65は、ラックギヤ24の歯数の情報に基づいて仕切板82の位置を把握しており、仕切板82が建物5のどの階に位置しているかを把握している。
【0103】
また、仕切装置用制御部65は、仕切板82の位置と上側搬器50の位置と下側搬器51との位置とを把握している。このため、仕切装置60は、仕切板82の位置と、上側搬器50の位置と、下側搬器51の位置とに基づいて、仕切板82が上,下側搬器50,51に接触している状態であるのか、または、接触していない状態であるのを検出している。同様に、上,下側搬器50,51の搬器用制御部55は、仕切板82が建物5のどの階に位置しているか検出することができる。
【0104】
図9に示すように、第1の当接部83は、フレーム用側壁部87の上端部に設けられている。第1の当接部83は、対向するフレーム用側壁部87に向かって開口7の内側に突出している。このため、フレーム用側壁部87と第1の当接部83とは、図9に示すうように、L字形状を形成する。
【0105】
第2の当接部84は、フレーム用側壁部87の下端部に設けられている。第2の当接部84は、対向するフレーム用側壁部87に向かって開口7の内側に突出している。このため、フレーム用側壁部87と第2の当接部84とは、L字形状を形成している。
【0106】
仕切板82のアーム部82bの先端部82cは、対向するフレーム用側壁部87に向かって折り曲がっている。先端部82cは、第1の方向Aに沿って、第1,2の当接部83,84間に配置される。このため、先端部82cは、仕切板82が上方に移動したときに、下方から第1の当接部83に当接する。また、先端部82cは、仕切板82が下方に移動したときに、上方から第2の当接部84に当接する。
【0107】
このように、仕切板82の移動範囲は、第1の当接部83と当接する位置と、第2の当接部84に当接する位置との間である。本実施形態では、アーム部82bが第1の当接部83に当接する位置が位置P1となる。アーム部82bが第2の当接部84に当接する位置が位置P2となる。位置P1,P2の情報は、仕切装置用制御部65に予め記憶されている。仕切装置用制御部65は、仕切板82が位置P1,P2間で昇降するように、仕切装置用電動機63を制御する。
【0108】
本実施形態での位置P1,P2について説明する。図10は、仕切板82が位置P2にある状態のエレベータ装置10aを示している。図10に示すように、位置P2は、下側搬器51が基準階nに着床する際に、下側搬器51が仕切板82と接触することが無く、下側搬器51が安全に基準階nに着床することができる位置である。
【0109】
図11は、仕切板82が位置P1にある状態のエレベータ装置10aを示している。図11に示すように、位置P1は、上側搬器50が基準階nに着床する際に、上側搬器50が仕切板82に接触することが無く、上側搬器50が安全に基準階nに着床することができる位置である。
【0110】
図12は、一方のフレーム81を拡大して示す斜視図である。図12に示すように、クライミング装置100は、フレーム81を利用して構成される。言い換えると、フレーム81を構成要素の1つとしている。
【0111】
クライミング装置100は、一方のフレーム81を備える第1の部分101と、他方のフレーム81を備える第2の部分102とを備えている。第1の部分101の構造と第2の部分102の構造とは同じである。第1の部分101の構造を代表して説明する。図12は、第1の部分101を示している。
【0112】
図12に示すように、第1の部分101は、フレーム81と、フレーム81に対してスライド可能なスライド部103と、スライド部103をスライドさせる一対の電動シリンダ110と、クライミング装置用操作装置120と、第1の連結装置130と、第2の連結装置140とを備えている。
【0113】
スライド部103は、スライド基部104と、スライドブロック105とを備えている。スライド部103は、本発明で言う移動部の一例である。スライド基部104は、第1の方向Aに対して垂直な方向に延びており、フレーム用本体縦壁部86の第1,4の柱部91,94内側面間に収容される長さを有している。
【0114】
スライド基部104には、第2,3の柱部92,93が相対的に移動可能に収容される溝106が形成されている。第2,3の柱部92,93が溝106に収容されることによって、スライド基部104は、第1の方向Aに移動可能である。スライドブロック105は、スライド基部104に固定されており、第2,3の柱部92,93間の隙間に収容されている。
【0115】
一対の電動シリンダ110は、互いに同じ構造である。電動シリンダ110は、シリンダ111と、シリンダ111に対して進退可能なピストンロッド112と、シリンダ用電動機113と、シリンダ用電動機113の回転をピストンロッド112に伝達してピストンロッド112の進退運動に変換する伝達機構(図示せず)とを備えている。
【0116】
一方の電動シリンダ110は、フレーム用本体縦壁部86の第1,2の柱部91,92間に収容されている。他方の電動シリンダ110は、第3,4の柱部93,94間に収容されている。
【0117】
各電動シリンダ110において、シリンダ用電動機113は、スライド基部104に固定されている。シリンダ111は、シリンダ用電動機113に固定されている。シリンダ111内には、上記伝達機構が収容されている。シリンダ111は、第1の方向Aに延びている。ピストンロッド112は、シリンダ111に対して第1の方向Aに沿って進退可能である。ピストンロッド112の先端部は、連結部95に固定されている。
【0118】
このように、フレーム81とスライド部103とは、電動シリンダ110を介して連結される。フレーム81は、基準階nの床部6に固定されているので、シリンダ用電動機113の回転に起因してシリンダ111に対してピストンロッド112が進退すると、フレーム81に対してスライド部103が第1の方向Aに移動する。電動シリンダ110は、本発明で言う移動部用駆動部の一例である。
【0119】
クライミング装置用操作装置120は、作業員によって操作されるともに、この操作に応じてシリンダ用電動機113の動作を制御する。クライミング装置用操作装置120は、フレーム81の近傍に配置されている。クライミング装置用操作装置120は、図12にのみ図示している。クライミング装置用操作装置120は、例えば、上昇運転釦121と、下降運転釦122とを備えている。上昇運転釦121が押されると、スライド部103が上昇する。下降運転釦122が押されるとスライド部103が下降する。
【0120】
第1の連結装置130は、フレーム81とポスト20とを、第1の方向Aに連結する。第1の連結装置130は、本発明で言う第1の連結手段の一例である。第1の連結装置130は、ポスト20に設けられるポスト側ピン受け部131と、フレーム81に設けられるフレーム側ピン受け部137と、ピン133を備えてこのピン133を動作するピン動作部134と、操作レバー135とを備えている。
【0121】
ポスト側ピン受け部131は、板形状であって、中央にピン133が挿入可能なポスト側ピン孔136が形成されている。ポスト側ピン孔136は、第1の方向Aに延びる長孔形状である。ポスト側ピン受け部131は、ポスト20において本体縦壁部86の第2,3の柱部92,93間の隙間に対向する位置に配置されている。ポスト側ピン受け部131は、1つのポストユニット21に1つ設けられており、ポストユニット21の第1の方向Aに沿って中央に配置されている。
【0122】
フレーム側ピン受け部137は、下方に突出する突出部138を備える板形状であって、フレーム81の第2,3の柱部92,93間の隙間内に収容されており、第2,3の柱部92,93に固定されている。突出部138の先端部には、ピン133が挿入可能なフレーム側ピン孔139が形成されている。フレーム側ピン孔139は、ピン133の断面形状と略同じ形状であって、ピン133との間にピン133をスムーズに挿入、引き抜きができる程度の隙間を有する。なお、ピン133の断面形状は、ピン133が延びる方向に垂直な断面の形状である。ポスト側ピン孔136と、フレーム側ピン孔139とは、フレーム81に対してポスト20の位置を第1の方向Aに調整すると、互いに対向する。なお、ここで言う対向するとは、第1の方向Aに垂直な方向に対向することであり、本実施形態では、一例として第2の方向Bに対向することである。
【0123】
ピン動作部134は、第3の柱部93に設けられている。ピン動作部134は、ピン133と、ピン133をフレーム側ピン孔139に対して挿入する動作とフレーム側ピン孔139に挿入されたピン133を引き抜く動作をするアーム部141と、操作レバー135に入力される操作をアーム部141に伝達し、アーム部141に上記挿入、引き抜きの動作を行わせる伝達シャフト142とを備えている。
【0124】
操作レバー135を図12に示す矢印で示す方向Cに回すと、アーム部141は、フレーム側ピン孔139からピン133を引き抜く。操作レバー135を、方向Cに対して逆の方向Dに回すと、アーム部141は、フレーム側ピン孔139にピン133を挿入する。
【0125】
ピン133は、フレーム側ピン孔139とポスト側ピン孔136とが互いに対向するときに、フレーム側ピン孔139を貫通し、ポスト側ピンの孔136に挿入される長さを有している。ピン133がフレーム側ピン孔139とポスト側ピン孔136とに挿入されることによって、ポスト20は、ピン133を介して、第1の方向Aにフレーム81に連結される。
【0126】
第2の連結装置140は、ポスト20とスライド部103とを第1の方向Aに連結する。第2の連結装置140は、本発明で言う第2の連結手段の一例である。第2の連結装置140は、スライドブロック105においてスライド基部104側の端部に固定されるスライド部側ピン受け部143と、ポスト側ピン受け部131と、ピン144とを備えている。なお、ピン144は、ピン133と同じ構造(形状)である。
【0127】
スライド部側ピン受け部143は、板形状であって、スライドブロック105の下端部に固定されている。なお、スライドブロック105は、フレーム側ピン受け部138に対して、第1の方向Aに平行な近くづく方向とはなれる方向とに移動する。スライドブロック105は、フレーム側ピン受け部137に近づいた際に、フレーム側ピン受け部137の突出部138と干渉しないように、突出部138を収容する凹部が形成されている。
【0128】
スライド部側ピン受け部143には、ピン144を挿入可能なスライド部側ピン孔145が形成されている。スライド部側ピン孔145は、ピン144と略同じ大きさを有しており、ピン144に対して、ピン144が挿入可能でありかつピン144を引き抜くことができる程度の隙間分大きい形状である。
【0129】
スライド部側ピン受け部143に対するポスト20の位置を、第1の方向Aに調整することによって、スライド部側ピン孔145とポスト側ピン孔136とは対向する。ここで言う対向とは、第1の方向Aに垂直な方向に対向することであって、本実施形態では、一例として第2の方向Bに対向する。
【0130】
ピン144は、作業員によって、スライド部側ピン孔145に挿入される。ピン孔145は、スライド部側ピン孔145と、ポスト側ピン孔136とが対向する状態では、スライド部側ピン孔145を貫通してポスト側ピン孔136に挿入される長さを有している。ピン144がスライド部側ピン孔145とポスト側ピン孔136とに挿入されることによって、スライド部103とポスト20とは、第1の方向Aに連結される。
【0131】
上記したように、ポスト側ピン孔136は、第1の方向Aに長い長孔形状である。フレーム側ピン孔139の形状とスライド部側ピン孔145の形状とは、互いに同じであり、ピン133,145の断面形状に対してピン133,145を挿入引き抜きができる程度の隙間分大きい。このため、シリンダ用電動機113を動作させてシリンダ111に対してピストンロッド112を進退させてピン133,145の一方に荷重をかけると、ピン133,145の他方に荷重が掛からなくなるのでこの他方のピンをスムーズに引き抜くことができる。
【0132】
つぎに、エレベータ装置10aの動作を説明する。まず、上側搬器50と下側搬器51と仕切装置80の動作について説明する。本実施形態においても、上,下側搬器50,51の動作は、第1の実施形態で説明された動作と同じである。仕切装置80の動作は、第1の実施形態で説明された仕切装置60の動作と同じである。なお、仕切装置用制御部65は、下側搬器50が基準階nに着床する際には仕切板82を位置P2に移動し、上側搬器50が基準階nに着床する際には仕切板82を位置P1に移動する。
【0133】
つぎに、クライミング装置100の逆クライミング動作の一例を説明する。逆クライミング動作とは、ポスト20を下方に下げる動作である。逆クライミング動作中、上側搬器50と下側搬器51とは、ともに搬器用電動機57は動作せずポスト20に対して固定されており、それゆえ、ポスト20ともに下降する。仕切装置80は、仕切板82が第2の位置P2に移動するとともに、仕切装置用電動機63を回転フリー状態にすることによって、位置P2にある状態が保たれる。
【0134】
図13は、ポスト20がベース23によって第1の方向Aに支持されており、第1,2の連結装置130,140のピン133,144が、ポスト20とフレーム81、および、ポスト20とスライド部103とを第1の方向Aに連結していない状態での第1の部分101を示す正面図である。
【0135】
図14は、ポスト側ピン孔136とスライド部側ピン孔145とフレーム側ピン孔139とを示す概略図である。図14(a)は、図13に示す状態でのポスト側ピン孔136とスライド部側ピン孔145とフレーム側ピン孔139とを示している。図14(a)に示す状態では、一例として、スライド部側ピン孔145は、ポスト側ピン孔136の中心に重なっている。そして、フレーム側ピン孔139は、ポスト側ピン孔136の下部と重なっている。
【0136】
逆クライミングをする場合、まず、図13に示すように、ポスト20の上端にポストユニット21を連結する。ついで、クライミング装置用操作装置120を操作してシリンダ用電動機113を動作し、スライド部103を上昇する。そして、図14(b)に示されるように、スライド部103を、最上端位置近傍でスライド部側ピン孔145がポスト側ピン孔136の中心と重なる位置に合わせる。スライド部側ピン孔145をポスト側ピン孔136の中心と重なる位置に合わせることは、スライド部側ピン孔145にピン144をスムーズに挿入するためである。スライド部側ピン孔145にスムーズにピン144が挿入できれば、スライド部側ピン孔145はポスト側ピン孔136の第1の方向Aの中心に重ねなくてもよい。
【0137】
ついで、図14(c)に示すように、ピン144をスライド部側ピン孔145とポスト側ピン孔136とに挿入する。ついで、操作装置120を操作して、図14(d)に示すようにスライド部側ピン孔145の縁にピン144を介してポスト20の荷重が加わる位置までスライド部103を上昇する。ついで、ベース用アウトリガー32を縮めて、ベース用アウトリガー32が床部6にのらない状態する。このことによって、アウトリガー32によるポスト20の支持が解除されるので、ポスト20は、スライド部103によってのみ支持される。
【0138】
ついで、操作装置120を制御してスライド部103を下げる。スライド部103の下降に伴ってポスト20が下降する。図15は、スライド部103が下降している状態を示している。
【0139】
図14(e)は、スライド部103が、スライド部103の最下端位置近傍であってフレーム側ピン孔139がポスト側ピン孔136の中心に重なる位置までスライド部103が下がった状態を示している。この位置までスライド部103が下がると、操作装置120が操作されてスライド部103の移動を停止する。なお、フレーム側ピン孔139をポスト側ピン孔136の中心に重なる位置に合わせることは、フレーム側ピン孔139にピン133をスムーズに挿入するためである。フレーム側ピン孔139にピン133をスムーズに挿入できれば、フレーム側ピン孔139をポスト側ピン孔136の中心に重ねなくてもよい。
【0140】
ついで、図14(f)に示すように、第1の連結装置130の操作レバー135を操作して、ピン133をフレーム側ピン孔139とポスト側ピン孔136とに挿入する。図16は、図14(f)に対応する第1の部分101を示している。
【0141】
ついで、図14(g)に示すように、操作装置120を制御して、ポスト20の荷重がピン133を介してフレーム側ピン孔139の縁にかかるように、スライド部103を少し下げる。本実施形態では、スライド部103を最下端位置まで下げる。ついで、操作装置120を操作して、スライド部側ピン孔145がポスト側ピン孔136の中心に重なるようにする。本実施形態では、スライド部103を最下端位置まで下げると、スライド部側ピン孔145がポスト側ピン孔136中心に重なるので、スライド部側ピン孔145がポスト側ピン孔136の中心に重なるようにスライド部103を移動する作業は不要となる。
【0142】
ついで、図14(h)に示すように、ピン144を引き抜く。このことによって、ポスト20は、下降した位置でフレーム81に支持される。ついで、図14(i)に示すように、スライド部103を、最上端付近においてスライド部側ピン孔145がポスト側ピン孔136の中心に重なる位置まで上昇する。ついで、ピン144を挿入する。
【0143】
ついで、図14(j)に示すように、ポスト20の荷重をピン144を介してスライド部側ピン孔145の縁で受けるために、操作装置120を操作してスライド部103を少し上昇させる。このとき、ポスト側ピン孔136が第1の方向Aに長い長孔形状であることによって、ポスト20の荷重がピン133を介してフレーム81にかかることが解除される。
【0144】
ついで、図14(k)に示すように、ポスト20の上端にポストユニット21を連結する。ついで、図14(d)に示すように、ピン133を引き抜く。以降は、図14(d)〜図14(k)の動作が繰り返されることによって、ポスト20が下降する。
【0145】
ポスト20を上昇するクライミング動作では、上記した逆クライミング動作と同様に、ピン133,145の挿入および引き抜きとスライド部103の移動とによってポスト20の荷重がフレーム81とスライド部103とに交互に加わるようにするとともにスライド部103を移動することによって、ポスト20を上昇する。
【0146】
このように構成されるエレベータ装置10aでは、第1の実施形態と同じ効果が得られる。さらに、仕切装置80がフレーム81を備えることによって、仕切板82は第1,2の当接部83,84に当接する。このことによって、万が一、仕切装置80が上側搬器50に当接し、上側搬器50から入力される荷重によって下方に付勢されても、第2の位置P2より下方に下がることはない。さらに、第2の位置P2まで下がると、上側搬器50から入力される付勢力は、フレーム81を介して建物5に伝達される。言い換えると、フレーム81を利用することによって、上側搬器50から入力される付勢力を、建物5で支えることができる。
【0147】
また、クライミング装置100が仕切装置80のフレーム81を利用する構造であることによって、クライミング装置100の構成部品数を削減することができる。
【0148】
また、ポスト20を逆クライミングする際では、ポスト20の荷重は、第1の連結装置130または第2の連結装置140によってフレーム81をかいして建物5で支えられる。
【0149】
このため、地面1でポスト20の荷重を受けることがないので、下の階を形成した後であっても、直ぐにポスト20を逆クライミングすることができる。この点を具体的に説明する。
【0150】
フレーム81がない場合は、ポスト20を逆クライミングする場合、ポスト20を一旦地面1に接触するまで下げてポスト20の荷重が地面1で支えられる状態にした後、ベース用アウトリガー32がいずれかの床部6にのるように調整してポスト20の荷重をいずれかの床部6で支持されるようにする必要がある。
【0151】
地面1は、ポスト20の荷重を支えられるように整備される必要があり、地面1を整備する時間が必要になる。このため、ポスト20は、地面1の整備が完了するまで下げることができない。
【0152】
しかしながら、本実施形態では、ポスト20を逆クライミングする際では、ポスト20の荷重は、フレーム81を介して建物5で支持されるので、地面1で支持する必要がない。言い換えると、地面1を整備する必要がないので、ポスト20を直ぐに下げることができる。
【0153】
なお、本実施形態では、クライミングまたは逆クライミングする際にポスト20を長くするので、これに合わせてレール28の長さが変化する。このため、レール28に対する仕切板82の位置と、上,下側搬器50,51の位置とが変化する。仕切装置用制御部65と、上,下側搬器50,51の搬器用制御部55とは、レール28の長さが更新されることによって、レール28に対する仕切板82と上,下側搬器50,51の位置の情報を更新する。このことによって、仕切装置用制御部65は、レール28の長さが変化しても、仕切板82の位置を正確に検出することができる。上側搬器50の搬器用制御部55は、上側搬器50が建物5のどの階に位置しているか検出できる。下側搬器51の搬器用制御部55は、下側搬器51が建物5のどの階に位置しているか検出できる。
【0154】
第1,2の実施形態では、2つのポスト20が用いられている。しかしながら、ポスト20の数は限定されるものではない。例えば、ポスト20は、1つであっても良い。
【0155】
また、第1,2の実施形態では、複数の搬器の一例として、上側搬器50と下側搬器51とが用いられた。しかしながら、2つの搬器を用いることに限定されない。例えば、搬器を3つや4つなど他の複数用いてもよい。この場合、レールに沿って隣り合う一対の搬器間に、第1の実施形態で説明された仕切装置60、または、第2の実施形態で説明された仕切装置80が設けることによって、第1の実施形態の効果と同様の効果、または、第2の実施形態の効果と同様の効果が得られる。
【0156】
また、第1の実施形態では、仕切装置60の仕切板61は、第1の方向Aに下側搬器51の全体を覆っている。第2の実施形態では、仕切装置80の仕切板82は、第1の方向Aに下側搬器51の全体を覆っている。しかしながら、全体を覆うことに限定されるものではない。少なくとも一部を覆うことによって、同様の効果が得られる。より好ましくは、第1,2の実施形態で説明されたように全体を覆うと、上側搬器50からの落下物が下側搬器51に当ることをより一層抑制することができる。
【0157】
また、ポスト側ピン孔136は、本実施形態では、長孔である。しかしながら、ポスト側ピン孔136は、フレーム側ピン孔139とスライド部側ピン孔145と同様に、ピン133,145の断面形状に対して、ピン133,145を挿入、引き抜きが出来る程度の隙間分大きい円であってもよい。
【0158】
また、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0159】
10…エレベータ装置、10a…エレベータ装置、28…レール(ガイド部)、50…上側搬器(搬器)、51…下側搬器(搬器)、55…搬器用制御部(制御手段)、60…仕切装置、61…仕切板(仕切部)、63…仕切装置用電動機(仕切部用駆動部)、65…仕切装置用制御部(制御手段)、80…仕切装置、81…フレーム(固定部)、82…仕切板(仕切部)、83…第1の当接部、84…第2の当接部、100…クライミング装置、103…スライド部(移動部)、110…電動シリンダ(移動部用駆動部)、130…第1の連結装置(第1の連結手段)、140…第2の連結装置(第2の連結手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力の作用する方向に延びるガイド部と、
前記ガイド部に沿って互いに独立して移動可能な複数の搬器と、
前記複数の搬器のうち前記ガイド部に沿って隣り合う一対の搬器間に配置されて前記一対の搬器のうち重力の作用する方向下方に位置する搬器の少なくとも一部を前記ガイド部が延びる方向に覆う仕切装置と
を具備する
ことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記仕切装置は、
前記一対の搬器間に配置されて前記一対の搬器のうち重力の作用する方向下方に位置する搬器の少なくとも一部を前記ガイド部が延びる方向に覆う仕切部と、
前記仕切部を前記ガイド部が延びる方向に移動する仕切部用駆動部と
を具備することを特徴とする請求項1の記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記仕切装置は、
所定階に固定される固定部と、
前記固定部において前記一対の搬器のうち一方の搬器が前記所定階に着床できる位置に設けられて、前記一方の搬器から前記仕切部に向かう方向に前記仕切部が当接する第1の当接部と、
前記固定部において前記一対の搬器のうちの他方の搬器が前記所定階に着床できる位置に設けられて、前記他方の搬器から前記仕切部に向かう方向に前記仕切板が当接する第2の当接部と
を具備することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、さらにクライミング装置を具備し、
前記クライミング装置は、
前記固定部に対して前記ガイド部が延びる方向に移動可能な移動部と、
前記移動部を前記固定部に対して前記ガイド部が延びる方向に移動可能とする移動部用駆動部と、
前記フレームを前記レールに解除可能に連結する第1の連結手段と、
前記移動部を前記ガイド部に解除可能に連結する第2の連結手段と
を具備することを特徴とするエレベータ装置。
【請求項5】
前記仕切装置は、制御手段を具備し、
前記制御手段は、
前記一対の搬器のうち一方の搬器が所定階に着床するときに、前記仕切部駆動部を制御して前記仕切部を前記仕切部が前記一方の搬器に接触しない位置に移動するとともに前記一対の搬器のうち他方の搬器の移動範囲を前記他方の搬器が前記仕切部に接触しない範囲に制限し、
前記一対の搬器のうち他方の搬器が前記所定階に着床するときに、前記仕切部用駆動部を制御して前記仕切部を前記仕切部が前記他方の搬器に接触しない位置に移動するとともに前記一方の搬器の移動範囲を前記一方の搬器が前記仕切部に接触しない範囲に制限する
ことを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項に記載のエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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