説明

エレベータ

【課題】エレベータでの情報表示のための作業を容易にし、かつ表示のための電力消費を抑制する。
【解決手段】メンテナンス員が、情報端末14への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報が表示制御装置13に送信されるとともに、更新のための電力が表示制御装置13に供給される。表示制御装置13は、情報端末14からの電力を電子ペーパ11に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を電子ペーパ11に送信することで、当該電子ペーパ11の表示情報を更新する。電子ペーパ11の表示情報は、表示制御装置13からの次回の表示情報の送信まで維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に表示装置を取り付けたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駅構内などでエレベータの昇降路がガラス張りになっているエレベータが多く設置されるようになってきた。このようなエレベータにおいて、例えば特許文献1に開示されるように、エレベータの乗りかごやつり合いおもりに広告などを設けたものがある。
【0003】
図9は、従来のエレベータにおける情報表示の形態の概略を示す図である。このエレベータは、乗りかご31とつり合いおもり32が懸架されたワイヤロープを電動機33が制御盤34による制御にしたがって移動させることによって、乗りかご31を昇降させる。
【0004】
このエレベータでは、乗りかご31の外壁に広告用の紙41を貼り付けており、つり合いおもり32に広告用の紙42を貼り付けている。
【0005】
駅のホームように、人が多く集まり待ち時間があるような場所においては、広告による宣伝効果が大きく、乗りかご31の昇降で表示が移動することにより、さらに人の注目を集めやすい。
【0006】
また、駅のホーム階と改札階を結ぶ2階床停止のエレベータにおいては、各階において乗りかごまたはつり合いおもりが存在することになるので、広告表示を人に見せる時間を長くとることができる。
【特許文献1】特開2003−246567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年のエレベータにおいては、昇降路の空間をできるだけ小さくするものが多く、乗りかご外壁やつり合いおもりの広告の紙を張替える作業が非常に困難である。
【0008】
このような張替え作業を無くすには、紙ではなく液晶パネルや発光ダイオードパネルなどを乗りかご外壁やつり合いおもりに設置することが考えられるが、液晶パネルや発光ダイオードパネルを表示媒体とした表示器は、紙と比較して重量が重い上、表示状態を維持する間は常に電力の供給が必要であり、多大な電力消費を要してしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、情報表示のための作業を容易にし、かつ表示のための電力消費を抑制することが可能になるエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係わるエレベータは、乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられた電子ペーパと、電子ペーパの表示用情報を送信するための外部装置と接続され、当該外部装置から送信された表示用情報を電子ペーパに表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エレベータでの情報表示のための作業を容易にし、かつ表示のための電力消費を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態にしたがったエレベータは、乗りかご1とつり合いおもり2を備える、つるべ式のエレベータである。乗りかご1は、電動機3のモータ軸に設けられたシーブに巻き掛けられたロープを介してつり合いおもり2と連結される。乗りかご1は、テールコード5を介して乗りかご1に接続される制御盤4による制御にともなう電動機3の駆動によるシーブの回転に伴い、つり合いおもり2とともに互いに上下反対方向に昇降する。
【0013】
このエレベータでは、乗りかご1の外壁の側面に、広告などの情報の表示を行なうための電子ペーパ11が貼り付けられ、つり合いおもり2の側面に電子ペーパ12が貼り付けられる。
【0014】
電子ペーパ11には、当該電子ペーパ11への情報表示制御、つまり情報表示開始、書き換え、消去を行なうための表示制御装置13が接続される。この表示制御装置13は乗りかご1の上に設置される。また、電子ペーパ12には、当該電子ペーパ12への情報表示制御を行なうための表示制御装置13bが接続される。この表示制御装置13bはつり合いおもり2の上に設置される。
【0015】
このエレベータの昇降路はガラス張りになっている。よって、昇降路の外にいる乗客は、電子ペーパ11,12に表示された情報を見ることができる。
この実施形態において、乗りかご1の外壁に貼り付けた電子ペーパ11の表示を更新する際には、メンテナンス員が乗りかご1の上に乗り、電子ペーパ11に接続される表示制御装置13に例えばパーソナルコンピュータなどの情報端末14を接続する。
【0016】
情報端末14の図示しない記憶装置には電子ペーパ11,12への更新用の表示情報が記憶される。メンテナンス員が、情報端末14への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報が表示制御装置13に送信されるとともに、表示更新のための電力が表示制御装置13に供給される。
【0017】
表示制御装置13は、情報端末14からの電力を電子ペーパ11に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を電子ペーパ11に送信することで、当該電子ペーパ11の表示情報を更新する。
【0018】
メンテナンス員は、表示情報の送信が完了した後は、表示制御装置13と情報端末14の接続を外すことで、作業が完了となる。作業完了後は、表示制御装置13からの次回の表示情報の送信まで、電子ペーパ11の表示が維持される。
【0019】
また、つり合いおもり2に貼り付けた電子ペーパ12の表示を更新する際には、メンテナンス員が乗りかご1の上に乗り、つり合いおもり2が乗りかご1と並ぶ程度まで乗りかご1を移動する。
【0020】
その後、つり合いおもり2の上の表示制御装置13bに情報端末14を接続し、メンテナンス員が、情報端末14への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報が表示制御装置13bに送信されるとともに、表示更新のための電力が表示制御装置13bに供給される。
【0021】
表示制御装置13bは、情報端末14からの電力を電子ペーパ12に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を電子ペーパ12に送信することで、当該電子ペーパ12の表示情報を更新する。
【0022】
メンテナンス員は、表示情報の送信が完了した後は、表示制御装置13bと情報端末14の接続を外すことで、作業が完了となる。作業完了後は、表示制御装置13bからの次回の表示情報の送信まで、電子ペーパ12の表示が維持される。
【0023】
また、乗りかご1の外壁に貼り付けた電子ペーパ11の表示を消去する際には、メンテナンス員が表示消去のための情報端末14への予め定められた操作を行なうことで、消去を示す情報が表示制御装置13に送信されるとともに、表示消去のための電力が表示制御装置13に供給される。
【0024】
表示制御装置13は、情報端末14からの電力を電子ペーパ11に供給するとともに、表示消去を示す情報を電子ペーパ11に送信することで、当該電子ペーパ11の表示情報を消去する。
【0025】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態にしたがったエレベータでは、乗りかご1やつり合いおもり2への表示媒体に電子ペーパを用い、この電子ペーパの表示内容を情報端末14への操作により制御する構成としたので、メンテナンス員による表示更新のための作業が容易になるばかりでなく、表示更新のためにメンテナンス員が乗りかご1やつり合いおもり2に取り付けられた表示媒体を直に手にとって交換する必要がなくなるので、作業の安全性が大幅に向上する。また、表示媒体に液晶を用いる場合と比較して、重量が軽くなるばかりでなく、表示のための電力を大幅に抑えることができる。
【0026】
本実施形態では、表示制御装置13,13bを乗りかご1の上やつり合いおもり2の上にそれぞれ設置しているが、1台の表示制御装置13を電子ペーパ11,12に着脱可能に接続できる構成とすることで、メンテナンス員が表示制御装置13と情報端末14をともに持ち運べるようにすることも可能である。
【0027】
また、表示制御装置13,13bは、設置位置を乗りかご1の上とつり合いおもり2の上として、電子ペーパ11,12の表示更新のための電力供給用の電池を内蔵した上で、情報端末14との間のワイヤレス伝送の機能を持たせる構成としてもよい。
【0028】
この場合、表示制御装置13,13bが、情報端末14からの更新用の表示情報の受信とともに、表示更新用の電力を内蔵電池から電子ペーパ11,12に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を電子ペーパ11,12に送信することで、当該電子ペーパ11,12の表示情報を更新すればよい。
【0029】
このような構成とすることで、メンテナンス員が乗りかご1上やつり合いおもり2上に乗らなくても電子ペーパ11,12の表示を更新することができる。また、この構成をとれば、表示更新作業をメンテナンス員に限ることなく行なうことができる。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る構成のうち図1に示したものと同一部分の説明は省略する。
図2は、本発明の第2の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態では、第1の実施形態で示した表示制御装置13,13bを設ける代わりに、1台の表示制御装置13が機械室内の制御盤4内に設けられる。
【0031】
また、この実施形態では、第1の実施形態と同様に、乗りかご1の外壁には電子ペーパ11が貼り付けられ、つり合いおもり2には電子ペーパ12が貼り付けられる。ただし、電子ペーパ11はテールコード5を経由して制御盤4内の表示制御装置13と接続され、電子ペーパ12はテールコード15を経由して制御盤4内の表示制御装置13と接続される。
【0032】
この実施形態において、乗りかご1やつり合いおもり2に貼り付けた電子ペーパ11,12の表示を更新する際には、メンテナンス員は、制御盤4が設置される機械室に入り、この制御盤4内に設けられた表示制御装置13に情報端末14を接続する。
【0033】
そして、メンテナンス員が、情報端末14への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報が表示制御装置13に送信されるとともに、表示更新のための電力が表示制御装置13に供給される。
【0034】
表示制御装置13は、情報端末14からの電力を、テールコード5を介して電子ペーパ11に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を、テールコード5を介して電子ペーパ11に送信することで、当該電子ペーパ11の表示情報を更新する。
【0035】
また、表示制御装置13は、情報端末14からの電力を、テールコード15を介して電子ペーパ12に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を、テールコード15を介して電子ペーパ12に送信することで、当該電子ペーパ12の表示情報を更新する。
【0036】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態にしたがったエレベータでは、第1の実施形態で説明した効果に加え、メンテナンス員は機械室に入って電子ペーパの表示更新作業を行えばよいので、乗りかご1やつり合いおもり2の上に乗る必要がなくなる。よって、表示更新作業の安全性がより向上する。
【0037】
本実施形態では、表示制御装置13を制御盤4に設置しているが、制御盤4内にテールコード5,15と接続されるコネクタを設け、このコネクタに表示制御装置13を着脱可能に接続できる構成とすることで、メンテナンス員が表示制御装置13と情報端末14をともに持ち運べるようにすることも可能である。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態に係る構成のうち図2に示したものと同一部分の説明は省略する。図3は、本発明の第3の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態では、第2の実施形態と異なり、表示制御装置13が乗りかご1内に設けられる。
【0039】
また、この実施形態では、第2の実施形態と同様に、乗りかご1の外壁には電子ペーパ11が貼り付けられ、つり合いおもり2には電子ペーパ12が貼り付けられる。ただし、電子ペーパ11はテールコードを介さずに乗りかご1内の表示制御装置13と接続され、電子ペーパ12は、テールコード15、制御盤4およびテールコード5を介して乗りかご1内の表示制御装置13と接続される。
【0040】
この実施形態において、乗りかご1やつり合いおもり2に貼り付けた電子ペーパ11,12の表示を更新する際には、メンテナンス員は、乗りかご1内に入り、この乗りかご1内に設けられた表示制御装置13に情報端末14を接続する。
【0041】
そして、メンテナンス員が、情報端末14への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報が表示制御装置13に送信されるとともに、表示更新のための電力が表示制御装置13に供給される。
【0042】
表示制御装置13は、情報端末14からの電力を電子ペーパ11に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を電子ペーパ11に送信することで、当該電子ペーパ11の表示情報を更新する。
【0043】
また、表示制御装置13は、情報端末14からの電力を、テールコード15、制御盤4およびテールコード5を介して電子ペーパ12に供給するとともに、情報端末14からの更新用の表示情報を、テールコード15、制御盤4およびテールコード5を介して電子ペーパ12に送信することで、当該電子ペーパ12の表示情報を更新する。
【0044】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態にしたがったエレベータでは、第2の実施形態で説明した効果に加え、メンテナンス員は乗りかご1内に入って電子ペーパの表示更新作業を行えばよいので、表示更新作業が一層容易となる。
【0045】
本実施形態では、表示制御装置13を乗りかご1内に設置しているが、乗りかご1の中に電子ペーパ11やテールコード5と接続されるコネクタを設け、このコネクタに表示制御装置13を着脱可能に接続できる構成とすることで、メンテナンス員が表示制御装置13と情報端末14をともに持ち運べるようにすることも可能である。
【0046】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図4は、本発明の第4の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態では、第2の実施形態と同様に、表示制御装置13が機械室内の制御盤4内に設けられる。ただし、表示制御装置13は、制御盤4から昇降路内に配設されるケーブル21を介して乗り場のコネクタ22と接続されており、このコネクタ22に情報端末14を接続できる構成となっている。電子ペーパ11,12と表示制御装置13の間の接続形態は、第2の実施形態と同じである。
【0047】
この実施形態において、乗りかご1およびつり合いおもり2に貼り付けた電子ペーパ11,12の表示を更新する際には、メンテナンス員は、コネクタ22が設けられた乗り場に移動し、この乗り場に設けられたコネクタ22に情報端末14を接続する。
【0048】
そしてメンテナンス員が、情報端末14への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報がコネクタ22およびケーブル21を介して表示制御装置13に送信されるとともに、表示更新のための電力が表示制御装置13に供給される。以降の表示制御装置13の動作は第2の実施形態で説明した動作と同じである。
【0049】
以上説明したように、本発明の第4の実施形態にしたがったエレベータでは、第2の実施形態で説明した効果に加え、メンテナンス員はコネクタ22が設けられた乗り場に移動して電子ペーパの表示更新作業を行えばよいので、表示更新作業が一層容易となる。
【0050】
本実施形態では、表示制御装置13を制御盤4内に設置しているが、制御盤4内にテールコード5,15に接続される中継装置を設け、この中継装置からケーブルを乗り場まで引いた先のコネクタに表示制御装置13を着脱自在に接続できる構成とすることで、メンテナンス員が表示制御装置13と情報端末14をともに持ち運べるようにすることも可能である。
【0051】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図5は、本発明の第5の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態では、第2の実施形態と同様に、表示制御装置13が機械室内の制御盤4内に設けられる。ただし、制御盤4内には、エレベータ監視室23内のエレベータ監視室情報端末17との間の通信を行なうための監視装置インタフェース16が表示制御装置13と接続されて設けられる。つまり表示制御装置13は、監視装置インタフェース16経由で、エレベータ監視室23内のエレベータ監視室情報端末17と接続される。電子ペーパ11,12と表示制御装置13の間の接続形態は、第2の実施形態と同じである。
【0052】
また、表示制御装置13には、電子ペーパ11,12の表示更新に必要な分の電力を供給するための電池が内蔵される。
エレベータ監視室情報端末17は、通常の機能、つまりエレベータの運行状況などを監視するための機能に加え、電子ペーパ11,12の表示更新機能を有する。エレベータ監視室情報端末17の図示しない記憶装置には、第2の実施形態で説明した情報端末14と同様に、電子ペーパ11,12への更新用の表示情報が記憶される。
【0053】
この実施形態において、乗りかご1やつり合いおもり2に貼り付けた電子ペーパ11,12の表示を更新する際には、エレベータ監視室23の監視員がエレベータ監視室情報端末17への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報が表示制御装置13に送信される。
【0054】
表示制御装置13は、内蔵電池の電力を表示更新のための電力としてテールコード5を介して電子ペーパ11に供給するとともに、エレベータ監視室情報端末17からの更新用の表示情報を、テールコード5を介して電子ペーパ11に送信することで、当該電子ペーパ11の表示情報を更新する。
【0055】
また、表示制御装置13は、内蔵電池の電力を表示更新のための電力としてテールコード15を介して電子ペーパ12に供給するとともに、エレベータ監視室情報端末17からの更新用の表示情報を、テールコード15を介して電子ペーパ12に送信することで、当該電子ペーパ12の表示情報を更新する。
【0056】
以上説明したように、本発明の第5の実施形態にしたがったエレベータでは、第2の実施形態で説明した効果に加え、エレベータ監視室23内の監視員がエレベータ監視室情報端末17を用いて電子ペーパの表示更新作業を行えばよいので、エレベータ外からでも表示更新作業を行なうことができる。
【0057】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図6は、本発明の第6の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態では、第2の実施形態と同様に、表示制御装置13が機械室内の制御盤4内に設けられる。ただし、制御盤4内には、エレベータ遠隔監視センタ24内の監視センタ情報端末19との間の通信を行なうための遠隔監視装置18が表示制御装置13と接続されて設けられる。遠隔監視装置18は通信回線25を経由して監視センタ情報端末19と接続される。つまり表示制御装置13は、遠隔監視装置18経由でエレベータ遠隔監視センタ内の監視センタ情報端末19と接続される。電子ペーパ11,12と表示制御装置13の間の接続形態は、第2の実施形態と同じである。
【0058】
監視センタ情報端末19は、通常の機能、つまりエレベータの運行状況などを監視するための機能に加え、電子ペーパ11,12の表示更新機能を有する。監視センタ情報端末19の図示しない記憶装置には、第2の実施形態で説明した情報端末14と同様に、電子ペーパ11,12への更新用の表示情報が記憶される。
【0059】
この実施形態において、乗りかご1やつり合いおもり2に貼り付けた電子ペーパ11,12の表示を更新する際には、エレベータ遠隔監視センタ24の監視員が、監視センタ情報端末19への予め定められた操作を行なうことで、更新用の表示情報が表示制御装置13に送信される。以降の表示制御装置13の動作は第5の実施形態で説明した動作と同じである。
【0060】
以上説明したように、本発明の第6の実施形態にしたがったエレベータでは、第2の実施形態で説明した効果に加え、エレベータ遠隔監視センタ24内の監視員が、監視センタ情報端末19を用いて電子ペーパの表示更新作業を行えばよいので、エレベータ遠隔監視センタ24からでも表示更新作業を行なうことができる。
【0061】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図7は、本発明の第7の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態では、第2の実施形態と同様に、表示制御装置13が機械室内の制御盤4内に設けられる。また、制御盤4内には、エレベータ監視室23内のエレベータ監視室情報端末17との間の通信を行なうための監視装置インタフェース16が表示制御装置13と接続されて設けられる。電子ペーパ11,12と表示制御装置13の間の接続形態は、第2の実施形態と同じである。
【0062】
ただし、本実施形態では、エレベータ監視室情報端末17は、乗りかご1の停止ごと、または時間帯などに応じた更新用の表示情報を送信する機能を有する。
エレベータ監視室情報端末17は、乗りかご1の停止ごとに更新用の表示情報を送信するには、停止回数や停止階床に応じた更新用の表示情報を記憶装置に記憶しておき、制御盤4から監視装置インタフェース16を介して乗りかご1の停止階床を示す信号を入力するごとに、停止回数や停止階床に応じた更新用の表示情報を記憶装置から読み出して監視装置インタフェース16を介して表示制御装置13に送信する。
【0063】
また、エレベータ監視室情報端末17は、時間帯によって更新用の表示情報を送信するには、時間帯に応じた更新用の表示情報を記憶装置に記憶しておき、内蔵時計により計時した時刻が予め定められた時刻となった場合に、この時刻が属する時間帯に応じた更新用の表示情報を記憶装置から読み出して監視装置インタフェース16を介して表示制御装置13に送信する。以降の表示制御装置13の動作は第5の実施形態で説明した動作と同じである。
【0064】
図7に示した例は、電子ペーパ11,12に個別の情報を表示させた例である。この例では、エレベータ監視室情報端末17は、予め定められた時間帯となった場合に、「○○フェア開催中」との文字でなる表示用情報を電子ペーパ11への表示情報である旨を示す制御情報とともに送信し、「7階 ○○物産展」とのとの文字でなる表示用情報を電子ペーパ12への表示情報である旨を示す制御情報ともに送信する。表示制御装置13は、これらの表示情報を図7に示すように電子ペーパ11,12にそれぞれ表示させる。
【0065】
以上説明したように、本発明の第7の実施形態にしたがったエレベータでは、第5の実施形態で説明した効果に加え、乗りかご1やつり合いおもり2の電子ペーパ11,12の表示内容を自動的に更新することができるので、さまざまな情報を表示することができる。
【0066】
本実施形態では、エレベータ監視室23のエレベータ監視室情報端末17から更新用の情報を自動的に送信する構成としたが、これに限らず図6に示したエレベータ遠隔監視センタ24内の監視センタ情報端末19から更新用の情報を自動的に送信する構成としてもよいし、制御盤4内などに表示情報を自動で送信する装置を別途設ける構成とすることも可能である。
【0067】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図8は、本発明の第8の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図である。
この実施形態では、第2の実施形態と同様に、表示制御装置13が機械室内の制御盤4内に設けられる。また、この第8の実施形態では情報端末14は用いない。ただし、制御盤4内には、エレベータの運行状況に応じた表示用情報の送信を行なうためのエレベータ運行状況表示装置20が表示制御装置13と接続されて設けられる。
【0068】
エレベータ運行状況表示装置20の図示しない記憶装置には、エレベータ運行状況に応じた表示用情報が記憶される。
また、エレベータ運行状況表示装置20には、電源供給がカットされた場合の、電子ペーパ11,12の表示更新に必要な分の電力を供給するための電池が内蔵される。
【0069】
制御盤4は、停電や夜間のエレベータ電源カット時に、これを示す電源遮断信号をエレベータ運行状況表示装置20に送信する。
エレベータ運行状況表示装置20は、電源遮断信号を入力した場合に、「運行停止中」などの文字である電源遮断時表示用情報を表示制御装置13に送信し、表示更新用の電力を内蔵電池から表示制御装置13に供給する。
【0070】
また、制御盤4は運転モードがメンテナンス時の運転モードである点検運転モードに切り替わった場合に、これを示す点検時信号をエレベータ運行状況表示装置20に送信する。
【0071】
エレベータ運行状況表示装置20は、点検時信号を入力した場合に、表示制御装置13に対して、「メンテナンス中」などの文字である点検時表示用情報を送信し、表示更新用の電力を内蔵電池から表示制御装置13に供給する。
【0072】
また、制御盤4は、停電が復旧したりエレベータの運行時間帯となって電源が復旧したりした場合に、これを示す復帰信号をエレベータ運行状況表示装置20に送信する。また、制御盤4は、メンテナンス作業が終了して運転モードが通常運転モードに切り替わった場合に、これを示す復帰信号をエレベータ運行状況表示装置20に送信する。
【0073】
エレベータ運行状況表示装置20の記憶装置には通常時の表示用情報が記憶されており、前述した復帰信号を制御盤4から入力すると、表示制御装置13に対して、通常時の表示用情報を送信し、表示更新用の電力を内蔵電池から表示制御装置13に供給する。
【0074】
また、エレベータ運行状況表示装置20は、制御盤4からの点検時信号を入力した後で、メンテナンス時において電源がカットされたことにより電源遮断信号を入力した場合、つまり、復帰信号を入力する前に電源遮断信号を入力した場合には、点検時表示用情報の表示の維持が必要であるとして、前述した電源遮断時表示用情報の送信は行わない。
【0075】
表示制御装置13は、エレベータ運行状況表示装置20からの電力を、テールコード5を介して電子ペーパ11に供給するとともに、エレベータ運行状況表示装置20からの表示情報を、テールコード5を介して電子ペーパ11に送信することで、当該電子ペーパ11の表示情報を更新する。
【0076】
また、表示制御装置13は、エレベータ運行状況表示装置20からの電力を、テールコード15を介して電子ペーパ12に供給するとともに、エレベータ運行状況表示装置20からの表示情報を、テールコード15を介して電子ペーパ12に送信することで、当該電子ペーパ12の表示情報を更新する。
【0077】
以上説明したように、本発明の第8の実施形態にしたがったエレベータでは、第1の実施形態で説明した効果に加え、エレベータ運行状況を乗りかご外壁やつり合いおもりに表示することで、エレベータ利用客に対してエレベータが利用不可である旨を知らせることができる。
【0078】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図2】本発明の第2の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図3】本発明の第3の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図4】本発明の第4の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図5】本発明の第5の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図6】本発明の第6の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図7】本発明の第7の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図8】本発明の第8の実施形態にしたがったエレベータの表示装置の取り付け形態の概略を示す図。
【図9】従来のエレベータにおける情報表示の形態の概略を示す図。
【符号の説明】
【0080】
1,31…乗りかご、2,32…つり合いおもり、3,33…電動機、4,34…制御盤、5,15…テールコード、11,12…電子ペーパ、13,13b…表示制御装置、14…情報端末、16…監視装置インタフェース、17…エレベータ監視室情報端末、18…遠隔監視装置、19…監視センタ情報端末、20…エレベータ運行状況表示装置、21…ケーブル、22…コネクタ、23…エレベータ監視室、24…エレベータ遠隔監視センタ、25…通信回線、41,42…広告用の紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられた電子ペーパと、
前記電子ペーパの表示用情報を送信するための外部装置と接続され、当該外部装置から送信された前記表示用情報を前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられ、テールコードに接続される電子ペーパと、
前記電子ペーパの表示用情報を送信するための、制御盤の設置箇所付近の外部装置と接続され、当該外部装置から送信された前記表示用情報を前記テールコードを介して前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項3】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられる電子ペーパと、
前記電子ペーパの表示用情報を送信するための、前記乗りかご内の外部装置と接続され、当該外部装置から送信された前記表示用情報を前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項4】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられ、テールコードに接続される電子ペーパと、
乗り場に設置されて前記電子ペーパの表示用情報を送信するための外部装置と接続され、当該外部装置から送信された前記表示用情報を前記テールコードを介して前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項5】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられ、テールコードに接続される電子ペーパと、
エレベータ監視室に設置されて前記電子ペーパの表示用情報を送信するための外部装置と接続され、当該外部装置から送信された前記表示用情報を前記テールコードを介して前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項6】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられ、テールコードに接続される電子ペーパと、
エレベータ遠隔監視センタに設置されて前記電子ペーパの表示用情報を送信する外部装置と通信回線を介して接続され、当該外部装置から送信された前記表示用情報を前記テールコードを介して前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項7】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられた電子ペーパと、
前記乗りかごの運行時間帯に応じた表示用情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された表示用情報のうち、前記乗りかごの現在の運行時間帯に応じた表示用情報を前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項8】
乗りかごやつり合いおもりの少なくとも一方に取り付けられた電子ペーパと、
前記乗りかごの運行状況に応じた表示用情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された表示用情報のうち、前記乗りかごの現在の運行状況に応じた表示用情報を前記電子ペーパに表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate