説明

エンジンの入力操作装置

【課題】ボスや入力操作レバー軸の損傷を抑制することができる、エンジンの入力操作装置を提供する。
【解決手段】この課題解決のため、ボス1に入力操作レバー軸2を挿通し、エンジン外側の入力操作レバー軸外端部3に入力操作レバー4を取り付け、エンジン内側の入力操作レバー軸内端部5に出力レバー6を取り付けた、エンジンの入力操作装置において、ボス1の周壁にオイル進入孔7・8をあけ、エンジン内側からオイル進入孔7・8を介してボス1と入力操作レバー軸2との間にエンジンオイルが進入するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの入力操作装置に関し、詳しくは、ボスや入力操作レバー軸の損傷を抑制することができる、エンジンの入力操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの入力操作装置として、ボスに入力操作レバー軸を挿通し、エンジン外側の入力操作レバー軸外端部に入力操作レバーを取り付け、エンジン内側の入力操作レバー軸内端部に出力レバーを取り付けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この従来技術では、ボスと入力操作レバー軸との間にエンジンオイルを進入させる手段を備えていないため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−278486号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題》 ボスや入力操作レバー軸が損傷するおそれがある。
ボスと入力操作レバー軸との間にエンジンオイルを進入させる手段を備えていないため、ボスと入力操作レバー軸とが潤滑不足となり、ボスや入力操作レバー軸に焼き付きやかじりが発生し、これらが損傷するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、ボスや入力操作レバー軸の損傷を抑制することができる、エンジンの入力操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1(B)に例示するように、ボス(1)に入力操作レバー軸(2)を挿通し、エンジン外側の入力操作レバー軸外端部(3)に入力操作レバー(4)を取り付け、エンジン内側の入力操作レバー軸内端部(5)に出力レバー(6)を取り付けた、エンジンの入力操作装置において、
図1(B)に例示するように、ボス(1)の周壁にオイル進入孔(7)(8)をあけ、エンジン内側からオイル進入孔(7)(8)を介してボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間にエンジンオイルが進入するようにした、ことを特徴とするエンジンの入力操作装置。
【発明の効果】
【0007】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 ボスや入力操作レバー軸の損傷を抑制することができる。
図1(B)に例示するように、ボス(1)の周壁にオイル進入孔(7)(8)をあけ、エンジン内側からオイル進入孔(7)(8)を介してボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間にエンジンオイルが進入するようにしたので、ボス(1)と入力操作レバー軸(2)の潤滑が促進され、ボス(1)や入力操作レバー軸(2)に焼き付きやかじりが生じ難く、ボス(1)や入力操作レバー軸(2)の損傷を抑制することができる。
【0008】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ボスと入力レバー軸との間のエンジンオイルの保持性が高い。
図1(B)に例示するように、ボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に一対のオイルシール部(9a)(9b)を設け、一方のオイルシール部(9a)をボス(1)のエンジン外側端部寄りに配置し、他方のオイルシール部(9b)をボス(1)のエンジン内側端部寄りに配置し、この一対のオイルシール部(9a)(9b)間で、オイル進入孔(7)(8)をボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させたので、ボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に進入したエンジンオイルは、一対のオイルシール部(9a)(9b)間に保持され、ボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間のエンジンオイルの保持性が高い。
【0009】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 一対のオイルシールの間に偏りなくエンジンオイルが供給される。
図1(B)に例示するように、オイル進入孔(7)(8)を一対設け、一方のオイル進入孔(7)はボス(1)のエンジン外側端部寄りでボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させ、他方のオイル進入孔(8)はボス(1)のエンジン内側端部寄りでボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させたので、ボス(1)のエンジン外側端部寄りとエンジン内側端部寄りにオイル進入孔(7)(8)からエンジンオイルが進入し、一対のオイルシール(9a)(9b)の間に偏りなくエンジンオイルが供給される。
【0010】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ボスや入力操作レバー軸の損傷抑制機能が顕在化する。
図1(B)に例示するように、入力操作レバー軸(2)の操作頻度が高い調速操作装置(11)に用いるため、ボス(1)や入力操作レバー軸(2)の損傷抑制機能が顕在化する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンの入力操作装置を説明する図で、図1(A)は平面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図である。
【図2】図1の入力操作装置とその周辺部分の縦断面図である。
【図3】図2のIII方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図3は本発明の実施形態に係るエンジンの入力操作装置を説明する図であり、この実施形態では、ディーゼルエンジンの燃料調量部の入力操作装置について説明する。
【0013】
図3に示すように、エンジンのポンプ収容室(12)の前部にギヤケース(13)を設け、ポンプ収容室(12)に燃料噴射ポンプ(14)を収容し、ギヤケース(13)に一対の入力操作装置を取り付けている。一方の入力操作装置は、調速操作装置(11)で、ガバナスプリング(10)を介してガバナレバー(15)を連動連結し、エンジン回転速度を設定する。他方の入力操作装置は、エンジン停止操作装置(16)で、燃料噴射ポンプ(14)の燃料調量ラック(17)を燃料無噴射位置まで移動させ、エンジンを停止させる。
【0014】
調速操作装置(11)の構成は、次の通りである。
図1(B)に示すように、ボス(1)に入力操作レバー軸(2)を挿通し、エンジン外側の入力操作レバー軸外端部(3)に入力操作レバー(4)を取り付け、エンジン内側の入力操作レバー軸内端部(5)に出力レバー(6)を取り付けている。
図1(B)に示すように、ボス(1)の周壁にオイル進入孔(7)(8)をあけ、エンジン内側からオイル進入孔(7)(8)を介してボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間にエンジンオイルが進入するようにしている。
【0015】
図2に示すように、調速操作装置(11)は、ギヤケース(13)に装着する蓋体(18)に取り付けられている。
ボス(1)をギヤケース(13)に装着する蓋体(18)に形成し、エンジン外側であるギヤケース(13)外側の入力操作レバー軸外端部(3)に調速用の入力操作レバー(4)を取り付け、エンジン内側であるギヤケース(13)内側の入力操作レバー軸内端部(5)に調速用の出力レバー(6)を取り付けている。出力レバー(6)はトルクスプリング(19)で燃料減量方向に付勢されている。オイル進入孔(7)(8)は、ボス(1)の外周面から内周面に向けて上り傾斜させている。
【0016】
図1(B)に示すように、ボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に一対のオイルシール部(9a)(9b)を設け、一方のオイルシール部(9a)をボス(1)のエンジン外側端部寄りに配置し、他方のオイルシール部(9b)をボス(1)のエンジン内側端部寄りに配置し、この一対のオイルシール部(9a)(9b)間で、オイル進入孔(7)(8)をボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させている。
図1(B)に示すように、オイル進入孔(7)(8)を一対設け、一方のオイル進入孔(7)はボス(1)のエンジン外側端部寄りでボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させ、他方のオイル進入孔(8)はボス(1)のエンジン内側端部寄りでボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させている。
図1(B)に示すように、この調速操作装置(11)は、出力レバー(6)にガバナスプリング(10)を連結している。
オイルシール部(9a)(9b)には、全体が弾性変形する断面X型のスクイーズパッキンが用いられている。
【0017】
図2、図3に示すエンジン停止装置(16)も、調速操作装置(11)と同様の構造を備えている。
すなわち、エンジン停止装置(16)も、ボス(1)に入力操作レバー軸(2)を挿通し、エンジン外側の入力操作レバー軸外端部(3)に入力操作レバー(4)を取り付け、エンジン内側の入力操作レバー軸内端部(5)に出力レバー(6)を取り付け、ボス(1)の周壁にオイル進入孔(7)(8)をあけ、エンジン内側からオイル進入孔(7)(8)を介してボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間にエンジンオイルが進入するようにしている。
エンジン停止装置(16)も、調速操作装置(11)と同様、ギヤケース(13)に装着する蓋体(18)に取り付けられている。
ボス(1)をギヤケース(13)に装着する蓋体(18)に形成し、エンジン外側であるギヤケース(13)外側の入力操作レバー軸外端部(3)にエンジン停止用の入力操作レバー(4)を取り付け、エンジン内側であるギヤケース(13)内側の入力操作レバー軸内端部(5)にエンジン停止用の出力レバー(6)を取り付けている。出力レバー(6)はトルクスプリング(19)で燃料増量方向に付勢されている。
図2、図3中、エンジン停止装置(16)の要素のうち、調速操作装置(11)と同一の要素には同一の符号を付しておく。
【符号の説明】
【0018】
(1) ボス
(2) 入力操作レバー軸
(3) 入力操作レバー軸外端部
(4) 入力操作レバー
(5) 入力操作レバー軸内端部
(6) 出力レバー
(7) オイル進入孔
(8) オイル進入孔
(9a) オイルシール部
(9b) オイルシール部
(10) ガバナスプリング
(11) 調速操作装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボス(1)に入力操作レバー軸(2)を挿通し、エンジン外側の入力操作レバー軸外端部(3)に入力操作レバー(4)を取り付け、エンジン内側の入力操作レバー軸内端部(5)に出力レバー(6)を取り付けた、エンジンの入力操作装置において、
ボス(1)の周壁にオイル進入孔(7)(8)をあけ、エンジン内側からオイル進入孔(7)(8)を介してボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間にエンジンオイルが進入するようにした、ことを特徴とするエンジンの入力操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載したエンジンの入力操作装置において、
ボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に一対のオイルシール部(9a)(9b)を設け、一方のオイルシール部(9a)をボス(1)のエンジン外側端部寄りに配置し、他方のオイルシール部(9b)をボス(1)のエンジン内側端部寄りに配置し、この一対のオイルシール部(9a)(9b)間で、オイル進入孔(7)(8)をボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させた、ことを特徴とするエンジンの入力操作装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したエンジンの入力操作装置において、
オイル進入孔(7)(8)を一対設け、一方のオイル進入孔(7)はボス(1)のエンジン外側端部寄りでボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させ、他方のオイル進入孔(8)はボス(1)のエンジン内側端部寄りでボス(1)と入力操作レバー軸(2)との間に連通させた、ことを特徴とするエンジンの入力操作装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載したエンジンの入力操作装置において、
出力レバー(6)にガバナスプリング(10)を連結する調速操作装置(11)に用いる、ことを特徴とするエンジンの入力操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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