説明

エンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置

【課題】組立完了したエンジンの潤滑経路を、運転状態を必要とせずに検査するに好適なエンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】組立完了したエンジンのメインギャラリへ、潤滑油供給装置としてのオイル供給装置1から予め設定した圧力若しくは流量により供給経路としての配管4を介して潤滑油を供給する。そして、供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量及び潤滑油圧力を測定する。得られた潤滑油流量、潤滑油圧力、若しくは、潤滑油圧力と潤滑油流量から求めたエンジンの潤滑経路の流路抵抗に基づいて、エンジンの潤滑経路の良、不良を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からエンジンの発熱状態、即ち潤滑経路内を流れる潤滑油の温度にかかわらず、潤滑経路を検査することのできるエンジン潤滑経路の検査方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
これは、エンジンの潤滑経路から潤滑油を漏出させるオリフィスとバルブを設け、潤滑経路内の潤滑油圧力の脈動振幅A1、潤滑油を漏出させないときの潤滑油圧力P0、潤滑油を漏出させたときの潤滑油圧力P1を圧力計により測定して、判定装置により、脈動振幅比RA=A1/(P0−P1)を求めて、脈動振幅比RAの値からエンジン潤滑経路の良、不良を判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4225159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、エンジンの循環経路に油圧をかけるために、エンジンを所定の回転数で運転させる必要があり、実施には大掛かりな設備が必要であるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、組立完了したエンジンの潤滑経路を、運転状態を必要とせずに検査するに好適なエンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、組立完了したエンジンのメインギャラリへ、潤滑油供給装置から予め設定した圧力若しくは流量により供給経路を介して潤滑油を供給し、前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量及び潤滑油圧力を測定する。そして、得られた潤滑油流量、潤滑油圧力、若しくは、潤滑油圧力と潤滑油流量から求めたエンジン潤滑経路の流路抵抗に基づいて、エンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明では、組立完了したエンジンのメインギャラリへ、設備側の潤滑油供給装置から潤滑油を供給する。そして、エンジン潤滑経路の良、不良の指標となる潤滑油流量、潤滑油圧力、若しくは、潤滑油圧力と潤滑油流量から求めたエンジン潤滑経路の流路抵抗を測定若しくは算出する。このため、エンジンへの潤滑油供給時に、エンジンの運転状態を必要とせずに、エンジン潤滑経路を検査することができる。結果として、検査の実施には大掛かりな設備が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態を示すエンジン潤滑経路の検査装置のシステム構成図。
【図2】同じくエンジン潤滑経路の検査手順を示すフローチャート。
【図3】流量計で計測されたエンジンのメインギャラリへ流れるオイル流量の時間的変化を示す特性図。
【図4】流量計で計測したオイル流量の時間的な変化を示す実測グラフ(A)、及びグラフ(A)の部分を拡大して示す実測グラフ(B)。
【図5】流量補正に使用するオイル温度とオイル流量との特性図。
【図6】補正前の計測流量(左)と補正後の補正流量(右)とを対比して示す説明図。
【図7】補正流量と潤滑経路の不良部分との関係を示す説明図。
【図8】本発明の第2実施形態を示すエンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置の概略構成図。
【図9】エンジン潤滑経路の検査手順を示すフローチャート。
【図10】オイル温度とオイル粘性係数との関係を示す特性図。
【図11】補正前の計測流量(A)と補正後の流路抵抗(B)とを対比して示す説明図。
【図12】流路抵抗と潤滑経路の不良部分との関係を示す説明図。
【図13】本発明の第3実施形態を示すエンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置の概略構成図。
【図14】エンジン潤滑経路の検査手順を示すフローチャート。
【図15】圧力補正に使用するオイル温度とオイル流量との特性図。
【図16】補正圧力と潤滑経路の不良部分との関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のエンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置を各実施形態に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用したエンジン潤滑経路の検査装置の第1実施形態を示すシステム構成図である。ここでの検査対象は、組立完了したエンジン(「ワーク」とも称する)の潤滑経路である。
【0012】
図1において、エンジン潤滑経路の検査装置は、検査ワークであるエンジンEのオイルメインギャラリM(以下では、単に「メインギャラリ」という)にオイルを供給する潤滑油供給装置としてのオイル供給装置1を備える。また、オイル供給装置1から前記メインギャラリMに流れるオイル流量の時間的変化に基づきエンジンEの潤滑経路の良否を判定する判定手段2を備える。
【0013】
前記オイル供給装置1及び判定手段2は、エンジン組立ラインの組立完成工程に設置され、組立完了したエンジンEに対して、潤滑油を供給する。そして、潤滑油の供給時におけるオイル流量の時間的な変化に基づいて、エンジンEの潤滑経路の異常の有無を判定する。
【0014】
前記オイル供給装置1は、オイルタンク5とエンジンEのメインギャラリMとを接続する配管4中に、オイルフィルタ6、ポンプ7、開閉弁8をこの順に配置して備える。配管4のメインギャラリMへの接続は、オイルテンプセンサやオイルプレッシャセンサの取付孔にアダプタを取付けて接続する。オイルタンク5内のオイルは、配管4を経由して、オイルフィルタ6を介してポンプ7により吸込まれ、ポンプ7により吐出されて、開閉弁8を介してエンジンEのメインギャラリMに供給するようにしている。また、ポンプ7と開閉弁8との間の配管4を分岐してオイルタンク5へ接続した還流経路4Aにはリリーフ弁9を配置している。このリリーフ弁9は、ポンプ7から吐出されるオイルの圧力が予め設定した圧力値を超える場合に、開放してオイルをタンク5へ還流させることで、オイル圧力を設定した圧力値となるように調整する。
【0015】
前記開閉弁8は、後述する判定手段2の指令に基づいて、コントローラ21により、その作動が制御される。また、エンジンEのオイルパンには、潤滑経路を経由してオイルパンに流入した潤滑油をオイルタンク5に還流させる還流配管30が接続され、この還流配管30にはオイルパンからオイルタンク5へ潤滑油を戻すオイル還流装置31が配置されている。前記オイル還流装置31は、オイルパン内の潤滑油の液面レベルが予め設定した液面を超える場合に、オイルパン内の潤滑油を、還流配管30を経由させてオイルタンク5へ還流させる。
【0016】
前記判定手段2は、コントローラ21による開閉弁8の開放による検査動作中に、オイル供給装置1から前記メインギャラリMに流れるオイル流量の時間的変化に基づきエンジンEの潤滑経路の良否を判定する。このため、前記判定手段2は、ポンプ7と開閉弁8との間の配管4中に流れるオイルの流量を測定する流量計22と、流量計22により測定したオイル流量の時間的変化に基づいてエンジンEの潤滑経路の良否を判定する判定装置20と、を備える。判定装置20は検査手段であり、実際には、後述する検査手順に沿って作成されたプログラムが実行されることで、流量計22からの信号に基づいてエンジンEの潤滑経路を検査するコンピュータである。このコンピュータには検査結果を表示するためのディスプレイやプリンタなどの出力装置(不図示)が備えられている。また、判定手段2は、ポンプ7と開閉弁8との間の配管4中に流れるオイルの圧力を測定する圧力計23と、同オイルの油温を測定する油温計24と、を備え、これらの測定結果は判定装置20に入力される。判定装置20は、前記圧力計23及び油温計24の測定結果に基づいて、前記流量計22での測定値を補正する。
【0017】
検査ワークとしてのエンジンEは、組立ラインを経由することで、メインメタル、コンロッドメタル等の軸受け部品が組付けられ、オイル循環系統のシール部品等が組付けられた組立完成品である。メインギャラリM及びそれに連なる各潤滑経路には、組立ラインにて予め潤滑油が初期給油されてウエットな状態となっている。そして、この工程では、オイル供給装置1によりエンジンEのメインギャラリMに潤滑油を供給する。
【0018】
上記した時点において、メインギャラリMに潤滑油を供給すると、潤滑油はメインギャラリM及びそれに連なる各潤滑経路を潤滑油で満たすために、供給開始時には消費されるオイル流量が大きくなる。そして、各潤滑経路が潤滑油で満たされるに連れてオイル流量が低下し、所定の流量に収束する。
【0019】
この収束時点でのオイル流量は、潤滑経路の潤滑隙間を経由してオイルパンに還流するオイル流量であり、正常に組立てられたエンジンEでは低い流量となる。これに対して、組立時に誤ってクランクシャフトの軸受けメタル等が組付けられていない場合には、その部分よりの漏れ流量が加算されるため、正常に組立てられたエンジンEに比較して収束時のオイル流量は多くなる。この場合に、クランクピンに組付けられるクランクピンメタルが組付けられていない場合は、クランクジャーナルに組付けられるメインメタルの欠品に比較して収束時のオイル流量は更に多くなる。一方、潤滑経路に異常な詰まりや例えば、クランクシャフト油穴の未加工等が存在する場合には、正常に加工され組立てられたエンジンEと比較して、収束時のオイル流量が低下する。
【0020】
本実施形態のエンジン潤滑経路の検査方法は、上記オイル供給装置1よりエンジンEにオイルを供給し、供給するオイルの流量が変動しない安定流量に収束された時点におけるオイル流量に基づいて、潤滑経路の良否を判定するものである。このため、上記した誤組立や誤加工された状態のエンジンEを運転することなく、エンジン潤滑経路の良否を判定することができる。
【0021】
図2は、第1の実施形態におけるエンジン潤滑経路の検査手順を示すフローチャートであり、判定装置20により実行される。検査装置のポンプ7が図示しない駆動手段により駆動されて、ポンプ7よりオイルを吐出されており、開閉弁8は閉じられた状態である。ポンプ7より吐出されたオイルは、リリーフ弁9を介してオイルタンク5に還流され、ポンプ吐出圧はリリーフ弁9で設定した圧力値に調整されている。
【0022】
検査開始にあたって、開閉弁8が閉じているため、エンジンE側へのオイル供給は停止されている。この状態において、オイル供給装置1の配管4出口に完成されたエンジンEのメインギャラリMに接続して、前記検査手順が開始される。
【0023】
先ず、判定装置20は、コントローラ21に対してバルブ開の指令を出力して開閉弁8を開放させる(S1)。ポンプ7より吐出されたオイルは、配管4及び開閉弁8を経由してエンジンEのメインギャラリMに流入する。
【0024】
開閉弁8を通過してエンジンEのメインギャラリMに流入するオイルの流量は流量計22により測定され、オイル圧力は圧力計23により測定され、オイル温度は油温計24により測定され、各測定値は判定装置20に入力される(S2)。
【0025】
図3は流量計22で計測されたエンジンEのメインギャラリMへ流れるオイル流量の時間的変化を示す特性図である。オイルの供給開始(t1)直後には、潤滑油はメインギャラリM及びそれに連なる各潤滑経路を潤滑油で満たすために、供給流量が急激に増加(t2)し、各潤滑経路がオイルで満たされると急激に低下する(t3)。そして、安定した一定流量に収束する。
【0026】
図4(A)は、流量計22で計測したオイル流量の時間的な変化を示すものである。図中の実線は、クランクシャフトのメタル類が正常に組付けられているエンジンEにおけるオイル流量の変化を示す。また、図中の破線は、クランクシャフトのメタル類が正常に組付けられていないエンジンEにおけるオイル流量の変化を示す。また、図4(B)は、図4(A)の収束されたオイル流量の詳細な変化を示すものである。
【0027】
判定装置20は、ステップS3において、前記ステップS2で入力されるオイル流量の変化が所定時間、所定の流量範囲内で変化しないか否か、即ち収束したか否かを判定する。そして、オイル流量が収束されていない場合には引続きステップS2での計測を継続する。しかし、ステップS3の判定で、オイル流量が収束されている場合(t4〜t5)には、ステップS4へ進み、開閉弁8を閉じ(t6)、ステップ5へ進む。
【0028】
ステップS5では、ステップS4で収束されていると判定したオイル流量Qを、圧力計23で測定した圧力Pと油温計24で測定したオイル温度とで補正し、補正流量Q'を算出する。ところで、この方法での計測において、メインギャラリMにかかる圧力は、流量の影響を受けるため、厳密には一定圧力には保持できない。また、オイルの温度が変化するとオイル粘度も変化する。この、圧力、温度のばらつきは、順次供給されるワークに対して、繰返して連続的にオイル流量を計測する場合に、その計測精度を悪化させる。そのため、このステップS5では、計測されるオイル流量Qに対して、同時に計測する油温T及び油圧Pに基づいて補正を行い、補正後のオイル流量Q'を求める。
【0029】
図5は、流量補正に使用するオイル温度とオイル流量との特性図である。図中の実線で示された特性が標準圧力状態でのオイル温度とオイル流量との特性であり、破線で示された上下の特性は、圧力を上昇させた場合の特性(上側)と圧力を下降させた場合の特性(下側)である。そして、ステップS5では、標準温度、例えば、20〜90℃、標準圧力、例えば、200KPaを基準として、それより温度、圧力が高い場合に、その流量増加比率(1以上の値となる)で、収束されていると判定したオイル流量Qを除算して、補正流量Q'を算出する。また、標準温度、標準圧力を基準として、それより温度、圧力が低い場合に、その流量減少比率(1以下の値となる)で、収束されていると判定したオイル流量Qを除算して、補正流量Q'を算出する。
【0030】
図6は、補正前の計測流量(左)と補正後の補正流量(右)とを対比して示す説明図である。補正前においては、様々に温度・圧力を変化させて1個のワークを測定した測定数Nは15であり、その補正前のオイル流量(9通りのオイル流量)の出現頻度がグラフの数字で示されている。しかしながら、温度・圧力に応じた補正を行った後の補正流量は、そのワークに特定される流量Xに収斂させることができる。このように、計測時において生じる、圧力条件、油温条件のばらつきを補正することで、ワークに対する検出オイル流量の測定精度を高めることができる。
【0031】
ステップS6においては、補正後のオイル流量Q'が所定の範囲内にあるか否かを判定し、所定の範囲内にある場合にはステップS7へ進み、判定結果「良」を出力し、今回のワークに対する処理を終了する。しかし、補正後のオイル流量Q'が所定の範囲内から外れる場合にはステップS8へ進み、判定結果「不良」を出力し、今回のワークに対する処理を終了する。
【0032】
前記所定の範囲は、図7に示すように、補正流量Q'が、上限判定値以下であり且つ下限判定値以上である場合に、「良」と判定し、下限判定値未満である場合、及び、上限判定値を超える場合に、「不良」と判定する。
【0033】
前記下限判定値未満である場合とは、例えば、オイル循環経路に異常な詰まりや、例えば、クランクシャフト油穴の未加工等が存在する場合である。このような場合には、正常に加工され組立てられたエンジンEと比較して補正オイル流量Q'が下がるためである。
【0034】
また、前記上限判定値を超える場合とは、例えば、オイル循環経路において異常な漏れや、例えば、オイルシール部品の欠品、メタル類の欠品等が存在する場合である。このような場合には、正常に組立てられたエンジンEと比較して補正オイル流量Q'が上がるためである。
【0035】
なお、上記において、「良」と判定されたエンジンEに対しては、引き続きオイルを供給し、供給量がエンジンEの運転に必要な規定量に達した段階において、オイルの供給を停止するようにしてもよい。また、エンジンEのオイルパン内の潤滑油の液面レベルが予め設定した液面を超える場合には、オイル還流装置31によりオイルパン内の余分な潤滑油を還流配管30を経由させてオイルタンク5へ還流させる。これにより、検査終了後のエンジンオイル量が予め設定した一定量となるよう調整される。
【0036】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0037】
(ア)組立完了したエンジンのメインギャラリへ、潤滑油供給装置としてのオイル供給装置1から予め設定した圧力若しくは流量により供給経路としての配管4を介して潤滑油を供給する。そして、供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量及び潤滑油圧力を測定する。得られた潤滑油流量、潤滑油圧力、若しくは、潤滑油圧力と潤滑油流量から求めたエンジンの潤滑経路の流路抵抗に基づいて、エンジンの潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする。このため、組立完了したエンジンの運転状態を必要とせずに、エンジンへの潤滑油供給時にエンジンの潤滑経路を検査することができる。結果として、検査の実施には大掛かりな設備が不要である。また、組立完了したエンジンへのオイル供給時にエンジン潤滑経路を検査するものであるため、両者を同時に実行でき、計測に必要とする時間も短時間とでき、生産性を向上させることができる。
【0038】
(イ)また、エンジンのメインギャラリへ、供給経路を介して予め設定した圧力により潤滑油を供給し、前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量を測定する。そして、得られた潤滑油流量に基づいて、エンジンの潤滑経路の良、不良を判定する。このため、エンジンの潤滑経路において異常な漏れ(例えばメタル欠品)が存在する場合は、正常に加工され組立てられたエンジンEと比較して潤滑油流量が上がるため、検出が可能である。また、エンジンの潤滑経路において異常な詰まり(例えばクランクシャフト油穴の未加工)が存在する場合は、正常に組立てられたエンジンEと比較して潤滑油流量が下がるため、検出が可能である。
【0039】
(ウ)潤滑油流量は、同時に計測する潤滑油温度及び潤滑油圧力に応じて変化するオイル粘度に基づいて補正し、補正後の潤滑油流量に基づいてエンジンの潤滑経路の良、不良を判定する。このため、計測時において生じる、圧力条件、油温条件のばらつきを補正することで、エンジンの潤滑経路の良否の判断がより精度良くできる。
【0040】
(第2実施形態)
図8〜図12は、本発明を適用したエンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置の第2実施形態を示し、図8はエンジン潤滑経路の検査装置のシステム構成図、図9はエンジン潤滑経路の検査手順を示すフローチャート、図10〜図12は各特性図である。本実施形態においては、一定圧力でメインギャラリMに給油し、発生するエンジンオイル循環経路の流路抵抗Rに基づいてオイル循環経路の良否を検査する構成を第1実施形態に追加したものである。なお、第1実施形態と同一装置には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0041】
図8において、本実施形態のエンジン潤滑経路の検査装置は、検査ワークであるエンジンEのメインギャラリMにオイルを供給するオイル供給装置1を備える。また、オイル供給装置1から前記メインギャラリMに流れるオイル流量・圧力に基づきエンジンEの潤滑経路の良否を判定する判定手段2を備える。前記オイル供給装置1は、第1実施形態と同様に構成されている。
【0042】
前記判定手段2は、コントローラ21による開閉弁8の開放による検査動作中に、オイル供給装置1から前記メインギャラリMに流れるオイル流量Qの時間的変化、油圧P、及び、オイル粘度係数ηに基づきエンジンEの潤滑経路の良否を判定する。このため、前記判定手段2は、ポンプ7と開閉弁8との間の配管4中に流れるオイルの流量を測定する流量計22、及び、オイルの圧力を測定する圧力計23と、三方弁25により分岐させてその時点のオイル粘度を測定するオイル粘度計測器26と、を備える。そして、これらの計測結果に基づいてエンジンEの潤滑経路の良否を判定する判定装置20と、を備える。前記三方弁25は判定装置20よりの指令によりコントローラ25Aによりその切換位置が制御される。
【0043】
前記オイル粘度計測器26は、供給配管4から三方弁25により分岐されてタンク5に接続した還流配管4中に配置され、タンク5へ還流させるオイルの粘度を測定し、測定値を判定装置20へ出力する。なお、この場合に、タンク5へ還流させるオイルの温度を測定し、図10に示す油温tと粘度係数ηとの特性に基づいて粘度係数ηを演算し、演算した粘度係数ηを判定装置20へ出力するものであってもよい。
【0044】
図9は、第2実施形態におけるエンジン潤滑経路の検査手順を示すフローチャートであり、判定装置20により実行される。検査装置のポンプ7が図示しない駆動手段により駆動されて、ポンプ7よりオイルを吐出されており、三方弁25は開閉弁8へ連通させるよう位置し、開閉弁8は閉じられた状態である。ポンプ7より吐出されたオイルは、リリーフ弁9を介してオイルタンク5に還流され、ポンプ吐出圧はリリーフ弁9で設定した圧力値に調整されている。
【0045】
検査開始にあたっては、開閉弁8が閉じているため、エンジンE側へのオイル供給は停止されている。この状態において、オイル供給装置1の配管4出口に完成されたエンジンEのメインギャラリMに接続して、前記検査手順が開始される。
【0046】
先ず、判定装置20は、コントローラ25Aに対して三方弁25を切換え指令を出力して、配管4を分岐した還流配管へ切換えさせる(S10)。三方弁25の切換によりポンプ吐出オイルは還流配管へ流される。そして、還流されるオイル流量が所定値(ポンプ吐出量)に収束した段階(S11)で、還流配管に配置されたオイル粘度計測器26により、現在のオイル粘度係数若しくはオイル温度を測定し、オイル粘度係数ηを算出する(S12)。
【0047】
次いで、三方弁25に切換え指令を出力して、切換え位置を還流配管側から開閉弁8側へ切換えさせると共に、開閉弁8開の指令を出力して開閉弁8を開放させる(S13)。ポンプ7より吐出されたオイルは、配管4及び開閉弁8を経由してエンジンEのメインギャラリMに流入する。
【0048】
開閉弁8を通過してエンジンEのメインギャラリMに流入するオイルの流量は流量計22により測定され、オイル圧力は圧力計23により測定され、各測定値は判定装置20に入力される(S14)。
【0049】
オイルの供給開始直後には、潤滑油はメインギャラリM及びそれに連なる各潤滑経路を潤滑油で満たすために、供給流量が急激に増加し、各潤滑経路がオイルで満たされると急激に低下する。そして、安定した一定流量に収束する。
【0050】
判定装置20は、ステップS15において、前記ステップS14で入力されるオイル流量の変化が所定時間、所定の流量範囲内で変化しないか否か、即ち収束したか否かを判定する。そして、オイル流量が収束されていない場合には引続きステップS14での計測を継続する。しかし、ステップS15の判定で、オイル流量が収束されている場合には、ステップS16へ進み、開閉弁8を閉じ、ステップ17へ進む。
【0051】
ステップS17では、ステップS15で収束されていると判定したオイル流量Qを、計測開始時にオイル粘度計測器26で計測したオイル粘度係数ηとで補正し、補正流量Q'を算出する。そして、圧力計23で測定した圧力Pと補正流量Q'とに基づいて、エンジンEの潤滑油経路の流路抵抗Rを算出する。
【0052】
図11は、補正前の計測流量(A)と、補正流量Q'に基づいて算出したエンジンEの潤滑油経路の流路抵抗R(B)とを対比して示す説明図である。補正前においては、図11(A)に示すように、様々に温度を変化させて1個のエンジンを測定した測定数Nは15であり、その補正前のオイル流量(11通りのオイル流量Q)の出現頻度がグラフの数字で示されている。しかしながら、図11(B)に示すように、オイル粘度係数ηに応じた補正を行った後の補正流量Q'に基づいて算出した流路抵抗Rは、そのエンジンに特定される流路抵抗に収斂させることができる。このように、計測時において生じる、圧力条件、油温条件のばらつきを補正することで、エンジンに対する検出流路抵抗Rの測定精度を高めることができる。
【0053】
ステップS18においては、算出した流路抵抗Rが所定の範囲内にあるか否かを判定し、所定の範囲内にある場合にはステップS19へ進み、判定結果「良」を出力し、今回のワークに対する処理を終了する。しかし、算出した流路抵抗Rが所定の範囲内から外れる場合にはステップS20へ進み、判定結果「不良」を出力し、今回のワークに対する処理を終了する。
【0054】
前記所定の範囲は、図12に示すように、流路抵抗Rが、上限判定値以下であり且つ下限判定値以上である場合に、「良」と判定し、下限判定値未満である場合、及び、上限判定値を超える場合に、「不良」と判定する。
【0055】
前記上限判定値を超える場合とは、例えば、オイル循環経路に異常な詰まりや、例えば、クランクシャフト油穴の未加工等が存在する場合であり、このような場合には、正常に加工され組立てたエンジンEと比較して流路抵抗Rが上昇するためである。
【0056】
また、前記下限判定値を下回る場合とは、例えば、オイル循環経路において異常な漏れや、例えば、オイルシール部品の欠品、メタル類の欠品等が存在する場合である。このような場合には、正常に組立てられたエンジンEと比較して流路抵抗Rが低下するためである。このように、流路抵抗Rでエンジン潤滑油経路の良否を評価することで、給油条件によらず一律の判定値を設定することが可能となる。
【0057】
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)に加えて以下に記載した効果を奏することができる。
【0058】
(エ)組立完了したエンジンのメインギャラリへ、潤滑油供給装置としてのオイル供給装置1から供給経路としての配管4を介して予め設定した圧力により潤滑油を供給する。そして、前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量、潤滑油圧力、及び潤滑油粘度係数を測定する。そして、これらの測定結果に基づいてエンジンの潤滑経路の流路抵抗を算出し、得られたエンジンの潤滑経路の流路抵抗に基づいて、エンジンの潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする。このため、オイル循環経路に異常な詰まりや、例えば、クランクシャフト油穴の未加工等が存在する場合には、正常に加工され組立てたエンジンEと比較して流路抵抗Rが上昇するため、検出が可能である。また、オイル循環経路において異常な漏れや、例えば、オイルシール部品の欠品、メタル類の欠品等が存在する場合には、正常に組立てられたエンジンEと比較して流路抵抗Rが低下するため、検出が可能である。
【0059】
(オ)潤滑経路の流路抵抗は、同時に計測する潤滑油粘度係数に基づいて補正し、補正後の潤滑経路の流路抵抗に基づいてエンジンの潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする。このため、給油条件によらず一律の判定値を設定することが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
図13〜図16は、本発明を適用したエンジン潤滑経路の検査方法及び検査装置の第3実施形態を示し、図13はエンジン潤滑経路の検査装置のシステム構成図、図14は潤滑経路の検査手順を示すフローチャート、図15、16は特性図である。本実施形態においては、エンジンオイル循環経路にオイルを一定流量Qで給油し、発生する供給圧力Pに基づいてオイル循環経路の良否を検査する構成を第1実施形態に追加したものである。なお、第1、2実施形態と同一装置には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0061】
図13において、本実施形態のエンジン潤滑経路の検査装置は、検査ワークであるエンジンEのメインギャラリMにオイルを供給するオイル供給装置1を備える。また、オイル供給装置1から前記メインギャラリMに流れるオイル流量・圧力及びオイル粘度係数に基づきエンジンEの潤滑経路の良否を判定する判定手段2を備える。
【0062】
前記オイル供給装置1は、インバータ27により回転数が制御されて、その吐出量が一定値に制御されるポンプ7が使用されている。インバータ27は、供給配管4に配置された流量計22で測定した流量に基づいて、判定装置20により制御されて、ポンプ7より吐出するオイル流量を一定値となるよう制御する。
【0063】
前記判定手段2は、コントローラ21による開閉弁8の開放による検査動作中に、オイル供給装置1から前記メインギャラリMに流れるオイル流量Qの時間的変化、油圧P、及び、オイル温度に基づきエンジンEの潤滑経路の良否を判定する。このため、前記判定手段2は、ポンプ7と開閉弁8との間の配管4中に流れるオイルの流量を測定する流量計22、及び、オイルの圧力を測定する圧力計23と、その時点のオイル温度を測定する油温計24と、を備える。そして、これらの計測結果に基づいてエンジンEの潤滑経路の良否を判定する判定装置20と、を備える。
【0064】
図14は、第3実施形態におけるエンジン潤滑経路の検査手順を示すフローチャートであり、判定装置20により実行される。検査装置のポンプ7は停止されており、開閉弁8は閉じられた状態である。
【0065】
検査開始にあたっては、オイル供給装置1の配管4出口に完成されたエンジンEのメインギャラリMに接続して、前記検査手順が開始される。先ず、ポンプ7よりオイルを吐出させると共に、開閉弁8開の指令を出力して開閉弁8を開放させる(S30)。ポンプ7より吐出されたオイルは、配管4及び開閉弁8を経由してエンジンEのメインギャラリMに流入する。
【0066】
オイルの供給開始直後には、潤滑油はメインギャラリM及びそれに連なる各潤滑経路を潤滑油で満たすために、供給流量が急激に増加し、各潤滑経路がオイルで満たされると急激に低下する。開閉弁8を通過してエンジンEのメインギャラリMに流入するオイルの流量は流量計22により測定され、オイル圧力は圧力計23により測定され、各測定値は判定装置20に入力される。
【0067】
判定装置20は、流量計22で測定した流量に基づいて、インバータ27によりポンプ7の回転数を調整して、ポンプ7より吐出されるオイルの吐出量が一定値となるよう制御する(S31)。
【0068】
そして、流量計22で測定する供給流量が設定した一定流量範囲に収束するか否かを判定する(S32)。エンジンEの各潤滑経路がオイルで満たされた段階において、ポンプ7よりの供給流量と、各潤滑経路からオイルパンへ流出する流量とが釣り合った状態となり、安定した一定流量に収束する。このため、ステップS32での判定において、流量計22で測定した供給流量が安定していない場合には、ステップS31でのインバータ27によるポンプ回転数の制御を継続させる。一方、ステップS32での判定において、流量計22で測定した供給流量が安定した場合には、ステップS33へ進み、その安定状態での供給流量、供給圧力、オイル温度を、流量計22、圧力計23、油温計24による測定結果により取得し、ステップS34へ進む。
【0069】
ステップS34では、流量計22で積算したオイル供給量が規定量に到達したか否かを判定し、規定量に到達していない場合には、ステップS33の測定を継続させる。一方、オイル供給量が規定量に到達した場合にはステップS35へ進み、開閉弁8を閉じ、ポンプ7を停止させ、ステップS36へ進む。
【0070】
ステップS36では、ステップS33で取得した供給圧力Pを、油温計24で測定したオイル温度、流量計22で測定したオイル流量とで補正し、補正圧力P'を算出する。図15は、圧力補正に使用するオイル温度とオイル流量との特性図である。図中の実線で示された特性が標準流量状態でのオイル温度とオイル圧力との特性であり、破線で示された上下の特性は、流量を上昇させた場合の特性(上側)と流量を下降させた場合の特性(下側)である。
【0071】
そして、ステップS36では、標準温度、例えば、20〜90℃を基準として、それより温度が高い場合に、その圧力低下率(1以下の値となる)で供給圧力Pを除算し、標準流量、例えば、2L/minを基準として、それより流量が増減している場合にはその増減率で更に除算することにより、補正圧力P'を算出する。また、標準温度より温度が低い場合に、その圧力上昇率(1以上の値となる)で供給圧力Pを除算し、標準流量を基準として、それより流量が増減している場合にはその増減率で更に除算することにより、補正圧力P'を算出する。このように、計測時において生じる、流量条件、油温条件のばらつきを補正することで、ワークに対する検出供給圧力の測定精度を高めることができる。
【0072】
ステップS37においては、算出した補正圧力P'が所定の範囲内にあるか否かを判定し、所定の範囲内にある場合にはステップS38へ進み、判定結果「良」を出力し、今回のワークに対する処理を終了する。しかし、算出した補正圧力P'が所定の範囲内から外れる場合にはステップS39へ進み、判定結果「不良」を出力し、今回のワークに対する処理を終了する。
【0073】
前記所定の範囲は、図16に示すように、補正圧力P'が、上限判定値以下であり且つ下限判定値以上である場合に、「良」と判定し、下限判定値未満である場合、及び、上限判定値を超える場合に、「不良」と判定する。
【0074】
前記上限判定値を超える場合とは、例えば、オイル循環経路に異常な詰まりや、例えば、クランクシャフト油穴の未加工等が存在する場合であり、このような場合には、正常に加工され組立てられたエンジンEと比較して補正圧力P'が上昇するためである。また、前記下限判定値を下回る場合とは、例えば、オイル循環経路において異常な漏れや、例えば、オイルシール部品の欠品、メタル類の欠品等が存在する場合であり、このような場合には、正常に組立てられたエンジンEと比較して補正圧力P'が低下するためである。このように、補正圧力P'でエンジン潤滑油経路の良否を評価することで、給油条件によらず一律の判定値を設定することが可能となる。
【0075】
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)に加えて、以下に記載する効果を奏することができる。
【0076】
(カ)組立完了したエンジンのメインギャラリへ、潤滑油供給装置としてのオイル供給装置1から供給経路としての配管4を介して予め設定した流量により潤滑油を供給する。そして、前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油圧力を測定する。そして、得られた潤滑油圧力に基づいて、エンジンの潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする。このため、エンジンの潤滑経路において異常な漏れ(例えばメタル欠品)が存在する場合は、正常に組立てられたエンジンEと比較して潤滑油供給圧力が下がるため、検出が可能である。また、エンジンの潤滑経路において異常な詰まり(例えばクランクシャフト油穴の未加工)が存在する場合は、正常に加工され組立てられたエンジンEと比較して潤滑油供給圧力が上がるため、検出が可能である。
【0077】
(キ)潤滑油圧力は、同時に計測する潤滑油温度及び潤滑油流量に応じて変化するオイル粘度に基づいて補正し、補正後の潤滑油圧力に基づいてエンジンの潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする。このため、計測時において生じる、流量条件、油温条件のばらつきを補正することで、エンジンに対する検出供給圧力の測定精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、上記各実施形態において、検査対象として、組立完了したエンジンEの潤滑経路を検査するものについて説明した。しかしながら、本発明の検査対象はエンジンEの潤滑経路に限定されるものではなく、例えば、組立完了した自動変速機の潤滑経路等、回転運動を伴う機械における潤滑油の循環経路の検査に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
E ワークとしてのエンジン
M オイルメインギャラリ
1 潤滑油供給装置としてのオイル供給装置
2 判定手段
4 供給経路としての配管
5 オイルタンク
6 オイルフィルタ
7 ポンプ
8 開閉弁
9 リリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立完了したエンジンのメインギャラリへ、潤滑油供給装置から予め設定した圧力若しくは流量により供給経路を介して潤滑油を供給し、
前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量及び潤滑油圧力を測定し、
得られた潤滑油流量、潤滑油圧力、若しくは、潤滑油圧力と潤滑油流量から求めたエンジンの潤滑経路の流路抵抗に基づいて、エンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とするエンジン潤滑経路の検査方法。
【請求項2】
前記エンジンのメインギャラリへ、供給経路を介して予め設定した圧力により潤滑油を供給し、
前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量を測定し、
得られた潤滑油流量に基づいて、エンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン潤滑経路の検査方法。
【請求項3】
前記潤滑油流量は、同時に計測する潤滑油温度及び潤滑油圧力に応じて変化するオイル粘度に基づいて補正し、補正後の潤滑油流量に基づいてエンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする請求項2に記載のエンジン潤滑経路の検査方法。
【請求項4】
前記エンジンのメインギャラリへ、供給経路を介して予め設定した流量により潤滑油を供給し、
前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油圧力を測定し、
得られた潤滑油圧力に基づいて、エンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン潤滑経路の検査方法。
【請求項5】
前記潤滑油圧力は、同時に計測する潤滑油温度及び潤滑油流量に応じて変化するオイル粘度に基づいて補正し、補正後の潤滑油圧力に基づいてエンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする請求項4に記載のエンジン潤滑経路の検査方法。
【請求項6】
前記エンジンのメインギャラリへ、供給経路を介して予め設定した圧力により潤滑油を供給し、
前記供給経路に流れる潤滑油の流量変化が収束された時点における潤滑油流量、潤滑油圧力、及び潤滑油粘度係数を測定し、
これらの測定結果に基づいてエンジン潤滑経路の流路抵抗を算出し、
得られたエンジン潤滑経路の流路抵抗に基づいて、エンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン潤滑経路の検査方法。
【請求項7】
前記潤滑経路の流路抵抗は、同時に計測する潤滑油粘度係数に基づいて補正し、補正後の潤滑経路の流路抵抗に基づいてエンジン潤滑経路の良、不良を判定することを特徴とする請求項6に記載のエンジン潤滑経路の検査方法。
【請求項8】
組立完了したエンジンのメインギャラリへ、供給経路を介して予め設定した圧力により潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、
前記供給経路の潤滑油流量、潤滑油圧力、潤滑油温度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された潤滑油流量の変化が収束された時点の潤滑油流量に基づいてエンジン潤滑経路の良、不良を判定する判定手段と、を備えることを特徴とするエンジン潤滑経路の検査装置。
【請求項9】
組立完了したエンジンのメインギャラリへ、供給経路を介して予め設定した流量により潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、
前記供給経路の潤滑油流量、潤滑油圧力、潤滑油温度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された潤滑油流量の変化が収束された時点の潤滑油圧力に基づいてエンジン潤滑経路の良、不良を判定する判定手段と、を備えることを特徴とするエンジン潤滑経路の検査装置。
【請求項10】
組立完了したエンジンのメインギャラリへ、供給経路を介して予め設定した圧力により潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、
前記供給経路の潤滑油流量、潤滑油圧力、潤滑油粘度係数を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された潤滑油流量の変化が収束された時点の測定手段による測定結果に基づいてエンジン潤滑経路の流路抵抗を算出し、算出した流路抵抗に基づいてエンジン潤滑経路の良、不良を判定する判定手段と、を備えることを特徴とするエンジン潤滑経路の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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